JP2001335827A - ステンレス溶銑の脱硫処理用ランスパイプ、及び、ステンレス溶銑の取鍋脱硫処理方法 - Google Patents

ステンレス溶銑の脱硫処理用ランスパイプ、及び、ステンレス溶銑の取鍋脱硫処理方法

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JP2001335827A
JP2001335827A JP2000155088A JP2000155088A JP2001335827A JP 2001335827 A JP2001335827 A JP 2001335827A JP 2000155088 A JP2000155088 A JP 2000155088A JP 2000155088 A JP2000155088 A JP 2000155088A JP 2001335827 A JP2001335827 A JP 2001335827A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】キャスタブル被覆層の長寿命化を図ることがで
き、耐用回数を増加できるステンレス溶銑の脱硫処理用
ランスパイプ、及び、ステンレス溶銑の取鍋脱硫処理方
法を提供する。 【解決手段】溶解炉で溶製したステンレス溶銑を取鍋内
に排出し、スラグ存在の状態で取鍋内のステンレス溶銑
に不活性ガスを吹き込んでステンレス溶銑を攪拌しつつ
取鍋内で脱硫処理する脱硫処理用ランスパイプである。
ランスパイプは、吹込ガスが通過する通路をもつ芯金パ
イプと、芯金パイプに被覆されたキャスタブル被覆層と
を有する。キャスタブル被覆層のうち少なくともステン
レス溶銑に浸漬される浸漬部は、Al23−SiO2
ZrO2の三元系であり、ZrO2が1〜10重量%、A
23が50〜85重量%、SiO2が10〜30重量
%含まれている組成を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はステンレス溶銑の脱
硫処理用ランスパイプ、及び、ステンレス溶銑の取鍋脱
硫処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレス溶銑を脱硫処理するに
あたっては、スクラップ等の原料と共に、石灰等の脱硫
剤を電気炉に装入し、溶解してステンレス溶銑を形成
し、ステンレス溶銑の溶解中または出銑中に脱硫反応を
起こさせる。さらに、次工程の転炉、VD炉において石
灰、蛍石等を使用して再度脱硫処理を行なう。ステンレ
ス溶銑は主に1350〜1480℃の温度範囲内で出銑
される。ステンレス溶銑中の硫黄濃度は、溶銑段階で、
一般的には0.001〜0.025重量%程度である。
このように溶銑段階における脱硫反応にはバラツキがあ
り、従ってステンレス溶銑中の硫黄濃度は上記範囲のよ
うになっていた。
【0003】したがって、ステンレス溶銑中の硫黄濃度
が高目であれば、次工程で多量の脱硫剤を用いてさらに
脱硫処理する必要があった。この結果、電気炉における
石灰類の脱硫剤の使用量が増えるばかりか、後工程にお
ける石灰類の脱硫剤の使用量が増える。結果的にスラグ
の発生量が増えて、スラグの処理が問題となっていた。
【0004】そこで、本発明者らは、電気炉で溶解した
ステンレス溶銑を取鍋内に出銑した後に、ガス吹込機能
をもつランスパイプをこれの先端部から取鍋内のステン
レス溶銑に浸漬させ、ランスパイプからガスを取鍋内の
ステンレス溶銑に吹き込んで攪拌することにより、ステ
ンレス溶銑の脱硫反応を促進するための方法を開発し、
特許出願した(特願平8−79445号、特願平8−3
35887号)。
【0005】上記したランスパイプは、吹込ガスが通過
する通路をもつ芯金パイプと、芯金パイプの外周面を被
覆する耐火キャスタブル材料で形成されたキャスタブル
被覆層とを有する。上記したステンレス溶銑の取鍋脱硫
方法によれば、前記したように、取鍋内のステンレス溶
銑へのガス攪拌により、ステンレス溶銑における脱硫反
応が促進され、石灰等の脱硫剤の使用量の削減を図り
得、ひいてはスラグ量の低減を図り得る。さらにはスラ
グ量低減による溶解電力の削減等を図り得る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ステン
レス溶銑を溶製する場合の脱硫用のスラグの組成は一般
的にはCaO、SiO2の他にCaF2を主要成分とする
ものであることから、ステンレス溶銑を脱硫処理する際
に使用するランスパイプのキャスタブル被覆層は、スラ
グと接触するスラグラインでの溶損が非常に厳しい。
【0007】このため、ランスパイプの耐用回数、寿命
が必ずしも充分ではなかった。故に脱硫コストにおいて
ランスパイプのコストが占める割合が大きく、これが取
鍋脱硫処理方法のデメリットであった。またランスパイ
プの寿命が短いことから、ランスパイプによる攪拌時間
を延長するにも制約があった。
【0008】そこで本発明者はこのランスパイプが占め
る脱硫コストを低減することが、上記したステンレス溶
銑の取鍋脱硫処理法の効果向上につながる点に着目し
た。
【0009】前記したようにCaF2の割合が高い、例
えば5〜20%と高いステンレス用スラグが脱硫用スラ
グとして用いられる場合には、ランスパイプのキャスタ
ブル被覆層を構成するアルミナやシリカ等の耐火材料を
非常に浸食しやすく、溶損量が大きい。このため、アル
ミナやシリカ等で形成された材質では耐用回数が落ち、
ランスパイプのコストアップとなる。
【0010】脱硫処理用のランスパイプのキャスタブル
被覆層の材質をマグネシアとすることも考えられる。こ
の場合にはスラグの主要成分が浸食性を有するCaF2
であっても、良好な耐食性が得られるが、ステンレス溶
銑への浸漬による高温加熱−冷却の繰り返しサイクルが
施されると、熱衝撃により亀裂が生成し易く、耐スポー
リング性が充分ではない。亀裂がキャスタブル被覆層に
発生すると、そこへ溶銑が差し込み、ひいては芯金パイ
プの穴あきに進展し、ガスや吹込粉体がもれ、ランスパ
イプの所定の目的が果たせなくなる。
【0011】本発明は上記した実情に鑑みてなされたも
のであり、脱硫用のスラグの主要成分がCaF2 であっ
ても、キャスタブル被覆層の長寿命化を図ることがで
き、耐用回数を増加できるステンレス溶銑の脱硫処理用
ランスパイプ、及び、ステンレス溶銑の取鍋脱硫処理方
法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ステンレ
ス溶銑を脱硫するスラグの主要成分がCaF2 であると
き、脱硫処理に使用するステンレス溶銑の脱硫処理用ラ
ンスパイプのキャスタブル被覆層の材質について鋭意開
発を進めている。そして、CaF2に対して良好な耐食
性をもつものの耐スポーリング性が必ずしも充分ではな
いマグネシア系をキャスタブル被覆層として積極的には
用いない着想の元に、開発を進めた。
【0013】そして、ステンレス溶銑の脱硫処理用ラン
スパイプを構成するキャスタブル被覆層を、MgOを積
極的には含まないAl23−SiO2−ZrO2の三元系
とし、ZrO2が1〜10重量%、Al23が50〜8
5重量%、SiO2が10〜30重量%含まれている組
成とすれば、ステンレス溶銑を脱硫するスラグの主要成
分がCaF2 であるときであっても、脱硫処理用ランス
パイプを構成するキャスタブル被覆層の耐溶損性、耐ス
ポーリング性を向上することでき、よって脱硫処理用ラ
ンスパイプの長寿命化を図ることができ、脱硫処理用ラ
ンスパイプの耐用回数を増加できることを知見し、本発
明に係るステンレス溶銑の脱硫処理用ランスパイプ、及
び、ステンレス溶銑の取鍋脱硫処理方法を開発した。
【0014】即ち、本発明に係るステンレス溶銑の脱硫
処理用ランスパイプは、溶解炉で溶製したステンレス溶
銑を取鍋内に排出し、スラグ存在の状態で取鍋内のステ
ンレス溶銑に不活性ガスを吹き込んでステンレス溶銑を
攪拌しつつ取鍋内で脱硫処理する脱硫処理用ランスパイ
プであって、吹込ガスが通過する通路をもつ芯金パイプ
と、芯金パイプの外周面を被覆する耐火キャスタブル材
料で形成されたキャスタブル被覆層とを有し、キャスタ
ブル被覆層のうち少なくともステンレス溶銑に浸漬され
る浸漬部は、Al23−SiO2−ZrO2の三元系であ
り、ZrO2が1〜10重量%、Al23が50〜85
重量%、SiO2が10〜30重量%含まれている組成
を有することを特徴とするものである。
【0015】また、本発明に係るステンレス溶銑の取鍋
脱硫処理方法は、電気炉等の溶解炉で溶製したステンレ
ス溶銑を取鍋に排出し、CaO、SiO2、CaF2を主
要成分とするスラグの存在の状態で取鍋内のステンレス
溶銑に浸漬したランスパイプにより不活性ガスを吹き込
んでステンレス溶銑を攪拌しつつ、取鍋内で脱硫処理す
るステンレス溶銑の取鍋脱硫処理方法であって、ランス
パイプは、吹込ガスが通過する通路をもつ芯金パイプ
と、芯金パイプの外周面を被覆する耐火キャスタブル材
料で形成されたキャスタブル被覆層とを有し、キャスタ
ブル被覆層のうち少なくともステンレス溶銑に浸漬され
る浸漬部は、Al23−SiO2−ZrO2の三元系であ
り、ZrO2が1〜10重量%、Al23が50〜85
重量%、SiO2が10〜30重量%含まれている組成
を有することを特徴とするものである。
【0016】本発明によれば、脱硫処理の際には、取鍋
内のステンレス溶銑の湯面には、CaO、SiO2の他
にCaF2を主要成分とする脱硫用のスラグが浮遊す
る。この脱硫用のスラグを介してステンレス溶銑の脱硫
処理が行われる。
【0017】本発明によれば、脱硫の際には、ランスパ
イプの先端側である浸漬部は、取鍋内のステンレス溶銑
およびスラグ中に浸漬される。このようにランスパイプ
が浸漬された状態で、ランスパイプの芯金パイプの通路
から取鍋内のステンレス溶銑中にガスが吹き込まれ、取
鍋内のステンレス溶銑の攪拌が行われる。これによりス
ラグを利用した脱硫処理が促進される。ガスとしては、
一般的には、窒素、アルゴンガス等の不活性ガスが用い
られる。
【0018】本発明によれば、ランスパイプを構成する
キャスタブル被覆層の少なくとも浸漬部は、前記したよ
うに、Al23−SiO2−ZrO2の三元系であり、Z
rO 2 が1〜10重量%、Al23が50〜85重量
%、SiO2が10〜30重量%の組成を有する。この
ため後述する試験で示すように、耐溶損性、耐スポーリ
ング性が良好となる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係る脱硫処理用ランスパ
イプによれば、前述したように、キャスタブル被覆層の
うち少なくともステンレス溶銑に浸漬される浸漬部は、
MgOを積極的には含まないAl23−SiO2−Zr
2の三元系である。
【0020】浸漬部を100重量%としたとき、浸漬部
は、ZrO2 の割合は1〜10重量%であり、なかでも
3〜8重量%、4〜7重量%にできる。耐溶損性の向
上、耐スポーリング性の向上を考慮したものである。
【0021】Al23の割合は50〜85重量%、なか
でも60〜80重量%、65〜75重量%にできる。A
23が前記下限値よりも少ないと、溶損量が大きくな
る傾向がある。Al23が前記上限値よりも多いと、耐
スポーリング性が低下し、亀裂が生成し易くなる傾向が
ある。
【0022】SiO2の割合は10〜30重量%であ
り、なかでも15〜35重量%、20〜30重量%にで
きる。SiO2が前記下限値よりも少ないと、アルミナ
の割合が相対的に増加するため、スポーリング抵抗が小
さくなり、耐スポーリング性が低下する傾向がある。S
iO2が前記上限値よりも多いと、溶損量が大きくなる
傾向がある。
【0023】キャスタブル被覆層のバインダ−としてア
ルミナセメント等のセメントを使用することができる
が、場合によってはローセメントタイプあるいはノンセ
メントタイプでも良い。
【0024】脱硫処理の対象とするステンレス溶銑は、
Cr及びNiを含有する溶銑であり、一般的には、C
r:5〜25%、Ni:0〜25%、Si:0.1〜
0.8%、C:2〜6%、残部実質的にFe及び不可避
不純物を含む組成を有する溶銑である。
【0025】脱硫処理の際には、取鍋内のステンレス溶
銑の湯面には、CaO、SiO2、CaF2を主要成分と
する脱硫用のスラグが浮遊する。この脱硫用のスラグを
介してステンレス溶銑の脱硫処理が行われる。スラグの
塩基度(CaO/SiO2)は一般的には1.3〜2.
5、または、1.5〜2.2にすることができる。
【0026】なお、脱硫処理用ランスパイプのキャスタ
ブル被覆層の浸漬部を構成するZrO2 の起源となる含
有材料としては、バッデライト(ZrO2)、ジルコニ
ア・ムライト(ZrO2・Al23・SiO2)、アルミナ
−ジルコニア(Al23・ZrO2 )、ジルコン(Zr
2・SiO2)、アルミナ−ジルコン(Al23・Zr
2・SiO2)などがあげられ、特に限定されない。ま
た、残部のAl23、SiO2の起源となる含有材料も
特に限定されない。
【0027】
【実施例】本発明の実施例についてラボ試験と実機試験
に分けて説明する。
【0028】(ラボ試験)このランスパイプは、吹込ガ
スが通過する通路をもつ芯金パイプと、芯金パイプの外
周面を被覆する耐火キャスタブル材料で形成されたキャ
スタブル被覆層とを有する。キャスタブル被覆層の全体
は、表1に示すように、Al23−SiO 2−ZrO2
三元系であり、キャスタブル被覆層の全体を100重量
%としたとき、ZrO2が1〜10重量%に設定されて
おり、残部が不可避不純物とAl2 3、SiO2からな
る組成を有する。具体的には、本実施例に係るキャスタ
ブル被覆層の全体は、表1に示すように、ZrO2が5
重量%、Al23が73重量%、SiO2が20重量%
含まれている組成をもつ。本実施例に係るキャスタブル
被覆層にはMgOは積極的には含まれていない。MgO
が含まれていると、CaF2による浸食に対しては有効
であるものの、耐スポーリング性が低下する傾向があ
り、キャスタブル被覆層に亀裂が生成する度合が高くな
るためである。
【0029】キャスタブル被覆層を構成する耐火材料の
気孔率について、110℃で24時間加熱したとき、1
000℃で3時間加熱したとき、1500℃で3時間加
熱したときの値を測定した(JIS−R2205)。同
耐火材料の嵩比重について、110℃で24時間加熱し
たとき、1000℃で3時間加熱したとき、1500℃
で3時間加熱したときの値を測定した(JIS−R22
05)。同耐火材料の圧縮強さについて、110℃で2
4時間加熱したとき、1000℃で3時間加熱したと
き、1500℃で3時間加熱したときの値を測定した
(JIS−R2206)。同耐火材料の線変化率につい
て、1000℃で3時間加熱して常温に戻したとき、1
500℃で3時間加熱して常温に戻したときの値を測定
した(JIS−R2208)。各測定結果を表1に示
す。
【0030】
【表1】
【0031】更に比較例1〜比較例3に係る試験片を用
意した。比較例1〜比較例3に係るキャスタブル被覆層
の耐火材料についても、実施例と同様に測定を行ない、
その測定結果を表1に示す。表1に示すように、比較例
1に係るキャスタブル被覆層は、Al23−MgO−S
iO2−C系であり、Al23が84重量%、MgOが
5重量%、SiO2が5重量%、Cが4重量%含まれて
いる組成とされている。比較例2に係るキャスタブル被
覆層は、Al23−SiO2系であり、Al2 3が65
重量%、SiO2が33重量%含まれている組成とされ
ている。比較例3に係るキャスタブル被覆層は、Al2
3−SiO2系であり、Al23が90重量%、SiO
2が9重量%含まれている組成とされている。なお10
0重量%に足らない分は実質的にバインダ分である。
【0032】ラボ試験において、実施例に係るランスパ
イプ、比較例1〜3に係るランスパイプについての溶損
試験、電気炉スポーリング試験を行った。溶損試験は次
のようにして行った。
【0033】 溶損試験の条件…試験方法:回転浸食法 ステンレス溶銑の温度:1650℃ 試験時間:5時間 脱硫用スラグ:CaO−SiO2 −CaF2 系のスラグ (CaO/SiO2=スラグ塩基度:2.0) 電気炉スポーリング試験の条件…温度:1400℃ サイクル:加熱15分間 強制空冷15分間 を1サイクル サイクル数:5サイクル 図1はラボ試験における溶損試験、電気炉スポーリング
試験の結果を示す。スポーリング指数は比較例1を10
0とした。図1に示すように、実施例では溶損量は6.
6mmと少な目であり、スポーリング指数は60と少な
目であった。即ち、Al23−SiO2−ZrO2の三元
系である実施例では、耐溶損性及び耐スポーリング性の
双方について良好であった。
【0034】これに対してAl23−MgO−SiO2
−C系である比較例1では溶損量は19.6mmとかな
り多く、スポーリング指数は100であり、耐溶損性及
び耐スポーリング性の双方共に充分ではなかった。ま
た、Al23−SiO2系である比較例2では溶損量が
22.4mmと最も多く、スポーリング指数も85とか
なり大きく、耐溶損性及び耐スポーリング性の双方が充
分ではなかった。また、Al23−SiO2系である比
較例3では溶損量は3.6mmと少なかったものの、ス
ポーリング指数が70と大きめであった。つまり比較例
3では、耐溶損性は良好であったものの、耐スポーリン
グ性が充分ではなかった。
【0035】(実機試験)更に実機試験について説明を
加える。実機試験では、電気アーク炉(90トン用)で
ステンレス溶銑を実際に溶製した。溶製の際には脱硫剤
が添加されている。溶製したステンレス溶銑(温度:1
350〜1400℃)をスラグとともに取鍋内に排出
し、収容した。ステンレス溶銑は、Cr:5〜25%、
Ni:0〜25%、Si:0.1〜0.8%、C:2〜
6%、残部は実質的にFe及び不可避不純物を含む組成
をもつ。
【0036】ステンレス溶銑の湯面に浮かんでいるスラ
グは、CaO−SiO2−CaF2系を主成分とするもの
であり、目標スラグ塩基度(CaO/SiO2)は2.
0とした。
【0037】そしてステンレス溶銑の脱硫処理を取鍋内
で実施した。このとき本実施例に係るランスパイプの先
端部をステンレス溶銑及びスラグに浸漬させた状態で、
ランスパイプから不活性ガス(窒素ガス)を吹き込み、
ステンレス溶銑の攪拌処理を行ない、ステンレス溶銑の
脱硫処理を促進させた。そしてランスパイプの耐用回数
を調べた。なおガス吹込流量は800〜1100NL/
分とした。
【0038】実機試験で用いたランスパイプは、前述し
たように、吹込ガスが通過する通路をもつ芯金パイプ
と、芯金パイプの外周面を被覆する耐火キャスタブル材
料で形成されたキャスタブル被覆層とを有する。キャス
タブル被覆層の全体組成は表1の実施例に示す組成に基
づいた。
【0039】比較例1〜比較例3に係るランスパイプに
ついても、同様に実機試験を行った。実機試験の結果を
表2に示す。表2においてn数は平均値を採るための試
験回数を意味し、平均耐用回数はその試験回数における
耐用チャージを意味する。
【0040】表2に示すように、実施例では平均耐用回
数は40回であり、耐用回数が多かった。即ち、Al2
3−SiO2−ZrO2系の組成をもつ実施例では、亀
裂の発生も抑えられ、CaF2 を多量に含む浸食性が高
いスラグであっても、ランスパイプのキャスタブル被覆
層の溶損が少なかった。
【0041】これに対して比較例1では耐食性は良好で
あったが、平均耐用回数は27回であり、ランスパイプ
の寿命は実施例の寿命の約68%であり短かかった。こ
の比較例1では、加熱・冷却の熱サイクルの繰り返しに
伴う亀裂の発生、進展が認められ、キャスタブル被覆層
が胴体部から脱落し、ランスパイプの寿命に大きなばら
つきがあった。
【0042】比較例2ではランスパイプの耐用回数は2
5回であり、同様にランスパイプの寿命が短かった。比
較例3では耐用回数は28回であり、同様に寿命が短か
った。即ち、Al23−SiO2系の比較例2では、キ
ャスタブル被覆層における亀裂の発生は少なかったが、
キャスタブル被覆層におけるスラグラインでの溶損が顕
著であり、この部分がランスパイプの耐用を律速する結
果となった。また比較例3では、スラグライン部での溶
損は少ないものの、キャスタブル被覆層の剥離が廃却原
因となった。特にCaF2 を多量に含む(例えば5〜2
0重量%)スラグを用いた場合には、溶損傾向が著しか
った。
【0043】
【表2】
【0044】なお上記したラボ試験及び実機試験によれ
ば、ZrO2は5重量%であるが、1〜10重量%の範
囲内としたAl23−SiO2−ZrO2の三元系の組成
であれば、ランスパイプの耐用回数を増加できるもので
あることが確認されている。即ち、Al23−SiO2
−ZrO2の三元系の組成において、ZrO2が2重量
%、ZrO2が4重量%、ZrO2が6重量%、ZrO2
が8重量%であっても、耐溶損性、耐スポーリング性が
改善されるものである。
【0045】(適用例)図2は適用例を示す。図2に示
すように、このランスパイプ10は、吹込ガスが通過す
る通路21をもつ芯金パイプ20と、芯金パイプ20の
外周面を被覆する耐火キャスタブル材料で形成されたキ
ャスタブル被覆層30とを有する。通路21は、不活性
ガスを供給するガス供給源40に繋がっている。キャス
タブル被覆層30の全体は、表1に示すように、Al2
3−SiO2 −ZrO2 の三元系であり、上記した表
1に示す実施例の組成とされている。そして使用の際に
は、図3に示すように、取鍋50内に収容されたステン
レス溶銑51の湯面にスラグ52を浮遊させて脱硫処理
を行いつつ、この状態で、ランスパイプ10を先端側か
ら浸漬させ、芯金パイプ20の通路21から不活性ガス
を吹き込むことにしている。これによれば、電気炉等の
溶解炉にて調合、溶融したステンレス溶銑の脱硫処理に
おいてランスパイプ10によるガス攪拌を実施している
ため、脱硫処理が促進され、脱硫剤の使用量が低減さ
れ、ステンレス鋼の製造プロセス全体から出るスラグの
発生量を大幅に低減することができる。
【0046】(付記)本明細書及び図面から次の技術的
思想も把握できる。 (付記項1)請求項1または2において、キャスタブル
被覆層のうち少なくともステンレス溶銑に浸漬される浸
漬部は、MgOを含まないAl23−SiO2−ZrO2
の三元系であり、ZrO2 が1〜10重量%、Al2
3 が50〜85重量%、SiO2 が10〜30重量%含
まれている組成を有することを特徴とするステンレス溶
銑の脱硫処理用ランスパイプ、及び、ステンレス溶銑の
取鍋脱硫処理方法。 (付記項2)請求項1または2において、ステンレス溶
銑は、Cr:5〜25%、Ni:0〜25%、Si:
0.1〜0.8%、C:2〜6%、残部実質的にFe及
び不可避不純物を含む組成を有することを特徴とするス
テンレス溶銑の脱硫処理用ランスパイプ、及び、ステン
レス溶銑の脱硫処理方法。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、ステンレス溶銑の脱硫
処理用ランスパイプの長寿命化を図ることができ、ラン
スパイプの耐用回数を増加できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶損試験及び電気炉スポーリング試験の結果を
示す写真である。
【図2】適用例に係り、ランスパイプの断面図である。
【図3】適用例に係り、使用状態を説明する概念図であ
る。
【符号の説明】
図中、10はランスパイプ、21は通路、20は芯金パ
イプ、30はキャスタブル被覆層を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 賢一 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社周南製鋼所内 Fターム(参考) 4K013 AA02 BA05 CA04 CA12 CA17 CA18 CC04 CF13 DA05 DA13 4K014 AA02 AC08 AC11 AC16 AD23 AD27

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶解炉で溶製したステンレス溶銑を取鍋内
    に排出し、スラグ存在の状態で取鍋内のステンレス溶銑
    に不活性ガスを吹き込んでステンレス溶銑を攪拌しつつ
    取鍋内で脱硫処理する脱硫処理用ランスパイプであっ
    て、 吹込ガスが通過する通路をもつ芯金パイプと、前記芯金
    パイプの外周面を被覆する耐火キャスタブル材料で形成
    されたキャスタブル被覆層とを有し、 前記キャスタブル被覆層のうち少なくともステンレス溶
    銑に浸漬される浸漬部は、 Al23−SiO2−ZrO2の三元系であり、ZrO2
    が1〜10重量%、Al23が50〜85重量%、Si
    2が10〜30重量%含まれている組成を有すること
    を特徴とするステンレス溶銑の脱硫処理用ランスパイ
    プ。
  2. 【請求項2】電気炉等の溶解炉で溶製したステンレス溶
    銑を取鍋に排出し、CaO、SiO2、CaF2を主要成
    分とするスラグの存在の状態で取鍋内のステンレス溶銑
    に浸漬したランスパイプにより不活性ガスを吹き込んで
    ステンレス溶銑を攪拌しつつ、取鍋内で脱硫処理するス
    テンレス溶銑の取鍋脱硫処理方法であって、 前記ランスパイプは、吹込ガスが通過する通路をもつ芯
    金パイプと、前記芯金パイプの外周面を被覆する耐火キ
    ャスタブル材料で形成されたキャスタブル被覆層とを有
    し、 前記キャスタブル被覆層のうち少なくともステンレス溶
    銑に浸漬される浸漬部は、Al23−SiO2−ZrO2
    の三元系であり、ZrO2が1〜10重量%、Al23
    が50〜85重量%、SiO2が10〜30重量%含ま
    れている組成を有することを特徴とするステンレス溶銑
    の取鍋脱硫処理方法。
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