JP2001329085A - 香気徐放性に優れた木質粉体及びそれを含有する樹脂成形体 - Google Patents
香気徐放性に優れた木質粉体及びそれを含有する樹脂成形体Info
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Abstract
損失が防止されると共に、成形後の樹脂成形体からの香
気成分の放出が徐々に行われる木質粉体を提供するにあ
る。 【解決手段】 香気成分を有する木粉をコアとし、セル
ロース誘導体の香気徐放性表面処理膜をシェルとしたこ
とを特徴とする香気徐放性に優れた木質粉体。
Description
た木質粉体及びそれを用いた樹脂成形体に関するもの
で、より詳細には、木粉が有する香気が、木粉と樹脂と
の混練後にも保持されると共に、木粉配合樹脂成形体か
ら徐々に放出されるような木質粉体及び木質粉体配合樹
脂成形体に関するものである。
物は古くから種々提案されている。例えば、特公昭62
−41612号公報には、低酢酸ビニル含有量の塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、液状可塑剤、高酢酸ビ
ニル含有量の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、木
粉及び安定剤よりなる混合物を押出法によってシート状
に成形し、扁平状に延伸された気泡を内蔵せしめてなる
木粉を高充填した塩化ビニル樹脂系組成物が記載されて
いる。
ニル成分を主体とし、エチレン成分を2〜20重量%含
む塩化ビニル系共重合体100重量部と木質粉末10〜
175重量部を含み、該木質粉末が、上記塩化ビニル系
共重合体用安定剤及び/または熱分解型発泡剤と予め予
備混合されたものであることを特徴とする発泡用樹脂組
成物が記載されている。
(A)塩化ビニル系樹脂100重量部、(B)メチルメ
タクリレート単位を60重量%以上含有し、共重合体の
ガラス転移点が50〜90℃で、かつ比粘度が1.5〜
4.0であるメチルメタクリレート系共重合体7〜30
重量部、(C)熱分解型発泡剤0.1〜3.0重量部、
及び(D)平均粒径50〜500μmの木粉5〜150
重量部を配合して成る塩化ビニル系樹脂組成物が記載さ
れている。
脂に木粉を配合した例としては、特開平9−40878
号公報に記載された熱可塑性樹脂組成物が知られてお
り、スチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂20〜95重量%
及び木粉5〜80重量%の合計100重量部に対して、
少なくとも1種の官能基を有する平均分子量300〜1
0000の化合物または重合体1〜40重量部を配合し
たものが用いられている。
として、香気成分をそのまま、或いはマイクロカプセル
化して、樹脂に配合することや、香気成分をゼオライト
やクリストバライトなどの多孔性無機担体に吸着させた
ものやサイクロデキストリンに包接させたものを樹脂に
配合することも広く行われている。
性樹脂に木粉を配合する従来の技術は、樹脂成形体の表
面に木材に似た外観特性や風合い乃至感触を付与するこ
とを目的としたものであり、樹脂に特有の香気を付与す
るまでには至っていない。実際に、香りの強いヒバ、ヒ
ノキ、スギ材等の木粉を樹脂に混練し、成形すると、木
材に含まれる香気成分は、樹脂の成形温度に比して揮発
温度の低い成分を多く含んでいるため、容易に揮発し
て、香気成分が失われてしまう。
する場合には、やはり加熱成形時に香気成分の揮発が生
じ、またマイクロカプセル化したものを配合した場合に
も、加熱混練時にカプセル壁が破壊されて、成分が揮発
により失われるのである。更に、多孔性無機担体に担持
させ或いはデキストリンに包接させたものでも、加熱に
より吸着力が低下するため、香気成分の揮発による消失
は避けられない。
の際も香気成分の揮発による損失が防止されると共に、
成形後の樹脂成形体からの香気成分の放出が徐々に行わ
れる木質粉体を提供するにある。本発明の他の目的は、
樹脂に配合したとき、上記の香気徐放性に加えて、木材
に似た外観特性、風合い及び感触を付与することのでき
る木質粉体及びそれを用いた樹脂成形体を提供するにあ
る。
分を有する木粉をコアとし、セルロース誘導体の香気徐
放性表面処理膜をシェルとしたことを特徴とする香気徐
放性に優れた木質粉体が提供される。本発明の木質粉体
においては、 1.木粉がヒバ、ヒノキ、或いはスギ材であること、 2.セルロース誘導体がセルロースエーテル誘導体或い
はセルロースエステル誘導体であること、 3.前記木粉コア100重量部当たりセルロースエーテ
ル誘導体が1乃至5重量部の量で存在すること、 4.前記木粉コア100重量部当たりセルロースエステ
ル誘導体が1乃至3重量部の量で存在すること、 5.表面処理膜の形成が乾燥された木粉にセルロース誘
導体の溶液を攪拌下に添加し、溶媒を蒸発させることに
より得られたものであること、が好ましい。本発明によ
ればまた、上記木質粉体100重量部に対して、熱可塑
性樹脂15乃至600重量部、特に45乃至250重量
部を含有してなる樹脂組成物を成形してなることを特徴
とする樹脂成形体が提供される。本発明に用いる熱可塑
性樹脂は、特に限定されないが、エチレン系重合体或い
はスチレン系重合体であることが好ましい。
気成分を有する木粉を、セルロース誘導体で表面処理
し、表面に香気徐放性の被膜を形成させたことが特徴で
あり、これにより樹脂との混練成形時における香気成分
の揮散を防止し、樹脂成形体に香気成分の徐放性を付与
することができる。
00重量部を、ABS樹脂40重量部或いはエチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)40重量部に配合して、
溶融混練、成形を行った樹脂成形体では、成形1日後の
香りの強さが非常に弱い或いは弱いであり、成形15日
後には全て非常に弱いになる(後述する比較例1及び2
参照)のに対して、本発明に従い、ヒバの木粉をセルロ
ース誘導体で表面処理したものでは、上記と同様に樹脂
に配合して、溶融混練、成形を行った場合、この樹脂成
形体では、成形1日後の香りの強さが非常に強い乃至普
通であり、成形30日後にも尚強い乃至普通を維持する
のであって(後述する実施例1乃至8参照)、樹脂との
混練、成形時に香気成分の揮散がなく、しかも香気成分
の徐放性に優れているという事実が明らかとなる。上記
官能試験の結果は、ガスクロマトグラフィー等で測定し
た香気成分の分析値ともよく対応しており、ヒバの木粉
をセルロース誘導体で表面処理したものでは、樹脂に配
合して、溶融混練、成形を行った樹脂成形体では、成形
15日後に発散される香気成分の濃度が、未処理のもの
を配合したものに比して、2乃至2.7倍に達すること
も確認されている。
め、これを何らかの材料で表面処理することはよく行わ
れている。本発明では、この表面処理剤としてセルロー
ス誘導体を選択し、これを香気成分を有する木粉に対し
て、香気徐放性表面処理膜として組み合わせたことが特
徴である。セルロース誘導体は、分子鎖内に多数の水酸
基を有し、従って、形成されるセルロース誘導体の被覆
では分子鎖間に水素結合が形成され、香気成分の透過に
対して強いバリアー性を示す。また、セルロース誘導体
は、上記の水素結合の故に高融点乃至難溶融性であり、
そのため、樹脂に配合し、溶融混練した場合にも、表面
処理膜が溶融することなく、固体の被膜の状態に保持さ
れるという利点がある。このため、本発明の木質粉体で
は、木粉中の香気成分が、樹脂の溶融混練及び成形中に
外部に逸散するという不都合が解消されるものである。
を、香気徐放性表面処理膜として施すことも香気徐放性
の点で重要である。即ち、この表面処理膜の厚みがあま
り大きすぎる場合には、香気成分が表面処理膜内に閉じ
込められる結果として、香気成分の徐放性が得られな
い。
は、セルロース誘導体の種類によっても相違するが、具
体的には、セルロースエーテル誘導体では前記木粉コア
100重量部当たり1乃至5重量部の量で存在し、セル
ロースエステル誘導体では前記木粉コア100重量部当
たり1乃至3重量部の量で存在するのが好ましい。セル
ロース誘導体の被覆量が上記範囲を下回ると、樹脂の溶
融混練及び成形時に木粉中の香気成分が逸散する傾向が
あるので好ましくなく、セルロース誘導体の被覆量が上
記範囲を上回ると、木粉中の香気成分が被覆内に閉じ込
められ、香気成分の徐放性が得られないのでやはり好ま
しくない。
有するものは全て使用できるが、代表的なものとして、
ヒバ、ヒノキ、スギを挙げることができる。
燥された木粉にセルロース誘導体の溶液を攪拌下に添加
し、溶媒を蒸発させることにより得られるので、処理操
作が簡単であり、処理コストも低くて済むという利点が
ある。
部に対して熱可塑性樹脂を15乃至600重量部、特に
45乃至250重量部配合し、この樹脂組成物を成形す
ることにより、香気成分の徐放性を有する樹脂成形体を
製造することができる。この樹脂成形体では、多量の木
質粉体を含有しているため、優れた香気性を有すると共
に、木材に似た外観、風合い、感触が得られるという利
点をも有している。本発明に用いる熱可塑性樹脂は、特
に限定されないが、エチレン系重合体或いはスチレン系
重合体であることが好ましい。
気成分を含有する木材の粉末は何れも使用可能であり、
これに限定されないが、例えばヒバ、ヒノキ、スギなど
が有利に使用される。木粉の粒度は、特に制限されない
が、或る程度の大きさを有することが香気成分の徐放性
の点で有利であり、一般に10乃至2000μm、特に
50乃至500μmの粒径を有することが好ましい。
るし、間伐材或いは廃材を用いることもでき、また、製
材の際副生する鋸屑、鉋屑等もボールミル粉砕等で粉末
化して使用できる。
り、一般に含有水分率が30重量%以下、特に15重量
%以下であることが望ましい。水分量が多いと、樹脂と
溶融混練する際に水蒸気による発泡の問題や被覆の破れ
などの問題を発生するので好ましくない。
は、セルロースエーテル誘導体やセルロースエステル誘
導体などの溶媒に可溶な誘導体が特に適している。セル
ロースエーテル誘導体としては、メチルセルロース、エ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロースなど挙げられ、セルロースエス
テル誘導体としては、アセチルセルロース、アセチルブ
チルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニ
トロセルロースなどが挙げられる。
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロースなどは水溶性であり、水溶液の形で木粉の
表面処理に用いることができる。また、その他の誘導体
も、アセトン、エタノール、エーテル、ジオキサン、テ
トラヒドロフラン、ジメチルフォルムアミドなどの極性
有機溶媒に可溶であり、有機溶媒溶液の形で木粉の表面
処理に用いることができる。
の形成は、乾燥された木粉にセルロース誘導体の溶液を
攪拌下に添加し、溶媒を蒸発させることにより行われ
る。この表面処理は、香気成分の徐放性が得られるよう
に行うべきであり、処理に用いるセルロース誘導体の量
は、セルロースエーテル誘導体では前記木粉コア100
重量部当たり1乃至5重量部の量で存在し、セルロース
エステル誘導体では前記木粉コア100重量部当たり1
乃至3重量部の量で存在するのがよい。
一に薄膜を形成させるという見地からは、或る程度稀薄
な溶液であることが好ましいが、あまりにも希薄である
場合には溶剤の乾燥に時間を必要とするので、一般に
0.5乃至5重量%程度の濃度の溶液であることが好ま
しい。
合する樹脂として、熱可塑性樹脂を用いる。例えば、メ
ラミン樹脂や、尿素樹脂などの熱硬化性樹脂を用いたの
では、香気成分を樹脂内に閉じ込めてしまうため、香気
成分の徐放性を達成することができない。
温度で熱成形可能なものが溶融混練及び成形時における
香気成分の逸散を防止するために好適であり、また香気
成分の徐放性の点では香気成分に対して或る程度の透過
性を有していることが好適である。熱可塑性樹脂の熱成
形温度は、一般に90乃至220℃、特に120乃至1
80℃の範囲にあることが好ましい。
レン系重合体やスチレン系重合体を挙げることができ
る。
ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MD
PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度
ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレ
ン(LULDPE)、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチル
−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテ
ン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオ
ン架橋エチレン共重合体(アイオノマー)、エチレン−
アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アク
リル酸共重合体等が挙げられる。これらのエチレン系重
合体のメルトフローレート(JIS K7210)は、
1乃至100g/10分の範囲にあることが望ましい。
チレン(PS)をアクリロニトリル(AN)で共重合変
性したAS樹脂、AS樹脂中にポリブタジエンのような
ゴムを分散させたABS樹脂、ポリブタジエンに代えて
エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EPDM)を用い
たA/EPDM/S樹脂、アクリル系ゴムを用いたAS
A樹脂などが挙げられる。これらのスチレン系重合体の
メルトフローレート(JIS K7210)は、1乃至
70g/10分の範囲にあることが望ましい。
て、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合
体(ABS)を挙げることができる。ABS樹脂は、そ
れ自体成形性、耐衝撃性、剛性、引張強度、光沢等の諸
特性に優れた汎用樹脂であると共に、木粉高充填発泡樹
脂成形体の用途に特に適している。ABS樹脂は、AN
含有量が一般に20乃至40重量%、特に25乃至35
重量%、及びポリブタジエンの含有量は、一般に5乃至
70重量%、特に10乃至30重量%の範囲にあるのも
のが入手容易である。AS樹脂では、AN含有量の増大
に伴って、耐薬品性が向上し、他に剛性、引張強度、荷
重撓み温度、表面硬度、バリアー性、耐光性が向上し、
逆に流動性、熱安定性が低下する。したがって、要求さ
れる特性に応じて、所定のAN含有量のものを選択し、
用いることができる。このABS樹脂においては、AS
樹脂の連続相中にポリブタジエンの粒子が分散層として
分散した構造を有し、粒子径は微細であって、一般に
0.1乃至0.9μmの範囲にある。ABS樹脂のグレ
ードには、光沢グレード、良流動グレード、押出グレー
ド、超耐熱グレード、ブローグレードなどの各種のもの
が知られており、目的に応じてこれらのグレードのもの
を選択使用することができる。一般に、メルトフローレ
ート(JIS K7210)は1〜70g/10分の範
囲にあるものが使用される。
対して、熱可塑性樹脂15乃至600重量部、特に45
乃至250重量部配合する。熱可塑性樹脂の配合量が上
記範囲を下回ると樹脂成形品の強度が低下したり、外観
的特性が低下するので好ましくなく、一方熱可塑性樹脂
の配合量が上記範囲を上回ると香気性が不十分であり、
また木材調の外観が失われるので好ましくない。
剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止
剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケ
ンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、発泡剤、
アクリル系加工助剤等の公知の樹脂配合剤を、それ自体
公知の処方に従って配合できる。
脂、或いは更に各種配合剤分を配合し、この樹脂組成物
を溶融成形することにより、各種成形体を製造する。樹
脂組成物の調製は、それ自体公知の手段、例えばドライ
ブレンドやメルトブレンド方式で行うことができる。例
えば、各成分の混合を、ブレンダー、ヘンシェルミキサ
ー等を用いてドライブレンドで行うこともできるし、一
軸或いは二軸の押出機やバンバリーミキサー、ニーダー
等を用いてメルトブレンドで行うことができる。配合の
順序にも特に制限はなく、全成分を同時にブレンドして
もよく、また成分を多段階にブレンドすることもでき
る。
が、操作が簡単であるため好ましい。押出成形に当たっ
ては、各成分をドライブレンドし、押出機のホッパーに
これを供給する。押出機としては、単軸或いは二軸のス
クリューを備えたそれ自体公知の押出機が使用される。
樹脂組成物は押出機中で機械的に溶融混練され、ダイを
経て空気中へ押し出されることにより、樹脂成形体とな
る。この押出成形では、各成分の混練及び押出が一台の
押出機で行われ、操作が簡単であると共に生産性も高い
という利点を有する。ダイから押出成形される成形体
は、必要により、これをサイジングダイを通すことによ
り、寸法及び形状を安定化させることができる。
樹脂の温度(シリンダー温度)は、樹脂の種類や配合比
によっても相違するが、一般的にいって90乃至220
℃、特に120乃至180℃の範囲にあるのがよい。
形状に合わせて任意の成形用ダイを用いることができ、
例えばやシートやパネルの成形の場合には、Tダイが使
用され、異形断面成形品の場合には、対応する断面形状
の異形断面ダイが使用される。勿論、リングダイを用い
て、パイプ状の発泡成形品を製造することもできる。
脂成形体の製造に用いられる他、他の樹脂乃至樹脂組成
物との組合せで、同時押出等による積層体の製造にも用
いることができる。例えば、通常の樹脂からなる芯材の
表面に、木質粉体を配合した樹脂組成物の被覆層を設
け、香気性のある樹脂成形体とすることもできる。芯材
の樹脂は、本発明の木質粉体配合樹脂のそれと同種のも
のであることが最も好ましいが、木質粉体配合樹脂に対
して熱接着性を示す樹脂であれば、同種の樹脂以外の熱
可塑性樹脂も勿論使用可能である。上記の積層成形体
は、芯材となる樹脂組成物を溶融混練する押出機と、木
質粉体配合樹脂被覆層となる樹脂を溶融混練する押出機
と、これらの溶融樹脂流を積層するための多重多層ダイ
とを用い、両溶融樹脂を共押出することにより製造でき
る。
記特性を利用して、種々の建材、例えば床材乃至床仕上
げ材、壁材乃至壁仕上げ材、天井材乃至天井仕上げ材、
閾い、窓枠、サッシュ等、家具などの構造材乃至パネル
材、車両用内装材、OA機器や家電製品の外装材乃至ハ
ウジングなどの分野に有用である。
施例は、説明のためのものであり、いかなる意味におい
ても本発明はこれに限定されるものではない。
香りが強く、粒径が0.4mmのヒバ木粉及び(2)香
りが弱い、粒径が0.4mmのベイツガ木粉を用いた。
表面処理剤としては、下記のものを使用した。 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 松本油脂
(社)製 酢酸セルロース 松本油脂(社)製 コーンスターチ(デンプン) 日本コーンスターチ
(社)製 TEOS(テトラエチルシリケート) 和光純薬(社)
製 ヒバ油含有エマルジョン(マイクロカプセルタイプ)
キセイテック(社)製 除湿乾燥機にて含水率1%未満に乾燥させた木粉をヘン
シェルミキサーで撹拌しながら、上記の表面処理剤を表
1に示す量で添加した。
た。 ABS樹脂 日本A&L(社)製 LDPE 三井化学(社)製 EVA(VA14%) 三井デュポン(社)製 ステアリン酸亜鉛 水沢化学(社)製 木質粉体と上記樹脂及び配合剤とを表1に示す割合で、
常温にてドライブレンド(10分)し、押出機に供給し
て溶融混練し、ダイから押し出して、シート状の成形体
に溶融成形した。シリンダー温度は100〜180℃
で、ダイ温度は150℃で、スクリューのL/Dは25
であった。
分析(MS)で測定した比較例1のヒバ油本来の香気成
分のピーク面積の和を100として、成形15日後の樹
脂成形品に含まれる香気成分の相対値を、下記式から求
めた。 [ヒノキチオールの比較]高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)により測定したピーク面積からg当たりの
ピーク面積を求め、比較例1のピーク面積/gを100
として相対値を求めた。 [香りの強さ]各樹脂成形品について、成形1日後、1
5日後、30日後の香りの強さを官能試験で測定し、下
記の基準で示した。 0:なし 1:非常に弱い 2:弱い 3:普通 4:強い 5:非常に強い
調製し、表1に示す量で木粉に添加し、水分を蒸発させ
て木質粉体を調製した。得られた木質粉体と樹脂及び滑
剤とを表1に示す割合でブレンドし、樹脂成形品を製造
した。得られた結果を表2に示す。
量で木粉に添加し、アセトンを揮発させて木質粉体を調
製した。得られた木質粉体と樹脂及び滑剤とを表1に示
す割合でブレンドし、樹脂成形品を製造した。得られた
結果を表2に示す。
ンドし、樹脂成形品を製造した。得られた結果を表2に
示す。
加し、水分を蒸発させて木質粉体を調製した。得られた
木質粉体と樹脂及び滑剤とを表1に示す割合でブレンド
し、樹脂成形品を製造した。得られた結果を表2に示
す。
を使用して、木粉にSiO2被膜を形成し、乾燥した。
得られた木質粉体と樹脂及び滑剤とを表1に示す割合で
ブレンドし、樹脂成形品を製造した。得られた結果を表
2に示す。
加し、水分を蒸発させて木質粉体を調製した。得られた
木質粉体と樹脂及び滑剤とを表1に示す割合でブレンド
し、樹脂成形品を製造した。得られた結果を表2に示
す。
成したもの(実施例1〜8)では、未処理の木粉を配合
したもの(比較例1〜2)に比して、樹脂成形体中に香
気成分が有効に保持されており、成形後30日後にも尚
香気性が保たれている。木粉にデンプンの表面処理膜を
形成したもの(比較例2)では、樹脂成形体中に香気成
分が有効に保持されていなく、香気性も不十分であっ
た。木粉にシリカの表面処理膜を形成したもの(比較例
4)では、未処理の木粉を配合したもの(比較例1〜
2)に比して、樹脂成形体中に香気成分が有効に保持さ
れているが、香気成分の徐放性は全くなかった。木粉に
セルロース誘導体の表面処理膜を過度に厚く形成したも
の(比較例6〜7)では、未処理の木粉を配合したもの
(比較例1〜2)に比して、樹脂成形体中に香気成分が
有効に保持されているが、香気成分の徐放性は全くなか
った。
て、木粉に対して親和性のあるセルロース誘導体を選択
することにより、木粉表面に強固に被膜を形成すること
ができ、耐熱性を向上させることができる。これによ
り、加熱成形時においても、香気成分が木粉内に有効に
担持され、且つこの被膜が適度なガス透過性を有してい
るため、香気成分の徐放性に優れている。本発明によれ
ばかくして、成形体に香り、抗菌性、防かび性、防虫
性、防蟻性、防腐性などを付与することができる。更
に、木粉に上記被膜を形成することにより、樹脂との相
溶性が向上し、樹脂に多量に配合し、また樹脂との混練
作業性にも優れている。
Claims (8)
- 【請求項1】 香気成分を有する木粉をコアとし、セル
ロース誘導体の香気徐放性表面処理膜をシェルとしたこ
とを特徴とする香気徐放性に優れた木質粉体。 - 【請求項2】 木粉がヒバ、ヒノキ、或いはスギ材であ
ることを特徴とする請求項1に記載の木質粉体。 - 【請求項3】 セルロース誘導体がセルロースエーテル
誘導体或いはセルロースエステル誘導体であることを特
徴とする請求項1または2に記載の木質粉体。 - 【請求項4】 前記木粉コア100重量部当たりセルロ
ースエーテル誘導体が 1乃至5重量部の量で存在する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかにに記載の木
質粉体。 - 【請求項5】 前記木粉コア100重量部当たりセルロ
ースエステル誘導体が 1乃至3重量部の量で存在する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかにに記載の木
質粉体。 - 【請求項6】 表面処理膜の形成が乾燥された木粉にセ
ルロース誘導体の溶液を攪拌下に添加し、溶媒を蒸発さ
せることにより得られたものであることを特徴とする木
質粉体。 - 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載の木質粉
体100重量部に対して熱可塑性樹脂15乃至600重
量部を含有してなる樹脂組成物を成形してなることを特
徴とする樹脂成形体。 - 【請求項8】 熱可塑性樹脂がエチレン系重合体或いは
スチレン系重合体であることを特徴とする請求項7に記
載の樹脂成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000148005A JP4620833B2 (ja) | 2000-05-19 | 2000-05-19 | 香気徐放性に優れた木質粉体及びそれを含有する樹脂成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000148005A JP4620833B2 (ja) | 2000-05-19 | 2000-05-19 | 香気徐放性に優れた木質粉体及びそれを含有する樹脂成形体 |
Publications (2)
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