JP2001328882A - 窯業系建材およびその製造方法 - Google Patents

窯業系建材およびその製造方法

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JP2001328882A
JP2001328882A JP2001068757A JP2001068757A JP2001328882A JP 2001328882 A JP2001328882 A JP 2001328882A JP 2001068757 A JP2001068757 A JP 2001068757A JP 2001068757 A JP2001068757 A JP 2001068757A JP 2001328882 A JP2001328882 A JP 2001328882A
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zirconium
metal
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mol
ceramic
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JP2001068757A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Otsuki
哲也 大槻
Tae Yanagihara
妙 柳原
Yoshiaki Sakashita
好顕 阪下
Terubumi Sato
光史 佐藤
Riichi Nishide
利一 西出
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Nagase and Co Ltd
Teikoku Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nagase and Co Ltd
Teikoku Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れた強度を有し、かつ充分な耐候性を有す
る、窯業系建材およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 窯業系基材の表面に、ジルコニウム成分
とジルコニウム以外の金属成分とを含有する金属酸化物
薄膜を有する窯業系建材であって、該薄膜が:アミノポ
リカルボン酸とジルコニウム化合物とから形成されるジ
ルコニウム錯体またはジルコニウム塩とアミンとの塩で
あり、該ジルコニウム以外の金属成分がジルコニウム以
外の金属を含む化合物であり、そして該組成物の全金属
成分のうち、該ジルコニウム成分が酸化ジルコニウム換
算で70モル%〜98モル%の割合で含有されかつ該ジ
ルコニウム以外の金属成分が該金属の酸化物換算で2モ
ル%〜30モル%の割合で含有される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窯業系建材およびそ
の製造方法に関し、より詳細には、優れた強度および耐
候性を有する、窯業系建材およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】住宅を含む種々の建築物の分野におい
て、窯業タイル、煉瓦および瓦のような窯業系建材の使
用は必須である。これら窯業系建材は、主に屋根、外壁
および門のような建築物の外装に使用される。
【0003】窯業系建材は、一般に重くかつ落下等の衝
撃を付加すると容易に欠ける、割れるなどの破損を伴う
傾向にある。そのため、一枚辺りの大きさにある程度の
制限が加えられている。
【0004】このような窯業系建材には、粘土質の材料
が使用されている。しかし、これら材料は、一般に密度
が高いため重く、落下等の衝撃を付加すると容易に欠け
る、割れるなどの破損を伴う恐れがある。そのため、当
該建材の一枚辺りの大きさには、ある程度の制限が付加
される。
【0005】このような強度上の問題を解決するため
に、近年、様々な方法が開発されている。
【0006】例えば、窯業系建材に補強リブを取り付け
る手段、および微粉末の金属酸化物を用いた強化剤等の
添加剤を加えて混合する手段が挙げられる。しかし、こ
れら手段においては、製造コストが高くなる点および当
該建材自体の自重が増し、落下等の衝撃に対し、必ずし
も充分な強度を維持できない恐れもある。
【0007】さらに、これら窯業系建材は、長年風雨に
曝されることにより、その表面が風化により侵食され、
所望の外観を保つことが難しいという問題もある。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題
の解決を課題とするものであり、その目的とするところ
は、落下等の外力による衝撃に対し、ひび割れおよび破
損の問題を回避する、優れた強度を有し、かつ長年の風
雨の曝露による侵食の可能性を回避し得る充分な耐候性
を有する、窯業系建材およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、窯業系基材の
表面に、ジルコニウム成分とジルコニウム以外の金属成
分とを含有する金属酸化物薄膜を有する窯業系建材であ
って、該薄膜が:アミノポリカルボン酸とジルコニウム
化合物とから形成されるジルコニウム錯体またはジルコ
ニウム塩とアミンとの塩であり、該ジルコニウム以外の
金属成分がジルコニウム以外の金属を含む化合物であ
り、そして該組成物の全金属成分のうち、該ジルコニウ
ム成分が酸化ジルコニウム換算で70モル%〜98モル
%の割合で含有されかつ該ジルコニウム以外の金属成分
が該金属の酸化物換算で2モル%〜30モル%の割合で
含有される、組成物由来の膜であり;酸化ジルコニウム
とジルコニウム以外の金属の酸化物との固溶体でなり;
そして該ジルコニウム以外の金属の酸化物が該固溶体の
成分として、2モル%〜30モル%の割合で含有され
る、窯業系建材である。
【0010】1つの実施形態においては、上記ジルコニ
ウム化合物は、ジルコニウムアルコキシド、および有機
酸または無機酸のジルコニウム塩からなる群より選択さ
れる少なくとも1種である。
【0011】1つの実施態様においては、上記組成物
は、上記ジルコニウム成分とジルコニウム以外の金属成
分とを極性溶媒中に含有する液状の組成物である。
【0012】1つの実施態様においては、上記ジルコニ
ウム以外の金属成分は、Y、Mg、Ca、Sc、Ceま
たはSrを含む化合物からなる群より選択される少なく
とも1種である。
【0013】本発明はまた、窯業系基材の表面に、ジル
コニウム成分とジルコニウム以外の金属成分とを含有す
る金属酸化物薄膜を有する窯業系建材の製造方法であっ
て、アミノポリカルボン酸とジルコニウム化合物とから
形成されるジルコニウム錯体またはジルコニウム塩とア
ミンとの塩であり、該ジルコニウム以外の金属成分がジ
ルコニウム以外の金属を含む化合物であり、そして該組
成物の全金属成分のうち、該ジルコニウム成分が酸化ジ
ルコニウム換算で70モル%〜98モル%の割合で含有
されかつ該ジルコニウム以外の金属成分が該金属の酸化
物換算で2モル%〜30モル%の割合で含有される、組
成物を窯業系基材具に付与し、塗膜を形成する工程;お
よび該窯業系基材上に形成された塗膜の組成物を結晶化
させることにより、ジルコニウム成分とジルコニウム以
外の金属成分とを含有する金属酸化物薄膜を形成する工
程;を包含する、方法である。
【0014】1つの実施形態においては、上記組成物が
スピンコート法、ディップコート法、またはスプレーコ
ート法により上記窯業系基材上に付与される。
【0015】1つの実施形態においては、上記結晶化
は、上記塗膜を有する上記窯業系基材を熱処理、光処
理、または化学的処理することにより行われる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0017】本発明の窯業系建材は、窯業系基材の表面
に、ジルコニウム成分とジルコニウム以外の金属成分と
を含有する金属酸化物薄膜を有する。
【0018】本発明に用いられる窯業系基材は、粘土等
を焼成してなるセラミック材料であって、タイル、煉瓦
または瓦の形状に予め成形されたものである。なお、す
でに市販されている窯業タイル、煉瓦および/または瓦
を窯業系基材としてそのまま使用してもよい。
【0019】本発明においては、上記窯業系基材の表面
に、金属酸化物膜が形成されている。ここで、基材の表
面とは、当該基材の外表面全体を指していう。
【0020】金属酸化物膜の厚みは、特に限定されない
が、好ましくは10nm〜300nm、より好ましくは
40nm〜140nmである。金属酸化物膜の厚みが1
0nmを下回ると、得られる窯業系建材は、衝撃等に対
する強度が劣り、容易にひび割れおよび破壊しやすく、
かつ充分な耐候性を有さない恐れがある。他方、金属酸
化物膜の厚みが300nmを上回ると、窯業系建材の製
造コストが上昇することに加え、窯業系建材において虹
彩が著しくなる場合があり、窯業系建材特有の風合いを
喪失させる恐れがある。
【0021】本発明に用いられる金属酸化物膜は、アミ
ノポリカルボン酸とジルコニウム化合物とから形成され
るジルコニウム錯体またはジルコニウム塩とアミンとの
塩であり、該ジルコニウム以外の金属成分がジルコニウ
ム以外の金属を含む化合物であり、そして該組成物の全
金属成分のうち、該ジルコニウム成分が酸化ジルコニウ
ム換算で70モル%〜98モル%の割合で含有されかつ
該ジルコニウム以外の金属成分が該金属の酸化物換算で
2モル%〜30モル%の割合で含有される、組成物から
製造される。
【0022】上記組成物に含有されるジルコニウム成分
は、アミノポリカルボン酸とジルコニウム化合物とから
形成されるジルコニウム錯体またはジルコニウム塩と、
アミンとの塩である。
【0023】上記アミノポリカルボン酸としては、エチ
レンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、
1,2−プロパンジアミン四酢酸、1,3−プロパンジ
アミン四酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン
三酢酸、N,N’−ジヒドロキシエチルエチレンジアミ
ン二酢酸、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミン
四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ三酢
酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシエチルイミノ
二酢酸、カルボキシエチルイミノ二プロピオン酸、イミ
ノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイ
ミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、
メトキシエチルイミノ二酢酸、アラニン−N,N−二酢
酸、セリン−N,N−二酢酸、イソセリン−N,N−二
酢酸、アスパラギン酸−N,N−二酢酸、グルタミン酸
−N,N−二酢酸などが挙げられるが、これに限定され
ない。
【0024】上記ジルコニウム化合物としては、ジルコ
ニウムアルコキシド、および有機酸または無機酸のジル
コニウム塩が好ましい。これらのうちジルコニウムアル
コキシドとしては、テトラメトキシジルコニウム、テト
ラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコ
ニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ
イソブトキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジル
コニウム、テトラ-sec-ブトキシジルコニウム、テトラ
−t−ブトキシジルコニウムなどが挙げられ、有機酸ま
たは無機酸のジルコニウム塩としては、酢酸ジルコニウ
ム、プロピオン酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチル
アセトナート、ステアリン酸ジルコニウム、オキシ塩化
ジルコニウム八水和物、オキシ硝酸ジルコニウム二水和
物、硫酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム四水和物、オ
キシ酢酸ジルコニウムなどが挙げられるが、これに限定
されない。
【0025】上記アミンとしては、メチルアミン、エチ
ルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチ
ルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、
t−ブチルアミン、ぺンチルアミン、ヘキシルアミン、
ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジ
エチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミ
ン、アミルアミン、ジアミルアミン、ジブチルアミン、
ジ−sec−ブチルアミン、ジ−ter−ブチルアミ
ン、エチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、ジヘ
キシルアミン、ジオクチルアミン、ベンジルアミン、ア
ニリン、ジメチルアニリン、フェニルメチルアミン、フ
ェニルエチルアミン、アミノピリジン、ジメチルアミノ
ピリジンなどが挙げられるがこれらに限定されない。こ
れらは単独で用いてもよく、2以上を組合せて用いても
よい。
【0026】上記組成物に含有されるジルコニウム以外
の金属成分は、ジルコニウム以外の金属を含む化合物
(以下、他の金属化合物という場合がある)である。そ
のような化合物に含有される金属としては、イットリウ
ム(Y)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(C
a)、スカンジウム(Sc)、セリウム(Ce)、スト
ロンチウム(Sr)などがある。このような金属を含む
アルコキシド、カルボン酸塩などが好ましく用いられ
る。そのような化合物としては、トリメトキシイットリ
ウム、トリエトキシイットリウム、トリ−イソプロポキ
シイットリウム、炭酸イットリウム、酢酸イットリウ
ム、シュウ酸イットリウム、ジメトキシマグネシウム、
ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、
ジイソプロポキシマグネシウム、ジイソブトキシマグネ
シウム、ジブトキシマグネシウム、酢酸マグネシウム、
炭酸マグネシウム、ジメトキシカルシウム、ジエトキシ
カルシウム、ジイソプロポキシカルシウム、ジプロポキ
シカルシウム、ジイソブトキシカルシウム、ジ−sec
−ブトキシカルシウム、ジ−t−ブトキシカルシウム、
炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、シュウ酸スカンジウ
ム、水酸化スカンジウム、炭酸セリウム、シュウ酸セリ
ウム、ジメトキシストロンチウム、ジエトキシストロン
チウム、ジイソプロポキシストロンチウム、ジ−n−ブ
トキシストロンチウム、炭酸ストロンチウム、シュウ酸
ストロンチウム、硝酸ストロンチウムなどが挙げられる
がこれらに限定されない。
【0027】本発明に用いられる組成物は、好ましく
は、上記ジルコニウム成分とジルコニウム以外の金属成
分とを極性溶媒中に含有する液状の組成物である。上記
ジルコニウム成分であるジルコニウム錯体またはジルコ
ニウム塩とアミンとの塩は、上記アミノポリカルボン
酸、ジルコニウム化合物、およびアミンにより形成され
る。上記液状の組成物は、具体的には、上記アミノポリ
カルボン酸、ジルコニウム化合物、およびアミンを極性
溶媒中で加熱することによって得た溶液(ジルコニウム
成分の溶液)と、ジルコニウム以外の金属化合物とを混
合することによって得られる。あるいは、ジルコニウム
以外の金属化合物を、アミノポリカルボン酸とアミンと
ともに極性溶媒中で加熱して得た溶液とジルコニウム成
分の溶液とを混合することも好ましい。あるいは、ジル
コニウム以外の金属化合物とアミノポリカルボン酸との
反応よって、該金属の錯体または塩を形成してこれを単
離し、該錯体または塩とアミンとを極性溶媒中で加熱す
ることにより得た溶液を使用してもよい。必要に応じ
て、これらの溶液には酸化剤が加えられる。
【0028】上記極性溶媒としては、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、水などが好適に用いられるが、これらに限定されな
い。これらの極性溶媒は、単独で用いてもよく、2種以
上組合せて用いてもよい。このような極性溶媒中に上記
成分を含有する組成物は、好ましくは透明である。
【0029】本発明に用いられる組成物中には、ジルコ
ニウム成分が、該組成物の全金属成分のうち、70モル
%〜98モル%(酸化ジルコニウム換算)の割合で、そ
してジルコニウム以外の金属成分が2モル%〜30モル
%(該金属の酸化物換算)の割合で含有される。このよ
うな割合で上記成分が含有されると、この組成物由来の
金属酸化物薄膜を調製したときに、該薄膜は酸化ジルコ
ニウムとジルコニウム以外の金属の酸化物との固溶体で
形成され、各成分は上記の割合で固溶体の成分として薄
膜中に含有されることとなる。
【0030】ジルコニウム以外の金属成分の量が過剰で
あると、形成された薄膜中に、ジルコニウム以外の金属
の酸化物が固溶体を形成していない状態で混在するよう
になる。このような薄膜を有する基材は、強度、耐候
性、化学的安定性および熱安定性に劣る。
【0031】上記組成物には必要に応じて、過酸化水
素、オゾンなどの酸化剤が添加されていてもよい。
【0032】本発明の窯業系建材は、以下のようにして
製造される。
【0033】まず、上記窯業系基材に、上記組成物を含
む極性溶媒溶液が付与(塗布)される。塗布の方法に制
限はなく、当業者が金属酸化物薄膜を製造するに際し
て、基材の形態、形状に応じて適宜選択して用いる塗布
方法、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ス
プレーコート法等を用いて塗布される。
【0034】次いで、上記組成物が付与された窯業系基
材を熱処理、光処理、化学的処理などにより処理するこ
とにより、該組成物の結晶化が進行する。そのことによ
り、基材の表面に酸化ジルコニウムを主成分とする金属
酸化物薄膜が形成される。これらの処理は単独で行って
もよいし、2以上を組合せて行ってもよい。
【0035】上記熱処理とは、有機物が燃焼する温度以
上の熱を与える処理である。好ましくは、一般的には、
約400℃〜1200℃の熱処理であり、使用する基材
の耐熱温度以下で処理を行う。
【0036】光処理とは、レーザー照射、紫外線照射等
の処理であり、基材の耐熱温度に左右されない処理方法
である。
【0037】化学的処理とは、酸または塩基による処
理、および水蒸気による処理を含み、比較的低い処理温
度で処理する方法である。
【0038】上記結晶化方法は、例示であり、これらに
限定されるものではない。
【0039】このようにして窯業系基材に形成される上
記金属酸化物薄膜は、主として酸化ジルコニウムで構成
され、ジルコニウム以外の金属の酸化物が2モル%〜3
0モル%の割合で含有される固溶体でなる。このような
薄膜は結晶構造が安定化されているため、本発明の窯業
系建材は強度および耐候性のいずれにおいても優れてい
る。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは
ない。
【0041】(製造例1) アミノポリカルボン酸とジルコニウム化合物から形成さ
れる金属錯体とアミンとの塩を含む溶液(ジルコニアプ
レカーサー)の調製 100ml四ツ口フラスコにエタノール53.03gお
よびニトリロ三酢酸4.65gを仕込み、攪拌しながら
ジルコニウム−n−ブトキシド(純度87%)10.7
4gを滴下した。続いて、ブチルアミン3.56gを滴
下し、還流温度で1時間反応を行った。そして 40℃
まで冷却後、30%過酸化水素水3.04gを滴下し、
還流温度で1時間反応を行うことにより表題の塩を含む
赤橙色透明溶液(ジルコニアプレカーサー)を得た。
【0042】このジルコニアプレカーサー中におけるジ
ルコニウム(Zr)含量は2.96重量%であった。
【0043】(製造例2) ジルコニウム以外の金属(カルシウム)化合物およびア
ミノポリカルボン酸の錯体とアミンとの塩(カルシアプ
レカーサー(A))の調製 (1)500ml四ツ口フラスコにイオン交換水300
gを入れ、75〜80℃に加熱した。続いて、エチレン
ジアミン四酢酸6.31gを加えた後、酢酸カルシウム
1水和物3.81gをゆっくりと加えた。酢酸カルシウ
ム投入により溶解が進み、しばらくすると無色透明とな
った。75〜80℃で1時間攪拌した後、エタノール2
5gをゆっくりと加え、室温まで放冷した。そして析出
した白色の固体をろ取し、イオン交換水10gおよびエ
タノール5gで順次洗浄し、40℃の送風乾燥機で乾燥
することにより、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二
水和物を得た。収量6.03g。
【0044】(2)100ml四ツ口フラスコに(1)
項で得たエチレンジアミン四酢酸カルシウム二水和物
5.13gとエタノール62.72gとを入れ、攪拌し
ながらブチルアミン2.15gを加えた。そして、還流
温度で6時間攪拌することにより無色透明溶液を得た。
このようにして得られたカルシアプレカーサーのICP
発光分析(誘導結合プラズマ発光分析)を行ったとこ
ろ、該プレカーサー中におけるカルシウム(Ca)含量
は0.80重量%であった。このカルシアプレカーサー
(A)は室温で1年間保管したが、安定であった。
【0045】(製造例3) カルシアプレカーサー(B)の調製 100ml四ツ口フラスコに製造例2(1)項で得たエ
チレンジアミン四酢酸カルシウム二水和物7.7gとエ
タノール31.1gとを入れ、攪拌しながらブチルアミ
ン3.2gを加えた。そして、還流温度で4時間攪拌す
ることによりカルシアプレカーサー(B)を得た。この
ようにして得られたカルシアプレカーサーのICP発光
分析を行ったところ、該プレカーサー中におけるカルシ
ウム(Ca)含量は1.43重量%であった。このカル
シアプレカーサー(B)は室温で1年間保管したが、安
定であった。
【0046】(製造例4) マグネシアプレカーサーの調製 100ml四ツ口フラスコに、エタノール58.5g、
ニトリロ三酢酸7.1g、およびマグネシウムエトキシ
ド4.2gを入れ、攪拌しながらジブチルアミン4.8
gを加えた。これを還流温度で4時間攪拌することによ
りマグネシアプレカーサーを得た。このようにして得ら
れたマグネシアプレカーサーのICP発光分析を行った
ところ、該プレカーサー中におけるマグネシウム(M
g)含量は1.27重量%であった。このマグネシアプ
レカーサーは室温で1年間保管したが、安定であった。
【0047】(製造例5) ストロンチアプレカーサーの調製 (1)Sr−EDTA塩の合成 500ml四ツ口フラスコにイオン交換水250gを入
れ、80℃に加熱し、酢酸ストロンチウム0.5水和物
6.5gを攪拌しながら加えて透明な溶液を得た。次い
で、エチレンジアミン四酢酸8.8gを加えて80℃で
1時間攪拌した後、エバポレーターを用いて濃縮し、析
出した結晶を濾取した。このようにして得られた結晶を
エタノールで洗浄後乾燥することにより、11.0gの
エチレンジアミン四酢酸ストロンチウム塩を得た。
【0048】(2)ストロンチアプレカーサーの合成 50mlナス型フラスコに、(1)項で得たエチレンジ
アミン四酢酸ストロンチウム塩3.45gおよびメタノ
ール4.0gを入れ、攪拌しながらブチルアミン1.2
3gを加えた。そして、2時間還流することにより透明
溶液を得た。このようにして得られたストロンチアプレ
カーサーのICP発光分析を行ったところ、該プレカー
サー中におけるストロンチウム(Sr)含量は6.26
重量%であった。このストロンチアプレカーサーは室温
で1年間保管したが、安定であった。
【0049】(比較製造例1) ゾルゲル法ジルコニアゾルの製造 100ml四ツ口フラスコにエタノール80.09gを
入れ、攪拌しながらジルコニウム−n−ブトキシド(8
7%)8.35gを滴下した後、60%硝酸0.52g
とイオン交換水0.39gとの混合物を室温で滴下し
た。そして、室温で2時間かき混ぜることによりジルコ
ニアゾルを得た。ゾル中のジルコニウム(Zr)含量は
1.93重量%であった。この溶液を室温で1日保管す
ると乳白色溶液となり、3日後には沈殿が生じた。
【0050】(比較製造例2) カルシアゾルの製造 30mlナス型フラスコにエタノール7.54g、酢酸
カルシウム1水和物0.149gを入れ、攪拌しながら
60%硝酸0.12gを滴下した。室温で1時間かき混
ぜることにより無色透明なカルシアゾルを得た。ゾル中
のカルシウム(Ca)含量は0.44重量%であった。
【0051】(実施例1)上記製造例1および3で調製
したジルコニアプレカーサー10.000gおよびカル
シアプレカーサー(B)0.685gを混合して、塗布
液を調製する。
【0052】次いで、この塗布液を寸法100mm×1
00mm×5mmの窯業系タイル基材上にディップコー
ト法で塗布し、毎分10℃の昇温速度で100℃から8
00℃まで昇温し、800℃で15分間焼成する。これ
により基材が酸化ジルコニウムを主成分とする薄膜でコ
ートされた窯業系タイルを製造する。
【0053】(実施例2〜4)上記製造例1で調製した
ジルコニアプレカーサーおよび製造例2〜5で調製した
カルシアプレカーサー(A)および(B)、マグネシア
プレカーサー、およびストロンチアプレカーサーのうち
のいずれかを表1に記載の割合で混合して、塗布液を調
製する。以下、実施例1に準じて操作し、表1に示す基
材上に塗布液を塗布し、表1に示す焼成温度および時間
で焼成し、該基材が酸化ジルコニウムを主成分とする薄
膜でコートされた窯業系タイルを製造する。
【0054】(比較例1)上記調製した、ジルコニウム
溶液(比較用塗布液1)、およびカルシウム溶液(比較
用塗布液2)を、表1に記載の割合で混合して、塗布液
を調製する。以下、実施例1に準じて操作し、窯業系タ
イル基材上に塗布液を塗布し、表1に示す焼成温度およ
び時間で焼成し、該基材が酸化ジルコニウムを主成分と
する薄膜でコートされた窯業系タイルを製造する。
【0055】実施例1〜4の窯業系タイルおよび比較例
1の窯業系タイルについて、耐酸性試験および耐アルカ
リ性試験を以下のようにして行う。
【0056】(1)耐酸試験:得られた部材を30℃の
1規定の硫酸水溶液に浸積して、その外観を観察し、以
下の基準で評価する。 ○:膜剥離なし。 △:膜浮きあり。 ×:膜剥離あり。 (2)耐アルカリ試験:得られた部材を30℃の1規定
の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、その外観を観察
し、以下の基準で評価する。 ○:膜剥離なし。 △:膜浮きあり。 ×:膜剥離あり。
【0057】
【表1】
【0058】上記耐酸性試験および耐アルカリ性試験の
結果、実施例1〜4の窯業系タイルは、いずれも比較例
1の窯業系タイルと比較して優れた耐薬品性を有するこ
とが示される。これにより、本発明の窯業系建材は優れ
た耐候性および耐候性によって本発明の窯業系建材は優
れた強度を有することが期待できる。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、優れた強度および耐候
性を提供する。本発明の窯業系建材は、落下等の衝撃付
与に対し、ひび割れおよび破損の可能性を低減し、風雨
の曝露に対しても侵食の可能性を回避し得る。これによ
り、当該建材の外観は維持され、使用寿命を延ばすこと
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪下 好顕 兵庫県伊丹市千僧5丁目41番地 帝国化学 産業株式会社伊丹工場内 (72)発明者 佐藤 光史 東京都八王子市別所2−29 エストラーセ 長池4−501 (72)発明者 西出 利一 福島県郡山市本町2丁目21番5号 ファー ストパレスIII307号 Fターム(参考) 4G028 DA01 DB11 DC01 4G055 AA07 AC02 AC03 BA35 BA40

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窯業系基材の表面に、ジルコニウム成分
    とジルコニウム以外の金属成分とを含有する金属酸化物
    薄膜を有する窯業系建材であって、 該薄膜が:アミノポリカルボン酸とジルコニウム化合物
    とから形成されるジルコニウム錯体またはジルコニウム
    塩とアミンとの塩であり、該ジルコニウム以外の金属成
    分がジルコニウム以外の金属を含む化合物であり、そし
    て該組成物の全金属成分のうち、該ジルコニウム成分が
    酸化ジルコニウム換算で70モル%〜98モル%の割合
    で含有されかつ該ジルコニウム以外の金属成分が該金属
    の酸化物換算で2モル%〜30モル%の割合で含有され
    る、組成物由来の膜であり;酸化ジルコニウムとジルコ
    ニウム以外の金属の酸化物との固溶体でなり;そして該
    ジルコニウム以外の金属の酸化物が該固溶体の成分とし
    て、2モル%〜30モル%の割合で含有される、 窯業系建材。
  2. 【請求項2】 前記ジルコニウム化合物が、ジルコニウ
    ムアルコキシド、および有機酸または無機酸のジルコニ
    ウム塩からなる群より選択される少なくとも1種であ
    る、請求項1に記載の窯業系建材。
  3. 【請求項3】 前記組成物が、前記ジルコニウム成分と
    ジルコニウム以外の金属成分とを極性溶媒中に含有する
    液状の組成物である、請求項1または2に記載の窯業系
    建材。
  4. 【請求項4】 前記ジルコニウム以外の金属成分が、
    Y、Mg、Ca、Sc、CeまたはSrを含む化合物か
    らなる群より選択される少なくとも1種である、請求項
    1から3のいずれかに記載の窯業系建材。
  5. 【請求項5】 窯業系基材の表面に、ジルコニウム成分
    とジルコニウム以外の金属成分とを含有する金属酸化物
    薄膜を有する窯業系建材の製造方法であって、 アミノポリカルボン酸とジルコニウム化合物とから形成
    されるジルコニウム錯体またはジルコニウム塩とアミン
    との塩であり、該ジルコニウム以外の金属成分がジルコ
    ニウム以外の金属を含む化合物であり、そして該組成物
    の全金属成分のうち、該ジルコニウム成分が酸化ジルコ
    ニウム換算で70モル%〜98モル%の割合で含有され
    かつ該ジルコニウム以外の金属成分が該金属の酸化物換
    算で2モル%〜30モル%の割合で含有される、組成物
    を窯業系基材具に付与し、塗膜を形成する工程;および
    該窯業系基材上に形成された塗膜の組成物を結晶化させ
    ることにより、ジルコニウム成分とジルコニウム以外の
    金属成分とを含有する金属酸化物薄膜を形成する工程;
    を包含する、方法。
  6. 【請求項6】 前記組成物がスピンコート法、ディップ
    コート法、またはスプレーコート法により前記窯業系基
    材上に付与される、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記結晶化が、前記塗膜を有する前記窯
    業系基材を熱処理、光処理、または化学的処理すること
    により行われる、請求項5または6に記載の方法。
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