JP2001328028A - ワイヤカット放電加工用電極線 - Google Patents
ワイヤカット放電加工用電極線Info
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- JP2001328028A JP2001328028A JP2000149247A JP2000149247A JP2001328028A JP 2001328028 A JP2001328028 A JP 2001328028A JP 2000149247 A JP2000149247 A JP 2000149247A JP 2000149247 A JP2000149247 A JP 2000149247A JP 2001328028 A JP2001328028 A JP 2001328028A
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- brass
- machining
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- Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、ワイヤカット放電加工用電極線に関
するもので、特に加工コストを低く抑えることが出来る
ように高速放電加工が可能で自動結線性に優れ、製造が
容易であるばかりでなく、安価でバランスの取れた理想
的なワイヤカット放電加工用電極線の出現が要望されて
いた。 【解決手段】中心にCu68.5〜71.5wt%、残
部Znからなる通称70/30黄銅2を施し、その周り
にZn濃度40%〜50%の高亜鉛黄銅3を被覆し、更
にその最外層に前記仕上がり外径の0.3〜15%の厚
さからなるZnめっき4を設けたワイヤカット放電加工
用電極線であるので、高速放電加工が可能で自動結線性
に優れ、安価でバランスの取れた理想的なワイヤカット
放電加工用電極線が得られる。
するもので、特に加工コストを低く抑えることが出来る
ように高速放電加工が可能で自動結線性に優れ、製造が
容易であるばかりでなく、安価でバランスの取れた理想
的なワイヤカット放電加工用電極線の出現が要望されて
いた。 【解決手段】中心にCu68.5〜71.5wt%、残
部Znからなる通称70/30黄銅2を施し、その周り
にZn濃度40%〜50%の高亜鉛黄銅3を被覆し、更
にその最外層に前記仕上がり外径の0.3〜15%の厚
さからなるZnめっき4を設けたワイヤカット放電加工
用電極線であるので、高速放電加工が可能で自動結線性
に優れ、安価でバランスの取れた理想的なワイヤカット
放電加工用電極線が得られる。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ワイヤカット放電
加工用電極線に関するもので、特に加工コストを低く抑
えることが出来るように高速放電加工が可能で、製造が
容易であるばかりでなく、安価でバランスの取れた理想
的なワイヤカット放電加工用電極線に関する。
加工用電極線に関するもので、特に加工コストを低く抑
えることが出来るように高速放電加工が可能で、製造が
容易であるばかりでなく、安価でバランスの取れた理想
的なワイヤカット放電加工用電極線に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ワイヤカット放電加工用とは、
放電加工用電極線と被加工物との間で放電現象を起こさ
せ、放電によって引き起こされる熱エネルギーによって
被加工物を切断していくもので、特にプレス金型等の複
雑な形状を有する金属加工に適している。このようなワ
イヤ放電加工においては被加工物の表面の仕上り状態や
寸法精度が良好であることと加工時間が短いことが要求
される。この電極線として従来より広く使われているも
のに65/35黄銅(65%Cu−35%Zn)があ
る。この構造よりも放電加工速度を速くしようとする研
究が様々な方法で行われている。そのうちの一つとして
黄銅組成中のZn濃度を高くするというものがある。
(伸銅技術研究会誌 26(1987))また、Zn濃
度のより高い合金層をワイヤ表面に形成する複合構造や
その製造方法についても数多く提案されている。(例え
ば、特公昭57−5648号、特開昭62−21802
6号、特公昭57−57211号、特開昭61−197
126号、特開昭61−117021号、特公平4−3
5543号、特開平9−300136号等)
放電加工用電極線と被加工物との間で放電現象を起こさ
せ、放電によって引き起こされる熱エネルギーによって
被加工物を切断していくもので、特にプレス金型等の複
雑な形状を有する金属加工に適している。このようなワ
イヤ放電加工においては被加工物の表面の仕上り状態や
寸法精度が良好であることと加工時間が短いことが要求
される。この電極線として従来より広く使われているも
のに65/35黄銅(65%Cu−35%Zn)があ
る。この構造よりも放電加工速度を速くしようとする研
究が様々な方法で行われている。そのうちの一つとして
黄銅組成中のZn濃度を高くするというものがある。
(伸銅技術研究会誌 26(1987))また、Zn濃
度のより高い合金層をワイヤ表面に形成する複合構造や
その製造方法についても数多く提案されている。(例え
ば、特公昭57−5648号、特開昭62−21802
6号、特公昭57−57211号、特開昭61−197
126号、特開昭61−117021号、特公平4−3
5543号、特開平9−300136号等)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの種々の検討に
よって放電加工速度は、比較の仕方によって差はある
が、得られる被加工物の面粗さを同等にするような加工
をした場合、65/35黄銅の1.5倍を超えるような
放電加工速度が得られている。しかし、コストパフォー
マンスの面から更なる加工速度の向上、コストダウン、
製造の容易なワイヤが望まれている。そして、この加工
速度を向上すると同時に放電加工によって仕上げられた
加工表面の粗さや寸法精度が従来と比べて劣らないこと
も必要である。また、加工速度や寸法精度の他に放電加
工機の自動結線の確実さも完全無人化操業の面から最近
では重要な特性となってきている。このようなことか
ら、加工コストを低く抑えることが出来るように高速放
電加工が可能で自動結線性に優れ、製造が容易であるば
かりでなく、安価でバランスの取れた理想的なワイヤカ
ット放電加工用電極線の出現が要望されていた。
よって放電加工速度は、比較の仕方によって差はある
が、得られる被加工物の面粗さを同等にするような加工
をした場合、65/35黄銅の1.5倍を超えるような
放電加工速度が得られている。しかし、コストパフォー
マンスの面から更なる加工速度の向上、コストダウン、
製造の容易なワイヤが望まれている。そして、この加工
速度を向上すると同時に放電加工によって仕上げられた
加工表面の粗さや寸法精度が従来と比べて劣らないこと
も必要である。また、加工速度や寸法精度の他に放電加
工機の自動結線の確実さも完全無人化操業の面から最近
では重要な特性となってきている。このようなことか
ら、加工コストを低く抑えることが出来るように高速放
電加工が可能で自動結線性に優れ、製造が容易であるば
かりでなく、安価でバランスの取れた理想的なワイヤカ
ット放電加工用電極線の出現が要望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、これらの問題
を解決するために、鋭意検討した結果、中心にCu6
8.5〜71.5wt%、残部Znからなる通称70/
30黄銅2を施し、その周りにZn濃度40%〜50%
の高亜鉛黄銅3を被覆し、更にその最外層に前記仕上が
り外径の0.3〜15%の厚さからなるZnめっき4を
設けたワイヤカット放電加工用電極線である。
を解決するために、鋭意検討した結果、中心にCu6
8.5〜71.5wt%、残部Znからなる通称70/
30黄銅2を施し、その周りにZn濃度40%〜50%
の高亜鉛黄銅3を被覆し、更にその最外層に前記仕上が
り外径の0.3〜15%の厚さからなるZnめっき4を
設けたワイヤカット放電加工用電極線である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明のワイヤカット放電
加工用電極線1の実施形態について添付図面を参照して
詳細に説明する。図1は、本発明のワイヤカット放電加
工用電極線1の断面図である。図から明らかなように、
中心にCu68.5〜71.5wt%、残部Znからな
る通称70/30黄銅2を施し、その周りにZn濃度4
0%〜50%の高亜鉛黄銅3を被覆し、更にその最外層
に前記仕上がり外径の0.3〜15%の厚さからなるZ
nめっき4を設けた多層構造のワイヤカット放電加工用
電極線である。ワイヤの放電加工速度を向上させるため
にはどのような構造が最適かについて本発明者等は実験
を積み重ねた結果、次のような特徴を兼ね備えたものが
良いことが判明した。 ワイヤの中心層には導電率が高く、常温から400
℃の間で高強度の金属であることが好ましい。 中心金属の周りには冷間伸線が可能で亜鉛濃度の出
来るだけ高い銅合金(Zn濃度40〜50wt%)を仕
上がり外径の約10%の厚さ、少なくとも7%以上に被
覆することが好ましい。 最外層に、Znを仕上がり外径の1〜15%の厚さ
で被覆することが好ましい。 の中心層は放電によって消耗されない部分であって、
いわゆる放電特性を向上させるためのZnは必ずしも必
要ない。ただし、Cu単体になると高導電率は得られる
が、ワイヤの抗張力は小さくなるので80/20や70
/30黄銅などの黄銅合金が適している。複合構造をし
ていない単一構造のワイヤではZn濃度が高いほうが加
工速度の速い特性が得られるが、前述のような複合構造
とすれば65/35黄銅よりも導電率の高い70/30
黄銅や80/20黄銅の方が放電加工速度が向上するこ
とがわかっている。の亜鉛濃度の高い合金層について
は、放電加工によってワイヤの消耗する部分は外径に対
して表層から約10%であることからこの部分だけにつ
いて亜鉛濃度を高くすれば良い。ただし、実験によれば
外径の10%の厚さにZn100%の金属を被覆するの
は効果がなく、被覆するのはCu〜Zn合金が良い。こ
の層は放電加工速度を向上させるためには非常に重要な
部分で、厚さが外径の7%未満では性能の向上は見られ
ない。7%以上の場合には放電加工速度の性能が格段に
向上するが、その厚さを10%以上としてもその効果は
それ以上は上がらない。むしろ黄銅のβ層が多い亜鉛濃
度40〜50%は伸線加工が難しい組成であり、放電加
工速度を向上させる効果がないのであれば、可能な限り
むしろ薄い方が好ましく7〜12%が適切である。
のZnめっきについては外径の0.3〜15%という量
を被覆するものであるが、これを付けることによって放
電現象を励起させる触媒的な働きが得られる。亜鉛めっ
きの厚さはこれ以上厚い場合、寸法精度、被加工物への
付着物、放電加工機の自動結線性に悪影響を与える。次
に、具体的実施例について以下に説明する。
加工用電極線1の実施形態について添付図面を参照して
詳細に説明する。図1は、本発明のワイヤカット放電加
工用電極線1の断面図である。図から明らかなように、
中心にCu68.5〜71.5wt%、残部Znからな
る通称70/30黄銅2を施し、その周りにZn濃度4
0%〜50%の高亜鉛黄銅3を被覆し、更にその最外層
に前記仕上がり外径の0.3〜15%の厚さからなるZ
nめっき4を設けた多層構造のワイヤカット放電加工用
電極線である。ワイヤの放電加工速度を向上させるため
にはどのような構造が最適かについて本発明者等は実験
を積み重ねた結果、次のような特徴を兼ね備えたものが
良いことが判明した。 ワイヤの中心層には導電率が高く、常温から400
℃の間で高強度の金属であることが好ましい。 中心金属の周りには冷間伸線が可能で亜鉛濃度の出
来るだけ高い銅合金(Zn濃度40〜50wt%)を仕
上がり外径の約10%の厚さ、少なくとも7%以上に被
覆することが好ましい。 最外層に、Znを仕上がり外径の1〜15%の厚さ
で被覆することが好ましい。 の中心層は放電によって消耗されない部分であって、
いわゆる放電特性を向上させるためのZnは必ずしも必
要ない。ただし、Cu単体になると高導電率は得られる
が、ワイヤの抗張力は小さくなるので80/20や70
/30黄銅などの黄銅合金が適している。複合構造をし
ていない単一構造のワイヤではZn濃度が高いほうが加
工速度の速い特性が得られるが、前述のような複合構造
とすれば65/35黄銅よりも導電率の高い70/30
黄銅や80/20黄銅の方が放電加工速度が向上するこ
とがわかっている。の亜鉛濃度の高い合金層について
は、放電加工によってワイヤの消耗する部分は外径に対
して表層から約10%であることからこの部分だけにつ
いて亜鉛濃度を高くすれば良い。ただし、実験によれば
外径の10%の厚さにZn100%の金属を被覆するの
は効果がなく、被覆するのはCu〜Zn合金が良い。こ
の層は放電加工速度を向上させるためには非常に重要な
部分で、厚さが外径の7%未満では性能の向上は見られ
ない。7%以上の場合には放電加工速度の性能が格段に
向上するが、その厚さを10%以上としてもその効果は
それ以上は上がらない。むしろ黄銅のβ層が多い亜鉛濃
度40〜50%は伸線加工が難しい組成であり、放電加
工速度を向上させる効果がないのであれば、可能な限り
むしろ薄い方が好ましく7〜12%が適切である。
のZnめっきについては外径の0.3〜15%という量
を被覆するものであるが、これを付けることによって放
電現象を励起させる触媒的な働きが得られる。亜鉛めっ
きの厚さはこれ以上厚い場合、寸法精度、被加工物への
付着物、放電加工機の自動結線性に悪影響を与える。次
に、具体的実施例について以下に説明する。
【0006】
【実施例1】まず、初めに黄銅合金単体の場合の放電加
工特性について比較した場合について説明する。ワイヤ
外径0.3mm、ワーク材SKD−11,ワーク厚60
mm、放電加工機SX10を用いて荒加工条件によって
加工を行い、10分間の加工でワイヤ断線が生じない場
合にはIP(加工セッティング)を1ノッチずつ上げて
いき各ワイヤの最大放電加工速度を求めた。その結果を
下記の表1に示す。
工特性について比較した場合について説明する。ワイヤ
外径0.3mm、ワーク材SKD−11,ワーク厚60
mm、放電加工機SX10を用いて荒加工条件によって
加工を行い、10分間の加工でワイヤ断線が生じない場
合にはIP(加工セッティング)を1ノッチずつ上げて
いき各ワイヤの最大放電加工速度を求めた。その結果を
下記の表1に示す。
【0007】
【表1】
【0008】この結果からは65/35黄銅が最も加工
速度が速いことが確認出来る。これは、単一組成の場合
放電加工速度を速くするにはZn濃度が高い方が良いと
いわれていることを裏付けている。
速度が速いことが確認出来る。これは、単一組成の場合
放電加工速度を速くするにはZn濃度が高い方が良いと
いわれていることを裏付けている。
【0009】
【実施例2】次に、実施例2として実施例1の中心金属
に亜鉛濃度の高い黄銅を被覆して同様に特性評価を行っ
た。中心金属に亜鉛濃度の高い黄銅を形成するために、
各種黄銅線0.9φの表面にZnめっきを施し、850
℃の酸化雰囲気中で加熱し、熱拡散により高亜鉛濃度の
黄銅を被覆した。これを0.3φに伸線、焼鈍を行って
試験用試料とした。実施例1と同様の条件で最大加工速
度の評価を行った結果を表2に示す。
に亜鉛濃度の高い黄銅を被覆して同様に特性評価を行っ
た。中心金属に亜鉛濃度の高い黄銅を形成するために、
各種黄銅線0.9φの表面にZnめっきを施し、850
℃の酸化雰囲気中で加熱し、熱拡散により高亜鉛濃度の
黄銅を被覆した。これを0.3φに伸線、焼鈍を行って
試験用試料とした。実施例1と同様の条件で最大加工速
度の評価を行った結果を表2に示す。
【0010】
【表2】
【0011】上記表2の結果からわかるように高亜鉛層
を形成することによって放電加工速度は大幅に向上する
ことと加工速度の傾向が実施例1の場合と逆になり、6
5/35を中心金属に使用した場合が最も遅くなり、8
0/20を使用したものが最も速くなるという興味深い
結果が得られた。
を形成することによって放電加工速度は大幅に向上する
ことと加工速度の傾向が実施例1の場合と逆になり、6
5/35を中心金属に使用した場合が最も遅くなり、8
0/20を使用したものが最も速くなるという興味深い
結果が得られた。
【0012】
【実施例3】続いて、実施例3として実施例2に示すワ
イヤの最外層にZnめっきを施したワイヤを評価した。
実施例2の構成のワイヤを0.9φで形成した後にこの
表面に電気めっきでZnを形成した。これを0.3φに
伸線、焼鈍を行い、試験用試料とした。実施例1及び実
施例2と同様の条件で最大加工速度の評価を行った結果
を表3に示す。
イヤの最外層にZnめっきを施したワイヤを評価した。
実施例2の構成のワイヤを0.9φで形成した後にこの
表面に電気めっきでZnを形成した。これを0.3φに
伸線、焼鈍を行い、試験用試料とした。実施例1及び実
施例2と同様の条件で最大加工速度の評価を行った結果
を表3に示す。
【0013】
【表3】
【0014】上記表3の結果からワイヤの最外層にZn
めっきを行うことによってどの組成のものも同様に加工
速度が上がることが明らかになった。Znめっき厚につ
いては5μmの厚さで十分効果があることがわかる。従
って、0.3mmのワイヤ径に対して5μmの厚さであ
るのでワイヤ外径の約1.7%のZnめっきが付いてい
れば加工速度を向上させる効果がある。
めっきを行うことによってどの組成のものも同様に加工
速度が上がることが明らかになった。Znめっき厚につ
いては5μmの厚さで十分効果があることがわかる。従
って、0.3mmのワイヤ径に対して5μmの厚さであ
るのでワイヤ外径の約1.7%のZnめっきが付いてい
れば加工速度を向上させる効果がある。
【0015】
【実施例4】最後に、実施例3のワイヤをワイヤ放電加
工機の自動結線装置にかけたときの評価結果について下
記の表4に示す。
工機の自動結線装置にかけたときの評価結果について下
記の表4に示す。
【0016】
【表4】
【0017】ワイヤの自動結線とは、放電加工中にワイ
ヤが断線した場合に自動でワイヤを送り込み再加工を始
める機能で無人連続運転が可能となる機構のことであ
る。そのメカニズムは様々な要因によって加工中にワイ
ヤが断線した場合、ワイヤに電流を流し発熱させテンシ
ョンをかけながらワイヤを溶断させて先端形状を整えて
ワイヤを再度送り込むものである。このときに先端形状
を敢えて整えるのは、先端の形状が曲がっていたり膨ら
んでいた場合にノズル穴に引っかかって自動結線が出来
なくなり、再度、ワイヤを通して加工を再開するのが不
可能となってしまうからである。本発明において敢えて
自動結線の特性に言及するのは、ワイヤを溶断したとき
のワイヤ形状が単一層のワイヤに比べて複合構造にした
ときに構造によっては綺麗になりにくく、ワイヤ構造を
自動結線性の面からも検討することが工業的には重要で
ある。この評価には放電加工機にSX−10を使用し、
自動結線装置にはAF−2を使用、プリテンション14
ノッチ、ワイヤには0.3mmのワイヤを使用して行っ
た。評価の方法はワイヤを上部ノズルより下方約30m
mのところまで結線し、その状態で自動切断(未張架)
を実施した。このとき切断されたワイヤの先端形状を観
察した。この結果を図2に示す。図2のNoは実施例4
の表4の構造と対応している。この図からわかるように
切断後の先端形状は多種多様な性状を示すが、中心金属
に80/20黄銅を使用したNo2(比較例)は先端形
状が真っ直ぐになりにくい特徴がある。先端が曲がって
いたり膨らんでいたりした場合、線がガイドを通らずに
自動結線に失敗する。結線がされないことを検知すると
再びワイヤを溶断し再度自動結線がされるがこの自動結
線の確実さが生産性に非常に影響を与える。本発明のN
o6は、図2から明らかなように先端が真っ直ぐで良好
な結果を示した。
ヤが断線した場合に自動でワイヤを送り込み再加工を始
める機能で無人連続運転が可能となる機構のことであ
る。そのメカニズムは様々な要因によって加工中にワイ
ヤが断線した場合、ワイヤに電流を流し発熱させテンシ
ョンをかけながらワイヤを溶断させて先端形状を整えて
ワイヤを再度送り込むものである。このときに先端形状
を敢えて整えるのは、先端の形状が曲がっていたり膨ら
んでいた場合にノズル穴に引っかかって自動結線が出来
なくなり、再度、ワイヤを通して加工を再開するのが不
可能となってしまうからである。本発明において敢えて
自動結線の特性に言及するのは、ワイヤを溶断したとき
のワイヤ形状が単一層のワイヤに比べて複合構造にした
ときに構造によっては綺麗になりにくく、ワイヤ構造を
自動結線性の面からも検討することが工業的には重要で
ある。この評価には放電加工機にSX−10を使用し、
自動結線装置にはAF−2を使用、プリテンション14
ノッチ、ワイヤには0.3mmのワイヤを使用して行っ
た。評価の方法はワイヤを上部ノズルより下方約30m
mのところまで結線し、その状態で自動切断(未張架)
を実施した。このとき切断されたワイヤの先端形状を観
察した。この結果を図2に示す。図2のNoは実施例4
の表4の構造と対応している。この図からわかるように
切断後の先端形状は多種多様な性状を示すが、中心金属
に80/20黄銅を使用したNo2(比較例)は先端形
状が真っ直ぐになりにくい特徴がある。先端が曲がって
いたり膨らんでいたりした場合、線がガイドを通らずに
自動結線に失敗する。結線がされないことを検知すると
再びワイヤを溶断し再度自動結線がされるがこの自動結
線の確実さが生産性に非常に影響を与える。本発明のN
o6は、図2から明らかなように先端が真っ直ぐで良好
な結果を示した。
【0018】以上のような構造であるため、本発明のワ
イヤカット放電加工用電極線1は、信頼性試験や導通試
験を行った結果、既存製品より良好な結果を示した。
イヤカット放電加工用電極線1は、信頼性試験や導通試
験を行った結果、既存製品より良好な結果を示した。
【0019】本発明の実施例では、ワイヤカット放電加
工用電極線1を代表例にとり、具体的代表例で説明して
きたが、これに限るものではない。またこれ以外の変形
例でも一向に構わず、設計上本発明の範囲内であること
はいうまでもない。
工用電極線1を代表例にとり、具体的代表例で説明して
きたが、これに限るものではない。またこれ以外の変形
例でも一向に構わず、設計上本発明の範囲内であること
はいうまでもない。
【0020】
【発明の効果】本発明者等が、ここで強調したいのは、
中心金属の上に高亜鉛濃度の層を設け、更にその上にZ
nめつきを施す放電加工用ワイヤの構造とすればどの構
造においても単一の65/35黄銅よりも加工速度が向
上し、中心金属に80/20黄銅または70/30黄銅
を用いれば最も加工速度の速いワイヤを得ることが出来
る。その上、更に放電加工機における自動結線の確実さ
について検討を行い、80/20が溶断時のワイヤ形状
に安定性を欠くことを見い出し、バランスの取れた理想
的な高速放電加工用ワイヤとして中心金属に70/30
黄銅が最も適切であることを見い出したものであり、そ
の工業的価値は非常に大きい。
中心金属の上に高亜鉛濃度の層を設け、更にその上にZ
nめつきを施す放電加工用ワイヤの構造とすればどの構
造においても単一の65/35黄銅よりも加工速度が向
上し、中心金属に80/20黄銅または70/30黄銅
を用いれば最も加工速度の速いワイヤを得ることが出来
る。その上、更に放電加工機における自動結線の確実さ
について検討を行い、80/20が溶断時のワイヤ形状
に安定性を欠くことを見い出し、バランスの取れた理想
的な高速放電加工用ワイヤとして中心金属に70/30
黄銅が最も適切であることを見い出したものであり、そ
の工業的価値は非常に大きい。
【図1】本発明のワイヤカット放電加工用電極線1の断
面図である。
面図である。
【図2】自動結線性に関する信頼性評価のため、本発明
と比較例についてワイヤカット放電加工用電極線の先端
形状の比較写真である。
と比較例についてワイヤカット放電加工用電極線の先端
形状の比較写真である。
1 本発明のワイヤカット放電加工用電極線 2 Cu68.5〜71.5wt%、残部Znから
なる通称70/30黄銅 3 Zn濃度40%〜50%の高亜鉛黄銅 4 仕上がり外径の0.3〜15%の厚さからなる
Znめっき
なる通称70/30黄銅 3 Zn濃度40%〜50%の高亜鉛黄銅 4 仕上がり外径の0.3〜15%の厚さからなる
Znめっき
フロントページの続き (72)発明者 木本洋一郎 神奈川県川崎市中原区下小田中2丁目12番 8号 沖電線株式会社内 (72)発明者 早坂 和毅 神奈川県川崎市中原区下小田中2丁目12番 8号 沖電線株式会社内 Fターム(参考) 3C059 AA01 AB05 DA06 DB03 DC02
Claims (1)
- 【請求項1】中心にCu68.5〜71.5wt%、残
部Znからなる通称70/30黄銅2を施し、その周り
にZn濃度40%〜50%の高亜鉛黄銅3を被覆し、更
にその最外層に前記仕上がり外径の0.3〜15%の厚
さからなるZnめっき4を設けたことを特徴とするワイ
ヤカット放電加工用電極線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000149247A JP2001328028A (ja) | 2000-05-22 | 2000-05-22 | ワイヤカット放電加工用電極線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000149247A JP2001328028A (ja) | 2000-05-22 | 2000-05-22 | ワイヤカット放電加工用電極線 |
Publications (1)
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