JP2001325987A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

Info

Publication number
JP2001325987A
JP2001325987A JP2000143234A JP2000143234A JP2001325987A JP 2001325987 A JP2001325987 A JP 2001325987A JP 2000143234 A JP2000143234 A JP 2000143234A JP 2000143234 A JP2000143234 A JP 2000143234A JP 2001325987 A JP2001325987 A JP 2001325987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium secondary
secondary battery
oil
positive electrode
negative electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000143234A
Other languages
English (en)
Inventor
Naruaki Okuda
匠昭 奥田
Yoshio Ukiyou
良雄 右京
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2000143234A priority Critical patent/JP2001325987A/ja
Publication of JP2001325987A publication Critical patent/JP2001325987A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便かつ低コストな手段によって電極表面の
副反応を抑制し、サイクル特性の良好なリチウム二次電
池を提供する。 【解決手段】 リチウムを吸蔵・脱離可能な正極および
負極と、非水電解液と、該正極と負極とを離隔し該非水
電解液を保持可能なセパレータとを備えて電池系を構成
するリチウム二次電池を、前記電池系内に、脂質、鉱
油、合成油から選ばれる少なくとも1種からなり前記非
水電解液に対して不溶性の油分を含むように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムの吸蔵・
脱離現象を利用したリチウム二次電池に関し、特にサイ
クル特性の良好なリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話、パソコン等の小型化に伴い、
エネルギー密度の高い二次電池が必要とされ、通信機
器、情報関連機器の分野では、リチウム二次電池が広く
普及するに至っている。また、資源問題、環境問題か
ら、自動車の分野でも電気自動車に対する要望が高ま
り、電気自動車用電源等の大容量用途の二次電池として
も、このリチウム二次電池の利用が検討されている。二
次電池は、一般に、繰り返される充放電によってもその
容量が劣化しない等といった良好なサイクル特性が求め
られており、リチウム二次電池においては、高価な二次
電池であることから、特にその要望が強い。
【0003】リチウム二次電池は、一般に、リチウムを
吸蔵・脱離可能な正極活物質および負極活物質をそれぞ
れ含む正極および負極と、非水電解液と、その正極と負
極とを離隔しその非水電解液を保持可能なセパレータと
を備えて電池系が構成されている。このような構成のリ
チウム二次電池において、サイクル劣化を生じる原因に
はそれぞれの構成要素に起因する種々のものが存在す
る。例えば、正極活物質または負極活物質自体の結晶構
造の変化によるもの、正極または負極の構造の変化によ
る電極内部抵抗の増加によるもの、非水電解液の劣化に
よるもの等である。
【0004】従来から、これらの原因を排除しあるいは
減少させるために、例えば、正極活物質または負極活物
質の結晶性の向上、結晶構造の安定化、正極または負極
の電気伝導を確保するための導電材の種類あるいはその
存在状態の適正化、非水電解液を構成する有機溶媒ある
いは電解質物質の選択等、いろいろな観点から数多くの
手段が検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、リチウム
二次電池の劣化機構について、電極表面における反応、
詳しくは電極を構成する活物質表面における反応に着目
した。電極表面、詳しくは活物質表面では、電池反応に
ともなっていろいろな副反応が生じる。例えば、電位の
低い負極においては、負極活物質表面と非水電解液との
間で、非水電解液が分解し負極活物質表面に炭酸リチウ
ム等の被膜が生成されるような副反応も生じる。このよ
うな副反応は、反応に寄与するリチウムの失活、電極の
内部抵抗の上昇等の現象を引き起こし、リチウム二次電
池の容量劣化の大きな原因となる。そして本発明者は、
鋭意研究の結果、電極表面での副反応を抑制することに
より、サイクル特性の良好なリチウム二次電池が構成で
きるとの知見を得た。
【0006】本発明は、上記知見に基づき幾多の実験を
経てなされたものであり、簡便かつ低コストな手段によ
って電極表面の副反応を抑制し、サイクル特性の良好な
リチウム二次電池を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のリチウム二次電
池は、リチウムを吸蔵・脱離可能な正極および負極と、
非水電解液と、該正極と負極とを離隔し該非水電解液を
保持可能なセパレータとを備えて電池系を構成するリチ
ウム二次電池であって、前記電池系内に、脂質、鉱油、
合成油から選ばれる少なくとも1種からなり前記非水電
解液に対して不溶性の油分を含むことを特徴とする。
【0008】電池系内に添加された上記油分による作用
は、現在のところ明確にすることはできていないが、正
極、負極の表面、つまり活物質の表面に付着し、その表
面に被膜を形成するものと考えられる。そしてこの被膜
は、電池反応を阻害することなく、電池反応に伴って生
じる電極表面での副反応を抑制するもの推察される。こ
のような被膜の存在により、副反応に起因するリチウム
の失活、電池の内部抵抗の増加等の現象が効果的に抑制
されることになり、本発明のリチウム二次電池は、繰り
返される充放電によってもその容量の減少が小さく、サ
イクル特性の良好な二次電池となる。
【0009】また、電池反応が活性化する高温環境下で
の使用においては、それに伴う副反応も活性化する。本
発明のリチウム二次電池は、高温環境下においてもその
活性化した副反応を充分に抑制できるものと考えられ、
高温サイクル特性についても良好なリチウム二次電池で
ある。さらに、電池系への油分の添加という手段は、リ
チウム二次電池の製造上極めて簡便な手段であることに
加え、添加する油分は極めて安価なものである。したが
って、本発明のリチウム二次電池は、サイクル特性向上
のためのコスト上昇がほとんどなく、安価なリチウム二
次電池となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のリチウム二次電
池の実施形態について、電池系の基本構成、特徴部分で
ある油分およびその添加の順に詳しく説明する。
【0011】〈電池系の基本構成〉本発明のリチウム二
次電池は、リチウムを吸蔵・脱離可能な正極および負極
と、非水電解液と、該正極と負極とを離隔し該非水電解
液を保持可能なセパレータとを備えて電池系を構成す
る。これは、従来からのリチウム二次電池の一般的な構
成であり、本発明は、既に公知のリチウム二次電池のほ
とんどについて適用できることを意味する。それぞれの
構成要素の態様について例示すれば以下のようになる。
【0012】正極は、リチウムイオンを吸蔵・離脱でき
る正極活物質に導電材および結着剤を混合し、適当な溶
剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、アルミ
ニウム等の金属箔製の集電体表面に塗布乾燥することで
正極合材層を形成させて作製することができる。また、
必要に応じて電極密度を高めるべくその正極合材層を圧
縮してもよい。
【0013】正極活物質には、4V級の電池が構成でき
るものとして、基本組成をLiCoO2、LiNiO2
LiMn24等とするリチウム遷移金属複合酸化物粉状
体を用いることができる。導電材は、正極の電気伝導性
を確保するためのものであり、例えば、カーボンブラッ
ク、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素物質粉状体の1
種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止める役割を果たすもの
で、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化
ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピ
レン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることがで
きる。これら活物質、導電材、結着剤を分散させる溶剤
としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を
用いることができる。
【0014】負極は、金属リチウム、リチウム合金等を
用いることができる。また、デンドライトの析出の危険
性を回避すべく、正極同様、リチウムイオンを吸蔵・離
脱できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加
えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔製の集
電体の表面に塗布乾燥することで負極合材層を形成させ
て作製することが望ましい。この場合、正極同様、必要
に応じて電極密度を高めるべくその負極合材層を圧縮し
てもよい。
【0015】その場合の負極活物質には、例えば、天然
黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成
体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができ
る。負極結着剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリ
デン等の含フッ素樹脂等を、これら活物質および結着剤
を分散させる溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン
等の有機溶剤を用いることができる。
【0016】上記正極と負極とを積層して電極体を形成
させるが、正極と負極との間には、正極と負極とを分離
し電解液を保持する機能を果たすセパレータを挟装す
る。セパレータには、ポリエチレン、ポリプロピレン等
の薄い微多孔膜を用いることができる。
【0017】非水電解液は、有機溶媒に電解質であるリ
チウム塩を溶解させたもので、有機溶媒としては、非プ
ロトン性有機溶媒、例えばエチレンカーボネート、プロ
ピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチル
カーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロ
ラクトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン
等の1種またはこれらの2種以上の混合溶媒を用いるこ
とができる。また、溶解させる電解質としては、Li
I、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiP
6、LiN(CF3SO22等のリチウム塩を用いるこ
とができる。
【0018】なお、上記セパレータと非水電解液という
構成に代えて、両者の機能を同時に果たすことのできる
ポリマーゲル電解質を用いることもできる。用いること
のできる高分子ポリマーとしては、ポリエチレンオキサ
イド、ポリメチルメタクリレート、ポリビニリデンフル
オライド等があり、この高分子ポリマーにあるいは必要
に応じこれらの高分子ポリマーを三次元架橋させたもの
に、上記から選ばれる任意の電解液を含ませてゲル状に
し、これを正極と負極との間に介在させればよい。した
がって、本明細書中、「セパレータ」と「非水電解液」
との組み合わせは、この「ポリマーゲル電解質」をも含
むことを意味する。
【0019】以上の構成要素によって電池系が構成され
る本発明のリチウム二次電池であるが、その形状は円筒
型、積層型、コイン型等、種々のものとすることができ
る。いずれの形状を採る場合であっても、上記構成要素
を電池ケースに収納し、正極集電体および負極集電体か
ら外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電
用リード等を用いて接続し、電池ケースを密閉して電池
系を外部と離隔する。
【0020】〈油分およびその添加〉本発明のリチウム
二次電池の特徴部分は電池系内に添加する油分である。
この油分は、脂質、鉱油、合成油から選ばれる少なくと
も1種からなり、非水電解液に対して不溶性のものであ
る。この非水電解液に不溶性の油分が、上述したよう
に、電池系内において正極、負極表面に付着して被膜を
形成し、劣化の原因となる副反応を抑制する。ここで、
「不溶性」とは、まったく溶解しないものの他、極めて
溶解度の低いものをも含むことを意味する。
【0021】油分については、具体的にどのものが優れ
ているとは、現在のところ確証はないが、本発明者が行
った数々の実験の結果、脂質では、不飽和脂肪酸あるい
は脂肪酸から選ばれる少なくとも1種以上を含むことが
望ましく、鉱油では、パラフィン、ナフテン、芳香族炭
化水素から選ばれる少なくとも1種以上を含むことが望
ましく、また、合成油では、オレフィン、脂肪族炭化水
素、フッ化炭化水素、シリコン油等から選ばれる1種以
上を含むことが望ましいことが、それぞれ確認できてい
る。
【0022】リチウム電池の製造プロセスのいずれかの
段階で上記油分は電池系内に添加されるが、その添加す
る電池系の部位(構成要素)については、特に限定する
ものではない。いずれの部位に添加した場合であって
も、電池完成後、非水電解液を介して移動して電池系全
体に行き渡り、正極、負極表面に付着する。
【0023】しかし、電極表面と非水電解液との副反応
を防止するという目的から、正極および負極の少なくと
もいずれかの表面に直接添加するのがよい。したがっ
て、上記基本構成において説明したように、リチウム遷
移金属複合酸化物を正極活物質とし、そのリチウム遷移
金属複合酸化物を結着剤で結着して形成された正極にお
いては、油分は、その正極に含浸されていることが望ま
しい。また、負極は電池反応の電位が低く、副反応も生
じ易い。この観点からすれば、負極に上記油分を含むよ
うに構成することが望ましく、上記基本構成において説
明したように、炭素物質を負極活物質とし、その炭素物
質を結着剤で結着して形成された負極においては、油分
は、その負極に含浸されていることが望ましい。負極に
含浸させる場合は、炭素物質の表面に充分なる油分の被
膜が形成され、よりサイクル特性の良好なリチウム二次
電池となる。
【0024】上記の正極および負極への油分の含浸方法
は、特に限定するものではないが、具体的には例えば、
電極完成後、容器に貯溜された油分中に電極を浸漬して
加圧減圧を繰り返す、油分を電極の表面に塗布して減圧
下に放置するといった方法にて行えばよい。含浸後は、
余剰の油分を電極から除去することが望ましい。なお、
セパレータに含浸させる場合も同様の方法にて行えばよ
い。なお、電極またはセパレータへの含浸は、上述した
電極体形成後に行うものであってもよい。
【0025】正極または負極に含浸させる場合、含浸さ
せる油分の量は、適正な範囲であることが望ましい。含
浸させる油分の量が少なすぎる場合は、充分な効果が得
られず、また、多すぎる場合は、電池内部抵抗の増大を
きたし、電池容量が減少してしまう。ちなみに実験によ
り明らかにした値であるが、その適正範囲は、リチウム
遷移金属複合酸化物を正極活物質とする正極の場合、そ
のリチウム遷移金属複合酸化物の重量を100wt%と
した場合における0.1〜2wt%とすることが好まし
く、また、炭素物質を負極活物質とする負極の場合、そ
の炭素物質の重量を100wt%とした場合における
0.2〜5wt%とすることが好ましい。
【0026】電極に含浸させる方法に代え、非水電解液
に混合して添加する方法を採用することもできる。非水
電解液に混合添加する方法は、極めて簡便であり、油分
の添加のためのコストが極めて小さく、リチウム二次電
池を安価なものとすることができる。具体的には、非水
電解液に上記油分を滴下等して混合し、充分な攪拌を行
い、乳化液に近い状態の混合液とし、その混合液を電池
ケース内に注入すればよい。
【0027】非水電解液に油分を混合添加する方式を採
用する場合、その添加割合を適正な範囲とすることが望
ましい。その添加割合の適性範囲は、非水電解液を10
0wt%とした場合の1wt%以上2.5wt%以下で
ある。1wt%未満の場合は、適正範囲のものと比較し
て、油分の添加によるサイクル特性改善の効果が充分に
は期待できず、また、2.5wt%を超える場合は、サ
イクル特性は良好ではあるものの、初期から電池の内部
抵抗が大きく、初期容量も小さくなりすぎるからであ
る。なお、この初期内部抵抗の上昇、初期容量の低下
は、セパレータ細孔の油分での閉塞、活物質表面に被覆
した油膜の増厚によるイオン導電率の低下等によるもの
と考えられる。
【0028】以上、本発明のリチウム二次電池の実施形
態について説明したが、上述した実施形態は一実施形態
にすぎず、本発明のリチウム二次電池は、上記実施形態
を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改
良を施した種々の形態で実施することができる。
【0029】
【実施例】上記実施形態に基づいて、基本構成を同じと
するリチウム二次電池であって、添加する油分の種類、
添加部位、添加量を変更した種々のリチウム二次電池を
作製した。それらのリチウム二次電池に対して充放電サ
イクル試験を行い、本発明のリチウム二次電池の優秀性
を確認した。以下、本実施例の項目において、それらに
ついて掲げる。
【0030】〈作製したリチウム二次電池の基本構成〉
正極は、組成式LiNi0.8Co0.15Al0.052で表さ
れる層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物を正極活
物質とした。まず、このリチウムニッケル複合酸化物の
85重量部に、導電材としてアセチレンブラックを10
重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを5重量部
混合し、溶剤として適量のN−メチル−2−ピロリドン
を添加してペースト状の正極合材を調整した。次いで、
この正極合材を厚さ20μmのアルミニウム箔製集電体
の両面に塗布し、乾燥させ、ロールプレスにて密度を高
めて、正極合材層の厚さが片面あたり40μmととなる
シート状の正極を作製した。なお、シート状の正極は、
その面積が54mm×450mmのものとした。
【0031】負極は、人造黒鉛を負極活物質とした。ま
ず、この人造黒鉛の95重量部に、結着剤としてポリフ
ッ化ビニリデンを5重量部混合し、正極同様、溶剤とし
て適量のN−メチル−2−ピロリドンを添加してペース
ト状の負極合材を調整した。次いで、正極同様、この負
極合材を厚さ10μmの銅箔製集電体の両面に塗布し、
乾燥させ、ロールプレスにて密度を高めて、負極合材層
の厚さが片面あたり50μmととなるシート状の負極を
作製した。なお、シート状の負極は、その面積が56m
m×500mmのものとした。ちなみに、正極容量に対
する負極容量の比は1.2となるように設定した。
【0032】上記正極および負極をその間に厚さ25μ
m、幅58mmのポリエチレンセパレータを挟装して捲
回し、ロール状の電極体を形成し、次いで、この電極体
を、非水電解液とともに18650型電池ケースに挿設
し、リチウム二次電池を完成させるものとした。用いた
非水電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボ
ネートとを体積比1:1で混合した混合溶媒に、LiP
6を1Mの濃度で溶解させたものを使用することとし
た。
【0033】〈実施例1〉本実施例は、上記基本構成の
電池系を有し、かつ、種々の油分を負極に含浸させて添
加したリチウム電池に関する実施例である。用いた油分
は、それぞれ、鉱油(豊田ケミカルエンジニアリング
製;150ニュートラル;主成分はパラフィン)、合成
油(Mobil製;SHF61;主成分はポリアルファ
オレフィン)、脂質(日清製油製;サラダ油;主成分は
脂肪酸)である。これら油分の含浸は、シート状の負極
の表面にそれぞれの油分を塗布し、減圧下で1Hr放置
するものとした。また、含浸させた油分の量は、いずれ
も、負極活物質である人造黒鉛の重量を100wt%と
した場合における5wt%の量とした。
【0034】鉱油を含浸させた負極を用いたリチウム二
次電池を実施例1−1のリチウム二次電池と、同様に、
合成油を含浸させた負極を用いたリチウム二次電池を実
施例1−2のリチウム二次電池と、脂質を含浸させた負
極を用いたリチウム二次電池を実施例1−3のリチウム
二次電池とした。なお、これらと比較するために、油分
を電池系のいずれの構成要素にも添加していないリチウ
ム二次電池をも作製し、これを比較例のリチウム二次電
池とした。
【0035】〈実施例2〉本実施例は、上記基本構成の
電池系を有し、かつ、油分を正極に含浸させて添加した
リチウム電池に関する実施例である。用いた油分は、上
記油分のうちの合成油である。油分の含浸は、上記実施
例1の場合と同様、シート状の正極の表面に合成油を塗
布し、減圧下で1Hr放置するものとした。また、含浸
させた油分の量は、正極活物質であるリチウムニッケル
複合酸化物の重量を100wt%とした場合における2
wt%の量とした。本リチウム二次電池を実施例2−1
のリチウム二次電池とした。
【0036】〈実施例3〉本実施例は、上記基本構成の
電池系を有し、かつ、油分を種々の添加割合で非水電解
液に混合して添加したリチウム電池に関する実施例であ
る。用いた油分は、上記油分のうちの合成油である。非
水電解液を100wt%とした場合の合成油の添加割合
が1wt%のものを実施例3−1のリチウム二次電池と
し、同様に、2.5wt%のものを実施例3−2のリチ
ウム二次電池とし、5wt%のものを実施例3−1のリ
チウム二次電池とした。
【0037】〈充放電サイクル試験〉上記実施例および
比較例のリチウム二次電池に対して、まず、コンディシ
ョニングを行った。コンディショニングの条件は、20
℃の温度下、電流密度(正極面積当たりの電流密度を意
味する。以下同様)0.2mAの定電流で充電終止電圧
4.1Vまで充電を行い、次いで、電流密度0.2mA
の定電流で放電終止電圧3.0Vまで放電を行うものと
した。
【0038】コンディショニングの終了したそれぞれの
リチウム二次電池を充放電サイクル試験に供した。充放
電サイクル試験の条件は、電流密度0.2mAの定電流
で充電終止電圧4.1Vまで充電後、電流密度0.2m
Aの定電流で放電終止電圧3.0Vまで放電を行うもの
を1サイクルとし、このサイクルを、まず20℃の温度
下で5サイクル行い(初期サイクル)、次いで電池の実
使用温度の上限と目される60℃の高温下で500サイ
クル行い(耐久サイクル)、さらに20℃の温度下で5
サイクル行う(終期サイクル)ものとした。
【0039】この充放電サイクル試験において、20℃
における評価値として、それぞれの二次電池の常温初期
容量(初期サイクルにおける1サイクル目の放電容量
(放電容量は正極活物質単位重量あたりの放電容量とす
る。以下、同様))、常温初期抵抗(初期サイクルにお
ける1サイクル目の電池内部抵抗)を測定した。なお、
電池内部抵抗は、そのサイクルにおいて、[(充電平均
電圧−放電平均電圧)/(充放電電流密度×正極面積×
2)]という式を用いて計算で求めた値を採用した(以
下同様)。
【0040】また、60℃における評価値として、それ
ぞれの二次電池の高温初期容量(耐久サイクルにおける
1サイクル目の放電容量)、高温初期抵抗(耐久サイク
ルにおける1サイクル目の電池内部抵抗)測定し、さら
に、耐久サイクル後においても高温耐久後容量(耐久サ
イクルにおける500サイクル目の放電容量)、高温耐
久後抵抗(耐久サイクルにおける500サイクル目の電
池内部抵抗)を測定した。そして最後に、常温耐久後容
量(終期サイクルにおける5サイクル目の放電容量)、
常温耐久後抵抗(終期サイクルにおける5サイクル目の
電池内部抵抗)をも測定した。
【0041】これらの測定値を基に、20℃における評
価値として、常温容量維持率(常温耐久後容量/常温初
期容量×100%)および常温抵抗増加率(常温耐久後
抵抗/常温初期抵抗×100%)を、60℃における評
価値として、高温容量維持率(高温耐久後容量/高温初
期容量×100%)および高温抵抗増加率(高温耐久後
抵抗/高温初期抵抗×100%)を算出した。
【0042】〈サイクル特性の評価〉実施例1のそれぞ
れのリチウム二次電池のサイクル特性を評価すべく、常
温初期容量、常温初期抵抗、および高温初期容量、高温
初期抵抗を下記表1に、また、常温容量維持率、常温抵
抗増加率、および高温容量維持率、高温抵抗増加率を下
記表2に、比較例のリチウム二次電池のそれらとともに
それぞれ示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】上記表1から判るように、鉱油、合成油、
脂質のいずれの油分を負極に含浸させて添加したリチウ
ム二次電池も、油分を添加していないリチウム二次電池
と比較して、20℃および60℃の両評価温度につい
て、初期容量が小さく、また初期抵抗が大きくなってい
る。しかし、初期容量および初期抵抗の差はいずれも小
さく、いずれの油分を負極に含浸添加しても、電池性能
が大きく低下しないことが確認できる。
【0046】これに対し、上記表2から判るように、鉱
油、合成油、脂質のいずれの油分を負極に含浸させて添
加したリチウム二次電池も、油分を添加していないリチ
ウム二次電池と比較して、20℃および60℃の両評価
温度について、容量維持率がかなり大きく、また抵抗増
加率がかなり小さくなっており、60℃という苛酷な温
度下での充放電サイクルを経た後でも、良好な電池性能
を有していることが確認できる。このことから、油分を
負極に含浸添加した本発明のリチウム二次電池は、良好
なサイクル特性を有するリチウム二次電池であることが
証明された。
【0047】なお、鉱油、合成油、脂質をそれぞれ添加
したリチウム二次電池の間では、20℃および60℃の
両評価温度について、初期容量、初期抵抗、容量維持率
および抵抗増加率の値に大差はない。したがって、油分
の種類については、鉱油、合成油、脂質のいずれかを用
いる限り、充分なるサイクル特性の向上効果が得えられ
ることが確認できる。
【0048】次いで、実施例2のリチウム二次電池のサ
イクル特性を評価すべく、常温初期容量、常温初期抵
抗、および高温初期容量、高温初期抵抗を下記表3に、
また、常温容量維持率、常温抵抗増加率、および高温容
量維持率、高温抵抗増加率を下記表4に、比較例のリチ
ウム二次電池のそれらとともにそれぞれ示す。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】上記表3から判るように、合成油を正極に
含浸させて添加したリチウム二次電池は、実施例1のリ
チウム二次電池と同様、油分を添加していないリチウム
二次電池と比較して、20℃および60℃の両評価温度
について、初期容量が小さく、また初期抵抗が大きくな
っている。しかし、やはり実施例1のリチウム二次電池
と同様、初期容量および初期抵抗の差はいずれも小さ
く、油分を正極に含浸添加した場合であっても、電池性
能が大きく低下しないことが確認できる。
【0052】また、上記表4から判るように、合成油を
正極に含浸させて添加したリチウム二次電池は、油分を
添加していないリチウム二次電池と比較して、20℃お
よび60℃の両評価温度について、容量維持率がかなり
大きく、また抵抗増加率がかなり小さくなっており、実
施例1のリチウム二次電池と同様、60℃という苛酷な
温度下での充放電サイクルを経た後でも、良好な電池性
能を有していることが確認できる。このことから、油分
を正極に含浸添加した本発明のリチウム二次電池は、良
好なサイクル特性を有するリチウム二次電池であること
が証明された。
【0053】実施例1のそれぞれの二次電池と実施例2
の二次電池との結果を総合して考察すれば、いずれかの
電極に含浸させて油分を添加することで良好なサイクル
特性が得られることが確認できる。なお、上記表1にお
ける実施例1のリチウム二次電池の容量維持率および抵
抗増加率と上記3における実施例2のリチウム二次電池
のそれらを比較すれば、実施例1のリチウム二次電池の
ほうがより優れた値を示していることから、負極に含浸
して添加するほうがより良好なサイクル特性が得られる
ことが確認できる。
【0054】さらに、実施例3のそれぞれのリチウム二
次電池のサイクル特性を評価すべく、常温初期容量、常
温初期抵抗、および高温初期容量、高温初期抵抗を下記
表5に、また、常温容量維持率、常温抵抗増加率、およ
び高温容量維持率、高温抵抗増加率を下記表6に、比較
例のリチウム二次電池のそれらとともにそれぞれ示す。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】上記表6から判るように、合成油を非水電
解液に混合添加したいずれのリチウム二次電池も、油分
を添加していないリチウム二次電池と比較して、20℃
および60℃の両評価温度について、容量維持率がかな
り大きく、また抵抗増加率がかなり小さくなっており、
60℃という苛酷な温度下での充放電サイクルを経た後
でも、良好な電池性能を有していることが確認できる。
さらに、油分の添加割合を大きくするにつれ、サイクル
特性がより良好になることが判る。
【0058】ただし、上記表5から判るように、非水電
解液への油分の添加割合が5wt%程度に大きくなる場
合、20℃および60℃の両評価温度について、初期容
量がかなり小さく、また初期抵抗がかなり大きくなって
しまう。このことから、非水電解液に油分を添加する場
合、その添加割合を制御することで、初期における電池
性能とサイクル特性の両者のバランスのとれた実用的な
リチウム二次電池が得られることが確認できる。
【0059】以上すべての結果を総合すれば、いずれか
の油分を電池系内のいずれかの部位に添加することで、
そのリチウム二次電池はサイクル特性の良好なリチウム
二次電池となることが推認でき、また、充放電サイクル
試験が60℃という高温耐久サイクルを経て行われてい
ることから考えれば、油分の添加により、高温環境下で
の使用におけるサイクル特性、つまり高温サイクル特性
に優れたリチウム二次電池であることが確認できる。
【0060】
【発明の効果】本発明は、リチウム二次電池を、そのリ
チウム二次電池の電池系内に油分を添加して構成するも
のである。このような構成をもつ本発明のリチウム二次
電池は、サイクル特性および高温サイクル特性に優れた
リチウム二次電池となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ05 AJ14 AK03 AL06 AL07 AL08 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 CJ08 DJ04 DJ09 HJ01 5H050 AA07 AA19 CA08 CA09 CB07 CB08 CB09 DA09 EA22 FA17 GA10 HA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウムを吸蔵・脱離可能な正極および
    負極と、非水電解液と、該正極と負極とを離隔し該非水
    電解液を保持可能なセパレータとを備えて電池系を構成
    するリチウム二次電池であって、 前記電池系内に、脂質、鉱油、合成油から選ばれる少な
    くとも1種からなり前記非水電解液に対して不溶性の油
    分を含むことを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 前記正極は、正極活物質となるリチウム
    遷移金属複合酸化物を結着剤で結着して形成されてお
    り、 前記油分は、該正極に含浸されている請求項1に記載の
    リチウム二次電池。
  3. 【請求項3】 前記負極は、負極活物質となる炭素物質
    を結着剤で結着して形成されており、 前記油分は、該負極に含浸されている請求項1に記載の
    リチウム二次電池。
  4. 【請求項4】 前記油分が前記非水電解液に混合して添
    加されている請求項1に記載のリチウム二次電池。
  5. 【請求項5】 前記油分の添加割合が前記非水電解液を
    100wt%とした場合の1wt%以上2.5wt%以
    下である請求項4に記載のリチウム二次電池。
JP2000143234A 2000-05-16 2000-05-16 リチウム二次電池 Pending JP2001325987A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000143234A JP2001325987A (ja) 2000-05-16 2000-05-16 リチウム二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000143234A JP2001325987A (ja) 2000-05-16 2000-05-16 リチウム二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001325987A true JP2001325987A (ja) 2001-11-22

Family

ID=18650082

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000143234A Pending JP2001325987A (ja) 2000-05-16 2000-05-16 リチウム二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001325987A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003090296A1 (fr) * 2002-04-19 2003-10-30 Sony Corporation Pile

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003090296A1 (fr) * 2002-04-19 2003-10-30 Sony Corporation Pile
US7214445B2 (en) 2002-04-19 2007-05-08 Sony Corporation Battery

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10141559B2 (en) Porous interlayer for a lithium-sulfur battery
KR102247370B1 (ko) 리튬-이온 전기화학 전지, 그의 구성요소, 및 그의 제조 및 사용 방법
RU2531558C2 (ru) Отрицательный электрод для аккумуляторной батареи и способ его изготовления
JP4049328B2 (ja) リチウム二次電池用陰極およびこれを含むリチウム二次電池
RU2686477C9 (ru) Электрический аккумулятор
US20190058211A1 (en) Ether-based electrolyte system improving or supporting anodic stability of electrochemical cells having lithium-containing anodes
JP2001110418A (ja) リチウム二次電池用正極およびそれを用いたリチウム二次電池
JP2016506055A (ja) リチウム−硫黄電池用正極活物質およびその製造方法
JP5396185B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2003197253A (ja) 非水電解質二次電池
JP2012182012A (ja) リチウム二次電池用電極およびそれを用いたリチウム二次電池
JP6965932B2 (ja) 蓄電デバイス用電極及びその製造方法
JP2002260634A (ja) リチウム二次電池
JP2003242964A (ja) 非水電解質二次電池
CN112074985A (zh) 锂离子二次电池
JP2001052699A (ja) リチウム二次電池
JPH1167273A (ja) リチウム二次電池
JP2000228199A (ja) 非水電解液二次電池
JP2002184458A (ja) リチウム二次電池
JP2002117832A (ja) リチウム二次電池
JP4161437B2 (ja) リチウム電池
JP2002367675A (ja) 非水電解質電池
JP2004296305A (ja) リチウムイオン2次電池
JP5426809B2 (ja) 二次電池、二次電池を用いた電子機器及び輸送用機器
JP2001325987A (ja) リチウム二次電池