JP2001323085A - 過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法 - Google Patents

過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法

Info

Publication number
JP2001323085A
JP2001323085A JP2000148633A JP2000148633A JP2001323085A JP 2001323085 A JP2001323085 A JP 2001323085A JP 2000148633 A JP2000148633 A JP 2000148633A JP 2000148633 A JP2000148633 A JP 2000148633A JP 2001323085 A JP2001323085 A JP 2001323085A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superheated steam
rubber
organic material
pretreatment
steam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000148633A
Other languages
English (en)
Inventor
Kaoru Kobayashi
馨 小林
Keigo Matsumoto
圭吾 松本
Toshinari Tenou
俊成 天王
Taizo Kawamura
泰三 川村
Yoshitaka Uchibori
義隆 内堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nishikawa Rubber Co Ltd
Seta Giken KK
Original Assignee
Nishikawa Rubber Co Ltd
Seta Giken KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nishikawa Rubber Co Ltd, Seta Giken KK filed Critical Nishikawa Rubber Co Ltd
Priority to JP2000148633A priority Critical patent/JP2001323085A/ja
Publication of JP2001323085A publication Critical patent/JP2001323085A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有害な有機溶剤を用いない前処理方法として
過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂又はスポンジゴム又はゴム
等の有機材料の表面に過熱水蒸気を作用させる過熱水蒸
気を用いた有機材料の前処理方法である。過熱水蒸気に
よる前処理を施すと、有機材料の表面の汚れを十分に除
去できる。このため、前処理に有機溶剤を使用する必要
がなくなり、有機溶剤揮発による作業環境の悪化を防止
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機材料の前処理
方法に関し、特に、熱可塑性樹脂又は熱可塑性弾性体又
はスポンジゴム又はゴムの塗装前や接着前に、過熱水蒸
気を用いて前処理を施す方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム等の有機材料の表面に存在する油
分、加硫促進剤の反応生成物、ゴミ等の汚れは、塗膜の
一次物性を阻害すると共に、塗膜の耐久性や塗装面の外
観、接着強度に影響を与えるため、従来から塗装や接着
を行うに際しては、ゴム等の有機材料の表面に付着した
汚れを十分に除去する前処理が行われている。この前処
理を行わずに、ゴム等の有機材料の表面に汚れが付着し
たまま粗雑な塗装を行うと、塗膜のはじき、はがれが発
生し、塗膜性能を著しく低下させる。また、前処理を行
わずに、ゴム等の有機材料の表面に汚れが付着したまま
接着を行うと、接着強度を著しく低下させる。このた
め、従来から油分、加硫促進剤の反応生成物、ゴミ等の
汚れを十分に除去するための前処理として、有機溶剤を
用いて汚れを除去する化学的な除去方法が行われてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、化学的
な除去方法により前処理を行うと、有機溶剤の揮発によ
る作業環境の悪化という問題点がある。
【0004】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
であって、その目的とするところは、有害な有機溶剤を
用いない前処理方法として過熱水蒸気を用いた有機材料
の前処理方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
発明者は、鋭意検討の結果、塗装の前処理である化学的
な除去方法に代えて、過熱水蒸気を用いて前処理を行う
と、ゴム等の有機材料の表面に付着した汚れを十分に除
去できるという知見を得た。この理由についてさらに検
討、考察した結果、過熱水蒸気は、ゴムの表面の油分等
をより効果的に揮発させると共に、過熱水蒸気の分子
は、非常に小さく、ゴム等の有機材料の内側まで容易に
進入できるため、表面に近いところの油分や各種加硫促
進剤の反応生成物を洗い流す効果が高いという知見を得
た。
【0006】上記知見に基づいた請求項1記載の発明
は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性弾性体又はスポンジゴム
又はゴム等の有機材料の表面に過熱水蒸気を作用させる
過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法である。
【0007】過熱水蒸気による前処理を施すと、熱可塑
性樹脂又は熱可塑性弾性体又はスポンジゴム又はゴム等
の有機材料の表面の汚れが十分に除去される。即ち、過
熱水蒸気は、一般的に脱油作用を有することが知られて
いるが、過熱水蒸気を用いて前処理を行うと、脱油作用
に加えて、各種加硫促進剤の反応生成物を洗い流す効果
がある。このように、熱可塑性樹脂又は熱可塑性弾性体
又はスポンジゴム又はゴム等の有機材料の表面の汚れを
十分に除去できるため、この有機材料に塗装する場合、
有機溶剤やバフ掛け等無しに塗装後の有機材料と塗膜の
密着強度を十分に確保できる。また、有機材料を接着す
る場合も、有機溶剤やバフ掛け等無しに接着後の有機材
料の接着強度を十分に確保できる。さらに、前処理に有
機溶剤を使用しないため、有機溶剤揮発による作業環境
の悪化はない。このため、環境に優しい前処理が可能に
なる。
【0008】尚、スポンジゴム又はゴムの表面に過熱水
蒸気を作用させる場合、本発明に係る前処理は、加硫さ
れたスポンジゴム又はゴムに対して行う場合と、加硫と
同時に前処理を行う場合が含まれる。
【0009】また、前記過熱水蒸気による熱可塑性樹脂
又は熱可塑性弾性体又はスポンジゴム又はゴム等に前処
理を施す時間は、200℃以上の温度で10秒以上作用
させると、ブリード等の表面汚れを除去できる。好まし
くは、200℃以上の温度で30秒以上がよい。
【0010】また、前記過熱水蒸気を所定量作用させて
前処理するのが好ましい。過熱水蒸気を作用させる量を
多くすると、前処理時間を短縮できる。
【0011】請求項2記載の発明は、スポンジゴム又は
ゴム等の有機材料の表面に過熱水蒸気を作用させながら
発泡加硫を行う過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方
法である。
【0012】過熱水蒸気を作用させて発泡加硫を行う
と、スポンジゴム又はゴムの表面に近いところまで気泡
が生じる。その結果、スポンジゴム又はゴムの表面に凹
凸が多く存在する。このため、本発明を塗装の前処理に
使用した場合、塗膜した際に塗料分がスポンジゴム又は
ゴムの表面の凹凸に入り込み、塗膜とスポンジゴム又は
ゴムの密着強度を十分に確保できる。また、本発明を接
着の前処理に使用した場合、接着の際に接着剤がスポン
ジゴム又はゴムの表面の凹凸に入り込み、スポンジゴム
又はゴムの密着強度を十分に確保できる。さらに、前処
理に有機溶剤を使用しないため、有機溶剤揮発による作
業環境の悪化はない。このため、環境に優しい前処理が
可能になる。
【0013】請求項3記載の発明は、前記過熱水蒸気
は、電磁誘導加熱により水蒸気を過熱して得られたもの
である請求項1又は請求項2記載の過熱水蒸気を用いた
有機材料の前処理方法である。電磁誘導加熱により過熱
された過熱水蒸気は、電磁誘導加熱により発熱した発熱
体に水蒸気を接触させることによって得られる過熱水蒸
気であり、水蒸気が直接過熱されるのではない。
【0014】請求項4記載の発明は、前記過熱水蒸気
は、多数の板を積層して通路を形成した積層体を電磁誘
導加熱し、この加熱された積層体の通路に水蒸気を流し
て過熱することにより得られる請求項1乃至請求項3の
いずれかに記載の過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理
方法である。電磁誘導による磁場及び電場が高密度に作
用する積層体で水蒸気を過熱すると、通常のボイラーや
電熱ヒータを用いて過熱した場合に比べて、出来た過熱
水蒸気は活性化されている可能性があり、このような過
熱水蒸気により有機材料の表面の汚れを十分に除去でき
る。
【0015】請求項5記載の発明は、前記有機材料の全
体又は一部に前記過熱水蒸気を吹きつける工程を含む請
求項1乃至請求項4のいずれかに記載の過熱水蒸気を用
いた有機材料の前処理方法である。ノズル等から過熱水
蒸気をシャワーのように有機材料の表面に吹きつけるこ
とにより、有機材料の表面の油分、各種加硫促進剤の反
応生成物を効果的に揮発させることができる。また、加
硫前にノズル等から過熱水蒸気をスポンジゴムの表面に
直接吹きつけることにより、スポンジゴムを部分的に加
熱すると、スポンジゴムの連続押出加硫の際に発生する
カール現象を制御することが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施形態とし
て、本発明に係る過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理
方法を、ゴムの塗装に使用する場合を例に説明する。ま
た、前処理と加硫を同時に行う場合を例に説明する。
【0017】前処理工程 ゴムを加硫する際の加硫の熱媒体として過熱水蒸気を使
用し、加硫炉内に過熱水蒸気を送風する。加硫炉内で
は、100〜300℃の過熱水蒸気だけが充満した過熱
水蒸気雰囲気下に生ゴムを晒し、ゴムの表面に過熱水蒸
気を作用させる。ゴムの表面に過熱水蒸気を作用させる
と、過熱水蒸気の分子は、非常に小さいのでゴムの内側
まで容易に進入しゴムの表面に近いところの油分、各種
加硫促進剤、発泡剤の分解残査を洗い流す。このため、
加硫と同時にゴムの表面に付着した汚れを十分に除去で
きる。このように、ゴムの表面に過熱水蒸気を作用させ
ながら所定時間経過すると、前処理を兼ねた加硫を終了
する。
【0018】塗装工程 次に、加硫炉から加硫済のゴムを取り出して、ゴムの表
面に塗装を施す。
【0019】乾燥工程 ゴムの表面に塗装を施した後、過熱水蒸気だけが充満し
た過熱水蒸気雰囲気下で、塗膜に対して均等に約100
℃〜300℃の過熱水蒸気を所定時間吹きつけて、塗料
を乾燥、硬化させる。このように、塗膜に過熱水蒸気を
作用させると、加熱空気で乾燥させる場合よりも乾燥時
間を短縮できる。乾燥時間を短縮できるのは、塗膜に過
熱水蒸気を作用させると、加熱空気により乾燥させる場
合よりも、塗膜中の溶媒がより早く揮発するためであ
る。また、過熱水蒸気が持つ比熱が加熱空気よりも高い
ことに加えて放射伝熱効果があり、より塗膜の硬化に有
効だからである。さらに、酸素が遮断された雰囲気下で
塗膜を硬化させるため、塗膜の酸化劣化を防止でき、塗
膜性能の高いゴムを得ることができる。
【0020】尚、過熱水蒸気の温度を100〜300℃
の範囲として説明したが、好ましくは、200℃以上の
過熱水蒸気を用いるのが良い。また、過熱水蒸気の雰囲
気下にゴムを晒してゴムの表面に過熱水蒸気を作用させ
る場合に限られず、ゴムの表面に過熱水蒸気を直接吹き
つけてゴムの表面に過熱水蒸気を作用させてもよい。ま
た、本第1実施形態では、加硫しながら前処理する場合
を例に説明したが、これに限られず、一旦、加硫した
後、前処理を行ってもよい。
【0021】また、乾燥工程では、過熱水蒸気を作用さ
せることにより、塗料を乾燥、硬化させるとして説明し
たが、これに限定されるものではなく、加熱空気により
塗料を乾燥、硬化させてもよい。
【0022】次に、本第1実施形態に係る過熱水蒸気を
用いた有機材料の前処理方法に使用できる前処理を兼ね
た加硫装置の一例を図1に基づいて説明する。図1に示
すように、前処理を兼ねた加硫装置1は、押出機2と、
加硫炉3と、引取機4と、循環ファン5と、過熱水蒸気
発生部6と、排気ファン7と、有害物質除去機8とを備
えている。
【0023】押出機2は、加硫炉3に接続されており、
生ゴムを押し出しながら成形し、加硫炉3に生ゴムを供
給するようになっている。加硫炉3は、成形された生ゴ
ムを一定の温度まで昇温し、その状態を所定期間保持す
るようになっている。この加硫炉3において、生ゴムを
昇温するための熱媒体として過熱水蒸気が用いられる。
このため、加硫炉3内は、過熱水蒸気だけが充満した状
態になっており、空気が含まれない状態になっている。
引取機4は、加硫炉3の下流側に接続されており、加硫
されたゴムを加硫炉3から引き取るものである。
【0024】循環ファン5は、加硫炉3に対してループ
状に接続されており、加硫炉3に熱媒体である過熱水蒸
気を送風するようになっている。排気ファン7は、加硫
炉3の下流側に接続されており、加硫炉3内の過熱水蒸
気を排気し、有害物質除去機8に送るようになってい
る。有害物質除去機8は、排気ファン7から送られた排
ガスから有害物を除去するものである。
【0025】過熱水蒸気発生部6は、循環ファン5と加
硫炉3とのループの外に接続されており、加硫炉3から
排出された過熱水蒸気が過熱水蒸気発生部6を通過しな
いように接続されている。このため、排出された過熱水
蒸気に含まれる汚れやゴミ等が過熱水蒸気発生部6に入
り込みにくい。
【0026】過熱水蒸気発生部6は、電磁誘導加熱部1
1、12と高周波電源19とを備える電磁誘導過熱装置
10(図2参照)と、図示されない水供給源とを備えて
おり、水供給源から電磁誘導加熱部11に水を供給し、
電磁誘導により、水から水蒸気へ加熱し、電磁誘導加熱
部12で水蒸気から過熱水蒸気へと2段階で過熱水蒸気
を発生させるようになっている。
【0027】図2に示すように、電磁誘導加熱部11、
12は、発熱体13、14と、コイル15、16と、非
磁性体のパイプ17、18とを備え、コイル15、16
は高周波電源19に接続されている。
【0028】発熱体13、14は、円筒状に形成された
非磁性体のパイプ17、18に収容されており、高周波
電源19からコイル15、16に電力が供給されると、
渦電流を発生し、発熱するようになっている。
【0029】パイプ17、18は、発熱体13、14を
収容すると共に、流体の通路を形成する。このパイプ1
7、18は、非磁性体で耐熱性に優れたセラミックス製
のパイプで、例えば、窒化珪素で形成されている。
【0030】コイル15、16は、パイプ17、18の
外周に巻かれており、発熱体に磁束を透過させるように
なっている。高周波電源19は、高周波インバータであ
り、コイル15及び加硫炉3内の温度センサーや循環系
内の温度センサーに接続されており、温度センサーが検
出した温度に応じてコイル15、16に電力を供給し、
発熱体を発熱させるようになっている。
【0031】以上のように、電磁誘導加熱装置10は、
まず、電磁誘導加熱部11で水を水蒸気に加熱し、次
に、電磁誘導加熱部12で水蒸気を所定温度の過熱水蒸
気まで加熱するようになっている。電磁誘導加熱装置1
0は、過熱水蒸気の温度制御を容易に行うことができ、
また、小型化できるため、過熱水蒸気発生部3を小型化
することができる。尚、水から水蒸気に加熱する段階で
は、電磁誘導加熱によらなくても、通常のボイラーや電
熱ヒータを用いて水から水蒸気に加熱してもよい。
【0032】次に、上記の前処理を兼ねた加硫装置1を
用いて、塗装の前処理を行う場合を図1に基づいて説明
する。押出機2から生ゴムを押し出しながら成形し、成
形された生ゴムを加硫機3に送る。加硫機3に生ゴムが
送られると、過熱水蒸気発生部3において、図示されな
い水供給源から電磁誘導加熱部11に水が供給され、水
蒸気まで加熱される。そして、この水蒸気が電磁誘導加
熱部12で100〜300℃の所定温度の過熱水蒸気ま
で過熱される。
【0033】尚、100〜300℃以上の所定温度の過
熱水蒸気まで過熱される際、高周波電源19は、加硫炉
3内の温度センサーが検出した加硫炉3内の過熱水蒸気
の温度や循環系内の温度センサーが検出した循環系内の
過熱水蒸気の温度に応じてコイル15、16に電力を供
給し、発熱体13、14を発熱させる。発熱体13、1
4は、渦電流を発生して発熱し、水蒸気を200℃以上
の所定温度の過熱水蒸気まで過熱する。電磁誘導加熱装
置10によれば、過熱水蒸気の温度制御が容易である。
【0034】このように、過熱された過熱水蒸気を熱媒
体として加硫炉3内に送風する。生ゴムは、加硫炉3内
で100〜300℃の過熱水蒸気だけが充満した過熱水
蒸気雰囲気下に晒されるため、ゴムの表面に過熱水蒸気
が作用する。ゴムの表面に作用する過熱水蒸気の分子
は、非常に小さいのでゴムの内側まで容易に進入しゴム
の表面に近いところの油分、各種加硫促進剤、発泡剤の
分解残査を洗い流す。このため、加硫と同時にゴムの表
面に付着した汚れを十分に除去できる。
【0035】加硫炉3内の過熱水蒸気の一部は、排気フ
ァン7により排気され、排ガスとして有害物質除去機8
に送られる。排ガスは、有害物質除去機8で無害化され
て排出される。一方、その他の過熱水蒸気は、過熱水蒸
気発生部6からの過熱水蒸気と合流して再び、循環ファ
ン5により加硫炉3内に送られる。循環系内の温度は、
過熱水蒸気発生部6から発生する過熱水蒸気の温度を調
整することにより循環系内の温度を制御する。以上のよ
うに、一連の工程によりゴムの前処理と加硫が同時に行
われ、所定時間経過すると、引取機4から加硫炉3内の
ゴムが引き取られる。そして、ゴムの表面に塗装を施
し、塗料を乾燥させる。
【0036】尚、循環系内の温度を制御する方法として
は、熱媒体である過熱水蒸気の温度を調整する方法と、
熱媒体である過熱水蒸気の送風量を調整する方法の2通
りがある。過熱水蒸気の送風量を調整して循環系内の温
度を制御すると、ゴムの昇温時間やゴムを交換する際等
の循環系内に負荷が生じる場合に、加硫炉内に空気が入
りこみやすくなり、酸素を遮断した状態で加硫するパー
オキサイド架橋に適さない。これに対して、熱媒体であ
る過熱水蒸気の温度を調整することにより循環系内の温
度を制御すると、加硫炉3内を、酸素を遮断した雰囲気
下に保つつことができるため、酸素を遮断した状態で加
硫するパーオキサイド架橋に適する。
【0037】次に、発熱体13、14として積層体を用
いた場合を説明する。例えば、図3に示すように、ジグ
ザグの山型に折り曲げられた第1金属板31と平らな金
属板32とを交互に積層し、全体として円筒状の積層体
に形成した発熱体30を図2に示す発熱体13、14の
例として用いた場合を説明する。各金属板31、32の
材質としては、SUS447J1の如きマルテンサイト
系ステンレスが用いられる。
【0038】発熱体30は、図4に示すように、第1金
属板31の山(又は谷)33を中心軸34に対して角度
αだけ傾くように配設し、第2金属板32を挟んで隣り
合う第1金属板31の山(又は谷)33は交差するよう
に配設されている。そして、隣り合う第1金属板31に
おける山(又は谷)33の交差点において、第1金属板
31と第2金属板32とがスポット溶接で溶着され、電
気的に導通可能に接合されている。
【0039】これで、最外周の第1金属板31と第2金
属板32との間には、角度αだけ傾いた第1小流路35
が形成され、次の第2金属板32と第1金属板31との
間は、角度−αだけ傾いた第2小流路36が形成され、
この第1小流路35と第2小流路36は角度2×αで交
差している。又第1金属板31や第2金属板32には、
水又は水蒸気の乱流を生じさせるための第3小流路とし
ての孔37が形成されている。更に、第1金属板31や
第2金属板32の表面は平滑でなく、梨地加工又はエン
ボス加工によって微小な凹凸38が施されている。この
凹凸38は山(又は谷)33の高さと比較して無視でき
る程度に小さい(図4参照)。
【0040】この発熱体30をパイプ17、18に挿入
し、コイル15、16に高周波電流を流して、発熱体3
0に高周波磁界を作用させると、磁力線を横切るように
斜めに配置された第1金属板31と第2金属板32の全
体に渦電流が生じ、発熱体30の全体が均一に発熱す
る。発熱体30は、各金属板31、32を形成するSU
S447J1等の磁気特性(キューリ点)で決まる温度
(600℃程度)まで発熱することが可能となる。
【0041】又図4のように、発熱体30内で交差する
第1小流路35と第2小流路36で周辺と中央部との水
又は水蒸気の拡散が行われ、加えて第3小流路となる孔
37の存在によって、第1小流路35と第2小流路36
間の厚み方向の拡散も行われる。従って、各小流路3
5、36、37によって発熱体8の全体にわたる水又は
水蒸気のマクロ的な拡散、放散、揮散が生じると共に、
表面の微小な凹凸38によってミクロ的な拡散、放散、
揮散も生じる。この結果、発熱体30を通過する水又は
水蒸気は略均一な流れになって、第1金属板31及び第
2金属板32と水又は水蒸気との均一な接触機会が与え
られ、均一な加熱が確保される。
【0042】以上のように、積層体を用いた電磁誘導加
熱装置で水蒸気を過熱すると、水蒸気に電磁誘導による
磁場及び電場が高密度に作用し、出来た過熱水蒸気は活
性化されている可能性があり、このような過熱水蒸気を
ゴムの表面に作用させると、ゴムの表面の汚れを十分に
除去できる。尚、水から水蒸気に加熱する段階では、電
磁誘導加熱によらなくても、通常のボイラーや電熱ヒー
タを用いて水から水蒸気に加熱してもよい。
【0043】尚、上記の過熱水蒸気を用いた有機材料の
前処理方法は、本第1実施形態に係る過熱水蒸気を用い
た有機材料の前処理方法の一例にすぎないため、本第1
実施形態に係る過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方
法は上記方法に限定されるものではない。
【0044】次に、本実施形態に係る過熱水蒸気を用い
た有機材料の前処理方法に使用できる前処理を兼ねた加
硫装置の他の例を図5に基づいて説明する。図1の前処
理を兼ねた加硫装置1と異なる点は、電磁誘導加熱部1
2が循環ファン5の下流側(循環ファン5と加硫炉3の
間)に接続されている点である。図5に示す加硫装置4
1は、図1に示す加硫装置1に比べて、加硫炉3内の過
熱水蒸気の温度条件を変更する場合でも、過熱水蒸気の
送風量を一定にし易く、加硫炉3内の風圧バランスを取
りやすい構造である。このため、加硫炉3内の温度変更
時におきる加硫炉3内への空気の入り込みを少なくする
ことができる。尚、その他の点については、図1に示す
前処理を兼ねた加硫装置1と同様であるので、説明を省
略する。
【0045】尚、前処理を兼ねた加硫装置1、41の加
硫炉3内において、ノズル等から過熱水蒸気をシャワー
のようにゴムの表面に吹きつけると、ゴムの表面の油
分、各種加硫促進剤の反応生成物を効果的に揮発させる
ことができる。また、スポンジゴムを加硫する場合、加
硫前にノズル等から過熱水蒸気をスポンジゴムの表面に
吹きつけてスポンジゴムを部分的に加熱すると、スポン
ジゴムの連続押出加硫の際に発生するカール現象を制御
することが可能になる。
【0046】次に、本発明の第2実施形態として、本発
明に係る過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法を、
ゴムの接着に使用する場合を例に説明する。尚、ゴム
は、第1実施形態と異なり、加熱空気で加硫された加硫
済ゴムである。
【0047】前処理工程 シート状に成形した加硫済のゴムを、接着成形機の金型
に合うように、所定形状に裁断し、加硫済のゴムの裁断
面に均等に約100℃〜約300℃の過熱水蒸気を所定
時間吹きつける。このように、裁断面に過熱水蒸気を作
用させると、過熱水蒸気の分子は、非常に小さいのでゴ
ムの内側まで容易に進入しゴムの表面に近いところの油
分等を洗い流す。このため、ゴムの表面に付着した汚れ
やゴムの内部から裁断面に出てくる汚れを十分に除去で
きる。
【0048】接着工程 次に、加硫済ゴムを圧縮成形機の金型に入れる。そし
て、圧縮成形機により未加硫ゴムを、加硫済ゴムの裁断
面に対して突き合わせるように圧入し、未加硫ゴムを加
硫する。このように、圧縮成形により加硫済ゴムと未加
硫ゴムを接着する。
【0049】尚、過熱水蒸気の温度を100〜300℃
の範囲として説明したが、好ましくは、200℃以上の
過熱水蒸気を用いるのが良い。また、本第2実施形態で
は、予め加熱空気により加硫されたゴムに前処理する場
合を例に説明したが、これに限られず、第1実施形態の
ように、加硫と同時に前処理を行ってもよい。
【0050】また、接着工程は、接着成形に限られず、
加硫済のゴムの表面に接着剤を塗布して接着する工程で
あってもよい。
【0051】
【実施例】次に、ゴムの塗装の前処理として、本発明に
係る過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法を以下の
条件の下に行った。
【0052】<実施例1> <前処理の条件>図1に示す前処理を兼ねた加硫装置1
を使用した。加硫の対象となる生ゴムの成分は、表1に
示す通りである。表1の成分の生ゴム100g を加硫し
た。加硫炉内に供給される過熱水蒸気の温度は240℃
とした。 <塗装の条件>スプレー法により塗装した。塗料は、ウ
レタン系の水性塗料を使用した。塗膜は、20μm とし
た。
【0053】
【表1】
【0054】<比較例1> <前処理の条件>実施例1の過熱水蒸気に代えて、加熱
空気を使用して加硫した。前処理として有機溶剤による
脱脂処理を施した。その他の条件は、実施例1と同様で
ある。 <塗装の条件>実施例1と同様である。
【0055】<比較例2> <前処理の条件>実施例1の過熱水蒸気に代えて、加熱
空気を使用して加硫した。前処理を行わずに直接塗装を
行った。その他の条件は、実施例1と同様である。 <塗装の条件>実施例1と同様である。
【0056】実施例1と比較例1、2により塗装された
ゴムの耐摩耗試験を以下の条件で行った。
【0057】<耐摩耗試験の条件>耐摩耗性試験は、図
6に示すように、学振式摩耗試験器を使用して行った。
ガラス製の摺動部材20を試験片となる塗装後のゴム2
1に対して摺動させ、塗装面が摩耗あるいは剥離してゴ
ムの表面が露出するまでの回数を測定した。尚、摺動部
材20は、ゴム21に対して1kgの荷重を掛け、摺動
部材20のストローク長さを150mm、ストローク回数
を60回/分として摺動させた。
【0058】実施例1、比較例1、2により塗装された
各試験片の摩耗の状態を調べると、表2のような結果と
なった。
【0059】
【表2】
【0060】過熱水蒸気を用いて前処理を行った実施例
1では、塗装面が摩耗あるいは剥離してゴムの表面が露
出するまで10000回要した。また、脱脂処理による
前処理を行った比較例1では、10000回でゴムの表
面が露出した。前処理を行っていない比較例2では、1
00回でゴムの表面が露出した。
【0061】以上の耐摩耗試験の結果、過熱水蒸気を用
いた前処理を行うと、脱脂処理による前処理を行った場
合と同様の耐摩耗性を有することから塗膜とゴムの密着
強度を十部に確保できる。このように、過熱水蒸気を用
いた前処理を行うと、塗膜とゴムの密着強度を十部に確
保できることからゴムの表面の汚れが十部に除去されて
おり、従来の化学的除去方法に代えて過熱水蒸気による
前処理が有効であることが実証された。
【0062】次に、ゴムの塗装後の乾燥工程について、
過熱水蒸気で処理した場合と、加熱空気で処理した場合
を比較して説明する。処理条件は、以下の通りである。
【0063】<実施例2> <前処理の条件>実施例1と同様の条件で前処理を行っ
た。 <塗装の条件>実施例1と同様の条件で塗装を施した。 <乾燥条件>塗装されたゴムの表面に220℃の過熱水
蒸気を均等に当てた。乾燥処理は、過熱水蒸気を当てる
時間を、表3に示すように、20秒間、40秒間、60
秒間と変えてそれぞれについて行った。
【0064】
【表3】
【0065】<実施例3> <前処理の条件>実施例1と同様の条件で前処理を行っ
た。 <塗装の条件>実施例1と同様の条件で塗装を施した。 <乾燥条件>塗装されたゴムの表面に220℃の加熱空
気を均等に当てた。乾燥処理は、加熱空気を当てる時間
を、表3に示すように、40秒間、60秒間、80秒間
と変えてそれぞれについて行った。
【0066】実施例2と実施例3により乾燥したゴムの
耐摩耗試験を、上記の耐摩耗試験と同様の条件で行っ
た。
【0067】実施例2と実施例3により乾燥したゴムの
摩耗状態を調べると、表3のような結果となった。
【0068】過熱水蒸気を用いて乾燥処理を行った実施
例2では、20秒間、過熱水蒸気を当てた場合、200
0回で塗装面が摩耗あるいは剥離してゴムの表面が露出
した。また、40秒間、過熱水蒸気を当てると、摩耗回
数(塗装面が摩耗あるいは剥離してゴムの表面が露出す
るまでの回数)が10000回に達した。60秒間、当
てた場合も40秒間当てた場合と同様に摩耗回数が10
000回に達した。これに対して、加熱空気を用いて乾
燥処理を行った実施例3では、40秒間、加熱空気を当
てた場合、摩耗回数は2000回であり、60秒間、加
熱空気を当てた場合の摩耗回数は3000回であった。
そして、摩耗回数が10000回に達すのに、80秒間
要した。
【0069】以上の耐摩耗試験の結果、乾燥工程におい
て、過熱水蒸気を当てると、加熱空気を当てる場合に比
べて、短時間の乾燥処理で高い耐摩耗性を有する塗装ゴ
ムを得ることができた。また、摩耗回数が10000回
に達する時間を比較すると、過熱水蒸気を当てた実施例
2は、40秒で10000回に達するため、80秒間要
した実施例3に比べて、半分の時間で乾燥工程を終える
ことができる。このように、過熱水蒸気を当てて乾燥さ
せると、加熱空気で乾燥させる場合よりも乾燥時間を短
縮できることが実証された。
【0070】次に、ゴムの接着の前処理として、本発明
に係る過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法を以下
の条件の下に行った。
【0071】<実施例4> <前処理の条件>表1の成分の生ゴム(未加硫ゴム)
を、シート状に成形した後、空気加熱により加硫し、図
7(a)に示す符号22aのように、圧縮成形機の金型
に合わせて裁断した。その後、一週間放置した加硫済ゴ
ム22aの裁断面(接着面)22cに300℃の過熱水
蒸気を1分間作用させた。 <接着の条件>図7(a)に示すように、裁断された加
硫済ゴム22aと、未加硫ゴム22bを、第2実施形態
で説明した圧縮成形により接着した。
【0072】<比較例3> <前処理の条件>実施例4と同様に一週間放置した加硫
済ゴムを使用した。但し、前処理は、行わなかった。 <接着の条件>実施例4と同様である。
【0073】<比較例4> <前処理の条件>実施例4と同様の条件で加硫、裁断
し、裁断直後の加硫済ゴムを使用した。但し、前処理
は、行わなかった。 <接着の条件>実施例4と同様である。
【0074】実施例4と比較例3、4により加硫済ゴム
22aと未加硫ゴム22bを接着して得られた試験サン
プル22に対して接着力試験を以下の条件で行った。
【0075】<接着力試験の条件>まず、図7(a)に
示す試験サンプル22の接着部分である接着面22cを
中心として3号ダンベルで打ち抜いて、試験サンプル2
2を図7(b)に示す形状に成形した。次に、この試験
サンプル22について引張試験を行った。
【0076】実施例4、比較例3、4により接着された
各試験サンプル22の接着力(破断強度)を調べると、
表4のような結果となった。
【0077】
【表4】
【0078】過熱水蒸気を用いて前処理を行った実施例
4では、試験サンプル22の接着境界面で破断するのに
6.2MPa必要であった。また、裁断後一週間放置し
たゴムを使用した比較例3では、4.5MPaで試験サ
ンプル22の接着境界面から破断した。さらに、裁断直
後のゴムを使用した比較例4では、6.4MPaで試験
サンプル22の接着境界面から破断した。
【0079】以上の接着力試験の結果、過熱水蒸気を用
いた前処理を行うと、裁断直後のゴムを使用した場合と
同様の接着力を有することから接着力を十部に確保でき
る。このように、過熱水蒸気を用いた前処理を行うと、
接着力を十部に確保できることからゴムの表面の汚れや
ゴムの内部から出てくる汚れが十部に除去されており、
従来の化学的除去方法に代えて過熱水蒸気による前処理
が有効であることが実証された。尚、ゴムの接着の際
に、前処理が必要になるのは、加硫後一定期間ゴムを放
置すると、ゴムの内部から油分等が接着面に出てくるた
め、この油分等を除去する必要があるためである。
【0080】尚、第1実施形態及び第2実施形態から把
握できる請求項記載以外の発明について、以下にその効
果と共に記載する。
【0081】(1)熱可塑性樹脂又は熱可塑性弾性体又
はスポンジゴム又はゴム等の有機材料の表面に過熱水蒸
気による前処理を施した後、前記有機材料の表面に塗装
を行う過熱水蒸気を用いた有機材料の塗装方法。過熱水
蒸気による前処理を施すと、熱可塑性樹脂又は熱可塑性
弾性体又はスポンジゴム又はゴム等の有機材料の表面の
汚れを十分に除去できるため、有機溶剤やバフ掛け等無
しに塗装後の有機材料と塗膜の密着強度を十分に確保で
きる。また、前処理に有機溶剤を使用しないため、有機
溶剤揮発による作業環境の悪化はない。このため、環境
に優しい前処理が可能になる。
【0082】(2)スポンジゴム又はゴムの表面に過熱
水蒸気を作用させる発泡加硫を行った後、前記スポンジ
ゴム又は前記ゴムの表面に塗装を行う過熱水蒸気を用い
た有機材料の塗装方法。過熱水蒸気を作用させて発泡加
硫を行うと、スポンジゴム又はゴムの表面に近いところ
まで気泡が生じる。その結果、スポンジゴム又はゴムの
表面に凹凸が多く存在する。このため、塗膜した際に塗
料分がスポンジゴム又はゴムの表面の凹凸に入り込み、
塗膜とスポンジゴム又はゴムの密着強度を十分に確保で
きる。また、前処理に有機溶剤を使用しないため、有機
溶剤揮発による作業環境の悪化はない。このため、環境
に優しい前処理が可能になる。
【0083】(3)塗装された前記有機材料又は塗装さ
れた前記スポンジゴム又は塗装された前記ゴムの表面に
過熱水蒸気を当てて乾燥させる乾燥工程を含む(1)又
は(2)記載の過熱水蒸気を用いた有機材料の塗装方
法。このように、過熱水蒸気を当てて乾燥させると、加
熱空気で乾燥させる場合よりも乾燥時間を短縮できる。
乾燥時間を短縮できるのは、塗膜に過熱水蒸気を作用さ
せると、加熱空気により乾燥させる場合よりも、塗膜中
の溶媒がより早く揮発するためである。また、過熱水蒸
気が持つ比熱が加熱空気よりも高いことに加えて放射伝
熱効果があり、より塗膜の硬化に有効だからである。
【0084】(4)前記乾燥工程は、過熱水蒸気だけが
充満した過熱水蒸気雰囲気下で、過熱水蒸気を当てて乾
燥させる工程である(3)記載の過熱水蒸気を用いた有
機材料の塗装方法。過熱水蒸気だけが充満した過熱水蒸
気雰囲気下で塗膜を硬化させるため、塗膜の酸化劣化を
防止でき、塗膜性能の高いゴムを得ることができる。
【0085】(5)前記過熱水蒸気は、電磁誘導加熱に
より水蒸気を過熱して得られたものである(1)乃至
(4)のいずれかに記載の過熱水蒸気を用いた有機材料
の塗装方法。電磁誘導加熱により過熱された過熱水蒸気
は、電磁誘導加熱により発熱した発熱体に水蒸気を接触
させることによって得られる過熱水蒸気であり、水蒸気
が直接過熱されるのではない。
【0086】(6)前記過熱水蒸気は、多数の板を積層
して通路を形成した積層体を電磁誘導加熱し、この加熱
された積層体の通路に水蒸気を流して過熱することによ
り得られる(1)乃至(5)のいずれかに記載の過熱水
蒸気を用いた有機材料の塗装方法。電磁誘導による磁場
及び電場が高密度に作用する積層体で水蒸気を過熱する
と、通常のボイラーや電熱ヒータを用いて過熱した場合
に比べて、出来た過熱水蒸気は活性化されている可能性
があり、このような過熱水蒸気により有機材料の表面の
汚れを十分に除去できる。
【0087】(7)前記有機材料の全体又は一部に前記
過熱水蒸気を吹きつける工程を含む(1)乃至(6)の
いずれかに記載の過熱水蒸気を用いた有機材料の塗装方
法。ノズル等から過熱水蒸気をシャワーのように有機材
料の表面に吹きつけることにより、有機材料の表面の油
分、各種加硫促進剤の反応生成物を効果的に揮発させる
ことができる。また、加硫前にノズル等から過熱水蒸気
をスポンジゴムの表面に直接吹きつけることにより、ス
ポンジゴムを部分的に加熱すると、スポンジゴムの連続
押出加硫の際に発生するカール現象を制御することが可
能になる。
【0088】
【発明の効果】請求項1乃至請求項5のいずれかに記載
の発明は、過熱水蒸気による前処理を施すと、脱油作用
に加えて、各種加硫促進剤の反応生成物を洗い流す効果
がある。このため、有機溶剤やバフ掛け無しにゴムの表
面の汚れを十分に除去できるため、本発明に係る前処理
方法を塗装の前処理として使用すると、塗装後のゴム等
の有機材料と塗膜の密着強度を十部に確保できるという
効果を奏する。また、本発明に係る前処理方法を接着の
前処理として使用すると、接着後のゴム等の有機材料の
接着力(破断強度)を十分に確保できるという効果を奏
する。さらに、前処理に有機溶剤を使用しないため、有
害物質を含んだ廃水の処理が不要になり、環境に優しい
前処理が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る過熱水蒸気を用いたゴムの塗
装方法に使用される前処理を兼ねた加硫装置の概要を説
明する図である。
【図2】電磁誘導加熱装置を説明する図である。
【図3】積層体を説明する図である。
【図4】積層体を説明する図である。
【図5】本実施形態に係る過熱水蒸気を用いたゴムの塗
装方法に使用される前処理を兼ねた加硫装置の他の例を
説明する図である。
【図6】耐摩耗試験の方法を説明する図である。
【図7】接着力試験の方法を説明する図である。
【符号の説明】
1、41 前処理を兼ねた加硫装置 2 押出機 3 加硫炉 4 引取機 5 循環ファン 6 過熱水蒸気発生部 7 排気ファン 8 有害物質除去機 10 電磁誘導加熱装置 11、12 電磁誘導加熱部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 圭吾 広島県広島市西区三篠町2丁目2番8号 西川ゴム工業株式会社内 (72)発明者 天王 俊成 広島県広島市西区三篠町2丁目2番8号 西川ゴム工業株式会社内 (72)発明者 川村 泰三 大阪府茨木市美沢町19番21号 株式会社瀬 田技研内 (72)発明者 内堀 義隆 大阪府茨木市美沢町19番21号 株式会社瀬 田技研内 Fターム(参考) 4F073 AA01 AA25 AA32 BA04 BA09 BB01 EA04 EA11 HA05 4F074 AA10 BB01 CC04Y CC06Y CC32Y CC47

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂又は熱可塑性弾性体又はス
    ポンジゴム又はゴム等の有機材料の表面に過熱水蒸気を
    作用させる過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法。
  2. 【請求項2】 スポンジゴム又はゴム等の有機材料の表
    面に過熱水蒸気を作用させながら発泡加硫を行う過熱水
    蒸気を用いた有機材料の前処理方法。
  3. 【請求項3】 前記過熱水蒸気は、電磁誘導加熱により
    水蒸気を過熱して得られたものである請求項1又は請求
    項2記載の過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法。
  4. 【請求項4】 前記過熱水蒸気は、多数の板を積層して
    通路を形成した積層体を電磁誘導加熱し、この加熱され
    た積層体の通路に水蒸気を流して過熱することにより得
    られる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の過熱水
    蒸気を用いた有機材料の前処理方法。
  5. 【請求項5】 前記有機材料の全体又は一部に前記過熱
    水蒸気を吹きつける工程を含む請求項1乃至請求項4の
    いずれかに記載の過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理
    方法。
JP2000148633A 2000-05-16 2000-05-16 過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法 Pending JP2001323085A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000148633A JP2001323085A (ja) 2000-05-16 2000-05-16 過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000148633A JP2001323085A (ja) 2000-05-16 2000-05-16 過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001323085A true JP2001323085A (ja) 2001-11-20

Family

ID=18654631

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000148633A Pending JP2001323085A (ja) 2000-05-16 2000-05-16 過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001323085A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004292793A (ja) * 2003-03-13 2004-10-21 Jsr Corp フィルムまたはシートの処理方法
JP2005185157A (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Sharp Corp 分離方法および分離機
JP2006212038A (ja) * 2006-04-28 2006-08-17 Sharp Corp 分離方法および分離機
JP2007173253A (ja) * 2007-02-13 2007-07-05 Dai Ichi High Frequency Co Ltd 加熱処理装置
JP2007276283A (ja) * 2006-04-07 2007-10-25 Futamura Chemical Co Ltd フィルムの製造方法
JP2008285915A (ja) * 2007-05-18 2008-11-27 Taisei Rotec Corp タイヤローラ、タイヤローラのタイヤの加熱方法及びアスファルト混合物の付着防止方法
JP2010012738A (ja) * 2008-07-07 2010-01-21 Nishikawa Rubber Co Ltd ゴム様弾性体製品
US8257771B2 (en) 2004-07-16 2012-09-04 Umeda Jimusho Ltd. Innovative pasteurization method, use thereof and apparatus
CN103331855A (zh) * 2013-07-08 2013-10-02 江苏天辰硅材料有限公司 一种磁热橡胶硫化方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004292793A (ja) * 2003-03-13 2004-10-21 Jsr Corp フィルムまたはシートの処理方法
JP2005185157A (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Sharp Corp 分離方法および分離機
US8257771B2 (en) 2004-07-16 2012-09-04 Umeda Jimusho Ltd. Innovative pasteurization method, use thereof and apparatus
JP2007276283A (ja) * 2006-04-07 2007-10-25 Futamura Chemical Co Ltd フィルムの製造方法
JP2006212038A (ja) * 2006-04-28 2006-08-17 Sharp Corp 分離方法および分離機
JP2007173253A (ja) * 2007-02-13 2007-07-05 Dai Ichi High Frequency Co Ltd 加熱処理装置
JP2008285915A (ja) * 2007-05-18 2008-11-27 Taisei Rotec Corp タイヤローラ、タイヤローラのタイヤの加熱方法及びアスファルト混合物の付着防止方法
JP2010012738A (ja) * 2008-07-07 2010-01-21 Nishikawa Rubber Co Ltd ゴム様弾性体製品
CN103331855A (zh) * 2013-07-08 2013-10-02 江苏天辰硅材料有限公司 一种磁热橡胶硫化方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wingfield Treatment of composite surfaces for adhesive bonding
JP2001323085A (ja) 過熱水蒸気を用いた有機材料の前処理方法
MXPA02007002A (es) Proceso para el revestimiento de superficies de substrato metalico.
KR101160509B1 (ko) 반도체 제조설비용 배관의 내부면 불소수지 코팅방법
WO2006098917A3 (en) Papermaking fabrics with contaminant resistant nanoparticle coating and method of in situ application
US4806388A (en) Method and apparatus for coating metal part with synthetic resin
JP2001079948A (ja) 複合材の製法およびそれによって得られる複合材
US2468239A (en) Method of bonding rubber to metal
US5534297A (en) Method for surface modification of polyolefin resin molded article and method for coating the surface of polyolefin resin molded article
AU6088694A (en) Method and apparatus for drying coatings or films
JP2001239528A (ja) 過熱水蒸気を用いたゴムの加硫方法
JP4954758B2 (ja) 耐食性および塗料密着性に優れためっき鋼板の製造方法
JP2019107795A (ja) 複合体を製造する装置、加圧ロール及び複合体を製造する方法
KR100483972B1 (ko) 차량용 우레탄패드 발포금형의 표면처리방법 및 그발포금형
US20190016174A1 (en) Foaming printing method
JP4197824B2 (ja) 画像形成用ベルトの製造方法及び該方法を実施するための装置
JP2012201015A (ja) 熱板溶着用治具およびその製造方法、金属部材
CN105873346B (zh) 热空气等离子体处理
KR101746058B1 (ko) 물품 이송용 롤의 제조방법
JP2011115711A (ja) 金属と樹脂の接合方法
JP2001232281A (ja) 過熱水蒸気を用いた塗装方法
Lei et al. Laser surface modification for adhesion enhancement
JP2020063759A (ja) 内面被覆鋼管の製造方法
JP2002347182A (ja) Frp成形体
JP2009249681A (ja) 過熱水蒸気による電着水洗方法