JP2001321872A - 二重筒構造ケーシングの製造法と該製造に用いるパンチの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】二重筒構造ケーシングにおける内筒と外筒の成
形を容易にし、該内外筒の高さ調整も適切に行え、その
手段も簡素である二重筒構造ケーシングの製造法と該製
造に用いるパンチの構造を提供する。又生産性を向上
し、コストダウンを図ることができる。 【解決手段】短筒金属４の中央環状端面部４ａにパンチ
９により下方へ向けた鍛圧を加えることによって中央環
状端面部４ａの外周域の外周環状端面部４ｃと同内周域
の内周環状端面部４ｃを上方へ向け同時に延出させる方
法によって外筒７と内筒６を成形し、上記パンチは内周
下端縁に内周環状突部４ｂを形成すると共に、外周下端
縁に外周環状突部４ｃを形成し、該内周環状突部４ｂと
外周環状突部４ｃの軸線方向の高さ設定により上記二重
筒の内筒６と外筒７の延出量を設定する構造とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は冷間鍛造によって二
重筒構造のケーシングを成形する製造法と、該製造に用
いるパンチの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来ソレノイド等におけるプランジャー
やコイルを収容する二重筒構造ケーシングは、図１Ａに
示すように電磁鉄又は電磁ステンレスから成る丸棒金属
１を鋸によって短小に切断して、図１Ｂに示す短柱金属
２を得、図１Ｃに示すように該短柱金属２の切断面をプ
レスにて平押し圧縮して平坦面を形成した圧縮短柱金属
３を形成し、図１Ｄに示すようにこの圧縮短柱金属３の
軸線上にドリルによる貫通孔５を穿孔し円筒形の短筒金
属４を形成する。

【０００３】更に、該短筒金属４を焼鈍及びボンデ処理
した上で、図１Ｅに示すように鍛造加工により該短筒金
属４の端面に一次鍛圧を加えて、上方へ延出せる外筒７
を成形し、次に同様に二次鍛圧を与えて上方へ延出せる
内筒６を成形することによって二重筒構造のケーシング
を形成している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】而して従来の製造法で
は、二重筒の外筒と内筒を別工程で成形するため、製造
工程が増加し、製造時間及びコストがかかり、量産性を
低下せしめる問題を有している。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、短筒金属の中
央環状端面部にパンチにより下方へ向けた鍛圧を加える
ことによって中央環状端面部の外周域の外周環状端面部
と同内周域の内周環状端面部を上方へ向け同時に延出さ
せ外筒と内筒を成形し二重筒構造のケーシングを形成す
る方法を採る。

【０００６】更に、上記二重筒構造のケーシングを製造
するパンチの構造として、該パンチの内周下端縁に内周
環状突部を形成すると共に、同外周下端縁に外周環状突
部を形成し、該内周環状突部と外周環状突部の軸線方向
の高さ設定により上記二重筒の内筒と外筒の延出量を設
定する構成とした。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下図２乃至図６に基づき本発明
の実施の形態について説明する。

【０００８】図３Ａ，Ｂは本発明に係る二重筒構造のケ
ーシング１０を製造する鍛造装置を示し、該鍛造装置は
パンチ９と、該パンチ９が突入される円形の筒孔８ａを
有する筒型８と、該筒型８の底部中心部を貫通して筒孔
８ａ内へ軸線を中心に立ち上げられた内径規制ピン１１
と、筒孔８ａ内において短筒金属４の下面を支える受圧
型１２を備える。

【０００９】上記受圧型１２は筒型８の筒孔８ａの底部
中心部に軸線上を立ち上げられた受圧部１２ａを備え、
該受圧部１２ａの上面を水平面にして上記短筒金属４の
下面を支える受圧面１２ｂを形成する。そして上記内径
規制ピン１１を上記受圧型１２の軸線上を貫通してその
上端を筒孔８ａ内へ立ち上げる。即ち受圧部１２ａの受
圧面１２ｂの中心部から上記内径規制ピン１１の上端を
上方へ突出せしめる。

【００１０】更に上記受圧部１２ａの外周面と筒型８の
底部内周面、即ち筒孔８ａの底部内周面との間に環状の
短小筒部成形溝部１３を形成する。

【００１１】他方上記パンチ９は少なくとも下端延在部
は円筒形に形成し、該円筒形パンチ部９ａの内周下端縁
に内周環状突部９ｂを形成すると共に、同外周下端縁に
外周環状突部９ｃを形成し、外周環状突部９ｂと内周環
状突部９ｃの下端面を含む該円筒形パンチ部９ａの下端
面を加圧面９ｄとする。

【００１２】図２は本発明に係る二重筒構造ケーシング
の製造法における工程を示す。

【００１３】図２Ａに示すように、電磁鉄又は電磁ステ
ンレス等の丸棒金属１を用意し、該丸棒金属１に軸線上
にドリルによる貫通孔５′を穿孔する。

【００１４】上記丸棒金属１をバイト切りによって短小
に切断して、図２Ｂ１，Ｂ２に示す貫通孔５を有する短
筒金属４を形成する。

【００１５】又他例として、上記貫通孔５′を有しない
電磁鉄又は電磁ステンレス等の無垢の丸棒金属１をバイ
ト切りによって短小切断して短柱金属を得、該軸線上に
ドリルによる貫通孔５を穿孔して図２Ｂ１，Ｂ２に示す
短筒金属４を形成する。

【００１６】上記図２Ｂ２に示すように、４ｃは上記短
筒金属４の端面の外周に沿う外周環状端面部を示し、４
ｂは貫通孔５に沿う内周環状端面部を示し、４ａは該内
周環状端面部４ｂと上記外周環状端面部４ｃの内域の中
央環状端面部を示す。

【００１７】上記丸棒金属１は上記短筒金属４と同径の
ものを適用する。そしてこの丸棒金属１の上記バイト切
りによって、高精度の平面を有する端面と直径を持つ短
筒金属４を得ることができる。上記短筒金属４の平端面
は従来例におけるプレスによる平押し圧縮による場合の
如き変形を生ぜず、高精度の芯出しが行え、又金属内部
の金属疲労も伴わない。

【００１８】そして図３Ａに示すように短筒金属４を上
記筒形８の筒孔８ａ内に内径規制ピン１１を挿入しつつ
嵌装し、その下面内周部を上記受圧面１２ｂに載置し、
上記筒孔８ａの内底部に型込めする。この型込めにて短
筒金属４の下面外周部を受圧部１２ａの周囲に形成され
た短小筒部成形溝部１３と対向せしめる。

【００１９】次に図３Ｂに示すように上記筒孔８ａ内に
装填した短筒金属４の中央環状端面部４ａに上記パンチ
９の加圧面９ｄによって下方へ向けた鍛圧を加えること
によって、該中央環状端面部４ａの外周域の外周環状端
面部４ｃと同内周域の内周環状端面部４ｂを上方へ同時
に延出させ、よって図２Ｃ１又はＣ２に示す内筒６と外
筒７から成る二重筒構造ケーシング１０を成形する。

【００２０】又上記内筒６及び外筒７の延出と同時に上
記鍛圧によって上記短小筒部成形溝部１３内に上記外周
環状端面部４ｃを下方へ向け押し出し、短小筒部１４を
成形する。

【００２１】以上の説明において、内周環状端面部４ｂ
と外周環状端面部４ｃを延出又は押し出すとは、当然の
こととして中央環状端面部４ａの母材と一緒に延出又は
押し出すことを意味する。

【００２２】上記図２Ｃ１と図４Ｂは、上記鍛造製形法
により内筒６と外筒７を同じ高さに延出した二重筒構造
ケーシング１０である。この二重筒構造ケーシング１０
は図４Ａ（図３ＡのＰ部拡大図）に示すように上記パン
チ９（円筒形パンチ部９ａ）の内周及び外周環状突部９
ｂ、９ｃの軸線方向の高さＬ１，Ｌ２を略同じ高さに設
定することにより、上記短筒金属４の内周環状端面部４
ｂと外周環状端面部４ｃの延出量を同様に抑制し、等高
の内外筒６，７を成形する。

【００２３】内周環状突部９ｂと外周環状突部９ｃの頂
面、即ち外周面は垂直環状平面９ｅにし、該垂直環状平
面９ｅの上下端縁、少なくとも下端縁に弧形面９ｆを形
成する。

【００２４】上記内周環状突部９ｂと外周環状突部９ｃ
の下部弧形面９ｆの形成により内筒６と外筒７の上方へ
の延出を円滑にし、又この下部弧形面９ｆの曲率半径Ｒ
１，Ｒ２を上記Ｌ１，Ｌ２と共に設定することによって
も、内筒６と外筒７の延出抵抗を調整でき、この曲率半
径Ｒ１，Ｒ２を同率にすることにより等高の内筒６と外
筒７を成形できる。

【００２５】他方上記図２Ｃ２と図５Ｂは、上記鍛造成
形法により内筒６を低く、外筒７を高く延出した二重筒
構造ケーシング１０である。この二重筒構造ケーシング
１０は図５Ａ（図３ＡのＰ部拡大図）に示すように上記
パンチ９（円筒形パンチ部９ａ）の内周及び外周環状突
部９ｂ，９ｃの軸線方向の高さＬ１，Ｌ２をＬ１＞Ｌ２
の高さに設定することにより、上記短筒金属４の内周環
状端面部４ｂと外周環状端面部４ｃの延出量を内筒６＜
外筒７に抑制する。

【００２６】上記と同様、上記内周環状突部９ｂと外周
環状突部９ｃの頂面、即ち外周面は垂直環状平面９ｅに
し、該垂直環状平面９ｅの上下端縁、少なくとも下端縁
に弧形面９ｆを形成する

【００２７】又上記と同様に内周環状突部９ｂの下部弧
形面９ｆの曲率半径Ｒ１と、外周環状突部９ｃの下部弧
形面９ｆの曲率半径Ｒ２とをＲ１＜Ｒ２に設定すること
によっても上記内筒６＜外筒７の延出長の設定を補完で
きる。この曲率半径Ｒ１，Ｒ２は同率であってもよい。

【００２８】図６は本発明に係る二重筒構造ケーシング
１０を用いた前記ソレノイドであり、上記内筒６と外筒
７の環状スペース内にコイル１５を収容し、内筒６内に
プランジャー１６の後部の外筒７部内に鉄芯１７を内装
すると共に、プランジャー１６の前部の短小筒部１４内
に弁孔形成部材１８を内装し、かしめ部１９を形成して
弁孔形成部材１８を保持する。

【００２９】而してコイル１５に通電されると鉄芯１７
がプランジャー１６を吸着してこれをスプリング２０を
圧縮しつつ後退させ、弁孔２１を解放する。又コイル１
５に対する通電を止めるプランジャー１６がスプリング
２０の弾発力により前進し、弁孔２１を閉鎖する。

【００３０】本発明は上記ソレノイドの二重筒構造ケー
シング１０の鍛造成形法並びに同装置として有用であ
る。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば二重筒構造ケーシングに
おける内筒と外筒を容易に成形でき、該内外筒の高さ調
整も適切且つ容易に行え、その手段も簡素である。

【００３２】又生産性を向上し、コストダウンを図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】Ａ乃至Ｆは従来の二重筒構造ケーシングの成形
工程を示す図。

【図２】Ａ，Ｂ１，Ｂ２，Ｃ１，Ｃ２は本発明に係る二
重筒構造ケーシングの成形工程を示す図。

【図３】Ａ，Ｂは本発明に係る二重筒構造ケーシングの
製造に用いる冷間鍛造装置の断面図であり、Ａは該装置
におけるパンチにより円筒金属に鍛圧を与える前の状態
を示す断面図、Ｂは該装置におけるパンチにより円筒金
属に鍛圧を与えた状態を示す断面図。

【図４】Ａは図３ＡにおけるパンチのＰ部の拡大断面図
であり、内周環状突部と外周環状突部の高さを等高にし
た例を示す図、Ｂはこのパンチによって成形される二重
筒構造ケーシングの断面図。

【図５】Ａは図３ＡにおけるパンチのＰ部の拡大断面図
であり、内周環状突部と外周環状突部の高さに差を設け
た例を示す図、Ｂはこのパンチによって成形される二重
筒構造ケーシングの断面図。

【図６】二重筒構造ケーシングを用いたソレノイドの断
面図。

【符号の説明】

１ 丸棒金属 ２ 短柱金属 ４ 短筒金属 ４ａ 中央環状端面部 ４ｂ 内周環状端面部 ４ｃ 外周環状端面部 ５，５′ 貫通孔 ６ 内筒 ７ 外筒 ８ 筒型 ８ａ 筒孔 ９ パンチ ９ａ 円筒形パンチ部 ９ｂ 内周環状突部 ９ｃ 外周環状突部 ９ｄ 加圧面 ９ｅ 垂直環状平面 ９ｆ 下部弧形面 １０ 二重筒構造ケーシング １１ 内径規制ピン １２ 受圧型 １２ａ 受圧部 １２ｂ 受圧面 １３ 短小筒部成形溝部 １４ 短小筒部 １５ コイル １６ プランジャー １７ 鉄芯 １８ 弁孔成形部材 １９ かしめ部 ２０ スプリング ２１ 弁孔 Ｌ１，Ｌ２ 軸線方向の高さ Ｒ１，Ｒ２ 曲率半径

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】短筒金属の中央環状端面部にパンチにより
   下方へ向けた鍛圧を加えることによって中央環状端面部
   の外周域の外周環状端面部と同内周域の内周環状端面部
   を上方へ向け同時に延出させ外筒と内筒を成形すること
   を特徴とする二重筒構造ケーシングの製造法。
2. 【請求項２】短筒金属の中央環状端面部にパンチにより
   下方へ向けた鍛圧を加えることによって上記中央環状端
   面部の外周域の外周環状端面部と同内周域の内周環状端
   面部を上方へ向け同時に延出させ外筒と内筒を成形する
   二重筒構造ケーシングの製造に用いるパンチの構造であ
   って、上記パンチの内周下端縁に内周環状突部を形成す
   ると共に、同外周下端縁に外周環状突部を形成し、該内
   周環状突部と外周環状突部の軸線方向の高さ設定により
   上記二重筒の内筒と外筒の延出量を設定する構成とした
   ことを特徴とする二重筒構造ケーシングの製造に用いる
   パンチの構造。