JP2001318066A - 無鉛半田における不純物金属濃度検出方法および装置 - Google Patents
無鉛半田における不純物金属濃度検出方法および装置Info
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- JP2001318066A JP2001318066A JP2000133195A JP2000133195A JP2001318066A JP 2001318066 A JP2001318066 A JP 2001318066A JP 2000133195 A JP2000133195 A JP 2000133195A JP 2000133195 A JP2000133195 A JP 2000133195A JP 2001318066 A JP2001318066 A JP 2001318066A
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- Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 無鉛半田にに含有される不純物金属の濃度状
態を簡便に検出することができる不純物金属濃度検出方
法および装置を提供すること。 【解決手段】 一定の速度で温度変化される温調ブロッ
クにより、熱障壁を介して、無鉛半田試料に状態変化を
生じさせ、温度変化曲線において、当該状態変化を生ず
るときの外挿開始点または屈曲点の温度を求める特異点
検出工程と、この特異点の温度を、既知の濃度の不純物
金属を含有する場合について求められた当該特異点の温
度を基準として比較する。装置は、試料容器と、熱障壁
部を介して包囲する温調ブロックと、温調ブロックを一
定の速度で温度変化させる機構と、試料の温度センサー
とを含む温度測定部と、温度変化曲線を作成する機能、
外挿開始点検出工程を行う機能および濃度検出工程を行
う機能を有する情報処理部とを備える。
態を簡便に検出することができる不純物金属濃度検出方
法および装置を提供すること。 【解決手段】 一定の速度で温度変化される温調ブロッ
クにより、熱障壁を介して、無鉛半田試料に状態変化を
生じさせ、温度変化曲線において、当該状態変化を生ず
るときの外挿開始点または屈曲点の温度を求める特異点
検出工程と、この特異点の温度を、既知の濃度の不純物
金属を含有する場合について求められた当該特異点の温
度を基準として比較する。装置は、試料容器と、熱障壁
部を介して包囲する温調ブロックと、温調ブロックを一
定の速度で温度変化させる機構と、試料の温度センサー
とを含む温度測定部と、温度変化曲線を作成する機能、
外挿開始点検出工程を行う機能および濃度検出工程を行
う機能を有する情報処理部とを備える。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電子部品を
プリント基板に電気的に接続するために用いられる無鉛
半田に含有される不純物金属の濃度を検出するための方
法および装置に関する。
プリント基板に電気的に接続するために用いられる無鉛
半田に含有される不純物金属の濃度を検出するための方
法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、例えば電子部品をプリント基板に
電気的に接続するために、いわゆる半田浴が用いられて
いる。この半田浴は、半田合金が溶融した状態で収容さ
れ、これに、所定の電子部品を組み合わせた状態でプリ
ント基板を浸漬させることにより、当該プリント基板に
電子部品を半田付けするものである。
電気的に接続するために、いわゆる半田浴が用いられて
いる。この半田浴は、半田合金が溶融した状態で収容さ
れ、これに、所定の電子部品を組み合わせた状態でプリ
ント基板を浸漬させることにより、当該プリント基板に
電子部品を半田付けするものである。
【0003】従前において、半田合金としては錫と鉛の
合金が用いられていたが、鉛が人体に有害であることか
ら、最近においては、鉛を含有しない無鉛半田(鉛フリ
ー半田)が用いられるようになってきている。この無鉛
半田は錫を主成分とし、銀、銅、ビスマス、インジウム
などから選ばれた添加金属の1種またはそれ以上を、例
えば0.5〜20質量%の範囲における規定された割合
で含有してなる合金である。
合金が用いられていたが、鉛が人体に有害であることか
ら、最近においては、鉛を含有しない無鉛半田(鉛フリ
ー半田)が用いられるようになってきている。この無鉛
半田は錫を主成分とし、銀、銅、ビスマス、インジウム
などから選ばれた添加金属の1種またはそれ以上を、例
えば0.5〜20質量%の範囲における規定された割合
で含有してなる合金である。
【0004】而して、半田浴においては、被処理物であ
るプリント基板が電子部品と共に浸漬されて半田材料が
付着されるが、このとき、当該プリント基板の露出電極
や電子部品の端子電極部を形成する金属、例えば銅、
金、ニッケル、アルミニウム、鉛などの不純物金属が微
量づつながら半田浴内の半田材料中に混入するため、長
期間にわたって使用された半田浴の無鉛半田は、不純物
金属の濃度が許容限度を超えるようになり、その特性が
大きく変化したものとなる。具体的には、不純物金属の
濃度が例えば1質量%を超えるようになると、無鉛半田
のプリント基板に対する濡れ性が低下して付着量が不十
分となったり、溶融温度が高いものとなる結果、所期の
電気的な接続を高い信頼性で行うことができない、とい
う問題が生ずる。このような事情から、半田浴に使用さ
れている無鉛半田については、その不純物金属の濃度を
定期的に監視することが必要となっている。
るプリント基板が電子部品と共に浸漬されて半田材料が
付着されるが、このとき、当該プリント基板の露出電極
や電子部品の端子電極部を形成する金属、例えば銅、
金、ニッケル、アルミニウム、鉛などの不純物金属が微
量づつながら半田浴内の半田材料中に混入するため、長
期間にわたって使用された半田浴の無鉛半田は、不純物
金属の濃度が許容限度を超えるようになり、その特性が
大きく変化したものとなる。具体的には、不純物金属の
濃度が例えば1質量%を超えるようになると、無鉛半田
のプリント基板に対する濡れ性が低下して付着量が不十
分となったり、溶融温度が高いものとなる結果、所期の
電気的な接続を高い信頼性で行うことができない、とい
う問題が生ずる。このような事情から、半田浴に使用さ
れている無鉛半田については、その不純物金属の濃度を
定期的に監視することが必要となっている。
【0005】従来、半田合金に含有されている金属成分
の濃度を知るための方法としては、化学的元素分析法の
ほか、例えばベータスコープ法、螢光X線分析法、X線
回折法、ポーラログラフィ法、原子吸光法などの機器分
析法が知られており、一部が利用されている。しかしな
がら、これらの従来の分析法は、不純物金属の元素その
ものの量を精密に検出することのできるものではある
が、使用する機器が大がかりで実際の操作が煩雑で専門
的な知識と技量を必要とし、しかも通常長い時間を要す
るものである。
の濃度を知るための方法としては、化学的元素分析法の
ほか、例えばベータスコープ法、螢光X線分析法、X線
回折法、ポーラログラフィ法、原子吸光法などの機器分
析法が知られており、一部が利用されている。しかしな
がら、これらの従来の分析法は、不純物金属の元素その
ものの量を精密に検出することのできるものではある
が、使用する機器が大がかりで実際の操作が煩雑で専門
的な知識と技量を必要とし、しかも通常長い時間を要す
るものである。
【0006】一方、半田付け処理に用いられる無鉛半田
については、それが、不純物金属の濃度が許容限度を超
えたときにその旨を知ることができれば十分な場合が多
く、実際に含有される不純物金属の種類やその濃度を厳
密に知ることは、通常、不要である。このような事情か
ら、現在、無鉛半田について、それに含有される不純物
金属の濃度状態を簡便に検出することができ、当該無鉛
半田が使用に適するものであることを容易に知ることが
できる方法が求められている。
については、それが、不純物金属の濃度が許容限度を超
えたときにその旨を知ることができれば十分な場合が多
く、実際に含有される不純物金属の種類やその濃度を厳
密に知ることは、通常、不要である。このような事情か
ら、現在、無鉛半田について、それに含有される不純物
金属の濃度状態を簡便に検出することができ、当該無鉛
半田が使用に適するものであることを容易に知ることが
できる方法が求められている。
【0007】半田浴などの半田合金の組成を求める半田
組成分析装置として、例えば特開平6−273360号
公報には、溶融半田を攪拌しながら温度を低下させるこ
とによって当該半田の凝固温度を測定し、予め求めてお
いた半田合金の組成と凝固温度との関係から、当該半田
合金の組成を求めるものが示されている。しかしなが
ら、この分析装置は、半田合金の凝固温度の測定を正確
に行うことが困難である上、無鉛半田における不純物金
属が例えば1質量%のような僅かな割合で混入した場合
における凝固温度の変化は相当に小さいものであるた
め、無鉛半田における不純物金属の濃度状態を有効に検
出することはできない。
組成分析装置として、例えば特開平6−273360号
公報には、溶融半田を攪拌しながら温度を低下させるこ
とによって当該半田の凝固温度を測定し、予め求めてお
いた半田合金の組成と凝固温度との関係から、当該半田
合金の組成を求めるものが示されている。しかしなが
ら、この分析装置は、半田合金の凝固温度の測定を正確
に行うことが困難である上、無鉛半田における不純物金
属が例えば1質量%のような僅かな割合で混入した場合
における凝固温度の変化は相当に小さいものであるた
め、無鉛半田における不純物金属の濃度状態を有効に検
出することはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであって、その目的は、
無鉛半田について、それに含有される不純物金属の濃度
状態を簡便に検出することができ、当該無鉛半田が使用
に適するものであることを容易に知ることができる無鉛
半田における不純物金属濃度検出方法を提供することに
ある。本発明の他の目的は、無鉛半田について、それに
含有される不純物金属の濃度状態を容易に検出すること
ができ、当該無鉛半田が使用に適するものか否かを高い
信頼性で容易に知ることができる無鉛半田における不純
物金属濃度検出装置を提供することにある。
な事情に基づいてなされたものであって、その目的は、
無鉛半田について、それに含有される不純物金属の濃度
状態を簡便に検出することができ、当該無鉛半田が使用
に適するものであることを容易に知ることができる無鉛
半田における不純物金属濃度検出方法を提供することに
ある。本発明の他の目的は、無鉛半田について、それに
含有される不純物金属の濃度状態を容易に検出すること
ができ、当該無鉛半田が使用に適するものか否かを高い
信頼性で容易に知ることができる無鉛半田における不純
物金属濃度検出装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の無鉛半田におけ
る不純物金属濃度検出方法は、一定の昇温速度または降
温速度で温度変化するよう制御される温調ブロックによ
り、熱障壁を介して、無鉛半田よりなる試料を加熱また
は冷却することにより、当該試料に固体状態から固態−
液態相転移状態への状態変化またはその逆の状態変化を
生じさせたときに得られる当該試料の温度変化曲線にお
いて、当該試料が当該状態変化を生ずるときの外挿開始
点の温度を求める外挿開始点検出工程と、この外挿開始
点の温度を、既知の濃度の不純物金属を含有する当該無
鉛半田について同様にして予め求めておいた外挿開始点
の温度を基準温度として比較することにより、当該試料
における不純物金属の濃度状態を求める濃度検出工程と
を行うことを特徴とする。
る不純物金属濃度検出方法は、一定の昇温速度または降
温速度で温度変化するよう制御される温調ブロックによ
り、熱障壁を介して、無鉛半田よりなる試料を加熱また
は冷却することにより、当該試料に固体状態から固態−
液態相転移状態への状態変化またはその逆の状態変化を
生じさせたときに得られる当該試料の温度変化曲線にお
いて、当該試料が当該状態変化を生ずるときの外挿開始
点の温度を求める外挿開始点検出工程と、この外挿開始
点の温度を、既知の濃度の不純物金属を含有する当該無
鉛半田について同様にして予め求めておいた外挿開始点
の温度を基準温度として比較することにより、当該試料
における不純物金属の濃度状態を求める濃度検出工程と
を行うことを特徴とする。
【0010】本発明の無鉛半田における不純物金属濃度
検出装置は、無鉛半田よりなる試料を収容する試料容器
と、この試料容器を熱障壁部を介して包囲する温調ブロ
ックと、この温調ブロックを一定の昇温速度または降温
速度で温度変化するよう制御する加熱機構または冷却機
構と、前記試料の温度を測定する温度センサーとを含む
温度測定部と、前記試料が固体状態から固態−液態相転
移状態への状態変化またはその逆の状態変化を生ずると
きに前記温度センサーにより得られる当該試料の温度変
化曲線における、当該試料の状態変化を生ずるときの外
挿開始点の温度を求める外挿開始点検出機能と、この外
挿開始点検出機能により得られる外挿開始点の温度を、
既知の濃度の不純物金属を含有する当該無鉛半田につい
て同様にして予め求めておいた外挿開始点の温度を基準
温度として比較することにより、当該試料における不純
物金属の濃度状態を求める濃度検出機能とを有する情報
処理部と、を備えてなることを特徴とする。
検出装置は、無鉛半田よりなる試料を収容する試料容器
と、この試料容器を熱障壁部を介して包囲する温調ブロ
ックと、この温調ブロックを一定の昇温速度または降温
速度で温度変化するよう制御する加熱機構または冷却機
構と、前記試料の温度を測定する温度センサーとを含む
温度測定部と、前記試料が固体状態から固態−液態相転
移状態への状態変化またはその逆の状態変化を生ずると
きに前記温度センサーにより得られる当該試料の温度変
化曲線における、当該試料の状態変化を生ずるときの外
挿開始点の温度を求める外挿開始点検出機能と、この外
挿開始点検出機能により得られる外挿開始点の温度を、
既知の濃度の不純物金属を含有する当該無鉛半田につい
て同様にして予め求めておいた外挿開始点の温度を基準
温度として比較することにより、当該試料における不純
物金属の濃度状態を求める濃度検出機能とを有する情報
処理部と、を備えてなることを特徴とする。
【0011】本発明の無鉛半田における不純物金属濃度
検出方法は、一定の昇温速度または降温速度で温度変化
するよう制御される温調ブロックにより、熱障壁を介し
て、無鉛半田よりなる試料を加熱または冷却することに
より、当該試料に固態−液態相転移状態から液体状態へ
の状態変化またはその逆の状態変化を生じさせたときに
得られる当該試料の温度変化曲線において、当該試料が
当該状態変化を生ずるときの屈曲点の温度を求める屈曲
点検出工程と、この屈曲点の温度を、既知の濃度の不純
物金属を含有する当該無鉛半田のについて同様にして予
め求めておいた屈曲点の温度を基準温度として比較する
ことにより、当該試料における不純物金属の濃度状態を
求める濃度検出工程とを行うことを特徴とする。
検出方法は、一定の昇温速度または降温速度で温度変化
するよう制御される温調ブロックにより、熱障壁を介し
て、無鉛半田よりなる試料を加熱または冷却することに
より、当該試料に固態−液態相転移状態から液体状態へ
の状態変化またはその逆の状態変化を生じさせたときに
得られる当該試料の温度変化曲線において、当該試料が
当該状態変化を生ずるときの屈曲点の温度を求める屈曲
点検出工程と、この屈曲点の温度を、既知の濃度の不純
物金属を含有する当該無鉛半田のについて同様にして予
め求めておいた屈曲点の温度を基準温度として比較する
ことにより、当該試料における不純物金属の濃度状態を
求める濃度検出工程とを行うことを特徴とする。
【0012】本発明の無鉛半田における不純物金属濃度
検出装置は、無鉛半田よりなる試料を収容する試料容器
と、この試料容器を熱障壁部を介して包囲する温調ブロ
ックと、この温調ブロックを一定の昇温速度または降温
速度で温度変化するよう制御する加熱機構または冷却機
構と、前記試料の温度を測定する温度センサーとを含む
温度測定部と、前記試料が固態−液態相転移状態から液
体状態への状態変化またはその逆の状態変化を生ずると
きに前記温度センサーにより得られる当該試料の温度変
化曲線をおける、当該試料の状態変化を生ずるときの屈
曲点の温度を求める屈曲点検出機能と、この屈曲点検出
機能により得られる屈曲点の温度を、既知の濃度の不純
物金属を含有する当該無鉛半田について同様にして予め
求めておいた屈曲点の温度を基準温度として比較するこ
とにより、当該試料における不純物金属の濃度状態を求
める濃度検出機構とを有する情報処理部と、を備えてな
ることを特徴とする。
検出装置は、無鉛半田よりなる試料を収容する試料容器
と、この試料容器を熱障壁部を介して包囲する温調ブロ
ックと、この温調ブロックを一定の昇温速度または降温
速度で温度変化するよう制御する加熱機構または冷却機
構と、前記試料の温度を測定する温度センサーとを含む
温度測定部と、前記試料が固態−液態相転移状態から液
体状態への状態変化またはその逆の状態変化を生ずると
きに前記温度センサーにより得られる当該試料の温度変
化曲線をおける、当該試料の状態変化を生ずるときの屈
曲点の温度を求める屈曲点検出機能と、この屈曲点検出
機能により得られる屈曲点の温度を、既知の濃度の不純
物金属を含有する当該無鉛半田について同様にして予め
求めておいた屈曲点の温度を基準温度として比較するこ
とにより、当該試料における不純物金属の濃度状態を求
める濃度検出機構とを有する情報処理部と、を備えてな
ることを特徴とする。
【0013】以上の方法においては、温調ブロックの昇
温速度または降温速度が1分間当たり0.1℃〜10℃
であることが好ましい。
温速度または降温速度が1分間当たり0.1℃〜10℃
であることが好ましい。
【0014】以上の装置においては、試料容器が円筒形
であり、熱障壁部が本質的に空気層からなることが好ま
しい。また、試料容器の内面と温調ブロックとの間の平
均熱伝導率の値が0.04〜0.5W/m・Kであるこ
とが好ましい。更に、基準温度が、許容限度の濃度の不
純物金属を含有する無鉛半田について得られた外挿開始
点または屈曲点の温度であり、情報処理部が、当該試料
とされた無鉛半田についてその使用の可否を判定する機
能を有することが好ましい。
であり、熱障壁部が本質的に空気層からなることが好ま
しい。また、試料容器の内面と温調ブロックとの間の平
均熱伝導率の値が0.04〜0.5W/m・Kであるこ
とが好ましい。更に、基準温度が、許容限度の濃度の不
純物金属を含有する無鉛半田について得られた外挿開始
点または屈曲点の温度であり、情報処理部が、当該試料
とされた無鉛半田についてその使用の可否を判定する機
能を有することが好ましい。
【0015】
【作用】上記の無鉛半田における不純物金属濃度検出方
法によれば、無鉛半田よりなる試料について、不純物金
属の濃度の僅かな変化に応じて明確に変化する、温度変
化曲線における外挿開始点または屈曲点を求め、その温
度を、予め既知の濃度の無鉛半田について同様にして得
られた外挿開始点または屈曲点を基準温度としてこれと
比較するため、当該試料における不純物金属の濃度状態
をきわめて高い信頼性で検出することができ、その結
果、当該試料に係る無鉛半田が使用に適するものである
か否かをきわめて容易に知ることができる。
法によれば、無鉛半田よりなる試料について、不純物金
属の濃度の僅かな変化に応じて明確に変化する、温度変
化曲線における外挿開始点または屈曲点を求め、その温
度を、予め既知の濃度の無鉛半田について同様にして得
られた外挿開始点または屈曲点を基準温度としてこれと
比較するため、当該試料における不純物金属の濃度状態
をきわめて高い信頼性で検出することができ、その結
果、当該試料に係る無鉛半田が使用に適するものである
か否かをきわめて容易に知ることができる。
【0016】上記の無鉛半田における不純物金属濃度検
出装置によれば、その情報処理部において、必要な温度
変化曲線の作成、外挿開始点または屈曲点の温度の検出
および不純物金属の濃度の検出が自動的に短時間で行わ
れるため、試料に係る無鉛半田について、その濃度状態
をきわめて簡便にしかも高い信頼性で検出することがで
き、当該試料に係る無鉛半田が使用に適するものである
か否かをきわめて容易に知ることができる。
出装置によれば、その情報処理部において、必要な温度
変化曲線の作成、外挿開始点または屈曲点の温度の検出
および不純物金属の濃度の検出が自動的に短時間で行わ
れるため、試料に係る無鉛半田について、その濃度状態
をきわめて簡便にしかも高い信頼性で検出することがで
き、当該試料に係る無鉛半田が使用に適するものである
か否かをきわめて容易に知ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。図1は、本発明の無鉛半田における不純物金属
濃度検出方法に用いられる装置の温度測定部の一例にお
ける構成の概略を示す説明用断面図である。この温度測
定部においては、無鉛半田よりなる試料Sを収容する試
料容器10と、この試料容器10が配置される試料室1
2が中央部に形成された温調ブロック15と、この温調
ブロック15の外周部に配設された電熱ヒータ18とに
より構成されており、試料容器10は、その全体が、空
気層からなる熱障壁部20を介して温調ブロック15に
より包囲された状態で試料室12内に配置され、この試
料容器10内の試料Sの温度を直接的に測定する、例え
ば熱電対よりなる温度センサー22が設けられている。
明する。図1は、本発明の無鉛半田における不純物金属
濃度検出方法に用いられる装置の温度測定部の一例にお
ける構成の概略を示す説明用断面図である。この温度測
定部においては、無鉛半田よりなる試料Sを収容する試
料容器10と、この試料容器10が配置される試料室1
2が中央部に形成された温調ブロック15と、この温調
ブロック15の外周部に配設された電熱ヒータ18とに
より構成されており、試料容器10は、その全体が、空
気層からなる熱障壁部20を介して温調ブロック15に
より包囲された状態で試料室12内に配置され、この試
料容器10内の試料Sの温度を直接的に測定する、例え
ば熱電対よりなる温度センサー22が設けられている。
【0018】以上において、試料容器10としては、例
えばステンレス鋼製の円筒形容器を好ましく用いること
ができる。この試料容器10は、試料室12内におい
て、温調ブロック15との間で接触熱伝導による熱の移
動量が少ない状態で支持されることが好ましい。このよ
うな理由から、試料容器10の外周面および底壁の外面
は、試料室12の内周面および底壁の内面と離間し、そ
れらの間に均一な空隙層が形成された状態となるよう、
例えば温度センサー22によって支持される。また、必
要に応じて、例えば試料容器10の上縁および下縁の各
々に半径方向外方に突出し、先端が試料室12の内周面
に対接されるスペーサ用ピンを設けることにより、熱障
壁部20となる空間が形成された状態で試料容器10を
支持する構成とすることもできる。この熱障壁部20の
空間には、ガラスウールなどの適宜の断熱材を充填する
ことが好ましい。
えばステンレス鋼製の円筒形容器を好ましく用いること
ができる。この試料容器10は、試料室12内におい
て、温調ブロック15との間で接触熱伝導による熱の移
動量が少ない状態で支持されることが好ましい。このよ
うな理由から、試料容器10の外周面および底壁の外面
は、試料室12の内周面および底壁の内面と離間し、そ
れらの間に均一な空隙層が形成された状態となるよう、
例えば温度センサー22によって支持される。また、必
要に応じて、例えば試料容器10の上縁および下縁の各
々に半径方向外方に突出し、先端が試料室12の内周面
に対接されるスペーサ用ピンを設けることにより、熱障
壁部20となる空間が形成された状態で試料容器10を
支持する構成とすることもできる。この熱障壁部20の
空間には、ガラスウールなどの適宜の断熱材を充填する
ことが好ましい。
【0019】温調ブロック15は、例えば銅クロム製で
大きな熱慣性を有するものとされており、電熱ヒータ1
8により加熱されることによって高温となり、それによ
り、熱障壁部20および試料容器10の壁を介して試料
Sが加熱される。なお、図1において、24は金属製の
カバーディスク、26は容器保持板である。
大きな熱慣性を有するものとされており、電熱ヒータ1
8により加熱されることによって高温となり、それによ
り、熱障壁部20および試料容器10の壁を介して試料
Sが加熱される。なお、図1において、24は金属製の
カバーディスク、26は容器保持板である。
【0020】以上のような温度測定部では、次のような
操作が行われる。すなわち、不純物金属の濃度を求める
べき無鉛半田を試料Sとして試料容器10内に充填し、
これを温調ブロック15の試料室12内に配置し、この
状態で、電熱ヒータ18を動作させることにより温調ブ
ロック15を一定の昇温速度となるよう加熱してその温
度を上昇させ、これにより、試料容器10内の試料S
に、固体状態から固態−液態相転移状態、あるいは固態
−液態相転移状態から液体状態への状態変化を生じさ
せ、このときの当該試料Sの温度変化を温度センサー2
2により検出して温度変化曲線を作成する。以上におい
て、温調ブロック15の昇温速度は実質的に一定であれ
ばよく、例えばその温度変化曲線がほぼ直線状となるも
のであればよい。
操作が行われる。すなわち、不純物金属の濃度を求める
べき無鉛半田を試料Sとして試料容器10内に充填し、
これを温調ブロック15の試料室12内に配置し、この
状態で、電熱ヒータ18を動作させることにより温調ブ
ロック15を一定の昇温速度となるよう加熱してその温
度を上昇させ、これにより、試料容器10内の試料S
に、固体状態から固態−液態相転移状態、あるいは固態
−液態相転移状態から液体状態への状態変化を生じさ
せ、このときの当該試料Sの温度変化を温度センサー2
2により検出して温度変化曲線を作成する。以上におい
て、温調ブロック15の昇温速度は実質的に一定であれ
ばよく、例えばその温度変化曲線がほぼ直線状となるも
のであればよい。
【0021】温度センサー22よりの温度測定結果は、
経過時間との関係でプロットされることによって当該試
料Sの温度変化曲線が形成され、その温度変化曲線のプ
ロファイルにおける特異点の温度を求める外挿開始点検
出工程または屈曲点検出工程が行われる。ここに、温度
変化曲線における特異点としては、後述する外挿開始点
または屈曲点が利用される。
経過時間との関係でプロットされることによって当該試
料Sの温度変化曲線が形成され、その温度変化曲線のプ
ロファイルにおける特異点の温度を求める外挿開始点検
出工程または屈曲点検出工程が行われる。ここに、温度
変化曲線における特異点としては、後述する外挿開始点
または屈曲点が利用される。
【0022】図2は、99.5質量%の錫と0.5質量
%の銅よりなる無鉛半田を試料Sとして用いたときに得
られる試料Sの温度変化曲線を示す。この温度変化曲線
を得るために用いた装置の温度測定部は、直径40m
m、高さ40mmの銅クロム製の円柱状の温調ブロック
15の中央部に円筒状の試料室12が形成され、この試
料室12内に、外径10mm、内径8mm、高さ20m
m、底壁および周壁の厚み1mmのステンレス鋼製の円
筒状の試料容器10が温度センサー22により直接的に
支持され、試料容器10と試料室12の内壁面との間に
厚さが1mmの空隙層が形成され、この空隙層内にガラ
スウールが充填されて構成されたものである。そして、
電熱ヒータ18に説幅されたコントローラにより、温調
ブロック15を室温から1分間当たり約5℃の昇温速度
で加熱することにより、当該温度変化曲線が得られた。
%の銅よりなる無鉛半田を試料Sとして用いたときに得
られる試料Sの温度変化曲線を示す。この温度変化曲線
を得るために用いた装置の温度測定部は、直径40m
m、高さ40mmの銅クロム製の円柱状の温調ブロック
15の中央部に円筒状の試料室12が形成され、この試
料室12内に、外径10mm、内径8mm、高さ20m
m、底壁および周壁の厚み1mmのステンレス鋼製の円
筒状の試料容器10が温度センサー22により直接的に
支持され、試料容器10と試料室12の内壁面との間に
厚さが1mmの空隙層が形成され、この空隙層内にガラ
スウールが充填されて構成されたものである。そして、
電熱ヒータ18に説幅されたコントローラにより、温調
ブロック15を室温から1分間当たり約5℃の昇温速度
で加熱することにより、当該温度変化曲線が得られた。
【0023】図2において、曲線Aは試料Sの温度変化
曲線であり、曲線Bは温調ブロック15の温度変化曲線
である。この曲線Aのプロファイルから、次のことが明
らかである。なお、各期間は、図3に示されている。 (1)固体期間a 加熱が開始されてから暫くの間は、試料Sは、固体状態
のまま、温調ブロック15と同様の温度勾配で昇温す
る。すなわち、この固体状態期間aにおいて、曲線A
は、曲線Bより僅かに下方位置ではあるが、同様の温度
勾配で時間と共に昇温している。これは、試料Sと温調
ブロック15との間に、試料容器10の壁と熱障壁部2
0とによる熱障壁が存在することにより、試料Sの温度
は温調ブロック15より僅かに低い温度状態ではある
が、熱的に並行な状態が維持されるからである。
曲線であり、曲線Bは温調ブロック15の温度変化曲線
である。この曲線Aのプロファイルから、次のことが明
らかである。なお、各期間は、図3に示されている。 (1)固体期間a 加熱が開始されてから暫くの間は、試料Sは、固体状態
のまま、温調ブロック15と同様の温度勾配で昇温す
る。すなわち、この固体状態期間aにおいて、曲線A
は、曲線Bより僅かに下方位置ではあるが、同様の温度
勾配で時間と共に昇温している。これは、試料Sと温調
ブロック15との間に、試料容器10の壁と熱障壁部2
0とによる熱障壁が存在することにより、試料Sの温度
は温調ブロック15より僅かに低い温度状態ではある
が、熱的に並行な状態が維持されるからである。
【0024】(2)固態−液態相転移期間b 加熱時間が約20分間経過して温度が228.8℃に達
した時点において、曲線Aは、変曲点P1を介して勾配
が略一定となる。この例では略水平である。すなわち、
この変曲点P1の時点で、固体状態の試料Sが溶融を開
始し、試料Sは固態−液態相転移状態となり、固体状態
の試料Sが溶融する吸熱反応が継続して行われ、液体状
態が共存する。
した時点において、曲線Aは、変曲点P1を介して勾配
が略一定となる。この例では略水平である。すなわち、
この変曲点P1の時点で、固体状態の試料Sが溶融を開
始し、試料Sは固態−液態相転移状態となり、固体状態
の試料Sが溶融する吸熱反応が継続して行われ、液体状
態が共存する。
【0025】(3)遷移期間c 加熱時間が約23.6分間を越えると、曲線Aは、水平
状態から、当初は緩やかにしかし次第に勾配が大きく上
昇する。これは、試料Sにおける各金属成分毎に固有の
物性に従って昇温するからである。 (4)液体期間d そして、温度が235.6℃に達すると、すべての金属
成分が液体状態で均一相を形成するため、曲線Aは、こ
の屈曲点P2を境に大きく上昇する。これは、熱が相転
移に消費される状態が終了し、しかもその時点では温調
ブロック15との温度差が相当に大きいために、試料S
の温度が大きい勾配で上昇するからである。そして、そ
の後は、再び温調ブロック15と同様の勾配で温度が上
昇するようになる。
状態から、当初は緩やかにしかし次第に勾配が大きく上
昇する。これは、試料Sにおける各金属成分毎に固有の
物性に従って昇温するからである。 (4)液体期間d そして、温度が235.6℃に達すると、すべての金属
成分が液体状態で均一相を形成するため、曲線Aは、こ
の屈曲点P2を境に大きく上昇する。これは、熱が相転
移に消費される状態が終了し、しかもその時点では温調
ブロック15との温度差が相当に大きいために、試料S
の温度が大きい勾配で上昇するからである。そして、そ
の後は、再び温調ブロック15と同様の勾配で温度が上
昇するようになる。
【0026】而して、この曲線Aで示されるような温度
変化曲線において、変曲点P1に関する外挿開始点の温
度を、不純物金属の濃度が僅かに異なる状態の種々の無
鉛半田について求めたところ、当該外挿開始点の温度
と、不純物金属の濃度との間には比例的な関係があるこ
とが判明した。ここに、変曲点P1に関する外挿開始点
は、図3に示すように、固体期間aにおける勾配が一定
の基線を図で上方に延長した延長線Laと、固態−液態
相転移期間bにおける曲線Aの勾配が一定の線分を図で
左方に延長した延長線Lbとの交点Dの温度として求め
られるものである。
変化曲線において、変曲点P1に関する外挿開始点の温
度を、不純物金属の濃度が僅かに異なる状態の種々の無
鉛半田について求めたところ、当該外挿開始点の温度
と、不純物金属の濃度との間には比例的な関係があるこ
とが判明した。ここに、変曲点P1に関する外挿開始点
は、図3に示すように、固体期間aにおける勾配が一定
の基線を図で上方に延長した延長線Laと、固態−液態
相転移期間bにおける曲線Aの勾配が一定の線分を図で
左方に延長した延長線Lbとの交点Dの温度として求め
られるものである。
【0027】図4〜図6は、それぞれ、図2に係る無鉛
半田(Sn:99.5質量%、Cu:0.5質量%)
に、不純物金属として、鉛を0.52質量%、0.88
質量%および1.26質量%となる割合で混入させて得
られる無鉛半田試料についての温度変化曲線を示す図で
ある。これらの温度変化曲線Aのプロファイルから求め
られた外挿開始点の温度は、鉛の濃度が0.52質量%
では225.9℃、0.88質量%では223.8℃お
よび1.26質量%では222.4℃であった。
半田(Sn:99.5質量%、Cu:0.5質量%)
に、不純物金属として、鉛を0.52質量%、0.88
質量%および1.26質量%となる割合で混入させて得
られる無鉛半田試料についての温度変化曲線を示す図で
ある。これらの温度変化曲線Aのプロファイルから求め
られた外挿開始点の温度は、鉛の濃度が0.52質量%
では225.9℃、0.88質量%では223.8℃お
よび1.26質量%では222.4℃であった。
【0028】図7は、図2の曲線Aから得られた、鉛の
混入割合が0の上記無鉛半田の外挿開始点の温度(22
8.8℃)を含め、図4〜図6のグラフから得られた外
挿開始点の温度と、鉛の混入割合との関係を示すグラフ
である。この図7のグラフから、当該無鉛半田では、鉛
の混入割合が高くなると外挿開始点の温度が低下し、し
かも温度低下の程度が鉛の混入割合に対応しており、両
者の間には、負の比例的な直線的関係があることが明ら
かである。
混入割合が0の上記無鉛半田の外挿開始点の温度(22
8.8℃)を含め、図4〜図6のグラフから得られた外
挿開始点の温度と、鉛の混入割合との関係を示すグラフ
である。この図7のグラフから、当該無鉛半田では、鉛
の混入割合が高くなると外挿開始点の温度が低下し、し
かも温度低下の程度が鉛の混入割合に対応しており、両
者の間には、負の比例的な直線的関係があることが明ら
かである。
【0029】以上のように、本発明の方法は、無鉛半田
に不純物金属が含有されている場合に、当該不純物金属
の濃度状態と、温度変化曲線のプロファイルから得られ
る外挿開始点の温度との間に一定の関係があることを利
用し、不純物金属の濃度状態が未知の無鉛半田の試料に
ついて、その温度変化曲線における外挿開始点の温度を
求めることにより、当該無鉛半田における不純物金属の
濃度状態を検出するものである。
に不純物金属が含有されている場合に、当該不純物金属
の濃度状態と、温度変化曲線のプロファイルから得られ
る外挿開始点の温度との間に一定の関係があることを利
用し、不純物金属の濃度状態が未知の無鉛半田の試料に
ついて、その温度変化曲線における外挿開始点の温度を
求めることにより、当該無鉛半田における不純物金属の
濃度状態を検出するものである。
【0030】すなわち、本発明においては、その不純物
金属の濃度状態を知るべき無鉛半田を試料として、上述
したところに従い、一定の昇温速度で加熱される温調ブ
ロック15により、熱障壁を介して当該試料を加熱する
ことにより、その温度変化曲線を得る。そして、この温
度変化曲線におけるプロファイルから、変曲点P1に係
る外挿開始点(D)の温度を求める外挿開始点検出工程
を行い、得られた外挿開始点の温度の値を、既知の濃度
で不純物金属を含有する同様の無鉛半田について同様の
操作によって予め求めておいた外挿開始点の温度を基準
温度としてこれと比較することにより、当該試料Sに係
る無鉛半田に含有される不純物金属の濃度状態を検出す
る濃度検出工程を行う。
金属の濃度状態を知るべき無鉛半田を試料として、上述
したところに従い、一定の昇温速度で加熱される温調ブ
ロック15により、熱障壁を介して当該試料を加熱する
ことにより、その温度変化曲線を得る。そして、この温
度変化曲線におけるプロファイルから、変曲点P1に係
る外挿開始点(D)の温度を求める外挿開始点検出工程
を行い、得られた外挿開始点の温度の値を、既知の濃度
で不純物金属を含有する同様の無鉛半田について同様の
操作によって予め求めておいた外挿開始点の温度を基準
温度としてこれと比較することにより、当該試料Sに係
る無鉛半田に含有される不純物金属の濃度状態を検出す
る濃度検出工程を行う。
【0031】例えば、上記の鉛を不純物金属として含有
する無鉛半田の例では、或る試料について得られた外挿
開始点の温度が224.0℃であれば、図7の直線を検
量線として用いることにより、当該試料に係る無鉛半田
における鉛の含有濃度は、約0.75質量%であること
が検出される。
する無鉛半田の例では、或る試料について得られた外挿
開始点の温度が224.0℃であれば、図7の直線を検
量線として用いることにより、当該試料に係る無鉛半田
における鉛の含有濃度は、約0.75質量%であること
が検出される。
【0032】以上の操作において、温調ブロック15の
昇温速度は特に限定されるものではないが、例えば1分
間当たり0.1℃〜10℃の範囲とすることが好まし
い。この昇温速度が小さい場合には、必要な温度変化曲
線を得るための所要時間が長いものとなり、一方、昇温
速度が過大の場合には、明瞭な変曲点P1が現れないた
めに外挿開始点を特定することが困難となる場合があ
る。実際には、1分間当たり1℃〜7℃程度の範囲であ
ることが好ましい。昇温速度の制御は、例えば温調ブロ
ック15を加熱する電熱ヒータ18に対する電力の供給
を制御することによって行うことができる。
昇温速度は特に限定されるものではないが、例えば1分
間当たり0.1℃〜10℃の範囲とすることが好まし
い。この昇温速度が小さい場合には、必要な温度変化曲
線を得るための所要時間が長いものとなり、一方、昇温
速度が過大の場合には、明瞭な変曲点P1が現れないた
めに外挿開始点を特定することが困難となる場合があ
る。実際には、1分間当たり1℃〜7℃程度の範囲であ
ることが好ましい。昇温速度の制御は、例えば温調ブロ
ック15を加熱する電熱ヒータ18に対する電力の供給
を制御することによって行うことができる。
【0033】また、温度センサー22による温度測定結
果から温度変化曲線を得るための実際の処理は、温度セ
ンサー22よりの温度測定情報を適宜のコンピュータ機
能を利用して処理することにより、行うことができる。
そして、この情報処理によって得られる温度変化曲線に
ついて外挿開始点検出工程を行うことが必要であり、更
に、予め求められた基準温度とを比較して濃度検出工程
を行うことが必要であるが、これらの工程も、適宜のコ
ンピュータ機能を利用して行うことができる。
果から温度変化曲線を得るための実際の処理は、温度セ
ンサー22よりの温度測定情報を適宜のコンピュータ機
能を利用して処理することにより、行うことができる。
そして、この情報処理によって得られる温度変化曲線に
ついて外挿開始点検出工程を行うことが必要であり、更
に、予め求められた基準温度とを比較して濃度検出工程
を行うことが必要であるが、これらの工程も、適宜のコ
ンピュータ機能を利用して行うことができる。
【0034】本発明の無鉛半田における不純物金属濃度
検出方法は、以上のとおりであり、不純物金属の濃度が
例えば0.5質量%のような微小割合であっても、その
濃度状態を確実に検出することができる。然るに、各種
の無鉛半田における不純物金属の許容限度、すなわちそ
れを超える濃度の不純物金属を含有する場合に当該無鉛
半田が使用に不適とされるときの当該不純物金属の最高
濃度は、無鉛半田の種類によっても異なるが、概略、
0.5〜3.0質量%の範囲内であり、従って、本発明
の方法によれば、そのような濃度範囲の不純物金属を十
分確実に検出することができるので、きわめて好適であ
る。
検出方法は、以上のとおりであり、不純物金属の濃度が
例えば0.5質量%のような微小割合であっても、その
濃度状態を確実に検出することができる。然るに、各種
の無鉛半田における不純物金属の許容限度、すなわちそ
れを超える濃度の不純物金属を含有する場合に当該無鉛
半田が使用に不適とされるときの当該不純物金属の最高
濃度は、無鉛半田の種類によっても異なるが、概略、
0.5〜3.0質量%の範囲内であり、従って、本発明
の方法によれば、そのような濃度範囲の不純物金属を十
分確実に検出することができるので、きわめて好適であ
る。
【0035】そして、基準温度として、許容限度の濃度
の不純物金属を含有する無鉛半田について得られた外挿
開始点の温度を用いる場合には、当該基準温度に比較す
るのみで、試料とされた無鉛半田が実際に使用に適する
ものであるか否か、すなわち使用の可否を判定すること
ができる。
の不純物金属を含有する無鉛半田について得られた外挿
開始点の温度を用いる場合には、当該基準温度に比較す
るのみで、試料とされた無鉛半田が実際に使用に適する
ものであるか否か、すなわち使用の可否を判定すること
ができる。
【0036】また、実際の半田浴において無鉛半田に混
入する不純物金属の種類は、通常、1種のみではない
が、混入される不純物金属のうちの主たる金属の種類は
ほとんどの場合に明らかであるから、当該主たる金属に
ついて、本発明の方法を実施してその濃度状態を検出す
ることにより、当該無鉛半田が使用に適するものである
か否かを知ることができる。
入する不純物金属の種類は、通常、1種のみではない
が、混入される不純物金属のうちの主たる金属の種類は
ほとんどの場合に明らかであるから、当該主たる金属に
ついて、本発明の方法を実施してその濃度状態を検出す
ることにより、当該無鉛半田が使用に適するものである
か否かを知ることができる。
【0037】そして、本発明の無鉛半田における不純物
金属濃度検出方法においては、実際上、対象となる試料
の少量、例えば0.1〜1cm3 程度を採取してそれを
試料容器内に充填し、これを温調ブロック15内に配置
して加熱測定を行って温度変化曲線を得、得られた温度
変化曲線のプロファイルについて外挿開始点検出工程を
行い、更に濃度検出工程を行えばよいところ、これらの
実際の作業はコンピュータによって実行することができ
るので、煩雑な作業が不要であり、温度変化曲線を得る
ための操作も所要時間は通常数十分間から長くても1時
間程度以下であるため、きわめて短時間のうちに、いわ
ばリアルタイムで半田浴の無鉛半田について不純物金属
の濃度状態を検出することができる。
金属濃度検出方法においては、実際上、対象となる試料
の少量、例えば0.1〜1cm3 程度を採取してそれを
試料容器内に充填し、これを温調ブロック15内に配置
して加熱測定を行って温度変化曲線を得、得られた温度
変化曲線のプロファイルについて外挿開始点検出工程を
行い、更に濃度検出工程を行えばよいところ、これらの
実際の作業はコンピュータによって実行することができ
るので、煩雑な作業が不要であり、温度変化曲線を得る
ための操作も所要時間は通常数十分間から長くても1時
間程度以下であるため、きわめて短時間のうちに、いわ
ばリアルタイムで半田浴の無鉛半田について不純物金属
の濃度状態を検出することができる。
【0038】また、本発明の方法によって得られる結果
は、既述のとおりの原理によるものであり、実際に用い
られる無鉛半田は、その性質上、その必須成分の割合が
厳密に規定されているものであることもあって、外部か
ら混入した不純物金属の濃度状態をきわめて高い信頼性
で、確実にかつ容易に検出することができ、従って、特
に半田浴に使用されている無鉛半田に対する不純物金属
の濃度状態の検出に好適である。
は、既述のとおりの原理によるものであり、実際に用い
られる無鉛半田は、その性質上、その必須成分の割合が
厳密に規定されているものであることもあって、外部か
ら混入した不純物金属の濃度状態をきわめて高い信頼性
で、確実にかつ容易に検出することができ、従って、特
に半田浴に使用されている無鉛半田に対する不純物金属
の濃度状態の検出に好適である。
【0039】本発明の無鉛半田における不純物金属濃度
検出装置においては、既述の温度測定部と、情報処理部
とを備えるものとして構成される。そして、情報処理部
においては、温度センサー22よりの温度測定情報を処
理して温度変化曲線を作成する機能と、得られる温度変
化曲線に対して外挿開始点検出工程を行う機能と、予め
記憶させておいた基準温度との比較により濃度検出工程
を行う機能を有するコンピュータが備えられる。
検出装置においては、既述の温度測定部と、情報処理部
とを備えるものとして構成される。そして、情報処理部
においては、温度センサー22よりの温度測定情報を処
理して温度変化曲線を作成する機能と、得られる温度変
化曲線に対して外挿開始点検出工程を行う機能と、予め
記憶させておいた基準温度との比較により濃度検出工程
を行う機能を有するコンピュータが備えられる。
【0040】このような構成の装置によれば、温度測定
部における温度測定動作による結果が情報処理部におい
て直ちに処理され、その後、あるいは並行して必要な情
報処理が行われることにより、短時間のうちに、試料S
について、それに混入している不純物金属の濃度状態を
ほとんど自動的に検出することができる。この検出され
た不純物金属の濃度状態は、適宜の手段により、表示あ
るいは報知されることが好ましい。
部における温度測定動作による結果が情報処理部におい
て直ちに処理され、その後、あるいは並行して必要な情
報処理が行われることにより、短時間のうちに、試料S
について、それに混入している不純物金属の濃度状態を
ほとんど自動的に検出することができる。この検出され
た不純物金属の濃度状態は、適宜の手段により、表示あ
るいは報知されることが好ましい。
【0041】また、情報処理部を構成するコンピュータ
においては、既述のように、許容限度の濃度の不純物金
属を含有する無鉛半田について得られた外挿開始点の温
度を基準温度として用いて判定する機能を有しているこ
とが好ましく、これにより、直ちに、試料に係る無鉛半
田の使用の可否を報知することができる。そして、この
場合には、当該無鉛半田が使用に適するものでないこと
を、光や音声によって報知する警報機能を設けておくこ
ともでき、この場合には、該当する場合に警報が発せら
れることにより、当該無鉛半田が使用に適しないもので
あることを直ちに知ることができ、従って当該無鉛半田
の交換あるいは不純物金属の希釈などの必要な措置を講
ずることができる。
においては、既述のように、許容限度の濃度の不純物金
属を含有する無鉛半田について得られた外挿開始点の温
度を基準温度として用いて判定する機能を有しているこ
とが好ましく、これにより、直ちに、試料に係る無鉛半
田の使用の可否を報知することができる。そして、この
場合には、当該無鉛半田が使用に適するものでないこと
を、光や音声によって報知する警報機能を設けておくこ
ともでき、この場合には、該当する場合に警報が発せら
れることにより、当該無鉛半田が使用に適しないもので
あることを直ちに知ることができ、従って当該無鉛半田
の交換あるいは不純物金属の希釈などの必要な措置を講
ずることができる。
【0042】以上の情報処理部においては、必要な情報
処理がなされれば、その処理結果のすべてが実際に認知
可能な状態のものとして作成されることは必ずしも必要
ではない。例えば、上記の警報機能が備えられた装置に
おいては、実際に温度変化曲線が可視的なグラフとして
作成されること、求められた外挿開始点の具体的な温度
値が表示されること、あるいは外挿開始点の基準温度と
の差の程度が表示されることなどが、具体的に行われる
必要がない場合もある。
処理がなされれば、その処理結果のすべてが実際に認知
可能な状態のものとして作成されることは必ずしも必要
ではない。例えば、上記の警報機能が備えられた装置に
おいては、実際に温度変化曲線が可視的なグラフとして
作成されること、求められた外挿開始点の具体的な温度
値が表示されること、あるいは外挿開始点の基準温度と
の差の程度が表示されることなどが、具体的に行われる
必要がない場合もある。
【0043】温度測定部の構成について、その具体的な
条件が限定されるものではないが、実用的には、試料容
器10は、円筒形であることが好ましく、これにより、
目的とする温度変化曲線を安定に得ることができる。こ
れは、温調ブロック15からの熱伝達が十分に均一とな
るからである。図1の例において、温調ブロック15の
試料Sに対する熱障壁は試料容器10の壁と熱障壁部2
0とにより形成される。ここに、熱障壁部20の構成
は、原理的には限定されるものではないが、実際上、平
均熱伝導率λが0.04〜0.5W/m・Kである熱障
壁が形成されていることが好ましい。そして、これを達
成するためには、熱障壁部20は空気層からなるもので
あることが好ましく、特にガラスウールなどの断熱材が
充填されることによって構成されていることが好まし
い。
条件が限定されるものではないが、実用的には、試料容
器10は、円筒形であることが好ましく、これにより、
目的とする温度変化曲線を安定に得ることができる。こ
れは、温調ブロック15からの熱伝達が十分に均一とな
るからである。図1の例において、温調ブロック15の
試料Sに対する熱障壁は試料容器10の壁と熱障壁部2
0とにより形成される。ここに、熱障壁部20の構成
は、原理的には限定されるものではないが、実際上、平
均熱伝導率λが0.04〜0.5W/m・Kである熱障
壁が形成されていることが好ましい。そして、これを達
成するためには、熱障壁部20は空気層からなるもので
あることが好ましく、特にガラスウールなどの断熱材が
充填されることによって構成されていることが好まし
い。
【0044】以上においては、試料についての温度変化
曲線を得るために、温調ブロックを一定の昇温速度で加
熱する場合について説明したが、試料を加熱して溶融さ
せ、これを例えば放置することにより、または適宜の冷
却促進手段や冷却抑制手段を用いることよって、一定の
降温速度で温調ブロックを冷却し、これによって試料
に、その液体状態から固態−液態相転移状態を経て固体
状態に移行させることによっても、上記の場合と全く同
一の温度変化曲線が得られる。従って、温度変化曲線を
得るために、このような冷却による方法を利用すること
もできる。
曲線を得るために、温調ブロックを一定の昇温速度で加
熱する場合について説明したが、試料を加熱して溶融さ
せ、これを例えば放置することにより、または適宜の冷
却促進手段や冷却抑制手段を用いることよって、一定の
降温速度で温調ブロックを冷却し、これによって試料
に、その液体状態から固態−液態相転移状態を経て固体
状態に移行させることによっても、上記の場合と全く同
一の温度変化曲線が得られる。従って、温度変化曲線を
得るために、このような冷却による方法を利用すること
もできる。
【0045】また、試料の温度変化曲線においては、図
2に示されているように、試料の固体状態から固態−液
態相転移状態に移行する際の変曲点P1に係る外挿開始
点以外に、試料の液体状態と固態−液態相転移状態との
間の屈曲点P2が現れるが、この屈曲点P2の温度もま
た、不純物金属の濃度状態に応じて変化するものである
ことが確認された。
2に示されているように、試料の固体状態から固態−液
態相転移状態に移行する際の変曲点P1に係る外挿開始
点以外に、試料の液体状態と固態−液態相転移状態との
間の屈曲点P2が現れるが、この屈曲点P2の温度もま
た、不純物金属の濃度状態に応じて変化するものである
ことが確認された。
【0046】この屈曲点の温度は、無鉛半田における不
純物金属の濃度が高くなると次第に高いものとなり、外
挿開始点の温度の場合と同様に、不純物金属の濃度と一
定の関係がある。従って、この屈曲点の温度を検出し、
それを、予め求めておいた既知の濃度の不純物金属を含
有する無鉛半田について同様にして求めておいた屈曲点
の温度を基準温度としてこれと比較することにより、上
記の外挿開始点を利用する場合と同様に、当該試料に係
る無鉛半田における不純物金属の濃度状態を検出するこ
とができる。
純物金属の濃度が高くなると次第に高いものとなり、外
挿開始点の温度の場合と同様に、不純物金属の濃度と一
定の関係がある。従って、この屈曲点の温度を検出し、
それを、予め求めておいた既知の濃度の不純物金属を含
有する無鉛半田について同様にして求めておいた屈曲点
の温度を基準温度としてこれと比較することにより、上
記の外挿開始点を利用する場合と同様に、当該試料に係
る無鉛半田における不純物金属の濃度状態を検出するこ
とができる。
【0047】例えば図8は、99.3質量%の錫と0.
7質量%の銅よりなる無鉛半田を試料として用いた場合
の、図2と同様の温度変化曲線を示すグラフである。こ
の温度変化曲線から、屈曲点P2の温度は237.0℃
であることが明らかであり、銅の濃度が0.5質量%で
ある図2の場合に屈曲点P2の温度が235.6℃であ
ったことから、銅の濃度が高くなると当該屈曲点の温度
が高くなることが理解される。上記の増加分の銅は、種
類としては当該無鉛半田に対して「不純物金属」という
べきものではないかもしれないが、銅の濃度が0.5質
量%に規定された当該無鉛半田にとっては、その含有割
合が限度を超える点から、明らかに「不純物金属」とい
うべきものである。
7質量%の銅よりなる無鉛半田を試料として用いた場合
の、図2と同様の温度変化曲線を示すグラフである。こ
の温度変化曲線から、屈曲点P2の温度は237.0℃
であることが明らかであり、銅の濃度が0.5質量%で
ある図2の場合に屈曲点P2の温度が235.6℃であ
ったことから、銅の濃度が高くなると当該屈曲点の温度
が高くなることが理解される。上記の増加分の銅は、種
類としては当該無鉛半田に対して「不純物金属」という
べきものではないかもしれないが、銅の濃度が0.5質
量%に規定された当該無鉛半田にとっては、その含有割
合が限度を超える点から、明らかに「不純物金属」とい
うべきものである。
【0048】このように、僅かに0.2質量%の不純物
金属の存在により、屈曲点の温度が明確に異なるものと
なるので、この方法による場合にも、当該不純物金属の
濃度状態を高い信頼性で検出することができる。
金属の存在により、屈曲点の温度が明確に異なるものと
なるので、この方法による場合にも、当該不純物金属の
濃度状態を高い信頼性で検出することができる。
【0049】本発明の方法において、外挿開始点あるい
は屈曲点の温度を求めるためには、温度変化曲線は、当
該外挿開始点または屈曲点を含む温度領域についてのも
のであれば十分であるから、固体状態から固態−液態相
転移状態を経て液体状態に至るまでの全温度範囲にわた
って温度変化曲線を得ることは、必ずしも必要ではな
く、変曲点P1に係る外挿開始点を利用する場合には、
試料容器内の試料が固体状態から固態−液態相転移状態
の状態変化あるいはその逆の状態変化が生ずるよう、温
調ブロックに温度変化を生じさせればよく、一方、屈曲
点P2を利用する場合には、試料が固態−液態相転移状
態から液体状態の状態変化あるいはその逆の状態変化が
生ずるよう、温調ブロックに温度変化を生じさせればよ
い。
は屈曲点の温度を求めるためには、温度変化曲線は、当
該外挿開始点または屈曲点を含む温度領域についてのも
のであれば十分であるから、固体状態から固態−液態相
転移状態を経て液体状態に至るまでの全温度範囲にわた
って温度変化曲線を得ることは、必ずしも必要ではな
く、変曲点P1に係る外挿開始点を利用する場合には、
試料容器内の試料が固体状態から固態−液態相転移状態
の状態変化あるいはその逆の状態変化が生ずるよう、温
調ブロックに温度変化を生じさせればよく、一方、屈曲
点P2を利用する場合には、試料が固態−液態相転移状
態から液体状態の状態変化あるいはその逆の状態変化が
生ずるよう、温調ブロックに温度変化を生じさせればよ
い。
【0050】
【発明の効果】本発明の無鉛半田における不純物金属濃
度検出方法によれば、無鉛半田よりなる試料について、
不純物金属の濃度の僅かな変化に応じて明確に変化す
る、温度変化曲線における外挿開始点または屈曲点を求
め、その温度を、予め既知の濃度の無鉛半田について同
様にして得られた外挿開始点または屈曲点を基準温度と
してこれと比較するため、当該試料における不純物金属
の濃度状態をきわめて高い信頼性で検出することがで
き、その結果、当該試料に係る無鉛半田が使用に適する
ものであるか否かをきわめて容易に知ることができる。
度検出方法によれば、無鉛半田よりなる試料について、
不純物金属の濃度の僅かな変化に応じて明確に変化す
る、温度変化曲線における外挿開始点または屈曲点を求
め、その温度を、予め既知の濃度の無鉛半田について同
様にして得られた外挿開始点または屈曲点を基準温度と
してこれと比較するため、当該試料における不純物金属
の濃度状態をきわめて高い信頼性で検出することがで
き、その結果、当該試料に係る無鉛半田が使用に適する
ものであるか否かをきわめて容易に知ることができる。
【0051】また、本発明の無鉛半田における不純物金
属濃度検出装置によれば、その情報処理部において、必
要な温度変化曲線の作成、外挿開始点または屈曲点の温
度の検出および不純物金属の濃度の検出が自動的に短時
間で行われるため、試料に係る無鉛半田について、その
濃度状態をきわめて簡便にしかも高い信頼性で検出する
ことができ、当該試料に係る無鉛半田が使用に適するも
のであるか否かをきわめて容易に知ることができる。
属濃度検出装置によれば、その情報処理部において、必
要な温度変化曲線の作成、外挿開始点または屈曲点の温
度の検出および不純物金属の濃度の検出が自動的に短時
間で行われるため、試料に係る無鉛半田について、その
濃度状態をきわめて簡便にしかも高い信頼性で検出する
ことができ、当該試料に係る無鉛半田が使用に適するも
のであるか否かをきわめて容易に知ることができる。
【図1】本発明の無鉛半田における不純物金属濃度検出
方法に用いられる装置の温度測定部の一例における構成
の概略を示す説明用断面図である。
方法に用いられる装置の温度測定部の一例における構成
の概略を示す説明用断面図である。
【図2】99.5質量%の錫と0.5質量%の銅よりな
る無鉛半田についての温度変化曲線を温調ブロックの温
度変化曲線と共に示すグラフである。
る無鉛半田についての温度変化曲線を温調ブロックの温
度変化曲線と共に示すグラフである。
【図3】試料の温度変化曲線について、その外挿開始点
を求める手法についての説明図である。
を求める手法についての説明図である。
【図4】図2に係る無鉛半田に、鉛を0.52質量%と
なる割合で混入させて得られる無鉛半田試料についての
温度変化曲線を示す図である。
なる割合で混入させて得られる無鉛半田試料についての
温度変化曲線を示す図である。
【図5】図2に係る無鉛半田に、鉛を0.88質量%と
なる割合で混入させて得られる無鉛半田試料についての
温度変化曲線を示す図である。
なる割合で混入させて得られる無鉛半田試料についての
温度変化曲線を示す図である。
【図6】図2に係る無鉛半田に、鉛を1.26質量%と
なる割合で混入させて得られる無鉛半田試料についての
温度変化曲線を示す図である。
なる割合で混入させて得られる無鉛半田試料についての
温度変化曲線を示す図である。
【図7】鉛の混入割合が0のものを含め、図4〜図6の
グラフから得られた外挿開始点の温度と、鉛の混入割合
との関係を示すグラフである。
グラフから得られた外挿開始点の温度と、鉛の混入割合
との関係を示すグラフである。
【図8】99.3質量%の錫と0.7質量%の銅よりな
る無鉛半田を試料として用いた場合の、図2と同様の温
度変化曲線を示すグラフである。
る無鉛半田を試料として用いた場合の、図2と同様の温
度変化曲線を示すグラフである。
S 試料 10 試料容器 12 試料室 15 温調ブロック 18 電熱ヒータ 20 熱障壁部 22 温度センサー 24 カバーディスク 26 容器保持板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G040 AA02 AB02 BA08 BA24 BA25 BB01 CA02 CA11 CB03 DA02 DA14 EA02 EB02 EC08 FA01 HA11 ZA05 2G055 AA05 BA15 FA05
Claims (8)
- 【請求項1】 一定の昇温速度または降温速度で温度変
化するよう制御される温調ブロックにより、熱障壁を介
して、無鉛半田よりなる試料を加熱または冷却すること
により、当該試料に固体状態から固態−液態相転移状態
への状態変化またはその逆の状態変化を生じさせたとき
に得られる当該試料の温度変化曲線において、当該試料
が当該状態変化を生ずるときの外挿開始点の温度を求め
る外挿開始点検出工程と、 この外挿開始点の温度を、既知の濃度の不純物金属を含
有する当該無鉛半田について同様にして予め求めておい
た外挿開始点の温度を基準温度として比較することによ
り、当該試料における不純物金属の濃度状態を求める濃
度検出工程とを行うことを特徴とする無鉛半田における
不純物金属濃度検出方法。 - 【請求項2】 無鉛半田よりなる試料を収容する試料容
器と、この試料容器を熱障壁部を介して包囲する温調ブ
ロックと、この温調ブロックを一定の昇温速度または降
温速度で温度変化するよう制御する加熱機構または冷却
機構と、前記試料の温度を測定する温度センサーとを含
む温度測定部と、 前記試料が固体状態から固態−液態相転移状態への状態
変化またはその逆の状態変化を生ずるときに前記温度セ
ンサーにより得られる当該試料の温度変化曲線におけ
る、当該試料の状態変化を生ずるときの外挿開始点の温
度を求める外挿開始点検出機能と、この外挿開始点検出
機能により得られる外挿開始点の温度を、既知の濃度の
不純物金属を含有する当該無鉛半田について同様にして
予め求めておいた外挿開始点の温度を基準温度として比
較することにより、当該試料における不純物金属の濃度
状態を求める濃度検出機能とを有する情報処理部と、を
備えてなることを特徴とする無鉛半田における不純物金
属濃度検出装置。 - 【請求項3】 一定の昇温速度または降温速度で温度変
化するよう制御される温調ブロックにより、熱障壁を介
して、無鉛半田よりなる試料を加熱または冷却すること
により、当該試料に固態−液態相転移状態から液体状態
への状態変化またはその逆の状態変化を生じさせたとき
に得られる当該試料の温度変化曲線において、当該試料
が当該状態変化を生ずるときの屈曲点の温度を求める屈
曲点検出工程と、 この屈曲点の温度を、既知の濃度の不純物金属を含有す
る当該無鉛半田のについて同様にして予め求めておいた
屈曲点の温度を基準温度として比較することにより、当
該試料における不純物金属の濃度状態を求める濃度検出
工程とを行うことを特徴とする無鉛半田における不純物
金属濃度検出方法。 - 【請求項4】 無鉛半田よりなる試料を収容する試料容
器と、この試料容器を熱障壁部を介して包囲する温調ブ
ロックと、この温調ブロックを一定の昇温速度または降
温速度で温度変化するよう制御する加熱機構または冷却
機構と、前記試料の温度を測定する温度センサーとを含
む温度測定部と、 前記試料が固態−液態相転移状態から液体状態への状態
変化またはその逆の状態変化を生ずるときに前記温度セ
ンサーにより得られる当該試料の温度変化曲線をおけ
る、当該試料の状態変化を生ずるときの屈曲点の温度を
求める屈曲点検出機能と、この屈曲点検出機能により得
られる屈曲点の温度を、既知の濃度の不純物金属を含有
する当該無鉛半田について同様にして予め求めておいた
屈曲点の温度を基準温度として比較することにより、当
該試料における不純物金属の濃度状態を求める濃度検出
機構とを有する情報処理部と、を備えてなることを特徴
とする無鉛半田における不純物金属濃度検出装置。 - 【請求項5】 温調ブロックの昇温速度または降温速度
が1分間当たり0.1℃〜10℃であることを特徴とす
る請求項1または請求項3に記載の無鉛半田における不
純物金属濃度検出方法。 - 【請求項6】 試料容器が円筒形であり、熱障壁部が本
質的に空気層からなることを特徴とする請求項2または
請求項4に記載の無鉛半田における不純物金属濃度検出
装置。 - 【請求項7】 試料容器の内面と温調ブロックとの間の
平均熱伝導率の値が0.04〜0.5W/m・Kである
ことを特徴とする請求項2、請求項4または請求項6に
記載の無鉛半田における不純物金属濃度検出装置。 - 【請求項8】 基準温度が、許容限度の濃度の不純物金
属を含有する無鉛半田について得られた外挿開始点また
は屈曲点の温度であり、情報処理部が、当該試料とされ
た無鉛半田についてその使用の可否を判定する機能を有
することを特徴とする請求項2、請求項4、請求項6ま
たは請求項7に記載の無鉛半田における不純物金属濃度
検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000133195A JP2001318066A (ja) | 2000-05-02 | 2000-05-02 | 無鉛半田における不純物金属濃度検出方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000133195A JP2001318066A (ja) | 2000-05-02 | 2000-05-02 | 無鉛半田における不純物金属濃度検出方法および装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001318066A true JP2001318066A (ja) | 2001-11-16 |
Family
ID=18641738
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000133195A Pending JP2001318066A (ja) | 2000-05-02 | 2000-05-02 | 無鉛半田における不純物金属濃度検出方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001318066A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003057199A (ja) * | 2001-08-14 | 2003-02-26 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 鉛フリー半田材料の品質評価装置 |
JP2007184275A (ja) * | 2005-12-30 | 2007-07-19 | Antig Technology Co Ltd | 濃度感知装置及びその方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0545312A (ja) * | 1991-08-21 | 1993-02-23 | Nippon Shokubai Co Ltd | 凝固点自動測定装置 |
JPH06273360A (ja) * | 1993-03-18 | 1994-09-30 | Res:Kk | 半田組成分析装置 |
JPH07209220A (ja) * | 1994-01-25 | 1995-08-11 | Nippon Light Metal Co Ltd | 金属溶湯の品質管理方法 |
-
2000
- 2000-05-02 JP JP2000133195A patent/JP2001318066A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0545312A (ja) * | 1991-08-21 | 1993-02-23 | Nippon Shokubai Co Ltd | 凝固点自動測定装置 |
JPH06273360A (ja) * | 1993-03-18 | 1994-09-30 | Res:Kk | 半田組成分析装置 |
JPH07209220A (ja) * | 1994-01-25 | 1995-08-11 | Nippon Light Metal Co Ltd | 金属溶湯の品質管理方法 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2003057199A (ja) * | 2001-08-14 | 2003-02-26 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 鉛フリー半田材料の品質評価装置 |
JP4672926B2 (ja) * | 2001-08-14 | 2011-04-20 | パナソニック株式会社 | 鉛フリー半田材料の品質評価装置 |
JP2007184275A (ja) * | 2005-12-30 | 2007-07-19 | Antig Technology Co Ltd | 濃度感知装置及びその方法 |
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Legal Events
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