JP2001317879A - 不定形耐火物がスリットを有する溶湯容器およびその製造方法 - Google Patents

不定形耐火物がスリットを有する溶湯容器およびその製造方法

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JP2001317879A
JP2001317879A JP2000138801A JP2000138801A JP2001317879A JP 2001317879 A JP2001317879 A JP 2001317879A JP 2000138801 A JP2000138801 A JP 2000138801A JP 2000138801 A JP2000138801 A JP 2000138801A JP 2001317879 A JP2001317879 A JP 2001317879A
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Kiyoshi Goto
潔 後藤
Tokuo Taki
徳雄 多喜
Masahiko Amano
正彦 天野
Hisashi Nakamura
壽志 中村
Yasuhiro Yamada
泰宏 山田
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶湯容器の耐火物施工体に生じる亀裂を抑制
し、耐火物の損耗を軽減できるような溶湯容器およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 不定形耐火物および鉄皮からなる溶湯容
器において、直線若しくは曲線の辺からなる多角形をな
しながら、折れ線状をなしながら、又は方向の異なる二
種以上の直線若しくは曲線を構成しながら厚さ方向に1
段または2段以上設置されているスリットを不定形耐火
物の一部または全部に有することを特徴とする溶湯容器
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属や高温物
質を処理または保持するための窯炉または設備に使用さ
れる溶湯容器、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐火物は溶融金属を始めとする高温物質
の処理と保持には欠かせない部材である。耐火物は高温
の内容物の出入りにより熱衝撃にさらされ、破壊しやす
い環境にある。特に溶融金属製錬工程で使用される搬送
容器である取鍋用耐火物には、高い耐熱衝撃性と、溶融
金属に付随するスラグによる溶損に対する耐食性が同時
に要求される。
【0003】近年特に鉄鋼精錬用耐火物としては不定形
耐火物、特にキャスタブルが多用されている。キャスタ
ブルは施工が簡単で、施工能率も高く、しかも焼成れん
がのような成形や焼成の工程がないため、製造エネルギ
ーを節約できるばかりでなく、コストダウンも図りやす
いなどの数々の優れた特性を有するためである。
【0004】キャスタブルの特長を最大限に活かす施工
方法は、大きな施工体の一体流し込み施工による製造で
ある。この方法により直径数mもある大きな継ぎ目のな
い溶湯容器の耐火物施工体を短時間に製造することがで
きる。
【0005】ところで、耐火物はスラグや溶融金属に侵
されるため、損耗抑制の観点から緻密さと高い強度が求
められる。キャスタブルもこの方向で改良されて来てお
り、溶鋼取鍋で主に使用されているアルミナ−スピネル
質、あるいはアルミナ−マグネシア質のキャスタブルは
非常に緻密でかつ高強度である。
【0006】ところで、実開平7−15761号公報に
は、不定形耐火物の亀裂発生、内部れんがの目地開き、
間隙発生を抑制するために、シール金物の下方に下端を
開口したスリットを周方向に設けたRH浸漬管が開示さ
れている。一方、特開昭60−17007号公報及び特
開昭61−252846号公報には耐火れんがブロック
間の目地の厚さを適正化することで耐火物の損耗を抑制
する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】大型でかつ高強度の施
工体が操業時に熱せられると耐火物自身が熱膨張し、施
工体内部に熱応力が蓄積され、これが材料の強度を上回
ると施工体が破壊して亀裂が発生する。亀裂の発生を抑
制するために、施工体を構成する材料の弾性率低減を図
る、あるいは軟化性を付与するなどして熱応力の蓄積を
防止している。しかしながら、これらの方策を用いても
大型施工体の場合は亀裂発生を完全に抑制することはで
きない。またこれらの対策を取ると、耐火物の緻密さや
強度が犠牲になり、耐食性や耐スラグ浸潤性が低下す
る。なお、キャスタブルでなくても、熱膨張により亀裂
は発生するため、耐火物施工体あるいは構造体の亀裂抑
制対策は耐火物技術全般における課題である。
【0008】実開平7−15761号公報に記載の発明
はシール金物の変形に起因する耐火物の亀裂などを抑制
するために金物にスリットを設けた発明であり、金物を
有さない耐火物ブロックの場合には全く適用できない。
また、特開昭60−17007号公報及び特開昭61−
252846号公報に記載の発明は、いずれも耐火物ブ
ロック間の目地に着目した発明であり、耐火物施工体あ
るいはその内部の亀裂発生等の問題に対しては、解決手
段を何ら提供していない。
【0009】本発明は溶湯容器の耐火物施工体に生じる
亀裂を抑制し、耐火物の損耗を軽減することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この課題を解決すべく研
究開発を進めて本発明を得た。すなわち、本発明の要旨
とするところは、次の通りである。
【0011】(1) 不定形耐火物および鉄皮からなる
溶湯容器において、直線若しくは曲線の辺からなる多角
形をなしながら、折れ線状をなしながら、又は方向の異
なる二種以上の直線若しくは曲線を構成しながら厚さ方
向に1段または2段以上設置されているスリットを不定
形耐火物の一部または全部に有することを特徴とする溶
湯容器。
【0012】(2) 該スリットは、該不定形耐火物表
面から鉄皮に向かい深さ5mmから最大該不定形耐火物
厚、該不定形耐火物表面に幅0.1〜50mmであり、
スリット同士の間隔が30〜5000mmであることを
特徴とする(1)の溶湯容器。
【0013】(3) 耐火粒子からなる可縮性耐火材あ
るいは加熱消失性物質と耐火粒子との混合物でスリット
が充填されている(1)または(2)の溶湯容器。
【0014】(4) 不定形耐火物と鉄皮の間にパーマ
れんがを有することを特徴とする(1)から(3)のい
ずれかの溶湯容器。
【0015】(5) 鉄皮の内側に中子を挿入した後に
不定形耐火物を流し込み、養生後脱枠し乾燥および/ま
たは焼成する溶湯容器の製造方法において、中子を挿入
する前に耐火粒子からなる可縮性耐火材,加熱消失性物
質と耐火粒子との混合物または板状の加熱消失性物質か
らなるスペーサーを該不定形耐火物に向くように鉄皮に
固定することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか
の溶湯容器の製造方法。
【0016】(6) 鉄皮の内側に中子を挿入した後に
不定形耐火物を流し込み、養生後脱枠し乾燥および/ま
たは焼成する溶湯容器の製造方法において、耐火粒子か
らなる可縮性耐火材,加熱消失性物質と耐火粒子との混
合物または板状の加熱消失性物質からなるスペーサーを
挿入する中子に固定したものである、(1)〜(3)の
いずれかの溶湯容器の製造方法。
【0017】(7) 鉄皮の内側にパーマれんがを築造
し、次いで中子を挿入した後に不定形耐火物を流し込
み、養生後脱枠し乾燥および/または焼成する溶湯容器
の製造方法において、中子を挿入する前に耐火粒子から
なる可縮性耐火材,加熱消失性物質と耐火粒子との混合
物または板状の加熱消失性物質からなるスペーサーを該
不定形耐火物に向くようにパーマれんがに固定すること
を特徴とする(4)の溶湯容器の製造方法。
【0018】(8) 該スペーサーを不定形耐火物に向
くように固定する方法が、予めスペーサーを固定したパ
ーマれんがを鉄皮の内側に積み上げることによるもので
ある(7)の方法。
【0019】(9) 該スペーサーを不定形耐火物に向
くように固定する方法が、パーマれんがを鉄皮の内側に
積み上げながらスペーサーをパーマれんがに固定するこ
とによるものである(7)の方法。
【0020】(10) 該スペーサーを不定形耐火物に
向くように固定する方法が、パーマれんがを鉄皮の内側
に積み上げながらパーマれんがとパーマれんがの間に該
スペーサーを固定することによるものである(7)の方
法。
【0021】(11) 鉄皮の内側にパーマれんがを築
造し、次いで中子を挿入した後に不定形耐火物を流し込
み、養生後脱枠し乾燥および/または焼成する溶湯容器
の製造方法において、耐火粒子からなる可縮性耐火材,
加熱消失性物質と耐火粒子との混合物または板状の加熱
消失性物質からなるスペーサーを挿入する中子に固定し
たものである(4)の溶湯容器の製造方法。
【0022】(12) 該中子へのスペーサーの固定
が、磁性、摩擦力又は粘接着力を介して該スペーサーを
中子に固定させたものである(6)または(11)の溶
湯容器の製造方法。
【0023】(13) 該スペーサーのサイズが、横幅
5mm〜最大該不定形耐火物厚さ、厚さ0.1〜50m
mであることを特徴とする(5)〜(12)のいずれか
に記載の方法。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明は、不定形耐火物および鉄
皮からなる溶湯容器において、直線若しくは曲線の辺か
らなる多角形をなしながら、折れ線状をなしながら、又
は方向の異なる二種以上の直線若しくは曲線を構成しな
がら厚さ方向に1段または2段以上設置されているスリ
ットを不定形耐火物の一部または全部に有する溶湯容器
である。
【0025】まず本発明におけるスリットの役割を説明
する。耐火物施工体の稼働面が溶鋼等と接触して加熱さ
れると、熱膨張により、稼働面に並行な圧縮応力が生
じ、背面側の温度が低く膨張が少ない部分には引っ張り
応力が生じる。また、アルミナ−マグネシア質キャスタ
ブルの場合はスピネル生成に伴う膨張がこれに加わるた
め応力はより大きくなる。このため、施工体が薄ければ
背面側の強度が足りず、稼働面に垂直な亀裂が生じる。
他方、施工体が厚ければ、背面側の強度が十分であるた
め、膨張した稼働面近くの部分が皮が剥がれるように、
稼働面に並行に近い亀裂が生じる。
【0026】スリットの配置パターンも重要な要因であ
る。表面に投影したスリットの配置が並行線状だと、線
に直角方向の膨張は緩和できるが、並行方向の膨張は緩
和できない。スリットで仕切られる部分の形が三角形、
四角形、六角形などの多角形の編目状の場合はどの方向
への膨張も緩和できる。特に六角形にすると、各交点に
集まるスリットの数を3本と少なくすることができるた
め、交点付近の損傷を最小限にとどめることができて好
都合である。なお各種多角形の混在したパターンとして
もよい。この場合は五角形やその他の多角形などを混在
させることも可能である。またこれらの多角形の辺は直
線(立体的には平面)でも曲線(立体的には曲面)でも
かまわない。
【0027】他方、スリットの配置パターンを多角形と
せずに折れ線状としても良い。
【0028】スリットは通常は溶湯容器内面すなわち耐
火物施工体表面から耐火物内部に向かって伸びた形に設
けるが、必ずしも表面に達している必要はなく、耐火物
施工体内部のみに存在していても良い。また、直線若し
くは曲線は必ずしも連続している必要はなく、方向の異
なる二種以上の直線若しくは曲線から構成されていれば
よい。
【0029】スリットは、高温となって膨張する耐火物
施工体の表面またはその近傍に存在する場合にその効果
を発揮する。しかし耐火物施工体は使用回数あるいは時
間とともにその厚さが減じるので、スリットもある程度
深くまで設置しておく必要がある。少なくとも初期に効
果を発現させるために、スリット深さは最低5mm、最
大で不定形耐火物厚さと同じだけ必要である。また、ス
リットが稼働面から深部まで貫通していると、スラグや
溶鋼が深くまで侵入する懸念がある。その場合、スリッ
トが厚さ方向に面をなして貫通しておらず、少なくとも
2段以上となっているようにすればよい。
【0030】本発明の溶湯容器の耐火物施工体の場合、
スピネル生成に伴う膨張や熱膨張は、スリットがつぶれ
ることで緩和されるため、亀裂が生じない、あるいは生
じにくい。スリットの設置間隔は30〜5000mmと
する。これは30mm未満ではスリットを形成させるた
めに挿入するスペーサーの間の耐火物坏土あるいは混練
物の充填が悪くなって施工体の品質が低下し、またスリ
ット自体が施工体内部の欠陥として作用し、施工体の耐
食性や耐スラグ浸潤性が低下するためである。また間隔
が5000mmを越えると、必要なスリットの厚さが大
きくなり、スリットへのスラグや溶鋼の侵入が起こる。
推奨できるスリットの間隔は、例えば溶鋼取鍋の敷の場
合なら、100〜1000mm程度である。
【0031】図3は本発明の耐火物ブロックに形成され
うるスリットのパターンを模式的に示したものであり、
本図を参照してスリットの間隔について説明する。スリ
ットの間隔とは、パターンが直線および/または曲線か
らなる多角形の場合、該多角形に接する二本の平行線の
うちで最も間隔の短い一対の平行線の間隔をスリットの
間隔とする(図3(a)〜(c))。また、折れ線状の
場合、交差しない直線および/または曲線状の場合、任
意の点から対向する線までの距離のうち、最短のものを
スリットの間隔とする(図3(d))。方向の異なる二
種類以上の直線および/または曲線からなる場合は、各
線分を延長して形成される多角形とみなして前述の多角
形の場合と同様に、二本の平行線のうちで最も間隔の短
い一対の平行線をスリットの間隔とする(図3(e))
スリットの幅は、0.1〜50mmとする。0.1mm
未満では効果があまりなく、また数が多く必要になり施
工が容易ではなくなり、また施工体の内部欠陥を増加さ
せることになる。スリットを形成させるには、厚さ0.
1mm未満のスペーサーが必要となる。それではスペー
サー自体の強度が足りず、耐火物坏土あるいは混練物を
施工する際に曲がったり壊れたりしてスリットを意図し
たように形成させることが困難である。一方スリット厚
みが50mmを越えると、スリットがつぶれる前にスラ
グや溶鋼が侵入する危険がある。
【0032】スリットの厚さは設置間隔と材料の熱膨張
係数、残存膨張率により調節する。取り扱う高温物質、
すなわち鉄鋼精錬設備であれば溶鋼の温度をT(℃)、
耐火物材料自体の熱膨張係数をE(1/℃)、残存線変
化率をR(%)、スリット間隔をD(mm)とすると、
必要なスリット厚さW(mm)の目安は(1)式で与え
られる。
【0033】
【数1】
【0034】ここでAは合わせこみのための係数で0.
2〜1、望ましくは0.5〜0.7程度である。残存線
変化率は温度Tで熱処理した後に常温まで冷却した後の
試片の長さの熱処理前の長さに対するパーセンテージで
ある。熱処理時間は残存線変化率が飽和するまでの時間
とする。熱膨張係数に関しては、アルミナ−マグネシア
質キャスタブルの場合、熱膨張率を測定して熱膨張係数
を測定しようとすると、スピネル生成に伴う残存線変化
が加算された値となるので、それを避けるためにスピネ
ルが殆ど生成しない1000℃までの測定値を基に外挿
してもよい。
【0035】スリットが可縮性耐火材、すなわち耐火モ
ルタル、セラミックファイバー、可縮性キャスタブル、
多孔質耐火物等で充填されていても、それらには可縮性
があるため、スリットと同様の働きをする。なおこれら
の可縮性耐火材を用いる場合は、それぞれの可縮率に応
じてその施工厚さを調整する必要がある。すなわち可縮
率をS%とすると、必要な厚みはスリット厚みを(S/
100)で割った値が必要施工厚さの目安である。
【0036】スリットの形成方法としては、板状の紙、
木材、樹脂の様な加熱消失性物質、融点の低い金属(例
えばアルミニウム、亜鉛、錫、鉛、アンチモン、ビスマ
ス、あるいはこれらの合金、化合物、混合物)をスペー
サーとして埋め込み、耐火物を流し込み施工し、乾燥ま
たは予熱段階でスペーサーを焼き飛ばし、あるいは溶流
除去してスリットを形成させるのが容易である。なお金
属や樹脂からなるスペーサーを成形後に抜き取ってスリ
ットを形成させることも、またブレードやウォータージ
ェットで切り込むこともできる。
【0037】可縮性の耐火材の設置方法としては、耐火
粒子からなる板状の多孔体、セラミックファイバーから
なるボード、あるいは耐火粒子と加熱消失性物質の混合
物の板状のもの(たとえば耐火モルタルと樹脂を混合し
て練り、板状に成形したもの)などを埋め込む方法が容
易である。耐火粒子としては粒径1mm程度以下のアル
ミナ、ムライト、シリカ、スピネル、マグネシア、クロ
ム鉱、ジルコン、ジルコニア、粘土あるいはこれを焼成
したもの、ろう石、炭化珪素など、耐火物原料として一
般に使われているものが使用できる。加熱消失性物質は
溶湯容器の耐火物施工体の乾燥あるいは予熱中に焼失
し、耐火粒子が板状に残留する。
【0038】本発明の溶湯容器は、不定形耐火物と鉄皮
の間にパーマれんがを有することができる。パーマれん
がとは、鉄皮と毎回交換するウェアれんがとの間に内張
りされるパーマネントれんがのことである。このような
パーマれんがは、通常交換されずに複数回使用されるた
め、耐火物の交換料を節約できるという利点がある。
【0039】本発明の溶湯容器は、鉄皮の内側に中子を
挿入した後に不定形耐火物を流し込み、養生後脱枠し乾
燥および/または焼成することによって製造され得る。
中子とは、鉄皮の内側に通常パーマれんがを内張りした
容器に、不定形耐火物を流し込むためにパーマれんがと
空隙を設けて容器の内側に挿入する構造物である。その
際、中子を挿入する前に耐火粒子からなる可縮性耐火
材,加熱消失性物質と耐火粒子との混合物又は板状の加
熱消失性物質からなるスペーサーを該不定形耐火物に向
くように鉄皮に固定する。その際、耐火粒子からなる可
縮性耐火材,加熱消失性物質と耐火粒子との混合物また
は板状の加熱消失性物質からなるスペーサーを、挿入す
る中子に固定することもできる。また本発明の溶湯容器
は、鉄皮の内側にパーマれんがを築造し、次いで中子を
挿入した後に不定形耐火物を流し込み、養生後脱枠し乾
燥および/または焼成することによって製造されうる。
その際、中子を挿入する前に耐火粒子からなる可縮性耐
火材,加熱消失性物質と耐火粒子との混合物または板状
の加熱消失性物質からなるスペーサーを該不定形耐火物
に向くようにパーマれんがに固定する。その方法とし
て、予めスペーサーを固定したパーマれんがを鉄皮の内
側に積み上げる、パーマれんがを鉄皮の内側に積み上げ
ながらスペーサーをパーマれんがに固定する、パーマれ
んがを鉄皮の内側に積み上げながらパーマれんがとパー
マれんがの間に該スペーサーを固定する(すなわちパー
マれんがの築造中にその目地に挟んで固定する)、また
はスペーサーを挿入する中子に固定する方法が挙げられ
る。
【0040】また中子にスペーサーを固定する方法とし
ては、磁性、摩擦力、粘接着力による方法が利用でき
る。
【0041】溶湯容器内張の耐火物施工体の材質は、塩
基性、中性、酸性を問わない。
【0042】本発明による溶湯容器の例を図1と図2に
示す。図1は六角形(ハニカム状)のスリットを配置し
た例、図2は折れ線状のスリットを配置した例である。
なおスリットは必ずしも溶湯容器内表面の全面に設けら
れている必要はなく、部分的でも良い。
【0043】
【実施例】図1に示したのと同様の溶鋼取鍋を築造し、
実使用に供した。
【0044】粒径1mm以下のアルミナと加熱消失性樹
脂を混練してプレスした厚さ6mm幅60mmのシート
でハニカム状の網を作った。六角形の大きさ、すなわち
向かい合う辺の間隔は300mmとした。これを溶鋼取
鍋にキャスタブルを流し込む際に使用する中子の側面に
巻き付けて、所々を粘着テープで中子に固定した。また
これとは別に厚さ3mm幅60mmのポリエチレン板
で、向かい合う辺の間隔が300mmのハニカム状の網
を作成した。
【0045】高アルミナ質れんがをパーマれんがとして
築造し、さらに鋳造羽口、ガス吹き羽口、湯当たりブロ
ックをセットした溶鋼取鍋の敷に、まずアルミナ−スピ
ネル質キャスタブルを流し込んだ。流し込んだ直後に、
ポリエチレン製のハニカム網を表面から押し込んで埋め
込んだ。敷のキャスタブルが硬化した後、前記中子を挿
入し、側壁用のアルミナ−マグネシア質キャスタブルを
流し込んだ。なお流し込み厚さは180mmであった。
【0046】養生後に中子を取り外し、アルミナ−樹脂
製のシートは側壁のキャスタブルに埋まり込んでいる状
況を確認した。
【0047】次に、造壁した一般壁の上部にマグネシア
−カーボン質のれんがをスラグライン用として築造し、
溶鋼取鍋の耐火物築造を終了した。その後バーナーで溶
鋼取鍋内面を加熱して乾燥、さらに予熱し通常通りに実
使用に供した。稼働中の観察によれば、敷のポリエチレ
ン板と側壁のアルミナ−樹脂製シートを埋め込んだ部分
は共に明るく見えた。またハニカム網を埋め込まないで
同じキャスタブルを施工した通常の取鍋と比較すると、
キャスタブルに生じる亀裂が少なく、剥離損傷も少なか
った。当該取鍋は最終的に220回使用し、その後耐火
物の状況を観察したところ、側壁については剥離損傷に
よる表面の凹凸は通常の取鍋よりも軽微で、残寸も平均
して約20%多かった。敷については、通常の場合より
も15%損耗は少なかった。
【0048】
【発明の効果】本発明により高耐用の溶湯容器を得るこ
とができ、耐火物コストの引き下げによる溶融製造コス
トの削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、六角形(ハニカム状)にスリッ
トを配した溶湯容器の実施形態を示す概略断面図であ
る。
【図2】本発明による、折れ線状にスリットを配した溶
湯容器の実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の耐火物ブロックに形成されるスリット
のパターンおよびスリットの間隔を説明するための模式
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F27D 1/16 F27D 1/16 F W (72)発明者 天野 正彦 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 中村 壽志 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 山田 泰宏 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 Fターム(参考) 4E014 BA02 BC01 4K051 AA06 AB03 BB03 BD03 BD05 DA02 LC04 LJ01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不定形耐火物および鉄皮からなる溶湯容
    器において、直線若しくは曲線の辺からなる多角形をな
    しながら、折れ線状をなしながら、又は方向の異なる二
    種以上の直線若しくは曲線を構成しながら厚さ方向に1
    段または2段以上設置されているスリットを不定形耐火
    物の一部または全部に有することを特徴とする溶湯容
    器。
  2. 【請求項2】 該スリットは、該不定形耐火物表面から
    鉄皮に向かい深さ5mmから最大該不定形耐火物厚、該
    不定形耐火物表面に幅0.1〜50mmであり、スリッ
    ト同士の間隔が30〜5000mmであることを特徴と
    する請求項1記載の溶湯容器。
  3. 【請求項3】 耐火粒子からなる可縮性耐火材または加
    熱消失性物質と耐火粒子との混合物でスリットが充填さ
    れている請求項1または2記載の溶湯容器。
  4. 【請求項4】 不定形耐火物と鉄皮の間にパーマれんが
    を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の溶湯容器。
  5. 【請求項5】 鉄皮の内側に中子を挿入した後に不定形
    耐火物を流し込み、養生後脱枠し乾燥および/または焼
    成する溶湯容器の製造方法において、中子を挿入する前
    に耐火粒子からなる可縮性耐火材,加熱消失性物質と耐
    火粒子との混合物又は板状の加熱消失性物質からなるス
    ペーサーを該不定形耐火物に向くように鉄皮に固定する
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の溶湯容器の製造方法。
  6. 【請求項6】 鉄皮の内側に中子を挿入した後に不定形
    耐火物を流し込み、養生後脱枠し乾燥および/または焼
    成する溶湯容器の製造方法において、耐火粒子からなる
    可縮性耐火材,加熱消失性物質と耐火粒子との混合物ま
    たは板状の加熱消失性物質からなるスペーサーを挿入す
    る中子に固定したものである、請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の溶湯容器の製造方法。
  7. 【請求項7】 鉄皮の内側にパーマれんがを築造し、次
    いで中子を挿入した後に不定形耐火物を流し込み、養生
    後脱枠し乾燥および/または焼成する溶湯容器の製造方
    法において、中子を挿入する前に耐火粒子からなる可縮
    性耐火材,加熱消失性物質と耐火粒子との混合物または
    板状の加熱消失性物質からなるスペーサーを該不定形耐
    火物に向くようにパーマれんがに固定することを特徴と
    する、請求項4に記載の溶湯容器の製造方法。
  8. 【請求項8】 該スペーサーを不定形耐火物に向くよう
    に固定する方法が、予めスペーサーを固定したパーマれ
    んがを鉄皮の内側に積み上げることによるものである請
    求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 該スペーサーを不定形耐火物に向くよう
    に固定する方法が、パーマれんがを鉄皮の内側に積み上
    げながらスペーサーをパーマれんがに固定することによ
    るものである請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 該スペーサーを不定形耐火物に向くよ
    うに固定する方法が、パーマれんがを鉄皮の内側に積み
    上げながらパーマれんがとパーマれんがの間に該スペー
    サーを固定することによるものである請求項7記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 鉄皮の内側にパーマれんがを築造し、
    次いで中子を挿入した後に不定形耐火物を流し込み、養
    生後脱枠し乾燥および/または焼成する溶湯容器の製造
    方法において、耐火粒子からなる可縮性耐火材,加熱消
    失性物質と耐火粒子との混合物または板状の加熱消失性
    物質からなるスペーサーを挿入する中子に固定したもの
    である、請求項4に記載の溶湯容器の製造方法。
  12. 【請求項12】 該中子へのスペーサーの固定が、磁
    性,摩擦力又は粘接着力を介して該スペーサーを中子に
    固定させたものである請求項6または11に記載の溶湯
    容器の製造方法。
  13. 【請求項13】 該スペーサーのサイズが、横幅5mm
    〜最大該不定形耐火物厚さ、厚さ0.1〜50mmであ
    ることを特徴とする請求項5〜12のいずれか1項に記
    載の方法。
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