JP6180380B2 - タンディッシュ堰の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、連続鋳造装置のタンディッシュ内に設置されるタンディッシュ堰を製造する方法に関する。
従来より、連続鋳造装置では、転炉や二次精錬設備等から出鋼された溶鋼を取鍋によってタンディッシュまで搬送し、搬送された取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ注入後、このタンディッシュから鋳型へ溶鋼を供給することで、溶鋼を連続的に鋳造している。
タンディッシュは、取鍋からの溶鋼が注入される注入室と、溶鋼を鋳型に装入する分配室と、注入室と分配室を隔てる堰を備えた構造を有している。タンディッシュ内に設けられた堰は耐火物で構成されており、このような堰などに用いられる耐火物に関する技術として、特許文献1、2に開示されているものがある。
特許文献1は、鋳造用容器のタンディシュ、取鍋等に用いられる浸漬ノズル、内張り、ブロック製品としてのタンディシュ堰、マスブロック、ランスパイプ用耐火物に用いられるキャスタブル耐火物に関する技術です。この特許文献1は、優れた耐熱性や耐食性を損なうことなく、耐熱衝撃性を格段に高め得るキャスタブル耐火物を提供することを目的して、次に示す構成が開示されている。即ち、特許文献1には、耐火性骨材としてアルミナ、ムライト、シャモット、炭化珪素、マグネシア及びシリカ、その他の1種以上を用いる低セメントキャスタブル中に、水酸化アルミニウム粉0.5〜10wt%を含有させることで、キャスタブル耐火物を構成することが開示されている。また、特許文献1では、水酸化アルミニウム粉は、粒径0.5〜0.045mmの範囲としている。
特許文献2では、タンディッシュ堰の製造方法として、堰の構成材料の粒度は所定の粒度に調整すること、構成材料として、ドロマイトクリンカー、マグネシアクリンカー、石灰石、或いは、苦土石灰石などを用いることが開示されている。
この他に耐火物に関する技術として、特許文献3〜5に示す技術が開示されている。
特許文献3では、ジルコン含有量50〜98%、シリカ48%以下の溶融金属不定形耐火物を用いることによって、耐食性と強度を向上することが開示されている。詳しくは、特許文献3では、ジルコンを6mm以下、アルミナセメントを2%、超微粉シリカを0.1〜0.5%の範囲にすることが開示されている。
特許文献4では、アルミナ含有量を制限することによって、従来達し得なかった超寿命、即ち従来の耐火キャスタブルのほぼ2倍近い使用寿命のキャスタブルを得ることができる技術が開示されている。この特許文献4では、珪酸質原料とジルコンからなる耐火骨材にアルミナセメントを添加するキャスタブルで、アルミナセメント0.5〜2%、珪酸質原料は粒径6.0mm以下の骨材を用いることが開示されている。
特許文献5では、少ないZrO含有量であっても、ZrOの優れた耐食性を発現することのできる、ZrOを含有するキャスタブル耐火物に関する技術が開示されている。この特許文献5では、P=100×(d/D)qを満たすように、キャスタブル耐火物を構成する原料粒子の粒度分布を定めている。なお、前述した式では、キャスタブル耐火物を構成する原料粒子の最大粒径をD(mm)、目開き寸法がd(mm)の篩を通過した原料粒子の累積量をP(体積%)、係数qを0.2〜0.3の範囲としている。
特開2000−219575号公報 特開昭61−33742号公報 特開平4−160067号公報 特開昭58−55379号公報 特開2012−96967号公報
特許文献1、3〜5では、堰の製造に用いるセメントとして、アルミナセメントを使用しており、低セメント化した場合、セメント乾燥後における堰の強度(養生後の発現強度)は小さくなる。ここで、発現強度を得られるまでには、養生期間として所定の数日を要するが、特許文献1、3〜5のいずれにおいても、養生法方法や養生期間について詳しい記載はなされておらず、必要とされる養生時間を確保せずに使用すると、耐熱衝撃性を格段に高め得る耐火物を得ることができない。ひいては、タンディッシュ堰を長時間連続して使用することが困難となる。
一方、特許文献2では、キャスタブル(耐火物)として。ドロマイトや石灰を使用しているが、このような場合は、溶鋼と接した場合、CaO成分が先行して溶融し現状の鋳造時間までその形状を維持することは難しい。ひいては、タンディッシュ堰を長時間連続して使用することが困難となる。
そこで、本発明では、清浄鋼の鋳造に長時間連続して使用することができるタンディッシュ堰の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明は、連続鋳造装置のタンディッシュに設置されるタンディッシュ堰を製造する方法であって、ジルコンが60〜85質量%、粒径が0.3mm未満である「微粉」、粒径が0.3mm以上〜1.0mm未満である「微粒」、粒径が1.0mm以上〜4.0mm未満である「中粒」で構成されたシリカが10〜35質量%及びアルミナセメントが1〜3質量%を含有する材料を、大気圧下で自然養生して製造するに際し、粒度が2.0mm以上3.0mm未満となる前記中粒のシリカの配合割合Xと、前記自然養生の日数Yとが、Y>4.2/Xを満たすことを特徴とする。
本発明のタンディッシュ堰の製造方法によれば、清浄鋼の鋳造に長時間連続して使用することができる。
連続鋳造装置の概念図である。 T形タンディッシュの平面図である。 I形タンディッシュの平面図である。 タンディッシュ堰の斜視図である。 ストラトリンジャイトのピークを示す図、及びタンディッシュ堰の自然養生後のストラトリンジャイトのピークを示す図である。 粒度が2.0mm以上3.0mm未満となるシリカの配合割合Xと、自然養生日数Yとの関係を示す図である。
本発明のタンディッシュ堰の製造方法について図を基に説明する。
図1は、タンディッシュ堰を有するタンディッシュ、及びこのタンディッシュを備えた連続鋳造装置を示したものである。まず、連続鋳造装置について説明する。
図1に示すように、連続鋳造装置1は、溶鋼を連続的に鋳造する鋳造装置であって、溶鋼2を一時的に貯留するタンディッシュ3と、このタンディッシュ3からの溶鋼2が供給される鋳型4と、この鋳型4により成型された鋳片を引き出すと共に、鋳片をサポートする複数のサポートロール5とを有している。
タンディッシュ3は、有底箱形に形成されたものであって、図2Aに示すように、平面視でT形に形成されている。なお、図2Bに示すように、タンディッシュ3は、平面視でI形に形成されていてもよい。いずれの形(T形、或いはI形)のタンディッシュ3であっても、取鍋9からの溶鋼2が注入される注入室10と、溶鋼2を鋳型4に装入する分配室11とを備えている。
図2Aに示すように、T形のタンディッシュ3の場合、注入室10は、タンディッシュ3の底部を構成する底壁12と、一対の第1側壁13と、第1後壁14と、後述する仕切堰15(タンディッシュ堰15)とで囲まれることで構成されている。T形のタンディッシュ3の場合、分配室11は、底壁12と、タンディッシュ堰15と、一対の第2側壁16と、第2後壁17と、前壁18とで囲まれることで構成されている。
図2Bに示すように、I形のタンディッシュ3の場合、注入室10は、底壁12と、一対のタンディッシュ堰15と、第2後壁17と、前壁18とで囲まれることで構成されている。I形のタンディッシュ3の分配室11は、底壁12と、タンディッシュ堰15と、第2側壁16と、第2後壁17と、前壁18とで囲まれることで構成されている。
このように構成された分配室11には、溶鋼を鋳型4に注入する注入口6が設けられ、この注入口6に浸漬ノズル7が接続されている。浸漬ノズル7は、スライドバルブ8により開閉可能となっており、スライドバルブ8の開閉によりタンディッシュ3による鋳型4への溶鋼2の開始或いは停止が行えるようになっている。
図3に示すように、タンディッシュ堰15は、矩形状(例えば、正面視で台形)に形成されたもので、上部側の幅W1が底部側の幅W2よりも大きくなっている。また、タンディッシュ堰15には、溶鋼を通す貫通孔(湯道)19が複数形成されている。
このようなタンディッシュ堰15は、介在物の浮上分離やスラグの巻き込み防止などのために、タンディッシュ3内を仕切るための堰である。詳しくは、T形のタンディッシュ3の場合は、タンディッシュ堰15を一対の側壁13の間に挿入して固定することにより、注入室10と分配室11とを仕切っている。I形のタンディッシュ3の場合は、タンディッシュ堰15を前壁18と後壁17との間に挿入して固定することにより、注入室10と分配室11とを仕切っている。
以上のような連続鋳造装置1では、転炉や二次精錬設備等から出鋼された溶鋼2を取鍋によってタンディッシュ3まで搬送し、搬送された取鍋内の溶鋼2をタンディッシュ3の注入室10へ注入することにより、溶鋼を一時的に貯留することができる。注入室10の溶鋼はタンディッシュ堰15の貫通孔19を通って分配室11に至り、分配室11内の溶鋼は、スライドバルブ8を通って、鋳型4に注入される。そして、鋳型4で溶鋼2を一次冷却することにより、溶鋼2を連続的に鋳造することができる。
なお、タンディッシュ堰15を設置するタンディッシュ3として、T形のタンディッシュと、I形のタンディッシュとを例示したが、タンディッシュの形状は上述したものに限定されない。また、タンディッシュ堰15は、タンディッシュ3内を仕切るための堰であればよく、注入室10と分配室11とを仕切るための堰に限定されない。
次に、タンディッシュ堰15の製造方法について詳しく説明する。
タンディッシュ3にタンディッシュ堰15を設置して溶鋼をタンディッシュ3内に装入した場合、スラグとタンディッシュ堰15を構成する成分との化学反応により、タンディッシュ堰15が侵食してしまう虞がある。
ジルコンは、耐食性に優れた材料であるため、タンディッシュ堰15の材料(原料)に採用している。ジルコンとは、ジルコニウムオルソ珪酸塩(ZrO・SiO)を成分とする鉱物である。詳しくは、タンディッシュ堰15の材料において、ジルコンは60質量%以上含むものとしている。ジルコンを60質量%以上含むようにすることにより、スラグとの化学反応による堰の侵食を防止することができる。ジルコンが60%未満では、耐食性が不十分となり、堰の溶損が激しく、堰の割れが発生した。
また、タンディッシュ3にタンディッシュ堰15を設置して溶鋼をタンディッシュ3内に装入した場合、溶鋼の熱により、タンディッシュ堰15が膨張する。タンディッシュ堰15に熱膨張性が持続しないと堰が割れてしまう虞がある。
シリカは、熱膨張量が少ないものの、熱膨張後の持続性があるため、タンディッシュ堰15の原料に採用している。シリカとは、二酸化ケイ素、もしくは二酸化ケイ素で構成される物質である。詳しくは、タンディッシュ堰15の材料において、シリカは10質量%以上含むものとしている。シリカが10質量%以上である場合、溶鋼の熱によって転移したクリストバライトにより、堰の熱膨張性が持続することになり、堰の割れを防止することができる。即ち、シリカが10質量%未満である場合、転移後のクリストバライトにより、堰の熱膨張性が持続することが難しい。
以上、タンディッシュ堰15の材料においては、ジルコンは60質量%以上、シリカは10質量%以上にする必要がある。
さて、ジルコンが85質量%以上である場合は、ジルコンが多すぎるために、シリカの含有量を10質量%以上確保することが難しく、逆に、シリカが35質量%以上である場合には、シリカが多すぎるために、ジルコンの含有量を60質量%以上確保することが難しくなる。したがって、タンディッシュ堰15の原料は、ジルコンが60〜85質量%、シリカが10〜35質量%を含む必要がある。
なお、スラグは、精錬時に発生する副産物(金属酸化物)であり、例えば、CaO(20〜60質量%)、SiO(20〜60質量%)、Al(5〜30質量%)、MgO(5〜20質量%)、T.Fe(<20質量%)で構成される。
さて、タンディッシュ堰15を構成する材料として、ジルコン及びシリカを含んでいるが、強度を確保するうえでも、アルミナセメントを含んでいる。アルミナセメントを添加すると、強度が向上するものの、原料であるシリカと高温で低融点化合物をつくり、鋼中介在物の生成や堰が溶融軟化しやすくなるので、含有量は適切に設定する必要がある。
アルミナセメントとは、アルミン酸カルシウムを主体としたセメントであって、早強セメントの一つである。アルミナセメントの主成分は、Al:35〜43質量%、CaO:36〜42質量%,SiO:5〜10質量%,Fe:5〜15質量%である。
タンディッシュ堰15の全材料に対して、アルンナセメントは1質量%以上〜3質量%以下としている。アルミナセメントが1質量%未満である場合、アルミナセメント量が少なすぎるため、養生後に発現する強度が小さくなると共に、堰の完成検査で亀裂が確認された。一方、アルミナセメントが3%超えると、スラグとアルミナセメント中のCaOやFeが化学反応により溶融し堰の割れが発生した。
以上、タンディッシュ堰15においては、ジルコンが60〜85質量%、シリカが10〜35質量%及びアルミナセメントが1〜3質量%を含有する材料を用いることが必要である。
さて、タンディッシュ堰15をタンディッシュ3に設置して、連続鋳造を行った場合、鋳造中に堰が割れることがある。また、タンディッシュ堰15を設置する前であってタンディッシュ堰15の製造後の検査で、亀裂が発生する事もある。同じ原料、同じ原料配合で比較しても割れが発生する場合と割れない場合がある。
発明者は、堰の材料(耐火物)の組織と製造履歴を調査した。その結果、第1に「鋳造中に割れた堰は、耐火物の焼結が進んでおり気孔率が小さくなっている」こと、第2に「タンディッシュ堰15の製造時の養生時間が短いと、表面に亀裂が発生し易く鋳造中に割れることがある」ことが分かった。
そこで、発明者らは、鋳造中の焼結の進行をミクロン組織で確認した。具体的には、原料に用いるシリカは、粒径が0.3mm未満である「微粉」、粒径が0.3mm以上〜1.0mm未満である「微粒」、粒径が1.0mm以上〜4.0mm未満である「中粒」で構成している。この構成の中で、粒径が2.0mm〜3.0mm未満のシリカは最も影響が大きいため、当該粒径を有する焼結の進行について検証を行った。
まず、粒径が2.0mm〜3.0mm未満のシリカに着目した点について説明する。
事前に、粒度の大きさを変化させ、堰の膨張量とシリカ粒の大きさとの関係を調査した。堰の膨張量は、中粒骨材(1.0mm以上)が大きく影響すると思われる。粒径が大きくなると、堰の膨張量が大きくなる。そこで適正な膨張量を調査するため、中粒を1.0mm以上〜2.0mm未満、2.0mm以上〜3.0mm未満、3.0mm以上〜4.0mm未満の3つに篩い分けし、それぞれの粒度で堰を製作し、実際の鋳造で堰を使用した。その結果、3.0mm以上〜4.0mm未満に篩い分けした骨材を中粒に使用した堰は、使用後の堰がアーチ状に変形し、堰に亀裂が見られた。この現象は、堰の膨張量が大き過ぎる事が原因と考えらる。また、1.0mm以上〜2.0mm未満を中粒として製造した堰は、鋳造中に堰割れが発生した。この原因は堰の膨張が小さく堰の拘束不足によるものと考えられる。また、2.0mm以上〜3.0mm未満を中粒として製造した堰では、割れや亀裂が発生することなく、堰を使用することができた。
このことから、タンディッシュ堰15の適正な膨張量を確保するには、2.0mm以上〜3.0mm未満のサイズを中粒に使用することが重要である。
次に、粒径が2.0mm以上〜3.0mm未満である中粒と、その他の粒度との配合比率を変化して、組織の変化を観察した。具体的には、構成比率(配合割合)[中粒(質量%)/シリカを構成する全材料(質量%)]が0.3〜0.8のサンプルを作り、1500℃の加熱炉に入れた後、組織の変化を観察した。
その結果、粒度が細かいほど加熱時間が短い時間で焼結が進み、気孔率が低下することが確認できた。この理由は、細かい粒径ほど粒子内部まで熱が伝わりやすく、シリカの転移が早く始まる。シリカはクオーツからクリストバライトへ転移し、このとき結晶構造の違いによりクリストバライトに転移するときに体積膨張する。また、粒度が細かいものは、転移が早く完了する。クリストバライトへの転移が発生している時点では、体積膨張を続けるが、転移が完了すると体積膨張は停止し、結晶粒の焼結により材料自体は収縮しだす。
この結果から、粒度が細かい材料で形成されたタンディッシュ堰15を使用すると、鋳造途中で堰の膨張能力がなくなり、収縮し始めることで、タンディッシュ3との拘束力がなくなり、堰が割れることがわかった。
さて、タンディッシュ堰15を製造するには、上述した材料に水を加えて混練し、混練後の材料を堰形状の型枠に流し込み、脱枠ができる状態になるまで大気圧下で自然養生する。養生の完了後に、強制的に乾燥処理を行う。
養生期間中の物性変化は、アルミナセメントの変化に関係しており、アルミナセメントは混練後から安定するまでに次のように変化する。
アルミナセメントはCA(CaO・Al)に水が加えられると六方晶系で準安定な水和物であるCaO・Al・10HO(CAH10)や2CaO・Al・8HO(CAH)を生成する。さらに、中間製生物がキャスタブル中(材料)のSiOと結合しCAH(ストラトリンジャイト)になり安定化して、強度が発現する。
図4は、XRD分析のストラトリンジャイト等のピークを示したものである。図4の上段の図は、「シリカフュームを添加したハイアルミナセメント水和物中のストラトリンジャイト、新名俊夫、柴田恭宏、大川真記雄、北側隆司、地下まゆみ、広島大学理学研究科地球惑星システム学専攻、耐火物 62〔2〕75−80(2010)」の文献に記載されている図である。
本発明では、ジルコンを含むタンディッシュ堰15においてストラトリンジャイトの発生時期、即ち、強度が発現する時期について検証を行った。詳しくは、粒度が2.0mm以上〜3.0mm未満となる中粒の配合割合が0.58である場合におけるストラトリンジャイト時期について、検証を行った。その結果、図4の矢印Aに示すように、上述した条件では、ストラトリンジャイトの生成は脱枠後8日以降に確認され、それ以前にはセメントが準安定組織状態であることが確認できた。よって、8日以前に乾燥炉で加熱を始めると、組織が安定していない状態で熱応力を受けるために、組織内の亀裂が増加するものと考えられる。
そこで、発明者は、粒度が2.0mm以上〜3.0mm未満のシリカの配合割合を変化させながら、ストラトリンジャイトが発現する時期について実験を行った。その結果、図5に示すように、粒度が2.0mm以上〜3.0mm未満となるシリカの配合割合X(%)と、自然養生日数Y(日)との関係が、式(1)を満たせば、ストラトリンジャイトを発現することができ、強度を確保、即ち、亀裂などを防止することができることを見いだした。
Y>4.2/X ・・・(1)
式(1)は、粒度が2.0mm以上〜3.0mm未満となるシリカの配合割合X(%)が100%(X=1.0)、即ち、シリカを構成する全ての材料の粒度が2.0mm以上〜3.0mm未満である場合、養生日数を4.2以上にすることにより、強度を確保することができることを意味している。また、式(1)は、粒度が2.0mm以上〜3.0mm未満となるシリカの配合割合X(%)が少なくなるにつれて、養生日数を長くすることにより、強度を確保することができることを意味している。なお、例えば、配合割合が80%の場合は、X=0.8となる。
以上、タンディッシュ堰15の製造方法では、ジルコンが60〜85質量%、シリカが10〜35質量%及びアルミナセメントが1〜3質量%を含有する材料を用いて成形することとし、そのうえで、大気圧下で自然養生する際には、粒度が2.0mm以上3.0mm未満となるシリカの配合割合Xと、自然養生日数Yとは、Y>4.2/Xを満たすように養生日数を確保している。
表1は、本発明のタンディッシュ堰15の製造方法で製造を行った実施例と、本発明の条件とは異なる条件で製造を行った比較例とをまとめたものである。
実施例及び比較例では、図1に示した連続鋳造装置のタンディッシュ3に、図3に示したタンディッシュ堰15を設置して、連続鋳造を行った。タンディッシュ堰15の製造は、ジルコンとシリカとアルミナセメントを水を加えて混練し、混練後、堰形状の型枠に流し込み、養生を行った後、脱枠して、脱枠後のタンディッシュ堰15を350℃程度で乾燥炉で乾燥して堰を完成させた。
使用するタンディッシュ3(TDという)の所定位置に、タンディッシュ堰15をセットする。タンディッシュ堰15とTD3の固定方法は、タンディッシュ堰15とTD3との間に、煉瓦や吹付け補修材を詰め込み、タンディッシュ堰15を固定した。タンディッシュ堰15をセット後、TD3に蓋をし、鋳造前までTD3を加熱した。連続鋳造は、当業者情報通り、精錬処理後の取鍋を連鋳機に順番に供給し連続鋳造を行う。溶鋼のスループットは、4t/分、タンディッシュ内の溶鋼温度は1500〜1510℃、溶鋼はC:0.8%、Si:0.2%、Mn:0.5%の成分である。
実施例及び比較例では、乾燥後の亀裂及び鋳造時の堰割れについて評価を行った。乾燥後の亀裂の評価では、乾燥炉で乾燥後、乾燥完了し出来上がった堰の表面検査を実施し、亀裂があったか否かを確認した。鋳造時の堰割れの評価では、連続鋳造中にタンディッシュ堰が割れが発生したか否かを確認した。
実施例1〜11では、タンディッシュ堰15の材料は、ジルコンが60〜85質量%、シリカが10〜35質量%及びアルミナセメントが1〜3質量%を含有している。また、大気圧下で自然養生するに際し、粒度が2.0mm以上3.0mm未満となるシリカの配合割合Xと、自然養生日数Yとは、Y>4.2/Xを満たしている。
比較例1〜8では、粒度が2.0mm以上3.0mm未満となるシリカの配合割合Xと、自然養生日数Yとは、Y>4.2/Xを満たしていない。その結果、比較例1、2、4に関しては、乾燥後の亀裂が発生し、比較例3、5〜8に関しては、鋳造時に割れが発生した。
比較例9、12では、シリカが35質量%を超えて多く、ジルコンが60質量%未満で少ないため、鋳造中に初期の膨張で折損して割れが発生した。比較例10、11では、ジルコンが85質量%を超えて多く、シリカが10質量%未満で少ないため、タンディッシュ堰15が溶損して厚みが薄くなり、鋳造途中で折損した。比較例13では、アルミナセメントが3質量%を超えているため、セメント中のCaO分がスラグと反応し鋳造途中で折損した。比較例14では、アルミナセメントが1質量%未満であるため、乾燥後に亀裂が発生した。
以上、本発明によれば、耐火物の組織の脆化を抑え、鋳造中に割れない堰を製造することができ、清浄鋼の鋳造に長時間連続して使用することができる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 連続鋳造装置
2 溶鋼
3 タンディッシュ
4 鋳型
5 サポートロール
6 注入口
7 浸漬ノズル
8 スライドバルブ
9 取鍋
10 注入室
11 分配室
12 底壁
13 第1側壁
14 第1後壁
15 仕切堰(タンディッシュ堰)
16 第2側壁
17 第2後壁
18 前壁

Claims (1)

  1. 連続鋳造装置のタンディッシュに設置されるタンディッシュ堰を製造する方法であって、
    ジルコンが60〜85質量%、粒径が0.3mm未満である「微粉」、粒径が0.3mm以上〜1.0mm未満である「微粒」、粒径が1.0mm以上〜4.0mm未満である「中粒」で構成されたシリカが10〜35質量%及びアルミナセメントが1〜3質量%を含有する材料を、大気圧下で自然養生して製造するに際し、
    粒度が2.0mm以上3.0mm未満となる前記中粒のシリカの配合割合Xと、前記自然養生の日数Yとが、Y>4.2/Xを満たす
    ことを特徴とするタンディッシュ堰の製造方法。
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