JP2001317795A - 空気調和機及び湿度制御方法 - Google Patents

空気調和機及び湿度制御方法

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JP2001317795A JP2000136303A JP2000136303A JP2001317795A JP 2001317795 A JP2001317795 A JP 2001317795A JP 2000136303 A JP2000136303 A JP 2000136303A JP 2000136303 A JP2000136303 A JP 2000136303A JP 2001317795 A JP2001317795 A JP 2001317795A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ランニングコストを低減することができ、大
型化を抑えて高精度の制御が可能な空気調和機及び湿度
制御方法を提供する。 【解決手段】 ハウジング1の内部に、フィルタ2、加
熱コイル40、気化式加湿器50、冷却コイル3、加熱
コイル60及び送風機6を配設する。加熱コイル40を
前段コイル41と後段コイル42の二つに分岐して設け
る。気化式加湿器50を、前段コイル41の下流側の第
1加湿器51と、後段コイル42の下流側の第2加湿器
52の2段構成とする。加熱コイル40、冷却コイル3
及び加熱コイル60に、バルブ80,7,90を設け
る。供給口に露点温度センサ11と乾球温度センサ12
を取り付ける。露点温度センサ11及び乾球温度センサ
12の検出値に基づいて、バルブ80,7,90を比例
制御する制御器11a,12aを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加湿器として気化
式加湿器を用いた空気調和機及び湿度制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子工業や精密機械工業の工場、食品保
存用の貯蔵庫、実験用動物飼育室、バイオロジカルクリ
ーンルームなどにおいては、温度・湿度などの室内環境
を一定に保つ必要がある。このため、かかる設備におい
ては、室内の恒温・恒湿を目的とした空気調和機が設置
されている。
【0003】このような空気調和機として、従来から提
案されているものの一例を、図4を参照して以下に説明
する。すなわち、図中、左側を空気取入口、右側を空気
供給口とするハウジング1の内部には、空気取入口側か
ら、外気の塵埃を取り除くフィルタ2、循環する冷水に
よって空気を冷却する冷却コイル3、循環する温水によ
って空気を加熱する加熱コイル4、ボイラで発生させた
蒸気を空気の通過過程に供給して加湿する蒸気式加湿器
5、ハウジング1外へ空気を吐出す送風機6が配設され
ている。フィルタ2としては、例えば、中性能若しくは
HEPAフィルタが用いられる。
【0004】冷却コイル3、加熱コイル4及び蒸気式加
湿器5には、それぞれ冷水、温水及び蒸気の流量を制御
するバルブ7,8,9が設けられている。また、加湿空
気の供給口には、露点温度センサ10a、乾球温度セン
サ10bが取り付けられている。これらの露点温度セン
サ10a及び乾球温度センサ10bは、制御器10cに
接続されている。制御器10cは、露点温度センサ10
aからの検出温度に基づいて、供給空気の温湿度があら
かじめ定められた一定の値となるように、バルブ7,9
を調節し、冷却コイル3内の冷水、蒸気式加湿器5の蒸
気の量を比例制御するように構成されている。また、制
御器10cは、乾球温度センサ10bからの検出温度に
基づいて、供給空気の乾球温度があらかじめ定められた
一定の値となるように、バルブ7,8を調節し、冷却コ
イル3内の冷水、加熱コイル4内の温水の量を比例制御
するように構成されている。
【0005】以上のような従来技術による温度及び湿度
制御を、室内側の設定温度を23℃、設定相対湿度を4
5%とした場合を例として、図5の湿り空気線図を参照
して以下に説明する。なお、図5に示したBw〜Ew、
Bs〜Csは、図3で示したB〜Eの位置における空気
の状態に対応している。
【0006】すなわち、冬季などの空気の加熱及び加湿
が必要な場合には、送風機6を作動させるとともに、加
熱コイル4及び蒸気式加湿器5のバルブ8,9を開とす
る。ハウジング1の空気取入口(B点)から流入した外
気は、フィルタ2を介して塵埃が濾過された後、加熱コ
イル4によって加熱される(D点)。これにより、図5
のBwとDwを結ぶ実線で示すように、乾球温度が推移
する。
【0007】そして、加熱された空気は、蒸気式加湿器
5による加湿が行われ(E点)、送風機6によって供給
口から供給される。なお、蒸気加湿は加熱を伴うので、
図5のDwとEwを結ぶ実線で示すように、乾球温度及
び相対湿度が推移する。
【0008】一方、夏季などの空気の除湿が必要な場合
には、送風機6を作動させるとともに、冷却コイル3の
バルブ7を開とする。ハウジング1の空気取入口(B
点)から流入した外気は、フィルタ2を介して塵埃が濾
過された後、冷却コイル3によって冷却される(C
点)。これにより、図5のBsとCsを結ぶ点線で示す
ように、乾球温度及び相対湿度が推移する。なお、冷却
された空気は、室内設定温度に応じて、加熱コイル4に
よる再熱が行われ(D点)、送風機6によって供給口か
ら供給される。この再熱は、例えば、室内冷却負荷発生
量が少ない場合に、恒温・恒湿を達成するために必要と
なる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な蒸気式加湿器による加湿の場合には、100℃以上の
熱源が必要でありボイラなどからの供給蒸気を用いるた
めにエネルギーコストがかかる。また、蒸気式加湿器
は、蒸気加湿位置と送風機などまでの位置を離して、蒸
気が流通空気に分散吸収されるまでの蒸発吸収距離を長
くとる必要があるため、これにより空気調和機の寸法が
長くなる。さらに、上記の従来技術では、湿度制御は蒸
気式加湿器の蒸気量を制御することによって行っている
が、蒸気式加湿器は局所的な加湿のためにムラが出易
く、センサの適切な設置位置を決めることが困難であ
り、下流側の湿度分布を均一にし難い。
【0010】これに対処するため、比較的低温のエネル
ギーを用いて加湿ができる気化式加湿器を用いる方法が
考えられる。しかし、気化式加湿器による加湿は温度低
下を伴うので、単純に上述のような従来技術に適用する
だけでは、充分な加湿量と制御精度を得ることは困難で
あり、例えば、温水温度が比較的高く、加湿により乾球
温度が下がっても充分な加湿量が得られる温度まで加熱
が可能で、湿度の精度があまり問題とならないON・O
FF制御の場合などに適用が限定される。このため、動
物舎や半導体工場のような高精度の温湿度制御を必要と
する場合には用いられることはなかった。
【0011】本発明は、前記のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであって、その目的
は、ランニングコストを低減することができ、大型化を
抑えて高精度の制御ができる空気調和機及び湿度制御方
法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明である空気調和機は、空気取
入口と空気供給口との間の空気流路に、除湿と冷却を行
うための冷水循環式の冷却コイルと、気化式加湿器と、
前記気化式加湿器による気化式加湿を可能とするために
その上流側に配設された温水循環式の第1の加熱コイル
と、供給空気の乾球温度を調整するための温水循環式の
第2の加熱コイルとを備え、前記空気供給口近傍に、露
点センサ及び乾球温度センサを配設し、前記露点センサ
の検出値に基づいて前記冷却コイルの冷水流量を制御す
ることによる所定量の除湿と、前記露点センサの検出値
に基づいて前記第1の加熱コイルの温水流量を制御しつ
つその下流側の気化式加湿を行うことによる所定量の加
湿と、前記乾球温度センサの検出値に基づいて前記冷却
コイルの冷水流量を制御することによる所定量の冷却
と、前記乾球温度センサの検出値に基づいて前記第2の
加熱コイルの温水流量を制御することによる所定量の加
熱とを選択的に行うことにより、供給空気の湿度と温度
をあらかじめ定められた一定の値とすることが可能な制
御装置を設けたことを特徴とする。
【0013】請求項2記載の発明は、空気取入口から導
入した空気の温度及び湿度を調整して空気供給口から供
給する湿度制御方法において、前記空気供給口近傍に配
設された露点センサの検出値に基づいて、冷水循環式の
冷却コイルの冷水流量を制御することによる所定量の除
湿と、前記露点センサの検出値に基づいて、温水循環式
の第1の加熱コイルの温水流量を制御しつつ、その下流
側に配設された気化式加湿器による加湿を行うことによ
る所定量の加湿と、前記空気供給口近傍に配設された乾
球温度センサの検出値に基づいて、前記冷却コイルの冷
水流量を制御することによる所定量の冷却と、前記乾球
温度センサの検出値に基づいて、前記気化式加湿器の下
流側に配設された温水循環式の第2の加熱コイルの温水
流量を制御することによる所定量の加熱とを選択的に行
うことにより、供給空気の湿度と温度をあらかじめ定め
られた一定の値とすることを特徴とする。
【0014】以上のような請求項1及び請求項2記載の
発明では、冬季等の加熱加湿時には、空気取入口から流
入した空気は、第1の加熱コイルによる加熱と気化式加
湿器による加湿、さらに第2の加熱コイルによる加熱が
行われた後に、空気供給口から供給される。このとき、
露点センサの検出値に基づいて、第1の加熱コイルの温
水流量を制御することによって、必要量の加湿が可能と
なる。従って、蒸気式加湿のような加湿蒸気が不要とな
り、例えば30℃〜40℃程度の低温の温水を熱源とす
る加熱が可能となるので、ランニングコストを節約し
て、省エネルギーを実現できる。そして、気化式加湿器
は空気路全体に設置されるために均一に加湿することが
でき、その加湿量の制御は、空気供給口近傍に配設され
た露点センサの検出値に基づいて、第1の加熱コイルの
温水流量を制御することによって行うので、絶対湿度に
基づく高精度の湿度制御が可能となる。さらに、蒸気式
加湿のような蒸発吸収距離が不要となるので、流路方向
において大幅な小形化を実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の空気調和機の実施
の形態を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、図
4で示した従来技術と同様の部材は同一の符号を付し
て、説明を省略する。
【0016】1.第1の実施の形態 1−1.構成 まず、本発明の第1の実施の形態を、図1及び図2を参
照して説明する。なお、本実施の形態は、加熱に用いる
温水の温度が、例えば30℃〜40℃程度の低い温度の
場合に適用される実施の形態である。すなわち、ハウジ
ング1の内部には、空気取入口側から、フィルタ2、加
熱コイル40、気化式加湿器50、冷却コイル3、加熱
コイル60及び送風機6が配設されている。
【0017】加熱コイル40は、上流側の前段コイル4
1と、下流側の後段コイル42の二つに分岐して設けら
れている。そして、前段コイル41から後段コイル42
の順に温水が流れるように、両コイルは連通されてい
る。但し、前段コイル41及び後段コイル42を流れる
温水は、空気流に対して対向流となるように、それぞれ
の温水入口側は、風下に設定されている。
【0018】気化式加湿器50は、前段コイル41の下
流側に配置された第1加湿器51と、後段コイル42の
下流側に配置された第2加湿器52の2段構成となって
いる。この気化式加湿器50は、給水管50aから水を
滴下し、表面を濡れ面となるようにした加湿モジュール
50bに、空気を通過させて加湿を行うものである。な
お、気化式加湿器50は、それぞれ飽和効率80%程度
のものを用いることが望ましいが、これ以下の飽和効率
のものであっても適用可能である。
【0019】そして、各加湿モジュール50bから落下
した余分な水は、下部に配置された水槽50cに回収さ
れ、ポンプ50dによって給水管50aに循環供給され
るように、配管が接続されている。また、冷却コイル3
及び加熱コイル60を流れる冷水及び温水は、空気流に
対して対向流となるように、それぞれの冷水及び温水の
入口側は、風下に設定されている。
【0020】以上のような加熱コイル40、冷却コイル
3及び加熱コイル60には、それぞれ冷水及び温水の流
量を制御するバルブ80,7,90が設けられている。
また、加湿空気の供給口には、供給空気の露点温度を検
出する露点温度センサ11と、供給空気の乾球温度を検
出する乾球温度センサ12とが取り付けられている。そ
して、バルブ80,7及び露点温度センサ11は、制御
器11aに接続されている。また、バルブ7,90及び
乾球温度センサ12は、制御器12aに接続されてい
る。
【0021】制御器11aは、露点温度センサ11によ
って検出される露点温度に基づいて、加熱コイル40の
温水の量を比例制御するように構成されている。制御器
12aは、乾球温度センサ12によって検出される乾球
温度に基づいて、加熱コイル60の温水の量を比例制御
するように構成されている。なお、冷却コイル3に対し
ては、従来と同様に、露点温度センサ11及び乾球温度
センサ12の検出値に基づいて、制御器11a,12a
による比例制御が行われる構成となっている。
【0022】1−2.作用 以上のような構成を有する本実施の形態の作用を、室内
側の設定温度を23℃、設定相対湿度を45%とした場
合を例として、図2の湿り空気線図を参照して、加熱加
湿時(主として冬季)と、冷却除湿時(主として夏季)
に分けて説明する。なお、図2に示したBw〜Fw、B
s〜Gsは、図1で示したB〜Gの位置における空気の
状態に対応している。また、温度及び湿度等の具体的な
値は例示であり、本発明がこれらの数値に限定されるも
のではない。また、ファンによる昇温とこれによる相対
湿度低下は、理解を容易にするために、ここでは考えな
いものとする。
【0023】1−2−1.加熱加湿時 冬季のように空気の加熱加湿が必要な場合には、送風機
6及び気化式加湿器50を作動させるとともに、加熱コ
イル40のバルブ80を開とする。ハウジング1の空気
取入口(B点)から流入した空気は、フィルタ2を介し
て塵埃が濾過された後、前段コイル41によって加熱さ
れる(C点)。これにより、図2のBwとCwとを結ぶ
実線で示すように、乾球温度が推移する。
【0024】前段コイル41で加熱された空気は、第1
加湿器51による加湿が行われる(D点)。このとき、
気化式加湿は温度低下を伴うので、図2のCwとDwと
を結ぶ実線で示すように、乾球温度及び相対湿度が推移
する。第1加湿器51で加湿された空気は、後段コイル
42によって加熱される(E点)。これにより、図2の
DwとEwとを結ぶ実線で示すように、乾球温度が推移
する。
【0025】後段コイル42によって加熱された空気
は、第2加湿器52によって加湿され(F点)、送風機
6によって供給口から供給される。これにより、図2の
EwとFwを結ぶ実線で示すように、乾球温度及び相対
湿度が推移する。
【0026】気化式加湿器50は、それぞれ飽和効率8
0%のものを用いている。前段の加熱後に第1段の加湿
を行ない、後段の加熱の後に第2の加湿を行うという過
程を経るが、出口側露点温度センサ11により加熱温度
を制御しているために、図1のF点における空気は、絶
対湿度をあらかじめ定められた一定の値とすることがで
きる。ここで、飽和効率ηs は、入口空気乾球温度をt
、入口空気湿球温度をt1'、出口空気乾球温度をt
とすると、以下の式1によって表される。
【0027】
【数1】 ηs=(t−t)/(t−t1') …式1 これを、図2に示した例で具体的な数値を当てはめて示
すと、点C〜Fにおける出口空気乾球温度は、以下のよ
うに推移する
【数2】 Dw:(22−t)/(22−9)=0.8 …式2 従って、点Cから点D、すなわちCw→Dwの過程で、
=11.6(℃)となる。
【数3】 Fw:(18−t)/(18−11.8)=0.8 …式3 従って、点Eから点F、すなわちEw→Fwの過程で、
=13.04(℃)となる。
【0028】以上のように、C点においては乾球温度2
2℃、D点においては乾球温度11.6℃、E点におい
ては乾球温度18.0℃、F点においては乾球温度1
3.04℃、となり、この過程で相対湿度及び絶対湿度
が上昇していく。加熱コイル40を流れる温水の温度
は、例えば、前段コイル41に流入する温水が35℃〜
36℃程度とすると、前段コイル41における熱交換後
に後段コイル42に流入する温水は30℃〜29℃程度
となり、これによって上記のような加熱が行われる。
【0029】上述の加熱コイル40における温水の流量
は、供給口に設置された露点温度センサ11によって検
出される露点温度値に基づいて、供給空気の絶対湿度
が、室内設定温度との関係で室内設定湿度(相対湿度)
を満たす値となるように、制御器12aがバルブ80の
開度を比例制御することによって調節される。
【0030】なお、室内設定温度との関係で、さらに再
熱が必要となる場合には、バルブ90が開とされて、加
熱コイル60による加熱が行われる(H点)。加熱コイ
ル60における温水の流量は、給気口に設置された乾球
温度センサ12によって検出される乾球温度に基づい
て、供給空気の乾球温度が室内設定温度との関係で最適
な値となるように、制御器12aがバルブ90を比例制
御することによって調節される。
【0031】1−2−2.冷却除湿時 次に、夏季などの空気の除湿が必要な場合には、送風機
6を作動させるとともに、冷却コイル3のバルブ7を開
とする。ハウジング1の空気取入口(B点)から流入し
た空気は、フィルタ2を介して塵埃が濾過された後、冷
却コイル3によって冷却され(G点)、送風機6によっ
て供給口から供給される。これにより、図2のBsとG
sとを結ぶ点線で示すように、乾球温度及び相対湿度が
推移する。冷却コイル3における冷水の流量は、供給口
に設置された露点温度センサ11及び乾球温度センサ1
2に基づいて、供給空気の絶対湿度が、室内設定温度と
の関係で室内設定湿度(相対湿度)を満たす値となるよ
うに、制御器11a,12aがバルブ7の開度を比例制
御することによって調節される。なお、室内設定温度と
の関係で、さらに加熱が必要となる場合には、バルブ9
0が開とされて、上述と同様に、加熱コイル60による
加熱が行われる(H点)。
【0032】1−3.効果 以上のような本実施の形態の効果は、以下の通りであ
る。すなわち、蒸気式加湿器において必要であった高温
のエネルギーが不要となるので、ランニングコストを大
幅に低減することができる。特に、加熱コイル40,6
0において使用するような、比較的低温度の温水は、例
えば、冷凍機冷却水などから大量に安定して得ることが
できるので、エネルギー消費量を大幅に低減することが
でき、コストの節約が可能となる。
【0033】また、空気路全体の均一な加湿が可能な気
化式加湿器50による加湿量を、露点温度に基づく加熱
コイル40の温水流量の調節によって、比例制御するこ
とができるので、絶対湿度に基づく高精度の湿度制御が
可能となる。
【0034】また、加熱コイル40による加熱と気化式
加湿器50による加湿とを複数回行うことによって、気
化式加湿による温度低下を補いながら、目的の湿度まで
加湿することができる。そして、最下流の加熱コイル6
0を用いることによって、供給空気を目標温度にするこ
とができる。
【0035】さらに、本実施の形態は、複数の加熱コイ
ル40,60と気化式加湿器50を備えているが、蒸気
式加湿器を用いた場合のような蒸発吸収距離が不要とな
るので、上述の従来技術とほぼ同様の大きさとすること
ができ、大型化を抑制することが可能となる。
【0036】2.第2の実施の形態 2−1.構成 次に、本発明の第2の実施の形態を、図2及び図3を参
照して以下に説明する。なお、本実施の形態は、加熱に
用いる温水の温度が、例えば40℃以上の高い温度の場
合に適用される実施の形態である。すなわち、本実施の
形態は、図3に示すように、上記の第1の実施の形態に
おいて、交互に配設されていた加熱コイル40´及び気
化式加湿器50´を、それぞれ一台ずつとして、空気取
入口から給気口までの長さを縮小したものである。な
お、その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0037】2−2.作用 以上のような本実施の形態の作用を、上記の第1の実施
の形態と同様の条件で説明する。なお、図2に示したB
´w〜D´w、B´s〜E´sは、図3で示したB´〜
E´の位置における空気の状態に対応している。すなわ
ち、冬季のように空気の加熱加湿が必要な場合には、送
風機6及び気化式加湿器50を作動させるとともに、加
熱コイル40´のバルブ80を開とする。ハウジング1
の空気取入口(B点)から流入した空気は、フィルタ2
を介して塵埃が濾過された後、加熱コイル40´によっ
て加熱される(C´点)。これにより、図2のB´wと
C´wとを結ぶ一点鎖線で示すように、乾球温度が推移
する。
【0038】加熱コイル40´で加熱された空気は、気
化式加湿器50´による加湿が行われる(D´点)。こ
のとき、気化式加湿は温度低下を伴うので、図2のC´
wとD´wとを結ぶ一点鎖線で示すように、乾球温度及
び相対湿度が推移する。これを、上記の式1に具体的な
数値例を当てはめて示すと、点C´〜D´における出口
空気乾球温度は、以下のように推移する
【数4】 D´w:(32−t)/(32−13)=0.8 …式4 従って、点C´から点D´、すなわちC´w→D´wの
過程で、t=16.8(℃)となる。なお、その他の
作用は、上記の第1の実施の形態と同様である。
【0039】2−3.効果 以上のような本実施の形態によれば、高温の温水を利用
することを前提としたので、加熱コイル60´及び気化
式加湿器50´の台数を省略しても、上記の第1の実施
の形態と同様の作用効果が得られるとともに、全長を大
幅に縮小することができ、小形の空気調和機を構成でき
る。
【0040】3.他の実施の形態 本発明は上記のような実施の形態に限定されるものでは
ない。例えば、加熱コイルや気化式加湿器の能力、温水
温度や室内温湿度、制御温湿度の精度に応じて、加熱コ
イル及び気化式加湿器による加熱加湿を3段以上の多段
階で行う方式が考えられる。また、外気処理専用の空気
調和機だけでなく、外気と室内からの空気を混合して処
理する循環用空気調和機にも適用することができる。
【0041】また、気化式加湿器への加湿水の補給は、
必ずしも循環式とする必要はない。一般空調において気
化式加湿を行う場合には、市水を利用して加湿量の20
〜30%を連続排水しながら1パスで行うのが一般的で
ある。また、冷却コイルへの冷水の供給源や加熱コイル
への温水の供給源は、どのようなものであってもよい。
【0042】また、例えば、気化式加湿器の加湿モジュ
ールをそれぞれ横引出し式にすれば、空気流通方向のメ
ンテナンススペースが不要となり、設置スペース長さを
さらに縮小することができる。さらに、冷却コイルや加
熱コイルは、入力熱量が制御できる冷却あるいは加熱用
の熱交換器であれば、その種類を問わない。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ランニングコストを低減することができ、大型化を抑え
て高精度の制御が可能な空気調和機及び湿度制御方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気調和機の第1の実施の形態を示す
構成図である。
【図2】図1及び図3の実施の形態による温度及び湿度
制御の一例を示す湿り空気線図である。
【図3】本発明の空気調和機の第2の実施の形態を示す
構成図である。
【図4】従来の空気調和機の一例を示す構成図である。
【図5】図4の従来技術による温度及び湿度制御の一例
を示す湿り空気線図である。
【符号の説明】
1…ハウジング 2…フィルタ 3…冷却コイル 4,40,40´,60…加熱コイル 5…蒸気式加湿器 6…送風機 7,8,9,80,90…バルブ 10a,11…露点温度センサ 10b,12…乾球温度センサ 10c,11a,12a…制御器 41…前段コイル 42…後段コイル 50,50´…気化式加湿器 51…第1加湿器 52…第2加湿器 50a…給水管 50b…加湿モジュール 50c…水槽 50d…ポンプ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気取入口と空気供給口との間の空気流
    路に、除湿と冷却を行うための冷水循環式の冷却コイル
    と、気化式加湿器と、前記気化式加湿器による気化式加
    湿を可能とするためにその上流側に配設された温水循環
    式の第1の加熱コイルと、供給空気の乾球温度を調整す
    るための温水循環式の第2の加熱コイルとを備え、 前記空気供給口近傍に、露点センサ及び乾球温度センサ
    を配設し、 前記露点センサの検出値に基づいて前記冷却コイルの冷
    水流量を制御することによる所定量の除湿と、前記露点
    センサの検出値に基づいて前記第1の加熱コイルの温水
    流量を制御しつつその下流側の気化式加湿を行うことに
    よる所定量の加湿と、前記乾球温度センサの検出値に基
    づいて前記冷却コイルの冷水流量を制御することによる
    所定量の冷却と、前記乾球温度センサの検出値に基づい
    て前記第2の加熱コイルの温水流量を制御することによ
    る所定量の加熱とを選択的に行うことにより、供給空気
    の湿度と温度をあらかじめ定められた一定の値とするこ
    とが可能な制御装置を設けたことを特徴とする空気調和
    機。
  2. 【請求項2】 空気取入口から導入した空気の温度及び
    湿度を調整して空気供給口から供給する湿度制御方法に
    おいて、 前記空気供給口近傍に配設された露点センサの検出値に
    基づいて、冷水循環式の冷却コイルの冷水流量を制御す
    ることによる所定量の除湿と、 前記露点センサの検出値に基づいて、温水循環式の第1
    の加熱コイルの温水流量を制御しつつ、その下流側に配
    設された気化式加湿器による加湿を行うことによる所定
    量の加湿と、 前記空気供給口近傍に配設された乾球温度センサの検出
    値に基づいて、前記冷却コイルの冷水流量を制御するこ
    とによる所定量の冷却と、 前記乾球温度センサの検出値に基づいて、前記気化式加
    湿器の下流側に配設された温水循環式の第2の加熱コイ
    ルの温水流量を制御することによる所定量の加熱と、 を選択的に行うことにより、供給空気の湿度と温度をあ
    らかじめ定められた一定の値とすることを特徴とする湿
    度制御方法。
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