JP2001310496A - 磁気プリンタ - Google Patents

磁気プリンタ

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JP2001310496A
JP2001310496A JP2000131355A JP2000131355A JP2001310496A JP 2001310496 A JP2001310496 A JP 2001310496A JP 2000131355 A JP2000131355 A JP 2000131355A JP 2000131355 A JP2000131355 A JP 2000131355A JP 2001310496 A JP2001310496 A JP 2001310496A
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Japan
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image
magnetic head
layer
micro
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Tadao Katsuragawa
忠雄 桂川
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、モノカラー画像及びフルカラー画
像の何れにも適用可能な高速度で高分解能の磁気プリン
タを提供することを目的とする。 【解決手段】 回転ドラム11の外周部の多数の磁気ヘ
ッド12が配置されたマイクロ磁気ヘッドアレイ13上
の全面に、磁性体層14が設けられている。この磁性体
層14は、マイクロ磁気ヘッドアレイ13の磁気ヘッド
12により磁化されてデジタルな磁気的潜像を形成する
と共に、磁気ヘッド12の励磁を停止しても磁性体層1
4の残留磁気によって磁性トナー15の磁気的付着力を
残存させる機能を有する。このため、マイクロ磁気ヘッ
ドアレイ13への通電時間が短縮され、高速での画像形
成が達成されると共に、マイクロ磁気ヘッドアレイ面を
上向きにしなければ転写ができなくなるといった転写位
置の制限がなくなり、設計上の自由度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気プリンタに係
り、特にマイクロ磁気ヘッドアレイを用いて磁気潜像を
形成し、磁性トナーなどの現像材を用いて現像し、印刷
用紙などの支持体に転写し、定着するマグネトグラフィ
技術を用いた磁気プリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気プリンタの代表例として、N
IPSON社製の磁気プリンタがある(http://www.jat
obull.co.jp/nipsontmp/nipson.html 参照)。この磁気
プリンタは、マイクロ磁気ヘッドアレイを用いて、リジ
ッドなシリンダ上の磁性体に磁気潜像を形成し、次い
で、現像材を用いてシリンダ上の磁性体に画像を形成
し、更にこれを転写し定着するものである。同社の提供
する資料によれば、A4サイズにして700枚/分のプ
リントスピードがあり、画像分解能は480dpiであ
る。但し、フルカラー画像を形成することはできない。
【0003】このように従来の磁気プリンタにおいて
は、磁性体に画像を形成し、これを転写し定着する方法
が主流であった。また、磁気ヘッドとしては、高透磁率
コアに銅線を巻いた電磁誘導タイプの磁気ヘッドを単体
で又は数個重ねて構成したものが使用されていた。その
他、マイクロ磁気ヘッドアレイとしては、シリコン基板
上にFeNiからなる記録電極を高密度に配置し、各記
録電極の周囲にAu(金)ワイヤからなる電磁誘導コイ
ルを配したものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技
術を用いて、高速度で高分解能画像を得ようとすると、
次のような問題点があった。
【0005】(1)一度磁性体上に磁気ヘッドを用いて
磁気潜像を形成した後、現像材を用いて現像し、この現
像した画像を印刷用紙などの支持体上に転写している。
このため、転写前の画像を得るには、磁気潜像の形成と
その後の現像という2段階を必要とした。 (2)磁気ヘッドは1個又は数個程度である。このた
め、高分解能画像を得ることは困難であった。 (3)マイクロ磁気ヘッドアレイを用いる場合において
も、磁気ヘッドはシリコン基板等の固い基板上に形成さ
れている。このため、マイクロ磁気ヘッドアレイは柔軟
性に欠け、破壊され易いものであった。 (4)上記のNIPSON社製の磁気プリンタのマイク
ロ磁気ヘッドアレイは、フォトリソグラフィ技術を用い
て作製されている。このため、大面積のマイクロ磁気ヘ
ッドアレイを形成することが困難であった。また、アレ
イの数も数列に限定されていた。 (5)従来、カラー画像を得ることが可能なマグネトグ
ラフィ技術は実現されていなかった。
【0006】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたものであり、モノカラー画像及びフルカラー画像の
何れにも適用可能な高速度で高分解能の磁気プリンタを
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、磁気ヘッド
アレイに関して、既に次のような種々の発明を提案して
きた。例えば「ディスプレイ」(特願平8−33150
3号)、「磁気ヘッド」(特願平10−093584
号)、「磁気光学素子および磁気ヘッドアレイ」(特願
平10−341403号)などである。特に、「磁気プ
リンター」(特願平11−067102号)において
は、マイクロ磁気ヘッドアレイ上に直接に電気的画像を
形成した後、現像し転写して画像を形成する磁気プリン
タを提案し、モノカラー画像及びフルカラー画像の何れ
にも適用可能な高速度で高分解能の磁気プリンタを実現
している。
【0008】しかし、上記提案に係る磁気プリンタにお
いては、マイクロ磁気ヘッドアレイの各磁気ヘッドが励
磁されると、磁気ヘッドに磁性トナーが付着するが、各
磁気ヘッドの励磁が停止すれば吸着力はなくなってしま
う。このため、例えばマイクロ磁気ヘッドアレイ面が下
向きになる場合などにおいては、磁気ヘッドに付着した
磁性トナーが印刷用紙などの支持体に転写される前に脱
離してしまい、画像を形成することができなくなるとい
う不具合を生じた。
【0009】従って、磁気ヘッドに付着した磁性トナー
が脱離しないようにするためには、転写するまでの比較
的長時間にわたって、磁気ヘッドを励磁した状態に保持
しなければならなかった。ところが、磁気ヘッドアレイ
には、何千というコイルが配置されているため、1個当
たりの励磁電流が少なくても、全体としては大きな電流
が必要となってしまう。そして、この点を解決するため
には、磁気ヘッドの励磁を停止しても磁気ヘッドに付着
した磁性トナーが脱離しないように、マイクロ磁気ヘッ
ドアレイ面を上向きにした装置構成を取らねばならなか
った。
【0010】そこで本発明者は、マイクロ磁気ヘッドア
レイ面を上向きにしなければ転写ができなくなるといっ
た転写位置の制限をなくするため、上記提案に係る磁気
プリンタに改良を重ね、以下の発明を想到した。
【0011】即ち、請求項1に係る磁気プリンタは、マ
イクロ磁気ヘッドアレイに通電して、マイクロ磁気ヘッ
ドアレイ上に設けられた磁性体層に磁気潜像を形成する
磁気潜像形成部と、この磁気潜像形成部において磁性体
層に形成された磁気潜像を現像材を用いて現像する現像
部と、この現像部において磁性体層に現像された画像を
支持体上に転写する転写部と、を有することを特徴とす
る。
【0012】このように請求項1に係る磁気プリンタに
おいては、マイクロ磁気ヘッドアレイ上に磁性体層が設
けられていることにより、マイクロ磁気ヘッドアレイに
通電して磁性体層に磁気潜像を形成するプロセスが実現
されることから、マイクロ磁気ヘッドアレイへの通電時
間が短縮されるため、高速での画像形成が達成されると
共に、磁気ヘッドの励磁を停止しても磁性体層の残留磁
気によって現像材が保持されるため、マイクロ磁気ヘッ
ドアレイ面を上向きにしなければ転写ができなくなると
いった転写位置の制限がなくなり、設計上の自由度が向
上する。
【0013】また、請求項2に係る磁気プリンタは、上
記請求項1に係る磁気プリンタにおいて、磁性体層がマ
イクロ磁気ヘッドアレイのコアの直上のみに設けられて
いることを特徴とする。
【0014】このように請求項2に係る磁気プリンタに
おいては、磁性体層がマイクロ磁気ヘッドアレイのコア
の直上のみに設けられていることにより、磁界発散によ
る画像のボケが減少するため、より鮮明な高分解能の画
像がプリントされるようになる。
【0015】また、請求項3に係る磁気プリンタは、上
記請求項1又は2に係る磁気プリンタにおいて、磁性体
層上に非磁性保護層が設けられていることを特徴とす
る。
【0016】このように請求項3に係る磁気プリンタに
おいては、磁性体層上に非磁性保護層が設けられている
ことにより、磁性体層の耐摩擦性などの耐久性が向上す
るため、プリント可能回数が増大し、より多数枚のプリ
ントが鮮明に得られるようになる。
【0017】また、請求項4に係る磁気プリンタは、上
記請求項1〜3のいずれかに係る磁気プリンタにおい
て、磁性体層がこの磁性体層表面に平行な磁気異方性を
有することを特徴とする。
【0018】このように請求項4に係る磁気プリンタに
おいては、磁性体層がその層表面に平行な磁気異方性を
有することにより、磁性体層への磁性トナーなどの現像
材の付着力が増大するため、画像濃度が向上し、画像の
コントラストが向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施
形態に係る磁気プリンタの基本構成を示す概略図、図2
は図1の磁気プリンタのマイクロ磁気ヘッドアレイを示
す概略断面図である。
【0020】本実施形態に係る磁気プリンタにおいて
は、図1に示されるように、円形の回転ドラム11の外
周部に、多数の磁気ヘッド12が配置されたマイクロ磁
気ヘッドアレイ13が設けられており、外部に対して磁
界を印加することができるようになっている。なお、こ
の回転ドラム11の形状は円形に限定されるものではな
く、例えば円柱形や多角柱形などであってもよい。この
回転ドラム11は比較的変形が自由であることが特徴で
ある。
【0021】また、マイクロ磁気ヘッドアレイ13面を
上向きにしなければ転写ができなくなるといった転写位
置の制限をなくために、マイクロ磁気ヘッドアレイ13
上の全面に、磁性体層14が設けられている点に本実施
形態の特徴がある。即ち、この磁性体層14は、マイク
ロ磁気ヘッドアレイ13の磁気ヘッド12により磁化さ
れて、デジタルな磁気的潜像を形成すると共に、磁気ヘ
ッド12の電磁誘導コイルの電流を切っても、磁性トナ
ーの磁気的付着力を残存させる機能を有するものであ
る。
【0022】なお、ここでは、磁性体層14として、保
磁力が200〜2000Oe程度のメモリ効果を有する
ものを用いている。また、磁性体層14として、その磁
気異方性が層表面に平行な、いわゆる面内磁化膜を用い
ている。これは、磁性体層14の磁気異方性が層表面に
平行な場合と垂直な場合とでは、現像材が付着する難易
に差が生じ、平行な場合の方が現像材としての磁性トナ
ーが付着し易く、画像濃度が向上するためである。
【0023】また、図示はしないが、この磁性体層14
上に非磁性保護層が設けられ、磁性体層14表面を被覆
し保護している。これは、磁性体層14上に付着した現
像材としての磁性トナーが磁性体層14から支持体とし
ての印刷用紙に転写される際に、磁性体層14表面が摩
擦力などにより磨耗していくことから、この磁性体層1
4表面の磨耗を防止するためである。
【0024】そして、図1に示される磁気プリンタの磁
気潜像形成部Aにおいて、励磁用の電源や電気回路によ
るオン(ON)又はオフ(OFF)のスイッチングによ
り、磁性体層14にデジタルな磁気潜像を形成するよう
になっている。より詳細にいえば、励磁用の電源や電気
回路によるオン又はオフのスイッチングにより、マイク
ロ磁気ヘッドアレイ13の所望の電磁誘導コイルに励磁
電流を流し、画像信号に応じた位置の磁気ヘッド12を
励磁し、更にこの磁気ヘッド12に隣接する磁性体層1
4を磁化して、この磁性体層14にデジタルな磁気的潜
像を形成するようになっている。なお、ここで、励磁用
の電源や電気回路は図示されていないが、その設置位置
は回転ドラム11の内部であっても外部であっても構わ
ない。
【0025】また、図1に示される磁気プリンタの現像
部Bにおいては、現像材として例えば磁性トナー15を
収納した現像装置16が設置されており、デジタルな磁
気的潜像を形成している磁性体層14の磁化された部位
上のみに磁性トナー15を付着して、画像を現像するよ
うになっている。このため、ここ現像部Bにおいて磁性
体層14に磁性トナー15が付着した後の回転ドラム1
1上の磁性体層14表面を見ると、プリントしたい原画
の画像が形成されている。
【0026】また、図1に示される磁気プリンタの転写
部Cにおいては、転写用の加圧ロール17を用いて、磁
性トナー15の付着によって磁性体層14に現像された
画像を支持体としての例えば通常の印刷用紙18上に転
写するようになっている。より詳細にいえば、転写用の
加圧ロール17を用いて、磁性トナー15の付着によっ
て画像が現像されている回転ドラム11上の磁性体層1
4表面に印刷用紙18を押し付け、磁気ヘッド12の磁
界を切って、磁性トナー15によって描かれた画像を印
刷用紙18上に転写するようになっている。
【0027】なお、ここでは支持体として通常の印刷用
紙18を用いたが、一般的にも紙を用いる場合が最も多
い。但し、紙といっても、例えば表面に光沢性のコーテ
ィングが施されているようなものを含めて、各種の紙が
ある。また、紙以外にも、各種のプラスチックフィルム
や、金属製又はセラミックス製のフィルムなども使用可
能である。
【0028】また、図1に示される磁気プリンタの定着
部Dにおいては、内部にヒータを配設した定着用の加熱
ロール19を用いて、磁性トナー15によって描かれた
画像を印刷用紙18を加熱し、更にその磁性トナー15
を印刷用紙18上に定着するようになっている。更に、
画像を形成している磁性トナー15が転写され、定着さ
れた印刷用紙18が図中の矢印方向に通過するように、
搬送用の加圧ロール20が設置されている。
【0029】以上のように、図1に示される磁気プリン
タは、磁気潜像形成部A、現像部B、転写部C、及び定
着部Dの4つの基本部分からなっている。従って、図1
に示される磁気プリンタを用いて画像形成を行う場合の
基本的なプロセスは、次のようになる。
【0030】先ず、その磁気潜像形成部Aにおいて、励
磁用の電源や電気回路によるオン又はオフのスイッチン
グにより、マイクロ磁気ヘッドアレイ13の所望の電磁
誘導コイルに励磁電流を流し、画像信号に応じた位置の
磁気ヘッド12を励磁し、更に磁気ヘッド12に隣接す
る磁性体層14を磁化して、この磁性体層14にデジタ
ルな磁気的潜像を形成する。
【0031】そしてこのとき、この磁性体層14にデジ
タルな磁気的潜像を形成する点が、従来のようにマイク
ロ磁気ヘッド12などを用いて一度円筒状の回転ロール
に磁気潜像を形成していた場合と大きく異なっている。
【0032】続いて、現像部Bにおいて、デジタルな磁
気的潜像を形成している磁性体層14の磁化された部位
上のみに磁性トナー15を付着して、画像を現像する。
そしてこのとき、磁性トナー15は、従来の場合には磁
気ヘッド12により発生した磁界によって付着している
だけであったものが、本実施形態においては、磁性体層
14の残留磁化によって付着しているために、各磁気ヘ
ッド12への電気信号を切断しても、磁性トナー15が
磁性体層14から剥離して画像が消失することはない。
即ち、マイクロ磁気ヘッドアレイ13表面が下向きにな
り、磁性体層14に形成された画像が下向きになって
も、画像への影響はない。
【0033】続いて、転写部Cにおいて、磁性トナー1
5の付着によって画像が現像された回転ドラム11上の
磁性体層14表面に印刷用紙18を押し付け、磁性トナ
ー15の描く画像を磁性体層14表面から印刷用紙18
上に転写する。そして、この現像された画像を印刷用紙
18上に転写する際には、マイクロ磁気ヘッドアレイ1
3への通電を切ることは勿論であるが、磁性体層14表
面の磁性トナー15を印刷用紙18側に引きつけるため
に、印刷用紙18側から磁気ヘッド12とは逆の磁界を
印加することが好ましい。
【0034】続いて、定着部Dにおいて、内部にヒータ
を配設した加熱ロール19を用い、磁性トナー15の描
く画像を磁性体層14表面から転写した印刷用紙18を
加熱して、その磁性トナー15の描く画像を印刷用紙1
8上に定着する。
【0035】以上のように、円筒状のマイクロ磁気ヘッ
ドアレイ13表面に磁性体層14が設けられた磁気プリ
ンタを用いて基本的な画像プロセスにより画像を形成し
た場合には、127dpi以上の、例えば1200dp
i程度までの高分解能化が可能である。また、マイクロ
磁気ヘッドアレイ13を用いているため、画像形成は電
気的な操作だけで可能であり、従って従来のような数個
の磁気ヘッドを重ねて作製したマルチヘッド等を用いる
場合よりも大幅に高速の画像形成が可能になる。
【0036】また、従来のインクジェットプリンタのよ
うに、ヘッド部の移動部分がないことは、高速度である
だけでなく、騒音がなくなることや、装置の耐久性が向
上し安定稼働性が向上するなどの効果が得られる。ま
た、従来のレーザプリンタのような光学系が不要なるこ
とも、装置の小型化、安定性の向上に寄与するという効
果が得られる。
【0037】また、磁性体層14表面が非磁性保護層に
よって被覆されていることにより、磁性トナー15が磁
性体層14から印刷用紙18に転写される際の摩擦力な
どによる磁性体層14表面の磨耗が防止されることか
ら、磁性体層14表面の耐摩擦性などの耐久性が向上す
るため、プリント可能回数が大幅に増大し、より多数枚
のプリントが鮮明に得られるようになる。
【0038】また、磁性体層14は、その磁気異方性が
層表面に平行な面内磁化膜が用いられていることによ
り、磁性体層14の磁気異方性が層表面に垂直な場合と
比較すると、磁性トナー15が付着し易くなり、画像濃
度が向上する。
【0039】なお、図1に示される磁気プリンタを用い
た画像形成プロセスにおいて、画像転写を行った後、磁
性体層14表面を被覆している非磁性保護層(図示せ
ず)表面をクリーニングすることが好ましい。これは、
画像転写後において僅かに現像材が非磁性保護層表面に
残存するからである。具体的なクリーニング法として
は、通常のクリーニング部材を用いて、非磁性保護層表
面を拭き取ればよい。
【0040】次に、図1に示される磁気プリンタを用い
て、カラー画像を作製する場合について説明する。上記
の説明における現像材としての磁性トナー15を黒色
(磁性体)とすると、この黒色トナー15を用いる画像
作製プロセスと同様な画像作製プロセスを実施する仕組
みを更に3種類作製する。即ち、Y(イエロー)、M
(マゼンダ)、C(シアン)用であり、各々の現像材は
カラートナー1磁性体からなるキャリアとで作製され
る。そして、各色に対する4回の画像形成工程を繰り返
すことにより、カラー画像を得る。
【0041】なお、これは、各ドットにカラー現像材を
追加して重ねることによりカラー画像を形成する方法で
あるが、この方法以外にも、例えば4つのドットで1画
素を形成するようにし、4回の画像は別々のドットで形
成して、鮮明なカラー画像を実現するという方法も可能
である。また、同様に複数個の磁気ヘッド12によって
作製されたドットを組み合わせて、画像の階調性を得る
方法も、従来通り可能である。
【0042】また、上記実施形態に係る磁気プリンタに
おいては、マイクロ磁気ヘッドアレイ13上の全面に磁
性体層14が設けられているが、この代わりに、マイク
ロ磁気ヘッドアレイ13の各磁気ヘッド12コア上のみ
に磁性体層14が設けられていてもよい。
【0043】この場合も、各磁気ヘッド12コア上の磁
性体層14が磁気ヘッド12によって磁化され、デジタ
ルな磁気的潜像を形成すると共に、磁気ヘッド12の電
磁誘導コイルの電流を切っても、磁気ヘッド12コア上
の磁性体層14には磁性トナー15の磁気的付着力が残
存するため、マイクロ磁気ヘッドアレイ13面を上向き
にしなければ転写ができなくなるといった転写位置の制
限をなくすことが可能になる。そして、この効果に加え
て、磁性体層14が各磁気ヘッド12コア上のみに設け
られていることにより、磁界の発散を減少することが可
能になるため、画像ボケを防止することができる。
【0044】なお、マイクロ磁気ヘッドアレイ13の各
磁気ヘッド12コア上のみに磁性体層14を形成する際
には、マイクロ磁気ヘッドアレイ13上の全面に磁性体
層14を形成した後、この磁性体層14を一般的な化学
的、物理的エッチング等の各種のエッチング方法を用い
て選択的に除去して、所望のパターン形成を行えばよ
い。その際に、例えばフォトリソグラフィ技術を用いれ
ば、残存させるべき磁性体層14のパターン形状を任意
に且つ明瞭に形成することが可能である。
【0045】次に、図1に示される磁気プリンタの各構
成要素について説明する。先ず、マイクロ磁気ヘッドア
レイ13について、図2を用いて説明する。図2に示さ
れるように、マイクロ磁気ヘッドアレイ13において
は、例えばプラスチックフィルムを用いた支持体21上
に、複数個の磁気ヘッド12が2次元的に配置されてい
る。そして、これらの磁気ヘッド12は、外形が200
μm以下の電磁誘導コイル22と、その電磁誘導コイル
22の中心に配された高透磁率磁芯(コア)24とから
構成されている。そして、この高透磁率磁芯23を取り
巻いている電磁誘導コイル22は、スパイラル状に4タ
ーンする高さ10μm、幅5μmのCu(銅)配線24
が2段階に積層されて形成されている。
【0046】また、支持体21上全面には、Pt(白
金)膜25を介して、高透磁率膜26が設けられてお
り、この高透磁率膜26に全ての磁気ヘッド12の高透
磁率磁芯23が接続されている。また、高透磁率膜26
上には、ポリイミド膜27が堆積され、高透磁率磁芯2
3の周囲を埋め尽くしており、電磁誘導コイル22もこ
のポリイミド膜27内に埋設された状態となっている。
【0047】更に、このポリイミド膜27表面は平坦化
され、その上面には絶縁保護膜(図示せず)が形成され
ている。この絶縁保護膜は、マイクロ磁気ヘッドアレイ
13の使用方法の如何を問わず、電気的な絶縁性を確保
するためのものである。但し、磁気ヘッド12からの距
離の2乗に比例して磁界強度は低下するため、この絶縁
保護膜の膜厚は2μm以下であることが好ましい。
【0048】以上のようにマイクロ磁気ヘッドアレイ1
3においては、複数個の磁気ヘッド12が2次元的に配
置されていることから、画像表示部位と記録用磁気ヘッ
ドアレイ13を相互に移動することなく、マイクロ磁気
ヘッドアレイ13の磁気ヘッド12の電磁誘導コイル2
2に励磁電流を逐次スイッチングして時系列的に流すよ
うにして、各磁気ヘッド12コア上の磁性体層14を磁
気ヘッド12によって磁化し、デジタルな磁気的潜像を
形成することが可能になる。
【0049】なお、各ライン上の磁気ヘッド12は、中
心位置が直線上からずれ、いわゆる千鳥状に2次元的に
配設されてもよい。これは、磁気ヘッド12をより高密
度に配列して、高解像度の画像を形成するためである。
また、磁気ヘッド12の電磁誘導コイル22の外形を2
00μm以下とした理由は、本実施形態に係る磁気プリ
ンタが高解像度画像形成用であって、127DPI(ド
ットピッチは200μm)以上の画像分解能を得るため
である。
【0050】また、電磁誘導コイル22を形成する導線
としては、電気抵抗値の点からは一般的にCu配線24
が好ましいが、導電性材料としてはこのCu以外にも、
例えばAu(金)、Ag(銀)、Al(アルミニウ
ム)、Ptなどその他の導電性材料を用いてもよい。ま
た、電磁誘導コイル22を形成するCu配線24の製造
方法としては、大別して、フォトリソグラフィ法、電気
メッキ法が用いられる。また、Cu配線24のパターン
形成用マスクには、各種レーザー光や軟X線、紫外線な
どが用いられる。
【0051】また、Cu配線24の加工においては、導
線の断面積(線幅、線高さ)がより大きいことが、電気
抵抗を低下させる点から重要であるが、解像度の点から
は電磁誘導コイル22間のピッチに制限があるため、導
線間の絶縁層体積がより少ない方法が選ばれる。ここで
は、電磁誘導コイル22を形成するCu配線24の高さ
を5μm以上とすることにより、電気抵抗を下げて、発
熱や断線を防止している。
【0052】また、マイクロ磁気ヘッドアレイ13は大
きい面積で作製することが許されないため、電磁誘導コ
イル22を形成するCu配線24の線幅も細く作製せね
ばならないが、これも作製技術的な理由と共に、低電気
抵抗が必要な点から限界がある。そして、図示するよう
に、Cu配線24を2段階に積層して形成しているの
は、この課題を解決するためである。
【0053】即ち、磁気ヘッド12に発生する磁界強度
は、[電磁誘導コイルの巻き数×電流値]の大きさに依
存するために、電磁誘導コイル22を形成するCu配線
24を数段階に積層して形成することにより、比較的低
電流で、大きな磁界強度を得ることが可能となってい
る。
【0054】また、高透磁率磁芯23は、磁界発生効率
を向上させるために、図示されているように、その形状
を単純な棒状から変形させている。即ち、電磁誘導コイ
ル22の中心に配された高透磁率磁芯23のコア外径
が、電磁誘導コイル22上端面の上部で電磁誘導コイル
22内部寸法より縮小して、磁束密度を高めることが好
ましい。これは、磁束を集中させることにより、できる
限り磁束の発散を抑えて、強い磁界強度を透明磁性層1
3に印加するためである。なお、高透磁率磁芯23の断
面形状は角形、円柱などを問わない。
【0055】また、高透磁率磁芯23の材料としては、
従来から多用されている純鉄、珪素鋼、鉄やニッケル及
びコバルトとの各種合金(Fe−Si−B系、Co−F
e−Si−B系)などの軟磁性材料が用いられる。特に
本実施形態においては、これら鉄とニッケルで構成され
るパーマロイが好適に用いられる。また、高透磁率磁芯
23の透磁率は、1000以上もしくは10000以上
が好ましい。
【0056】また、上述したように、マイクロ磁気ヘッ
ドアレイ13は、一斉に励磁する方法はとらず、逐次ス
イッチングして複数個の磁気ヘッド12の電磁誘導コイ
ル22に時系列的に1つずつ順番に励磁電流を流して磁
気ヘッド12を駆動することを基本的な使用法とするた
め、支持体21上全面に設けられた高透磁率膜26を共
通化し、この高透磁率膜26を介して全ての磁気ヘッド
12の高透磁率磁芯23が互いに接続されている。
【0057】このように全ての電磁誘導コイル22の下
側の高透磁率膜26が共通化されるため、電磁誘導コイ
ル22の利用効率が向上するだけでなく、マイクロ磁気
ヘッドアレイ13の製作が大幅に容易となる効果があ
る。また、電磁誘導コイル22に発生する熱を放熱する
効果も有する。
【0058】また、磁気ヘッド12を配置する支持体2
1として、シリコンウェーハやガラスなどの固くて変形
し難い材料を用いるのではなく、比較的大きな変形が可
能なプラスチックフィルムを用いているのは、特にマイ
クロ磁気ヘッドアレイ13に柔軟性を付与するためであ
る。また、プラスチックフィルムは非磁性であり、絶縁
体であり、更に軽量であって割れ難いという点も支持体
としては好ましい。
【0059】また、プラスチックフィルムとしては例え
ばポリイミドフィルムがあるが、このポリイミドフィル
ムは、透明性は劣るものの耐熱性が高いという性質があ
る。更に、支持体21の他の材料としては、例えばMM
A、PMMA、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリプ
ロピレン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアリ
レート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エ
ポキシ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素化
ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフ
ィン系樹脂、ナイロン樹脂などが用いられる。何れの場
合も、支持体21の厚さは、取り扱い上の柔軟性を保持
するために、20〜200μmであることが好適であ
る。
【0060】また、絶縁保護膜の材料としては、次のよ
うなものがある。例えばSnS、SiO2 、Ta
2 5 、ITO、ZrC、TiC、MgF2 、Al2
3 、MgO、BeO、ZrO2 、Y2 3 、C(炭
素)、DLC(ダイヤモンドライク カーボン)などの
無機物やそれらの混合物が利用できる。また、有機樹脂
からなる絶縁保護膜としては、重合性モノマー及びオリ
ゴマーを主成分とする光硬化性樹脂組成物や熱光硬化性
樹脂組成物を用いることが可能である。
【0061】また、マイクロ磁気ヘッドアレイ13の電
気的な駆動法は、FETなどを用いてスイッチングによ
って単独又は複数個の磁気ヘッド12に励磁電流を順次
供給してなされる方法が任意に用いられる。更に、高速
度に画像形成したい場合は、複数の磁気ヘッド12の数
個ずつに同時に励起電流を流す方法も、電源が大きくな
るが可能である。
【0062】なお、上記のマイクロ磁気ヘッドアレイ1
3においては、全ての電磁誘導コイル22の下側の高透
磁率膜26が共通化されているが、2次元的に配置され
ている複数個の磁気ヘッド12を複数のグループに区分
し、この磁気ヘッド12のグループ区分に対応して、各
グループの高透磁率磁芯23に接続する高透磁率膜26
を各グループ毎に分離してもよい。即ち、同一グループ
内の電磁誘導コイル22の下側には共通の高透磁率膜2
6を設けるが、隣接する他のグループ内の電磁誘導コイ
ル22の下側の共通の高透磁率膜26とは、所定の間隔
をおいて分離してもよい。
【0063】この場合、上記説明したマイクロ磁気ヘッ
ドアレイ13の基本的な使用法と異なり、複数個の磁気
ヘッド12の電磁誘導コイル22に時系列的に1つずつ
順番に励磁電流を流して磁気ヘッド12を駆動するので
はなく、同一グループ内の複数個の磁気ヘッド12の電
磁誘導コイル22に励起電流を同時に流して、これら同
一グループ内の磁気ヘッド12を同時に駆動する。この
ため、磁気ヘッド12の磁気的性能を低下させることな
く、画像形成が高速化される。なお、同一グループ内の
磁気ヘッド12の個数は、例えば3個ずつ、或いは5個
ずつ等、適宜選択すればよいが、電流値を小さくする観
点からは10個以下であることが好ましい。
【0064】次いで、図1に示される磁気プリンタの磁
性体層14について説明する。この磁性体層14の材料
としては、一般的な磁性材料を用いることが可能であ
る。例えばFe3 4 、Fe2 3 、コバルトフェライ
ト、Baフェライトなどの酸化物、FeBO3 、FeF
3 、YFeO3 、Y3 Fe5 O、NdFeO3 、MnB
i、MnCuBi、MnSb、PtCo、TeFe、G
dFe、TbDyFe、GdTbFe等がある。また、
Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)など
の強磁性体及びその合金の超微粒子を、非磁性マトリッ
クス中に分散した磁性膜も利用可能である。そして、こ
れらの磁性材料からなる磁性体層14の厚みは、500
nm〜20μmの範囲で選択される。また、これらの磁
性材料は、一般的なスパッタ、真空蒸着、MBEなどの
PVD法やCVD法、メッキ法等によって形成される。
【0065】また、磁性体層14を被覆する非磁性保護
層の材料としては、次のようなものがある。例えばSn
S、SiO2 、Ta2 5 、ITO、ZrC、TiC、
MgF2 、Al2 3 、MgO、BeO、ZrO2 、Y
2 3 、C、DLCなどの無機物やそれらの混合物が利
用できる。また、有機樹脂からなる非磁性保護層として
は、重合性モノマー及びオリゴマーを主成分とする光硬
化性樹脂組成物や熱光硬化性樹脂組成物を用いることが
可能である。
【0066】次いで、図1に示される磁気プリンタに使
用される現像材について説明する。一般に、高速、高分
解能の磁気プリンタに用いられる現像材は、2成分現像
材といわれる。即ち、トナーとキャリアから構成され
る。そして、トナーはキャリアとの接触によりマイナス
帯電してキャリアの表面に付着する。
【0067】ここでは、磁性体であるキャリアと色を出
すためのトナーの混合物の平均粒子径は10μm以下が
好ましい。それは、平均粒子径が10μmよりも大きく
なると、高分解能画像において画像がぼけて、鮮明な画
像が得られ難くなるからである。なお、キャリアとして
は、一般的には強磁性体であるフェライト粒子が用いら
れる。そして、その表面には樹脂がコーティングされ
る。また、トナーとしては、定着のための樹脂と着色
剤、帯電制御材などで構成される。
【0068】次いで、図1に示される磁気プリンタを使
用する際の定着方法について説明する。一般に、画像形
成後の現像材を支持体に固定する定着方法には、熱ロー
ル定着法、オーブン定着法、閃光定着法、圧力定着法な
どがあるが、画像形成後の定着工程においては、圧力又
は熱を用いることが好ましい。
【0069】圧力を用いる方法は、加圧ロール間を通過
させるだけでよいため、比較的装置が小型化できるとい
う特徴がある。この場合、現像材には、圧力によって支
持体への付着力を増すように粘着材を混入しておく。
【0070】また、加熱によって定着する場合は、図1
に示されるように、内部にヒータを配設した加熱ロール
19を用いて、支持体としての印刷用紙18を搬送しつ
つ、その印刷用紙18の表面が例えば温度150℃程度
に加熱されるようにすればよい。この場合の現像材とし
ての磁性トナー15には、熱によって溶融して印刷用紙
18への付着力を増加させるものとして例えばワックス
が混合される。
【0071】
【実施例】以下に実施例によって詳しく説明する。 (第1の実施例)本実施例は、上記請求項1、3、及び
4に対応する実施例である。
【0072】先ず最初に、マイクロ磁気ヘッドアレイ1
3を作製した。即ち、図2に示されるマイクロ磁気ヘッ
ドアレイ13の支持体21として、50μm厚のポリイ
ミド基板を用い、このポリイミド基板上に、スパッタ法
により5nm厚のPt膜25を形成した。そして、この
Pt膜25上に、メッキ法により60μm厚のパーマロ
イ(Ni:Fe=80:20)膜を形成した。
【0073】続いて、エッチング法によりパーマロイ膜
を選択的にエッチング除去して、支持体21上全面に高
透磁率膜26として厚さ20μmのパーマロイ膜を残存
させると共に、高透磁率磁芯23としてピッチ180μ
mの間隔で2次元的に配列された径60μm、高さ40
μmの丸棒状のパーマロイコアを形成した。このとき、
丸棒状のパーマロイコアの外径が、その上端部で相対的
に縮小して、細くなるようにした。
【0074】続いて、高透磁率膜26としてのパーマロ
イ膜上及び高透磁率磁芯23としてのパーマロイコア上
に、ポリイミド膜27を堆積し、このポリイミド膜27
によって2次元的に配列されたパーマロイコア間を埋め
込んだ。そして、このポリイミド膜27をパターニング
して、スパイラル状のポリイミドの壁を作製した。
【0075】続いて、無電界Cuメッキ法を用いて、こ
のスパイラル状のポリイミドの壁間に、高さ10μm、
幅5μmのCu配線24を4ターンに形成した。そし
て、こうしたCu配線24上に更にポリイミド層を形成
した後、Cu配線24と次に形成する上方のCu配線2
4を接続するためのコンタクトホール(図示せず)を形
成した。
【0076】続いて、再び無電界Cuメッキ法を用い
て、同様な構造のもう一層のCu配線24をポリイミド
層上に形成すると共に、この上方のCu配線24をコン
タクトホールを介して下方のCu配線24と接続した。
【0077】こうして、4ターンに形成されたCu配線
24が2段に積層されている電磁誘導コイル22と、そ
の電磁誘導コイル22の中心に配された高透磁率磁芯2
3としてのパーマロイコアとから構成される磁気ヘッド
12を形成した。そして、このときに形成した磁気ヘッ
ド12の電磁誘導コイル22の並べ方は次のようにし
た。
【0078】先ず、100個の電磁誘導コイル22の中
心、即ち高透磁率磁芯23としてのパーマロイコアの中
心軸が直線上に並ぶようにして、まず第一のコイル列と
し、第二の100個のコイル列との間隔、即ち各電磁誘
導コイル22の中心と中心との間隔が180μmとなる
ようにした。続いて、第一列のコイル中心の中間点に第
二コイル列の中心が並ぶようにして2列を配した。その
後、更に、各電磁誘導コイル22への導線端はイン(I
N)とアウト(OUT)に分離して集中させ、FETを
用いたスイッチを設けた。
【0079】続いて、基体全面にポリイミド膜27を堆
積して、マイクロ磁気ヘッドアレイ13の表面層を平坦
にした。このようして形成したマイクロ磁気ヘッドアレ
イ13のパーマロイコアの先端の磁界強度は、200m
Aの通電時において約1000ガウスであった。
【0080】次いで、このマイクロ磁気ヘッドアレイ1
3表面の平坦なポリイミド膜27上に、スパッタ法を用
いて、磁性体層14として1μm厚を有するTbCo膜
を作製した。なお、このTbCo膜は、その磁気異方性
が膜表面に平行になる面内磁化膜となるように、即ち面
内磁気異方性を誘起するように、磁石を用いて作製し
た。
【0081】次いで、磁性体層14としてのTbCo膜
上に、非磁性保護層としてのDLC層(図示せず)を5
μmの厚みになるよう作製した。こうして、マイクロ磁
気ヘッドアレイ13上に、表面が非磁性保護層としての
DLC層によって被覆されている磁性体層14としての
TbCo膜を形成した。
【0082】そして、このような表面に磁性体層14と
してのTbCo膜が形成されているマイクロ磁気ヘッド
アレイ13の端面と端面を隙間なく、円筒状になるよう
につなぎ合わせて、図1に示されるように、円形の回転
ドラム11の外周部に円筒状のマイクロ磁気ヘッドアレ
イ13をベルト状に形成した。なお、図示はしないが、
磁気プリンタの磁気潜像形成部Aにおいて、マイクロ磁
気ヘッドアレイ13の磁気ヘッド12を駆動する駆動用
の電気回路や電源は、回転ドラム11の内部に設置し
た。
【0083】次いで、図1に示されるように、磁気プリ
ンタの現像部Bには、現像材として市販の黒の磁性トナ
ー15を収納した現像装置16を設置した。なお、この
磁性トナー15の粒子径は7μmとした。また、磁性体
層14に現像された画像を転写する支持体としては、図
1に示されるように、通常の印刷用紙18を用いた。
【0084】また、図1に示される場合とは異なり、磁
気プリンタの転写部Cを回転ドラム11の真下に配置
し、この転写部Cに、磁性体層14との間に印刷用紙1
8を挟んでロールを設置し、このロール内には現像材を
引きつけるための永久磁石を設けた。また、印刷用紙1
8がこの転写部Cを通過する際には、全磁気ヘッド12
の励磁用電流が切れるように電気回路を設置した。
【0085】また、磁気プリンタの定着部Dには、図1
に示されるように、磁性トナー15を印刷用紙18上に
定着するための加熱ロール19を設置した。そして、更
に、画像を形成している磁性トナー15が転写され、定
着された印刷用紙18が図1中の矢印方向に通過するよ
うに、加圧ロール20を設置した。
【0086】そして、上記のようにして作製した磁気プ
リンタ、即ち円筒状のマイクロ磁気ヘッドアレイ13の
表面に磁性体層14としてのTbCo膜が設けられ、更
にこのTbCo膜表面を被覆する非磁性保護層としての
DLC層が設けられている磁気プリンタを操作して、画
像形成を行った。
【0087】先ず、回転ドラム11を回転させながら、
マイクロ磁気ヘッド12に磁気的潜像を形成するため
に、マイクロ磁気ヘッドアレイ13の各電磁誘導コイル
に1個ずつ通電を行い、第一列の通電が終わったところ
で、印刷用紙18の移動に合わせて、第二列に通電し
た。こうして、磁気潜像形成部Aにおいて、画像信号に
応じた位置の磁気ヘッド12を励磁し、更に磁気ヘッド
12に隣接する磁性体層14を磁化して、この磁性体層
14にデジタルな磁気的潜像を形成した。そして、この
とき、各磁気ヘッド12への通電の切り替えは、1個当
たり5μ秒以内であり、全磁気ヘッド12に同時に通電
しなくても高速度で画像を形成することができた。
【0088】次いで、回転ドラム11を移動させなが
ら、現像部Bにおいて、磁性体層14に形成されている
磁気的潜像を可視化するために現像を行った。続いて、
加圧ローラを通して、この磁性体層14に現像された画
像を、マイクロ磁気ヘッドアレイ13と同期して移動す
る印刷用紙18上に転写した。更に続いて、定着用の加
熱ローラを通して、印刷用紙18上に画像の定着を行っ
た。
【0089】以上のように、円筒状のマイクロ磁気ヘッ
ドアレイ13の表面に磁性体層14としてのTbCo膜
が設けられ、更にこのTbCo膜表面を被覆する非磁性
保護層としてのDLC層が設けられている磁気プリンタ
を操作して、画像形成を行った結果、鮮明な画像が高速
度で得られた。
【0090】また、図1に示される場合とは異なり、転
写部Cを回転ドラム11の真下に配置したが、各コア部
位に対応する磁性体層14に付着された現像材としての
磁性トナー15が磁性体層14から脱離して落下するこ
となく、磁気ヘッド12を励磁した状態に保持し続けた
た場合や、マイクロ磁気ヘッドアレイ13面を上向きに
した場合と同様の鮮明画像が得られた。
【0091】(第2の実施例)本実施例は、上記請求項
2、3、及び4に対応する実施例である。具体的には、
上記第1の実施例においてマイクロ磁気ヘッドアレイ1
3の平坦な表面上に磁性体層14としてのTbCo膜を
形成した後、このTbCo膜をフォトリソグラフィ法を
用いて選択的にエッチング除去して、磁性体層14とし
てのTbCo膜がマイクロ磁気ヘッドアレイ13の2次
元的に配列された磁気ヘッド12のコアの直上のみに設
けられるようにした。そして、この点以外は、上記第1
の実施例と全く同様にして磁気プリンタを作製した。
【0092】そして、このマイクロ磁気ヘッドアレイ1
3の各磁気ヘッド12のコアの直上のみに磁性体層14
が設けられている磁気プリンタを操作して、画像形成を
行った。その結果、本実施例においては、上記第1の実
施例の場合と同様に、鮮明な画像を高速度で得られた。
更に、各ドットは上記第1の実施例の場合よりも濃度が
均一であった。
【0093】また、上記第1の実施例の場合と同様に、
転写部Cを回転ドラム11の真下に配置しても、各コア
部位に対応する磁性体層14に付着された現像材として
の磁性トナー15が磁性体層14から脱離して落下する
ことなく、磁気ヘッド12を励磁した状態に保持し続け
たた場合や、マイクロ磁気ヘッドアレイ13面を上向き
にした場合と同様の鮮明画像が得られた。
【0094】(第1の比較例)本第1の比較例は、上記
第1の実施例においてマイクロ磁気ヘッドアレイ13の
平坦な表面上に磁性体層14としてのTbCo膜を形成
する工程を削除したものである。そして、この点以外
は、上記第1の実施例と全く同様にして磁気プリンタを
作製した。
【0095】そして、このマイクロ磁気ヘッドアレイ1
3の表面に磁性体層14が設けられていない磁気プリン
タを操作して、画像形成を行った。その結果、転写部C
を回転ドラム11の真下に配置した場合には、各コア部
位に付着された現像材としての磁性トナー15が脱離し
て落下し、画像が得られなかった。また、転写部Cを回
転ドラム11の真上に配置した場合には、画像は得られ
るものの、マイクロ磁気ヘッドアレイ13への通電時間
が長くなり、消費電力が増大した。
【0096】(第2の比較例)本第2の比較例は、上記
第1の実施例において磁性体層14としてのTbCo膜
表面を被覆する非磁性保護層としてのDLC層を形成す
る工程を削除したものである。そして、この点以外は、
上記第1の実施例と全く同様にして磁気プリンタを作製
した。
【0097】そして、この磁性体層14としてのTbC
o膜が非磁性保護層によって被覆されていない磁気プリ
ンタを操作して、画像形成を行った。その結果、マイク
ロ磁気ヘッドアレイ13の磁気ヘッド12への励磁電流
を多少減少させて制御することにより、上記第1の実施
例の場合と略同様の画像が得られたものの、回転ドラム
11の最上層の磁性体層14としてのTbCo膜が破損
し易くなり、画像形成を10数回程度繰り返すと、鮮明
な画像が得られなくなった。
【0098】(第3の比較例)上記第1の実施例におい
ては、磁性体層14としてのTbCo膜の磁気異方性が
膜表面に平行になる面内磁化膜となるように、即ち面内
磁気異方性を誘起するようにしているが、本第3の比較
例は、このTbCo膜の磁気異方性を変更して、磁界が
膜表面に垂直になる垂直磁気異方性を有するようにした
ものである。そして、この点以外は、上記第1の実施例
と全く同様にして磁気プリンタを作製した。
【0099】そして、この磁性体層14としてのTbC
o膜が垂直磁気異方性を有する磁気プリンタを操作し
て、画像形成を行った。その結果、磁性体層14として
のTbCo膜への現像材の付着量は少なくなり、このた
めに画像濃度が上記第1の実施例の場合よりも低くな
り、画像は不鮮明になった。
【0100】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る磁気プリンタによれば、以下のような効果を奏するこ
とができる。即ち、請求項1に係る磁気プリンタによれ
ば、マイクロ磁気ヘッドアレイ上に磁性体層が設けられ
ていることにより、マイクロ磁気ヘッドアレイに通電し
て磁性体層に磁気潜像を形成するプロセスが実現される
ことから、マイクロ磁気ヘッドアレイへの通電時間を短
縮することが可能になるため、高速での画像形成を達成
することができると共に、磁気ヘッドの励磁を停止して
も磁性体層の残留磁気によって現像材を保持することが
可能になるため、マイクロ磁気ヘッドアレイ面を上向き
にしなければ転写ができなくなるといった転写位置の制
限がなくなり、設計上の自由度を向上させることができ
る。
【0101】また、請求項2に係る磁気プリンタによれ
ば、磁性体層がマイクロ磁気ヘッドアレイのコアの直上
のみに設けられていることにより、磁界発散による画像
のボケを減少することが可能になるため、より鮮明な高
分解能の画像をプリントすることができる。
【0102】また、請求項3に係る磁気プリンタによれ
ば、磁性体層上に非磁性保護層が設けられていることに
より、磁性体層の耐摩擦性などの耐久性を向上させるこ
とが可能になるため、プリント可能回数を増大し、より
多数枚のプリントを鮮明に得ることができる。
【0103】また、請求項4に係る磁気プリンタによれ
ば、磁性体層がその層表面に平行な磁気異方性を有する
ことにより、磁性体層への磁性トナーなどの現像材の付
着力が増大するため、画像濃度を向上させ、画像のコン
トラストを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る磁気プリンタの基本
構成を示す概略図である。
【図2】図1の磁気プリンタのマイクロ磁気ヘッドアレ
イを示す概略断面図である。
【符号の説明】
11 回転ドラム 12 磁気ヘッド 13 マイクロ磁気ヘッドアレイ 14 磁性体層 15 磁性トナー 16 現像装置 17 転写用の加圧ロール 18 印刷用紙 19 定着用の加熱ロール 20 搬送用の加圧ロール 21 支持体 22 電磁誘導コイル 23 高透磁率磁芯 24 Cu配線 25 Pt膜 26 高透磁率層 27 ポリイミド層 A 磁気潜像形成部 B 現像部 C 転写部 D 定着部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ磁気ヘッドアレイに通電して、
    前記マイクロ磁気ヘッドアレイ上に設けられた磁性体層
    に磁気潜像を形成する磁気潜像形成部と、 前記磁気潜像形成部において前記磁性体層に形成された
    磁気潜像を現像材を用いて現像する現像部と、 前記現像部において前記磁性体層に現像された画像を支
    持体上に転写する転写部と、 を有することを特徴とする磁気プリンタ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気プリンタにおい
    て、 前記磁性体層が、前記マイクロ磁気ヘッドアレイのコア
    の直上のみに設けられていることを特徴とする磁気プリ
    ンタ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の磁気プリンタに
    おいて、 前記磁性体層上に、非磁性保護層が設けられていること
    を特徴とする磁気プリンタ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気
    プリンタにおいて、 前記磁性体層が、前記磁性体層表面に平行な磁気異方性
    を有することを特徴とする磁気プリンタ。
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Cited By (2)

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WO2004073989A1 (ja) * 2003-02-18 2004-09-02 Toshihiro Fukumoto 磁気カラー印刷コピー機
JP2008037021A (ja) * 2006-08-08 2008-02-21 Ricoh Co Ltd マイクロ磁気ヘッドアレイ、及びそのマイクロ磁気ヘッドアレイの作成方法、並びにそのマイクロ磁気ヘッドアレイを備える記録画像形成装置

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