JP2001306060A - 楽 器 - Google Patents

楽 器

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JP2001306060A
JP2001306060A JP2000121623A JP2000121623A JP2001306060A JP 2001306060 A JP2001306060 A JP 2001306060A JP 2000121623 A JP2000121623 A JP 2000121623A JP 2000121623 A JP2000121623 A JP 2000121623A JP 2001306060 A JP2001306060 A JP 2001306060A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 水の滴り落ちる音を利用することにより、共
鳴音と気泡音とが入り交じった独特な音を発することが
できる楽器を得る。 【解決手段】 鉛直方向を長手方向にして設置した複数
の共鳴管2と、各共鳴管2の気柱の共鳴周波数が音階を
形成するように各共鳴管2に貯めた液体3と、各共鳴管
2の液体3に液体4を垂らすことができる垂液装置5と
を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共鳴管を利用した
楽器に関する。更に詳述すると、本発明は気柱共振の共
鳴音を発生させる方法を改良した楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】気柱共振による共鳴音を利用した楽器と
して、例えばパイプオルガンが知られている。パイプオ
ルガンでは、複数の共鳴管を用意して共鳴音が音階とな
るように気柱長さを設定しておく。そして、演奏時には
共鳴管に空気を送り込んで気柱共振を起こすようにして
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たパイプオルガンでは、気柱に空気を送り込んで共鳴音
を発生させているので、この共鳴音以外には音の成分が
殆ど無く、音質としては単調で心理的に訴える音色でも
ない。
【0004】また、共鳴の周波数は気柱長さによって固
有に決定されるが、共鳴管の底の高さを変更するには大
がかりな装置が必要となってしまうので、共鳴の周波数
を容易に変更することはできなかった。
【0005】そこで、本発明は、気柱共振の共鳴音を利
用しながらも従来のパイプオルガン等には無い独特な音
色を発することができると共に周波数の変更が容易にな
る楽器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項1記載の楽器は、鉛直方向を長手方向にして
設置した複数の共鳴管と、各共鳴管の気柱の共鳴周波数
が音階を形成するように各共鳴管に貯めた液体と、各共
鳴管の液体に液体を垂らすことができる垂液装置とを備
えるようにしている。ここで、本明細書中で「気柱」と
は、共鳴管内の液体の液面から共鳴管の開口端までの長
さLの部分を意味している。また、液体を垂らすとは、
重力による自然落下のみならず液体をポンプ等で加圧し
て共鳴管内に吐出することも含めた意味としている。
【0007】したがって、垂液装置により液体を垂らす
と、共鳴管の液体の液面に衝突して音が発生する。これ
は衝突によってできた気泡により発生する「ぽちゃん」
という音であり、以下「気泡音」と呼ぶ。この気泡音が
共鳴管内で気柱共振を起こして大きな共鳴音を発する。
これにより、この共鳴管から発せられる音は、図5に示
すように基礎的な周波数の音(1次モード、m1)と、
その高調波音(例えば2次モード、m2)と、気泡音と
が入り交じった複雑で独特のものになる。また、水の滴
り落ちる音は静けさや心の安らぎを感じることができる
癒しの効果を有するものであり、この楽器ではこの液体
の音を利用することでこれと同様の効果を得ることがで
きる。よって、単調な共鳴音を発するパイプオルガンと
は異なり、音を聴くだけでも心地良くなれるような楽器
を得ることができる。
【0008】また、一般に気柱共振を利用した共鳴音の
周波数は次の数式1で与えられる。
【数1】f=m・a/(4・(L+ΔL)) 但し、m=1,3,5…:モード数 a=340(m/s):音速 L:気柱長さ ΔL=0.6×(d/2) d:共鳴管の内径
【0009】すなわち、気柱長さLを変更することによ
り共鳴音の周波数fを調整することができる。このた
め、共鳴管内の液体の液位を変更すれば楽器から発せら
れる音の高さを調整できるので、パイプオルガンのよう
に共鳴管の固定された底部を移動させる必要が無く調整
作業を容易にすることができる。しかも、気柱長さLを
数値計算で容易に求めることができるので、設計が容易
である。
【0010】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の楽器において、共鳴管の液面の下方に取り付けられ
た連通管と、該連通管に取り付けられると共に液面と同
じ高さに設けられた液位堰とを備えるようにしている。
【0011】したがって、液体を垂らすことにより共鳴
管内の液体が増えると、連通管を伝わって液位堰付近の
液体が液位堰を越えて溢れ出る。これにより、共鳴管内
の液位が液体の滴下に拘わらず常に一定に維持されるの
で、気柱長さを一定に保つことができ、共鳴音の高さを
維持することができる。
【0012】さらに、請求項3記載の発明は、請求項1
または2記載の楽器において、垂液装置は、滴下する液
体を貯めるタンク部と、タンク部の液体を放出するノズ
ル部と、ノズル部を開閉するバルブ部とを備えるように
している。
【0013】ここで、ノズル部から噴出する液体の速度
vは、数式2に示すようにタンク部の高さHの平方根に
比例する。
【数2】v=c・(2・g・H)1/2 但し、v:速度(m/s) c:係数(c<1であるが1に近い) g:重力加速度(m/s) H:ノズル部とタンク部の液面との距離(m)
【0014】このため、タンク部の高さをノズル部に対
して上下することにより、ノズル部から噴出する液体の
速度を変更して落下後の気泡音の大きさを調整すること
ができる。よって、共鳴音の大きさを変更して共鳴管か
ら発せられる音の強弱を調整することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
実施形態に基づいて詳細に説明する。本実施形態の楽器
1は、図1〜図3に示すように鉛直方向を長手方向にし
て設置した複数の共鳴管2と、各共鳴管2に貯めた液体
3と、各共鳴管2の液体3に液体4を垂らすことができ
る垂液装置5とを備えている。各共鳴管2内の液体3
は、各共鳴管2の気柱の共鳴周波数が音階を形成するよ
うに気柱長さLを定めている。このため、垂液装置5に
より液体4を垂らすと、共鳴管2の液体3の液面(各図
中で符号3aはその液位を示している)に衝突して気泡
音が発生する。この気泡音が共鳴管2内で気柱共振を起
こして大きな共鳴音を発する。これにより、この共鳴管
2から発せられる音は、水の滴り落ちる音と同様のスペ
クトルを有するように成るので、静けさや心の安らぎを
感じられる癒しの効果を有する音色になる。よって、音
を聴くだけでも心地良くなれるような楽器1を得ること
ができる。そして、各共鳴管2の気柱の共鳴周波数が音
階となるように設定してあるので、液体4を垂らす共鳴
管2を旋律に合わせて次々に変えていくことによりメロ
ディーを奏でることができる。
【0016】共鳴管2はステンレス製で8本設けてい
る。これにより、各共鳴管2に半音無しの1オクターブ
分の音階を割り当てることができる。液体3,4として
は水を使用している。
【0017】また、この楽器1では、共鳴管2の液位3
aの下方に取り付けられた連通管6と、該連通管6に取
り付けられると共に液位3aと同じ高さに設けられた液
位堰7とを備えている。このため、液体4を垂らすこと
により共鳴管2内の液体3が増えると、連通管6を伝わ
って液位堰7付近の液体3が液位堰7を越えて溢れ出
る。これにより、共鳴管2内の液位が液体4の滴下に拘
わらず常に一定に維持されるので、気柱長さLを一定に
保つことができ、発生する共鳴音の高さを維持すること
ができる。
【0018】連通管6は、全ての共鳴管2の底部を連通
している。このため、全ての共鳴管2の液位3aが同じ
高さになる。本実施形態では、各共鳴管2の開口の高さ
を順に異ならせることにより気柱の長さLを段階的に異
ならせるようにしている。これにより、液位3aが同じ
高さであっても複数の共鳴管2で音階を形成することが
できるようになる。
【0019】ここで、気柱長さLを変更することにより
共鳴音の周波数fを調整することができるので、共鳴管
2内の液体3の液位3aを上下させれば楽器1から発せ
られる音の高さを調整できる。このため、楽器1の音の
高さの調整作業を容易にすることができる。
【0020】そして、連通管6の一端には、液位3aの
高さに設けられた堰用タンク8が連通されている。さら
に、この堰用タンク8の側部には、該堰用タンク8から
下方に向いた排液管9が取り付けられている。この排液
管9の堰用タンク8への開口部分の下端を液位3aの高
さに設定している。これにより、排液管9の堰用タンク
8への開口部分の下端が液位堰7と成っている。
【0021】また、垂液装置5は、垂らす液体4を貯め
るタンク部10と、タンク部10の液体4を放出するノ
ズル部11と、ノズル部11を開閉するバルブ部12と
を備えている。そして、タンク部10の上面には、タン
ク部10に液体を供給する給水管13が設けられてい
る。また、タンク部10の側面には、貯水量が一定量を
越えたときに液体をタンク部10から排出する排水管1
4が設けられている。これにより、垂らす液体4よりも
多くの液体を給水管13から供給し続けることにより、
タンク部10内の液体4の液面4aを常に一定に維持す
ることができる。よって、共鳴管2に滴下する液体4の
位置水頭を一定にできるので、発生する共鳴音の大きさ
を一定にすることができる。
【0022】ノズル部11およびバルブ部12は、各共
鳴管2ごとに1組ずつ対応して設けられている。バルブ
部12は電磁制御の電磁バルブを使用している。このた
め、いずれかのバルブ部12を選択して電気的にオンオ
フして開閉することにより対応する共鳴管2に液体4を
垂らして鳴らすことができるので、コンピュータやシー
ケンサ回路等を用いた自動演奏を行うことができるよう
になる。
【0023】そして、各ノズル部11の開放時間sを例
えば0.5秒や1秒程度に設定することにより、液体4
は滴となって滴下するようになる。また、各ノズル部1
1の開放時間sをもっと長くすれば、液体4が液流とし
て垂れるようになる。ここで、図8に示すように、各ノ
ズル部11の開放時間sが音圧レベルに与える影響は極
めて小さいので、この開放時間sは単純に音の長さに応
じて設定すれば良い。
【0024】さらに、各共鳴管2の背面側には音響反射
板15が設置されている。これにより、各共鳴管2から
背面側に発生する共鳴音を正面側に反射させるので、楽
器1の正面側に大きな音を発生させることができるよう
になる。
【0025】上述した楽器1により演奏を行う際の動作
を以下に説明する。
【0026】予め、垂液装置5のタンク部10に液体4
を供給しておく。タンク部10内の液体4を排水管14
から溢れるまで供給しておくことにより、共鳴管2に垂
れる液体4の位置水頭を一定にして音圧レベルを一定に
する。
【0027】また、各共鳴管2に液体3を給水して液位
堰7から溢れる程度にしておく。そして、これ以降、液
体4が垂れてきても共鳴管2内の液体3の液位3aを一
定にして共鳴音の高さを一定にする。
【0028】この状態で、各共鳴管2に対応するバルブ
部12を開閉して液体4を垂らして各共鳴管2から音を
発生する。そして、鳴らす共鳴管2を旋律に合わせて次
々に変えていくことにより、メロディーを奏でることが
できる。また、演奏形態としては、例えばCPU等を備
えるコンピュータとその入出力装置を利用して電子的に
選択したバルブ部12を開閉できるようにしてコンピュ
ータソフトに基づいて自動演奏をするようにしたり、あ
るいは各バルブ部12を個別にオンオフする鍵盤状のス
イッチを設けておき演奏者が鍵盤を操作することにより
手動で演奏するようにしても良い。
【0029】ところで、この楽器1は例えば室内に設置
しても良いが、これ以外にも例えば公園の噴水の近くや
モールおよびアミューズメントセンター等の水場の近く
にそのまま設置するようにしても良い。この場合、この
楽器1が水を連想させるような音を出すことから、近く
の水場の雰囲気に適合した心地良い音楽を奏でることが
できるようになる。
【0030】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実
施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能で
ある。例えば、本実施形態では各共鳴管2にノズル部1
1を1本ずつ設置しているが、これには限られず各共鳴
管2ごとにノズル部11を複数本設置するようにしても
良い。この場合、1本の共鳴管2のノズル部11ごとに
連結されるタンク部10の液面4aの高さを異ならせる
ことができるので、これらのノズル部11ごとに気泡音
および共鳴音の大きさを異ならせることができる。この
ため、当該共鳴管2自体を何ら変更することなく、発生
する音の大きさを変えることができるようになり、演奏
の自由度を大きくできる。
【0031】また、上述した実施形態では各共鳴管2の
背後に音響反射板15を設けているが、これには限られ
ず音響反射板15を設けずに各共鳴管2からの音が四方
に拡散するようにしても良い。この場合、楽器1を例え
ば部屋の中心に設置して演奏するような場合に、部屋中
に音を均一に響かせることができる。
【0032】そして、上述した実施形態では全ての共鳴
管2を1本の連通管6に連通させて共通の液位堰7を利
用するようにしているが、これには限られず各共鳴管2
ごとに別個に連通管6に連結して別個の液位堰7を利用
するようにしても良い。この場合、各共鳴管2ごとに液
位3aを異ならせることができるので、例えば全ての共
鳴管2の開口の高さを同じにしても液位3aの高さを段
階的にすることにより気柱の長さLを順に段階的に設け
ることができる。この場合も気柱の長さLが段階的にな
るので音階を形成することができる。このように、共鳴
管2の開口の高さを段階状にするか、あるいは同じにす
るかを選択できるので、楽器1のデザインの自由度を大
きくすることができる。
【0033】また、上述した実施形態では垂液装置5か
ら液体4を共鳴管2に自然落下させてさせているが、こ
れには限られず例えば垂液装置5にポンプ機構を設けて
液体4を共鳴管2に向けて高圧噴出するようにしても良
い。この場合、ポンプの吐出圧力を調整することによ
り、発生する音の強弱を変えることができる。
【0034】さらに、上述した実施形態では共鳴管2を
ステンレス製としているが、これには限られずガラス製
やその他の材質製としても良い。さらに、共鳴管2の内
径や肉厚を変えても良い。これにより、周波数範囲を広
くしたり、また音色も変えることが可能になる。
【0035】ところで、上述した各実施形態では楽器1
を独立した単体のものとしているが、これには限られず
公園や美術館等に設置されたオブジェに組み込んでも良
い。例えば、図10に示すように、2つの岩19、20
を上下に離して設置して、上側の岩19に垂液装置5を
埋め込んで設けると共に下側の岩20に共鳴管2等を埋
め込んで設けるようにする。そして、各ノズル部11の
真下に各共鳴管2を位置させて、上側の岩19のノズル
部11から滴り落ちた液体4が下側の岩20の共鳴管2
の液体3に当たって共鳴するようにする。共鳴管2の配
置としては、例えば縦横に碁盤の目のように並べたり、
または直線状に並べたり、あるいはランダムに並べても
良い。この場合、各共鳴管の2の開口を下側の岩20の
斜面に沿って異ならせることにより、液位3aの高さが
一定であっても気柱長さLを異ならせて音階を形成する
ことができる。あるいは、各共鳴管2ごとに液位3aの
高さを異ならせることにより気柱長さLを異ならせても
良い。
【0036】この図10に示す実施形態の楽器1によれ
ば、岩19から岩20に落ちる水滴を利用しているの
で、自然に近い形態で音楽を奏でることができる。よっ
て、静かさを醸し出す岩19,20と水滴4の組み合わ
せに加えて、この水滴4を利用した音楽が与えられるこ
とにより、今までに無い独特な雰囲気を提供することが
できるようになる。
【0037】また、家屋の周囲の雨樋に小さな孔を幾つ
か形成して、各小孔の真下に共鳴管2を設置するように
しても良い。この場合、降雨時には小孔から水滴が滴下
するので、各共鳴管2で音が発せられる。このとき、ど
の共鳴管2に滴下されるか、並びにどの程度の高さから
滴下されるかがランダムになるので、予想がつかず飽き
の来ない心地よい響きを得られるようになる。
【0038】さらに、この音をマイクで拾って屋内のス
ピーカで再生するようにすれば、家の内部で音楽を聴く
こともできる。これにより、梅雨のように毎日うっとう
しく、うんざりするような季節でも、寝ころびながら雨
を音楽として聴くことができるので、まんざら梅雨も悪
くはないと感じることができるようになり精神衛生上、
非常に良い効果を上げることができる。
【0039】あるいは、雨水を屋内に導いてタンクに貯
水して、この水を利用して楽器1を鳴らすようにしても
良い。
【0040】また、上述した実施形態では各液体3,4
として水を利用しているが、これには限られず例えば油
やその他の液体を利用するようにしても良い。この場
合、液体ごとに比重や粘性などの特性が水とは異なるの
で、気泡音の周波数が異なるようになる。これにより、
共鳴管2からの音色や音量を変更することができる。
【0041】
【実施例】図4に示す実験装置を利用して、気柱共振に
関する以下の各種実験を行った。共鳴管2としては、内
径30mm、肉厚1mmのステンレス管を利用した。こ
の共鳴管2の下端にU字形状の連通管6を連結した。該
連通管6の他端は開放すると共に共鳴管2の開口よりも
低く設けて液位堰7とした。
【0042】垂液装置5のタンク部10は、内容量20
リットル、高さ400mmのものを利用した。タンク部
10の上面から50mm下方の側面に排水管14を設置
した。バルブ部12の制御は直流電源16により行うよ
うにした。
【0043】また、ノズル内径は2mmとした。そし
て、ノズル部11の先端から共鳴管2の開口までの距離
をh、共鳴管2の開口から共鳴管2内の液体3の液位3
aまでの距離(気柱の長さ)をLとしている。
【0044】(実施例1)共鳴管2の開口付近に騒音計
17のマイクロホンを設置して、液体4の気泡音および
共鳴音の音圧スペクトルを測定した。図4中、符号18
はFFTアナライザを示す。h=150mmとした。気
柱の長さLは、200mm、0mm、5mmとした。そ
の結果を図5に示す。
【0045】同図から明らかなように、気柱の長さL=
200mmのときはモードがほぼ等間隔になっているの
で、気柱共振が現れていると判断される。逆に、L=0
mm、5mmのときは等間隔のモードが見られず気泡音
であると判断される。そして、気柱共振の共鳴音が気泡
音に比べて遙かに大きいことが判明した。なお、図5に
は2kHz迄しか図示されていないが、2kHz以上の
高周波数音は小さかった。
【0046】また、同時に暗騒音についても検討した
が、暗騒音の音圧レベルは極めて小さく本実施例は暗騒
音による影響は殆どないことが分かった。
【0047】(実施例2)図5に示す結果において、共
鳴音の最も低い周波数(1次モード)の音圧レベルm1
を基準として、気柱の長さLと共鳴周波数との関係を求
めた。結果を計算値と共に図6に示す。同図から明らか
なように、実施例による値は気柱共振の計算値と一致し
た。またhを変えて実験したが、h=150mm以内の
実験では音圧スペクトルにhの影響はなく、また水を連
続的に落下した場合と瞬間的に落下した場合の音圧スペ
クトルに差異はみられなかった。
【0048】したがって、実施例1および2の結果によ
り、共鳴管2から発せられる音は共鳴音と気泡音とが入
り交じったものであるものの、主音源は共鳴音であると
言える。そして、共鳴管2を楽器1に利用するために
は、気泡音や暗騒音を無視して気柱共振を中心に検討す
れば良いことが分かった。
【0049】(実施例3)図5に示す結果において、共
鳴音の最も低い周波数(1次モード)の音圧レベルm1
とその次の周波数(2次モード)の音圧レベルm2との
差(△SPL=SPL1−SPL2、SPL1はm1の
音圧レベル、SPL2はm2の音圧レベル)をLの関数
として測定した。音圧レベル差が大きい方が、音階が正
しく聞こえるようになるので楽器1として望ましい。そ
の結果を図7に示す。
【0050】同図から明らかなように、ノズル部11か
ら水が噴出する時間sとは無関係に、L=480mm当
たりになると音圧レベルの差が0になる。つまり、正し
い音階が聞こえなくなる。このため、この実施例では気
柱の長さLは480mm以下にする必要があることが判
明した。これに基づき本実施例のようにステンレス管で
内径30mmの場合に実施可能な音階の高さを算出する
と、その範囲はソ(G)の196Hzからファ(F)の
1396.9Hzであることがわかった。この周波数範
囲はオーボエより若干広い周波数範囲に相当する。
【0051】(実施例4)ノズル部11から液体4を噴
出する時間sを0.5秒と1.0秒と連続噴出とに変化
させ、このときの気柱長さLと音圧レベルとの関係を求
めた。ノズル高さhは70mmで固定した。その結果を
図8に示す。同図から明らかなように、気柱長さLを変
化させてもsごとの音圧レベルはほぼ同じになった。す
なわち、噴出時間sの変化による影響は殆どないことが
判明した。
【0052】このため、バルブ部12の開放時間に誤差
があっても、共鳴音の大きさは殆ど変わらないので、バ
ルブ部12の制御を簡易にしても良いことが分かった。
【0053】(実施例5)ノズル高さhを20mm、7
0mm、150mmに変化させ、このときの気柱長さL
と音圧レベルとの関係を求めた。液体4の噴出時間sは
0.5秒で固定した。その結果を図9に示す。同図から
明らかなように、気柱長さLを変化させてもhごとの音
圧レベルはほぼ同じになった。すなわち、ノズル高さh
の変化による影響は殆どないことが判明した。但し、気
柱長さLが400mm以上になるとh=70mmのとき
に音圧レベルが高くなった。このため、この実施例にお
いては、ノズル高さhとして70mmが最適であると判
断される。
【0054】(実施例6)タンク部10の高さを変化さ
せ、このときの気柱長さLと音圧レベルとの関係を求め
た。液体4の噴出時間sおよびノズル高さhは、いずれ
も固定した。その結果、タンク部10を高くするほど音
圧レベルが高くなった。これは、タンク部10の高さを
高くする事によって、噴出される水圧を大きくできるの
で発生する音が大きくなると推測される。
【0055】このため、1本の共鳴管2に異なる高さの
タンク部10に連結された複数のノズル部11を設ける
ことにより、共鳴管2自体を何ら変更することなく、共
鳴音の大きさを変えることができるようになり、演奏の
自由度を大きくできる。
【0056】(実施例7)図1〜図3に示す楽器1の共
鳴管2を図3に示す寸法で作製した。これにより、ド
(261.6Hz)から1オクターブ高いド(523.
3Hz)までの半音なしの楽器1を実現することができ
た。
【0057】また、音響反射板15を取り付けることに
より、取り付けない場合よりも5〜10dB音圧レベル
が大きくなった。
【0058】そして、この楽器1を用いて実際に演奏し
たところ、5mほど離れたところで音を聞いてもかなり
大きな音を発生した。また音楽も十分に明瞭であった。
【0059】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1記載の楽器によれば、水の滴り落ちる音を利用してい
るので、共鳴音と気泡音とが入り交じった独特な音を発
することができる。よって、単調な共鳴音を発するパイ
プオルガンとは異なり、水滴音のように静けさや心の安
らぎを感じることができる音を発することができ、音を
聴くだけでも心地良くなれるような楽器を得ることがで
きる。
【0060】また、共鳴管内の液体の液位を変更すれば
楽器から発せられる音の高さを調整できるので、パイプ
オルガンのように共鳴管の固定された底部を移動させる
必要が無く、また数値計算は単純であり調整作業を容易
にすることができる。
【0061】また、請求項2記載の楽器によれば、共鳴
管内の液位が常に一定に維持されるので、気柱長さを一
定に保つことができ、共鳴音の高さを維持することがで
きる。
【0062】さらに、請求項3記載の楽器によれば、共
鳴音の大きさを変更して共鳴管から発せられる音の強弱
を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の楽器を示す図であり、(A)は正面
図、(B)は右側面図である。
【図2】共鳴管およびその内部の液体を示す斜視図であ
る。
【図3】共鳴管の寸法を示す正面図である。
【図4】気柱共振の実験を行うための実験装置を示す正
面図である。
【図5】気泡音と共鳴音との音圧スペクトルを示すグラ
フである。
【図6】実験値と計算値との比較を示すグラフである。
【図7】m1とm2の音圧レベルの差を示すグラフであ
る。
【図8】液体の噴出時間の違いによる音圧レベルの差を
示すグラフである。
【図9】ノズル高さの違いによる音圧レベルの差を示す
グラフである。
【図10】楽器の他の実施形態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 楽器 2 共鳴管 3 共鳴管内の液体 3a 共鳴管内の液面の液位 4 滴下される液体 5 垂液装置 6 連通管 7 液位堰 10 タンク部 11 ノズル部 12 バルブ部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛直方向を長手方向にして設置した複数
    の共鳴管と、各共鳴管の気柱の共鳴周波数が音階を形成
    するように各共鳴管に貯めた液体と、各共鳴管の前記液
    体に液体を垂らすことができる垂液装置とを備えたこと
    を特徴とする楽器。
  2. 【請求項2】 前記共鳴管の液面の下方に取り付けられ
    た連通管と、該連通管に取り付けられると共に前記液面
    と同じ高さに設けられた液位堰とを備えることを特徴と
    する請求項1記載の楽器。
  3. 【請求項3】 前記垂液装置は、滴下する前記液体を貯
    めるタンク部と、該タンク部の前記液体を放出するノズ
    ル部と、前記ノズル部を開閉するバルブ部とを備えるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の楽器。
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