JP2001304539A - 蓄熱式バーナによる燃焼方法 - Google Patents

蓄熱式バーナによる燃焼方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃焼側のバーナにおいて空気比1.0未満で
燃料ガスの燃焼をおこなった場合でもすすの発生を抑制
できる蓄熱式バーナによる燃焼方法を提供する。 【解決手段】 対をなす蓄熱式バーナ1a,1bを燃焼
側と排気側に交互に切替え、燃焼側の蓄熱式バーナにお
いては空気比1.0未満で燃焼をおこなって炉内を無酸
化雰囲気に維持する蓄熱式バーナによる燃焼方法におい
て、一次燃料ノズル8への一次燃料ガス供給量G1と二
次燃料ノズル9への二次燃料ガス供給量G2との比率を
G1/G2=30/70〜50/50の範囲内に維持す
るとともに、燃焼用空気の5〜20%を一次燃料ノズル
8に供給される一次燃料ガスに予混合して予混合ガスと
して前記空気供給路7に吹込み、燃焼用空気の残部を蓄
熱体6を介して空気供給路7に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、蓄熱式バーナに
よる燃焼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バーナと蓄熱体を組合わせて成る蓄熱式
バーナを少なくとも一対そなえ、対をなす蓄熱式バーナ
を所定の切替サイクル時間で燃焼側と排気側に切替えて
燃焼側の蓄熱式バーナの燃焼ガスを排気側の蓄熱式バー
ナの蓄熱体を通して排出させるようにした炉は、蓄熱体
による燃焼ガスの回収熱を切替後の燃焼用空気の予熱に
有効利用できるので熱効率がすぐれ、加熱炉その他の各
種工業用炉として多く用いられるようになった。
【0003】そして上記の蓄熱式バーナにおいては、燃
焼用空気が予熱され高温となるため火炎温度が上昇し、
窒素酸化物(NOx)濃度が大きくなるので、これを抑
制する二段燃焼方法をおこなうものとして、蓄熱体を通
過して昇温した燃焼用空気中に一次燃料ノズルから一次
燃料ガスを噴射して一次燃焼させ、炉内側に向って開口
する二次燃料ノズルから二次燃料ガスを炉内に直接噴射
して二次燃焼させる二段燃焼式のものがある。
【0004】ところが上記の二段燃焼式の蓄熱式バーナ
を用いて空気1.0未満で燃焼をおこなって炉内を無酸
化雰囲気に維持しようとすると、すす(煤)が発生しや
すく、このすすは排気側の蓄熱式バーナの蓄熱体に付着
して熱交換効率を低下させたり、炉内各部や被処理材に
付着し、あるいはその一部は排ガスと共にばい煙として
大気中に放出されるので、これを防ぐために再燃焼装置
を別途設ける必要があるなど、種々の問題を生じるもの
であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記従来の
問題点を解決しようとするもので、燃焼側の蓄熱式バー
ナにおいて空気比1.0未満で燃料ガスの燃焼をおこな
った場合でもすすの発生を抑制できる蓄熱式バーナによ
る燃焼方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の蓄熱式バーナ
による燃焼方法は、一端部に燃焼ガス吐出口を、他端部
に給排気管接続部をそなえたケーシング内に、蓄熱体を
収容し、前記蓄熱体と前記燃焼ガス吐出口との間に形成
した空気供給路に開口する一次燃料ノズルと、前記燃焼
ガス吐出口近傍部において炉内側に開口する二次燃料ノ
ズルとをそなえた蓄熱式バーナを、炉体に少なくとも一
対設け、対をなす両蓄熱式バーナを燃焼側と排気側に交
互に切替え、燃焼側の蓄熱式バーナにおいては空気比
1.0未満で燃焼をおこなって炉内を無酸化雰囲気に維
持する蓄熱式バーナによる燃焼方法において、前記一次
燃料ノズルへの一次燃料ガス供給量G1と前記二次燃料
ノズルへの二次燃料ガス供給量G2との比率をG1/G
2=30/70〜50/50の範囲内に維持するととも
に、燃焼用空気の5〜20%を前記一次燃料ノズルに供
給される一次燃料ガスに予混合して予混合ガスとして前
記空気供給路に吹込み、前記燃焼用空気の残部を前記蓄
熱体を介して前記空気供給路に供給することを特徴とす
る。
【0007】この発明においては、発明者が鋭意研究の
結果得た知見に基づき、一次燃料ガスに予混合する予混
合用空気の量、および一次燃料ガス供給量G1と二次燃
料ガス供給量G2の比率を限定しているが、以下にその
限定理由について述べる。
【0008】すなわち、一次燃料ガスに燃焼用空気の一
部を予混合用空気として予混合することにより、一次燃
料ガスと燃焼用空気との混合が促進され、すすの発生が
抑制されることが確認されたので、上記の予混合用空気
の量を燃焼用空気の(総量の)5〜20%に限定した。
上記予混合用空気の量が5%未満では、すす防止作用が
不充分である。また、この数値が大きい程、蓄熱体を通
過する燃焼用空気の量が減るため、熱効率の低下につな
がるので、20%を越える数値とするのは、上記熱効率
の点で好ましくない。なおこの予混合用空気の量は、さ
らに好ましくは燃焼用空気の10〜15%とするのがよ
く、10%以上とすることによりすすの発生の抑制が一
層確実となり、15%以下とすることにより熱効率の低
下を低く抑えることができるからである。
【0009】また一次燃料ガス供給量G1と二次燃料ガ
ス供給量G2の比率G1/G2、すなわち一次燃料ガス
と二次燃料ガスの混焼割合によって、すす発生の抑制効
果に差異が生ずることが確認されたので、G1/G2の
範囲を30/70〜50/50に限定した。上記の比率
G1/G2が50/50を越えると、すすが発生しやす
く、また30/70未満では、燃焼ガス吐出口から炉内
へ吐出される一次燃焼ガスの種火効果が低く、二次燃料
ガスの着火が困難になるからである。なおこの比率(混
焼割合)G1/G2は、さらに好ましくは35/65〜
45/55とするのがよく、45/55以下とすること
によりすすの発生抑制が一層確実となり、また35/6
5以上とすることにより、燃料ガスの種類に左右されず
に二次燃料ガスを一層確実に燃焼させることができるか
らである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下図1に示す例により、この発
明の実施の形態を説明する。図1において、1a,1b
は対をなす蓄熱式バーナで同じ構造を有し、そのケーシ
ング2は、炉体3への取付側である一端部に燃焼ガス吐
出口4を、他端部には給排気管接続部5をそなえ、この
給排気管接続部5寄りの内部に、通気性セラミックス等
から成る蓄熱体6を収容してあり、7はこの蓄熱体6と
燃焼ガス吐出口4との間に形成した空気供給路である。
8は空気供給路7に開口する一次燃料ノズル、9は燃焼
ガス吐出口4の近傍部において炉内側に開口する二次燃
料ノズルである。
【0011】11は図示しない燃料ガス供給源に接続さ
れた燃料ガス供給管で、その分岐管12は一次燃料ノズ
ル8に、分岐管13は二次燃料ノズル9にそれぞれ接続
されている。また給気用の送風機15に接続された給気
管16の枝管16aは、分岐管12の一次燃料ノズル8
寄りの部分に接続され、分岐管12からの一次燃料ガス
に枝管16aからの予混合用空気Aが混合されて予混合
ガスとして一次燃料ノズル8に供給されるようになって
いる。この分岐管12と枝管16aの接続部には、ベン
チュリミキサなどの混合器を設けてもよい。17〜19
は開閉弁である。なお一次燃料ノズル8の予混合ガス吹
出口8aの近傍部には、着火用のパイロットバーナが設
けられているが、その図示は省略する。
【0012】またこの例では、給排気管接続部5内に、
三方弁形式の方向切換弁21を内蔵しており、直角状に
屈曲したケーシング端壁に設けた空気供給口22と排気
口23を、図示しないソレノイドにより回動操作される
弁軸に固着した板状の弁体により開閉して、空気供給口
22と排気口23の一方を開き、他方を閉じるようにな
っている。そして空気供給口22は給気管16に、排気
口23は排気管24に、それぞれ接続され、排気管24
は排気用の送風機25に接続されている。
【0013】上記のバーナ燃焼系統をそなえた炉におい
て、炉体3内の加熱室30を無酸化雰囲気にして図示し
ない被処理材の加熱をおこなうには、蓄熱式バーナ1
a,1bは従来と同様に燃焼側と排気側に交互に切替え
て燃料ガスの燃焼をおこなうのであるが、図1は蓄熱式
バーナ1aを燃焼側に切替えた状態を示し、この切替状
態における空気やガスの流通方向を矢印で図示してあ
る。
【0014】図に示すように、蓄熱式バーナ1aにおい
ては、方向切換弁21を空気供給口22開放状態とし、
開閉弁17〜19を開として、燃料ガス供給管11より
供給される燃料ガスの総量に対して、給気管16より理
論空気量より少ない空気量(たとえば理論空気量×0.
9)の燃焼用空気(後述のようにその一部は予混合用に
使用される)を供給し、空気比1.0未満で燃焼をおこ
ない、加熱室30内を無酸化雰囲気に維持する。なおこ
のとき空気供給口22から送入される燃焼用空気は、前
工程で排気側として使用中に蓄熱された蓄熱体6を通過
する際に予熱される。一方排気側の蓄熱式バーナ1bに
おいては、方向切換弁21を排気口23開放状態とし、
開閉弁17〜19を閉とし、加熱室30を流通した燃焼
ガスは排気管24を経て排気され、このとき蓄熱体6は
燃焼ガスの通過により加熱されて昇温する。
【0015】上記の燃料ガス供給管11より供給される
燃料ガスは、分岐管12を通る一次燃料ガスと分岐管1
3を通る二次燃料ガスとに分流され、その供給量の比率
(混焼割合)G1/G2は、30/70〜50/50の
範囲内に維持される。また供給管16より供給される燃
焼用空気の総量の5〜20%が、予混合用空気Aとして
枝管16aにより分流されて上記一次燃料ガスに予混合
され、一次燃料ノズル8から予混合ガスとして空気供給
路7内に噴射され、一次燃料ガスは蓄熱体6を通過して
昇温した残りの燃焼用空気中に良好に拡散混合して、過
剰空気中で完全燃焼してすすの少ない高温燃焼ガス(一
次火炎)として燃焼ガス吐出口4から加熱室30内に噴
出し、二次燃料ノズル9から加熱室30内に噴射された
二次燃料ガスは上記高温燃焼ガス中に残存する燃焼用空
気との接触により二次燃焼し、すすの発生も少量に抑制
されるのである。
【0016】なお上記の一次燃料ガスと二次燃料ガスの
各流量、および予混合用空気Aの流量の設定は、各開閉
弁17〜19の開度の調節あるいは選定によるほか、各
分岐管12,13や枝管16aに設けた絞り弁あるいは
流量調節弁(図示しない)を所定の開度にセットするこ
とによりおこなうことができる。
【0017】上記の燃焼および排気を所定時間(たとえ
ば30秒間)おこなったら、蓄熱式バーナ1bを燃焼側
に、蓄熱式バーナ1aを排気側に切替える。この切替え
は、各蓄熱式バーナの方向切換弁21および開閉弁17
〜19の開閉を、上記図1の場合と反対にすることによ
りおこなう。そして上記と同様にして蓄熱式バーナ1b
においては燃料ガスを空気比1.0未満で燃焼させ、蓄
熱式バーナ1aにおいては燃焼ガスを排気して蓄熱体6
を昇温させ、以下同様にして燃焼側と排気側の切替をお
こなう。
【0018】この発明は上記の例に限定されるものでは
なく、たとえば一次燃料ノズル8や二次燃料ノズル9の
本数、空気流通路7の中心軸線(燃料用空気流通方向)
に対する傾斜角度などは上記以外のものとしてもよく、
またケーシング2の具体的構造や、空気供給口22およ
び排気口23に対する給排気の切替手段なども、上記以
外のものとしてもよい。また図1においては、一対の蓄
熱式バーナ1a,1bを炉体3の対向する両側壁に設け
てあるが、一方の側壁に上下に位置をずらせるなどして
設けてもよく、また二対以上の蓄熱式バーナを炉体にそ
なえた場合にも、この発明は適用できるものである。
【0019】
【実施例】以下、この発明の実施例および比較例を説明
する。図1の装置において、燃料ガスであるブタンガス
を空気比0.9で燃焼させた。下記の2つの条件のもと
で、蓄熱式バーナ1aと1bの燃焼・排気の切替を30
秒ごとに1回おこない、各切替ごとに炉内雰囲気のすす
濃度および二次燃料ガスの着火性等を測定した。
【0020】〔条件1〕一次燃料ガスに予混合される予
混合用空気Aの量を燃焼用空気の総量の13.5%(一
定)とし、一次燃料ガス供給量G1と二次燃料ガス供給
量G2の比率G1/G2を変えたときの、すす濃度およ
び着火性を測定した結果を、実施例1〜4および比較例
1,2として表1に示す。なおすす濃度の測定法、およ
び表中のすす濃度および着火性の評価は下記の通りであ
る。 □すす濃度:米国バカラック社(Bacharach
InstrumentCo.)製のスモークテスタを用
いたスモークテスタ法により、炉からの排ガス中のすす
を吸引したろ紙上のダストスポットの黒さを、10段階
にわけたスモークスケールと比較して該当する濃度番号
を各測定ごとに記録し、50回の測定における濃度番号
のばらつき範囲に応じて下記のマークで表示した。 ◎:濃度番号0〜1 ○:濃度番号1〜2 ×:濃度番号3以上 □着火性:蓄熱式バーナ1a,1bにおける二次燃料ガ
スの360回の切替噴射に対する良好着火回数を計測し
た結果を、下記のマークで表示した。 ◎:良好着火回数=360回 ○:良好着火回数=354回 ×:良好着火回数=313回
【0021】
【表1】
【0022】〔条件2〕一次燃料ガス供給量G1と二次
燃料ガス供給量G2の比率G1/G2を40/60(一
定)とし、一次燃料ガスに予混合する予混合用空気Aの
量を変えたときの、炉内雰囲気中のすす濃度を測定した
結果を、表2に実施例5〜8および比較例3として示
す。なお、すす濃度の測定法および評価は前記実施例と
同じである。
【0023】
【表2】
【0024】表1および表2の結果から、一次燃料ガス
供給量G1と二次燃料ガス供給量G2の比率、および一
次燃料ガスに予混合する予混合用空気の量がこの発明の
限定範囲内にある各実施例においては、比較例に対し
て、すすが少なく着火性も安定した燃焼がおこなわれて
いることが判る。
【0025】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
燃焼側の蓄熱バーナにおいて空気比1.0未満で燃料ガ
スの燃焼をおこなった場合でも、一次燃料ノズルに供給
される一次燃料ガスに、燃焼用空気の一部を予混合する
ことにより、一次燃料ガスと燃焼用空気の混合・接触が
良好となり、すすの発生がほとんどない高速燃焼がおこ
なわれ、この燃焼による高温燃焼ガスにより二次燃料ガ
スもすすの発生の少ない状態で燃焼するので、燃焼に伴
うすすの発生を抑制でき、排気側の蓄熱体や炉内へのす
すの付着堆積を防止でき蓄熱体の熱交換効率の低下を防
止できるとともに、排ガス中のすすを除去するための再
燃焼装置を設ける必要もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例を示す蓄熱式バー
ナをそなえた加熱炉の配管系統図である。
【符号の説明】
1a,1b…蓄熱式バーナ、2…ケーシング、4…燃焼
ガス吐出口、5…給排気管接続部、6…蓄熱体、7…空
気供給路、8…一次燃料ノズル、9…二次燃料ノズル、
11…燃料ガス供給管、12…分岐管、13…分岐管、
16…給気管、16a…枝管、17〜19…開閉弁。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部に燃焼ガス吐出口を、他端部に給
    排気管接続部をそなえたケーシング内に、蓄熱体を収容
    し、前記蓄熱体と前記燃焼ガス吐出口との間に形成した
    空気供給路に開口する一次燃料ノズルと、前記燃焼ガス
    吐出口近傍部において炉内側に開口する二次燃料ノズル
    とをそなえた蓄熱式バーナを、炉体に少なくとも一対設
    け、対をなす両蓄熱式バーナを燃焼側と排気側に交互に
    切替え、燃焼側の蓄熱式バーナにおいては空気比1.0
    未満で燃焼をおこなって炉内を無酸化雰囲気に維持する
    蓄熱式バーナによる燃焼方法において、前記一次燃料ノ
    ズルへの一次燃料ガス供給量G1と前記二次燃料ノズル
    への二次燃料ガス供給量G2との比率をG1/G2=3
    0/70〜50/50の範囲内に維持するとともに、燃
    焼用空気の5〜20%を前記一次燃料ノズルに供給され
    る一次燃料ガスに予混合して予混合ガスとして前記空気
    供給路に吹込み、前記燃焼用空気の残部を前記蓄熱体を
    介して前記空気供給路に供給することを特徴とする蓄熱
    式バーナによる燃焼方法。
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