JP2001303069A - 重質油の硫黄分除去方法及び装置 - Google Patents

重質油の硫黄分除去方法及び装置

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健次 鈴木
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敬一 三輪
Shinya Yoshida
真也 吉田
Koji Takewaki
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 事業化レベルで十分な脱硫率を確保する。 【解決手段】 亜臨界水条件あるいは超臨界水条件下の
水熱反応により重質油の脱硫を行う際に、硫黄分の分離
促進剤として粒状の固形物を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重質油の硫黄分除
去方法及び装置に係わり、特に水熱反応を利用して重質
油の硫黄分を除去する技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】火力発
電プラントや化学プラントでは、重油や石炭等の化石燃
料を主な燃料としているが、このような化石燃料は硫黄
分を含んでいるため、そのままの状態で燃焼させる場合
には加温流動化装置及び過大な排ガス脱硫装置が必要に
なる。一方、近年、超臨界水による水熱反応を利用して
重質油の改質技術が検討されているが、脱硫については
十分な脱硫率が得られず、事業化レベルに達していない
のが現状である。なお、重質油の脱硫に関するものでは
ないが、水熱反応を利用した脱硫技術の一例として、例
えば特開平6−287573号公報に記載されている加
硫ゴムの脱硫方法がある。
【0003】本発明は、上述する問題点に鑑みてなされ
たもので、事業化レベルで十分な脱硫率を確保すること
が可能な重質油の硫黄分除去方法及び装置の提供を目的
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、重質油の硫黄分除去方法に係わる第1
の手段として、亜臨界水条件あるいは超臨界水条件下の
水熱反応により重質油の脱硫を行う際に、硫黄分の分離
促進剤として粒状の固形物を添加するという手段を採用
する。
【0005】重質油の硫黄分除去方法に係わる第2の手
段として、上記第1の手段において、固形物として粒状
の無機物を用いるという手段を採用する。
【0006】重質油の硫黄分除去方法に係わる第3の手
段として、上記第1の手段において、固形物として粒状
の金属、酸化物もしくは塩を用いるという手段を採用す
る。
【0007】重質油の硫黄分除去方法に係わる第4の手
段として、上記第1の手段において、固形物として水
(H2O)と反応して水素(H2)を生成できる金属を用
いるという手段を採用する。
【0008】重質油の硫黄分除去方法に係わる第5の手
段として、上記第1の手段において、固形物として鉄酸
化物を用いるという手段を採用する。
【0009】重質油の硫黄分除去方法に係わる第6の手
段として、上記第1〜5いずれかの手段において、亜臨
界水条件あるいは超臨界水条件下において粒状の固形物
が密集状に充填された充填層の上方から重質油を落下さ
せるという手段を採用する。
【0010】さらに、重質油の硫黄分除去方法に係わる
第7の手段として、上記第1〜第6いずれかの手段にお
いて、水熱反応の反応温度を400゜Cに設定するとい
う手段を採用する。
【0011】一方、本発明では、重質油の硫黄分除去装
置に係わる第1の手段として、粒状の固形物が内部に充
填され、外部から注入された重質油を亜臨界水条件ある
いは超臨界水条件下で水熱反応させて脱硫化油として出
力する水熱反応器と、脱硫化油から水分を除去し改質油
として出力する油分分離器とを具備する手段を採用す
る。
【0012】また、重質油の硫黄分除去装置に係わる第
2の手段として、上記第1の手段において、固形物とし
て粒状の無機物を用いるという手段を採用する。
【0013】重質油の硫黄分除去装置に係わる第3の手
段として、上記第1の手段において、固形物として粒状
の金属を用いるという手段を採用する。
【0014】重質油の硫黄分除去装置に係わる第4の手
段として、上記第1の手段において、固形物として水
(H2O)と反応して水素(H2)を生成できる金属を用
いるという手段を採用する。
【0015】重質油の硫黄分除去装置に係わる第5の手
段として、上記第1の手段において、固形物として鉄酸
化物を用いるという手段を採用する。
【0016】重質油の硫黄分除去装置に係わる第6の手
段として、上記第1〜5いずれかの手段において、水熱
反応器は粒状の固形物を密集状に充填した充填層を有
し、該充填層の上部に重質油を供給して充填層内を落下
させるという手段を採用する。
【0017】重質油の硫黄分除去装置に係わる第7の手
段として、上記第1〜第6いずれかの手段において、水
熱反応器内の反応温度を400゜Cに設定するという手
段を採用する。
【0018】
【作用】本発明は、亜臨界水条件あるいは超臨界水条件
下の水熱反応により重質油の脱硫を行う際に硫黄分の分
離促進剤として固形物を添加する点を主な特徴点とする
が、このような本発明特有の手段は、以下のような実験
事実及びその解釈に基づくものである。
【0019】図1は、「重油スラッジ」及び「A重油
(2号)」を亜臨界水条件あるいは超臨界水条件下で水
熱反応させた場合の試験結果表であり、(a)は重油ス
ラッジの試験結果を、(b)はA重油(2号)の試験結
果をそれぞれ示している。すなわち、この表は、300
゜C,350゜C,400゜C及び450゜Cの各温度
(反応温度)について、反応時間を10分,30分及び
60分に設定した場合における水熱反応の結果を示して
いる。なお、この表において、S分(%)は、油分を1
00%とした場合の硫黄(S)の含有率を示しており、
粘度は周囲温度が50〜60゜Cの場合における測定結
果である。また、総SS分(%)は、重油スラッジの油
分を除くスラッジ成分の総量である。
【0020】この試験結果(a)から、重油スラッジに
ついては反応温度400゜Cにおいて最もS分が低くな
り、かつ反応温度400゜Cにおいても反応時間を30
分に設定した場合にS分が最も低くなっていることがわ
かる。つまり、この場合にS分(%)は、処理前の5.
85%に対して2.58%まで低下している。これに対
して、A重油(2号)について見ると、各反応温度にお
いてS分(%)に大きな変化が見られないことがわか
る。すなわち、この試験によって、同一条件下の水熱反
応でも、重油スラッジについては顕著なS分低下が見ら
れ、A重油(2号)についてはS分低下が見られないこ
とが明らかになった。
【0021】一方、図2は、重油スラッジの蛍光X線分
析の測定結果を示す特性図であり、横軸は分光角度(d
eg)、縦軸は蛍光X線の強度(kcps)である。こ
の蛍光X線分析結果をA重油(2号)と比較すると、重
油スラッジにはA重油(2号)に比較して無機物、すな
わち金属であるロジウム(Rh),鉄(Fe),カルシ
ウム(Ca),カリウム(K)等及び非金属である珪素
(Si)等が多く含まれていることがわかった。本発明
者等は、上記重油スラッジとA重油(2号)とのS分低
下の差異は、この重油スラッジとA重油(2号)との組
成の相違、つまり上記各種金属あるいは非金属の無機物
が粒状の固形物として含有している点に原因があると解
釈した。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
係わる重質油の硫黄分除去方法及び装置の一実施形態に
ついて説明する。
【0023】図3は、本実施形態における硫黄分除去装
置のプロセス構成図である。この図において、符号Xは
重質油、Xaは脱硫化油、Xbは改質油、1は燃料タン
ク、2は予熱器、3は燃料払出ポンプ、4,5は添加装
置、6はミキシングヒータ、7は加圧ポンプ、8は加熱
器、9は充填層反応器(水熱反応器)、10はオーバー
フロー弁、11は調圧弁、12,13はオリフィス、1
4は油分分離器、15は排ガス処理装置である。この硫
黄分除去装置は、火力発電所の付属設備として設けられ
ており、以下に説明するように火力発電所のボイラの排
ガスや補助蒸気を有効利用することにより、重質油Xの
脱硫に必要となるエネルギの消費量を極力低減させるよ
うに構成されている。
【0024】燃料タンク1は、上記火力発電所の燃料消
費量に見合った量の重質油Xを貯留するものである。こ
の重質油Xは、上述した重油スラッジとほぼ同等の硫黄
分(S分)つまり5%前後の硫黄分を含む粗悪燃料であ
る。予熱器2は、燃料タンク1の外周に備えられ、重質
油Xを約70゜Cに予熱するものである。燃料払出ポン
プ3は、このように予熱状態にある重質油Xを燃料タン
ク1から払い出すためのものであり、図示しない制御装
置によって制御されるようになっている。
【0025】添加装置4は、燃料払出ポンプ3から吐出
された重質油Xに添加剤(液体添加剤)を加えて添加装
置5に供給するものである。この添加剤は、OH基を有
するアルコール類であり、後段の充填層反応器9におけ
る重質油Xの脱硫を促進させるためのものである。添加
装置5は、添加装置4から供給された重質油Xに気体添
加剤を添加してミキシングヒータ6に供給するものであ
る。この気体添加剤は、例えば一酸化炭素(CO)、水
素(H2)等であり、上記液体添加剤と同様に充填層反
応器9における重質油Xの脱硫を促進させるためのもの
である。
【0026】ミキシングヒータ6は、重質油Xに所定量
の水分を添加すると共に、上記各種添加剤(液体添加剤
及び気体添加剤)と重質油Xとが均一に混じり合うよう
に重質油Xを加熱して加圧ポンプ7に供給するものであ
る。重質油Xに添加される上記水分は、充填層反応器9
内の水蒸気圧を確保して水熱反応を進行させるためのも
のであり、例えば重質油Xに対して1%程度の微量で良
い。加圧ポンプ7は、ミキシングヒータ6から出力され
た重質油Xを例えば30MPaの圧力まで加圧して加熱
器8に供給するものであり、制御装置(図示略)よって
制御されるようになっている。加熱器8は、熱源として
ボイラの補助蒸気及び油分分離器14から排出されたガ
スを用いることにより、加圧ポンプ7から供給された重
質油Xを約300゜Cまで加熱して充填層反応器9に供
給するものである。
【0027】充填層反応器9は、火力発電所ボイラの排
ガスを用いることにより、加熱器8から供給された重質
油Xをさらに加熱して亜臨界水条件あるいは超臨界水条
件とし、当該反応条件に基づく水熱反応によって重質油
Xから硫黄分を分離して脱硫化油Xaを生成するもので
ある。なお、この充填層反応器9の反応条件は、上記図
1に示したように、少なくとも反応温度を約400゜C
とした超臨界水条件下が好ましい。
【0028】さらに詳しく説明すると、この充填層反応
器9は、内部に重質油Xを送通させる所定厚の充填層9
aを備えると共に、加熱器8から供給された重質油Xを
当該充填層9aの上部に供給するように構成されてい
る。すなわち、当該充填層反応器9に供給された重質油
Xは、充填層9a内を上方から下方に通過して自然落下
するようになっている。
【0029】上記充填層9aは、重質油X中の硫黄分の
分離促進剤として機能するものである。この充填層9a
は、上述した粒状の固形物としての無機物(金属あるい
は非金属)のいずれか1つあるいは複数の組み合わせか
ら構成されており、このような無機物を粒状にしたもの
を密集状に充填したものである。また、このような無機
物は、重質油Xとの接触面積ができるだけ大きくなるよ
うな形状、例えばラヒシリング,ベルルサドル等の形状
に形成されている。
【0030】オーバーフロー弁10は、加熱器8から充
填層反応器9に供給された重質油Xの一部を充填層反応
器9の入口に戻すものであり、その開口度が制御装置
(図示略)によって制御されることにより充填層9aの
上部の重質油Xの量を一定に保つためのものである。調
圧弁11は、充填層反応器9内の圧力を調節するための
ものである。オリフィス12は、上記加熱器8に熱源と
して供給された水蒸気の圧力を大気圧まで減圧して排ガ
ス処理装置15に供給するものである。もう一方のオリ
フィス13は、充填層反応器9から取り出された脱硫化
油Xaの圧力を10MPa程度に減圧して油分分離器1
4に供給するものである。
【0031】油分分離器14は、上記オリフィス13を
介して流入した脱硫化油Xaから油分のみを分離し、例
えば6MPa程度の送圧で火力発電所に送出すると共
に、その他の硫黄分と水分とを含むガス(分離ガス)を
加熱器8に熱源として供給するものである。排ガス処理
装置15は、オリフィス12を介して加熱器8から供給
された上記分離ガス及びボイラの補助蒸気並びに調圧弁
11を介して充填層反応器9から供給されるガスを環境
基準に適合する状態に改質して大気中に放出するもので
ある。
【0032】次に、このように構成された硫黄分除去装
置の作用について詳しく説明する。本硫黄分除去装置で
は、火力発電所のボイラの排ガスを充填層反応器9の熱
源とすると共にボイラの補助蒸気及び油分分離器14の
分離ガスを加熱器8の熱源とすることにより、充填層反
応器9内を反応温度約400゜Cとする超臨界水条件と
している。
【0033】充填層反応器9内の水熱反応によって、重
質油Xは、炭素(C)と硫黄(S)との分子結合が切断
され、脱硫された脱硫化油Xaとして油分分離器14に
出力される。この水熱反応は、重質油Xが充填層9aを
通過する際、つまり重質油Xが充填層9aを形成する無
機物からなる粒状の固形物の表面を蛇行しつつ滴下する
際に行われるが、水熱反応の進行に伴って重質油Xの粘
度が徐々に低下して硫黄分が分離し易い状態となり、さ
らに硫黄分が固形物の表面に付着して捕集され易くな
る。このようにして重質油Xから分離した硫黄分は、例
えば水(H2O)と一酸化炭素(CO)の反応によって
生成された水素(H2)と反応することにより、硫化水
素(H2S)となり、化学的に安定した状態となる。
【0034】このようにして充填層反応器9から出力さ
れた脱硫化油Xaは、油分の他に水(H2O)、上記硫
化水素(H2S)等が含まれるが、オリフィス13にお
いて10MPa程度に減圧することにより、水、硫化水
素(H2S)等の硫黄分及び水分等が気体となり、油分
のみが液体状態になる。油分分離器14では、この気体
と液体とを分離することにより、油分のみを改質油Xb
として火力発電所に送出する。
【0035】本実施形態によれば、充填層反応器9内に
無機物からなる粒状の固形物を集積した充填層9aを設
け、該充填層9aの上方から重質油Xを自然滴下させる
ようにしたので、重質油Xが粒状の固形物の表面に接触
しつつ滴下する際に硫黄分(S分)が効率良く分離され
る。
【0036】また、重質油Xは、表面積を広くするよう
にラヒシリング,ベルルサドル等の形状に形成された粒
状の固形物の表面に接触しつつ蛇行して滴下するので、
重質油Xが固形物の表面に接触している時間つまり反応
時間を長くすることが可能である。したがって、充填層
9aを備えないオートクレープ型反応器に比較して充填
層反応器9を小型することが可能であると共に、液体添
加剤の添加量を削減して消費量を抑えることが可能であ
る。
【0037】〔追加事項〕本発明は、亜臨界水条件ある
いは超臨界水条件下の水熱反応により重質油の脱硫を行
う際に、硫黄分の分離促進剤として粒状の固形物、例え
ば各種金属や非金属の無機物を含有させる点を特徴とす
るが、このような固形物の組成として鉄あるいは鉄酸化
物が有用である。また、上記実施形態では、液体添加剤
としてOH -基を有するアルコール類を用いたが、もっ
と広くOH-基に電離する有機化合物であっても良い。
また、OH-基に電離するものであれば、有機化合物に
限らず無機物であっても良く、すなわちアルカリ性を呈
するものであればよい。このようなものとして、例えば
水酸化ナトリウム(NaOH)が有効である。
【0038】図4は、重質油において硫黄分の殆どを占
めるチオフェンについて、鉄(Fe)及び酸化鉄(Fe
23)を所定量添加した際の脱硫率を示す実験結果であ
る。実験条件は、チオフェン:1(mol/L)、Na
OH:1.5(mol/L)、水溶液25(ml)、気
相:アルゴン(Ar)、反応温度:350゜C、また反
応時間:30分である。なお、今回の実験で用いたチオ
フェンは、当業者間で重質油の脱硫を検討するための代
替材料としてよく用いられるものである。
【0039】酸化鉄(Fe23)について見ると、添加
量が0〜0.025(mol)の領域では、当該添加量
に比例して脱硫率が19%まで上昇するが、この0.0
25(mol)以上に添加量を増やしても脱硫率は殆ど
変化しない。すなわち、0.025(mol)以上の領
域では脱硫率が20%近傍で飽和する。なお、図示しな
いが、上記酸化鉄(Fe23)と同様に鉄酸化物の一種
である四酸化三鉄(Fe34)を添加した場合に、上記
酸化鉄(Fe23)の場合と同様の反応条件において
0.025(mol)の添加量で19%の脱硫率が得ら
れることが確認されている。
【0040】これに対して鉄(Fe)の場合には、実験
範囲内において脱硫率が添加量にほぼ比例して上昇する
ことが確認できた。添加量を0.075(mol)とし
たとき、脱硫率として87%が得られた。
【0041】このような実験結果は、以下のように考察
される。すなわち、鉄(Fe)は、給水系で溶存酸素濃
度が低く、200゜C以上の状態では水(H2O)との
間で反応式(1)に示すような反応が進行する。 3Fe+4H2O → Fe34+4H2 (1) また、この反応によって生成された水素(H2)は、チ
オフェン中の硫黄S部位を攻撃して、反応式(2)に示
すように硫化水素(H2S)と有機物Rとが生成され
る。 C44S+H2 → H2S+R(有機物) (2)
【0042】さらに、当該硫化水素(H2S)は、以下
の反応式(3)に示すように液体添加剤である水酸化ナ
トリウム(NaOH)と反応して硫化ナトリウム(Na
2S)と水(H2O)とを生成し、さらにこの硫化ナトリ
ウム(Na2S)は、反応式(4)に示すように、イオ
ン化してナトリウムイオン(Na+)と硫黄イオン(S
2-)とに分離する。 H2S+2NaOH → 2H2O+Na2S (3) Na2S → 2Na++S2- (4)
【0043】通常、反応式(2)が進行するためには触
媒が必要であるが、特に触媒を添加することなく当該反
応が進行するのは、以下の要因が考えられる。 鉄(Fe)や反応式(1)の反応生成物である四酸化
三鉄(Fe34)が水素化触媒の役割を果たしている。 亜臨界水条件あるいは超臨界水条件下で生成された水
素(H2)には活性があり、反応の促進に触媒を必要と
しない。
【0044】このような鉄(Fe)と同族の元素である
ニッケル(Ni)を用いた場合には殆ど脱硫が生じない
ことが別途確認されたが、これは、ニッケル(Ni)で
は亜臨界水条件あるいは超臨界水条件下において水(H
2O)と反応して水素(H2)を生成できないためと考え
られる。このような考えに基づくと、亜臨界水条件ある
いは超臨界水条件下において鉄(Fe)と同様に水素
(H2)を生成可能な金属、例えばマグネシウム(M
g)、アルミニウム(Al)あるいは亜鉛(Zn)等
も、鉄(Fe)と同様に脱硫が可能であるものと考えら
れる。
【0045】このように、チオフェンの脱硫実験によっ
て、亜臨界水条件あるいは超臨界水条件下において水
(H2O)と反応して水素(H2)を生成できる金属、つ
まり鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム
(Al)あるいは亜鉛(Zn)等が重質油の脱硫におい
て効果的であることが確認されたと共に、このような金
属に対して劣るものの、鉄酸化物つまり酸化鉄(Fe2
3)あるいは四酸化三鉄(Fe34)が効果的である
ことも確認された。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる重
質油の硫黄分除去方法及び装置によれば、以下のような
効果を奏する。
【0047】(1)請求項1及び8の発明によれば、亜
臨界水条件あるいは超臨界水条件下の水熱反応により重
質油の脱硫を行う際に粒状の固形物を添加するので、従
来に比較して効率良く重質油を脱硫することが可能であ
り、十分に事業化レベルの脱硫率を確保することができ
る。
【0048】(2)請求項2,3及び請求項9,10の
発明によれば、固形物として粒状の無機物あるいは金属
を用いるので、重質油と無機物あるいは金属との接触面
積を増大させて、効率良く重質油から硫黄分を分離・除
去することができる。
【0049】(3)請求項4及び11の発明によれば、
固形物として水(H2O)と反応して水素(H2)を生成
できる金属を用いるので、当該金属の添加量にほぼ比例
した脱硫率を得ることができる。
【0050】(4)請求項5及び12の発明によれば、
固形物として鉄酸化物を用いるので、従来に比較して優
れた脱硫率を得ることができる。
【0051】(5)請求項6及び13の発明によれば、
亜臨界水条件あるいは超臨界水条件下において重質油を
粒状の固形物、無機物あるいは金属からなる充填層に上
方から落下させるので、重質油は粒状の固形物、無機物
あるいは金属の表面あるいはその空隙を蛇行しながら順
次下方に滴下する。したがって、重質油と粒状の固形
物、無機物あるいは金属の表面との接触時間つまり反応
時間が長くなり、より効率良く重質油から硫黄分を分離
・除去することができると共に、水熱反応の反応器を小
型化することができる。
【0052】(6)請求項7及び14の発明によれば、
水熱反応の反応温度を400゜Cに設定するので、最も
効率良く重質油から硫黄分を分離・除去することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理を説明するための水熱反応の試
験結果表である。
【図2】 本発明の原理を説明するための重油スラッジ
の蛍光X線分析の特性図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係わる重質油の硫黄分
除去装置のプロセス構成図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係わる追加実験の実験
結果を示すグラフである。
【符号の説明】
X……重質油 Xa……脱硫化油 Xb……改質油 1……燃料タンク 2……予熱器 3……燃料払出ポンプ 4,5……添加装置 6……ミキシングヒータ 7……加圧ポンプ 8……加熱器 9……充填層反応器(水熱反応器) 10……オーバーフロー弁 11……調圧弁 12,13……オリフィス 14……油分分離器 15……排ガス処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10G 49/18 C10G 49/18 (72)発明者 平岡 龍三 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社機械・プラント開 発センター内 (72)発明者 早川 由美 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社機械・プラント開 発センター内 (72)発明者 三輪 敬一 東京都江東区豊洲三丁目1番15号 石川島 播磨重工業株式会社東京エンジニアリング センター内 (72)発明者 吉田 真也 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社機械・プラント開 発センター内 (72)発明者 竹脇 幸治 神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石 川島播磨重工業株式会社機械・プラント開 発センター内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜臨界水条件あるいは超臨界水条件下の
    水熱反応により重質油の脱硫を行う際に、硫黄分の分離
    促進剤として粒状の固形物を添加することを特徴とする
    重質油の硫黄分除去方法。
  2. 【請求項2】 固形物は、粒状の無機物であることを特
    徴とする請求項1記載の重質油の硫黄分除去方法。
  3. 【請求項3】 固形物は、粒状の金属であることを特徴
    とする請求項1記載の重質油の硫黄分除去方法。
  4. 【請求項4】 固形物は、水(H2O)と反応して水素
    (H2)を生成できる金属であることを特徴とする請求
    項1記載の重質油の硫黄分除去方法。
  5. 【請求項5】 固形物は、鉄酸化物であることを特徴と
    する請求項1記載の重質油の硫黄分除去方法。
  6. 【請求項6】 亜臨界水条件あるいは超臨界水条件下に
    おいて、粒状の固形物が密集状に充填された充填層の上
    方から重質油を落下させることを特徴とする請求項1〜
    5いずれかに記載の重質油の硫黄分除去方法。
  7. 【請求項7】 水熱反応の反応温度を400゜Cとする
    ことを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の重質油
    の硫黄分除去方法。
  8. 【請求項8】 粒状の固形物が内部に充填され、外部か
    ら注入された重質油を亜臨界水条件あるいは超臨界水条
    件下で水熱反応させ脱硫化油として出力する水熱反応器
    と、 前記脱硫化油から水分を除去し改質油として出力する油
    分分離器と、 を具備することを特徴とする重質油の硫黄分除去装置。
  9. 【請求項9】 固形物は、粒状の無機物であることを特
    徴とする請求項8記載の重質油の硫黄分除去装置。
  10. 【請求項10】 固形物は、粒状の金属であることを特
    徴とする請求項8記載の重質油の硫黄分除去装置。
  11. 【請求項11】 固形物は、水(H2O)と反応して水
    素(H2)を生成できる金属であることを特徴とする請
    求項8記載の重質油の硫黄分除去装置。
  12. 【請求項12】 固形物は、鉄酸化物である請求項8記
    載の重質油の硫黄分除去装置。
  13. 【請求項13】 水熱反応器は、粒状の固形物を充填し
    た充填層を有し、該充填層の上方に重質油を供給して充
    填層内を落下させることを特徴とする請求項8〜12い
    ずれかに記載の重質油の硫黄分除去装置。
  14. 【請求項14】 水熱反応器内の反応温度を400゜C
    とすることを特徴とする請求項8〜13いずれかに記載
    の重質油の硫黄分除去装置。
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