JP2001302600A - 脂肪酸アルカノールアミド化合物の製造法 - Google Patents

脂肪酸アルカノールアミド化合物の製造法

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JP2001302600A
JP2001302600A JP2000122408A JP2000122408A JP2001302600A JP 2001302600 A JP2001302600 A JP 2001302600A JP 2000122408 A JP2000122408 A JP 2000122408A JP 2000122408 A JP2000122408 A JP 2000122408A JP 2001302600 A JP2001302600 A JP 2001302600A
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Tomohiro Murayama
智洋 村山
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Kawaken Fine Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脂肪酸アルカノールアミド化合物を簡便な工
程で高純度及び高収量で製造できる方法の提供。 【解決手段】 式(I)の脂肪酸誘導体又は、これに対
応する脂肪酸のトリグリセライドと、式(II)のアルカ
ノールアミン化合物とを縮合反応させ、式(III)の脂
肪酸アルカノールアミドを製造する際に、式(II)のア
ルカノールアミンに、アルカリ処理剤(アルカリ金属の
水酸化物又はアルコラート)により前処理を施す。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗浄剤基剤及び化
粧料基剤等として有用な脂肪酸アルカノールアミド化合
物の製造方法に関するものである。更に詳しく述べるな
ら、本発明は従来の製法よりも、低温の縮合反応によ
り、分子内脱水による副生成物の生成を抑制しながら、
色相安定性良く脂肪酸アルカノールアミド化合物を製造
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】脂肪酸アルカノールアミド類は高い界面
活性作用を有するため、洗浄活性成分、化粧料基剤、乳
化剤、及び潤滑剤などとして、種々の産業分野において
広く利用されている。これらの脂肪酸アルカノールアミ
ド類の中でも、一般式(III )において、R 2 が水素原
子または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す
場合のジメチロール型アルカノールアミド、及び米国特
許2927081号に開示されているような、一般式
(III )において、R2 がヒドロキシアルキル基を示す
トリメチロール型のアルカノールアミド類は、今後の用
途の拡大が期待される脂肪酸アルカノールアミド型界面
活性剤である。
【0003】このような脂肪酸アルカノールアミド化合
物を製造するには、下記方法: 1)脂肪酸とアルカノールアミンとを反応させて直接脂
肪酸アルカノールアミドを製造する方法(米国特許第2
927081号)、 2)脂肪酸とアルカノールアミンとを反応させてオキサ
ゾリン化合物を調製し、これを大量の水、または水と低
級アルコールとの混合溶媒などを用いて加水分解する方
法(米国特許第2877245号、特開平4−2245
48、特開平4−211640、特開平5−7824
9、特開平5−86001、特開平6−192192、
特開平6−192193、特開平6−192194、及
び特開平9−3018)が知られている。
【0004】しかしながら、方法(1)においては、縮
合反応速度が遅く、実用時間内に完了しないため、収率
が悪いという問題点がある。また、方法(2)において
は、オキサゾリン化合物の加水分解する工程が、縮合反
応工程に加えて必要であり、更に加水分解条件によって
は目的物の収率も低下してしまうという問題点があっ
た。このため、脂肪酸アルカノールアミド化合物を簡便
な操作で、高純度でかつ高収率で製造する方法の開発が
望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脂肪酸アル
カノールアミド化合物を、比較的簡便な操作により、高
純度及び高収率で製造する方法を提供しようとするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、脂肪酸誘導体化合物
とアルカノールアミンとを縮合させる際、このアルカノ
ールアミンにアルカリ処理剤による前処理を施すことに
より、脂肪酸誘導体化合物とアルカノールアミンとの縮
合反応の反応温度を低くし、副生物として生成するオキ
サゾリン化合物の生成量を減少させ、さらに、他の副生
成物であるアミドエステルの生成量も減少させ、経時安
定性の良好な脂肪酸アルカノールアミドを高純度、高収
率で合成し得ることを見出し本発明を完成した。
【0007】本発明の脂肪酸アルカノールアミド化合物
の製造方法は、一般式(I)で示される脂肪酸誘導体:
【化4】 〔但し、式(I)において、R1 は、5〜21個の炭素
原子を含む、無置換の、又は、少なくとも1個のヒドロ
キシル基により置換された、直鎖又は分岐鎖のアルキル
基又はアルケニル基を表し、Xは、1〜3個の炭素原子
を有するオキシアルキル基を表す〕、又は、一般式
(I)において、Xが、−OH基を表す脂肪酸のトリグ
リセライド、と、一般式(II)で示されるアルカノール
アミン化合物:
【化5】 〔但し、式(II)において、R2 は水素原子或は、無置
換の、又はヒドロキシル基により置換された、1〜5個
の炭素原子を有するアルキル基を表し、m及びnは、そ
れぞれ互に独立に、1〜5の整数を表す。〕とを縮合さ
せて、一般式(III )で表される脂肪酸アルカノールア
ミド化合物:
【化6】 〔但し、式(III )において、R1 ,R2 ,m及びn
は、それぞれ前記定義の通り〕を製造するに際し、前記
縮合反応の前に、前記式(II)のアルカノールアミン化
合物を、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ金属のア
ルコラートから選ばれた少なくとも1種からなるアルカ
リ処理剤により前処理することを特徴とするものであ
る。本発明の製造方法において、前記アルカリ処理剤に
よる前処理が13.332〜61328.1Pa(0.1
〜460mHg )の減圧下に行われることが好ましい。本
発明の製造方法の、前記アルカリ処理剤による前処理に
おいて、前記式(II)のアルカノールアミン化合物1モ
ルに対して、前記アルカリ処理剤が、0.0001〜
0.2モル用いられることが好ましい。本発明の製造方
法において、前記アルカリ処理剤による前処理が、50
〜250℃の温度において行われることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明方法において、一般式
(I)の脂肪酸誘導体化合物又は、一般式(I)におい
てXが−OH基を示す場合の脂肪酸のトリグリセライド
と、一般式(II)のアルカノールアミド化合物とを縮合
反応させるに際し、この縮合反応の前に、前記アルカノ
ールアミド化合物を、少量のアルカリ処理剤により前処
理する。
【0009】一般に、本発明の前処理を施さずに(II)
で示されるアルカノールアミン化合物と一般式(I)で
示される脂肪酸誘導体化合物又は、式(I)において、
Xが−OH基を示すときの脂肪酸のトリグリセライドを
触媒量のアルカリ処理剤の存在下に縮合させると、一般
式(III )で示される脂肪酸アルカノールアミド化合物
が合成されるが、反応が終結する前に、下記の分子内脱
水反応によりオキサゾリン型の構造を有する副生物が生
成してしまう。
【化7】
【0010】しかし、本発明方法により、一般式(II)
で示されるアルカノールアミン化合物をアルカリ処理剤
により前処理し、その後に一般式(I)で示される脂肪
酸誘導体又は、前記脂肪酸トリグリセライドとアルカリ
前処理された式(II)のアルカノールアミド化合物とを
縮合反応させる。前処理における、反応機構は不明であ
るが、アルカリ前処理されたアルカノールアミド化合物
の縮合反応が、前処理を施さないアルカノールアミン化
合物に比較して、より低温で進行するという現象から、
縮合反応の2次反応としての分子内脱水が発生する前
に、アルカノールアミン化合物と脂肪酸誘導体又は脂肪
酸トリグリセライドとの縮合反応が完結するものと推測
される。
【0011】本発明において使用される一般式(II)の
アルカノールアミン化合物において、R2 により表され
る原子又は置換基は、例えば、水素原子、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヒドロキ
シメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル
基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、1,
2−ジヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロ
ピル基、1,3−ジヒドロキシプロピル基、などから選
ぶことができ、合成された脂肪酸アルカノールアミド化
合物の性能から考えると、R2 は特に水素原子、メチル
基、エチル基、又はヒドロキシメチル基であることが好
ましく、合成された脂肪酸アルカノールアミドの増粘効
果、ハンドリング性能の点から考えると、R2 はメチル
基及びエチル基から選ばれることが更に好ましい。ま
た、式(II)において、m,nは、それぞれ互いに独立
に1〜5個の整数を示すが、特にm=n=1の場合、当
該アルカノールアミンは、入手が容易であるという利点
を有する。
【0012】前処理において、式(II)のアルカノール
アミン化合物を処理するアルカリ処理剤は、アルカリ金
属の水酸化物及びアルコラートの1種以上を含むもので
あって、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジ
ウム、水酸化セシウム、水酸化フランシウム等を用いる
ことができ、入手のしやすさより特に水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いることが好ま
しい。またアルカリ金属アルコラート類としては、ナト
リウムメチラート、ナトリウムエチラート等が挙げられ
るが、ナトリウムメチラートが、入手の容易さから好ま
しい。
【0013】アルカリ前処理は常圧で行ってもよいが、
通常13.332〜61328.1Pa(0.1〜460
mmHg)より好ましくは13.332〜39996.6Pa
に減圧して行うことが好ましい。アルカリ前処理におい
て、アルカノールアミン化合物に対するアルカリ処理剤
の添加量として、アルカノールアミン化合物1モルに対
して、アルカリ処理剤を0.0001モル〜0.2モル
を用いることが好ましく、更に好ましくは0.0003
モル〜0.1モルである。アルカリ処理剤の添加量が、
アルカノールアミン化合物1モルに対して0.0001
モル未満であると、前処理反応の進行が遅くなり、縮合
反応における副生物の生成を防止できなくなることがあ
り、またそれが0.2モルをこえると、縮合反応により
製造された脂肪酸アルカノールアミドの中和に影響が出
るだけではなく、反応生成物の色相も悪くなることがあ
る。
【0014】アルカノールアミン化合物とアルカリ処理
剤との前処理反応は、50〜250℃の温度で行うこと
が好ましいが、70〜200℃における加熱処理がより
好ましく、特に80〜170℃で行うことがさらに好ま
しい。前処理温度が50℃未満ではアミンの活性化が不
十分であり、次の工程における脂肪酸誘導体とアルカノ
ールアミド化合物との縮合反応が有利に進行せず、発明
の効果が発現しないことがある。また、前処理温度が2
50℃をこえると、アルカノールアミン化合物の着色及
び分解等が生ずることがある。前処理時間は加熱温度に
より異なるが、通常10分〜30時間であることが好ま
しい。
【0015】前処理反応の終点は、アルカノールアミン
とアルカリ処理剤との反応により生成する水の留出が終
止したことを確認することにより認定することができ
る。
【0016】本発明方法の縮合反応に使用する脂肪酸誘
導体に関して詳しく述べる。脂肪酸誘導体は一般式
(I)で示される構造を有する脂肪酸誘導体、又は、式
(I)において、Xが−OHのとき、すなわちR1 −C
OOH(R1 は前記定義の通り)で表される脂肪酸のト
リグリセライドから選ぶことができる。
【0017】式(I)の脂肪酸誘導体としては、脂肪酸
のC1 −C3 アルキル、及び、脂肪酸トリグリセライド
類が用いられ、脂肪酸C1 −C3 アルキルエステルとし
ては、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリン
酸メチル、カプリン酸エチル、ラウリン酸メチル、ラウ
リン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸イソプ
ロピル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミ
リスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パル
ミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸メ
チル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸イソプロピ
ル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸エチ
ル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、リシノール
酸メチル、リシノール酸エチル、12−ヒドロキシステ
アリン酸メチル、12−ヒドロキシステアリン酸エチル
等及びこれらの混合物が挙げられる。また、脂肪酸トリ
グリセライドとしては、例えばヤシ油、パーム油、パー
ム核油、ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化
ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ホホバ
油、オリーブ油、なたね油等及びこれらの混合物が挙げ
られる。下記において、特に断らない限り、式(I)の
脂肪酸誘導体と、前記脂肪酸トリグリセライドとを包含
して、「脂肪酸誘導体」と称することにする。
【0018】前処理反応により活性化されたアルカノー
ルアミン化合物と脂肪酸誘導体を縮合反応させることに
より、式(III )の脂肪酸アルカノールアミド化合物が
得られる反応に供する脂肪酸誘導体の量は、反応完結時
間を短くするために、活性化されたアルカノールアミン
化合物を過剰量で用いる条件で行うことが好ましく、反
応仕込みモル比は脂肪酸誘導体:活性化アルカノールア
ミンのモル比率で1:1〜1:3であることが好まし
く、特に1:1.001〜1:2で行うことがより好ま
しい。1:3をこえるモル比を用いても縮合反応は進行
するが、過剰のアルカノールアミンを留去する工程に要
する時間が長くなること等コスト的に不利になることか
ら実質的でない。逆に、縮合反応において脂肪酸誘導体
をアルカノールアミンとのモル比率1:1より多量に用
いると、未反応エステル及びそれに派生して脂肪酸類が
副生され、製造された脂肪酸アルカノールアミドの純度
及び性能が悪化するだけではなく、本発明の前処理効果
が十分に発揮されないという不都合を生ずることがあ
る。上記モル比に関し、脂肪酸誘導体のモル数は、脂肪
酸残基(R1 −CO−)のモル数を表す。
【0019】本発明方法における縮合反応は、無溶媒で
も行うことができるが、原料の混合を助ける意味で溶媒
を使用することもできる。使用される溶媒としては、ヘ
キサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、クロロ
ホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメ
チルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール等が挙げられ、脂肪酸誘導体
量に対して0.1〜10重量倍用いるのが好ましい。
【0020】本発明方法において、脂肪酸誘導体と活性
化アルカノールアミンの縮合反応は、空気雰囲気下で行
ってもよく、または窒素雰囲気下で行ってもよく、また
常圧、或は減圧下において行うことが可能であるが、脂
肪酸アルキルエステル類を脂肪酸誘導体として用いる場
合には、縮合反応を、生成する低級アルコールを減圧下
において、留去しながら行うことが好ましい。縮合反応
温度は30℃〜150℃で行うことができるが、40℃
〜140℃が好ましく、特に45℃〜130℃がより好
ましい。縮合反応温度が150℃以上では、副生成物で
あるオキサゾリン化合物が多量に生成してしまうことが
あるので好ましくない。また、反応温度が30℃未満で
は、反応が完全に進行しないことがあるので好ましくな
い。
【0021】ここで本発明の製造方法の反応の流れを示
すと以下のようになる
【化8】
【0022】この時副生する式(IV)のオキサゾリン化
合物の量は、前処理を施さない通常の縮合反応において
は10〜20重量%を占めるが、本発明方法によると、
それは1.0重量%以下に低減化される。さらに、式
(V)のアミドエステル化合物の生成量も通常の反応で
は1〜5重量%を占めるが、本発明方法によると、0.
1重量%以下に低減化される。
【0023】また、本発明方法において、脂肪酸誘導体
の代りに、脂肪酸その物を使用したときは、本発明の効
果が発現しないことが実験的に確認されている。この現
象の理由は、恐らく前処理反応により得られた活性化さ
れたアルカノールアミン化合物の活性種が酸による中和
反応等で失活し、本発明方法による前処理効果が発現し
ないものと考えられる。
【0024】本発明方法により得られた式(III )の脂
肪酸アルカノールアミド化合物は、実際の使用に差し支
えの無い範囲であれば、若干の不純物を含んだまま使用
してもよく、また製品の性能、品質などの向上が必要な
場合には、カラムクロマトグラフィー、蒸留等の常法に
従って精製して使用することもできる。本発明方法によ
り得られた脂肪酸アルカノールアミド化合物を洗浄剤・
化粧料等に配合する場合、その配合量には特に限定はな
いが、通常0.1〜90重量%の配合量で用いられるこ
とが好ましく特に0.5〜50重量%がより好ましい。
【0025】本発明方法により製造された脂肪酸アルカ
ノールアミド化合物を化粧料に配合する場合には、本発
明方法の効果を損ねない範囲内で、必要に応じて化粧料
成分として一般的に使用されている他の界面活性剤、油
分、保湿剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート
剤、pH調整剤、増粘剤、パール化剤、酸化防止剤、防腐
剤、ふけ防止剤、色素、香料、アニオン性ポリマー、シ
リコーン誘導体等と配合することができ、クリーム、化
粧水、化粧乳液、口紅、ファンデーション、シャンプ
ー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディシ
ョナー、コンディショニングブロー剤等を用いることが
できる。
【0026】
【実施例】本発明を下記実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0027】実施例1 N−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピル−ラウリン酸
アミド(3a)の合成 温度計、還流冷却器、攪拌機、蒸留装置を備えた容量5
00mlの反応容器に、2−アミノ−2−エチル−1,3
−プロパンジオール122.7g(1.03mol )と、
水酸化ナトリウム0.8g(0.02mol )とを仕込
み、反応容器内を窒素置換後、2666.4〜399
9.7Pa(20〜30mmHg)に減圧した。その後反応混
合物の温度を120〜130℃に昇温し、この温度に1
時間保持した。水の留出が完全に止まったことを確認
し、反応混合物を60℃まで冷却後、これにラウリン酸
メチル214.2g(1.00mol )を、減圧下に添加
し、この反応混合物を2666.4〜3999.7Pa
(20〜30mmHg)、65〜70℃の反応条件下で、反
応させ、生成するメタノールを留去しながら、1時間の
熟成を施し、反応終了を薄層クロマトグラフィーにより
確認後、40℃まで冷却したところ、アルカノールアミ
ド(3a)302.9gの収量(収率99.1%)で得
られた。
【0028】実施例2 N−ビス(ヒドロキシメチル)−エチル−ラウリン酸ア
ミド(3b)の合成 温度計、還流冷却器、攪拌機、蒸留装置を備えた容量5
00mlの反応容器に、2−アミノ−2−メチル−1,3
−プロパンジオール107.2g(1.05mol )と水
酸化ナトリウム0.4g(0.01mol )とを仕込み、
容器内を窒素置換した後、2666.4〜3999.7
Pa(20〜30mmHg)に減圧した。その後反応混合物の
温度を120〜130℃に昇温し、この温度を1時間保
持した。水の留出が完全に止まったことを確認した後、
反応混合物を60℃まで冷却後、これにラウリン酸メチ
ル214.2g(1.00mol )を減圧下に添加し、2
666.4〜3999.7Pa(20〜30mmHg)、65
〜70℃の条件下に、生成するメタノールを留去しなが
ら1時間熟成を施した。薄層クロマトグラフィーによっ
て反応終了を確認した後、反応生成物を40℃まで冷却
したところ、目的アルカノールアミド(3b)が29
1.5gの収量(収率99.5%)で得られた。
【0029】実施例3 N−ビス(ヒドロキシメチル)−メチル−ラウリン酸ア
ミド(3c)の合成 温度計、還流冷却器、攪拌機、蒸留装置を備えた容量5
00mlの反応容器に、2−アミノ−1,3−プロパンジ
オール95.67g(1.05mol )と、水酸化ナトリ
ウム0.8g(0.02mol )とを仕込み、容器内を窒
素置換後、2666.4〜3999.7Pa(20〜30
mmHg)に減圧した。その後反応混合物の温度を120〜
130℃に昇温し、この温度を1時間保持した。水の留
出が完全に止まったことを確認し、60℃まで冷却後、
これにラウリン酸メチル214.2g(1.00mol )
を減圧下に添加し、反応混合物に、2666.4〜39
99.7Pa(20〜30mmHg)、65〜70℃の条件下
で、生成するメタノールを留去しながら、1時間熟成を
施し、薄層クロマトグラフィーによって反応終了を確認
した後、反応生成物を40℃まで冷却したところ、目的
アルカノールアミド(3c)が275.8gの収量(収
率99.0%)で得られた。
【0030】実施例4 N−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピル−ヤシ脂肪酸
アミド(3d)の合成 温度計、還流冷却器、攪拌機、蒸留装置を備えた容量1
lの反応容器に、2−アミノ−2−エチル−1,3−プ
ロパンジオール337.8g(1.05mol )と水酸化
ナトリウム2.2g(0.02mol )とを仕込み、反応
容器内を窒素置換した後、2666.4〜3999.7
Pa(20〜30mmHg)に減圧した。その後反応混合物の
温度を120〜130℃に昇温し、この温度を1時間保
持した。水の留出が完全に止まったことを確認した後、
反応混合物を60℃まで冷却後、これにヤシ油591.
8g(0.90mol )を減圧下に添加し、2666.4
〜3999.7Pa(20〜30mmHg)、65〜70℃の
条件下で、反応混合物に、生成するメタノールを留去し
ながら、1時間熟成を施し、薄層クロマトグラフィーに
より反応終了を確認した後、反応生成物を40℃まで冷
却したところ、目的アルカノールアミド(3d)が92
9.9gの収量(収率99.8%)で得られた。
【0031】実施例5 N−トリス(ヒドロキシメチル)ラウリン酸アミド(3
e)の合成 温度計、還流冷却器、攪拌機、蒸留装置を備えた容量5
00mlの反応容器に、トリスヒドロキシアミノメタン1
27.20g(1.05mol )と水酸化ナトリウム0.
8g(0.02mol )とを仕込み、容器内を窒素置換
後、2666.4〜3999.7Pa(20〜30mmHg)
に減圧した。その後反応混合物の温度を120〜130
℃に昇温し、この温度を1時間保持した。水の留出が完
全に止まったことを確認し、反応系を60℃まで冷却
後、これにラウリン酸メチル214.2g(1.00mo
l )を減圧下に添加し、この反応系を2666.4〜3
999.7Pa(20〜30mmHg)、100〜110℃の
条件下で、生成するメタノールを留去しながら、1時間
熟成し、薄層クロマトグラフィーにより反応の終了を確
認した後、反応生成物を40℃まで冷却したところ、目
的アルカノールアミド(3e)が308.3gの収量
(収率99.4%)で得られた。
【0032】実施例6 N−トリス(ヒドロキシメチル)イソステアリン酸アミ
ド(3f)の合成 温度計、還流冷却器、攪拌機、蒸留装置を備えた容量5
00mlの反応容器に、トリスヒドロキシアミノメタン1
27.20g(1.05mol )と水酸化ナトリウム1.
2g(0.03mol )とを仕込み、容器内を窒素置換
後、2666.4〜3999.7Pa(20〜30mmHg)
に減圧した。その後反応系の温度を120〜130℃に
昇温し、この温度を1時間保持した。水の留出が完全に
止まったことを確認し、反応系を60℃まで冷却後、こ
れにイソステアリン酸メチル298.5g(1.00mo
l )を減圧下に添加し、2666.4〜3999.7Pa
(20〜30mmHg)、65〜70℃で、生成するメタノ
ールを留去しながら、1時間熟成した。薄層クロマトグ
ラフィーによって反応が終了したことを確認した後、反
応生成物を40℃まで冷却したところ、目的アルカノー
ルアミド(3f)が392.5gの収量(収率99.5
%)で得られた。
【0033】比較例1 N−ビス(ヒドロキシメチル)−プロピル−ラウリン酸
アミド(3a)の前処理なし合成 温度計、還流冷却器、攪拌機、蒸留装置を備えた容量1
lの反応容器に、ラウリン酸200.3g(1.00mo
l )と、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジ
オール154.9g(1.30mol )とを仕込み、窒素
気流下に攪拌しながら、反応系を160〜170℃に昇
温した。その後反応系を66660Pa(500mmHg)に
減圧し、生成する水を留去しながら、160〜170℃
で4時間反応を行った。薄層クロマトグラフィーにより
反応が完全に終了したことを確認し、未反応の2−アミ
ノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールを留去する
ため、反応系内を133.32Pa(1.0mmHg)に減圧
し、170℃で一時間加熱して、計算量の2−アミノ−
2−エチル−1,3−プロパンジオールを留去後、反応
生成物を室温まで冷却したところ、アルカノールアミド
(3a)とオキサゾリン化合物(4a)の混合物が28
6.5gの収量(収率:92.9%)で得られた。
【0034】比較例2 N−トリス(ヒドロキシメチル)ラウリン酸アミド(3
e)の前処理なし合成 温度計、還流冷却器、攪拌機、蒸留装置を備えた容量1
lの反応容器に、ラウリン酸メチル214.2g(1.
00mol )とトリスヒドロキシアミノメタン127.2
g(1.05mol )と、28%ナトリウムメトキシド−
メタノール溶液5.79g(0.02mol )とを仕込
み、反応系を窒素気流下に攪拌しながら、160〜17
0℃に昇温し、その後反応系内を47995.2Pa(3
60mmHg)に減圧し、生成するメタノールを留去しなが
ら160〜170℃で3時間反応を行った。薄層クロマ
トグラフィーにより、反応が完全に終了したことを確認
した後、反応生成物を70℃まで冷却し、エタノール3
00mlに溶解し、攪拌しながら80℃に昇温した。そこ
へ蒸留水300mlを添加し、さらに90℃に昇温し、1
6時間加熱還流した。反応系にエタノールを加えて、エ
バポレーターで過剰の水を共沸脱溶媒したところ、目的
アルカノールアミド(3e)が303.7gの収量(収
率97.8%)で得られた。
【0035】試験 (1)実施例1〜6の生成物が目的のアルカノールアミ
ドであることの確認 実施例1で調製されたN−ビス(ヒドロキシメチル)−
プロピル−ラウリン酸アミド(3a)の化学構造につい
て、 1H−NMR(CDCl3 溶媒)及びIR(neat)
により試験した。 1H−NMRの結果を図1,2に示
し、IRの結果を図3に示す。図1及び図2において、
1H−NMRの吸収ピークと、N−ビス(ヒドロキシメ
チル)−プロピル−ラウリン酸アミド(3a)の化学構
造との対応が示されている。図1及び図2から、実施例
1において得られた最終化合物が、所望の化学構造を有
する化合物であることが確認された。
【0036】また、図3のIRチャートでは、3312
cm-1(O−H伸縮)、2925,2855cm-1(C−H
伸縮)、1650cm-1(C=O伸縮)、1551cm
-1(N−H変角)、1462,1379cm-1(C−H変
角)、1065cm-1(C−O伸縮)が観察され、この化
合物3aが図2に記載の化学構造を有することが支持さ
れた。
【0037】実施例2〜6の各最終化合物についても、
実施例1と同様に、所望の化学構造を有することが確認
された。
【0038】(2)オキサゾリン化合物の定量 本発明に係る実施例1〜6の最終化合物、及び比較例
1,2の最終化合物中に、副生成物として含まれるオキ
サゾリン化合物(式(IV))及びアミドエステル化合物
(式(V))について高速液体クロマトグラフィーによ
る定量を行った。 検出器:紫外部吸光光度計 カラム:内径4.6mm、長さ150mmのステンレス管に
充填剤としてブチル基を化学的に結合した粒径5μmの
シリカゲルを充填したもの 測定温度:40℃付近の一定温度 移動相:リン酸でpH2.0に調整した0.03Mリン酸
水素二ナトリウム水溶液・アセトニトリル混液(30:
70) 流量:毎分1ml付近の一定量 測定結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1より、本発明方法におけるアルカリ前
処理工程が、副生成物((IV),(V))の生成を著く
低下させ得ることが確認された。
【0041】(3)アルカノールアミドの色相・におい
の経時変化 本発明に係る実施例1〜6及び比較例1〜6の生成化合
物を、50℃及び−5℃の温度において1ケ月間依存
し、50℃保存品の色相・においを−5℃保存品と比較
して、経時変化を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2は、本発明方法により前処理を施した
後に製造された脂肪酸アルカノールアミド化合物は50
℃の加熱保存試験の後においても、−5℃保存のものに
くらべて、良好な色相及びにおいを有することが確認さ
れた。
【0044】
【発明の効果】本発明に係る脂肪酸アルカノールアミド
型界面活性化合物の製造方法は、洗浄剤助剤、化粧品基
剤、潤滑剤などとして広い用途を有する脂肪酸アルカノ
ールアミド化合物を簡便かつ高純度、高収率で製造する
ことができ、従って、きわめて高い実用性を有するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の生成化合物の 1H−NMRチャー
ト。
【図2】実施例1の生成化合物の 1H−NMRチャー
ト。
【図3】実施例1の生成化合物のIRチャート。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で示される脂肪酸誘導体: 【化1】 〔但し、式(I)において、R1 は、5〜21個の炭素
    原子を含む、無置換の、又は、少なくとも1個のヒドロ
    キシル基により置換された、直鎖又は分岐鎖のアルキル
    基又はアルケニル基を表し、Xは、1〜3個の炭素原子
    を有するオキシアルキル基を表す〕、 又は、一般式(I)において、Xが、−OH基を表す脂
    肪酸のトリグリセライド、と、一般式(II)で示される
    アルカノールアミン化合物: 【化2】 〔但し、式(II)において、R2 は水素原子或は、無置
    換の、又はヒドロキシル基により置換された、1〜5個
    の炭素原子を有するアルキル基を表し、m及びnは、そ
    れぞれ互に独立に、1〜5の整数を表す。〕とを縮合反
    応させて、一般式(III )で表される脂肪酸アルカノー
    ルアミド化合物: 【化3】 〔但し、式(III )において、R1 ,R2 ,m及びn
    は、それぞれ前記定義の通り〕を製造するに際し、 前記縮合反応の前に、前記式(II)のアルカノールアミ
    ン化合物を、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ金属
    のアルコラートの少なくとも1種からなるアルカリ処理
    剤により前処理することを特徴とする、脂肪酸アルカノ
    ールアミド化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ処理剤による前処理が1
    3.332〜61328.1Pa(0.1〜460mHg )
    の減圧下に行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ処理剤による前処理におい
    て、前記式(II)のアルカノールアミン化合物1モルに
    対して、前記アルカリ処理剤が、0.0001〜0.2
    モル用いられる、請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ処理剤による前処理が、5
    0〜250℃の温度において行われる、請求項1に記載
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005538151A (ja) * 2002-09-05 2005-12-15 ディービーエル・オーストラリア・プロプライアタリー・リミテッド 尿素−、グリセラート−及びヒドロキシアミド−頭部形成した炭化水素鎖のリオトロピック相形成性界面活性剤
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