JP2001302394A - シリコン単結晶の点欠陥領域と微小欠陥分布のシミュレーション方法 - Google Patents

シリコン単結晶の点欠陥領域と微小欠陥分布のシミュレーション方法

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JP2001302394A
JP2001302394A JP2000126744A JP2000126744A JP2001302394A JP 2001302394 A JP2001302394 A JP 2001302394A JP 2000126744 A JP2000126744 A JP 2000126744A JP 2000126744 A JP2000126744 A JP 2000126744A JP 2001302394 A JP2001302394 A JP 2001302394A
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Puzaanofu Nikolai
プザーノフ ニコライ
Aidenzon Aanya
アイデンゾン アーニャ
Puzaanofu Dimitrie
プザーノフ ディミトゥリ
Jun Furukawa
純 古川
Kazuhiro Harada
和浩 原田
Naoki Ono
直樹 小野
Yasushi Shimanuki
康 島貫
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Mitsubishi Materials Silicon Corp
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Mitsubishi Materials Silicon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CZ法により成長したシリコン単結晶に観察
される全ての微小欠陥のパターンを実際の成長条件に対
して、一組のモデル定数で実質的に再現する。 【解決手段】 結晶化速度をV’、引上げ速度をV、結
晶のトップから三重点までの距離をl(t)、固液界面の
凸状高さをh、過渡的なプロセスの時定数をτとし、V
を変化させて引上げるとき、次の式(1a)、(1
b)、(2a)及び(2b)に基づいて、三重点の引上
げ速度Vm を式(3)により求めることを特徴とするシ
リコン単結晶の点欠陥領域と微小欠陥分布のシミュレー
ション方法である。 【数9】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョクラルスキー
(以下、CZという。)法により成長したシリコン単結
晶中の点欠陥領域と微小欠陥分布(microdefect distri
bution)のコンピュータシミュレーション方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】いかなる微小欠陥もないか、或いは所望
の微小欠陥密度を有する、電子的用途に適する高品質の
大口径のシリコン結晶を製造することは、未だに難題で
ある。近年、様々な研究グループがシリコン融液から成
長したシリコン結晶中に観察される微小欠陥の分布を再
現するコンピュータシミュレーションを広く用いてきて
いる。そしていくつかの研究でシミュレーションと実験
が良く一致したことが報告されている(Habu R and Tom
iura A, Jpn.J.Appl.Phys. 35, 1-9 (1996); Sinno T,
Brown R A, von Ammon W and Dornberger E, Electroch
em. Soc. 145 302-18 (1998); Nakamura K, Saishoji
T, Kubota T, Iida T, Shimanuki Y, Kotooka T and To
mioka J, J.Crystal Growth 180 61-72 (1997); Puzano
v N I, Eidenzon A M and Puzanov D N, J.Crystal Gro
wth 178 468-78 (1997))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記研
究報告では、CZ結晶中の酸化誘起積層欠陥のリング
(以下、R−OSFという。)を特に強調して、研究で
行った実験をせいぜい説明しているに過ぎない。更に、
シミュレーションに内在する全く異なるモデルの想定
と、異なった研究で用いられた物理的定数値の広いばら
つきから、この問題が解決にほど遠いことが暗示され
る。本発明の目的は、CZ法により成長したシリコン単
結晶に観察される全ての微小欠陥のパターンを実際の成
長条件に対して、一組のモデル定数で実質的に再現でき
るシミュレーション方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
結晶化速度をV’、引上げ速度をV、結晶のトップから
三重点までの距離をl(t)、固液界面の凸状高さをh、
過渡的なプロセスの時定数をτとし、Vを変化させて引
上げるとき、次の式(1a)、(1b)、(2a)及び
(2b)に基づいて、三重点の引上げ速度Vmを式
(3)により求めることを特徴とするシリコン単結晶の
点欠陥領域と微小欠陥分布のシミュレーション方法であ
る。但し、Lが結晶の最終長であって、l<Lであると
き、l(t)には式(1a)が適用され、l>Lであると
き、l(t)には融液表面から結晶のトップまでの距離と
して式(1b)が適用される。
【0005】
【数2】
【0006】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
説明する。 (1) シミュレーションモデルの定式化 本発明では、結晶成長中及び冷却中での固有の点欠陥、
即ち空孔型点欠陥及び格子間シリコン型点欠陥の濃度と
分布について計算する。点欠陥の凝集や微小欠陥の核形
成には言及しない。1000℃以下の凝集温度で得られ
る点欠陥濃度がある臨界的な濃度以上である領域とし
て、既知の微小欠陥の種(species)を有する領域が決
められる。図1は参照用の系を示す。座標(r,z)の静止
した円柱状の系を位置決めすることにより、z=0の面
は平坦な固液界面(界面が湾曲しているときには、z=
0は固体と液体と気体の三重点(tri-junction)を通る。
図1(a)参照。)、或いは融液表面(結晶が融液から
引上げられたときには、図1(b)参照。)に一致す
る。別の円柱状の系(r,l)は結晶の上面(トップ)に付
けられ、静止した系に関して結晶の引上げ速度に等しい
速度V(t)で動く。結晶のトップから上記三重点までの
距離l(t)は、次の式(1a)で表される。
【0007】
【数3】
【0008】ここで、V'は成長(結晶化)速度であ
り、次に示す引上げ速度と相違し得る。Lを最終的な結
晶長として、l<Lであるとき、式(1a)は現時点の
結晶長lが時間とともに増加することを示している。l
>Lに対しては、次の式(1b)が融液表面から結晶の
トップまでの距離l(t)で与えられる。
【0009】
【数4】
【0010】上記l又はV'の双方の関数である、軸対
称温度領域T=f(r,z)は、静止した座標系で定義され
る(図1)。成長中の結晶l(t)のボトム面における温
度は融点T0に等しく設定される。これに対して結晶の
他の点の温度は時間とともに変化する。l>Lであると
き、ボトム面の温度は時間とともに変化する。この手法
により、融液からの結晶の引上げとそれに続く冷却につ
いて説明する。
【0011】定常状態の引上げ成長では、結晶化速度
V'は引上げ速度Vに等しい。しかし、Vが急激に変化
した後では、V'はその固有の熱遅延(inherent thermal
lag)により新しい定常状態の速度を直ちにならない。
このプロセスを説明するために、本発明では引上げ速度
における変化を図2に示される固液界面の凸状(meniscu
s)高さhの変化に随伴することを考慮している。時間と
ともに変化するこの凸状高さは次の式(2a)で表され
る。 dh(t)/dt + (1/τ)h(t) = V(t) (2a) ここで、τは過渡的なプロセスの時定数である。これを
微分することにより、鉛直方向に移動する次の式(2
b)で表される三重点の引上げ速度Vmが得られる。 dVm(t)/dt + (1/τ)Vm(t) = dV(t)/dt (2b) この式(2b)で求められるVmにより、三重点の結晶
化速度V'は次の式(3)で示される。 V' = V−Vm (3) 本発明では、凸状界面の動きによる遅延は固液界面での
どの点でも同じと仮定する。また引上げ速度Vを変化し
た後、温度領域T(r,z)が結晶化速度V'に即座に調整す
ることも仮定している。
【0012】次のファクタとプロセスはモデルに含まれ
る。即ち、結晶に対しては、可変の引上げ速度V(t)、
引上げ速度Vに隠れた結晶化速度V'の遅延を考慮した
過渡的なプロセス、時間とともに増加する結晶長l
(t)、l又はV'に依存した温度領域T(r,z)、及び固液
界面の実際の形状がモデルに含まれる。また固有の点欠
陥に対しては、動いている結晶中での移動、Fickian拡
散と熱拡散、空孔型点欠陥と格子間シリコン型点欠陥の
再結合、及び結晶表面での熱処理が含まれる。格子間シ
リコン型点欠陥濃度Ci(r,l)の計算式が次の式(4a)
に、空孔型点欠陥濃度Cv(r,l)の計算式が次の式(4
b)で示される。両式において、濃度C i(r,l)及び濃度
v(r,l)の経時的進展を計算するために、格子間シリコ
ン型点欠陥と空孔型点欠陥の熱平衡が結晶の側面(r=
R)、上面(l=0)及び固液界面では維持されると仮定す
る。
【0013】
【数5】
【0014】ここで、K1及びK2は定数、Ei及びEv
それぞれ空孔型点欠陥及び格子間シリコン型点欠陥の形
成エネルギー、肩付き文字eは平衡量を意味する。参照
の動いているフレームにおける平衡式は時間で微分さ
れ、空孔型点欠陥及び格子間シリコン型点欠陥に対して
それぞれ次の式(5a)及び式(5b)になる。
【0015】
【数6】
【0016】式(5a)及び(5b)のそれぞれ右側の
第1項のDv及びDiは、次の式(6a)及び(6b)に
示すように拡散係数を有するFickian拡散を表す。
【0017】
【数7】
【0018】ここで△Ev及び△Eiはそれぞれ空孔型点
欠陥及び格子間シリコン型点欠陥のマイグレーションの
活性化エネルギーであり、dv及びdiはそれぞれ定数で
ある。式(5a)及び(5b)のそれぞれ右側の第2項
【0019】
【数8】
【0020】は熱拡散を表し、これらは点欠陥の移動で
減少した熱と通常呼ばれている(Sinno T, Brown R A,
von Ammon W and Dornberger E, Electrochem. Soc. 14
5 302-18 (1998))。しかしシリコンにこれらの値は利
用できないので、本発明ではパラメータとしている。式
(5a)及び(5b)のそれぞれ右側の第3項は、空孔
型点欠陥及び格子間シリコン型点欠陥の再結合(生成)
に起因した点欠陥の濃度変化を示す。ここでkivは上記
再結合のための反応速度である。このモデルの定式化で
空孔型点欠陥及び格子間シリコン型点欠陥の質量作用法
則の逸脱の可能性がある。
【0021】本発明では、これら一連の式(5a)、
(5b)、(6a)及び(6b)を式(1)、(2
a)、(2b)、(3)、(4a)及び(4b)ととも
に図1の参照動作フレームにおける空孔型点欠陥及び格
子間シリコン型点欠陥の進展を計算するために用いる。
この定式化では、成長中の結晶での点欠陥の移動は鉛直
軸に沿って、l(t)≦Lのときの下部境界(ボトム面)
の転換を通して含まれることに注目する必要がある。こ
のモデルに基づいて、本発明では格子間シリコン型点欠
陥濃度Ciと空孔型点欠陥濃度Cv及びその差△=Ci
vを計算できるコードを作成している。計算に必要な
入力データは、R,V(l),T(r,z,l/V),L、及び引上
げ速度に関連した過渡プロセスのパラメータである。
【0022】(2) 成長中の結晶の温度領域の計算 成長中の結晶で得られる温度領域T(r,z)を計算するた
めに、本発明ではDupretら(F.Dupret, P.Nicodeme, Y.
Ryckmans, P.Wouters, and M.J.Crochet, Int.J.Heat M
ass Transfer, 33 No.9 1849 (1990))によって開発さ
れたFEMAGと呼ばれる有限要素コードを用いてい
る。このシミュレータはCZ引上げ機の内部固体構造の
内側の熱伝導と壁間の放熱移動を考慮し得る包括的な熱
移動モデルである。計算では軸対称の近似が採用され
る。不活性ガスの気流による熱移動及び石英ルツボ中の
融解したシリコンの気流は無視される。引上げ速度が増
加したとき、或いは引上げプロセスが停止したときの過
渡的な状況をシミュレーションするために、FEMAG
による時間に依存した計算がなされた(N.Man den Boga
ert and F.Dupret, J.Crystal Growth 171 65 (199
7))。このモデル化では、結晶の直径は一定に決めら
れ、現時点の結晶長V(l)(又は時間V(t))の関数とし
ての引上げ速度の予定が入力データとして与えられる。
結晶長は自動的に引伸ばされ、ルツボの位置は自動的に
融液表面が一定となる位置に上昇される。
【0023】(3) シミュレーションモデルの定数 モデルの定数を評価するために、本発明ではペデスタル
(pedestal)法で成長したシリコン結晶に関して良く説明
されているロックスノアの実験(Roksnoer P J, J.Crys
tal Growth 68 596-612 (1984))へのシミュレーション
を行った。この独創性に富んだ実験は非常に多様の微小
欠陥を作り出す広範囲の成長条件を特色とする。本発明
のシミュレーションは次のモデル定数値がロックスノア
の実験に良く一致する。即ち、Ei=Ev=5eV,△E
i=△Ev=1.2eV,Ei t=E v t=Et=3eV,D
i0=5×10-4cm2/s,Dv0=3.55×10-4
2/s,q=Cv0/Ci0=1.031(Di0、Dv0
びqは、それぞれ融点での格子間シリコン型点欠陥及び
空孔型点欠陥の拡散度(diffusivities)及びこれらの点
欠陥の平衡濃度の比である。)及びkiv=∝(即ち質量
作用式は直ちに成立する。) (4) CZ成長結晶に対するシミュレーション 温度領域は上記(3)で述べたように実際の成長系で計算
される。点欠陥分布をシミュレートするために、温度領
域は一定の結晶長lsと一定の引上げ速度Vsに相応する
ファイルの形態で入力される。このlとVの中間の値に
は、プログラムが温度データを自動的に改変する。もし
T(r,z)=f(V)であれば、プログラムはT(r,z)=f
(V')を決定する。シミュレーションの結果は結晶の軸方
向断面の△=Ci−Cvの輪郭線で、△<0の空孔型点欠
陥領域と、△>0の格子間シリコン型点欠陥領域ととも
に異なったハッチングで表される。実験による観察を再
現するために、CZ法で成長した結晶で求めた1000
℃における空孔型又は格子間シリコン型の臨界濃度は、
空孔型に関連した欠陥(A'欠陥又はD欠陥)に対して
* A'≦−0.03%Ci0が、格子間シリコン型に関連
したB欠陥に対して0.02%Ci0≦C* B≦0.05%
i0が、また格子間シリコン型に関連したA欠陥に対し
てC* A≧0.05%C i0が示される(ここで、Ci0は固
液界面の格子間シリコン型点欠陥の平衡濃度であ
る。)。
【0024】(4-1) 非定常成長 本発明の第1の実施の形態では、132mmの直径のボ
ロンをドープした結晶(ρ=10Ωcm)で形成される
微小欠陥分布のシミュレーションを行った。図3aに示
すように、この結晶は単調にV(l)を増速して引上げら
れた。シミュレーションは十分に詳細な考慮の下、微小
欠陥パターンを再現する。図3bはX線トポグラフ像を
示す。図3bの左側には乾燥O2雰囲気下、1000℃
で40時間熱酸化処理して酸素析出物を出現させた状況
が示され、図3bの右側には湿潤O2雰囲気下、110
0℃で1時間熱処理して得られたOSF分布の状況が示
される。図3bと図3cには、l=200〜400mm
に相当する結晶部が示される。この結果、結晶上部に現
れる格子間シリコン型の微小欠陥は、引上げ速度が増加
するとともに空孔型点欠陥により徐々に変化する。図3
cに示すように、無欠陥ギャップの形状はシミュレーシ
ョンにより正確に予測できる。この無欠陥ギャップは熱
処理後に現れる酸素析出パターンで黒い帯として明示さ
れる(図3bの左側)。更に本実施の形態では、R−O
SFの実際の幅と位置が1000℃で得られる空孔型点
欠陥濃度のある領域、即ち−0.12%Ci0≦C* R-OSF
≦−0.07%Ci0に相当することを見出した。このこ
とはR−OSFゾーンを予測する公式の基準として利用
できる。
【0025】(4-2) 引上げの一時的停止 本発明の第2の実施の形態では、引上げの一時停止時間
を有して成長した結晶に観察される微小欠陥分布を再現
する。本実施の形態では、図4に示すように132mm
の直径のリンをドープした結晶を引上げているときに、
△τ=0時間から△τ=4時間まで引上げを停止した際
の、この引上げ停止したことによって生じる微小欠陥の
分布のシミュレーションを行った。図4には引上げ速度
Vと結晶長lの関係が示される。この現象を再現するた
めに、熱拡散を含ませること及び引上げ速度の変化後の
過渡的なプロセスを考慮することが必須である。温度領
域は引上げ速度V=0.65mm/分と引上げを一時的
に停止したV=0mm/分で計算された。全てのモデル
の定数値は、R−OSF帯の内部での微小欠陥の生成と
空孔型点欠陥濃度で要求される臨界濃度(C* R-OSF)を
含み、この値は上記第1の実施の形態の(4-1)の定数値
と同じである。引上げの一時停止を模擬するために、本
実施の形態では、結晶長△lに対して非常に遅い引上げ
速度(0.02mm/分)を設定した。ここでは図4に
示すように、引上げの一時停止時間△τが0.5時間か
ら4時間に変化するのに対して、△lは0.06mmか
ら4.8mmまで変化する。
【0026】引上げの一時停止点に関して異なった欠陥
領域の位置を正確に再現するために、Vの急激な変化を
伴う過渡的なプロセスを考慮することが重要である。過
渡的な期間の温度領域の改変は実際の結晶化速度V'(t)
を考慮することにより行われる。この過渡的なプロセス
の時定数τは未知であるため、シミュレーションの結果
を実験に合わせることによりこれを見出した。時定数τ
=15分のとき、実験で観察された微小欠陥パターンと
良く一致した。引上げの一時停止を行わずに引上げ速度
を変えた場合のシミュレーションでこのことを実証す
る。図5は、τ=15分で計算された一時停止のないV
対lとV'の対応する線図を示す。過渡的なプロセスを
含むことが低速で成長した結晶部△lを広げ、V'の最
小値をVの最小の点から約10mmからシフトさせるこ
とが判る。また最小の結晶化速度V’(約0.1mm/
分)は最小の引上げ速度V(0.02mm/分)より高
い。
【0027】図6a及び図6bは引上げの一時停止はな
いが、引上げ速度を変えて成長した直径132mmのシ
リコン結晶を示す図である。図6aは過渡的なプロセス
(τ=15分)のあるシミュレーション結果を、また図
6bは過渡的なプロセスのないシミュレーション結果を
それぞれ示す。△=Ci−Cvの輪郭線が示され、陰の部
分はR−OSF帯に相当する。双方の微小欠陥分布は引
上げ速度の減少によりもたらされたR−OSF帯の顕著
な湾曲を示している。しかしながら、実験結果の図7a
とこの図6aを比較すると、Vに隠れたV'の無視はR
−OSF帯の位置について正しくない予測をもたらすこ
とになるのが判る。事実、実験結果はR−OSF帯が結
晶中心に最も近い引上げ一時停止点から10mmの距離
と位置を示している(図7aの右側)。これに対してシ
ミュレーションはこの距離が約20mmであると予測し
ている(図6b)。τ=15分を有する過渡的なプロセ
ス(図6a)を含むことは実験結果と良く一致する(図
7aの右側)。
【0028】図7b、図7d、図7f及び図7hはτ=
15分で得られたように異なった時間引上げが一時停止
したときのシミュレーション結果を示している。図7
a,図7c,図7e及び図7gには132mmの直径の
リンをドープした結晶(ρ=10Ωcm)をV=0.6
5mm/分で引上げ、異なる停止時間△τで停止したと
きの軸方向断面における微小欠陥分布がX線トポグラフ
像により示される。これらの図に左側には乾燥O2雰囲
気下、1000℃で40時間熱酸化処理して酸素析出物
を出現させた状況が示され、これらの図の右側には湿潤
2雰囲気下、1100℃で1時間熱処理して得られた
OSF分布の状況が示される。図7の左側に結晶長に従
って変化する引上げ速度Vが示される。図7から明らか
なように、シミュレーションの結果が実験に良く一致し
ていることが判る。図7a、図7c、図7d及び図7g
にそれぞれ示されるA欠陥、B欠陥、A'(D)欠陥及び
R−OSF帯の存する位置や形状やサイズのような微小
欠陥パターンのX線トポグラフ像で見られる全ての特徴
が、図7b、図7d、図7f及び図7hに示されるシミ
ュレーションによって再現される。この結果、例えば引
上げの一時停止なし(△τ=0)でVを0.65mm/
分から0mm/分に減小すると、図7a及び図7bに示
すようにR−OSF帯が結晶軸の方向にシフトする。引
上げの一時停止時間が短い(△τ=30分)では、シミ
ュレーションは、R−OSF帯が結晶軸へ広がりなが
ら、無欠陥ギャップが分離した空孔型点欠陥領域の間に
形成することを予測する(図7d)。格子間シリコン型
のA欠陥及びB欠陥は引上げの一時停止時間が長く(△
τ=1時間)なると現れることが予測される(図7
f)。図7fの△τ=1時間と図7hの△τ=4時間の
比較から明らかなように、△τが増加するに従って、格
子間シリコン型点欠陥領域は静止した固液界面から更に
伸びる。R−OSF帯の形状のみならず、全てのこれら
の予測は実験と良く一致する(図7e及び図7g)。
【0029】(4-3) 温度領域の再現 成長している結晶では、軸方向の温度分布のみが公知で
あって、そのシミュレーションは温度領域の十分な知識
がなくても実行可能である。例えば、中村らにより報告
された実験(Nakamura K, Saishoji T, Kubota T, Iida
T, ShimanukiY, Kotooka T and Tomioka J, J.Crystal
Growth 180 61-72 (1997))の本実施の形態のシミュレ
ーションを例証する。この第3の実施の形態では図8b
及び図8cに示される引上げ速度で成長した150mm
の直径のボロンをドープしたシリコン結晶で観察される
微小欠陥分布を再現した。全てのモデルの定数値は、R
−OSF帯の内部での空孔型点欠陥濃度の範囲及び(C
* R-OSF)を含み、この値は上記第1の実施の形態の(4-
1)の定数値と同じである。図8aは明確にプロットした
結晶のV(l)を示す。ここでは0.7mm/分で引上
げ、2時間一時停止した。図8bに実験したサンプル結
晶の2段階アニールの後のX線トポグラフ像を示す。こ
のようにして再現された温度領域が0.7mm/分と
0.2mm/分の異なった引上げ速度Vに対して示され
る(図8d)。このアプローチは実用的な意義を有する
ものである。結晶で実際に観察されるgrown-in微小欠陥
をシミュレーションを行うことによって、成長している
結晶の温度分布を求める必要のある結晶成長機に利用す
ることができる。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次
の優れた効果を奏する。 同一のモデル定数を有するコンピュータプログラム
を用いることにより、本発明では、引上げ速度を変化さ
せた後で、V(l)、T(r,z,l/V)で定義され、実際の成長
条件下で形成されるR−OSF帯と、固液界面形状に関
連した過渡的なプロセスの時定数を含む、異なった微小
欠陥パターンを首尾良く再現できる。 引上げ速度Vと引上げの一時停止時間を変えること
による非定常成長条件で実験と量的な一致がみられる。 R−OSF帯を含む格子間シリコン型のA欠陥,B
欠陥及び空孔型のA'(D)欠陥の存する領域の形状を予
測する公式の基準が1000℃で得られる点欠陥濃度に
関して与えられる。臨界濃度の次の値が得られる。C*
A'≦−0.03%Ci0、−0.12%Ci0≦C* R-OSF
−0.07%Ci0、0.02%Ci0≦C* B≦0.05%
i0、C* A≧0.05%Ci0(ここで、Ci0は固液界面
の格子間シリコン型点欠陥の平衡濃度である。)。 引上げ速度又は結晶長に依存した温度領域の再現が
実験的に観察される微小欠陥分布に対してシミュレーシ
ョンを行うことにより可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】モデルで用いられる2つの対応する系(r,z)及
び(r,l)を示す図。 (a)成長中の結晶 (b)融液から引上げた後の冷却中の結晶
【図2】引上げ速度VをV1からV2に変化させたときの
固液界面の凸状高さhの変化を示す図。
【図3】(a)結晶長lに応じて引上げ速度Vを単調に
減少させた状況を示す図。 (b)熱酸化処理した実験のサンプル結晶のX線トポグ
ラフ像を示す図。 (c)シミュレーションにより求めたCiとCvの差から
異なった微小欠陥種(A欠陥、B欠陥及びA'欠陥)の
領域とR−OSFゾーンを示す図。
【図4】引上げの一時停止状態を模擬するために用いら
れた引上げ速度V(l)の変化を示す図。
【図5】現時点の結晶長lの関数としての引上げ速度V
と時定数τ=15分で計算されたこれに相応する結晶化
速度V'の関係を示す図。
【図6】(a)過渡的なプロセスを考慮して得られたシ
ミュレーション結果を示す図。 (b)過渡的なプロセスを考慮しないで得られたシミュ
レーション結果を示す図。
【図7】引上げを一時的に停止したときの実験とシミュ
レーションによる微小欠陥種の領域とR−OSFゾーン
を示す図。
【図8】(a)一定の速度で引上げ、結晶長が一定の値
になったところで引上げを一時停止した状況を示す引上
げ速度の変化図。 (b)熱酸化処理した実験のサンプル結晶のX線トポグ
ラフ像を示す図。 (c)シミュレーションにより求めたCiとCvの差から
異なった微小欠陥種(A欠陥及びB欠陥)の領域とR−
OSFゾーンを示す図。 (d)0.7mm/分と0.2mm/分の異なった引上
げ速度Vに対する温度領域を示す図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月11日(2000.5.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ディミトゥリ プザーノフ ロシア モスクワ リージョン ポドルス ク ロシュチンカスヤ3 ポドルスク ケ ミカル・メタラージカル プラント内 (72)発明者 古川 純 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社シリコン研究センター 内 (72)発明者 原田 和浩 東京都千代田区大手町1丁目5番1号 三 菱マテリアルシリコン株式会社内 (72)発明者 小野 直樹 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社シリコン研究センター 内 (72)発明者 島貫 康 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社シリコン研究センター 内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BA04 CF10 GA10 HA12 5F053 AA12 AA21 DD01 FF04 GG01 RR20

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶化速度をV’、引上げ速度をV、結
    晶のトップから三重点までの距離をl(t)、固液界面の
    凸状高さをh、過渡的なプロセスの時定数をτとし、V
    を変化させて引上げるとき、次の式(1a)、(1
    b)、(2a)及び(2b)に基づいて、三重点の引上
    げ速度Vmを式(3)により求めることを特徴とするシ
    リコン単結晶の点欠陥領域と微小欠陥分布のシミュレー
    ション方法。但し、Lが結晶の最終長であって、l<L
    であるとき、l(t)には式(1a)が適用され、l>L
    であるとき、l(t)には融液表面から結晶のトップまで
    の距離として式(1b)が適用される。 【数1】
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107133466A (zh) * 2017-04-28 2017-09-05 郑州大学 一种材料结晶过程的计算机数值模拟方法
CN110660453A (zh) * 2019-10-09 2020-01-07 中国原子能科学研究院 基于指数时间差分格式求解速率理论方程的并行计算方法

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CN107133466B (zh) * 2017-04-28 2020-08-18 郑州大学 一种材料结晶过程的计算机数值模拟方法
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