JP2001302338A - 複合セラミックスおよびその製造方法 - Google Patents

複合セラミックスおよびその製造方法

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JP2001302338A
JP2001302338A JP2000122547A JP2000122547A JP2001302338A JP 2001302338 A JP2001302338 A JP 2001302338A JP 2000122547 A JP2000122547 A JP 2000122547A JP 2000122547 A JP2000122547 A JP 2000122547A JP 2001302338 A JP2001302338 A JP 2001302338A
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thermal expansion
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young
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eucryptite
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JP2000122547A
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Makoto Sakamaki
誠 酒巻
Chiharu Wada
千春 和田
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Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】適用する部材に適切な低熱膨張特性およびヤン
グ率の組み合わせを得ることができる複合セラミックス
およびその製造方法を提供すること。低熱膨張性と高剛
性とを兼備し、半導体製造装置、計測機器、精密機器な
どの構造部品に好適な複合セラミックスおよびその製造
方法を提供すること。 【解決手段】 ユークリプタイトと窒化ケイ素および/
または炭化ケイ素とからなり、室温でのヤング率が13
0GPa以上、10〜40℃における熱膨張係数が−1
×10-6/℃〜1×10-6/℃、または、室温でのヤン
グ率が200GPa以上、10〜40℃における熱膨張
係数が2×10-6/℃以下である複合セラミックス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合セラミックス
およびその製造方法に関し、特にエアスライド、定盤、
真空装置構造体、サセプタ、静電チャック、ミラー、ス
テージなどといった半導体製造装置用、精密機器用、計
測機器用などの各種構造部品に適した低熱膨張・高剛性
の複合セラミックスおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】半導体製造装置用、精密機器用、計測機器
用などの部品として、近年、セラミックスが広く使用さ
れるようになってきている。例えば、計測機器や半導体
製造プロセスではアルミナや窒化ケイ素からなるエアス
ライドが、また半導体製造プロセスのシリコンウエハに
配線を形成する工程においては、ウエハを支持または保
持するサセプタ、静電チャック、絶縁リング具などや露
光装置のXYテーブル、ミラー等としてもアルミナや窒
化ケイ素が広く用いられている。
【0003】このように上記用途にセラミックスが使用
されるに至った理由は、金属などに比し熱膨張係数が小
さく剛性が高いことに起因する。すなわち、これまで使
用されてきた金属からなる部品の場合、熱膨張係数が極
めて大きいため、僅かな温度差による部品の膨張収縮
が、製品の精度に決定的な影響を及ぼすため使用するこ
とが困難となり、代ってセラミックスからなる部品が使
用されるに至っている。
【0004】近年、この高精密化の流れはさらに加速し
ており、半導体製造プロセスなどにおいては、LSIな
どにおける高集積化に伴い、回路の微細化が急速に進め
られ、その線幅もサブミクロンオーダーのレベルまで高
精密化しつつある。例えばシリコンウエハに高精密回路
を形成するための露光装置においては、露光装置のステ
ージ用部材に100nm(0.1μm)以下の位置決め
精度が要求され、露光の位置合わせ誤差が製品の品質向
上や歩留まり向上に大きな影響を及ぼしているのが現状
である。
【0005】半導体製造用として一般に用いられてきた
アルミナ、窒化ケイ素などのセラミックスの室温付近に
おける熱膨張係数はそれぞれ5×10-6/℃、1.5×
10 -6/℃程度であり、確かに金属よりは熱膨張係数が
小さいものの、それでも雰囲気温度が0.1℃変化する
と数100nm(0.1μm)の変形が発生することに
なる。露光等の精密な工程ではこの変化が大きな問題と
なってきており、従来のセラミックスでは精度が低く生
産性の低下をもたらしている。また、このような問題
は、定盤やエアスライドなどの精密測定機器、計測機器
などにおいても同様である。
【0006】これに対して、リチウムアルミノシリケー
ト系の焼結体やマグネシウムアルミノシリケート系焼結
体など、いわゆる低熱膨張セラミックスの場合、ゼロ膨
張に近い低熱膨張性を示すため、例えば上述したような
熱膨張にに起因する露光精度の問題や、精密測定機器、
計測機器における測定精度の問題は解決される。
【0007】しかし、例えば露光装置のステージのよう
に、Siウエハを載置した支持体が露光処理を施す位置
まで高速移動を伴うような場合には、移動後の支持体自
体が所定位置に停止後も振動しており、そのために、そ
の振動した状態で露光処理を施すと露光精度が低下する
という問題があり、このような問題は、上述したリチウ
ムアルミノシリケート系の焼結体やマグネシウムアルミ
ノシリケート系焼結体などの低熱膨張セラミックスを用
いても解決することはできない。このような傾向は、露
光によって形成する配線幅が細くなるほど顕著であり、
高微細な配線回路を形成する上では致命的な問題とな
る。
【0008】また、定盤やエアスライドなどの精密測定
機器、計測機器などは、基本的構造が梁構造であるため
自重変形による撓みが生じると計測機器としての精度低
下をもたらす原因となるが、上述のようなリチウムアル
ミノシリケート系の焼結体やマグネシウムアルミノシリ
ケート系焼結体などの低熱膨張セラミックスを用いると
このような問題が顕著なものとなってしまう。
【0009】このような振動や撓みは、部材自体の剛性
(ヤング率)が低いことによって引き起こされるもので
あり、これらの部材に対しては高い剛性が要求される
が、リチウムアルミノシリケート系の焼結体やマグネシ
ウムアルミノシリケート系焼結体は熱膨張係数は小さい
ものの、剛性もまた小さいためこのような振動や撓みの
問題に対応することができない。
【0010】以上のように、リチウムアルミノシリケー
ト系焼結体は熱膨張係数は小さいものの、剛性(ヤング
率)が小さく、半導体製造装置用、精密機器用、計測機
器用の部材としては用いることができない。また、上述
したアルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素などは剛性(ヤ
ング率)は十分に大きいが、上述したように熱膨張係数
もまた大きい。このように、十分な低熱膨張性と高い剛
性を兼備したセラミックスが望まれているが、このよう
なセラミックスは未だ得られていない。
【0011】また、精密測定機器や計測機器などでは、
10〜40℃における熱膨張係数が2×10-6/℃程度
でも許容される用途があり、その場合には窒化ケイ素を
用いればよいのであるが、窒化ケイ素のような単一材料
では熱膨張特性とヤング率とを適切に調整することは不
可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、適用する部材に適切な低
熱膨張特性およびヤング率の組み合わせを得ることがで
きる複合セラミックスおよびその製造方法を提供するこ
とを目的とする。また、低熱膨張性と高剛性とを兼備
し、半導体製造装置、計測機器、精密機器などの構造部
品に好適な複合セラミックスおよびその製造方法を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、低熱膨張のユーク
リプタイトにヤング率の高い窒化ケイ素および/または
炭化ケイ素を複合することにより優れた低熱膨張特性を
維持しつつヤング率を大幅に高めることができること、
およびこれらの割合を調整することにより、適用する部
材に適切な低熱膨張特性およびヤング率の組み合わせが
得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明は、第1に、ユークリプ
タイトと窒化ケイ素および/または炭化ケイ素とからな
り、室温でのヤング率が130GPa以上、10〜40
℃における熱膨張係数が−1×10-6/℃〜1×10-6
/℃であること特徴とする複合セラミックスを提供す
る。
【0015】本発明は、第2に、ユークリプタイト25
〜90重量%、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素1
0〜75重量%から実質的になることを特徴とする複合
セラミックスを提供する。
【0016】本発明は、第3に、上記第2において、室
温でのヤング率が130GPa以上、10〜40℃にお
ける熱膨張係数が−1×10-6/℃〜1×10-6/℃で
あること特徴とする複合セラミックスを提供する。
【0017】本発明は、第4に、ユークリプタイト25
〜90重量%、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素1
0〜75重量%から実質的になる成形体を、真空または
不活性ガス雰囲気中で1100〜1550℃の温度で焼
成することを特徴とする複合セラミックスの製造方法を
提供する。
【0018】本発明は、第5に、ユークリプタイトと窒
化ケイ素および/または炭化ケイ素からなり、室温での
ヤング率が200GPa以上、10〜40℃における熱
膨張係数が2×10-6/℃以下であること特徴とする複
合セラミックス。
【0019】本発明は、第6に、ユークリプタイト5〜
60重量%、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素40
〜95重量%から実質的になることを特徴とする複合セ
ラミックスを提供する。
【0020】本発明は、第7に、上記第6において、室
温でのヤング率が200GPa以上、10〜40℃にお
ける熱膨張係数が2×10-6/℃以下であること特徴と
する複合セラミックスを提供する。
【0021】本発明は、第8に、ユークリプタイト5〜
60重量%、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素40
〜95重量%からなる成形体を、真空または不活性ガス
雰囲気中で1200〜1700℃の温度で焼成すること
を特徴とするセラミックスの製造方法を提供する。
【0022】本発明は、上述したように低熱膨張特性と
高ヤング率とを兼備した複合セラミックスであるが、上
記第1〜第4の発明は、これらの中でヤング率よりも低
熱膨張特性を重視した用途、例えば真空装置構造体や露
光装置におけるステージやステージ位置測定用ミラー等
の半導体製造用治具のうちでも特に精度が要求される用
途に適しており、上記第5〜第8の発明は、これらの中
で低熱膨張特性は上記発明よりも若干劣っていてもよい
が、ヤング率がさらに高いことが必要とされる用途、例
えばエアスライド、定盤、スコヤ、ステージなどの精密
測定機器用治具や計測機器用治具に適している。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の第1の実施形態に係る複合セラミックス
は、ユークリプタイトと窒化ケイ素および/または炭化
ケイ素とからなり、室温でのヤング率が130GPa以
上、10〜40℃における熱膨張係数が−1×10-6
℃〜1×10-6/℃である。
【0024】本実施形態の複合セラミックスは、真空装
置構造体や露光装置におけるステージやステージ位置測
定用ミラー等の半導体製造用治具のうちでも特に精度が
要求される用途に適用することを意図するものであり、
このような用途を考慮して熱膨張係数を−1×10-6
℃〜1×10-6/℃とした。より好ましくは0.7×1
-6/℃以下である。
【0025】また、ヤング率が130GPa未満では、
自重による撓み変形が大きくなって、要求される精度を
満たすことが困難となり、セラミックスを用いる利点が
損なわれる。より好ましくは150GPa以上である。
【0026】ユークリプタイトは、一般式Li2O・A
23・2SiO2で表され、焼結体を低熱膨張化する
ための重要な成分であり、窒化ケイ素、炭化ケイ素は、
焼結体の剛性(ヤング率)を向上させる成分であるか
ら、これらを複合化することにより、優れた低熱膨張特
性を維持しつつヤング率を大幅に高めることができる。
【0027】本実施形態の複合セラミックスの組成は、
ユークリプタイト25〜90重量%、窒化ケイ素および
/または炭化ケイ素10〜75重量%から実質的になる
ことが好ましい。このような組成にすることにより、上
述の範囲の熱膨張係数およびヤング率を得やすくなる。
さらに好ましくはユークリプタイト40〜80重量%、
窒化ケイ素および/または炭化ケイ素20〜60重量%
である。
【0028】ユークリプタイトの量が少なくなると熱膨
張率が高くなる傾向にあり、ユークリプタイトが25重
量%未満では上記範囲の熱膨張係数を得ることが困難と
なる。一方、ユークリプタイトが多くなるとヤング率が
低くなる傾向にあり、ユークリプタイトが90重量%を
超えると室温でのヤング率130GPa以上を得ること
が困難となる。
【0029】また、窒化ケイ素、炭化ケイ素の量が10
重量%未満では室温でのヤング率130GPa以上を得
ることが困難となる。一方、窒化ケイ素および/または
炭化ケイ素の量が多くなると熱膨張係数が大きくなり、
その量が75重量%を超えると上記範囲の熱膨張係数を
得ることが困難となる。なお、10〜40℃における熱
膨張係数は、窒化ケイ素が1.5×10-6/℃程度であ
り、炭化ケイ素が2.5×10-6/℃程度であるから、
10〜40℃における熱膨張係数が−1×10 -6/℃〜
1×10-6/℃の範囲になる量は自ずから両者で異なっ
ている。ユークリプタイトに窒化ケイ素のみを添加する
場合には75重量%程度で1×10-6/℃以下の値が得
られるが、炭化ケイ素のみを添加する場合には55重量
%を超えると1×10-6/℃以下の値は困難となる。
【0030】本発明の複合セラミックスにおいて、ユー
クリプタイト粒子と窒化ケイ素粒子との界面および/ま
たはユークリプタイト粒子と炭化ケイ素粒子との界面に
はガラス相または結晶相として粒界相が存在してもよ
い。ただし、このような粒界相が量的に多すぎると、焼
結体の熱膨張率が大きくなり、ユークリプタイトの優れ
た低熱膨張特性が発揮されないため好ましくない。
【0031】本実施形態の複合セラミックスを製造する
ためには、ユークリプタイト粉末を25〜90重量%、
好ましくは40〜80重量%と、窒化ケイ素および/ま
たは炭化ケイ素粉末を10〜75重量%、好ましくは2
0〜60重量%の割合で秤量し配合する。このような比
率で各粉末を配合した後、ボールミルなどにより十分に
混合し、所定形状に所望の成形手段、例えば、金型プレ
ス、冷間静水圧プレス、押出し成形等により任意の形状
に成形後、焼成する。
【0032】焼成は、真空中またはAr、N2 などの不
活性ガス雰囲気中で1100〜1550℃、好ましくは
1200〜1400℃の温度範囲で1〜10時間程度行
う。このようにして焼結することにより焼結体を緻密化
することができる。焼成温度が1100℃よりも低いと
緻密化できず、1550℃を越えると、成形体が溶融す
る。また、大気などの酸化性雰囲気で焼成すると、窒化
ケイ素および/または炭化ケイ素が酸化されてしまい、
ヤング率を高める効果が発揮されない。なお、適正焼成
温度は組成に応じて変化し、窒化ケイ素および/または
炭化ケイ素の量が増加するに従って上昇する。
【0033】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。本発明の第2の実施形態に係る複合セラミック
スは、ユークリプタイトと窒化ケイ素および/または炭
化ケイ素とからなり、室温でのヤング率が200GPa
以上、10〜40℃における熱膨張係数が2×10-6
℃以下である。
【0034】本実施形態の複合セラミックスは、低熱膨
張特性は第1の実施形態よりも若干劣っていてもよい
が、ヤング率がさらに高いことが必要とされる用途、例
えばエアスライド、定盤、スコヤ、ステージなどの精密
測定機器用治具や計測機器用治具に適用することを意図
するものであり、このような用途を考慮して熱膨張係数
を2×10-6/℃以下、ヤング率を200GPa以上と
した。
【0035】本実施形態の複合セラミックスの組成は、
ユークリプタイト5〜55重量%、窒化ケイ素および/
または炭化ケイ素45〜95重量%から実質的になるこ
とが好ましい。このような組成にすることにより、上述
の範囲の熱膨張係数およびヤング率を得やすくなる。さ
らに好ましくはユークリプタイト15〜45重量%、窒
化ケイ素および/または炭化ケイ素55〜85重量%で
ある。
【0036】上述したように、ユークリプタイトは、複
合セラミックス焼結体を低熱膨張化するための重要な成
分であり、ユークリプタイトが5重量%未満では上記範
囲の熱膨張係数を得ることが困難となる。一方、ユーク
リプタイトが多くなるとヤング率が低くなる傾向にあ
り、ユークリプタイトが55重量%を超えると室温での
ヤング率200GPa以上を得ることが困難となる。
【0037】また、窒化ケイ素、炭化ケイ素は、焼結体
の剛性(ヤング率)を向上させる成分であり、窒化ケイ
素および/または炭化ケイ素の量が45重量%未満では
室温でのヤング率200GPa以上を得ることが困難と
なる。一方、窒化ケイ素および/または炭化ケイ素の量
が多くなると熱膨張係数が大きくなり、その量が95重
量%を超えると上記範囲の熱膨張係数を得難くなる。な
お、上述したように、10〜40℃における窒化ケイ素
の熱膨張係数は1.5×10-6/℃程度であるから、窒
化ケイ素単体でも2×10-6/℃以下となるが、本発明
では複合セラミックスを対象としており、窒化ケイ素単
体の場合は含まない。また、炭化ケイ素の熱膨張係数は
2.5×10-6/℃程度であるから、10〜40℃にお
ける熱膨張係数が2×10-6/℃以下の範囲になる量は
窒化ケイ素の場合とは異なっており、80重量%を超え
ると2×10-6/℃以下の値は困難となる。
【0038】本実施形態においても、ユークリプタイト
粒子と窒化ケイ素粒子との界面および/またはユークリ
プタイト粒子と炭化ケイ素粒子との界面にはガラス相ま
たは結晶相として粒界相が存在してもよいが、このよう
な粒界相が量的に多すぎると、焼結体の熱膨張率が大き
くなってしまう。
【0039】本実施形態の複合セラミックするを製造す
るためには、ユークリプタイト粉末を5〜55重量%、
好ましくは15〜45重量%と、窒化ケイ素および/ま
たは炭化ケイ素粉末を45〜95重量%、好ましくは5
5〜85重量%の割合で秤量し配合する。このような比
率で各粉末を配合した後、ボールミルなどにより十分に
混合し、所定形状に所望の成形手段、例えば、金型プレ
ス、冷間静水圧プレス、押出し成形等により任意の形状
に成形後、焼成する。
【0040】焼成は、真空中またはAr、N2 などの不
活性ガス雰囲気中で1200〜1700℃、好ましくは
1250〜1600℃の温度範囲で1〜10時間程度行
う。このようにして焼結することにより焼結体を緻密化
することができる。焼成温度が1200℃よりも低いと
緻密化できず、1700℃を越えると、成形体が溶融す
る。また、大気などの酸化性雰囲気で焼成すると、窒化
ケイ素および/または炭化ケイ素が酸化されてしまい、
ヤング率を高める効果が発揮されない。なお、上述の第
1の実施形態では窒化ケイ素および/または炭化ケイ素
が最大でも75重量%であったので焼成温度の上限が1
550℃であったが、本実施形態では窒化ケイ素および
/または炭化ケイ素が95重量%が上限であり、適正焼
成温度は高くなる傾向にあるので焼成温度の上限を17
00℃にしている。
【0041】ところで、撓みや振動の原因としては上述
のようようにヤング率が低いことが挙げられるが、金属
材料は比較的大きなヤング率を有するにも関わらず、自
重で撓んだり、高速移動の反転時などに慣性力が大きく
振動が生じる。これは金属材料は比重が大きいため比剛
性(ヤング率/比重)が小さいからである。比剛性が小
さいものは、ヤング率が高くても振動の原因となった
り、撓みの原因となるため好ましくない。その点、本発
明の複合セラミックスは比重が小さいため、比剛性は比
較的大きく、50GPa以上の値を示すことが可能であ
る。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。ま
ず、市販のユークリプタイト粉末を成形し、表1に示す
ように、1350℃で焼成することで直径50mm、板
厚4mmの焼結体を得た。このセラミックスから3×4
×15mmのサンプルを取り出し、−40〜100℃の
範囲で熱膨張係数を測定した(測定装置:真空理工社製
RIX−1)。このサンプルの10〜40℃における熱
膨張係数は表1に示すように−0.53×10-6/℃で
あり、その結晶相はβユークリプタイトであった。ま
た、超音波パルス法により、室温でのヤング率を測定し
たところ、ヤング率は表1に示すように100GPaで
あり低剛性のものであった(試料No.1)。
【0043】また、窒化ケイ素、炭化ケイ素のそれぞれ
の粉末を用い、成形体を表1の条件で焼成し同様の焼結
体を得た。同様にして熱膨張係数およびヤング率を測定
した結果、表1に示すように何れもヤング率は大きいも
のの、熱膨張係数は窒化ケイ素が1.5×10-6/℃で
あり炭化ケイ素が2.5×10-6/℃であった(試料N
o.2、3)。
【0044】次に、試料No.1のユークリプタイト粉
末に、試料No.2の窒化ケイ素粉末または試料No.
3の炭化ケイ素粉末またはこれらの両方を表1に示す割
合で添加し、ボールミルで24時間混合した後、1to
nf/cm2 の圧力で金型成形した。そして、その成形
体を表1の条件で焼成して、10〜40℃での熱膨張係
数、室温でのヤング率を測定した。その結果を表1に示
す。
【0045】表1の結果から明らかなように、ユークリ
プタイト焼結体である試料No.1に窒化ケイ素および炭
化ケイ素の少なくとも一方を添加した試料4〜33は、
試料1に比しヤング率が増大した。また、熱膨張係数も
試料2、3よりも小さい値が得られた。
【0046】具体的には、ユークリプタイトが25〜9
0重量%で窒化ケイ素が75〜10重量%の試料No.
7〜15、ユークリプタイトが50〜90重量%で炭化
ケイ素が50〜10重量%の試料No.19〜24、ユ
ークリプタイトが40〜90重量%で窒化ケイ素および
炭化ケイ素が同量でそれぞれ30〜5重量%の試料N
o.28〜33は、いずれも室温でのヤング率が130
GPa以上、10〜40℃における熱膨張係数が−1×
10-6/℃〜1×10-6/℃を満足し、特に精度が要求
される露光装置におけるステージやステージ位置測定用
ミラー等の半導体製造用治具に適していることが確認さ
れた。
【0047】また、ユークリプタイトが5〜60重量%
で窒化ケイ素が95〜40重量%の試料No.4〜1
1、ユークリプタイトが20〜60重量%で炭化ケイ素
が80〜40重量%の試料No.17〜20、ユークリ
プタイトが20〜60重量%で窒化ケイ素および炭化ケ
イ素が同量でそれぞれ40〜20重量%の試料No.2
6〜30は、いずれも室温でのヤング率が200GPa
以上、10〜40℃における熱膨張係数が2×10-6
℃以下を満足し、エアスライド、定盤、スコヤ、ステー
ジなどの精密測定機器用治具や計測機器用治具に適して
いることが確認された。
【0048】次に、上記試料No.13および22と同
様に、ユークリプタイト粉末75重量%にそれぞれ窒化
ケイ素および炭化ケイ素を25重量%を加え、1050
℃および1600℃で焼成した(試料No.34〜3
7)。また、ユークリプタイト粉末20重量%にそれぞ
れ窒化ケイ素および炭化ケイ素を80重量%を加え、1
750℃で焼成した(試料No.38〜39)。その結
果を表2に示す。
【0049】表2に示すように1050℃で焼成した試
料No.34,35は緻密化することができずヤング率
が低い値となった。一方、1600℃で焼成したNo.
36,37、および1750℃で焼成した試料No.3
8,39は、その組成の適正焼成温度よりも焼成温度が
かなり高いため溶融が見られ、熱膨張係数およびヤング
率の測定を行うことができなかった。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、低
熱膨張のユークリプタイトにヤング率の高い窒化ケイ素
および/または炭化ケイ素を複合することにより優れた
れた低熱膨張特性を維持しつつヤング率を大幅に高める
ことができる。したがって、本発明の複合セラミックス
は、半導体製造装置用、精密機器用、計測機器用に適用
することにより優れた特性を発揮し、その工業的価値は
極めて高い。またユークリプタイトと窒化ケイ素および
/または炭化ケイ素との割合を調整することにより、適
用する部材に適切な低熱膨張特性およびヤング率の組み
合わせを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA22 BA32 BA65 BB22 BB32 BB65 BC52 BD05 BD13 4G030 AA02 AA36 AA37 AA47 AA52 BA20 BA24 GA24 GA27 HA25

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユークリプタイトと窒化ケイ素および/
    または炭化ケイ素とからなり、室温でのヤング率が13
    0GPa以上、10〜40℃における熱膨張係数が−1
    ×10-6/℃〜1×10-6/℃であること特徴とする複
    合セラミックス。
  2. 【請求項2】 ユークリプタイト25〜90重量%、窒
    化ケイ素および/または炭化ケイ素10〜75重量%か
    ら実質的になることを特徴とする複合セラミックス。
  3. 【請求項3】 室温でのヤング率が130GPa以上、
    10〜40℃における熱膨張係数が−1×10-6/℃〜
    1×10-6/℃であること特徴とする請求項2に記載の
    複合セラミックス。
  4. 【請求項4】 ユークリプタイト25〜90重量%、窒
    化ケイ素および/または炭化ケイ素10〜75重量%か
    ら実質的になる成形体を、真空または不活性ガス雰囲気
    中で1100〜1550℃の温度で焼成することを特徴
    とする複合セラミックスの製造方法。
  5. 【請求項5】 ユークリプタイトと窒化ケイ素および/
    または炭化ケイ素とからなり、室温でのヤング率が20
    0GPa以上、10〜40℃における熱膨張係数が2×
    10-6/℃以下であること特徴とする複合セラミック
    ス。
  6. 【請求項6】 ユークリプタイト5〜60重量%、窒化
    ケイ素および/または炭化ケイ素40〜95重量%から
    実質的になることを特徴とする複合セラミックス。
  7. 【請求項7】 室温でのヤング率が200GPa以上、
    10〜40℃における熱膨張係数が2×10-6/℃以下
    であること特徴とする請求項6に記載の複合セラミック
    ス。
  8. 【請求項8】 ユークリプタイト5〜60重量%、窒化
    ケイ素および/または炭化ケイ素40〜95重量%から
    実質的になる成形体を、真空または不活性ガス雰囲気中
    で1200〜1700℃の温度で焼成することを特徴と
    する複合セラミックスの製造方法。
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