JP2001301175A - 液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体吐出方法、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出ヘッドの製造方法

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JP2001301175A
JP2001301175A JP2000261247A JP2000261247A JP2001301175A JP 2001301175 A JP2001301175 A JP 2001301175A JP 2000261247 A JP2000261247 A JP 2000261247A JP 2000261247 A JP2000261247 A JP 2000261247A JP 2001301175 A JP2001301175 A JP 2001301175A
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良二 井上
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雅実 池田
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博志 杉谷
Takashi Saito
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    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
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    • B41J2/14016Structure of bubble jet print heads
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出パワーの向上と吐出周波数の向上とを同
時に図り、従来達成し得なかったレベルの高速・高画質
ヘッドを達成するための新規吐出方法を確立する。 【解決手段】 素子基板1と天板2の間に、一端が吐出
口7と連通し他端が閉じられた液流路3が形成されてい
る。素子基板1上には各々の液流路3に対し、液流路3
に補充された液体に気泡を発生させる発熱体4が配され
ている。多数の液流路3の各々に液体供給口5が配設さ
れ、各液体供給口5に連通する大容積の共通液体供給室
6が設けられている。液体供給口5と液流路3との間に
は、可動部材8が液体供給口5の形成面に対して微小な
隙間αを有して設けられている。可動部材8の少なくと
も自由端部及びそれに連続する両側部で囲まれる領域が
液体供給口5の開口領域よりも大きくなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させて気泡を発生させることによって液体を吐
出する液体吐出ヘッドおよびその製造方法、該液体吐出
ヘッドを用いた液体吐出装置に関する。
【0002】また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンタ、複写機、通
信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有する
ワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複
合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明で
ある。
【0003】なお、本発明における、「記録」とは、文
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
【0004】
【従来の技術】従来、プリンター等の記録装置におい
て、流路中の液体インクに熱等のエネルギーを与えて気
泡を発生させ、それに伴う急峻な体積変化に基づく作用
力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒
体上に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方
法、いわゆるバブルジェット(登録商標)記録方法が知
られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録
装置には、米国特許第4,723,129号等に開示さ
れているように、インクを吐出するための吐出口と、こ
の吐出口に連通する流路と、流路内に配されたインクを
吐出するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換
体が一般的に配されている。
【0005】この様な記録方法によれば、品位の高い画
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0006】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って様々な要求が高まっており、
例えば、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピ
ードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐
出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提
案されたり、また、高速記録の観点から、吐出された液
体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出
ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案され
たりしている。このうち、ノズル内において気泡を発生
させ、この気泡成長に伴い液体を吐出させるヘッドにお
いて、吐出口とは反対方向への気泡成長およびこれによ
る液流が吐出エネルギー効率及びリフィル特性を低下さ
せる要因として知られており、このような吐出エネルギ
ー効率及びリフィル特性を向上させる構造の発明がヨー
ロツパ特許出願公開公報EPO436047Alに提案
されている。
【0007】この公報に記載の発明は、吐出口近傍域と
気泡発生部との間にこれらを遮断する第1弁と、気泡発
生部とインク供給部との間にこれらを完全に遮断する第
2弁とを交互に開閉させるものである(EP43604
7Alの第4〜9図)。例えば同公報第7図の例では、
図37に示すように、インク流路112の内壁を形成す
る基板125上のインク槽116とノズル115との関
のインク流路112のほぼ中央に発熱体110が設けら
れている。発熱体110は、インク流路112内部の、
周囲を全て閉じた区画120内に在る。インク流路11
2は、基板125と、基板125上に直接積層した薄膜
123,126と、閉止体としての舌状片113、13
0とで構成されている。開放された舌状片は図37では
破線で示されている。基板125と平行な平面内に延在
してストッパ124で終結する別の薄膜123はインク
流路112上を遮蔽する。インク中に気泡が発生する
と、ノズル領域内の舌状片130の、静止状態でストッ
パ126に密着してあるその自由端は、上に向かって変
位し、インク液は区画120からインク流路112中
へ、ついでノズル115を通じて射出される。このと
き、インク槽116の領域内に設けた舌状片113は静
止状態でストッパ124に密着しているため、区画12
0内のインク液はインク層116に向かうことはない。
インク中の気泡が消泡すると、舌状片130は下に向け
て変位し、ストッパ126に再び密着する。そして、舌
状片113はインク区画120内に倒れ落ち、これによ
りインク液が区画120中に流入する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、EP4360
47Alに記載の発明は、吐出口近傍域と気泡発生部と
インク供給部の3つの部屋を2つづつに区分してしまう
ために、吐出時には液滴に追従するインクが大きな尾引
きとなり、気泡成長・収縮・消泡を行う通常の吐出方式
に比べてサテライトドットがかなり多くなってしまう
(消泡によるメニスカス後退の効果を使えないと推定さ
れる)。また、気泡の吐出口側の弁は吐出エネルギーの
多大な損失を招く。さらに、リフィル時(ノズルヘのイ
ンク補充時)は、気泡発生部に液体が消泡に伴って供給
されるが、吐出口近傍域には次の発泡が生じるまで液体
は供給できないので、吐出液滴のばらつきが大きいだけ
でなく、吐出応答周波数が極めて小さく、実用レベルで
はない。
【0009】本発明は、吐出口とは反対方向への気泡成
長成分の抑制効率を向上し、これとは相反するリフィル
特性の高効率化を満足するための画期的な方法やヘッド
構成を見出すべく新たな着想に基づいて吐出効率の向上
をも満足する発明を提案するものである。
【0010】本発明者達は鋭意研発の結果、直線状に形
成したノズル内で気泡を発生させ、この気泡成長に伴い
液体を吐出させる液体吐出ヘッドのノズル構造におい
て、特別な逆止弁の機能により、吐出口とは反対方向
(後方)への気泡成長を抑制し、後方への吐出エネルギ
ーを吐出口側に有効に利用できることを見出した。その
上、特別な逆止弁の機能により後方への気泡成長成分を
抑制するとともに、リフィル特性を効率化することで、
吐出応答周波数が極めて高くできることを見出した。
【0011】すなわち本発明の目的は、新規な弁機能を
用いたノズル構造や吐出方法により、吐出パワーの向上
と吐出周波数の向上とを同時に図り、従来達成し得なか
ったレベルの高速・高画質ヘッドを達成するための新規
吐出方式(構造)を確立することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】以上のような研発過程で
得られた本発明の液体吐出方法は、液体を吐出するため
の複数の吐出口と、前記各吐出口に一端部が常に連通さ
れ、液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する複数
の液流路と、前記気泡を発生し成長させるためのエネル
ギーを発生する気泡発生手段と、前記複数の液流路にそ
れぞれ配設され、共通液体供給室と連通する複数の液体
供給口と、前記液体供給口の前記液流路側に対して微小
な隙間を隔てて支持された、自由端を有する可動部材と
を有し、前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに
達続する両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流
路に対する開口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘ
ッドの液体吐出方法であって、前記気泡発生手段に駆動
電圧が印加されてから、前記気泡発生手段によって気泡
の全体が略等方成長している期間が終了するまでの間
に、前記可動部材が前記液体供給口を密閉して実質的に
遮断する期間を有することを特徴とする。
【0013】さらに上記の液体吐出方法において、前記
可動部材が前記開口領域を密閉して実質的に遮断する期
間が、少なくとも前記気泡発生手段によって気泡の全体
が略等方成長している期間が終了するまで継続されるこ
とを特徴とする。
【0014】また、前記可動部材が前記開口領域を密閉
して実質的に遮断する期間の後、前記気泡発生手段によ
って発生した気泡のうちの前記吐出口側の部分が成長し
ている間に、前記可動部材が、前記開口領域を密閉して
実質的に遮断した位置から前記液流路内の前記気泡発生
手段側に変位を開始し、前記共通液体供給室から前記液
流路への液体供給を可能とすることを特徴とする。
【0015】さらに本発明の液体吐出方法は、前記可動
部材が前記開口領域を密閉して実質的に遮断し、その
後、前記気泡発生手段によって発生した気泡のうちの前
記吐出口側の部分が成長している間に、前記可動部材
が、前記開口領域を密閉して実質的に遮断した位置から
前記液流路内の前記気泡発生手段側に変位を開始し、前
記共通液体供給室から前記液流路への液体供給を可能と
することを特徴とする。
【0016】さらに上記の液体吐出方法において、前記
可動部材が前記開口領域を密閉して実質的に遮断した位
置から前記液流路内の前記気泡発生手段側に変位を開始
した後、前記気泡のうち前記可動部材側の部分が収縮し
ている間に、前記可動部材が更に前記気泡発生手段側に
変位し、前記共通液体供給室から前記液流路へ液体を供
給することを特徴とする。
【0017】さらに、前記気泡発生領域における前記吐
出口側と前記液体供給口側とでは、気泡の成長体積変化
と気泡の発生から消泡までの時間が、大きく異なること
を特徴とする。
【0018】そして、前記気泡発生領域が大気に開放さ
れないことを特徴とする。
【0019】また本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐
出するための複数の吐出口と、前記各吐出口に一端部が
常に連通され、液体に気泡を発生させる気泡発生領域を
有する複数の液流路と、前記気泡を発生し成長させるた
めのエネルギーを発生する気泡発生手段と、前記複数の
液流路にそれぞれ配設され共通液体供給室と連通する複
数の液体供給口と、前記液体供給口の前記液流路側に対
して10μm以下の微小な隙間を隔てて支持された、自
由端を有する可動部材とを有し、前記可動部材の少なく
とも自由端部及びそれに連続する両側部で囲まれる領域
が前記液体供給口の液流路に対する開口領域よりも大き
くなっており、前記吐出口と前記気泡発生手段とが直線
連通状態にあることを特徴とする。
【0020】また本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐
出するための吐出口と、前記吐出口に一端部が常に連通
され、液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する液
流路と、前記気泡を発生し成長させるためのエネルギー
を発生する気泡発生手段と、前記液流路に配設され、液
体供給室に連通する液体供給口と、前記液体供給口の前
記液流路側に対して10μm以下の微小な隙間を隔てて
支持された、自由端を有する可動部材とを有し、前記可
動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する両側部
で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対する開口
領域よりも大きくなっており、前記吐出口と前記気泡発
生手段とが直線連通状態にあることを特徴とする。
【0021】これらの液体吐出ヘッドにおいては、前記
可動部材は、前記液流路を形成する液路壁との間にも隙
間を有することが好ましい。
【0022】また本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐
出するための複数の吐出口と、前記各吐出口に一端部が
常に連通され、液体に気泡を発生させる気泡発生領域を
有する複数の液流路と、前記気泡を発生し成長させるた
めのエネルギーを発生する気泡発生手段と、前記複数の
液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室と連通する
複数の液体供給口と、前記液体供給口の前記液流路側に
対して微小な隙間を隔てて支持された、自由端を有する
可動部材とを有し、前記可動部材の少なくとも自由端部
及びそれに連続する両側部で囲まれる領域が前記液体供
給口の液流路に対する開口領域よりも大きくなってお
り、前記気泡発生手段に駆動電庄が印加されてから、前
記気泡発生手段によって気泡の全体が略等方成長してい
る期間の終了までに、前記可動部材が前記液体供給口を
密閉して実質的に遮断している期間を有し、前記可動部
材が前記開口領域を密閉して実質的に遮断する期間の
後、前記気泡発生手段によって発生した気泡のうちの前
記吐出口側の部分が成長している間に、前記可動部材
が、前記開口領域を密閉して実質的に遮断した位置から
前記液流路内の前記気泡発生手段側に変位を開始し、前
記共通液体供給室から前記液流路への液体供給を可能と
する液体吐出ヘッドであって、前記気泡発生領域の前記
吐出口側で成長する気泡の最大時の体積をVfとし、前
記気泡発生領域の前記液体供給口側で成長する気泡の最
大時の体積をVrとすると、Vf>Vrの関係が常に成
り立つことを特徴とする。
【0023】この場合、前記気泡発生領域の前記吐出口
側で成長する気泡のライフタイムをTfとし、前記気泡
発生領域の前記液体供給口側で成長する気泡のライフタ
イムをTrとすると、Tf>Trの関係が常に成り立っ
ている。
【0024】そして前記気泡の消泡点が、前記気泡発生
領域の中心より前記吐出口側に位置することを特徴とす
る。
【0025】また本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐
出するための複数の吐出口と、前記各吐出口に一端部が
常に連通され、液体に気泡を発生させる気泡発生領域を
有する複数の液流路と、前記気泡を発生し成長させるた
めのエネルギーを発生する気泡発生手段と、前記複数の
液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室と連通する
複数の液体供給口と、前記液体供給口の前記液流路側に
対して微小な隙間を隔てて支持された、自由端を有する
可動部材とを有し、前記可動部材の少なくとも自由端部
及びそれに連続する両側部で囲まれる領域が前記液体供
給口の液流路に対する開口領域よりも大きくなってお
り、前記気泡の発生初期に、前記可動部材の自由端が、
前記液流路内を前記液体供給口側に微小変位して、前記
気泡の消泡と共に、前記可動部材の自由端が、前記液流
路内を前記気泡発生手段側に大きく変位し、前記共通液
体供給室から、前記液体供給口を介して、前記液流路内
に液体を供給することを特徴とする。
【0026】この場合、前記可動部材の自由端の変位量
は、前記気泡の発生初期に、前記液流路内を前記液体供
給口側に変位する量をhlとし、前記気泡の消泡と共
に、前記可動部材の自由端が、前記液流路内を前記気泡
発生手段側に変位する量をh2とすると、常に、hl<
h2の関係を有している。
【0027】上記のような各液体吐出ヘッドは、前記気
泡発生手段の最表面層にアモルファス合金の薄膜を有す
ることを特徴とする。そして、前記アモルファス合金
が、タンタル、鉄、ニッケル、クロム、ゲルマニウム、
ルテニウムから選ばれる少なくとも1つ以上の金属合金
であることが考えられる。
【0028】さらに、上記のような液体吐出ヘッドにお
いて、前記可動部材の根元を支持する前記可動部材と一
体に形成された根元支持部が、前記可動部材の高さ位置
を前記根元支持部の固定位置に対して一段ずらすよう
に、段差を有しており、その段差量よりも前記可動部材
の厚さの方が大きいことが好ましい。
【0029】さらに、前記液体供給口の前記液流路個の
開口端部と前記可動部材の前記液体供給口側面との間の
隙間αと、前記液体供給口の前記液流路側の開口端部に
対して重なる前記可動部材の幅方向のオーバーラップ幅
W3との関係がW3>αであることが好ましい。
【0030】さらに、前記液体供給口の前記液流路側の
開口端部に対して重なる前記可動部材の前記吐出口方向
のオーバーラップ幅W4と前記可動部材の幅方向のオー
バーラップ幅W3との関係がW3>W4であることが好
ましい。
【0031】上記のような構成の液体吐出ヘッドと、或
液体吐出ヘッドから吐出された液体を受け取る被記録媒
体を搬送する被記録媒体搬送手段と、を備えた液体吐出
装置をも本発明は提供する。この液体吐出装置において
は、前記液体吐出ヘッドからインクを吐出し、前記被記
録媒体に該インクを付着させることで記録を行うことが
考えられる。
【0032】また本発明は、液体を吐出するための複数
の吐出口と、前記各吐出口に一端部が常に連通された、
液体に気泡を発生させる気泡発生領域を有する複数の液
流路と、前記気泡を発生し成長させるためのエネルギー
を発生する気泡発生手段と、前記複数の液流路にそれぞ
れ配設され、大容積の共通液体供給室と同時に連通する
複数の液体供給口と、前記液体供給口の前記液流路側に
対して微小な隙間を隔てて片持ち支持された自由端を有
する可動部材とを有し、前記可動部材の少なくとも自由
端部及びそれに連続する両側部で囲まれる領域が前記液
体供給口の液流路に対する開口領域よりも大きくなって
いる液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記気泡発生
手段を備えた素子基板上の前記液流路になる部分を覆う
領域に対して第1の保護層を形成し、パターニングする
工程と、前記第1の保護層を含む前記素子基板の表面
に、前記液流路を形成するための第1の壁材を形成する
工程と、前記第1の壁材の、前記液流路になる部分を除
去する工程と、前記第1の壁材の、除去された前記液流
路になる部分を埋める工程と、前記第1の壁材の表面全
体を研磨して平坦化する工程と、前記平坦化した前記第
1の壁材の表面に第2の保護膜を形成し、前記第1の壁
材と前記可動部材の固定部を形成する工程と、前記第2
の保護膜上の、前記液流路になる部分に対応する箇所
に、前記可動部材となる材料膜を前記液流路になる部分
の幅より狭いパターンで形成する工程と、前記可動部材
となる材料膜の周りに、前記可動部材と前記液体供給口
の間の間隙を形成するための間隙形成部材を形成する工
程と、前記第1の壁材上に、前記液体供給口を形成する
ための第2の壁材を、前記開隙形成部材を含む前記基板
上に形成する工程と、前記第2の壁材の前記液体供給口
になる部分を、前記可動部材となる材料膜よりも小さい
開口面積になるように形成する工程と、前記間隙形成部
材、前記第2の保護膜、前記第1の壁材の前記液流路に
なる部分を埋めた前記第1の保護層とを溶かして除去す
る工程と、前段までの工程で作製された基板に、前記共
通液体供給室を備えた天板を接合する工程と、を有する
ことを特徴とする。
【0033】また、上記構成の液体吐出ヘッドの製造方
法であって、天板の前記液流路の壁になる部分に対して
第1の保護層を形成し、パターニングする工程と、前記
天板の前記第1の保護層の無い部分上に、前記可動部材
と前記液体供給口の間の間隙を形成するための間隙形成
部材を形成する工程と、前記第1の保護層および前記間
隙形成部材の表面全体に、前記可動部材となる材料膜を
形成する工程と、前記可動部材となる材料膜を前記液体
供給口になる部分の開口面積より大きいパターンで形成
し、前記可動部材に、前記間隙形成部材を溶解する液の
流れ込みを容易にするための貫通穴を形成する工程と、
前記間隙形成部材をエッチングストップ層として、前記
共通液体供給室をドライエッチングにより形成する工程
と、前記間隙形成部材を除去する工程と、前記天板の前
記第1の保護層の無い部分を異方性ウェットエッチング
し、前記液体供給口を形成する工程と、前記可動部材と
なる材料膜と同じ材料で前記可動部の貫通穴を塞ぐとと
もに、該膜でエッチング側壁をコーティングする工程
と、前段までの工程で作製されたものに、前記液流路を
形成する壁部材と前記気泡発生手段を備えた素子基板を
接合する工程と、を有することを特徴とするものであっ
てもよい。
【0034】以上説明した構成では、前記気泡発生手段
に駆動電圧が印加されてから前記気泡発生手段によって
気泡の全体が略等方成長している期間が終了するまでの
間に、直ちに液流路と液体供給口との連通状態が可動部
材によって遮断されるため、気泡発生領域での気泡成長
による圧力波が液体供給口側および共通液体供給室側に
伝播されず、その大部分が吐出口側に向けられ、吐出パ
ワーが飛躍的に向上する。また、記録紙などに高速に定
着させたり、黒とカラーの境界での滲み(にじみ)を解
消したりするために、記録液に高粘度のものを使う場合
でも、吐出パワーの飛躍的向上により良好に吐出するこ
とができる。また、記録時の環境変化、特に低温・低湿
環境下では吐出口においてインク増粘領域が増え、使用
開始時に正常にインクが吐出されない場合があるが、本
発明では一発目から良好に吐出できる。また、吐出パワ
ーが飛躍的に向上したので、気泡発生手段として用いる
発熱体のサイズを縮小したりして、吐出のために投入す
るエネルギーを減らすこともできる。
【0035】また、気泡の収縮に伴い可動部材が下方変
位し、共通液体供給室から液体供給口を介して液体が急
速に大きな流れとなって液流路内へ流れ込む。これによ
り、メニスカスMを液流路内へと急速に引き込む流れが
急に低下するため、液滴吐出後の吐出口におけるメニス
カスの後退量が減少する。その結果、吐出後、メニスカ
スが初期状態に復帰する時間が非常に早い、すなわち、
液流路への定量のインク補充(リフィル)が完了する時
間が早いので、高精度(定量)のインク吐出を実施する
にあたり吐出周波数(駆動周波数)をも飛躍的に向上さ
せることができる。
【0036】さらに、気泡発生領域での気泡成長が、吐
出口側に大きく成長し、液体供給口側への成長を抑制し
ていることから、消泡点が気泡発生領域の中心付近から
吐出口側の部分に位置し、かつ、発泡パワーを維持しな
がら、消泡力を低減できることにより、気泡発生領域の
消泡力による発熱体の機械的・物理的破壊寿命を大きく
向上させることができる。
【0037】また、前記可動部材の根元を支持する前記
可動部材と一体に形成された根元支持部が、前記可動部
材の高さ位置を前記根元支持部の固定位置に対して一段
ずらすように、段差を有していることで、可動部材の変
位時における、可動部材の根元支持部の固定位置への応
力集中が緩和される。さらに、可動部材の厚さが、可動
部材の根元支持部の段差量より大きくなっている事によ
り、可動部材が変位する際に生じる可動部材の根元支持
部の段差部に集中する応力集中を緩和することができ、
可動部材の根元の耐久性が向上する。
【0038】さらに、液体供給口の液流路側の開口端部
と可動部材の液体供給口側面との間の隙間αと、液体供
給口の液流路側の開口端部に対して重なる可動部材の幅
方向のオーバーラップ幅W3との関係をW3>αとする
ことにより、液流路から液体供給口側への流れに関して
の流抵抗が前記関係がW3≦αのときと比べて大きくな
り、発泡初期の気泡成長における液流路から液体供給口
側への流れを効果的に抑制することが可能になる。しか
も、可動部材と液体供給口周辺との間隙を介しての、液
流路から液体供給ロヘの流れ込みが効果的に抑制される
ため、可動部材による液体供給口の遮蔽が確実かつ速や
かに行なわれる。これらの事により、吐出効率が更に向
上する。
【0039】また、液体供給口の液流路側の開口端部に
対して重なる可動部材の吐出口方向のオーバーラップ幅
W4と可動部材の幅方向のオーバーラップ幅W3との関
係がW3>W4である事により、初期発泡によって液体
供給口側に上方変位した可動部材が消泡工程で気泡発生
手段側に下方変位を開始する際、可動部材の自由端先端
と液体供給口の開口端部との接触幅が小さくなるため、
そこに発生する摩擦力も低減され、可動部材の自由端側
から優先的に液体供給口が開放される。これよって、可
動部材による液体供給口の開放を確実かつ速やかに行う
ことができる。その結果、液流路へ更に効率よくリフィ
ルが行われ、吐出特性がさらに安定する。
【0040】また、気泡発生手段の最表面層の耐キャビ
テーション膜にアモルファス合金薄膜を採用すること
で、更に、機械的・物理的破壊寿命を大きく向上させる
ことができる。
【0041】また、本発明の液体吐出ヘッドの製造工程
において、前記アモルファス合金を採用することで、A
l膜を除去して液流路や液体供給口を形成する除去過程
においても、下層にある配線層へのダメージを非常に低
減でき、歩留り向上に寄与することができる。
【0042】本発明のその他の効果については、各実施
形態の記載から理解できよう。なお、本発明の説明で用
いる「上流」「下流」とは、液体の供給源から気泡発生
領域(又は可動部材)を経て、吐出ロヘ向かう液体の流
れ方向に関して、又はこの構成上の方向に関しての表現
として表されている。
【0043】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向
に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の
領域で発生する気泡を意味する。
【0044】また、「オーバーラップ幅」とは、液体供
給口の液流路側の開口縁部から可動部材の縁部までの最
短拒離を指している。
【0045】また、本発明で表現する「可動部材が液体
供給口を密閉して実質的に遮斬する」とは必ずしも可動
部材が液体供給口の周辺部に密着するわけではなく、可
動部材が液体供給口に限りなく接近することも含む。
【0046】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0047】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1
の実施の形態による液体吐出ヘッドの1つの液流路方向
に沿った断面図、図2は図1のX−X’線断面図、図3
は図1の吐出口中心からYl点で天板2側ヘシフトした
Y−Y’線断面図である。
【0048】図1〜図3に示す複数液路−共通液室形態
の液体吐出ヘッドでは、素子基板1と天板2とが液路側
壁10を介して積層状態で固着され、両板1,2の間に
は、一端が吐出口7と連通した液流路3が形成されてい
る。この液流路3は1個のヘッドに多数設けられてい
る。
【0049】また、素子基板1には各々の液流路3に対
し、液流路3に補充された液体に気泡を発生させる気泡
発生手段としての電気熱変換素子等の発熱体4が配され
ている。発熱体4と吐出液との接する面の近傍領域に
は、発熱体4が急速に加熱されて吐出液に発泡が生じる
気泡発生領域11が存在する。
【0050】多数の液流路3の各々に、供給部形成部材
5Aに形成された液体供給口5が配設され、各液体供給
口5に同時に連通する大容積の共通液体供給室6が設け
られている。つまり、単一の共通液体供給室6から多数
の液流路3に分岐した形状となっており、各液流路3と
連通する吐出口7から吐出された液体に見合う量の液体
をこの共通液体供給室6から受け取る。
【0051】液体供給口5と液流路3との間には、可動
部材8が液体供給口5の開口領域Sに対して微小な隙間
α(例えば10μm以下)を有して略平行に設けられて
いる。可動部材8は素子基板1に対しても素子基板1に
略平行に位置する。そして可動部材8の吐出口7側の端
部8Bは素子基板1の発熱体4側に位置する自由端であ
る。可動部材8の根元を支持する根元支持部8Cは可動
部材8と一体に形成されており、根元支持部8Cは複数
液路に交差する方向に関して並んでいる複数の可動部材
8を繋げて共通に支持する部分である。図1及び図3中
の符号8Aは、上記の根元支持部8Cに支持される複数
の可動部材8の各々の根元を指しており、ここが、各可
動部材8の変位時の支点となる。可動部材8の根元支持
部8Cは、固定部材9上に接合、固定されている。ま
た、この固定部材9によって液流路3の吐出口7と反対
側端を閉じている。さらに、前述した可動部材8の根元
支持部8Cの一部は固定部材9に対して未接合(未固
定)とされており、この未接合部分は、可動部材8の高
さ位置を根元支持部8Cの固定部材9との囲定部分に対
して一段ずらすように、段差を有している。この構成に
より、可動部材8の変位時における、可動部材8の根元
支持部8Cと固定部材9との接合界面への応力集中を緩
和させている。
【0052】さらに本実施形態では、可動部材8の少な
くとも自由端部及びそれに連続する両側部で囲まれる領
域が液体供給口5の開口領域Sよりも大きくなっており
(図3参照)、かつ、可動部材8の側部と両側の流路側
壁10のそれぞれとの間は微小な隙間βを有する(図2
参照)。前述した供給部形成部材5Aは、可動部材8に
対して、図2に示すように隙間γを介している。隙間
β、γは、流路のピッチによって異なるが、隙間γが大
きければ可動部材8は開口領域Sを遮断し易く、隙間β
が大きければ可動部材8は隙間αを介して位置する定常
状態よりも消泡に伴って素子基板1側へ移動し易くな
る。本実施形態では、隙間αは2μm、隙間βは3μ
m、隙間γは4μmとした。また、可動部材8は、流路
側壁10の間の幅方向で、上記開口領域Sの幅W2より
も大きい幅Wlを有しており、開口領域Sを十分密閉で
きる幅を有している。本実施形態では、図2及び図3に
示すように液路倒壁10自体の厚さよりも、供給部形成
部材5Aの可動部材8に沿っているる部分の厚さが小さ
く設定しており、流路側壁10に対して供給部形成部材
5Aが積層されている。なお、供給部形成部材5Aの可
動部材の自由端8Bよりも吐出口7側は、図3に示すよ
うに液路側壁10自体の厚さに対して同じ厚さに設定さ
れている。以上により可動部材8は液流路3内で摩擦抵
抗なく可動できる一方で、開口領域S側への変位は開口
領域Sの周辺部で規制できる。これにより、可動部材8
が開口領域Sを実質的に塞いで液流路3内部から共通液
体供給室6への液流を防ぐことが可能となる一方で、気
泡の消泡に伴って可動部材8が実質密閉状態からリフィ
ル可能状態へ移動可能となる。
【0053】ここでいう開口領域Sは、液体供給口5か
ら液流路3に向かって液体を供給する実質的な領域であ
り、本実施形態においては図1及び図3に示すように液
体供給口5の3辺と固定部材9の端部9Aで囲まれた領
域である。
【0054】また、図4に示すように本実施形態におい
ては、電気熱変換体としての発熱体4と吐出口7との間
は弁のような障害物は無く、液流に対し直線的な流路構
造を保っている「直線的連通状態」となっている。これ
は、より好ましくは、気泡の発生時に生じる圧力波の伝
播方向とそれに伴う液体の流動方向と吐出方向とが直線
的に一致させることで、吐出滴の吐出方向や吐出速度等
の吐出状態をきわめて高いレベルで安定化させるという
理想状態を形成することが望ましい。本発明では、この
理想状態を達成、または近似させるための一つの定義と
して、吐出口7と発熱体4、特に気泡の吐出口側に影響
力を持つ発熱体の吐出口側(下流側)とが直接直線で結
ばれる構成とすればよく、これは、流路内の流体がない
状態であれば、吐出口の外側から見て発熱体、特に発熱
体の下流側が観察することが可能な状態である(図4参
照)。
【0055】次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの吐出
動作について詳しく説明する。図5〜図7は図1〜図3
に示した構造の液体吐出ヘッドの吐出動作を説明するた
めに、液体吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示
すとともに、特徴的な現象を図5〜図7の6工程に分け
て示したものである。また図5〜図7において符号Mは
吐出液が形成するメニスカスを表している。
【0056】図5(a)では、発熱体4に電気エネルギ
ー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体
が熱を発生する前の状態を示す。この状態では、液体供
給口5と液流路3との間に設けられた可動部材8と、液
体供給口5の形成面との間には微小な隙間(10μm以
下)が存在している。
【0057】図5(b)では、液流路3を満たす液体の
一部が発熱体4によって加熱され、発熱体4上に膜沸騰
が起こり気泡21が等方的に成長した状態を示す。ここ
で、「気泡成長が等方的」とは、気泡表面のどの位置に
おいても気泡表面の垂線方向を向いた気泡成長速度がそ
れぞれほぼ等しい大きさである状態をいう。
【0058】発泡初期の、気泡21の等方的な成長過程
において、可動部材8が液体供給口5の周辺部と密着し
て液体供給口5を塞ぎ、液流路3内が、吐出口7を除い
て実質的に密閉状態になる。この密閉状態は、気泡21
の等方的な成長過程のいずれかの期間維持されるもので
ある。なお、密閉状態が維持される期間は、発熱体4に
駆動電圧が印加されてから、気泡21の等方的な成長過
程が終了するまでの間にあってもよい。また、この密閉
状態では、液流路3において発熱体4の中心から液体供
給口側のイナータンス(静止液体が急に動き出すときの
動きにくさ)は、実質的に無限大になる。この時、発熱
体4から液体供給口側へのイナータンスは、発熱体4と
可動部材8との距離が取れるほど無限大に近づく。ま
た、この時、可動部材8の自由端が、液体供給口5側に
最大変位する量をhlとする。
【0059】図6(a)は気泡21が成長し続けている
状態を示す。この状態では、上述のように液流路3内
が、吐出口7を除いて実質的に密閉状態になっているの
で、液体の流れが液体供給口5側には行かない。そのた
め、気泡は、吐出口7側へは大きく広がることができる
が、液体供給口5側へはあまり広がらない。そして、気
泡発生領域11の吐出口7側では気泡成長は続くが、逆
に、気泡発生領域11の液体供給口5側では気泡成長が
止まってしまう。つまり、この気泡成長停止状態が、気
泡発生領域11の液体供給口5側では、最大発泡状態に
なっている。この時の発泡体積をVrとする。
【0060】ここで、図5(a),(b)及び図6
(a)における気泡の成長過程を図8に基づき詳述す
る。図8(a)に示すように発熱体が加熱されると発熱
体上に初期沸騰が生じ、その後図8(b)に示すように
発熱体上を膜状の気泡が覆う膜沸騰に変化する。そして
膜沸騰状態の気泡は図8(b)及び図8(c)に示すよ
うに等方的に成長し続ける(このように等方的に気泡成
長している状態は半ピュロー状態と呼ばれる。)。とこ
ろが図5(b)に示したように液流路3内が、吐出口7
を除いて実質的に密閉状態になると、上流側への液移動
ができなくなるため、半ピュロー状の気泡において上流
側(液体供給口側)の気泡の一部があまり成長できなく
なり、残りの下流側(吐出口側)の部分が大きく成長す
る。この状態を表したのが、図6(a)や図8(d)、
(e)である。
【0061】ここで説明の便宜上、発熱体4を加熱して
いるとき、発熱体4上において気泡が成長しない領域を
B領域とし、気泡が成長する吐出口7側の領域をA領域
とする。なお、図8(e)に示すB領域では、発泡体積
が最大となっており、このときの発泡体積をVrとし
た。
【0062】次に図6(b)は、A領域では気泡成長が
続いており、B領域では気泡収縮が始まっている状態を
示す。この状態では、A領域では吐出口側に向けて気泡
が大きく成長していき、B領域では気泡の体積が減少し
始める。そして、可動部材8の自由端はその剛性による
復元力やB領域における気泡の消泡力で定常状態位置へ
と下方変位し姑める。その結果、液体供給口5が開き、
共通液体供給室6と液流路3が連通状態となる。
【0063】図7(a)は、気泡21がはば最大に成長
した状態を示す。この状態では、A領域において気泡が
最大に成長し、これに伴ってB領域における気泡ははと
んど無くなる。この時のA領域での最大気泡体積をVf
とする。また、吐出口7から吐出しつつある吐出滴22
は、長い尾引きの状態でメニスカスMと未だ繋がってい
る。
【0064】図7(b)は、気泡21の成長は止まり消
泡工程のみの段階であって、吐出滴22とメニスカスM
が分断された状態を示す。A領域で気泡成長から消泡に
変わった直後は、気泡21の収縮エネルギーは全体バラ
ンスとして吐出口7近傍の液体を上流方向へ移動させる
力として働く。したがって、メニスカスMはこの時点で
吐出口7から液流路3内に引き込まれ、吐出液滴22と
繋がっている液柱を強い力ですばやく切り離すことにな
る。その一方で、気泡の収縮に伴い可動部材8が下方変
位し、共通液体供給室6から液体供給口5を介して液体
が急速に大きな流れとなって液流路3内へ流れ込む。こ
れにより、メニスカスMを液流路3内へと急速に引き込
む流れが急に低下するため、メニスカスMの後退量が減
少するとともに、メニスカスMは比較的低速で発泡前の
位置へ戻り始める。その結果、本発明に係る可動部材を
備えていない液体吐出方式に比べてメニスカスMの振動
の収束性が非常に良い。なお、この時の可動部材8の自
由端が、気泡発生領域11側に最大変位する量をh2と
する。
【0065】最後に、気泡21が完全に消泡すると、可
動部材8も図5(a)に示した定常状態位置に復帰す
る。この状態へは、可動部材8はその弾性力により上方
変位する(図7(b)の実線の矢印方向)。また、この
状態では、メニスカスMはすでに吐出口7近傍で復帰し
ている。
【0066】次に、図5〜図7におけるA領域とB領域
での気泡体積の時間変化と可動部材の挙動との相関関係
を図9を参照して説明する。図9はその相関関係を表し
たグラフであり、曲線AはA領域における気泡体積の時
間変化を示し、曲線BはB領域における気泡体積の時間
変化を示す。
【0067】図9に示すように、A領域での気泡の成長
体積の時間変化は極大値をもつ放物線を描く。つまり、
発泡開始されてから消泡までにおいて気泡体積は時間経
過とともに増大しある時点で最大となり、その後減少す
る。一方、B領域については、A領域の場合と比べ、発
泡開始されてから消泡までに要する時間が短く、また気
泡の最大成長体積も小さく、最大成長体積に達する時間
も短い。つまり、A領域とB領域とでは、発泡開始され
てから消泡までに要する時間と気泡の成長体積変化とが
大きく異なっていて、B領域の方が小さい。
【0068】特に図9において、気泡の発生初期は同じ
時間変化で気泡体積が増大するため、曲線Aと曲線Bが
重なっている。つまり、気泡の発生初期は気泡が等方的
に成長している(半ピュロー状の)期間が生じている。
その後、曲線Aが極大点まで増大する曲線を描くもの
の、ある時点で曲線Bは曲線Aから分岐し、気泡体積が
減少する曲線を描く。つまり、A領域では気泡の体積が
増加するものの、B領域では気泡体積が減少する期間
(部分成長部分収縮期間)が生じる。
【0069】そして、上記のような気泡成長の仕方に基
づき、図1に示したように発熱体の一部分を可動部材の
自由端が覆った形態では、可動部材は次のような挙動を
生じる。すなわち、図9のの期間では可動部材が液体
供給口に向かって上方変位している。同図の期間では
可動部材が液体供給口に密着し、液流路内が吐出口を除
いて実質的に密閉状態となる。この密閉状態の開始は気
泡が等方的に成長している期間で行われる。次に同図
の期間では、可動部材が定常状態位置に向かって下方変
位している。この可動部材による液体供給口の開放開始
は部分成長部分収縮期間開始から一定時間経過後に行わ
れる。次に同図の期間では、可動部材が定常状態から
さらに下方変位している。次に同図の期間では、可動
部材の下方変位がほぼ停止し、可動部材が開放位置で平
衡状態になっている。最後に同図の期間では、可動部
材が定常状態位置に向かって上方変位している。
【0070】このような気泡成長と可動部材の挙動との
相関関係は、可動部材と発熱体との相対位置に影響され
る。そこで、図10および図11を参照し、本形態と異
なる相対位置の可動部材と発熱体を備えた液体吐出ヘッ
ドにおける気泡成長と可動部材の挙動との相関関係を説
明する。
【0071】図10は、発熱体全体を可動部材の自由端
が覆った形態における気泡成長と可動部材の挙動との相
関関係を説明するための図で、(a)はその形態を、
(b)はその相関関係のグラフを示している。図10の
(a)で示す形態のように発熱体と可動部材が重なって
いる面積が大きいと、図10のの期間が図1の形態の
場合と比べて短時間となり、発熱体を加熱してから短時
間で密閉状態になるので、より吐出効率を向上させるこ
とができる。なお、図10の〜の各期間の可動部材
の挙動は図9に基づいて説明した拳動と同じである。ま
た図10の形態をとると、可動部材が気泡の体積減少の
影響を受けやすくなるため、同図の期間開始時点から
判るように、可動部材による液体供給口の開放開始は部
分成長部分収縮期間開始から即座に行われる。つまり、
可動部材の開放タイミングが図1の形態の場合と比べて
早い。同様の理由で、可勤部材8の振幅が大きくなる。
【0072】また図11は、発熱体と可動部材が離れて
いる形態における気泡成長と可動部材の挙動との相関関
係を説明するための図で、(a)はその形態を、(b)
はその相関関係のグラフを示している。図11の(a)
で示す形態のように発熱体と可動部材とが離れている
と、可動部材が気泡の体積減少の影響を受けにくいた
め、同図の期開開始時点から判るように、可動部材に
よる液体供給口の開放開始は部分成長部分収縮期間開始
からかなり遅れて行われる。つまり、可動部材の開放タ
イミングが図1の形態の場合と比べて遅い。同様の理由
で、可動部材の振幅が小さくなる。なお、図11の〜
の各期間の可動部材の拳動は図9に基づいて説明した
拳動と同じである。
【0073】なお、上記可動部材8と発熱体4との位置
関係は一般的な動作の説明をしたもので、可動部材の自
由端の位置、可動部材の剛性などによって各動作は異な
ってくるものである。また、図9〜図11から判るよう
に、気泡発生領域11の吐出口7側で成長する気泡(A
領域の気泡)の最大時の体積をVfとし、気泡発生領域
11の液体供給口5側で成長する気泡(B領域の気泡)
の最大時の体積をVrとすると、Vf>Vrの関係が本
発明のヘッドでは常に成り立っている。さらに、気泡発
生領域11の吐出口7側で成長する泡(A領域の泡)の
ライフタイム(泡の発生から消泡までの時間)をTfと
し、気泡発生領域11の液体供給口5側で成長する泡
(B領域の泡)のライフタイムをTrとすると、Tf>
Trの関係が本発明のヘッドでは常に成り立つ。そし
て、上記のような関係となるため、気泡の消泡点は、気
泡発生領域11の中心付近より吐出口7側に位置するこ
ととなる。
【0074】さらに本ヘッド構成では、図5(b)及び
図7(b)からも判るように、気泡の発生初期に可動部
材8の自由端が液体供給口5側に最大変位する量hlよ
りも、気泡の消泡と共に可動部材8の自由端が気泡発生
手段4側に最大変位する量h2の方が大きいという関係
(hl<h2)にある。例えばhlは2μm、h2は1
0μmである。この関係が成り立つことにより、発熱体
後方(吐出口に対して反対方向)への泡の成長を抑制
し、発熱体前方(吐出口に向かう方向)への泡の成長を
より促進させることができる。この事によって、発熱体
で生じる発泡パワーを、液体が吐出口から飛翔する液滴
の運動エネルギーヘ変換させる効率を向上させることが
できる。
【0075】以上のように本実施形態のヘッド構成及び
液体吐出動作について説明したが、このような形態によ
れば、気泡の下流側への成長成分と上流側への成長成分
が均等ではなく、上流側への成長成分がはとんどなくな
り上流側への液体の移動が抑制される。上流側への液体
の流れが抑制されるため、上流側に気泡成長成分が損失
することなくそのほとんどが吐出口の方向に向けられ、
吐出力が格段に向上する。さらに、気泡の収縮に伴い可
動部材が下方変位し、共通液体供給室から液体供給口を
介して液体が急速に大きな流れとなって液流路内へ流れ
込む。これにより、メニスカスMを液流路3内へと急速
に引き込む流れが急に低下するため、吐出後のメニスカ
スの後退量が減少し、その分リフィル時にメニスカスが
オリフィス面よりも吐出する量も減少する。そのためメ
ニスカス振動が抑制されることとなり、低周波数から高
周波数まであらゆる駆動周波数において安定した吐出を
行うことができる。
【0076】(第2の実施の形態)第1の実施の形態の
ヘッド構造においては図1及び図3に示したように、可
動部材8の根元支持部8Cの、固定部材9に対して未接
合となる(すなわち、屈曲して立ち上がる)位置が固定
部材9の端部9Aとは同じでない為、開口領域Sは、液
体供給口5の3辺と固定部材9の端部9Aで囲まれた領
域となったが、図12及び図13に示す形態のように、
可動部材8の根元支持部8Cの固定部材9からの屈曲立
ち上がり位置を固定部材9の端部9Aとしてもよい。こ
の形態の場合には、開口領域Sは図12及び図13に示
すように、液体供給口5の3辺と可動部材8の支点部8
Aとで囲まれた領域となる。
【0077】また、第1の実施の形態のヘッド構造にお
いて液体供給口5は図3に示したように4つの壁面で囲
まれた開口としたが、図14及び図15に示す形態のよ
うに、供給部形成部材5A(図1参照)のうち、吐出口
7側とは反対の液体供給室6側の壁面が開放されていて
もよい。この形態の場合には、第1の実施の形態と同
様、開口領域Sは図14及び図15に示すように、液体
供給口5の3辺と固定部材9の端部9Aとで因まれた領
域となる。
【0078】なお、図12及び図14におけるX−X’
線断面図は図2と同じである。
【0079】(第3の実施の形態)さらに上述した各実
施形態において、例えば図1、図12、図14に示すよ
うに、可動部材8の厚さtが、可動部材8の根元支持部
8Cの段差量hより大きくなっている事がより好まし
い。例えば、t=5μm、h=2μmとした。この事に
より、可動部材8が変位する際に生じる可動部材8の根
元支持部8Cの段差部に集中する応力集中を援和するこ
とができ、可動部材8の根元の耐久性が向上する。
【0080】また図16は図12に示したヘッド構造に
おける可動部材の根元周辺部の断面拡大図を示し、図1
7に図16に示した可動部材の変形例を示す。
【0081】図16に代表されるように、上述した各実
施形態では、可動部材8の高さ位置が、可動部材8の根
元支持部8Cの固定部材9との固定部分に対して液体供
給口5側に一段ずれているが、これとは反対に、図17
に示すように発熱体(不図示)側にずれた形態であって
もよい。この形態においても、可動部材8の厚さtを、
可動部材8の根元支持部8Cの段差量hより大きくする
事により、可動部材8の根元の耐久性を向上させること
ができる。
【0082】(第4の実施の形態)さらに上述した各実
施形態において、例えば図2に示すように、液体供給口
5の液流路3側の開口端面と可動部材8の液体供給口5
側の面との間の隙間αと、液体供給口5の液流路3側の
開口端面に対して重なる可動部材8の幅方向のオーバー
ラップ幅W3との関係をW3>αとすることにより、吐
出効率を向上させることができる。例えば、2μmの隙
間αに対して、前記オーバーラップ幅W3を3μmとし
た。
【0083】ここで上記の関係がW3>αのときと、W
3≦αのときの発泡初期の液体の流れを図18及び図1
9を用いて説明する。図18及び図19は液体供給口を
通る流路断面図である。まず、図18(a)に示すよう
なW3>αの関係では、図18(b)に示すように、発
泡初期の圧力で可動部材8が上方へ変位するとき、矢印
Aの流れが可動部材8の側面で発生する。また、可動部
材8と液体供給口5の開口端面との間隙において矢印B
の流れも発生する。このとき、矢印Bは十分に大きな流
れであるため、矢印Bの流れで矢印Aの流れを十分に抑
制することができ、これにより、液体供給口5側への液
体の流れPを十分に抑制することができるため、吐出効
率を更に向上させることができる。
【0084】一方、図19(a)に示すようなW3≦α
の関係では、図19(b)に示すように、発泡初期の圧
力で可動部材8が上方へ変位するとき、矢印A’の流れ
が可動部材8の側面で発生し、また、可動部材8と液体
供給口5の開口端面との間隙において矢印B’の流れも
発生する。このとき、矢印B’の流れはさほど大きくな
いため、矢印B’の流れはW3>αのときほどには矢印
A’の流れを抑制できず、液体供給口5側への液体の流
れP’はW3>αのときに比べ大きくなってしまう。
【0085】よって、上述したようにW3>αの関係に
すると、液流路3から液体供給口5側への流れに関して
の流抵抗が前記関係がW3≦αのときと比べて高くな
り、発泡初期の気泡成長における液流路3から液体供給
口5側への流れを十分に抑制することが可能になる。ま
た、可動部材8と液体供給口5周辺との間隙を介して
の、液流路3から液体供給口5への流れ込みが十分に抑
制されるため、可動部材8による液体供給口5の遮蔽が
確実かつ速やかに行なわれる。これらの事により、吐出
効率が更に向上する。
【0086】(第5の実施の形態)さらに上述した各実
施形態において、例えば図3に示すように、液体供給口
5の液流路3側の開口端面に対して重なる可動部材8の
吐出口7方向のオーバーラップ幅W4と可動部材8の幅
方向のオーバーラップ幅W3との関係がW3>W4であ
る事がより好ましい。例えぼW3=3μm、W4=2μ
mとした。
【0087】このような関係にすると、初期発泡によっ
て液体供給口5側に上方変位した可動部材8が消泡工程
で下方変位を開始する際、可動部材8の自由端先端と液
体供給口6の開口端面との接触幅が小さくなるため、そ
こに発生する摩擦力も低減され、可動部材の自由端側か
ら優先的に液体供給口が開放される。それによって、可
動部材による液体供給口の開放を確実かつ速やかに行う
ことができる。その結果、更に効率よくリフィルが行わ
れ、吐出特性が更に安定する。
【0088】また、本実施の形態の変形例としての液体
吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図を図20
に示す。図21は図20の吐出口中心からYl点で天板
2側ヘシフトしたY−Y’線断面図を示す。なお、図2
0におけるX−X’線断面図は図2と同じである。
【0089】これらの図で示す液体吐出ヘッドは第1の
実施の形態の一部を変更したものである。第1の実施の
形態に代えて、図20に示すように、可動部材8の吐出
口7側の先端面と所定の間隔を持つ壁面部5Bが、供給
部形成部材5Aの一部として形成されている。これによ
り、液体供給口5の液流路3側の開口端面と可動部材8
の自由端8Bの液体供給口5側の面との間隙αは、吐出
口7から可動部材8へと見た場合、見かけ上、壁面部5
Bによって覆われる。したがって、発泡初期の、吐出方
向とは反対方向である、液流路3から液体供給口5への
流れを十分に抑制することができ、これにより、吐出効
率を更に向上させることができる。そして、この構成例
においても、図21に示すように液体供給口5の液流路
3側の開口端面に対して重なる可動部材8の吐出口7方
向のオーバーラップ幅W4と可動部材8の幅方向のオー
バーラップ幅W3との関係をW3>W4にすることによ
り、可動部材8による液体供給口の開放を確実かつ速や
かに行うことができる。これにより、液流路3へ更に効
率よくリフィルが行われ、吐出特性が更に安定する。
【0090】(第6の実施の形態)図22は本発明の第
6の実施の形態による液体吐出ヘッドを示している。
【0091】図22に示す形態の液体吐出ヘッドでは、
素子基板1と天板2とが接合され、両板1,2の開に
は、一端が吐出口7と連通された液流路3が形成されて
いる。
【0092】液流路3に液体供給口5が配設され、液体
供給口5に連通する共通液体供給室6が設けられてい
る。
【0093】液体供給口5と液流路3との間には、可動
部材8が液体供給口5の開口領域に対して微小な隙間α
(例えば10μm以下)を有して略平行に設けられてい
る。可動部材8の少なくとも自由端部及びそれに連続す
る両側部で囲まれる領域が液体供給口5の液流路に対す
る開口領域Sよりも大きくなっており、かつ、可動部材
8の側部と液流路側壁10との間は微小な隙間βを有す
る。これにより可動部材8は液流路3内で摩擦抵抗なく
可動する一方で、開口領域側への変位は開口領域Sの周
辺部で規制され、液体供給口5を実質的に塞いで液流路
3から共通液体供給室6への液流を防ぐことが可能にな
る。また本実施形態では、可動部材8は素子基板1に対
向に位置する。そして可動部材8の一端は素子基板1の
発熱体4側に変位する自由端であり、その他端側は支持
部9Bに支持されている。
【0094】また、第4の実施の形態と同様、液体供給
口5の液流路3側の開口端面と可動部材8の液体供給口
5側の面との間の隙間αと、液体供給口5の液流路3側
の開口端面に対して重なる可動部材8の幅方向のオーバ
ーラップ幅Wbとの関係が、Wa>αとなっている事が
吐出効率を向上させる上で好ましい。
【0095】さらに、第5の実施の形態と同様、液体供
給口5の液流路3側の開口端面に対して重なる可動部材
8の吐出口7方向のオーバーラップ幅Waと可動部材8
の幅方向のオーバーラップ幅Wbとの関係がWb>Wa
である事が吐出特性を安定させる上でより好ましい。
【0096】(第7の実施の形態)次に、上述したよう
な各種の形態の液体吐出ヘッドに好適なヘッド用基体お
よび、液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。
【0097】上述したような液体吐出ヘッドの発熱体4
を駆動したりその駆動を制御したりするための回路や素
子は、その機能に応じて素子基板1または天板2に分担
して配置されている。また、これら回路や素子は、素子
基板1および天板2がシリコン材料で構成されているこ
とから、半導体ウェハプロセス技術を用いて容易かつ微
細に形成することができる。
【0098】以下に、半導体ウェハプロセス技術を用い
て形成された素子基板1の構造について説明する。
【0099】図23は、上記各種の実施形態の液体吐出
ヘッドに用いられる素子基板1の断面図である。図23
に示す素子基板1では、シリコン基板201の表面に、
蓄熱層としての熱酸化膜202および蓄熱層を兼ねる層
間膜203がこの順番で積層されている。層間膜203
としては、SiO2膜またはSi34膜が用いられてい
る。層間膜203の表面に部分的に抵抗層204が形成
され、抵抗層204の表面に部分的に配線205が形成
されている。配線205としては、Alまたは、Al−
Si,Al−CuなどのAl合金配線が用いられてい
る。この配線205、抵抗層204および層間膜203
の表面に、SiO2膜またはSi34膜から成る保護膜
206が形成されている。保護膜206の表面の、抵抗
層204に対応する部分およびその周囲には、抵抗層2
04の発熱に伴う化学的および物理的な衝撃から保護膜
206を守るための耐キャビテーション膜207が形成
されている。抵抗層204表面の、配線205が形成さ
れていない領域は、抵抗層204の熱が作用する部分と
なる熱作用部208である。
【0100】この素子基板1上の膜は半導体の製造技術
によりシリコン基板201の表面に願に形成され、シリ
コン基板201に熱作用部208が備えられている。
【0101】図24は、図23に示す素子基板1の主要
素子を縦断するように素子基板1を切断した模式的断面
図である。
【0102】図24に示すように、P導電体であるシリ
コン基板201の表層にはN型ウェル領域422および
p型ウェル領域423が部分的に備えられている。そし
て、一般的なMosプロセスを用いてイオンプラテーシ
ョンなどの不純物導入および拡散によって、N型ウェル
領域422にP−Mos420が、P型ウェル領域42
3にN−Mos421が備えられている。P−Mos4
20は、N型ウェル領域422の表層に部分的にN型あ
るいはP型の不純物を導入してなるソース領域425お
よびドレイン領域426や、N型ウェル領域422の、
ソース頼域425およびドレイン領域426を除く部分
の表面に厚さ数百オングストロームのゲート絶縁膜42
8を介して堆積されたゲート配線435などから構成さ
れている。また、N−Mos421は、P型ウェル領域
423の表層に部分的にN型あるいはP型の不純物を導
入してなるソース領域425およびドレイン領域426
や、P型ウェル領域423の、ソース領域425および
ドレイン領域426を除く部分の表面に厚さ数百オング
ストロームのゲート絶縁膜428を介して堆積されたゲ
ート配線435などから構成されている。ゲート配線4
35は、CVD法により堆積した厚さ4000オングス
トローム〜5000オングストロームのポリシリコンか
ら成るものである。これらのP−Mos420およびN
−Mos421からC−Mosロジックが構成されてい
る。
【0103】P型ウェル領域423の、N−Mos42
1と異なる部分には、電気熱変換素子駆動用のN−Mo
sトランジスタ430が備えられている。N−Mosト
ランジスタ430も、不純物導入および拡散などの工程
によりP型ウェル領域423の表層に部分的に備えられ
たソース領域432およびドレイン領域431や、P型
ウェル領域423の、ソース領域432およびドレイン
領域431を除く部分の表面にゲート絶縁膜428を介
して堆積されたゲート配線433などから構成されてい
る。
【0104】本実施形態では、電気熱変換素子駆動用の
トランジスタとしてN−Mosトランジスタ430を用
いたが、複数の電気熱変換素子を個別に駆動できる能力
を持ち、かつ、上述したような微細な構造を得ることが
できるトランジスタであれば、このトランジスタに限ら
れない。
【0105】P−Mos420とN−Mos421との
間や、N−Mos421とN−Mosトランジスタ43
0との間などの各素子間には、5000オングストロー
ム〜10000オングストロームの厚さのフィールド酸
化により酸化膜分離領域424が形成されており、その
酸化膜分離領域424によって各素子が分離されてい
る。酸化膜分離領域424の、熱作用部208に対応す
る部分は、シリコン基板201の表面側から見て一層目
の蓄熱層434としての役割を果たす。
【0106】P−Mos420、N−Mos421およ
びN−Mosトランジスタ430の各素子の表面には、
厚さ約7000オングストロームのPSG膜またはBP
SG膜などから成る層間絶縁膜436がCVD法により
形成されている。熱処理により層間絶縁膜436を平坦
化した後に、層間絶縁膜436およびゲート絶縁膜42
8を貫通するコンタクトホールを介して第1の配線層と
なるAl電極437により配線が行われている。層間絶
縁膜436およびAl電極437の表面には、厚さ10
000オングストローム〜15000オングストローム
のSiO2膜から成る層間絶縁膜438がプラズマCV
D法により形成されている。層間絶縁膜438の表面
の、熱作用部208およびN−Mosトランジスタ43
0に対応する部分には、厚さ約1000オングストロー
ムのTaN0.8,hex膜から成る抵抗層204がDCスパ
ッタ法により形成されている。抵抗層204は、層間絶
縁膜438に形成されたスルーホールを介してドレイン
領域431の近傍のAl電極437と電気的に接続され
ている。抵抗層204の表面には、各電気熱変換素子へ
の配線となる第2の配線層としての、Alの配線205
が形成されている。
【0107】配線205、抵抗層204および層間絶縁
膜438の表面の保護膜206は、プラズマCVD法に
より形成された厚さ10000オングストロームのSi
34膜から成るものである。保護膜206の表面に堆積
された耐キャビテーション膜207は、Ta(タンタ
ル)、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、Cr(クロ
ム)、Ge(ゲルマニウム)、Ru(ルテニウム)等か
ら選ばれる少なくとも1つ以上のアモルファス合金の厚
さ約2500オングストロームの薄膜から成るものであ
る。
【0108】次に、図1〜図3等に示すように素子基板
1上に、可動部材8と流路側壁10と液体供給口5を設
ける場合の製造工程の一例について、図25〜図27を
参照して説明する。なお、図25〜図27は、素子基板
上に形成する液流路の方向とは直交する方向に沿った切
断面によって工程を示している。
【0109】まず、図25(a)では、素子基板1の発
熱体4側の面に、Al膜をスパッタリング法によって厚
さ約2μm形成する。この形成されたAl膜を、周知の
フォトリソグラフィプロセスを用いてパターニングし、
発熱体2に対応する位置にAl膜パターン25を複数形
成する。それぞれのAl膜パターン25は、後述する図
25(c)の工程において、固定部材9、流路側壁10
の一部を形成するための材料膜であるSiN膜26がエ
ッチングされる領域まで延在されている。
【0110】Al膜パターン25は、後述するようにド
ライエッチングにより液流路3を形成する際のエッチン
グストップ層として機能する。これは、素子基板1にお
ける耐キャビテーション膜207としてのTa等の薄
膜、および抵抗体上の保護層206としてのSiN膜
が、液流路3を形成するために使用するエッチングガス
によりエッチングされてしまうからであり、これらの層
や膜のエッチングがAl膜パターン25により防止され
る。そのため、ドライエッチングにより液流路3を形成
する際に素子基板1の発熱体4側の面が露出しないよう
に、それぞれのAl膜パターン25における液流路3の
流路方向と直交する方向の幅は、最終的に形成される液
流路3の幅よりも広くなっている。
【0111】さらに、ドライエッチング時には、C
4,CXY,SF6ガスの分解によりイオン種およびラ
ジカルが発生し、素子基板1の発熱体4や機能素子にダ
メージを与えることがあるが、Al膜パターン25は、
これらイオン種やラジカルを受け止めて素子基板1の発
熱体4や機能素子を保護するものとなっている。
【0112】次に、図25(b)では、Al膜パターン
25の表面、および素子基板1のAl膜パターン25側
の面上に、プラズマCVD法を用いて、流路側壁10の
一部を形成するための材料膜である厚さ約20.0μm
のSiN膜26を、Al膜パターン25を被覆するよう
に形成する。
【0113】次に、図25(c)では、SiN膜26の
表面全体にAl膜を形成した後に、形成されたAl膜
を、フォトリソグラフィなどの周知の方法を用いてパタ
ーニングし、SiN膜26の表面の、液流路3を形成す
る部分を除く部分にAl膜(不図示)を形成する。そし
て、誘電結合プラズマを使ったエッチング装置を用いて
SiN膜26をエッチングして流路側壁10の一部を形
成する。そのエッチング装置では、CF4と02、SF6
の混合ガス等を用いて、Al膜パターン25をエッチン
グストップ層として、SiN膜26のエッチングを行
う。
【0114】次に、図25(d)では、SiN膜26の
表面に、スパッタリング法によりAl膜27を厚さ2
0.0μm形成し、前工程において液流路3を形成する
部分としてSiN膜26をエッチングしてできた穴をA
lで埋める。
【0115】そして、図26(a)では、図25(d)
に示す基板1上のSiN膜26及びAl膜27の表面を
CMP(Chemical Mechanical P
olishing)により平坦に研磨する。
【0116】次に、図26(b)では、CMPにより研
磨したSiN膜26及びAl膜27の表面に、スパッタ
リング法によりAl膜28を厚さ約2.0μm形成した
後、形成されたAl膜28を、周知のフォトリソグラフ
ィプロセスを用いてパターニングする。このAl膜28
のパターンは、後述する図26(c)の工程において、
可動部材8を形成するための材料膜であるSiN膜がエ
ッチングされる領域まで延在されている。Al膜28
は、後述するようにドライエッチングにより可動部材8
を形成する際のエッチングストップ層として機能する。
つまり、液流路3の一部となるSiN膜26が、可動部
材8を形成するために使用するエッチングガスによりエ
ッチングされることを防止するものである。
【0117】次に図26(c)では、Al膜28の表面
に、プラズマCVD法を用いて、可動部材8を形成する
ための材料膜である厚さ約3.0μmのSiN膜を形成
する。そして、形成したSiN膜を、誘電結合プラズマ
を使ったエッチング装置を用いてドライエッチングし
て、液流路3の一部となるAl膜28に対応する箇所の
SiN膜29を残す。このエッチング装置による方法は
図25(c)の工程と同様である。このSiN膜29は
最終的には可動部材8になるため、そのSiN膜29の
パターンにおける液流路3の流路方向と直交する方向の
幅は、最終的に形成される液流路3の幅よりも狭くなっ
ている。
【0118】次に、図27(a)では、Al膜28の表
面に、間隙形成部材30を形成するための材料膜である
Al膜をスパッタリング法によって、SiN膜29を被
覆するように厚さ3.0μm形成する。この、前工程で
のAl膜28に成膜したAl膜を、周知のフォトリソグ
ラフィプロセスを用いてパターニングし、図2に示した
可動部材8の上面と液体供給口5の間隙αと、可動部材
8の両側部と流路側壁10の間隙βとを形成するための
間隙形成部材30を、SiN膜29の表面及び側面に形
成する。
【0119】次に、図27(b)では、SiN膜26上
に、下記の表1に示す材料からなるネガ型の感光性エポ
キシ樹脂31を、Al膜からなる間隙形成部材30を含
む前記基板上にスピンコートによって30.0μmの厚
さで塗布する。なお、上記のスピンコート工程により、
天板2が接合される流路側壁10の一部となるエポキシ
樹脂31を平坦に塗布することができる。
【0120】
【表1】 続いて、上記の表1に示すように、ホットプレートを用
いて90℃、5分の条件でエポキシ樹脂31のプリベー
クを行った後に、露光装置(キヤノン製:MPA60
0)を用いて2[J/cm2]の露光光量でエポキシ樹
脂31を所定のパターンに露光する。ネガ型のエポキシ
樹脂は、露光された部分が硬化し、露光されない部分は
硬化しない。そのため、上記の露光工程では液体供給口
5となる部分を除いた箇所のみ露光する。そして、上記
の現像液を用いて液体供給口5となる穴部分を形成した
後に、200℃、1時間の条件で本ベークを行う。この
液体供給口5となる穴部分の開口面積は、可動部材8と
なるSiN膜29の面積よりも小さくしてある。
【0121】最後に、図27(c)では、酢酸、りん酸
および硝酸の混酸を用いてAl膜25、27、28およ
び30を加温エッチングすることで、これらを溶出して
除去し、素子基板1上に液体供給口5、可動部材8、固
定部材9および流路側壁10を作り出す。その際、発熱
体(気泡発生手段)4を備えた素子基板1の最表面層に
は、粒界の無いアモルファス合金を採用しているので、
上記の混酸による加温エッチング時に、薄膜のピンホー
ルや粒界領域を介して、下層の配線層を腐食することを
完全に防止することができる。
【0122】以上のようにして素子基板1上に可動部材
8と流路側壁10と液体供給口5を設けたものに、各液
体供給口5に同時に連通する大容積の共通液体供給室6
を設けた天板2を接合することで、図1〜図3等に示し
た液体吐出ヘッドを作製した。
【0123】(第8の実施の形態)上記第7の実施の形
態による製造方法では、素子基板1上に、可動部材8と
流路側壁10と液体供給口5を設ける場合の製造工程に
ついて説明したが、これに限らず、可動部材8と液体供
給口5を天板2側に作り込んでおいたものを、流路側壁
10を形成した素子基板1に接合する工程を用いてもよ
い。
【0124】以下、この製造工程の一例について図28
〜図30を参照して説明する。図28及び図29は、素
子基板上に形成する液流路の方向とは直交する方向に沿
った切断面によって工程を示している。図30は、図2
8及び図29で作成した天板を用いた液体吐出ヘッドの
概略構成の断面図を示している。また説明において、第
1の実施の形態と同一構成要素には同一符号を用いる。
【0125】まず、図28(a)では、Si材料からな
る天板2の一面に酸化膜(SiO2)35を約1.0μ
m形成する。そして、この形成したSiO2膜35を、
周知のフォトリソグラフィプロセスを用いてパターニン
グして、図30に示す液体供給口5の形成箇所に対応す
るSiO2膜を除去する。
【0126】次に、図28(b)では、天板2の一面に
おけるSiO2膜35の除去部分及びその周辺部に、A
l膜からなる間隙形成部材36を約3.0μm被覆す
る。間隙形成部材36は、後述の図29(b)に示す工
程で形成される液体供給口5と可動部材8の間に間隙を
形成するためのものである。
【0127】次に、図28(c)では、SiO2膜35
及び間隙形成部材36の表面全体に、プラズマCVD法
を用いて、可動部材8を形成するための材料膜である厚
さ約3.0μmのSiN膜37を、間隙形成部材36を
被覆するように形成する。
【0128】次に、図28(d)では、SiN膜37に
対し、周知のフォトリソグラフィプロセスを用いて、可
動都材8をパターニングする。次に、前記間隙形成部材
をエッチングストップ層として、前記Si天板(厚さ6
25μm)に貫通エッチングを行い、前記共通液体供給
室を形成した。その後、間隙形成部材36としてのAl
膜を、酢酸、りん酸および硝酸の混酸を用いて加温エッ
チングすることで、これを溶出して除去する。上記のパ
ターニングにおいては、SiN膜37において可動部材
8となる部分である可動部37aとその支持部37bの
開の隙間βは2μm以上設けている。さらに、後述する
図29(a)に示す工程で、可動部材8に対応する液体
供給口5を容易に形成するため、SiN膜37における
可動部37aにはその表裏面を貫通する複数のスリット
37cを好ましくは1μm以下で形成してある。そして
可動部37aの投影領域は、液体供給口となる部分の開
口面積(SiO2膜35の除去面積)よりも大きくなっ
ている。
【0129】次に、図29(a)では、Si天板2の一
面の、SiO2膜35が除去された部分を、可動部37
aのスリット37cを介して異方性ウェットエッチング
し、液体供給口5を形成する。
【0130】最後に図29(b)では、これまでの工程
からなるものに対し、LPCVD法を用いて厚さ約0.
5μmのSiN膜38を形成し、このSiN膜38によ
って、可動部材8に開いたスリット37cを埋める。こ
のとき、スリット37cの隙間を1μm以下としたので
スリット37cは塞がるが、可動部37aとその支持部
37bの間の隙間βは2μm以上にしてあるのでその隙
間βはSiN膜38によって塞がることはない。また、
前記LPCVD法によるSiN膜は、前記異方性エッチ
ングや、シリコン天板の貫通エッチングで形成されたシ
リコンの側壁にもコーティングされ、インクによる腐食
を防止する。
【0131】以上のようにして天板2側に可動部材8と
液体供給口5を設けたものに、さらに各液体供給口5に
同時に連通する大容積の共通液体供給室6を設け、これ
に、一端が吐出口7と連通した液流路3を形成する流路
壁を持つ素子基板1を接合することで、図30に示した
液体吐出ヘッドを作製した。この形態の液体吐出ヘッド
でも、図1〜図3等に示した構造の液体吐出ヘッドと同
様の効果がある。
【0132】(その他の実施の形態)以下、本発明の液
体吐出原理を用いたヘッドに好適な様々な形態例を説明
する。
【0133】<サイドシュータタイプ>図31はいわゆ
るサイドシュータタイプの液体吐出ヘッドの断面図を示
したものである。この説明において、第1の実施の形態
と同一の構成要素には同一符号を用いる。この形態の液
体吐出ヘッドは、図31に示すように発熱体4と吐出口
7が平行平面上で対面し、液流路3が、吐出口7からの
液体の吐出方向に沿った軸方向と直角に連通している点
で、第1の実施の形態などと異なっている。このような
液体吐出ヘッドにおいても第1の実施の形態などと同様
の吐出原理に基づく効果を奏し、また第7及び第8の実
施形態で説明した製造方法を容易に適用できる。
【0134】<可動部材>上述の各種の実施形態におい
て、可動部材を構成する材質としては吐出液に対して耐
溶剤性があり、可動部材として良好に動作するための弾
性を有しているものであればよい。
【0135】可動部材の材料としては、耐久性の高い、
銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、白
金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、および
その合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、ス
チレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等のア
ミド基を有する樹脂、ボリカーボネイト等のカルボキシ
ル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を
持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹脂、
そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、耐イ
ンク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッケ
ル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金および
耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングした
もの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹脂、
ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリエー
テルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポリイ
ミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂樹脂等
の水酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有
する樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、
エポキシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂
等のアミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール
基を持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素、チ
ッ化珪素等のセラミックおよびその化合物が望ましい。
本発明における可動部材としてはμmオーダーの厚さを
対象にしている。
【0136】次に、発熱体と可動部材の配置関係につい
て説明する。発熱体と可動部材の最適な配置によって、
発熱体による発泡時の液の流れを適正し制御して有効に
利用することが可能となる。
【0137】熱等のエネルギーをインクに与えること
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図3
2の破線に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比
例関係にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領
域Sが存在していることがわかる。また、発熱体上のコ
ゲの様子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に
存在していることがわかる。これらの結果から、発熱体
周囲の約4μm幅は、発泡に関与されていないとされて
いる。これに対し、本発明の液体吐出ヘッドは、気泡発
生手段を含む液流路が吐出口を除いて実質的に遮蔽され
ていることで最大の吐出量が規制されるため、図32の
実線で示すように、発熱体面積や発泡パワーのばらつき
が大きくても吐出量が変化しない領域があり、この領域
を利用することにより大ドットの吐出量安定化が図れ
る。
【0138】<素子基板>以下に液体に熱を与えるため
の発熱体10が設けられた素子基板1の構成について説
明する。
【0139】図33は本発明の液体吐出装置の要部の側
断面図を示したもので、図33(a)は後述する保護膜
があるヘッド、図33(b)は保護膜がないものであ
る。
【0140】素子基板1上には天板2が配され、素子基
板1と天板2の間に液流路3が形成されている。
【0141】素子基板1は、シリコン等の基体107に
絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチッ
化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体10を構
成するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タン
タル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気
抵抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュ
ウム等の配線電極104(0.2〜1.0μm厚)を図
33(a)のようにパターニングしている。この配線電
極104から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層10
5に電流を流し発熱させる。配線電極104間の抵抗層
105上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護
膜103を0.1〜2.0μm厚で形成し、さらにその
うえにタンタル等の耐キャビ層102(0.1〜0.6
μm厚)が成膜されており、インク等の各種の液体から
抵抗層105を保護している。
【0142】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層102として用いられる。
【0143】また、液体、流路構成、抵抗材料の組み合
わせにより、上述の抵抗層105に保護膜103を必要
としない構成でもよくその例を図33(b)に示す。こ
のような保護膜103を必要としない抵抗層105の材
料としてはイリジュウムータンタルーアルミ合金等が挙
げられる。
【0144】このように、前述の各実施形態における発
熱体4の構成としては、前述の電極104間の抵抗層1
05(発熱部)だけででもよく、また抵抗層105を保
護する保護膜103を含むものでもよい。
【0145】各実施形態においては、発熱体4として電
気信号に応じて発熱する抵抗層105で構成された発熱
部を有するものを用いたが、これに限られることなく、
吐出液を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせ
るものであればよい。例えば、レーザ等の光を受けるこ
とで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで
発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0146】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層105に電気信
号を供給するための配線電極104で構成される発熱体
10の他に、この発熱体4(電気熱変換素子)を選択的
に駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、
シフトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程
によって作り込まれていてもよい。また、前述のような
素子基板1に設けられている発熱体4の発熱部を駆動
し、液体を吐出するためには、前述の抵抗層105に配
線電極104を介して図34に示されるような矩形パル
スを印加し、配線電極104間の抵抗層105を急峻に
発熱させる。前述の各実施形態のヘッドにおいては、そ
れぞれ電圧24V、パルス幅7μsec、電流150m
A、電気信号を6kHzで加えることで発熱体を駆動さ
せ、前述のような動作によって、吐出口7から液体であ
るインクを吐出させた。しかしながら、駆動信号の条件
はこれに限られることなく、発泡液を適正に発泡させる
ことができる駆動信号であればよい。
【0147】<吐出液体>このような液体のうち、記録
を行う上で用いる液体(記録液体)としては従来のバブ
ルジェット装置で用いられていた組成のインクを用いる
ことができる。
【0148】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
吐出や発泡または可動部材の動作などを妨げるような液
体でないことが望まれる。
【0149】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。
【0150】本発明においては、さらに吐出液に用いる
ことができる記録液体として以下のような組成のインク
を用いて記録を行ったが、吐出力の向上によってインク
の吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度が向上し
非常に良好な記録画像を得ることができる。
【0151】
【表2】 <液体吐出装置>図35は、上述の各種の実施形態で説
明した構造の液体吐出ヘッドを装着して適用することの
できる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装
置の概略構成を示している。図35に示されるインクジ
ェット記録装置600に搭載されたヘッドカートリッジ
601は、上述した構造の液体吐出ヘッドと、その液体
吐出ヘッドに供給される液体を保持する液体容器とを有
するものである。ヘッドカートリッジ601は、図35
に示すように、駆動モータ602の正逆回転に連動して
駆動力伝達ギヤ603および604を介して回転するリ
ードスクリュー605の螺旋溝606に対して係合する
キャリッジ607上に搭載されている。駆動モータ60
2の動力によってヘッドカートリッジ601がキャリッ
ジ607とともにガイド608に沿って矢印aおよびb
の方向に往復移動される。インクジェット記録装置60
0には、ヘッドカートリッジ601から吐出されたイン
クなどの液体を受ける被記録媒体としてのプリント用紙
Pを搬送する被記録媒体搬送手段(不図示)が備えられ
ている。その被記録媒体搬送手段によってプラテン60
9上を搬送されるプリント用紙Pの紙押さえ板610
は、キャリッジ607の移動方向にわたってプリント用
紙Pをプラテン609に対して押圧する。
【0152】リードスクリュー605の一端の近傍に
は、フォトトカプラ611および612が配設されてい
る。フォトカプラ611および612は、キャリッジ6
07のレバー607aの、フォトカプラ611および6
12の領域での存在を確認して駆動モータ602の回転
方向の切り換えなどを行うためのホームポジション検知
手段である。プラテン609の一端の近傍には、ヘッド
カートリッジ601の吐出口のある前面を覆うキャップ
プ部材614を支持する支持部材613が備えられてい
る。また、ヘッドカートリッジ601から空吐出などさ
れてキャップ部材614の内部に溜まったインクを吸引
するインク吸引手段615が備えられている。このイン
ク吸引手段615によりキャップ部材614の開口部を
介してヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われ
る。
【0153】インクジェット記録装置600には本体支
持体619が備えられている。この本体支持体619に
は移動部材618が、前後方向、すなわちキャリッジ6
07の移動方向に対して直角な方向に移動可能に支持さ
れている。移動部材618には、クリーニングブレード
617が取り付けられている。クリーニングブレード6
17はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニン
グブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段6
15による吸引回復操作にあたって吸引を開始するため
のレバー620が備えられており、レバー620は、キ
ャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移
動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換
えなどの公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカー
トリッジ601に設けられた発熱体に信号を付与した
り、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジ
ェット記録制御部は記録装置本体側に設けられており、
図35では示されていない。
【0154】上述した構成を有するインクジェット記録
装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラ
テン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘ
ッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわた
って往復移動する。この移動時に不図示の駆動信号供給
手段からヘッドカートリッジ601に駆動信号が供給さ
れると、この信号に応じて液体吐出ヘッド部から被記録
媒体に対してインク(記録液体)が吐出され、記録が行
われる。
【0155】図36は、本発明の液体吐出装置によりイ
ンクジェット式記録を行うための記録装置全体のブロツ
ク図である。
【0156】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インターフェイス301に一時保存される
と同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、
ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU(中央処理装
置)302に入力される。CPU302はROM(リー
ド・オンリー・メモリー)303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM(ランダム・アクセス・メモリー)304
等の周辺ユニットを用いて処理し、印字するデータ(画
像データ)に変換する。
【0157】また、CPU302は前記画像データを記
録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに
同期して記録用紙およびヘッドカートリッジ601を搭
載したキヤリッジ607を移動する駆動用モータ602
を駆動するための駆動データを作る。画像データおよび
モータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、モ
ータドライバ305を介し、ヘッドカートリッジ601
および駆動用モータ602に伝達され、それぞれ制御さ
れたタイミングで駆動され画像を形成する。
【0158】このような記録装置に用いられ、インク等
の液体の付与が行われる被記録媒体150としては、各
種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等
に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅
等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合
板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポン
ジ等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0159】また、この記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトデイスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、または布帛に記録を行う捺染装置
等をも含むものである。
【0160】また、これらの液体吐出装置に用いる吐出
液としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせ
た液体を用いればよい。
【0161】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、気泡発生
手段によって気泡が発生した初期で気泡が略等方成長し
ている期間内に、直ちに液流路と液体供給口との連通状
態を可動部材によって遮断し、液流路内を吐出口を除い
て、実質的に密閉状態にする構成をとった事で、気泡発
生領域での気泡成長による圧力波を液体供給口側および
共通液体供給室側に伝播せずに、その大部分を吐出口側
に向けて、吐出パワーを飛躍的に向上させることが可能
になった。また、記録紙などに高速に定着させたり、黒
とカラーの境界での滲みを解消するために、記録液に高
粘度のものを使う場合でも、吐出パワーの飛躍的向上に
より高粘度インクを良好に吐出することができる。ま
た、記録時の環境変化、特に低温・低湿環境下では吐出
口においてインク増粘領域が増え、使用開始時に正常に
インクが吐出されない場合があるが、本発明では一発目
から良好に吐出できる。また、吐出パワーが飛躍的に向
上したので、気泡発生手段として用いる発熱体のサイズ
を縮小したりして、吐出のために投入するエネルギーを
減らすこともできる。
【0162】また、気泡発泡領域での気泡成長による圧
力波が液体供給口および共通液体供給室側に伝播されな
いことで、共通液体供給室側への液体の移動がほとんど
ないため、液滴吐出後の吐出口におけるメニスカスの後
退量が最小化できる。その結果、吐出後、メニスカスが
初期状態に復帰する時間が非常に早い、すなわち、液流
路への定量のインク補充(リフィル)が完了する時間が
早いので、高精度(定量)のインク吐出を実施するにあ
たり吐出周波数(駆動周波数)をも飛躍的に向上させる
ことができる。
【0163】さらに、気泡発生領域での気泡成長が、吐
出口側に大きく成長し、液体供給口側への成長を抑制し
ていることから、消泡点が気泡発生領域の中心付近から
吐出口側の部分に位置し、かつ、発泡パワーを維持しな
がら、消泡力を低減できることにより、気泡発生領域の
消泡力による発熱体の機械的・物理的破壊寿命を大きく
向上させることができる。
【0164】また、可動部材の根元を支持する当該可動
部材と一体に形成された根元支持部が、可動部材の高さ
位置を前記根元支持部の固定位置に対して一段ずらすよ
うに、段差を有していることで、可動部材の変位時にお
ける、可動部材の根元支持部の固定位置への応力集中を
緩和することができる。その上、可動部材の厚さが、可
動部材の根元支持部の段差量より大きくなっているの
で、可動部材が変位する際に生じる可動部材の根元支持
部の段差部に集中する応力集中をも緩和し、可動部材の
根元の耐久性が向上する。
【0165】さらに、液体供給口の液流路側の開口端面
と可動部材の液体供給口側の面との間の隙間αと、液体
供給口の液流路側の開口端面に対して重なる可動部材の
幅方向のオーバーラップ幅W3との関係をW3>αとす
ることにより、発泡初期の気泡成長における液流路から
液体供給口側への流れを十分に抑制することができるの
で、可動部材による液体供給口の遮蔽を確実かつ速やか
に行なうことができる。この結果、吐出特性が更に向上
する。
【0166】さらに、液体供給口の液流路側の開口端面
に対して重なる可動部材の吐出口方向のオーバーラップ
幅W4と可動部材の幅方向のオーバーラップ幅W3との
関係をW3>W4にすることにより、可動部材による液
体供給口の開放を確実かつ速やかに行うことができるの
で、吐出特性がさらに安定する。
【0167】また、気泡発生手段の最表面層の耐キャビ
テ−ション膜にアモルファス合金薄膜を採用すること
で、更に、発熱体の機械的・物理的破壊寿命を大きく向
上させることができる。
【0168】また、本発明の液体吐出ヘッドの製造工程
において、前記アモルファス合金を採用することで、A
l膜を除去して液流路や液体供給口を形成する除去過程
においても、下層にある配線層へのダメージを非常に低
減でき、歩留り向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による液体吐出ヘッ
ドの1つの液流路方向に沿った断面図である。
【図2】図1のX−X’線断面図である。
【図3】図1のY−Y’線断面図である。
【図4】「直線的連通状態」を説明する流路の断面図で
ある。
【図5】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの吐
出動作を説明するために、液体吐出ヘッドを液流路方向
に沿った切断図で示すとともに、特徴的な現象を分けて
示したものである。
【図6】図5の続きの吐出動作を説明するために、液体
吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したもので
ある。
【図7】図6の続きの吐出動作を説明するために、液体
吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示したもので
ある。
【図8】図5(b)の気泡の等方的な成長状鰻を示す図
である。
【図9】図5〜図7におけるA領域とB領域での気泡成
長の時間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグ
ラフである。
【図10】図1に示した可動部材と発熱体の相対位置と
は異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時
間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフで
ある。
【図11】図1に示した可動部材と発熱体の相対位置と
は異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時
間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフで
ある。
【図12】本発明の第2の実施の形態の第1変形例によ
る液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図で
ある。
【図13】図12のY−Y’線断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態の第2変形例によ
る液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図で
ある。
【図15】図14のY−Y’線断面図である。
【図16】図12に示したヘッド構造における可動部材
の根元周辺部を示す断面拡大図である。
【図17】図16に示した可動部材の変形例を示す断面
図である。
【図18】W3>αの関係の構造のときの発泡初期の液
体の流れを説明するための、液体供給口を通る断面図で
ある。
【図19】W3≦αの関係の構造のときの発泡初期の液
体の流れを説明するための、液体供給口を通る断面図で
ある。
【図20】本発明の第5の実施の形態の変形例としての
液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿った断面図であ
る。
【図21】図20の吐出口中心からYl点で天板2側ヘ
シフトしたY−Y’線断面図である。
【図22】本発明の第6の実施の形態による液体吐出ヘ
ッドを示す図である。
【図23】各種の実施形態の液体吐出ヘッドに用いられ
る素子基板の断面図である。
【図24】図23に示す素子基板の主要素子を縦断する
ように素子基板を切断した模式的断面図である。
【図25】本発明の第5の実施の形態である、液体吐出
ヘッドの製造方法を説明するための図である。
【図26】本発明の第5の実施の形態である、液体吐出
ヘッドの製造方法を説明するための図であり、図25の
工程の続きを示す。
【図27】本発明の第5の実施の形態である、液体吐出
ヘッドの製造方法を説明するための図であり、図26の
工程の続きを示す。
【図28】本発明の第6の実施の形態である、液体吐出
ヘッドの製造方法を説明するための図である。
【図29】本発明の第6の実施の形態である、液体吐出
ヘッドの製造方法を説明するための図であり、図28の
工程の続きを示す。
【図30】本発明の第6の実施の形態による液体吐出ヘ
ッドの概略構成を示す断面図である。
【図31】本発明の液体吐出方法を適用したサイドシュ
ータタイプのヘッドの例を説明するための図である。
【図32】発熱体面積とインク吐出量との相対関係を示
すグラフである。
【図33】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図を示した
もので、(a)は保護膜があるもの、(b)は保護膜が
ないものである。
【図34】本発明に使用する発熱体を駆動する波形の図
である。
【図35】本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
装置の概略構成を示す図である。
【図36】本発明の液体吐出方法および液体吐出ヘッド
において液体吐出記録を行うための装置全体のブロツク
図である。
【図37】従来の液体吐出ヘッドにおける可動部材の様
子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 天板 3 液流路 4 発熱体(気泡発生手段) 5 液体供給口 6 共通液体供給室 7 吐出口 8 可動部材 9 支持部材 10 流路側壁 11 気泡発生領域 21 気泡 22 吐出滴 25 Al膜パターン 26、29、37、38 SiN膜 27、28 Al膜 30、36 間隙形成部材 31 感光性エポキシ樹脂 35 SiO2膜 37a 可動部 37b 支持部 37c スリット 39 流路壁 102 耐キャビテーション層 103 保護膜 104 配線電極 105 抵抗層 106 チッ化シリコン膜 107 基体 201 シリコン基体 202 熱酸化膜 203 層間膜 204 抵抗層 205 配線 206 保護層 207 耐キャビテーション膜 208 熱作用部 300 ホストコンピュータ 301 入出力インターフェイス 302 CPU 303 ROM 304 RAM 305 モータドライバ 307 ヘッドドライバ 600 インクジェット記録装置 601 ヘッドカートリッジ 602 駆動モータ 603、604 駆動伝達ギア 605 リードスクリュー 606 螺旋溝 607 キャリッジ 607a レバー 608 ガイド 609 プラテン 610 紙押さえ板 611、612 フォトカプラ 613 支持部材 614 キャップ部材 615 インク吸引手段 617 クリーニングブレード 618 移動部材 619 本体支持体 620 レバー 621 カム α、β 隙間
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年10月5日(2000.10.
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項13
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 工藤 清光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 竹之内 雅典 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 池田 雅実 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 杉谷 博志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 齋藤 敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA01 EA04 FA03 FA10 HA05 HA16 HA17 KB03 KB09 2C057 AF06 AF51 AF93 AG12 AG46 AG76 AG83 AK07 AP01 AP21 AP24 AP34 AP35 AP37 AP52 AP53 AP57 BA13

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出するための複数の吐出口と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
    る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
    と連通する複数の液体供給口と、 前記液体供給口の前記液流路側に対して微小な隙間を隔
    てて支持された、自由端を有する可動部材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する
    両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対す
    る開口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘッドの液
    体吐出方法であって、 前記気泡発生手段に駆動電圧が印加されてから、前記気
    泡発生手段によって気泡の全体が略等方成長している期
    間が終了するまでの間に、前記可動部材が前記開口領域
    を密閉して実質的に遮断する期間を有することを特徴と
    する液体吐出方法。
  2. 【請求項2】 前記可動部材が前記開口領域を密閉して
    実質的に遮断する期間が、少なくとも前記気泡発生手段
    によって気泡の全体が略等方成長している期間が終了す
    るまで継続されることを特徴とする請求項1に記載の液
    体吐出方法。
  3. 【請求項3】 前記可動部材が前記開口領域を密閉して
    実質的に遮断する期間の後、前記気泡発生手段によって
    発生した気泡のうちの前記吐出口側の部分が成長してい
    る間に、前記可動部材が、前記開口領域を密閉して実質
    的に遮断した位置から前記液流路内の前記気泡発生手段
    側に変位を開始し、前記共通液体供給室から前記液流路
    への液体供給を可能とすることを特徴とする請求項1又
    は2に記載の液体吐出方法。
  4. 【請求項4】 液体を吐出するための複数の吐出口と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
    る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
    と連通する複数の液体供給口と、 前記液体供給口の前記液流路側に対して微小な隙間を隔
    てて支持された、自由端を有する可動部材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する
    両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対す
    る開口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘッドの液
    体吐出方法であって、 前記可動部材が前記開口領域を密閉して実質的に遮断
    し、その後、前記気泡発生手段によって発生した気泡の
    うちの前記吐出口側の部分が成長している間に、前記可
    動部材が、前記開口領域を密閉して実質的に遮断した位
    置から前記液流路内の前記気泡発生手段側に変位を開始
    し、前記共通液体供給室から前記液流路への液体供給を
    可能とすることを特徴とする液体吐出方法。
  5. 【請求項5】 前記可動部材が前記開口領域を密閉して
    実質的に遮断した位置から前記液流路内の前記気泡発生
    手段側に変位を開始した後、前記気泡のうち前記可動部
    材側の部分が収縮している間に、前記可動部材が更に前
    記気泡発生手段側に変位し、前記共通液体供給室から前
    記液流路へ液体を供給することを特徴とする請求項3又
    は4に記載の液体吐出方法。
  6. 【請求項6】 前記気泡発生領域における気泡の成長体
    積変化と気泡の発生から消泡までの時間が、前記吐出口
    側と前記液体供給口側とでは、大きく異なることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出方
    法。
  7. 【請求項7】 前記気泡発生領域が大気に開放されない
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    液体吐出方法。
  8. 【請求項8】 前記気泡発生領域の前記吐出口側で成長
    する気泡の最大時の体積をVfとし、前記気泡発生領域
    の前記液体供給口側で成長する気泡の最大時の体積をV
    rとすると、 Vf>Vr の関係が常に成り立つことを特徽とする請求項1〜7の
    いずれか1項に記載の液体吐出方法。
  9. 【請求項9】 前記気泡発生領域の前記吐出口側で成長
    する気泡のライフタイムをTfとし、前記気泡発生領域
    の前記液体供給口側で成長する気泡のライフタイムをT
    rとすると、 Tf>Tr の関係が常に成り立つことを特徴とする請求項1〜8の
    いずれか1項に記載の液体吐出方法。
  10. 【請求項10】 前記可動部材の根元を支持する前記可
    動部材と一体に形成された根元支持部が、前記可動部材
    の高さ位置を前記根元支持部の固定位置に対して一段ず
    らすように、段差を有しており、その段差量よりも前記
    可動部材の厚さの方が大きいことを特徴とする請求項1
    〜9のいずれか1項に記載の液体吐出方法。
  11. 【請求項11】 前記液体供給口の前記液流路側の開口
    端部と前記可動部材の前記液体供給口側面との間の隙間
    αと、前記液体供給口の前記液流路側の開口端部に対し
    て重なる前記可動部材の幅方向のオーバーラップ幅W3
    との関係がW3>αであることを特徴とする請求項1〜
    10に記載の液体吐出方法。
  12. 【請求項12】 前記液体供給口の前記液流路側の開口
    端部に対して重なる前記可動部材の前記吐出口方向のオ
    ーバーラップ幅W4と前記可動部材の幅方向のオーバー
    ラップ幅W3との関係がW3>W4であることを特徴と
    する請求項1〜11のいずれか1項に記載の液体吐出方
    法。
  13. 【請求項13】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
    る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
    と連通する複数の液体供給口と、 前記液体供給口の前記液流路側に対して10ルm以下の
    微小な隙開を隔てて支持された、自由端を有する可動部
    材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する
    両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対す
    る開口領域よりも大きくなっており、 前記吐出口と前
    記気泡発生手段とが直線連通状態にあることを特徴とす
    る液体吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】 液体を吐出するための吐出口と、 前記吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発生
    させる気泡発生領域を有する液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
    る気泡発生手段と、 前記液流路に配設され、液体供給室に連通する液体供給
    口と、 前記液体供給口の前記液流路側に対して10μm以下の
    微小な隙間を隔てて支持された、自由端を有する可動部
    材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する
    両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対す
    る開口領域よりも大きくなっており、 前記吐出口と前記気泡発生手段とが直線連通状態にある
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
    る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
    と連通する複数の液体供給口と、 前記液体供給口の前記液流路側に対して微小な隙間を隔
    てて支持された、自由端を有する可動部材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する
    両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対す
    る開口領域よりも大きくなっており、 前記気泡発生手
    段に駆動電圧が印加されてから、前記気泡発生手段によ
    って気泡の全体が略等方成長している期間が終了するま
    での間に、前記可動部材が前記開口領域を密閉して実質
    的に遮断する期間を有し、 前記可動部材が前記開口領域を密閉して実質的に遮断す
    る期間の後、前記気泡発生手段によって発生した気泡の
    うちの前記吐出口側の部分が成長している間に、前記可
    動部材が、前記開口領域を密閉して実質的に遮断した位
    置から前記液流路内の前記気泡発生手段側に変位を開始
    し、前記共通液体供給室から前記液流路への液体供給を
    可能とする液体吐出ヘッドであって、 前記気泡発生領域の前記吐出口側で成長する気泡の最大
    時の体積をVfとし、前記気泡発生領域の前記液体供給
    口側で成長する気泡の最大時の体積をVrとすると、 Vf>Vr の関係が常に成り立つことを特徴とする液体吐出ヘッ
    ド。
  16. 【請求項16】 前記気泡発生頼域の前記吐出口側で成
    長する気泡のライフタイムをTfとし、前記気泡発生傾
    域の前記液体供給口側で成長する気泡のライフタイムを
    Trとすると、 Tf>Tr の関係が常に成り立つことを特徴とする請求項15に記
    載の液体吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 前記気泡の消泡点が、前記気泡発生領
    域の中心付近より前記吐出口側に位置することを特徴と
    する請求項16に記載の液体吐出ヘッド。
  18. 【請求項18】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、 前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発
    生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、 前記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生す
    る気泡発生手段と、 前記複数の液流路にそれぞれ配設され、共通液体供給室
    と連通する複数の液体供給口と、前記液体供給口の前記
    液流路側に対して微小な隙間を隔てて支持された、自由
    端を有する可動部材とを有し、 前記可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する
    両側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対す
    る開口領域よりも大きくなっており、前記気泡の発生初
    期に、前記可動部材の自由端が、前記液流路内を前記液
    体供給口側に微小変位して、前記気泡の消泡と共に、前
    記可動部材の自由端が、前記液流路内を前記気泡発生手
    段側に大きく変位し、前記共通液体供給室から、前記液
    体供給口を介して、前記液流路内に液体を供給すること
    を特徴とする液体吐出ヘッド。
  19. 【請求項19】 前記可動部材の自由端の変位量は、前
    記気泡の発生初期に、前記液流路内を前記液体供給口側
    に変位する量をhlとし、 前記気泡の消泡と共に、前記可動部材の自由端が、前記
    液流路内を前記気泡発生手段側に変位する量をh2とす
    ると、 常に、hl<h2 の関係を有していることを特徴とする請求項18に記載
    の液体吐出ヘッド。
  20. 【請求項20】 前記可動部材は、前記液流路を形成す
    る液路壁との間にも隙間を有することを特徴とする請求
    項13〜19のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  21. 【請求項21】 前記気泡発生手段の最表面層にアモル
    ファス合金の薄膜を有することを特徴とする請求項13
    〜20のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  22. 【請求項22】 前記アモルファス合金が、タンタル、
    鉄、ニッケル、クロム、ゲルマニウム、ルテニウムから
    選ばれる少なくとも1つ以上の金属合金であることを特
    徴とする請求項21に記載の液体吐出ヘッド。
  23. 【請求項23】 前記可動部材の根元を支持する前記可
    動部材と一体に形成された根元支持部が、前記可動部材
    の高さ位置を前記根元支持部の固定位置に対して一段ず
    らすように、段差を有しており、その段差量よりも前記
    可動部材の厚さの方が大きいことを特徴とする請求項1
    3〜22のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  24. 【請求項24】 前記液体供給口の前記液流路側の開口
    端部と前記可動部材の前記液体供給口側面との間の隙間
    αと、前記液体供給口の前記液流路側の開口端部に対し
    て重なる前記可動部材の幅方向のオーバーラップ幅W3
    との関係がW3>αであることを特徴とする請求項13
    〜23のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  25. 【請求項25】 前記液体供給口の前記液流路側の開口
    端部に対して重なる前記可動部材の前記吐出口方向のオ
    ーバーラップ幅W4と前記可動部材の幅方向のオーバー
    ラップ幅W3との関係がW3>W4であることを特徴と
    する請求項13〜24のいずれか1項に記載の液体吐出
    ヘッド。
  26. 【請求項26】 請求項13〜25のいずれか1項に記
    載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出され
    た液体を受け取る被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送
    手段と、を備えた液体吐出装置。
  27. 【請求項27】 前記液体吐出ヘッドからインクを吐出
    し、前記被記録媒体に該インクを付着させることで記録
    を行うことを特徴とする請求項26に記載の液体吐出装
    置。
  28. 【請求項28】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡
    を発生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、前
    記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生する
    気泡発生手段と、前記複数の液流路にそれぞれ配設さ
    れ、共通液体供給室と連通する複数の液体供給口と、前
    記液体供給口の前記液流路側に対して微小な隙間を隔て
    て支持された、自由端を有する可動部材とを有し、前記
    可動部材の少なくとも、自由端部及びそれに連続する両
    側部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対する
    開口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘッドの製造
    方法であって、 前記気泡発生手段を備えた素子基板上の前記液流路にな
    る部分を覆う領域に対して第1の保護層を形成し、パタ
    ーニングする工程と、 前記第1の保護層を含む前記素子基板の表面に、前記液
    流路を形成するための第1の壁材を形成する工程と、 前記第1の壁材の、前記液流路になる部分を除去する工
    程と、 前記第1の壁材の、除去された前記液流路になる部分を
    埋める工程と、 前記第1の壁材の表面全体を研磨して平坦化する工程
    と、 前記平坦化した前記第1の壁材の表面に第2の保護膜を
    形成し、前記第1の壁材と前記可動部材の固定部を形成
    する工程と、 前記第2の保護膜上の、前記液流路になる部分に対応す
    る箇所に、前記可動部材となる材料膜を前記液流路にな
    る部分の幅より狭いパターンで形成する工程と、 前記可動部材となる材料膜の周りに、前記可動部材と前
    記液体供給口の間の間隙を形成するための間隙形成部材
    を形成する工程と、 前記第1の壁材上に、前記液体供給口を形成するための
    第2の壁材を、前記間隙形成部材を含む前記基板上に形
    成する工程と、 前記第2の壁材の前記液体供給口になる部分を、前記可
    動部材となる材料膜よりも小さい開口面積になるように
    形成する工程と、 前記間隙形成部材、前記第2の保護膜、前記第1の壁材
    の前記液流路になる部分を埋めた前記第1の保護層とを
    溶かして除去する工程と、 前段までの工程で作製された基板に、前記共通液体供給
    室を備えた天板を接合する工程と、を有することを特徴
    とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  29. 【請求項29】 液体を吐出するための複数の吐出口
    と、前記各吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡
    を発生させる気泡発生領域を有する複数の液流路と、前
    記気泡を発生し成長させるためのエネルギーを発生する
    気泡発生手段と、前記複数の液流路にそれぞれ配設さ
    れ、共通液体供給室と連通する複数の液体供給口と、前
    記液体供給口の前記液流路側に対して微小な隙間を隔て
    て支持された、自由端を有する可動部材とを有し、前記
    可動部材の少なくとも自由端部及びそれに連続する両側
    部で囲まれる領域が前記液体供給口の液流路に対する開
    口領域よりも大きくなっている液体吐出ヘッドの製造方
    法であって、 天板の前記液流路の壁になる部分に対して第1の保護層
    を形成し、パターニングする工程と、 前記天板の前記第1の保護層の無い部分上に、前記可動
    部材と前記液体供給口の間の間隙を形成するための間隙
    形成部材を形成する工程と、 前記第1の保護層および前記間隙形成部材の表面全体
    に、前記可動部材となる材料膜を形成する工程と、 前記可動部材となる材料膜を前記液体供給口になる部分
    の開口面積より大きいパターンで形成し、前記可動部材
    に、前記間隙形成部材を溶解する液の流れ込みを容易に
    するための貫通穴を形成する工程と、 前記間隙形成部材をエッチングストップ層として、前記
    共通液体供給室をドライエッチングにより形成する工程
    と、 前記間隙形成部材を除去する工程と、 前記天板の前記第1の保護層の無い部分を異方性ウェッ
    トエッチングし、 前記液体供給口を形成する工程と、 前記可動部材となる材料膜と同じ材料で前記可動部材の
    貫通穴を塞ぐとともに、該膜でエッチング側壁をコーテ
    ィングする工程と、 前段までの工程で作製されたものに、前記液流路を形成
    する壁部材と前記気泡発生手段を備えた素子基板を接合
    する工程と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッド
    の製造方法。
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