JP2001300802A - くし歯刃物台及び工作機械 - Google Patents

くし歯刃物台及び工作機械

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JP2001300802A
JP2001300802A JP2000123229A JP2000123229A JP2001300802A JP 2001300802 A JP2001300802 A JP 2001300802A JP 2000123229 A JP2000123229 A JP 2000123229A JP 2000123229 A JP2000123229 A JP 2000123229A JP 2001300802 A JP2001300802 A JP 2001300802A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 くし歯刃物台上の各工具による加工が可能な
限界寸法までの被加工素材に対して、簡易な刃先位置調
整方法を直接的に実施できるようにする。 【解決手段】 くし歯刃物台10は、複数の工具12を
並列配置で支持する工具支持部14と、工具支持部14
に工具12を脱着可能に固定する固定機構16とを備え
る。工具支持部14は、互いに平行に延びる複数の工具
受容溝20を備え、各工具受容溝20の一側面に、圧力
下で工具12を支持可能な長さを有する支持基準面28
が形成される。それら支持基準面28は、互いに対応す
る一方の長手方向端28aで、工具12の並列方向に見
て、長手方向へかつ同一方向へ段階的にずれて配置され
る。くし歯刃物台10には、工具支持部14の下端面2
4から工具受容溝20の長手方向に見て略同一距離の位
置に刃先52が配置されるように、複数の工具12を対
応の工具受容溝20に装着することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の工具を並列
配置で支持可能なくし歯刃物台に関する。本発明はさら
に、そのようなくし歯刃物台を備える工作機械に関す
る。
【0002】
【従来の技術】NC旋盤等の工作機械に設置される刃物
台において、複数の工具を並列配置で脱着可能に支持す
るとともに、刃物台と被加工素材との相対的な直線移動
により所望の工具を選択する形式の刃物台は、くし歯刃
物台の呼称で知られている。
【0003】従来のくし歯刃物台は、図10(a)に示
すように、複数の工具1を並列配置で支持する工具支持
部2と、工具支持部2に工具1を脱着可能に固定する固
定機構3とを備えて構成される。工具支持部2には、互
いに平行に延びる複数の工具受容溝4が凹設され、それ
ら工具受容溝4の各々に、工具1が固定機構3によって
圧力下で固定的に受容支持される。複数の工具受容溝4
は、互いに実質的同一の寸法及び形状に形成されるとと
もに、工具1を圧力下で支持可能な長さを有する支持基
準面5をそれぞれに備えて工具支持部2上に並列に配置
される。従来のくし歯刃物台では、複数の工具受容溝4
の実質的同一長さの支持基準面5が、それぞれの長手方
向に直交する横方向へ互いに位置的に整合する対応位置
に形成されている。
【0004】上記構成を有するくし歯刃物台を例えばN
C旋盤に設置する場合に、くし歯刃物台を、回転主軸に
把持された被加工素材6の回転軸線7に直交する平面内
で、直交2軸(以下、X軸及びY軸)方向へ平行移動で
きるように構成することが知られている。この場合、く
し歯刃物台は旋盤機台上で、工具支持部2に設けた複数
の支持基準面5の長手方向を、被加工素材6に接近及び
離反する駆動軸(X軸)方向に平行に向けて設置され
る。
【0005】この構成において、工具を選択する際に
は、くし歯刃物台に装着した複数の工具1の刃先8が被
加工素材6に接触しない位置で、くし歯刃物台をY軸方
向(すなわち工具1の並列方向)へ平行移動する。そし
て、所望の工具1の刃先8と被加工素材6の回転軸線7
とがX軸方向へ整列して配置された時点で、工具選択が
完了する。その状態から、くし歯刃物台をX軸方向へ平
行移動して、選択した工具1を被加工素材6に向けて前
進させるとともに、当該工具1の刃先8を被加工素材6
に当接して加工を実施する。このとき、選択した工具1
がバイトである場合は、くし歯刃物台のX軸移動を制御
することにより、被加工素材6に対するバイトの切込量
及びバイト不使用中の刃先の後退待機位置が決定され
る。なお、本明細書で「バイトの刃先」とは、特に断り
の無い限り刃部のコーナ部を示すものとする。
【0006】くし歯刃物台に複数のバイトを装着する際
には、各バイトが上記した工具選択完了時に被加工素材
の回転軸線からX軸方向へ常に略同一距離の位置に刃先
を配置できるように装着することが有利である。したが
って通常、加工作業に先立って、くし歯刃物台に装着し
た複数のバイトの刃先位置を、例えば専用の治具を用い
て、被加工素材の回転軸線に平行なZ軸及び前述したY
軸の両軸に略平行な仮想平面上に揃える作業を実施して
いる。この刃先揃え作業が完了した状態では、くし歯刃
物台に装着された各バイトは、隣合う他のバイトに接触
しない範囲の外径寸法を有する棒材を旋削加工すること
ができる。
【0007】また、上記した従来のくし歯刃物台では、
各工具受容溝4に装着される工具1の刃先8は、固定機
構3の作用により、当該工具受容溝4の支持基準面5に
対して固定的に位置決めされる。この刃先位置は、一般
に工具1の種類によって決まる。したがって、例えばN
C旋盤に搭載したくし歯刃物台に種類の異なる複数の工
具1を装着する場合、くし歯刃物台の前述したY軸方向
移動による工具選択を正確に実施できるようにするため
に、くし歯刃物台上での複数の工具1のそれぞれの刃先
位置を加工データ上で調整しておく必要がある。このよ
うな事前調整作業は、くし歯刃物台の各工具受容溝4内
に新たに工具1を取付ける度に実施することが望まし
い。
【0008】現場においては、くし歯刃物台を搭載した
NC旋盤等の工作機械で、被加工素材に対する各工具の
刃先位置を加工データ上で調整する方法として、以下の
ような簡易な方法が実施されている。例えば図10に示
すように、NC旋盤で丸棒6を旋削加工する場合には、
加工に使用する複数の工具(一例としてバイト)1をく
し歯刃物台に装着した後、くし歯刃物台を駆動して、刃
先位置の調整が必要なバイト1の刃先8を、実際の加工
作業位置に固定された丸棒6の側面所望箇所(すなわち
加工時の刃先当接部位である丸棒頂点から周方向へ略9
0°離れた箇所)に最初に当接する(図10(b))。
この当接位置のY座標値と、予め測定した丸棒6の半径
寸法とから、当該バイト1によって加工される丸棒6の
中心すなわち回転軸線7のY座標値(相対値)が確定
し、これにより刃先位置の事前調整が完了する。その
後、このバイト1の刃先8を、丸棒6の回転軸線7の確
定したY座標上に移動させて丸棒6の頂点に当接し、旋
削加工を実施する(図10(c))。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記した簡易な工具刃
先位置調整方法は、通常、くし歯刃物台に装着された複
数の工具に対し前述した刃先揃え作業を行った後の、加
工作業可能な状態にある工具に対して実施される。した
がってこの方法では、工具刃先を加工対象棒材の側面所
望箇所に当接する際に、隣合う他の工具に棒材が接触し
ないようにする必要があり、その結果、隣合う工具同士
の間隔を超えるような外径寸法を有する棒材に対しては
刃先位置調整の実施が困難になる(図10(b)参
照)。このような刃先位置調整に関連する棒材の限界寸
法(例えば図10(b)に実線で示す)は、当該工具に
よって実際に加工可能な棒材の限界寸法(例えば図10
(b)に二点鎖線で示す)よりもかなり小さいものであ
る。
【0010】そこで、実際に加工する棒材の外径寸法が
刃先位置調整用の限界寸法を超える場合には、限界寸法
以内の棒材を仮に使用して当該工具の刃先位置を調整
(すなわち棒材中心のY座標値を確定)した後に、仮の
棒材を実際の加工対象棒材に交換して加工を実施してい
る。このような方法では、加工対象棒材の外径寸法によ
っては、棒材交換に伴って、工作機械に装備されるチャ
ック等の棒材支持装置も脱着交換する必要が生じ、一連
の加工準備作業がさらに煩雑になるとともに、工作機械
の稼働率が低下する問題がある。しかも、交換後の実際
の棒材の中心が調整時の仮の棒材の中心に正確に一致す
るとは限らないので、結果として棒材の加工精度が劣化
する懸念がある。
【0011】また、スローアウェイバイト等の、チップ
交換が可能な工具をくし歯刃物台に装着している場合、
前述したように複数の工具の刃先を揃えた状態では、そ
れら刃先が横方向(NC旋盤上ではY軸方向)へ互いに
重畳して配置されるので、くし歯刃物台に工具を装着し
たままでのチップの交換は一般に困難である。したがっ
て従来のくし歯刃物台では、加工作業の途中で摩耗、劣
化したチップを交換する際には、その都度、当該チップ
を有する工具本体をくし歯刃物台から取外す必要があ
る。そしてチップ交換後、当該工具本体をくし歯刃物台
に取付けて加工作業を再開するのであるが、このとき一
般に、前述した刃先揃え作業や刃先位置調整作業等の加
工準備作業を再度実施することになり、結果として工作
機械の稼働率が低下する危惧がある。
【0012】さらに、従来のくし歯刃物台では、複数の
工具の刃先を前述したように揃えた状態で加工作業を実
施するので、加工中の切り屑の排出を妨げない程度に、
隣合う工具同士の間隔を空けておく必要がある。その結
果、くし歯刃物台の工具支持部に設けられる工具受容溝
の個数が限定される。しかしながら、NC旋盤等の、旋
削を主とした種々の自動加工を実施できる工作機械で
は、機械構成によって決まるくし歯刃物台の所与の寸法
制限内で、すなわち工具支持部の寸法や工具選択時のY
軸移動範囲を増加させることなく、くし歯刃物台に装着
可能な工具の個数を増やすことが要求されている。
【0013】したがって本発明の目的は、複数の工具を
並列配置で支持可能なくし歯刃物台において、加工作業
に先立ち被加工素材の側面に工具刃先を当接する簡易な
刃先位置調整方法を、くし歯刃物台上の各工具による加
工が可能な限界寸法までの被加工素材に対して直接的に
実施でき、以て、工作機械における一連の加工準備作業
を煩雑にしたり機械稼働率を低下させたりすることな
く、高精度の加工作業を実施できるようにするくし歯刃
物台を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、チップ交換が可能な
工具をくし歯刃物台に装着した場合にも、当該工具を脱
着することなくチップ交換を容易に実施できるくし歯刃
物台を提供することにある。本発明のさらに他の目的
は、くし歯刃物台自体の寸法や工具選択時のくし歯刃物
台の移動範囲を増加させることなく、しかも加工作業中
に生じる切り屑の排出を妨げないようにして、装着可能
な工具の個数を増やすことができるくし歯刃物台を提供
することにある。本発明のさらに他の目的は、上記した
ようなくし歯刃物台を備え、多彩な加工作業を高精度に
実施できる工作機械を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、複数の工具を並列配置で
支持するための工具支持部と、工具支持部に工具を脱着
可能に固定するための固定機構とを具備するくし歯刃物
台において、工具支持部は、圧力下で工具を支持可能な
長さをそれぞれに有して互いに平行に延びる複数の支持
基準面を備え、それら支持基準面が互いに対応する少な
くとも一方の長手方向端で長手方向へ互いにずれて配置
されることを特徴とするくし歯刃物台を提供する。
【0016】上記構成を有するくし歯刃物台では、工具
支持部に設けた複数の支持基準面の、長手方向へ互いに
ずれて配置される長手方向端から、それら支持基準面の
長手方向に見て互いに略同一距離の位置に刃先が配置さ
れるように、複数の工具をそれら支持基準面に対して装
着することができる。それにより、複数の工具の刃先
は、それら工具の並列方向に見て、長手方向へ互いにず
れて配置される。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のくし歯刃物台において、工具支持部が3つ以上の支持
基準面を備え、それら支持基準面が長手方向端で互いに
同一方向へ段階的にずれて配置されるくし歯刃物台を提
供する。この構成では、工具支持部に装着される全ての
工具を、それらの刃先が工具並列方向に見て同一方向へ
段階的にずれて配置されるように装着できる。
【0018】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載のくし歯刃物台において、複数の支持基準面が、
工具支持部に並列配置で凹設される複数の工具受容溝の
それぞれの一部分であるくし歯刃物台を提供する。この
構成では、各工具受容溝がくし歯刃物台上の所定位置に
工具を位置決めする。
【0019】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか1項に記載のくし歯刃物台において、固定機構
が、複数の支持基準面に個別に対向して工具支持部に独
立変位可能に取付けられる複数の固定部材を備えるくし
歯刃物台を提供する。この構成では、複数の固定部材が
工具支持部上で互いに独立変位して、支持基準面に対す
る工具の脱着を可能にする。
【0020】請求項5に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれか1項に記載のくし歯刃物台において、固定機構
が、複数の支持基準面に対向して工具支持部に固定され
る蓋部材と、それら支持基準面に個別に対向して蓋部材
に独立変位可能に取付けられる複数の固定部材とを備え
るくし歯刃物台を提供する。この構成では、複数の固定
部材が蓋部材上で互いに独立変位して、支持基準面に対
する工具の脱着を可能にする。
【0021】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
のくし歯刃物台において、固定機構が、複数の支持基準
面に個別に関連して工具支持部と蓋部材との間に配置さ
れる複数の弾性部材をさらに備え、それら弾性部材の各
々が対応の支持基準面に対して工具を位置決めするよう
に作用するくし歯刃物台を提供する。この構成では、各
弾性部材が対応の支持基準面上で、工具を位置決めする
とともに弾性的に保持する。
【0022】請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の
いずれか1項に記載のくし歯刃物台を搭載した工作機械
を提供する。この工作機械では、くし歯刃物台に装着し
た種々の工具による多彩な加工作業が高精度に実施され
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一
又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。図面を
参照すると、図1は本発明の第1の実施形態によるくし
歯刃物台10の正面図、図2はくし歯刃物台10の断面
図である。後述するようにくし歯刃物台10は、NC旋
盤等の工作機械に搭載して使用することができる。
【0024】くし歯刃物台10は、複数の工具12を並
列配置で支持するための工具支持部14と、工具支持部
14に工具12を脱着可能に固定するための固定機構1
6とを備えて構成される。工具支持部14は、その前端
面18側から見て略台形の平面形状を有する板状部材で
あり、互いに平行かつ直線状に延びる複数(図示実施形
態では4個)の工具受容溝20が前端面18に沿って凹
設される。それら工具受容溝20は、互いに実質的同一
の台形の横断面形状を有して、工具支持部14上に等間
隔に並列配置される。各工具受容溝20は、工具支持部
14の前端面18並びに前端面18に交差する上端面2
2及び下端面24に開口する開放溝であり、前端面18
に略平行な底面26と、前端面18及び底面26に略直
交する第1の側面28と、前端面18及び底面26に鈍
角に交差して第1の側面28に対向する第2の側面30
とを備える。各工具受容溝20の第1の側面28は、圧
力下で工具12を支持可能な長さを有する支持基準面
(以下、支持基準面28)を構成する。
【0025】工具支持部14の上端面22は、各工具受
容溝20の支持基準面28及び側面30に略直交して延
び、下端面24はそれら支持基準面28及び側面30に
斜交して延びる。その結果、工具支持部14には、段階
的に長さの異なる4個の工具受容溝20が形成される。
この構成において、それら工具受容溝20の支持基準面
28は、互いに平行に延びるとともに、互いに対応する
一方の長手方向端28aすなわち工具支持部14の下端
面24に交差する側の長手方向端28aで、それぞれの
長手方向に直交する横方向(工具受容溝20の並列方
向)に見て、長手方向へ互いにずれて配置される。さら
に特定すれば、4個の工具受容溝20の支持基準面28
は、上記長手方向端28aで、同一方向へ段階的に同一
距離ずつずれて配置される。
【0026】固定機構16は、4個の工具受容溝20の
それぞれに個別に関連して設置される4個の固定部材3
2と、それら固定部材32を工具支持部14に独立変位
可能に取付ける4組の取付ボルト34とを備える。各固
定部材32は、工具支持部14の前端面18に対向して
配置される基板部分36と、基板部分36に略直交して
その一端に一体的に連結され、工具支持部14の各工具
受容溝20の支持基準面28及び側面30に対向して配
置されるくさび部分38とを有する。基板部分36に
は、取付ボルト34をそれぞれに挿通する一対の貫通穴
40が設けられ、くさび部分38には、工具受容溝20
の側面30に密接可能な係合面42が設けられる。
【0027】各固定部材32の基板部分36の貫通穴4
0に挿通された一対の取付ボルト34は、工具支持部1
4の各工具受容溝20に関連して前端面18に凹設され
た対応のねじ穴44(1つのみ図示)にそれぞれ螺着さ
れる。それにより固定部材32は、対応の工具受容溝2
0内にくさび部分38を挿入した状態で、工具支持部1
4に取付けられる。この状態で、各取付ボルト34を適
宜締付けると、各固定部材32は、くさび部分38の係
合面42を工具受容溝20の側面30に係合させつつ、
徐々にくさび部分38を工具受容溝20内に深く進入さ
せる。それに伴い、各固定部材32は、くさび部分38
の係合面42の反対側の押圧面46が、工具受容溝20
の支持基準面28に徐々に接近する。
【0028】このような構成を有する固定機構16で
は、各固定部材32の一対の取付ボルト34を十分に緩
めた状態で、工具支持部14の対応の工具受容溝20に
工具12を挿入した後、各取付ボルト34を強く締付け
ることにより、工具12が工具受容溝20の支持基準面
28とくさび部分38の押圧面46との間に圧力下で強
固に固定的に受容支持される。この状態から、所望の固
定部材32の一対の取付ボルト34を緩めれば、対応の
工具受容溝20から工具12を容易に取外すことができ
る。
【0029】くし歯刃物台10は、工具支持部14を一
体的かつ固定的に担持する工具移動台48を介して、例
えばNC旋盤の旋盤機台(図示せず)上に設置できる。
この場合、くし歯刃物台10は、NC旋盤の回転主軸
(図示せず)に把持された加工対象の棒材50の回転軸
線50aに直交する平面内で、工具移動台48の移動に
より直交2軸(以下、X軸及びY軸)方向へ平行移動で
きるように構成される。ここでくし歯刃物台10は、工
具支持部14に設けた複数の支持基準面28の長手方向
を、棒材50に接近及び離反する駆動軸(X軸)方向に
平行に向けて設置される。
【0030】この構成において、工具選択時には、工具
支持部14に装着した複数の工具12の刃先52が棒材
50に接触しない位置で、くし歯刃物台10をY軸方向
(すなわち工具12の並列方向)へ平行移動する。そし
て、所望の工具12の刃先52と棒材50の回転軸線5
0aとがX軸方向へ整列して配置された時点で、工具選
択が完了する。その状態から、くし歯刃物台10をX軸
方向へ平行移動して、選択した工具12を棒材50に向
けて前進させるとともに、当該工具12の刃先52を棒
材50に当接して加工を実施する。
【0031】くし歯刃物台10には、工具12の一例と
して、特に棒材50に外丸削り、突切り等の外面加工を
施すための複数種類のバイト12を装着することができ
る。この場合、それらバイト12の刃先52が、工具支
持部14の下端面24から工具受容溝20の長手方向に
見て互いに略同一距離の位置に配置されるように、各バ
イト12を対応の工具受容溝20に装着することが有利
である。したがってくし歯刃物台10においては、加工
作業に先立って、複数のバイト12の刃先52を、工具
支持部14の下端面24に実質的平行な仮想平面上に揃
える作業を実施することになる。この刃先揃え作業が完
了した状態では、それらバイト12の刃先52は、工具
支持部14に形成した複数の支持基準面28の長手方向
端28aと同様に、バイト12の並列方向に見て、長手
方向へ互いにかつ同一方向へ段階的にずれて配置され
る。またこのとき、くし歯刃物台10に装着された各バ
イト12は、加工作業に備えてくし歯刃物台10が棒材
50に接近するようX軸移動したときにも隣合う他のバ
イト12が接触しない範囲の外径寸法を有する棒材50
(例えば図1に実線で示す)を、旋削加工することがで
きる。
【0032】上記構成を有するくし歯刃物台10におい
て、従来行われている前述した簡易な工具刃先位置調整
方法を実施する際には、くし歯刃物台10に装着された
複数種類のバイト12に対し上記した刃先揃え作業を行
った後の、加工作業可能な状態にあるバイト12に対し
て実施する。このとき、くし歯刃物台10では、複数の
バイト12の刃先52が長手方向へ互いに段階的にずれ
て配置されているので、加工対象の棒材50が隣合うバ
イト12同士の間隔を超える外径寸法を有する場合に
も、刃先位置調整が必要なバイト12の刃先52を、他
のバイト12と棒材50との接触を回避しつつ、加工対
象棒材50の側面所望箇所に当接することができる(図
1に二点鎖線で示す)。
【0033】このようにくし歯刃物台10によれば、工
具支持部14に設けた複数の支持基準面28の長手方向
端28aの相対位置ずれ量を適宜選択して決定するとと
もに、それに対応した相対位置ずれ量で複数のバイト1
2の刃先52を段階的にずらして配置することにより、
工具支持部14に装着した複数のバイト12によって加
工可能な限界寸法までの棒材50に対し、前述した簡易
な工具刃先位置調整方法を実施することが可能になる。
したがって、刃先位置調整が必要なバイト12の実際の
加工対象の棒材50を用いて簡易な工具刃先位置調整方
法を実施できるので、NC旋盤における一連の加工準備
作業を煩雑にしたり機械稼働率を低下させたりすること
なく、高精度の加工作業を実施できるようになる。
【0034】また、くし歯刃物台10によれば、スロー
アウェイバイト等の、チップ交換が可能な工具12を工
具支持部14に装着している場合にも、前述したように
複数の工具12の刃先52を揃えた加工作業可能な状態
で、それら工具12の刃先52が長手方向へ互いに段階
的にずれて配置されているので、工具支持部14に工具
12を装着したままでチップ54(図1)を容易に交換
することができる。したがって、加工作業の途中で摩
耗、劣化したチップ54を交換する際にも、当該チップ
54を有する工具12を工具支持部14に対して脱着す
る必要がないので、チップ交換の度に刃先揃え作業や刃
先位置調整作業等の加工準備作業を再度実施することが
回避され、以て工作機械の稼働率の低下が未然に防止さ
れる。
【0035】さらに、くし歯刃物台10においては、被
加工素材の加工工程で実際に使用する複数の工具12
を、加工ステップに対応するそれらの使用順序に従っ
て、工具支持部14上の複数の工具受容溝20の長さの
長い方から短い方へ順々に装着しておくことが有利であ
る。このような装着形態によれば、1つの工具12によ
る加工ステップが完了した後、次の工具12の選択に備
えてくし歯刃物台10を一旦X軸方向へ後退させる際
に、次の工具12の刃先52が先の工具12の隣で予め
X軸方向へ後退した位置に置かれているので、従来のく
し歯刃物台に比べて後退距離(逃げ量)を削減でき、結
果として加工時間を短縮できる利点が生じる。
【0036】なお、図10(a)に示す従来のくし歯刃
物台において、工具支持部2の複数の工具受容溝4に、
複数の工具1を、それらの刃先8が横方向に見て長手方
向へ互いに段階的にずれて配置されるように装着した場
合には、それら工具1の工具支持部2から刃先8までの
突出長さが互いに異なる装着形態になる。この装着形態
では、工具1の突出長さが長くなる程、固定機構3によ
る当該工具1の固定機能が低下し、刃先8が加工作業中
に振動を生じ易くなって、結果的に加工精度が劣化する
ことが危惧される。これに対し、本発明に係るくし歯刃
物台10では、前述したように複数の工具12をそれぞ
れの工具支持部14から刃先52までの突出長さが等し
い形態に装着できるから、固定機構16によって各工具
12を強固に固定でき、以て加工精度を高水準に維持で
きるのである。
【0037】上記実施形態によるくし歯刃物台10は、
本発明の範囲内で、様々な修正及び変形を施すことがで
きる。例えば図示実施形態では、工具支持部14が前端
面18側から見て略台形の平面形状を有するとともに、
4個の工具受容溝20及びそれらに形成した支持基準面
28が互いに異なる長さを有する構成としたが、これに
限定されず、工具支持部14の上端面22を下端面24
に略平行に形成して、4個の工具受容溝20及びそれら
に形成した支持基準面28が互いに同一の長さを有する
構成とすることもできる。この場合、4個の支持基準面
28は、それぞれに対応する長手方向両端で、長手方向
へ互いに、かつ同一方向へ段階的にずれて配置されるこ
とになる。
【0038】また、図示実施形態では、4個の固定部材
32は互いに同一の寸法及び形状を有し、また、4個の
工具受容溝20のそれぞれに関連する4組のねじ穴44
は、工具支持部14の下端面24から互いに実質的同一
の距離に形成されている。このような構成は、略同一長
さの工具(バイト)12を同一条件で各工具受容溝20
に固定できることを前提としたものである。しかしこれ
に限定されず、異なる寸法及び形状の固定部材32を工
具支持部14の下端面24に対して異なる位置に取付け
る構成とすることもできる。さらに、各工具受容溝20
の台形の横断面形状は、一般的なバイトのシャンク部分
を底面26及び支持基準面28に密接可能であることを
前提としたものであるが、これに限定されず、固定機構
16により工具12を強固に固定できる横断面形状であ
ればよい。
【0039】上記実施形態においては、工具支持部14
に設けられる工具受容溝20及び支持基準面28の個数
及び配置間隔は任意である。しかし、固定機構16が、
複数の支持基準面28に個別に対向して工具支持部14
に独立変位可能に取付けられる複数の固定部材32を備
える構成としたから、隣合う工具受容溝20の間の工具
支持部14の前端面18に、固定部材32の基板部分3
6を取付けるためのスペースを確保する必要がある。ま
た、各支持基準面28が開放溝形状の工具受容溝20の
側面に配置され、固定部材32が工具12をこの支持基
準面28に向けて横方向へ押付ける構成としたから、取
付ボルト34の締付けにより、各工具受容溝20が押し
広げられるような変形が工具支持部14に生じる場合が
ある。このような変形を抑えるためには、工具支持部1
4に十分な機械的強度を付与することが必要となり、結
果として工具受容溝20の間隔を十分にとることにな
る。
【0040】これに対し、くし歯刃物台の所与の寸法制
限内で、すなわち工具支持部の寸法や工具選択時の移動
範囲を増加させることなく、くし歯刃物台に装着可能な
工具の個数を増やすことができる構成を、本発明の範囲
内で提案できる。図3〜図5は、このような構成を有す
る本発明の第2の実施形態によるくし歯刃物台60を、
それぞれ正面図、横断面図及び縦断面図で示す。
【0041】くし歯刃物台60は、複数の工具12を並
列配置で支持するための工具支持部62と、工具支持部
62に工具12を脱着可能に固定するための固定機構6
4とを備えて構成される。工具支持部62は、その前端
面66側から見て略台形の平面形状を有する板状部材で
あり、互いに平行かつ直線状に延びる複数(図示実施形
態では5個)の工具受容溝68を備える凹部70が前端
面66に凹設される。それら工具受容溝68は、互いに
実質的同一の矩形の横断面形状を有して、工具支持部6
2上に等間隔に並列配置される。各工具受容溝68は、
工具支持部62の前端面66並びに前端面66に交差す
る上端面72及び下端面74に開口する開放溝であり、
前端面66に略平行な底面76と、底面76に略直交す
る第1の側面78と、底面76に略直交して第1の側面
78に対向する第2の側面80とを備える。各工具受容
溝68の底面76は、圧力下で工具12を支持可能な長
さを有する支持基準面(以下、支持基準面76)を構成
する。
【0042】工具支持部62の上端面72は、各工具受
容溝68の両側面78、80に略直交して延び、下端面
74はそれら両側面78、80に斜交して延びる。その
結果、工具支持部62には、段階的に長さの異なる5個
の工具受容溝68が形成される。この構成において、そ
れら工具受容溝68の支持基準面76は、互いに同一平
面上に平行に延びるとともに、互いに対応する一方の長
手方向端76aすなわち工具支持部62の下端面74に
交差する側の長手方向端76aで、それぞれの長手方向
に直交する横方向(工具受容溝68の並列方向)に見
て、長手方向へ互いにずれて配置される。さらに特定す
れば、5個の工具受容溝68の支持基準面76は、上記
長手方向端76aで、同一方向へ段階的に同一距離ずつ
ずれて配置される。
【0043】固定機構64は、工具支持部62の前端面
66における凹部70の開口を少なくとも部分的に閉鎖
するように工具支持部62に固定される蓋部材82と、
凹部70内の5個の工具受容溝68のそれぞれに個別に
関連して、蓋部材82に独立変位可能に取付けられる5
組の固定部材84とを備える。蓋部材82は、互いに平
行な一対の外縁86を有する板状部材であり、一方の外
縁86を工具支持部62の下端面74に沿って配置した
状態で、2組の取付ボルト88により工具支持部62の
前端面66に固定的に取付けられる。それら取付ボルト
88は、蓋部材82の長手方向両端領域にそれぞれ2個
ずつ設置され、工具支持部62の前端面66に設けた対
応のねじ穴90(図6)に螺着される。この状態で蓋部
材82は、5個の工具受容溝68のそれぞれを少なくと
も部分的に遮蔽し、各々の支持基準面76に対向して配
置される。なお好ましくは、蓋部材82を工具支持部6
2の前端面66の所定位置に容易に位置決めできるよう
に、蓋部材82の内面(各支持基準面76に対向する
面)に、工具支持部62の凹部70に嵌入される突出領
域92が形成される。
【0044】各固定部材84は、工具支持部62に設け
た各支持基準面76に対向して軸端84aを配置する固
定ボルトからなり、工具支持部62の所定位置に固定さ
れた蓋部材82の、各支持基準面76に対向する位置に
貫通形成された一対のねじ穴94(1つのみ図示)の各
々に螺着される。各固定部材84を蓋部材82の各ねじ
穴94に螺着して適宜締付けると、各固定部材84の軸
端84aがねじ送り作用により、対応の工具受容溝68
の支持基準面76に徐々に接近する。
【0045】固定機構64はさらに、工具支持部62の
5個の工具受容溝68のそれぞれに個別に関連して、工
具支持部62と蓋部材82との間に配置される複数の弾
性部材96を備える。図7(a)、(b)に示すよう
に、各弾性部材96は、中央の平坦部分98と両端の湾
曲部分100とを一体的に備える板ばねからなる。平坦
部分98は、その両側縁領域102で工具支持部62及
び蓋部材82に支持される静止部分であり、両端の湾曲
部分100は、互いに同一の形状及び寸法を有して平坦
部分98の同一側に膨出し、弾性変形によりばね力を発
揮する可動部分である。さらに、平坦部分98の両側縁
領域102には、後述する脱落防止用の切欠き104が
形成される。
【0046】図6及び図8に拡大して示すように、工具
支持部62には、各工具受容溝68の一方の側面80に
隣接して、側面80に平行に延びる直線状のスリット1
06が刻設される。各スリット106は、工具支持部6
2の下端面74に開口するとともに、下端面74から所
定距離の位置で終端する。また蓋部材82には、各工具
受容溝68に対向するその内面に、各スリット106に
平行に対向して、同様に直線状のスリット108が刻設
される。蓋部材82にはさらに、各スリット108に連
通する第2のねじ穴110(図5に1つのみ図示)が貫
通形成される。それら第2のねじ穴110には、軸端で
各スリット108内に突出可能な係止ボルト112が螺
着される。
【0047】弾性部材96は、その両側縁領域102
を、工具支持部62のスリット106及び蓋部材82の
スリット108に挿入するとともに、その湾曲部分10
0の膨出頂点を、当該スリット106に隣接する側面8
0を有する工具受容溝68側に向けて、工具支持部62
と蓋部材82との間に支持される。このとき、弾性部材
96の一対の湾曲部分100は、それらの膨出頂点が、
工具支持部62の前端面66側から見て、対応の工具受
容溝68内に突出して配置される。さらに、蓋部材82
のねじ穴110に螺着した係止ボルト112は、その軸
端でスリット108内に突出して、弾性部材96の一方
の切欠き104に係合する。それにより弾性部材96
は、工具支持部62と蓋部材82との間で所定位置に係
止され、両スリット106、108からの弾性部材96
の脱落が防止される。
【0048】このような構成を有する固定機構64で
は、工具支持部62の所定位置に蓋部材82を固定する
とともに、複数の支持基準面76に個別に関連して弾性
部材96を所定位置に配置した状態で、所望の工具受容
溝68に対し工具12を脱着することができる。工具1
2を装着する際には、所望の工具受容溝68に対向する
一対の固定部材84を十分に緩めた状態で、工具支持部
62の上端面72側又は下端面74側から当該工具受容
溝68に工具12を挿入する。このとき、弾性部材96
の両湾曲部分100が工具12に押されて弾性変形し、
それにより生じるばね力によって、工具12を工具受容
溝68の他方の側面78に当接するように作用する。そ
の結果、工具12が対応の支持基準面76に対して、所
定位置に位置決めされる。次いで、各固定部材84を強
く締付けることにより、工具12が工具受容溝68の支
持基準面76と固定部材84の軸端84aとの間に圧力
下で強固に固定的に受容支持される。工具12を取外す
際には、所望の工具12を固定している一対の固定部材
84を緩めるだけで、対応の工具受容溝68から工具1
2を容易に取外すことができる。
【0049】くし歯刃物台60は、前述したくし歯刃物
台10と同様に、工具支持部62を一体的かつ固定的に
担持する工具移動台48を介して、例えばNC旋盤の旋
盤機台(図示せず)上に設置できる。この場合、図9に
示すように、くし歯刃物台60は、NC旋盤の回転主軸
114に把持された加工対象の棒材50の回転軸線50
aに直交する平面内で、工具移動台48の移動により直
交2軸(以下、X軸及びY軸)方向へ平行移動できるよ
うに構成される。ここでくし歯刃物台60は、工具支持
部62に設けた複数の支持基準面76の長手方向を、棒
材50に接近及び離反する駆動軸(X軸)方向に平行に
向けて設置される。
【0050】この構成において、工具選択時には、工具
支持部62に装着した複数の工具12の刃先52が棒材
50に接触しない位置で、くし歯刃物台60をY軸方向
(すなわち工具12の並列方向)へ平行移動する。そし
て、所望の工具12の刃先52と棒材50の回転軸線5
0aとがX軸方向へ整列して配置された時点で、工具選
択が完了する。その状態から、くし歯刃物台60をX軸
方向へ平行移動して、選択した工具12を棒材50に向
けて前進させるとともに、当該工具12の刃先52を棒
材50に当接して加工を実施する。
【0051】くし歯刃物台60には、工具12として、
特に棒材50に外丸削り、突切り等の外面加工を施すた
めの複数種類のバイト12を装着することができる。こ
の場合、それらバイト12の刃先52が、工具支持部6
2の下端面74から工具受容溝68の長手方向に見て互
いに略同一距離の位置に配置されるように、各バイト1
2を対応の工具受容溝68に装着することが有利であ
る。したがってくし歯刃物台60においては、加工作業
に先立って、複数のバイト12の刃先52を、工具支持
部62の下端面74に実質的平行な仮想平面上に揃える
作業を実施することになる。この刃先揃え作業が完了し
た状態では、それらバイト12の刃先52は、工具支持
部62に形成した複数の支持基準面76の長手方向端7
6a(図6)と同様に、バイト12の並列方向に見て、
長手方向へ互いにかつ同一方向へ段階的にずれて配置さ
れる(図5参照)。またこのとき、くし歯刃物台60に
装着された各バイト12は、隣合う他のバイト12に接
触しない範囲の外径寸法を有する棒材50(例えば図3
に実線で示す)を旋削加工することができる。
【0052】上記構成を有するくし歯刃物台60によっ
ても、前述したくし歯刃物台10と同様に、従来行われ
ていた簡易な刃先位置調整方法を、工具支持部62に装
着した各工具12による加工が可能な限界寸法までの被
加工素材50に対して直接的に実施でき、また、チップ
交換が可能な工具12を工具支持部62に装着している
場合にも、工具12を装着したままの状態でチップ54
を容易に交換することができ、さらに、複数の工具12
を実際の使用順序に従って長さの長い工具受容溝68か
ら短い工具受容溝68へ順々に装着しておくことによ
り、工具移行時のくし歯刃物台60の後退距離(逃げ
量)を削減できる。
【0053】さらに、くし歯刃物台60においては、固
定機構64が、複数の支持基準面76に対向して工具支
持部62に固定される蓋部材82と、それら支持基準面
76に個別に対向して蓋部材82に独立変位可能に取付
けられる複数の固定部材84とを備える構成としたか
ら、隣合う工具受容溝68の間に固定部材84を取付け
るためのスペースを設ける必要がなく、その結果、複数
の工具受容溝68の配置間隔を可及的に削減することが
できる。しかも、蓋部材82がその長手方向両端領域で
工具支持部62の前端面66に固定されるとともに、固
定部材84が工具12を工具受容溝68の底面である支
持基準面76に向けて押付ける構成としたから、固定部
材84を強固に締付けても、各工具受容溝68及び凹部
70が押し広げられるような工具支持部62の変形は確
実に防止される。したがって、工具支持部62に過大な
機械的強度を付与せずとも、高水準の加工精度を確保す
ることができる。
【0054】したがってくし歯刃物台60によれば、そ
れを搭載する工作機械の機械構成によって決まるくし歯
刃物台60の所与の寸法制限内で、すなわち工具支持部
62の寸法や工具選択時の移動範囲を増加させることな
く、くし歯刃物台60に装着可能な工具12の個数を増
やすことができる。この場合、隣合う工具12同士の間
隔は狭まることになるが、それらの刃先52が長手方向
へ互いにずれて配置されているので、加工中の切り屑の
排出は妨げられない。
【0055】上記実施形態によるくし歯刃物台60も、
前述したくし歯刃物台10と同様に、本発明の範囲内で
様々な修正及び変形を施すことができる。特にくし歯刃
物台60では、弾性部材96は図示形状の板ばねに限ら
ず、トーションコイルばね等の他の様々な構成の弾性部
材を採用できる。また、弾性部材96を所定位置に係止
する手段として、第2のねじ穴110及び係止ボルト1
12の代わりに、貫通穴とピンとの組合せを採用するこ
ともできる。
【0056】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、複数の工具を並列配置で支持可能なくし歯刃
物台において、加工作業に先立ち被加工素材の側面に工
具刃先を当接する簡易な刃先位置調整方法を、くし歯刃
物台上の各工具による加工が可能な限界寸法までの被加
工素材に対して直接的に実施することが可能になる。し
たがって、このくし歯刃物台を搭載した工作機械では、
一連の加工準備作業を煩雑にしたり機械稼働率を低下さ
せたりすることなく、高精度の加工作業を実施できるよ
うになる。さらに本発明によれば、チップ交換が可能な
工具をくし歯刃物台に装着した場合にも、当該工具を脱
着することなくチップ交換を容易に実施できるようにな
る。
【0057】また、工具支持部に工具を脱着可能に固定
するための固定機構を、工具支持部に固定される蓋部材
と、蓋部材に独立変位可能に取付けられる複数の固定部
材とから構成した場合には、くし歯刃物台自体の寸法や
工具選択時のくし歯刃物台の移動範囲を増加させること
なく、しかも加工作業中に生じる切り屑の排出を妨げな
いようにして、くし歯刃物台に装着可能な工具の個数を
増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるくし歯刃物台の
正面図である。
【図2】図1のくし歯刃物台の線II−IIに沿った横断面
図である。
【図3】本発明の第2の実施形態によるくし歯刃物台の
正面図である。
【図4】図3のくし歯刃物台の線IV−IVに沿った横断面
図である。
【図5】図4の線V−Vに沿った縦断面図である。
【図6】図3のくし歯刃物台の主要部分を、蓋部材を取
外した状態で示す拡大正面図である。
【図7】図3のくし歯刃物台で使用される弾性部材の、
(a)側面図、及び(b)平面図である。
【図8】図3のくし歯刃物台の主要部分を、工具支持部
の上端面側から示す拡大平面図である。
【図9】図3のくし歯刃物台を工作機械の回転主軸とと
もに示す概略正面図である。
【図10】従来のくし歯刃物台の、(a)正面図、
(b)簡易な刃先位置調整方法の一段階を示す図、及び
(c)簡易な刃先位置調整方法の他段階を示す図であ
る。
【符号の説明】
10、60…くし歯刃物台 12…工具 14、62…工具支持部 16、64…固定機構 20、68…工具受容溝 28、76…支持基準面 32、84…固定部材 34…取付ボルト 50…被加工素材 52…刃先 54…チップ 82…蓋部材 96…弾性部材 112…係止ボルト

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の工具を並列配置で支持するための
    工具支持部と、該工具支持部に工具を脱着可能に固定す
    るための固定機構とを具備するくし歯刃物台において、 前記工具支持部は、圧力下で工具を支持可能な長さをそ
    れぞれに有して互いに平行に延びる複数の支持基準面を
    備え、それら支持基準面が互いに対応する少なくとも一
    方の長手方向端で該長手方向へ互いにずれて配置される
    こと、を特徴とするくし歯刃物台。
  2. 【請求項2】 前記工具支持部が3つ以上の前記支持基
    準面を備え、それら支持基準面が前記長手方向端で互い
    に同一方向へ段階的にずれて配置される請求項1に記載
    のくし歯刃物台。
  3. 【請求項3】 前記複数の支持基準面が、前記工具支持
    部に並列配置で凹設される複数の工具受容溝のそれぞれ
    の一部分である請求項1又は2に記載のくし歯刃物台。
  4. 【請求項4】 前記固定機構が、前記複数の支持基準面
    に個別に対向して前記工具支持部に独立変位可能に取付
    けられる複数の固定部材を備える請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載のくし歯刃物台。
  5. 【請求項5】 前記固定機構が、前記複数の支持基準面
    に対向して前記工具支持部に固定される蓋部材と、それ
    ら支持基準面に個別に対向して該蓋部材に独立変位可能
    に取付けられる複数の固定部材とを備える請求項1〜3
    のいずれか1項に記載のくし歯刃物台。
  6. 【請求項6】 前記固定機構が、前記複数の支持基準面
    に個別に関連して前記工具支持部と前記蓋部材との間に
    配置される複数の弾性部材をさらに備え、それら弾性部
    材の各々が対応の該支持基準面に対して工具を位置決め
    するように作用する請求項5に記載のくし歯刃物台。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のく
    し歯刃物台を搭載した工作機械。
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