JP2001300684A - ステンレス製カップ状部品の熱間鍛造方法 - Google Patents
ステンレス製カップ状部品の熱間鍛造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ステンレス鋼でカップ状部品を熱間鍛造する
時に発生するスカート部の直状部の焼付きを防止し、量
産性の高い熱間鍛造方法、さらに金型などの寿命を高め
た熱間鍛造方法の提供。 【解決手段】 ステンレス鋼素材を据込み加工により拡
径した後、パンチテーパー角4を56〜60度とし、ダ
イステーパー角5を31〜34度としたパンチ3および
ダイス2により熱間鍛造してスカート部7を有するステ
ンレス製カップ状部品6を製造する。この実施の形態で
は、型鍛造工程におけるスカート部7の摩擦仕事を最小
化できる最適なテーパー角を有するパンチ3とダイス2
を用いて型鍛造したので、当該部分における素材と金型
1との相対滑り速度が低減でき直状部8に焼付きを起こ
すことなく成形できる。
時に発生するスカート部の直状部の焼付きを防止し、量
産性の高い熱間鍛造方法、さらに金型などの寿命を高め
た熱間鍛造方法の提供。 【解決手段】 ステンレス鋼素材を据込み加工により拡
径した後、パンチテーパー角4を56〜60度とし、ダ
イステーパー角5を31〜34度としたパンチ3および
ダイス2により熱間鍛造してスカート部7を有するステ
ンレス製カップ状部品6を製造する。この実施の形態で
は、型鍛造工程におけるスカート部7の摩擦仕事を最小
化できる最適なテーパー角を有するパンチ3とダイス2
を用いて型鍛造したので、当該部分における素材と金型
1との相対滑り速度が低減でき直状部8に焼付きを起こ
すことなく成形できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はステンレス製カップ
状部品の鍛造方法、特に熱間鍛造によるステンレス製カ
ップ状部品の製造方法に関するものである。
状部品の鍛造方法、特に熱間鍛造によるステンレス製カ
ップ状部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】テーパー部と直状部からなるスカート部
を有するステンレス製カップ状部品の製造において、ス
テンレス鋼を素材としてブランクをパーツフォーマにて
熱間鍛造すると、ダイス2およびパンチ3からなる金型
1による型鍛造工程においては、図2に示すカップ状部
品6のスカート部7の直状部8に焼付きが発生する。そ
れは、ステンレス鋼のように変形抵抗が大きく加工性が
悪い場合には、閉塞鍛造となるカップ部成形工程におい
ては、金型などの工具が破損したり、金型に焼付きが生
じやすいことによる。そこで部品を切削で製造したり、
金型との潤滑方法を変更したり、材質を変更するなどの
対策が必要となる。しかし、切削で製造することは歩留
りが悪く生産性が低くコスト上の問題があり、低摩擦の
潤滑剤は環境への問題があった。材質の変更はユーザー
指定のため変更できない問題があった。潤滑油の保持能
力を高めるために素材をバレル研磨して表面荒らしをし
て型鍛造する方法が特開平9−143552号公報に開
示されている。さらに、素材の鍛造に先駆けて電着塗装
によって潤滑皮膜を形成せしめる方法が特開昭62−1
69889号公報に開示されているが、これらも上記の
コストあるいは環境上の問題があった。
を有するステンレス製カップ状部品の製造において、ス
テンレス鋼を素材としてブランクをパーツフォーマにて
熱間鍛造すると、ダイス2およびパンチ3からなる金型
1による型鍛造工程においては、図2に示すカップ状部
品6のスカート部7の直状部8に焼付きが発生する。そ
れは、ステンレス鋼のように変形抵抗が大きく加工性が
悪い場合には、閉塞鍛造となるカップ部成形工程におい
ては、金型などの工具が破損したり、金型に焼付きが生
じやすいことによる。そこで部品を切削で製造したり、
金型との潤滑方法を変更したり、材質を変更するなどの
対策が必要となる。しかし、切削で製造することは歩留
りが悪く生産性が低くコスト上の問題があり、低摩擦の
潤滑剤は環境への問題があった。材質の変更はユーザー
指定のため変更できない問題があった。潤滑油の保持能
力を高めるために素材をバレル研磨して表面荒らしをし
て型鍛造する方法が特開平9−143552号公報に開
示されている。さらに、素材の鍛造に先駆けて電着塗装
によって潤滑皮膜を形成せしめる方法が特開昭62−1
69889号公報に開示されているが、これらも上記の
コストあるいは環境上の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ステンレス鋼でカップ
状部品を熱間鍛造する時に発生するスカート部の直状部
の焼付きを防止し、量産性の高い熱間鍛造方法を提供
し、さらに金型などの寿命を改善した熱間鍛造方法を提
供する。
状部品を熱間鍛造する時に発生するスカート部の直状部
の焼付きを防止し、量産性の高い熱間鍛造方法を提供
し、さらに金型などの寿命を改善した熱間鍛造方法を提
供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】焼付きの原因について種
々考究したところ、焼付き発生原因は、鍛造工程にて素
材がパンチによる圧下とともに素材の底面がダイスに接
触した後、ダイスのスカート部の直状部成形領域におい
て素材は高い面圧を受けながら滑ることとなるため、そ
の領域の素材の表面の酸化膜に破壊が生じて焼付きが発
生する。そしてその焼付きの発生因子としては、一般に
素材と金型との接触面積、素材と金型との相対滑り
速度、素材と金型との接触温度、素材と金型との摩
擦係数、素材の表面拡大率などがあげられる。これら
はそれぞれ大きくなるほど焼付きが起こりやすい。これ
らの要因を回避するためには、については金型の冷却
方法を変更すれば改善できるが、この方法は設備的に困
難である。については素材にコーティングを施した
り、金型表面性状をコントロールしたり、また潤滑油を
変更することで改善できるが、コストアップや環境に及
ぼす影響などの問題がある。また、については部品の
形状を変更しないと大幅な改善は期待できないが、この
場合は目的の形状の製品が得られない問題がある。しか
しながらおよびについては改善の余地があり、さら
に両因子をパラメーターとする摩擦仕事ψを指標とする
改善方法の知見を得て本発明を得た。
々考究したところ、焼付き発生原因は、鍛造工程にて素
材がパンチによる圧下とともに素材の底面がダイスに接
触した後、ダイスのスカート部の直状部成形領域におい
て素材は高い面圧を受けながら滑ることとなるため、そ
の領域の素材の表面の酸化膜に破壊が生じて焼付きが発
生する。そしてその焼付きの発生因子としては、一般に
素材と金型との接触面積、素材と金型との相対滑り
速度、素材と金型との接触温度、素材と金型との摩
擦係数、素材の表面拡大率などがあげられる。これら
はそれぞれ大きくなるほど焼付きが起こりやすい。これ
らの要因を回避するためには、については金型の冷却
方法を変更すれば改善できるが、この方法は設備的に困
難である。については素材にコーティングを施した
り、金型表面性状をコントロールしたり、また潤滑油を
変更することで改善できるが、コストアップや環境に及
ぼす影響などの問題がある。また、については部品の
形状を変更しないと大幅な改善は期待できないが、この
場合は目的の形状の製品が得られない問題がある。しか
しながらおよびについては改善の余地があり、さら
に両因子をパラメーターとする摩擦仕事ψを指標とする
改善方法の知見を得て本発明を得た。
【0005】すなわち、課題を解決するための本発明の
手段は、請求項1の発明では、テーパー部9と直状部8
からなるスカート部7を有するカップ状部品6の製造に
おいて、ステンレス鋼素材を据込み加工により拡径した
後、カップ状部品6の内径を成形するパンチテーパー角
4を56〜60度、カップ状部品6の外径を成形するダ
イステーパー角5を31〜34度とするパンチ3および
ダイス2により熱間鍛造することによりカップ状部品6
のスカート部7の直状部8および金型1間に焼付きを起
こすことなく成形することを特徴とするステンレス製カ
ップ状部品6の熱間鍛造方法である。
手段は、請求項1の発明では、テーパー部9と直状部8
からなるスカート部7を有するカップ状部品6の製造に
おいて、ステンレス鋼素材を据込み加工により拡径した
後、カップ状部品6の内径を成形するパンチテーパー角
4を56〜60度、カップ状部品6の外径を成形するダ
イステーパー角5を31〜34度とするパンチ3および
ダイス2により熱間鍛造することによりカップ状部品6
のスカート部7の直状部8および金型1間に焼付きを起
こすことなく成形することを特徴とするステンレス製カ
ップ状部品6の熱間鍛造方法である。
【0006】請求項2の発明では、テーパー部9と直状
部8からなるスカート部7を有するカップ状部品6の製
造において、ステンレス鋼素材を据込み加工により拡径
した後、20〜40度の予成形パンチテーパー角10を
有する予成形パンチ14および平型の予成形下型15で
後方押出加工しカップ状部品6のスカート部7を予成形
し、その後カップ状部品6の内径を成形するパンチテー
パー角4を56〜60度、外径を成形するダイステーパ
ー角5を31〜37度とするパンチ3およびダイス2に
より熱間鍛造することによりカップ状部品6のスカート
部7の直状部8に焼付きを起こすことなく成形すること
を特徴とするステンレス製カップ状部品6の熱間鍛造方
法である。
部8からなるスカート部7を有するカップ状部品6の製
造において、ステンレス鋼素材を据込み加工により拡径
した後、20〜40度の予成形パンチテーパー角10を
有する予成形パンチ14および平型の予成形下型15で
後方押出加工しカップ状部品6のスカート部7を予成形
し、その後カップ状部品6の内径を成形するパンチテー
パー角4を56〜60度、外径を成形するダイステーパ
ー角5を31〜37度とするパンチ3およびダイス2に
より熱間鍛造することによりカップ状部品6のスカート
部7の直状部8に焼付きを起こすことなく成形すること
を特徴とするステンレス製カップ状部品6の熱間鍛造方
法である。
【0007】請求項3の発明では、スカート部7の直状
部8における摩擦仕事ψが数式1を満足する条件におい
てパンチ3およびダイス2により熱間鍛造することによ
りカップ状部品6のスカート部7の直状部8および金型
1間に焼付きを起こすことなく成形することを特徴とす
る請求項1または請求項2の手段におけるステンレス製
カップ状部品の熱間鍛造方法である。
部8における摩擦仕事ψが数式1を満足する条件におい
てパンチ3およびダイス2により熱間鍛造することによ
りカップ状部品6のスカート部7の直状部8および金型
1間に焼付きを起こすことなく成形することを特徴とす
る請求項1または請求項2の手段におけるステンレス製
カップ状部品の熱間鍛造方法である。
【0008】
【数2】 ψ=∫∫P・VdSdt<1300[N/mm] ………1 ただし、P:素材と金型の接触面圧[N/mm2]、
V:素材と金型の相対滑り速度[mm/s]、S:素材
と金型の接触面積[mm2]、t:素材と金型の接触時
間[s]
V:素材と金型の相対滑り速度[mm/s]、S:素材
と金型の接触面積[mm2]、t:素材と金型の接触時
間[s]
【0009】上記手段の作用について説明すると、請求
項1の手段では、パンチ3のパンチテーパー角4を56
〜60度とし、ダイス2のダイステーパー角5を31〜
34度とすることで、従来よりも金型1の面圧および素
材との滑り速度、特にカップ状部品6のスカート部7の
直状部8での面圧および滑り速度が低減でき、従来のよ
うに素材と金型1との焼付きが起こらない。
項1の手段では、パンチ3のパンチテーパー角4を56
〜60度とし、ダイス2のダイステーパー角5を31〜
34度とすることで、従来よりも金型1の面圧および素
材との滑り速度、特にカップ状部品6のスカート部7の
直状部8での面圧および滑り速度が低減でき、従来のよ
うに素材と金型1との焼付きが起こらない。
【0010】請求項2の手段では、20度以上の予成形
パンチテーパー角10を有する予成形パンチ14と予成
形下型15で後方押出してカップ状部品6のスカート部
7の予成形を行うことにより素材流動を改善、つまり型
鍛造工程のカップ状部品6のスカート部7の直状部8に
おける素材と金型1との接触時間を大幅に短縮し、当該
部分における摩擦仕事を軽減することができ、素材と金
型1との焼付きが起こらない。
パンチテーパー角10を有する予成形パンチ14と予成
形下型15で後方押出してカップ状部品6のスカート部
7の予成形を行うことにより素材流動を改善、つまり型
鍛造工程のカップ状部品6のスカート部7の直状部8に
おける素材と金型1との接触時間を大幅に短縮し、当該
部分における摩擦仕事を軽減することができ、素材と金
型1との焼付きが起こらない。
【0011】請求項3の手段では、CAEにより当該鍛
造工程の変形解析を行い、カップ状部品6のスカート部
7の直状部8における摩擦仕事ψを1300[N/m
m]より小さくすることで素材と金型1との焼付き防止
をより確実にできる。
造工程の変形解析を行い、カップ状部品6のスカート部
7の直状部8における摩擦仕事ψを1300[N/m
m]より小さくすることで素材と金型1との焼付き防止
をより確実にできる。
【0012】なお、本発明におけるパンチテーパー角と
は図1に符号4で示す角度θ1をいい、さらにダイステ
ーパー角とは同図の符号5で示す角度θ2をいう。
は図1に符号4で示す角度θ1をいい、さらにダイステ
ーパー角とは同図の符号5で示す角度θ2をいう。
【0013】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態について、図面
を参照して説明する。図1は本発明の熱間鍛造方法にお
いて使用する型鍛造用のダイス2とパンチ3からなる金
型1の概略を示す図である。同図において、パンチテー
パー角4およびダイステーパー角5は、カップ状部品6
の内径部および外径部のスカート部7のテーパー部9に
対応する角度である。ステンレス鋼素材13を据込み加
工により拡径した後、パンチテーパー角4を56〜60
度とし、ダイステーパー角5を31〜34度としたパン
チ3およびダイス2により熱間鍛造してスカート部7を
有するステンレス製カップ状部品6を製造する。この実
施の形態では、型鍛造工程におけるスカート部7の摩擦
仕事を最小化できる最適なパンチテーパー角4のθ1と
ダイステーパー角5のθ2を有するパンチ3とダイス2
を用いて型鍛造したので、当該部分における素材と金型
1との相対滑り速度が低減できカップ状部品6の直状部
8に焼付きを起こすことなく成形できる。
を参照して説明する。図1は本発明の熱間鍛造方法にお
いて使用する型鍛造用のダイス2とパンチ3からなる金
型1の概略を示す図である。同図において、パンチテー
パー角4およびダイステーパー角5は、カップ状部品6
の内径部および外径部のスカート部7のテーパー部9に
対応する角度である。ステンレス鋼素材13を据込み加
工により拡径した後、パンチテーパー角4を56〜60
度とし、ダイステーパー角5を31〜34度としたパン
チ3およびダイス2により熱間鍛造してスカート部7を
有するステンレス製カップ状部品6を製造する。この実
施の形態では、型鍛造工程におけるスカート部7の摩擦
仕事を最小化できる最適なパンチテーパー角4のθ1と
ダイステーパー角5のθ2を有するパンチ3とダイス2
を用いて型鍛造したので、当該部分における素材と金型
1との相対滑り速度が低減できカップ状部品6の直状部
8に焼付きを起こすことなく成形できる。
【0014】他の実施の形態では、ステンレス鋼素材1
3を据込み加工により拡径した後、熱間鍛造に先立って
20〜40度の予成形パンチテーパー角10のθ3を有
する予成形パンチ14と平型の予成形下型で後方押出加
工しスカート部7を予成形する。その後、この予成形し
た素材を図1に示すパンチ3およびダイス2により熱間
鍛造してテーパー部9および直状部8からなるスカート
部7を有するカップ状部品6とする。この結果、カップ
状部品6のスカート部7の直状部8にさらに焼付きを起
こすことなく成形することができダイステーパー角5の
θ2の上限を37度まで拡げうる。
3を据込み加工により拡径した後、熱間鍛造に先立って
20〜40度の予成形パンチテーパー角10のθ3を有
する予成形パンチ14と平型の予成形下型で後方押出加
工しスカート部7を予成形する。その後、この予成形し
た素材を図1に示すパンチ3およびダイス2により熱間
鍛造してテーパー部9および直状部8からなるスカート
部7を有するカップ状部品6とする。この結果、カップ
状部品6のスカート部7の直状部8にさらに焼付きを起
こすことなく成形することができダイステーパー角5の
θ2の上限を37度まで拡げうる。
【0015】さらに他の実施の形態では、上記の実施の
形態の手段でカップ状部品6のスカート部7の直状部8
を成形する際に、素材と金型1の摩擦仕事ψが数式1を
満足する条件においてパンチ3およびダイス2により熱
間鍛造する。この結果一層に焼付きを起こすことなくス
テンレス製カップ状部品6を成形することができる。
形態の手段でカップ状部品6のスカート部7の直状部8
を成形する際に、素材と金型1の摩擦仕事ψが数式1を
満足する条件においてパンチ3およびダイス2により熱
間鍛造する。この結果一層に焼付きを起こすことなくス
テンレス製カップ状部品6を成形することができる。
【0016】
【数3】 ψ=∫∫P・VdSdt<1300[N/mm] ………1 ただし、P:素材と金型の接触面圧[N/mm2]、
V:素材と金型の相対滑り速度[mm/s]、S:素材
と金型の接触面積[mm2]、t:素材と金型の接触時
間[s]
V:素材と金型の相対滑り速度[mm/s]、S:素材
と金型の接触面積[mm2]、t:素材と金型の接触時
間[s]
【0017】
【実施例】実施例1(請求項1に係る発明の実施例)
図3に示す鍛造工程の第1工程において金型の平型であ
る上型11と下型12間でステンレス鋼素材13を据込
み加工により拡径し、第2工程においてパンチテーパー
角4のθ1およびダイステーパー角5のθ2を表1に示す
条件とするダイス2およびパンチ3を用いてカップ状部
品6の熱間鍛造を実施した。なお、本実施例1および下
記の実施例2で用いたステンレス鋼素材13および潤滑
剤は表3に示す。
図3に示す鍛造工程の第1工程において金型の平型であ
る上型11と下型12間でステンレス鋼素材13を据込
み加工により拡径し、第2工程においてパンチテーパー
角4のθ1およびダイステーパー角5のθ2を表1に示す
条件とするダイス2およびパンチ3を用いてカップ状部
品6の熱間鍛造を実施した。なお、本実施例1および下
記の実施例2で用いたステンレス鋼素材13および潤滑
剤は表3に示す。
【0018】
【表1】
【0019】成功例:パンチテーパー角4のθ1を56
〜60度、かつ、外径をダイステーパー角5のθ2を3
1〜34度とするパンチ3およびダイス2である表1の
金型6、金型7、金型10および金型11により、カッ
プ状部品6を焼付きを起こすことなく成形できた。な
お、本鍛造工程についてCAE解析にてシミュレーショ
ンを行い、第2工程のカップ状部品6のスカート部7の
直状部8(図3の第2工程のA部)における摩擦仕事が
数式1を満足する条件では、いずれの金型においても焼
付きを起こすことなく成形できた。また、この実施例に
おけるステンレス鋼素材13は表3に示すとおりの鋼材
のSUS304であるが、鋼素材としてSUS316、
並びにSUS430でも、SUS304と同様に焼付き
を防止して狙い通りに鍛造成形を行うことが可能であっ
た。
〜60度、かつ、外径をダイステーパー角5のθ2を3
1〜34度とするパンチ3およびダイス2である表1の
金型6、金型7、金型10および金型11により、カッ
プ状部品6を焼付きを起こすことなく成形できた。な
お、本鍛造工程についてCAE解析にてシミュレーショ
ンを行い、第2工程のカップ状部品6のスカート部7の
直状部8(図3の第2工程のA部)における摩擦仕事が
数式1を満足する条件では、いずれの金型においても焼
付きを起こすことなく成形できた。また、この実施例に
おけるステンレス鋼素材13は表3に示すとおりの鋼材
のSUS304であるが、鋼素材としてSUS316、
並びにSUS430でも、SUS304と同様に焼付き
を防止して狙い通りに鍛造成形を行うことが可能であっ
た。
【0020】比較例:パンチテーパー角4のθ1を56
〜60度、かつ、ダイステーパー角5のθ2を31〜3
4度の範囲に入らないパンチ3およびダイス2は、鍛造
時にはカップ状部品6のスカート部7の直状部8である
A部での摩擦仕事は数式1を満足せず、いずれの場合も
加工時に材料がダイス2に焼付いてしまった。
〜60度、かつ、ダイステーパー角5のθ2を31〜3
4度の範囲に入らないパンチ3およびダイス2は、鍛造
時にはカップ状部品6のスカート部7の直状部8である
A部での摩擦仕事は数式1を満足せず、いずれの場合も
加工時に材料がダイス2に焼付いてしまった。
【0021】実施例2(請求項2に係る発明の実施例)
図4に示す鍛造工程2の第1工程は上記の実施例2の
第1工程と同様で、金型の平型である上型11と下型1
2間でステンレス鋼素材13を据込み加工により拡径
し、第2工程において、予成形パンチテーパー角10の
θ3を表2に示す条件の予成形パンチ14および平型の
予成形下型15を用いて後方押出しによりカップ部の予
成形をする。この第2工程は焼付き部での材料流動を改
善することを目的にカップ部予成形を実施するために追
加した工程である。さらに第3工程のパンチテーパー角
4のθ1およびダイステーパー角5のθ2(図3の実施例
の第2工程と同様の型形状)は、それぞれ52度および
37度とした。
図4に示す鍛造工程2の第1工程は上記の実施例2の
第1工程と同様で、金型の平型である上型11と下型1
2間でステンレス鋼素材13を据込み加工により拡径
し、第2工程において、予成形パンチテーパー角10の
θ3を表2に示す条件の予成形パンチ14および平型の
予成形下型15を用いて後方押出しによりカップ部の予
成形をする。この第2工程は焼付き部での材料流動を改
善することを目的にカップ部予成形を実施するために追
加した工程である。さらに第3工程のパンチテーパー角
4のθ1およびダイステーパー角5のθ2(図3の実施例
の第2工程と同様の型形状)は、それぞれ52度および
37度とした。
【0022】
【表2】
【0023】成功例:第2工程(追加工程)の予成形パ
ンチテーパー角10のθ3を20〜40度とする予成形
パンチ14と平型の予成形下型15からなる表2の金型
2および金型3によりカップ部の予成形を施すことで、
第3工程においてカップ状部品6を焼付きを起こすこと
なく成形できた。なお、第3工程のカップ上部品6のス
カート部7の直状部8における摩擦仕事が数式1を満足
する条件では、いずれの場合も焼付きを起こすことなく
成形できた。
ンチテーパー角10のθ3を20〜40度とする予成形
パンチ14と平型の予成形下型15からなる表2の金型
2および金型3によりカップ部の予成形を施すことで、
第3工程においてカップ状部品6を焼付きを起こすこと
なく成形できた。なお、第3工程のカップ上部品6のス
カート部7の直状部8における摩擦仕事が数式1を満足
する条件では、いずれの場合も焼付きを起こすことなく
成形できた。
【0024】比較例:第2工程の予成形パンチテーパー
角10のθ3を15度とする表3の金型1によるとき、
第2工程において予成形を施したカップ部に折れ込みが
発生するためカップ状部品6を成形することができな
い。また、第2工程の予成形パンチテーパー角10のθ
3を50度とする表3の金型4によりカップ部予成形を
施した後、第3工程にて型成形を行ったところ、カップ
状部品6のスカート部7の直状部8にて焼付きが発生し
た。なお、上記の金型1および金型4による2例とも、
数式1を満足しなかった。
角10のθ3を15度とする表3の金型1によるとき、
第2工程において予成形を施したカップ部に折れ込みが
発生するためカップ状部品6を成形することができな
い。また、第2工程の予成形パンチテーパー角10のθ
3を50度とする表3の金型4によりカップ部予成形を
施した後、第3工程にて型成形を行ったところ、カップ
状部品6のスカート部7の直状部8にて焼付きが発生し
た。なお、上記の金型1および金型4による2例とも、
数式1を満足しなかった。
【0025】
【表3】
【0026】
【発明の効果】以上説明したとおり、ステンレス鋼素材
などの変形抵抗が大きく加工性が悪い素材からスカート
部を有するカップ状部品を熱間鍛造にて製造する際、本
発明の方法で製造することにより、従来のようにコスト
の上昇をもたらすことなく、かつ環境を害することな
く、金型との間に焼付きを起こすことなく量産ができ、
さらに金型など工具の破損などを防止して寿命を高める
など、その効果は極めて顕著なるものがある。
などの変形抵抗が大きく加工性が悪い素材からスカート
部を有するカップ状部品を熱間鍛造にて製造する際、本
発明の方法で製造することにより、従来のようにコスト
の上昇をもたらすことなく、かつ環境を害することな
く、金型との間に焼付きを起こすことなく量産ができ、
さらに金型など工具の破損などを防止して寿命を高める
など、その効果は極めて顕著なるものがある。
【図1】本発明の金型の概略を示す模式図である。
【図2】カップ状部品の概略図である。
【図3】本発明の請求項1に係る鍛造工程1の概略を示
す模式図である。
す模式図である。
【図4】本発明の請求項2に係る鍛造工程2の概略を示
す模式図である。
す模式図である。
1 金型 2 ダイス 3 パンチ 4 パンチテーパー角 5 ダイステーパー角 6 カップ状部品 7 スカート部 8 直状部 9 テーパー部 10 予成形パンチテーパー角 11 上型 12 下型 13 鋼素材 14 予成形パンチ 15 予成形下型
Claims (3)
- 【請求項1】 テーパー部と直状部からなるスカート部
を有するカップ状部品の製造において、ステンレス鋼素
材を据込み加工した後、カップ状部品の内径を成形する
パンチテーパー角を56〜60度、外径を成形するダイ
ステーパー角を31〜34度とするパンチおよびダイス
からなる金型により熱間鍛造することによりカップ状部
品のスカート部の直状部に焼付きを起こすことなく成形
することを特徴とするステンレス製カップ状部品の熱間
鍛造方法。 - 【請求項2】 テーパー部と直状部からなるスカート部
を有するカップ状部品の製造において、ステンレス鋼素
材を据込み加工した後、20〜40度の予成形パンチテ
ーパー角を有する予成形パンチで後方押出加工しスカー
ト部を予成形し、その後カップ状部品の内径を成形する
パンチテーパー角を56〜60度、外径を成形するダイ
ステーパー角を31〜37度とするパンチおよびダイス
からなる金型により熱間鍛造することによりカップ状部
品のスカート部の直状部に焼付きを起こすことなく成形
することを特徴とするステンレス製カップ状部品の熱間
鍛造方法。 - 【請求項3】 カップ状部品のスカート部の直状部にお
ける摩擦仕事ψが数式1を満足する条件においてパンチ
およびダイスからなる金型により熱間鍛造することによ
りカップ状部品のスカート部の直状部に焼付きを起こす
ことなく成形とすることを特徴とする請求項1または請
求項2記載のステンレス製カップ状部品の熱間鍛造方
法。 【数1】 ψ=∫∫P・VdSdt<1300[N/mm] ………1 ただし、P:素材と金型の接触面圧[N/mm2]、
V:素材と金型の相対滑り速度[mm/s]、S:素材
と金型の接触面積[mm2]、t:素材と金型の接触時
間[s]
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000122236A JP2001300684A (ja) | 2000-04-24 | 2000-04-24 | ステンレス製カップ状部品の熱間鍛造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000122236A JP2001300684A (ja) | 2000-04-24 | 2000-04-24 | ステンレス製カップ状部品の熱間鍛造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001300684A true JP2001300684A (ja) | 2001-10-30 |
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ID=18632737
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2000122236A Pending JP2001300684A (ja) | 2000-04-24 | 2000-04-24 | ステンレス製カップ状部品の熱間鍛造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2001300684A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103008521A (zh) * | 2012-10-22 | 2013-04-03 | 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 | 一种锥筒形锻件的成形模具及其成形方法 |
RU2606818C1 (ru) * | 2015-08-26 | 2017-01-10 | Акционерное общество "Научно-производственное объединение "Центральный научно-исследовательский институт технологии машиностроения" АО "НПО "ЦНИИТМАШ" | Способ секционной штамповки осесимметричных изделий и комплект инструмента для его осуществления |
JP2020015050A (ja) * | 2018-07-24 | 2020-01-30 | エンシュウ株式会社 | 成形型 |
-
2000
- 2000-04-24 JP JP2000122236A patent/JP2001300684A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103008521A (zh) * | 2012-10-22 | 2013-04-03 | 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 | 一种锥筒形锻件的成形模具及其成形方法 |
CN103008521B (zh) * | 2012-10-22 | 2015-08-26 | 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 | 一种锥筒形锻件的成形模具及其成形方法 |
RU2606818C1 (ru) * | 2015-08-26 | 2017-01-10 | Акционерное общество "Научно-производственное объединение "Центральный научно-исследовательский институт технологии машиностроения" АО "НПО "ЦНИИТМАШ" | Способ секционной штамповки осесимметричных изделий и комплект инструмента для его осуществления |
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JP7105125B2 (ja) | 2018-07-24 | 2022-07-22 | エンシュウ株式会社 | 成形型 |
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