JP2001297485A - 貼り合せ型光記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】グルーブを有する円盤状の透明基板に少な
くとも光記録層を含む複合データ記録層を積層してなる
記録用基板と、表面にスタックリングがなく平坦な保護
基板とを貼り合せる。 【効果】接触型印刷が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は貼り合わせ型光記録
媒体に関し、特に熱転写等の接触印刷法による印刷が可
能なレーベル領域が設けられた光記録媒体に関する。

【０００２】

【従来の技術】CDR、DVDR、DVD−RWのような大容量光デ
ィスクでは、そのディスク表面にインク受容層で被覆し
たレーベル領域を設け、そのレーベル面を利用してイン
クジェットプリンターや、熱転写法などの接触型印刷技
法により、データの記録内容やカスタマーズ・ロゴデザ
インなどの印刷を行うことが提案されている。

【０００３】インクジェット方式に対応するためには、
親水性もしくは親油性のインク受容層をディスク基板表
面に形成する必要がある。然しながら、インク受容層を
剥き出しのままにしておくと、汚れや埃、指紋や手垢な
どの付着や、機械的摩擦などによる印字の滲み、汚れ、
劣化が問題となり、その上、長期間保存するとインク受
容層の変形によりディスクの反りが生じる等の問題があ
った。

【０００４】一方、熱転写印刷方式では、プリンターの
熱転写リボンを被印刷面に密着させて転写、印刷するた
め、ディスク表面は突起や隆起などがなく、完全な平面
である必要があるが、従来公知の貼り合せ型光記録媒体
には光入射面とは反対側の面に突起があり、そのため熱
転写印刷が不可能であった。即ち、DVDRやDVD−RWのよ
うな貼り合わせ型高密度光記録媒体は、例えば厚さ0.6m
mの透明な基板の上に光記録層を含む複合データ記録層
を形成して成る記録用基板に、同じ厚さ0.6mmの保護基
板を貼り合わせて製作するが、それらの記録用基板は、
生産性／量産性の観点から、光入射面側のクランプ域の
外縁に沿って環状の突起から成る所謂スタックリングが
形成されている。このように構成すると、生産ラインで
ディスクを積み上げたりする際、ディスタンスピースを
用いなくとも、ディスクの密着が防止され、作業性が格
段に向上するためである。

【０００５】而して、従来は初期の金型投資額を軽減す
る目的で、記録用基板の金型を保護基板用にも転用した
ため、ディスクの表裏両面にスタックリングが存在する
ことになり、このため接触型の熱転写印刷が実質的に不
可能であり、そのため従来は専ら非密着型のインクジェ
ットプリンターが用いられていた。然しながら、熱転写
方式による印刷は、インクジエツト法に比べ、精細であ
る上、耐水性、耐候性、機械的耐久性に優れており、そ
のため、とりわけ業務用としては重要な方式となってい
る。従って、この種の光記録媒体においても、熱転写、
静電転写、スクリーン印刷、オフセット印刷などの手法
による接触式のプリントが可能となれば好都合である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱転
写、静電転写、スクリーン印刷等の手法による接触式の
印刷が可能な貼り合わせ型片面記録タイブの光記録媒体
を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決する手段】本発明は、グルーブやスタック
リングを有する記録用基板と、それらを有しない保護基
板とを別々の金型で製作するようにしても、金型経費は
却って安価で済み、然も、光入射面と反対側の面が平坦
で、接触式のプリントが可能な熱記録媒体が得られると
いう知見に基づいてなされたものである。

【０００８】更に具体的に言えば、上記の本発明の目的
は、中心孔を有し、データ記録面となる側に、記録トラ
ックに沿って渦巻き状又は同心円状に設けられたグルー
ブと、その上に積層された光記録層を含む複合データ記
録層とを有し、光入射面となる側に中心孔と同軸にスタ
ックリングが設けられた透明な中心孔付円盤状の記録用
基板のデータ記録面に、記録用基板と略同形、同寸でス
タックリングを有しない中心孔付単純円盤状の保護基板
を貼り合わせて成る光記録媒体によって達成される。こ
の光記録媒体においては、記録用基板のスタックリング
を設けた面が、鏡面仕上げされた光入射面となる。

【０００９】記録用基板、保護基板の両基板をそれぞれ
別の金型で製造すれば、一組の金型で、両基板を共通の
金型で製造する場合の2倍の数のディスクが生産できる
のに対し、保護基板製造用の金型の製作費及び保守費は
記録用基板製造用の金型のそれらより大幅に安価となる
から、結局、金型費は両基板を別個の金型で製造する方
が有利となるものである。而して、記録用基板と、保護
基板とを別異の金型で製造すれば、スタックリングのな
い保護基板を採用でき、これを用いた光記録媒体の表面
に接触式の印刷を施すことが可能となる。また、金型の
一部、即ち中心孔近傍にスタックリングを形成する金型
ブロックのみをスタックリング形成部のない金型ブロッ
クに交換して成形加工を行うこともできる。

【００１０】保護基板の記録用基板接着面と反対側の面
は、突起物のない平坦面であるから、ここに例えば熱転
写法によりレーベル印刷を施すことが可能となる。この
記録用基板には、光記録層と反射層と保護層を順次積層
することが推奨される。又、保護基板には、反り補償層
を設けることが望ましい。その場合、反り補償層の材料
は記録用基板の保護層と同じものであることが望まし
い。

【００１１】また、印刷の自由度を最大とするため、保
護基板の記録用基板と向かい合う面と反対側の面には全
く突起を設けないことが望ましい。然しながら、接触印
刷の妨げとならない小さな突起あるいは隆起を設けるこ
と、および有効な印刷に支障のない領域に突起を設ける
ことを妨げるものではなく、本発明はそのような突起あ
るいは隆起を有する光記録媒体をも包摂するものであ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の一実施
例に就いて説明する。図1は、本発明に係る光記録媒体
の構成を示す一部拡大図付中央断面図、図2は図1に示し
た実施例において、熱転写印刷を施した状態を示す一部
拡大図付中央断面図、図3は公知の光記録媒体の構成を
示す一部拡大図付中央断面図である。尚、これらの図中
主たる断面図は中央縦断面を示すが、一部拡大断面図は
記録トラックに沿った断面を示すものである。

【００１３】而して、図中、1は光記録媒体、10は記録
用基板、11は光記録層、12は反射層、13は保護層、14は
光記録層11、反射層12及び保護層13から成る複合データ
記録層、15は接着層、20は保護基板、30は熱転写された
印刷パターンである。記録用基板10は、中心に円孔を有
する透明な円盤であり、その一方の主平面が情報記録面
となっており、記録トラックに沿って渦巻き状又は同心
円状の周知のグルーブが設けられ、又、他の一方の主平
面、即ち、光入射面には、中心孔の回りに設けられるク
ランプ領域を囲繞するようスタックリング10ａが設けら
れている。

【００１４】記録用基板10は、通常は外径80mmないし13
0mm程度、中心孔径15mm、 厚さ0.1ないし0.8mm、望まし
くは0.4ないし0.7mm程度の円盤状の透明な基板である。
この記録用基板10の光入射面は鏡面仕上げされており、
中心孔と同心に、外径30ないし40mm、幅2mm以下、高さ
0.5mm以下の円環状突起、即ちスタックリング10ａが設
けられている。このスタックリング10ａを設ける理由
は、加工、搬送時にスぺーサーなしで、製品及び部品を
傷付けることなく、作業を円滑に遂行することを可能と
するためである。これらの基板は、通常、射出成形法に
より製造される。

【００１５】部分拡大図に示されているように、この記
録用基板10の記録面には、光記録層11、反射層12、保護
層13を順次積層して成る複合データ記録層14が形成さ
れ、その上に接着層15を介して保護基板20が接着され、
これにより記録用基板10のグルーブとランドに沿ってデ
ジタル情報が記録できるようになる。図1及び図2に示す
ように、光記録媒体1の裏面、即ち、保護基板20の表面
は突起や隆起物がなく平坦であるから、適所に印刷可能
なレーベル領域を設定し、図2に示す如く、熱転写によ
り印刷パターン30を印刷することができる。この印刷
は、光記録媒体1の製造工場のみでなく、中間加工業者
や小売店、最終ユーザーなどの手によっ随時行うことが
可能である。

【００１６】これに対し、図3に示した公知の光記録媒
体100においては、記録用基板としては前記と同一の記
録用基板10が用いられるが、保護基板には、記録用基板
10の金型を転用して製造した保護基板200が用いられ
る。この保護基板200は記録用基板10のスタックリング1
0ａと同様なスタックリング200ａを有するから、この公
知の光記録媒体100には、熱転写印刷パターン30を印刷
する余地がない。

【００１７】記録用基板10及び保護基板20の材料として
は、例えばアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リオレフイン系樹脂等が挙げられる。光記録層11の材料
としては、一般にボルフィリン系色素、アザボルフィリ
ン系列色素、シアニン系色素、ポリメチン系色素、アゾ
系色素、ジピロメチン系色素、ナフトキノン系色素など
の有機色素、並びに、Ge、Sb、Teを主成分とする3元系
合金、Ag、In、Sb、Teを主成分とする4元系合金などの
無機相変化系記録材料を挙けることができる。色素を含
有する光記録層にはポリマー、分解促進剤等を添加して
もよい。色素を含有する光記録層11は、例えば、スピン
コート法、真空蒸着法で形成することができる。無機相
変化系材料から成る光記録層11は、一般には真空スパッ
タ法、MB法、イオンビーム法などで形成される。

【００１８】反射層12の材料としては、Au、Ag、Cu、A
l、Pt、Rhなどの金属や、これらの金属を含有する合金
が用いられる。これらの反射層12は通常スバッタ法によ
り形成される。記録感度や反射率を向上させる目的で、
またDVD−RWのような書き換え型光ディスクではその繰
り返し記録特性の改善を自的として、記録用基板10と光
記録層11あるいは光記録層11と反射層12の間に、ZnS、S
iO₂、Si₂N₃などの無機誘電体層やポリマーからなる層を
設けてることがある。

【００１９】本発明においては、記録用基板と、スタッ
クリングのような突起を持たない平坦な保護基板とを接
着剤を用いて貼り合わせる。接着剤としては、加熱硬化
型接着剤、紫外線硬化型接着剤、ホットメルト接着剤、
粘着性接着剤等が挙げられるが、作業性、生産性の観点
からは紫外線硬化型接着剤が推奨される。又、貼り合わ
せディスク構造を前提とする本発明においては、貼り合
わせ用の接着剤に残留する気泡の影響や、接着剤からの
反射層12、光記録層11への腐蝕作用の回避、更には接着
剤の硬化時の収縮歪みの緩衝のため、反射層12の上に更
に保護層13を積層、被覆することが好ましい。保護層13
の材料は、公知の紫外線硬化樹脂、無機材料等から選択
される。

【００２０】保護基板20の材料としては、記録用基板と
同様の汎用樹脂が採用される。保護基板20は、主として
射出成形法で、記録用基板10と同様の内径、外形、厚み
寸法に形成される。光記録層、反射層、保護層などが順
次積層された記録用基板と保護基板とを安定に貼り合わ
せた後、形状及び機械特性を良好に保持するためには、
貼り合わせ前の段階で、保護基板と記録用基板とが、互
いに同程度の機械的強度、反り、面振れなどの変形特
性、歪、複屈析特性を保持していることが望ましい。

【００２１】而して、本発明においては、記録用基板10
と保護基板20とを均一に貼り合わせ、且つ貼り合せた後
完全な平面度を保持するため、保護基板として、完全な
鏡面板とした保護基板を用いることもある。又、記録用
基板10と保護基板20を貼り合せた際、ストレスを平衡さ
せ、平面度を保持するため、保護基板20にも記録用基板
10の保護層13に用いたのと同一の紫外線硬化樹脂によ
り、変形を強制補正する反り補償層を設けることも推奨
される。

【００２２】貼り合わせた後、保護基板表面には、紫外
線硬化性インクでスクリーン印刷等の手法によりレーベ
ル印刷を施しても良く、また全面もしくは部分的にイン
クジェット受容層を設けインクジェットプリンターに対
応できるようにすることもでき、更には、例えばリマー
ジュ社等の接触型熱転写プリンターなどによる印刷仕様
とすることもある。特に熱転写印刷仕様とするときは、
予め白、赤、黒、青、銀白色などのインキでレーベル面
に下地塗装を施しておくことが推奨される。本発明に係
る光記録媒体では、その光入射面に帯電や損傷防止のた
めの保護層を設けることもある。

【００２３】以下、本発明を具体的に実施した試作例を
示す。 1） ポリカーボネート樹脂を用いて通常の射出成形によ
り下記寸法の記録用基板を製造した。 円盤部 外径 120mm 中心孔径 16mm 厚さ 0.6mm スタックリング 内径 35mm 幅 1mm 高さ 0.4mm 2） この記録用基板のグルーブを形成した記録面に、ピ
ロメテン色素から成る光記録層をスピンコート法により
形成した。 3） この光記録層の上にスパッタ法により80nmのAg膜か
らなる反射層を形成した。 4） さらに反射層の上に紫外線硬化樹脂を塗布し紫外線
を照射し厚さ約7μmの保護層を形成した。 5） 一方、上記した記録用基板と、その材料、外径、中
心孔径及び厚さは同じであるが、グルーブ及びスタック
リングを有しない基板を成形し、前記と同様に片面に紫
外線硬化樹脂を塗布し紫外線を照射し上記と同一の厚さ
７μmの反り補正層を形成し、保護基板を製造した。 6） 次に、記録用基板の記録面と保護基板の紫外線硬化
樹脂層側に、ラジカル重合性の紫外線硬化型接着剤を塗
布し、スピン方式で均一に延伸して貼り合せ、紫外線照
射により固く接着した。 7） 次いで、レーベル面上で、直径35mmの円形領域から
外方の全面に白色インク層をスクリーン印刷で形成し
た。 8） その後、リマージュ社製熱転写プリンターでレーベ
ル面に印字およびデザイン印刷を行った。 印刷は非常に美麗であり、長期の耐久性も確認できた。

【００２４】

【発明の効果】本発明は叙上の如く構成されるから、熱
転写、静電転写、スクリーン印刷等の接触式印刷が可能
な光記録媒体を安価に提供できるものであり、本発明を
実施すれば工業上多大の利益がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る光記録媒体の構成を示す一部拡
大図付中央断面図である。

【図２】 図1に示した実施例において、熱転写印刷を
施した状態を示す一部拡大図付中央断面図である。

【図３】 公知の光記録媒体の構成を示す一部拡大図付
中央断面図である。

【符号の説明】

1 光記録媒体 10 記録用基板 10ａ スタックリング 11 光記録層 12 反射層 13 保護層 14 光記録層、反射層及び保護層から成る複合データ
記録層 15 接着層 20 保護基板 30 熱転写された印刷パターン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 正士 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番32 三 井化学株式会社内 Ｆターム(参考） 5D029 PA01 RA08 RA45 RA48

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項1】中心孔を有し、データ記録面となる側に、
   記録トラックに沿って渦巻き状又は同心円状に設けられ
   たグルーブと、そのグルーブ及びランドの上に積層され
   た光記録層(11)を有し、光入射面となる側に中心孔と同
   軸にスタックリング(10a)が設けられた透明な中心孔付
   円盤状の記録用基板(10)のデータ記録面に中心孔付円盤
   状の保護基板(20)が貼り合わされており、保護基板(20)
   の記録用基板(10)と向かい合う面と反対側の面にスタッ
   クリングと同形の突起を有しない光記録媒体(1)。
2. 【請求項2】保護基板(20)の記録用基板(10)接着面と反
   対側の面にレーベル面が形成され、そのレーベル面に熱
   転写印刷が施された請求項1に記載の光記録媒体(1)。
3. 【請求項3】保護基板(20)がグルーブを有しない請求項1
   または2に記載の光記録媒体(1)。
4. 【請求項4】保護基板(20)が、反り補償層を具備する請
   求項1ないし3のいずれか一に記載の光記録媒体(1)。
5. 【請求項5】光記録層が色素を含有する請求項1ないし4
   の何れか１に記載の光記録媒体(1)。