JP2001296763A - 電子写真用定着部品、および定着装置 - Google Patents

電子写真用定着部品、および定着装置

Info

Publication number
JP2001296763A
JP2001296763A JP2000111994A JP2000111994A JP2001296763A JP 2001296763 A JP2001296763 A JP 2001296763A JP 2000111994 A JP2000111994 A JP 2000111994A JP 2000111994 A JP2000111994 A JP 2000111994A JP 2001296763 A JP2001296763 A JP 2001296763A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roll
pressure
heating
belt
fixing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000111994A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshio Shoji
佳男 庄子
Daisuke Okuda
大輔 奥田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2000111994A priority Critical patent/JP2001296763A/ja
Publication of JP2001296763A publication Critical patent/JP2001296763A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
  • Control Of Resistance Heating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーティング可能で耐熱性があり、用紙剥離
性を改善すべく優れた弾性を有するフッ素樹脂を用い、
当該樹脂による離型層を形成した電子写真用定着部品お
よび定着装置を提供すること。 【解決手段】 基体の外表面に、下記一般式(1)で表
される構造単位を有するフッ素樹脂、または、下記一般
式(2)で表される構造単位を有するフッ素樹脂からな
り、かつ、該フッ素樹脂が架橋構造を有する離型層が形
成されてなることを特徴とする電子写真用定着部品およ
び定着装置である。 ・一般式(1) −Am−(CF2−CF2n− ・一般式(2) 【化1】 上記一般式(1)および(2)中、Aは、C610Oで
表される環状の構成単位であり、mおよびnは、一般式
(1)で表される構造単位の組成比を表し、p、qおよ
びrは、一般式(2)で表される構造単位の組成比を表
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナー等に対する
非粘着性や、撥水性、撥油性に優れた電子写真用の定着
部品に関する。また本発明は、未定着トナー像を形成し
た記録シート等の画像支持体に、熱と圧力とを同時に作
用させてトナー像を定着させる、加熱加圧型の定着装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真プロセスを利用した複写
機等においては、記録シート上に形成された未定着トナ
ー像を定着して永久画像にする必要があり、その定着法
として溶剤定着法、圧力定着法、および加熱定着法が知
られている。しかし、溶剤定着法は、溶剤蒸気が発散
し、臭気や衛生上の問題が多いという欠点を有してお
り、また、圧力定着法については他の定着法と較べて定
着性が悪いという欠点を有しており、共に広く実用化さ
れてはいないのが現状である。このため、未定着トナー
像の定着には、一般に加熱によってトナーを溶融させ、
記録シート上に融着させる加熱定着法が広く採用されて
来た。
【0003】この加熱定着法による定着装置の一般的な
構成例(後述のソフトロールの例)を図3に示す(概略
断面図)。図3に示す定着装置は、円筒状芯金(コアロ
ール)10aの外周面に弾性体層10bが形成され、さ
らにその上層に耐熱性離型層10cが形成された加熱ロ
ール10と、該加熱ロール10に対し圧接配置され、円
筒状芯金11aの外周面に弾性体層11bが形成され、
さらにその上層に耐熱性離型層11cが形成された加圧
ロール11とで構成され、両ロール10および11の内
部には、それぞれヒータランプ12および13が内蔵さ
れている。加熱ロール10には、離型剤塗布装置16に
より、所定の離型剤が塗布されている。加熱ロール10
と加圧ロール11との間には、1〜15Kg/cm2
度、好ましくは3〜10Kg/cm2程度の圧力が加え
られたニップ部が形成される。未定着トナー像14の形
成された記録シート15は、前記ニップ部に挿通されて
定着される。
【0004】このような加熱ロールを用いて定着を行う
方式(ロール定着方式)は、他の加熱定着法である熱風
定着方式やオーブン定着方式と較べて熱効率が高く、低
電力化が図られ、かつ高速性に優れ、しかも、紙詰まり
による火災の危険性等の問題もないことなどから、現在
最も広く利用されている。
【0005】ロール定着方式は、使用する加熱ロールの
材料により、主に大きく2つに分けられる。アルミニウ
ムや鉄のコアロールの上にプライマーと呼ばれる接着剤
をコートした後、デュポン社の商品名でテフロンと称さ
れるPTFEやPFAなどのフッ素樹脂を薄く形成した
フッ素樹脂ロールと、やはりプライマーを介してシリコ
ーンゴムやフッ素ゴム等を薄く形成したシリコーンゴム
ロールやフッ素ゴムロールに分けられる。前者は、比較
的固いのでハードロール、後者は、柔らかく弾性を有す
るのでソフトロールと呼ばれる。ハードロールは、主に
白黒用複写機、プリンターに、一方ソフトロールは、主
にカラー用複写機やカラープリンター、高画質用白黒機
等に使用されている。特にカラー用の場合には、高画質
と高離型性が求められ、弾性を有するためトナー画像を
均一に定着させるのに優れているソフトロールが採用さ
れている。
【0006】近年、コスト低減や信頼性の改善の観点か
ら、従来より行われていた加熱ロール表面への離型剤の
供給はほとんど行われなくなり、この結果、加熱ロール
の耐磨耗性が問題となってきている。特に、ソフトロー
ルの場合には、耐磨耗性に対する離型剤の効果は顕著
で、離型剤をほとんど供給しない場合には、シリコーン
ゴムやフッ素ゴムの加熱ロール表面は、数百枚の定着程
度で傷や磨耗が発生し、使用不能となることがあった。
このため、弾性体層のさらに上層に樹脂層、特に耐磨耗
性のあるフッ素樹脂層を形成させることが考えられてき
た。
【0007】特公昭43−1555号では、加熱ロール
および加圧ロールの構成として、コアロールの周りに弾
性体としてシリコーンゴム、更にその上層にフッ素樹脂
としてPTFEを被覆したものが提案されている。特公
昭58−43740号では、加熱ロールの構成として、
コアロールの周りに弾性層としてシリコーンゴムを形成
し、更にその上層に、エーテル基を特定したPFA樹脂
層を形成したものが提案されている。
【0008】特開昭63−36382号等では、加熱ロ
ールの製法として、PFAチューブを引っ張った状態で
コアロールに保持し、その隙間に液状シリコーンゴムを
注入し、さらにPFAチューブを加硫焼成してフッ素樹
脂層を形成することが提案されている。
【0009】特開昭55−31494号では、加熱ロー
ルの製法として、コアロールの回りにPFA粒子層を静
電塗装法により形成し、その後、溶融焼成してフッ素樹
脂層を形成するもので、コアロールにフロロプライマー
を付着させ、さらにPFA粉末を静電塗装法で付着さ
せ、次いで300〜425℃で加熱溶融して12〜12
0μmの樹脂膜を得ることが提案されている。
【0010】しかしながら、これらのフッ素樹脂層を形
成した定着ロールには、定着ロール表面からの用紙剥離
性が低下するという共通した問題点があった。すなわ
ち、ロール表面からの用紙剥離性が低下するという問題
点である。これは、表面のフッ素樹脂層の弾性が低いの
で、トナーを離型するための実効的なロール表面の歪み
を確保することができないためである。
【0011】本発明者らは、フッ素樹脂層の弾性を向上
させるための対応策として、特開平11−15315号
公報に記載のフッ素樹脂層の形成方法を提案している。
これは、比較的柔らかく、また、比較的溶剤に溶解しに
くいフッ素樹脂(パーフロロブテニルビニルエーテル)
をコーティング法にて塗布し、フッ素樹脂層を形成する
ものであり、具体的には、主鎖に下記環状構造
【0012】
【化4】
【0013】または
【0014】
【化5】
【0015】を有するパーフロロポリマー(以下、「特
定のパーフロロポリマー」という場合がある。)をパー
フロロ化合物の溶媒に溶解した溶液を用いて、定着ロー
ル上に離型層(フッ素樹脂層)を形成する方法である。
【0016】上記特定のパーフロロポリマーは、サイク
ルポリマーと呼ばれる、環状で融点を持たない非晶質の
ポリマーで、従来の含フッ素ポリマーが、一般的に溶媒
に不溶であったのに対し、上記特定のパーフロロポリマ
ーは、パーフロロ化合物の溶媒に溶解し、該溶液を用い
ればコーティングすることができるので、従来得られな
かったフッ素樹脂の薄膜を低温で形成できる。また適当
に柔らかい為、用紙剥離性も向上する。
【0017】しかしながら、このフッ素樹脂は耐熱性が
完全に十分であるとは言えず、かかる樹脂を使用した離
型層を有する加熱ロールを高温領域、たとえば150〜
200℃程度の温度領域で使用した場合、加熱ロールと
加圧ロールとの間に用紙が挟まれた状態(ニップ形成)
で用紙の搬送不良が生じストップした時等過酷な条件の
下では、ニップ跡がそのまま離型層表面に残ってしまう
ことがあった。これは、加熱ロール表面のフッ素樹脂が
ニップ形成時に高温度によりフローして用紙の繊維中に
まで進入し、用紙をニップから取り除いた後にも当該繊
維模様がニップ形状として残ってしまうためと考えられ
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、フッ素樹脂を最外層とする電子写真用定着部品(定
着ロール)の問題点であった用紙剥離性を改善すべく、
優れた弾性を有するフッ素樹脂層(離型層)を形成した
電子写真用定着部品、および定着装置を提供することに
ある。また他の目的は、適当な溶剤に溶け、コーティン
グ可能でかつ耐熱性のあるフッ素樹脂を用いた離型層を
形成した電子写真用定着部品、および定着装置を提供す
ることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の各
問題点に鑑み、種々検討した結果、少なくとも基体の外
表面に、溶剤可溶性の下記一般式(1)で表される構造
単位を有するフッ素樹脂、または、下記一般式(2)で
表される構造単位を有するフッ素樹脂で構成され、か
つ、フッ素樹脂が架橋構造を有する離型層を形成する事
により達成されることを見出した。
【0020】即ち本発明は、基体の外表面に、下記一般
式(1)で表される構造単位を有するフッ素樹脂、また
は、下記一般式(2)で表される構造単位を有するフッ
素樹脂からなり、かつ、該フッ素樹脂が架橋構造を有す
る離型層が形成されてなることを特徴とする電子写真用
定着部品である。
【0021】・一般式(1) −Am−(CF2−CF2n
【0022】・一般式(2)
【化6】
【0023】上記一般式(1)および(2)中、Aは、
610Oで表される環状の構成単位であり、mおよび
nは、一般式(1)で表される構造単位の組成比を表
し、p、qおよびrは、一般式(2)で表される構造単
位の組成比を表す。
【0024】本発明に用いる上記フッ素樹脂について、
架橋処理を施す事により、耐熱フロー特性が大幅に改善
され、また、弾性特性がゴムのそれに近づくため、用紙
の搬送不良が生じた場合にもニップ跡が離型層表面に残
ってしまうといった不具合を解消することができる。
【0025】本発明では、使用できるフッ素樹脂として
は、上記一般式(1)で表される構造単位を有するフッ
素樹脂、および、3元系の上記一般式(2)で表される
構造単位を有するフッ素樹脂の2種類である。特に、一
般式(1)および(2)におけるAで表される構成単位
が、下記一般式(3)または一般式(4)で表される環
状の構成単位であることが望ましい。
【0026】・一般式(3)
【化7】
【0027】・一般式(4)
【化8】
【0028】本発明においては、前記離型層が、Si
C、SiO2、BN、Al23、TiN、CF、カーボ
ン粒子、PFA粒子、PTFE粒子からなる群より選ば
れる少なくとも1種以上の充填剤を含有してなることが
好ましい。
【0029】本発明において基体としては、金属あるい
はガラスからなる円筒状ロールが挙げられ、その場合に
は、円筒状ロールと離型層との間に、耐熱性のある弾性
体層が形成されていることが好ましく、当該弾性体層
が、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素樹
脂、フッ素ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種
の弾性体からなることが好ましい。
【0030】また、本発明において基体としては、金属
あるいは耐熱性樹脂からなるベルトが挙げられ、その場
合には、ベルトと離型層との間に、耐熱性のある弾性体
層が形成されていることが好ましく、当該弾性体層が、
シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素樹脂、
フッ素ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の弾
性体からなることが好ましい。
【0031】なお、本発明において、「定着部品」と
は、主として電子写真装置の定着装置として用いられ
る、ロール、ベルト、ブレード等を指し、その他離型性
能や撥水、撥油および耐久性が問題となる電子写真複写
機を含む一般の事務機あるいはその他の分野における未
定着画像定着用の部品の全てを含む概念である。
【0032】上記本発明の電子写真用定着部品は、例え
ば以下の定着装置において、加熱ロール、加圧ロール、
加熱ベルト、あるいは、加圧ベルトとして使用すること
ができる。
【0033】 少なくとも表面が耐熱性および離型性
を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ
部を形成する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定
着トナー像を有する記録シートを通過させ、熱および圧
力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する
加熱ロール型の定着装置。
【0034】 少なくとも表面が耐熱性および離型性
を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ
部を形成する加圧ベルトと、前記加圧ベルトを介して加
熱ロールに対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニ
ップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通さ
せ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナ
ー像を定着する加熱加圧型の定着装置。
【0035】 少なくとも表面が耐熱性および離型性
を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接
する加圧部材と、前記加熱ベルトを介して前記加圧部材
に対向し加圧する加圧ロールとを有し、加熱ベルトと加
圧ロールとの間にニップ部が形成され、該ニップ部に未
定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および
圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着す
る加熱加圧型の定着装置。
【0036】 少なくとも表面が耐熱性および離型性
を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接
する加圧部材と、前記加熱ベルトと圧接しニップ部を形
成する加圧ベルトと、前記加熱ベルトおよび加圧ベルト
のニップ部を介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧
ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有す
る記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前
記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着
装置。
【0037】
〔本発明に用いられるフッ素樹脂〕
a)フッ素樹脂の構造単位 まず、本発明に用いられる、下記一般式(1)で表され
る構造単位を有するフッ素樹脂(以下、単に「フッ素樹
脂(1)」という場合がある。)、および、下記一般式
(2)で表される構造単位を有するフッ素樹脂(以下、
単に「フッ素樹脂(2)」という場合がある。)につい
て説明する。
【0038】・一般式(1) −Am−(CF2−CF2n
【0039】・一般式(2)
【化9】
【0040】上記一般式(1)および(2)中、Aは、
610Oで表される環状の構成単位であり、mおよび
nは、一般式(1)で表される構造単位の組成比を表
し、p、qおよびrは、一般式(2)で表される構造単
位の組成比を表す。
【0041】本発明に用いられるフッ素樹脂(1)およ
びフッ素樹脂(2)の構造単位中には、C610Oで表
される環状の構成単位を含む。C610Oで表される環
状の構成単位としては、具体的には、以下の2種の構造
が挙げられる。
【0042】一般式(3)
【化10】
【0043】一般式(4)
【化11】
【0044】本発明に用いられるフッ素樹脂(1)およ
びフッ素樹脂(2)におけるAで表される構成単位は、
上記一般式(3)および/または一般式(4)で表され
る構成単位からなるものであり、一般式(3)で表され
る構成単位と、一般式(4)で表される構成単位とが同
一樹脂中で混在していても、単一の構成単位のみから構
成されていても構わない。一般式(3)で表される構成
単位と一般式(4)で表される構成単位とが同一樹脂中
で混在している場合、その配列、割合等は特に限定され
ることなく、全体として上記一般式(1)または上記一
般式(2)で表される構造単位で、フッ素樹脂が構成さ
れていればよい。
【0045】一般に脂肪族系のフッ素樹脂は溶剤に不溶
である為、コーティングによる均一な薄膜形成は困難で
あったが、特開昭63−238111号公報、特開昭6
3−260932号公報、あるいは、USP4,75
4,009号明細書等に見られるような、特殊なフッ素
系溶剤に溶解する主鎖に脂肪族環構造を有するフッ素樹
脂が開発されている。このうち、上記一般式(1)ある
いは一般式(2)で表される構造単位からなるフッ素樹
脂は、PTFEと比較して、結晶性が低く、溶融成形が
可能になる。また、環状部分の組成を高くすると、特定
のパーフロロ系溶媒に可溶であるので、薄膜のコーティ
ングが可能であり、さらに、溶媒種を適宜選択すること
により低温で乾燥焼成が可能で、下地に弾性層としてシ
リコーンゴム等を使用する場合にも、下地を熱で劣化さ
せることがない。
【0046】上記一般式(1)で表される構造単位の組
成比としては、式中のmおよびnの比(m:n)とし
て、60〜95mol%:40〜5mol%であり、7
0〜90mol%:30〜10mol%であることが望
ましく、80〜90mol%:20〜10であることが
より望ましい。
【0047】一方、上記一般式(2)で表される構造単
位の組成比としては、式中のp、qおよびrの比(p:
q:r)として、50〜80mol%:25〜10mo
l%:25〜10mol%であり、60〜70mol
%:20〜15mol%:20〜15mol%であるこ
とが望ましく、64〜70mol%:18〜15mol
%:18〜15mol%であることがより望ましい。
【0048】従来のフッ素樹脂の問題点であった弾性の
向上は、架橋させたフッ素樹脂(1)およびフッ素樹脂
(2)を用いる事により達成でき、結果として用紙剥離
性を向上できる。更に、当該樹脂を架橋させる事によ
り、高い耐熱性をも獲得することができる。なお、フッ
素樹脂(1)およびフッ素樹脂(2)の架橋について
は、後述する。
【0049】フッ素樹脂(1)およびフッ素樹脂(2)
の製造方法としては、特開平1−131214号公報
や、特公平8−22929号公報に記載されている方法
が適用可能である。
【0050】〔フッ素樹脂の架橋(離型層の形成)〕前
記フッ素樹脂(1)および(2)の架橋方法としては、
特開平9−143420号公報に詳しく説明されている
ような架橋剤含有による架橋(以下、「架橋剤架橋」と
いう場合がある。)が効果的である。以下、架橋剤架橋
について詳細に説明する。
【0051】架橋剤架橋には、次の3つの材料が必要で
ある。 i) フッ素樹脂(1)またはフッ素樹脂(2)であっ
て、官能基を分子内に有し、かつ溶剤に可溶なフッ素樹
脂(a)。 ii) 式R1 m2 nSi(OR34-m-n(式中R1および
2は同一または相異なる非加水分解性基、R3はアルキ
ル基、mおよびnは0≦m+n≦3を満たす0〜3の整
数)で表されるアルコキシシラン類の部分加水分解縮合
物(b)・・・架橋剤。 iii) カップリング剤(c)・・・架橋助剤
【0052】上記架橋剤架橋におけるフッ素樹脂(a)
分子中の官能基は、部分加水分解縮合物(b)またはカ
ップリング剤(c)と架橋反応しうる基である。フッ素
樹脂(a)分子中の官能基としては、カルボン酸エステ
ル基、カルボン酸アミド基などのカルボン酸誘導体基、
スルホン酸エステル基、スルホン酸アミド基などのスル
ホン酸誘導体基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸
基、ニトリル基、マレイミド基、アミノ基、アルコキシ
シリル基およびシラノール基などが例示される。フッ素
樹脂(a)中の官能基の割合は、部分加水分解縮合物
(b)との相溶性の観点より、フッ素樹脂(a)1グラ
ムあたり1マイクロモル以上であることが好ましい。よ
り好ましいフッ素樹脂(a)中の官能基の割合は、樹脂
(a)1グラムあたり1〜10,000マイクロモルで
あり、さらに好ましくは1〜3,000マイクロモルで
ある。これらの官能基が、溶液中で部分加水分解縮合物
(b)またはカップリング剤(c)と相互作用または反
応することにより、均一な溶液が得られ、その結果とし
て均一な塗膜が得られると考えられる。部分加水分解縮
合物(b)との相溶性の観点より、フッ素樹脂(a)分
子中の官能基としては、水酸基またはカルボキシル基が
好ましい。
【0053】フッ素樹脂(a)の重量平均分子量は、特
に限定されないが、3,000〜1,000,000が
好ましく、より好ましくは5,000〜500,000
である。フッ素樹脂(a)中のフッ素含有量は40〜7
5重量%が好ましく、より好ましくは50〜70重量%
である。フッ素樹脂(a)は、官能基を分子内に有し、
かつ主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂
で、2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素モノマ
ーを環化重合して得られるフッ素樹脂に官能基を導入し
たものである。2つ以上の重合性二重結合を有する含フ
ッ素モノマーとしては、下記の式(e)、式(f)、式
(g)または式(h)で表されるものが例示される。た
だし、式(e)〜式(h)中のT1〜T12、Y1〜Y10
1〜Z8およびW1〜W8は、それぞれ独立にFまたはC
3である。
【0054】(e) CT12=CT3CT45CT6
7CT89CT10=CT1112 (f) CY12=CY3OCY45CY67CY8=C
910 (g) CZ12=CZ3OCZ45CZ6=CZ78 (h) CW12=CW3OCW45CW6=CW78
【0055】フッ素樹脂(a)は、繰り返し単位中に含
フッ素脂肪族環構造を50〜100モル%(特には、6
0〜90モル%)含有するものが機械的特性などの面か
ら好ましい。官能基の導入方法としては、分子内にカル
ボキシル基などの官能基、またはこれらの前駆体基、例
えばアシル基を有する開始剤または連鎖移動剤の存在下
で重合を行うことにより、フッ素樹脂の末端基にカルボ
キシル基を導入する方法が一般的である。
【0056】上記架橋剤架橋には、式R1 m2 nSi(O
34-m-n(式中R1およびR2は同一または相異なる非
加水分解性基、R3はアルキル基、mおよびnは0≦m
+n≦3を満たす0〜3の整数)で表されるアルコキシ
シラン類の部分加水分解縮合物(b)を必須成分とす
る。式中の非加水分解性基としては、入手の容易性から
炭素数1〜14のものが好ましい。R1とR2とが同一で
ある場合には、R1およびR2には官能基を有しないもの
が好ましく、R1とR2とが異なる場合には、R1がエポ
キシ基、アミノ基等の官能基を有するもの、または、含
フッ素アルキル基であり、R2がR1以外の基である事が
好ましい。非加水分解性基としては、γ−グリシドキシ
プロピル基、γ−アミノプロピル基、アミノフェニル
基、N−フェニル−γ−アミノプロピル基などの反応性
基を有する有機基、メチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基などのアルキル基、ビニル基などのアルケニル
基、フェニル基、トリル基などのアリール基、トリフル
オロメチル基、トリフルオロプロピル基、ペンタフルオ
ロブチル基、ノナフルオロヘキシル基、トリデカフルオ
ロオクチル基、ヘプタデカフルオロデシル基、ヘプタデ
カフルオロウンデシル基などの含フッ素アルキル基など
が好ましい。R3は部分加水分解のし易さから、炭素数
1〜8のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数
1〜4のアルキル基である。
【0057】本発明における部分加水分解縮合物(b)
は、式中m=n=0、m+n=1、m+n=2およびm
+n=3であるものから選ばれる1種のみからなる部分
加水分解縮合物でもよく、これらから選ばれる2種以上
からなる部分加水分解縮合物でもよい。ただし、当然な
がらm+n=3であるアルコキシシラン類は、分子内に
加水分解基を1つしか有しておらず、単独では部分加水
分解縮合物を形成しえない。したがってm+n=3であ
るアルコキシシラン類は、溶液中でのアルコキシシラン
類の部分加水分解縮合物の過剰な反応を制御するなどの
目的で、m=n=0、m+n=1またはm+n=2のア
ルコキシシラン類と併用される。m+n=3であるアル
コキシシラン類は、全アルコキシシラン類に対して10
モル%以下であることが望ましい。m+n=2のアルコ
キシシラン類単独の部分加水分解縮合物は、直鎖状の縮
合物を形成し、三次元構造を取りえないため、樹脂の高
温での機械特性を改良する効果があまりない。従ってm
+n=2のアルコキシシラン類は、m=n=0、m+n
=1のアルコキシシラン類と併用されるのが好ましい。
m+n=2であるアルコキシシラン類は、全アルコキシ
シラン類に対して30モル%以下であることが望まし
い。このようなアルコキシシラン類の好ましい例を以下
に示す。
【0058】これらのアルコキシシラン類は、単独で使
用してもよく、2種以上を併用してもよい。テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシ
シランなどのテトラアルコキシシラン類、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルト
リメトキシシランなどのモノアルキルトリアルコキシシ
ラン類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシランなどのモノアルケニルトリアルコキシシラン
類、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフル
オロプロピルトリメトキシシラン、ペンタフルオロブチ
ルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメト
キシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシ
ラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、
ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘ
プタデカフルオロウンデシルトリメトキシシラン、(4
−ペルフルオロブチルフェニル)トリメトキシシラン、
(4−ペルフルオロヘキシルフェニル)トリメトキシシ
ラン、(4−ペルフルオロオクチルフェニル)トリメト
キシシランなどの含フッ素アルコキシシラン類、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン
類、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシランなどの脂肪族アミノ
シラン類、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノ
フェニルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシランなどの含芳香環アミノシ
ラン類。
【0059】これらのアルコキシシラン類中で、含フッ
素アルコキシシラン類は、フッ素樹脂との相溶性が高
く、また、テトラアルコキシシラン類は、加水分解縮合
反応が完全に行われれば無機化することから、高温での
機械強度の改善に特に適する。
【0060】アルコキシシラン類の縮合反応は、周知、
公知の方法により行いうる。例えば、アルコキシシラン
類を溶剤および触媒の存在下に水を添加して加水分解縮
合反応させる方法がある。この場合、必要に応じて加熱
を行ってもよい。触媒としては塩酸、硝酸、硫酸などの
無機酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸などの有機酸が使用でき
る。通常、生成物の分子量をゲルパーミエーションクロ
マトグラフィ(GPC)により求めた標準ポリスチレン
換算重量平均分子量で500〜10,000の範囲に設
定するのが、フッ素樹脂(a)との相溶性、後述する溶
剤への溶解性の観点から好ましい。
【0061】本発明において、フッ素樹脂(a)および
部分加水分解縮合物(b)の混合溶液を調製するにあた
り、溶剤としてこれらを同時に溶解するものを選択する
ことが必要である。ここで特徴的なことは、主鎖に含フ
ッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂は非プロトン性フ
ッ素溶剤には溶解するが、プロトン性含フッ素溶剤には
溶解せず、逆に部分加水分解縮合物(b)は、プロトン
性含フッ素溶剤には溶解するが、非プロトン性含フッ素
溶剤には溶解しない場合があり、従ってこれらの混合溶
剤にすることにより両者を同時に溶解することができる
という点である。以下、かかる混合溶剤を「特定の溶
剤」と称する。
【0062】非プロトン性含フッ素溶剤には、ペルフル
オロヘキサン、ペルフルオロオクタン、1H,1H,1
H,2H,2H−ペルフルオロオクタン[F(CF26
25]、1H,1H,1H,2H,2H−ペルフルオ
ロデカン[F(CF2825]などの含フッ素脂肪族
炭化水素類が、プロトン性含フッ素溶剤には、CF3
2OH、CF3CF2CH2OH、CF3(CF23CH2
CH2OH、CF3(CF25CH2CH2OH、CF3
2CH2CH2CH2OH、CF3(CF23CH 2CH2
CH2OHなどの含フッ素アルコールが好適に例示され
る。これらを2種以上併用してもよい。
【0063】フッ素樹脂(a)および部分加水分解縮合
物(b)の混合溶液の調製方法としては、結果として均
一な溶液が調製できれば特に限定されない。フッ素樹脂
(a)および部分加水分解縮合物(b)の組成比は、通
常、フッ素樹脂(a)100重量部に対して部分加水分
解縮合物(b)を3〜400重量部とすることが好まし
く、より好ましくは10〜150重量部である。部分加
水分解縮合物(b)の割合が少なすぎると、機械物性が
充分に改善できず、多すぎるとフッ素樹脂が本来有する
離型性等の特性を損なう恐れがある。
【0064】上記混合溶液中でのフッ素樹脂(a)と部
分加水分解縮合物(b)とを合計した固形分濃度は、こ
れらが溶解する範囲で、所望の溶液粘度となるように、
あるいは、離型層としてのコーティング膜の膜厚などの
観点から適宜選択すればよい。例えば膜厚0.1〜5μ
mのコーティング膜をスピンコート法にて得ようとする
場合、一般には固形分濃度を1〜15重量%に設定すれ
ばよい。
【0065】フッ素樹脂(a)と部分加水分解縮合物
(b)との間の架橋は、フッ素樹脂(a)の官能基部分
と部分加水分解縮合物(b)とをカップリング剤(c)
を介して架橋反応させる。ここでカップリング剤(c)
とは、加水分解性基[部分加水分解縮合物(b)と反応
可能な部位]と非加水分解性基とを有するケイ素系化合
物、チタン系化合物、アルミニウム系化合物等の化合物
であって、かつフッ素樹脂(a)の官能基と反応可能な
部位を持つ化合物を意味する。非加水分解性基は末端の
炭素原子でケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子
などに結合している。加水分解性基としては、アルコキ
シ基、アルコキシアルコキシ基、アシルオキシ基、アリ
ールオキシ基、アミノキシ基、アミド基、ケトオキシム
基、イソシアネート基、ハロゲン原子などが例示され、
好ましくはアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基など
の1価アルコールの水酸基の水素原子を除いた基であ
る。特にアルコキシ基が好ましく、その炭素数は8個以
下、特に1〜4個、が好ましい。カップリング剤(c)
としてはシラン系カップリング剤、チタネート系カップ
リング剤、アルミニウム系カップリング剤などが好まし
い。
【0066】カップリング剤(c)の混合溶液への添加
量としては、0.1重量%〜100重量%とすることが
好ましく、より好ましくは1重量%〜50重量%であ
る。
【0067】離型層を形成する方法としては、コーティ
ング対象である物品に上記混合溶液(コーティング液)
を塗布した後に、加熱乾燥して溶剤を揮発させる方法が
好ましい。塗布方法としては、スピンコート法、ディッ
ピング法、ポッティング法、刷け塗り法、スプレーコー
ト法などが例示され、コーティング対象である物品の形
状、必要膜厚などから適宜選択すればよい。そして、離
型層を形成するためには、塗布後の塗膜中の溶剤を揮発
させ、かつアルコキシシラン類の部分加水分解縮合物を
硬化させるべく、加熱乾燥するベーク工程を要する。
【0068】ベークの温度条件としては、塗膜厚などに
より適宜選択すればよいが、充分な硬化反応のためには
最終ベークとして、通常200〜450℃のベークを行
うことが好ましい。塗膜の表面平滑性を確保する、また
は塗膜の微細スペース埋込性を向上させるなどの目的
で、50〜250℃程度のプリベーク工程を追加した
り、ベーク工程を何段階かに分けて実施することもでき
る。
【0069】ベークの時間条件としては、温度条件同様
塗膜厚などにより適宜選択すればよく、また温度条件、
ベーク工程の段数等によっても異なってくる。一般的に
は、100〜120℃で30分間溶剤分を揮発させ、さ
らに250℃で1時間架橋処理を行う。以上のようにし
て、架橋構造を有するフッ素樹脂からなる離型層を形成
することができる。
【0070】離型層形成用の上記コーティング液は液体
であるため、サブミクロンから数10μmまでの薄膜コ
ーティング、とりわけ薄い離型層を得るのに適してい
る。従来のフッ素樹脂チューブ形成法は、30μm程度
の厚みとすることが薄さの限度であり、定着後の画質に
優れた10μm程度の薄膜の離型層を得ようとすれば、
製造上の取扱いが困難になり、極端に製造能力が落ちる
のに対し、上記離型層形成用の上記混合溶液を用いて離
型層を得れば、そのような製造能力上の問題は発生しな
い。また、離型層の薄膜の強度についても、従来のフッ
素樹脂(PTFE、PFA等)よりも引っ張り破壊強度
や降伏強度が高くて丈夫であり、信頼性の高い表面が得
られる。
【0071】架橋の進み具合すなわち架橋度は、溶剤に
対する耐性、不溶性で評価することができる。架橋する
前には充分可溶であったものが、架橋後は架橋の程度に
従って不溶化していく。例えば、対象物を50℃の温度
の溶剤中に10分ほど浸漬し、取り出した後、溶剤を揮
発させた後の重量差(以下、当該値を「架橋度」と称す
る場合がある。)で比較することができる。特定の溶剤
に対する耐溶剤性としては、元の重量に対して80%
(架橋度80%)程度では、とても200℃までの耐熱
性が無く架橋構造を有しているとは言えず、元の重量に
対して95%(架橋度95%)以上の不溶性を示す事
が、架橋構造を有していることの一つの目安となる。
【0072】図1および図2は、架橋度の異なる材料
(測定試料)を用いた粘弾性の測定結果を示すグラフで
ある。図1は、測定試料が2元系重合体のフッ素樹脂で
ある場合、図2は、測定試料が3元系重合体のフッ素樹
脂である場合の、それぞれ測定結果である。いずれのグ
ラフにおいても、架橋度が95%以上の場合には、当初
ある程度の粘弾性E’(GPa)の低下が見られるが、
途中から200℃までほぼ安定して平坦な推移を示して
いる。これに対して、架橋度が95%未満の場合、昇温
するにつれ、伸びてしまったり、粘弾性がどんどん低下
してしまい、耐熱性があるとは言えない。
【0073】なお、上記粘弾性の測定条件は、以下の通
りである。 ・測定器:オリエンティック社製粘弾性測定器「レオバ
イブロン」 ※この測定器は、試料の伸びが大きすぎる場合、測定を
途中で中断してしまうので、耐熱性を有しないものは明
確に判断できる。 ・測定試料の寸法:15mm×4mm×30μm ・プリロード荷重:2.0gf ・測定温度:25〜200℃ ・昇温速度:2℃/min. ・加振振幅:80mm ・加振周波数:10Hz
【0074】一般式(1)および一般式(2)いずれの
構造単位を有するフッ素樹脂を含有するコーティング液
においても、特に磨耗性や離型性の改善のために、Si
C、SiO2、BN、Al23、TiN、CF、カーボ
ン粒子、PTFE粒子、PFA粒子からなる群より選ば
れる充填剤(フィラー)を1種以上使用してもよい。こ
れら充填剤の粒径としては、必要膜厚に応じて適宜選択
して使用することができ、具体的には10μm程度以下
から1μm以下程度の範囲から選択される。充填剤の充
填量としては、コーティング液中好ましくは1〜50重
量%、より好ましくは1〜50重量%、好ましくは、1
〜10重量%である。
【0075】乾燥後の離型層の膜厚としては、電子写真
用の定着部品として十分な厚みがあれば十分であり、好
ましくは1〜500μm、より好ましくは5〜30μm
の範囲である。
【0076】以上、最外層としての離型層の材料および
その架橋方法を述べてきたが、以下、定着用部品として
の製造方法について説明する 〔基体〕本発明に用いられる基体は、円筒状ロール、ベ
ルト状、ブレード状等電子写真用定着部品として用いら
れるあらゆる形状のものが挙げられる。
【0077】本発明に用いられる基体が円筒状ロールの
場合、該基体としては、金属としてアルミニウム、鉄、
銅、等の円筒状ロール、ガラス製円筒状ロールが用いら
れる。本発明に用いられる基体がベルト状の場合、該基
体としては、金属(アルミニウム、鉄、銅等)、あるい
は耐熱性樹脂(ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、PE
EK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポ
リフェニレンサルファイド)樹脂等)からなるベルトが
用いられる。
【0078】本発明に用いられる基体がブレード状の場
合、該基体としては、金属(アルミニウム、鉄、銅
等)、あるいは耐熱性ゴム(シリコーンゴム、フッ素ゴ
ム等)からなるブレードが用いられる。その他、これら
基体の大きさ(外径、幅、ベルト長さ等)、厚み(肉
厚、シート厚)等は、定着部品として必要な寸法を適宜
選択すればよい。
【0079】〔弾性体層〕本発明の電子写真用定着部品
は、上記基体上に、前記離型層を形成することにより得
られるが、基体上に弾性体層として、シリコーンゴム、
フッ素ゴム、フッ素樹脂等を形成した後に前記離型層を
形成することが、離型性向上の観点より好ましい。
【0080】弾性体層として形成するシリコーンゴム、
フッ素ゴムは、汎用のものが使用できる。例えばシリコ
ーンゴムとしては、ビニルメチルシリコーンゴム、メチ
ルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フ
ロロシリコーンゴム等が利用できる。またフッ素ゴムと
しては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/
プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフロロメチ
ルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フロロ
ポリエーテル、およびその他のフッ素ゴムが利用でき
る。これらは、それぞれ単独でもまたは2種以上組み合
せてもよい。
【0081】そしてこれら弾性体層として形成するシリ
コーンゴム、フッ素ゴムには、無機あるいは有機の各種
充填剤が利用できる。無機充填剤としては、カーボンブ
ラック、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素、タルク、マ
イカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カル
シウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホ
ウ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム等
が挙げられる。また有機充填剤としては、ポリイミド、
ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェ
ニレンスルフィド等が利用できる。このほか特殊な弾性
体として、フッ素樹脂としてPTFE、PFAも利用で
きる。
【0082】弾性体層に用いるこれら弾性体としては、
反発弾性として比較的高いものがよく、40%以上、好
ましくは50%以上のものが有効であり、かかる反発弾
性の観点よりシリコーンゴムが最も好ましい。
【0083】〔本発明の定着部品の用途〕本発明の定着
部品は、以下のような種々の分野で利用する事ができ
る。 (a)電子写真複写機を含む画像形成をその目的とする
あらゆる装置において、離型機能が要求されるロール、
ベルト、ブレード等の金属あるいはゴム材料に応用する
事ができる。 (b)電子写真複写機を含む一般の事務機あるいはその
他の分野において、例えばトナー、インク等の画像形成
材料がその表面に付着するときに、撥水、撥油および耐
久性が問題となるあらゆる金属あるいはゴム製品、ゴム
部品に応用が可能であり、これらの部品を使った定着装
置としても利用可能である。
【0084】〔定着装置〕以上の如き本発明の定着部品
を適用し得る具体的な定着装置について、以下に説明す
る。なお、本発明の定着部品を適用し得る定着装置は、
以下のものに限定されるものではない。
【0085】1.2ロール方式の定着装置 少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ロー
ルと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧
ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有す
る記録シートを通過させ、熱および圧力を作用させて前
記記録シート上にトナー像を定着する加熱ロール型の定
着装置において、本発明の定着部品は、加熱ロールおよ
び/または加圧ロールとして用いることができる。
【0086】本方式の定着装置は、既述の如き図3に示
す方式のものである。図3における加熱ロール10およ
び加圧ロール11に、本発明の定着部品を適用すること
ができる。即ち、加熱ロール10は基体10a上にシリ
コーンゴム等による弾性体層10bを形成し、さらにそ
の上層に環状フッ素樹脂およびエラストマーの混合物か
らなる離型層10cを形成したものであり、同様に加圧
ロール11は基体11a上にシリコーンゴム等による弾
性体層11bを形成し、さらにその上層に環状フッ素樹
脂およびエラストマーの混合物からなる離型層11cを
形成したものである。
【0087】図3に示す定着装置の機構、構造等につい
ては、既述の通りであるため割愛する。なお、本例にお
いては、加熱ロール10と加圧ロール11との双方が本
発明の定着部品である場合について説明したが、加熱ロ
ール10と加圧ロール11のうちの一方のみが本発明の
定着部品である場合でも、本発明の効果は発揮される。
もちろん、双方が本発明の定着部品であることが好まし
い。
【0088】2.ベルトニップロール定着方式の定着装
置 少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ロー
ルと、前記加熱ロールと圧接しニップ部を形成する加圧
ベルトと、前記加圧ベルトを介して加熱ロールに対向し
加圧する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定着ト
ナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および圧力を
作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する加熱
加圧型の定着装置において、本発明の定着部品は、加熱
ロールおよび/または加圧ベルトとして用いることがで
きる。
【0089】図4に本方式の定着装置の一例である概略
断面図を示す。図4において、20は基体20a上にシ
リコーンゴム等による弾性体層20bを形成し、さらに
その上層に環状フッ素樹脂およびエラストマーの混合物
からなる離型層20cを形成した、本発明の定着部品と
しての加熱ロールである。加熱ロール20の内部には、
ヒータランプ22が内蔵されている。
【0090】加熱ロール20には張架ロール27a、ス
テアリングロール27bおよび圧力ロール27cにより
張架された、ポリイミド樹脂シート等よりなる耐熱性の
加圧ベルト29が所定角度巻き付き、加圧ベルト29の
内側には、加圧ベルト29を加熱ロール20に押しつけ
る加圧パッド28が配され、圧力ロール27cとともに
ニップ部を形成している。加圧パッド28は、例えば、
シリコーンゴムベース上にシリコーンスポンジを載せ、
さらにその上にフッ素樹脂製のシートを被せたもの等が
用いられる。
【0091】加熱ロール20は矢印B方向に回転し、そ
れにつれて加圧ベルト29も矢印C方向に従動回転す
る。未定着トナー像24が形成された記録シート25は
矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通され、加
熱溶融および加圧されトナー像が定着される。
【0092】図7に本方式の定着装置の他の一例である
概略断面図を示す。図7において、本発明の定着部品と
しての加熱ロール50、ヒータランプ52等の構成は、
図4の加熱ロール20、ヒータランプ22と同様であ
る。加圧ベルト59自体の構成も、図4の加圧ベルト2
9と同様であるが、図7においては該加圧ベルト59の
保持、引回しの方法が異なっている。即ち、加圧ベルト
59は、その内側に配された加圧パッド28により加熱
ロール50に押しつけられニップ部を形成しているが、
張架ロール等による張架はされず、テンションフリーの
状態になっている。
【0093】加熱ロール50は矢印B方向に回転し、そ
れにつれて加圧ベルト59も矢印C方向に従動回転し、
ガイド56により加圧ベルト59の回転の軌道が一定に
保持される。未定着トナー像24が形成された記録シー
ト25は矢印A方向に、上記定着装置のニップ部に挿通
され、加熱溶融および加圧されトナー像が定着される。
【0094】図7の定着装置は、加圧ベルト59の駆動
系が省略されているため、安価に製造でき、また装置の
小型化を図ることができる。
【0095】なお、本例においては、加熱ロール10、
50のみが本発明の定着部品である場合について説明し
たが、加圧ベルト29、59のみが本発明の定着部品で
ある場合であっても本発明の効果は発揮される。もちろ
ん、加熱ロール10、50と加圧ベルト29、59の双
方が本発明の定着部品であることが好ましい。加圧ベル
ト29、59が本発明の定着部品である場合の、該加圧
ベルト29、59の構成は、後述の図5における加熱ベ
ルト30と同様である。
【0096】3.ベルト定着方式の定着装置 少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ベル
トと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、
前記加熱ベルトを介して前記加圧部材に対向し加圧する
加圧ロールとを有し、加熱ベルトと加圧ロールとの間に
ニップ部が形成され、該ニップ部に未定着トナー像を有
する記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて
前記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定
着装置において、本発明の定着部品は、加熱ベルトおよ
び/または加圧ロールとして用いることができる。
【0097】図5は本方式の定着装置の一例を示す概略
断面図である。図5において、30は、耐熱性ベースフ
ィルム(例えばポリイミドフィルム等)の基体上にフッ
素樹脂およびエラストマーの混合物からなる離型層を形
成した、本発明の定着部品としての加熱ベルト(定着ベ
ルト)である。該加熱ベルト30に接するように加圧ロ
ール31が配され、加熱ベルト30と加圧ロール31と
の間にニップ部を形成している。加圧ロール31は、基
体31a上にシリコーンゴム等による弾性体層31bを
形成し、さらにその上層に環状フッ素樹脂およびエラス
トマーの混合物からなる離型層31cを形成した、本発
明の定着部品である。
【0098】加熱ベルト30内側には、加圧ロール31
と対向する位置に、例えば鉄製の圧力ロール33aと、
逆T字型をした圧力印加部材33bと、潤滑剤を含浸さ
せた金属パッド33cとからなる加圧部材33が配さ
れ、圧力印加部材33bが圧力ロール33aを介して加
熱ベルト30を加圧ロール31に押しつけ、前記ニップ
部にニップ圧が加わるようになっている。このとき圧力
印加部材33bは、金属パッド33cが圧力ロール33
aの内面を滑りながらニップ圧を印加している。なお、
圧力ロール33aの内面には潤滑性のある耐熱オイルが
コーティングされていることが好ましい。さらに加熱ベ
ルト30の内側には、加熱ベルト30のニップ部を加熱
するためのヒータランプ32が配されている。
【0099】圧力ロール33aに従動して加熱ベルト3
0は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ロール31
も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像34が形
成された記録シート35は矢印A方向に、上記定着装置
のニップ部に挿通され、加熱溶融および加圧されトナー
像が定着される。
【0100】なお、本例においては、加熱ベルト30と
加圧ロール31との双方が本発明の定着部品である場合
について説明したが、加熱ベルト30と加圧ロール31
のうちの一方のみが本発明の定着部品である場合でも、
本発明の効果は発揮される。もちろん、双方が本発明の
定着部品であることが好ましい。
【0101】4.ベルト対方式の定着装置 少なくとも表面が耐熱性および離型性を有する加熱ベル
トと、前記加熱ベルトの内側より圧接する加圧部材と、
前記加熱ベルトと圧接しニップ部を形成する加圧ベルト
と、前記加熱ベルトおよび加圧ベルトのニップ部を介し
て前記加圧部材に対向し加圧する加圧ロールとを有し、
前記ニップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿
通させ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上に
トナー像を定着する加熱加圧型の定着装置において、本
発明の定着部品は、加熱ベルトおよび/または加圧ベル
トとして用いることができる。
【0102】図6は本方式の定着装置の一例を示す概略
断面図である。図6において、加熱ベルト(定着ベル
ト)40、ヒータランプ42および加圧部材43の構成
は、前記図5における定着装置の加熱ベルト(定着ベル
ト)30、ヒータランプ32および加圧部材33の構成
と同一である。従って、加熱ベルト40は、本発明の定
着部品としての加熱ベルト(定着ベルト)である。
【0103】加熱ベルト40に面で接するように加圧ベ
ルト49が配され、加熱ベルト40と加圧ベルト49と
の間にニップ部を形成している。加圧ベルト49は、加
熱ベルト40と同様の構成、即ち、本発明の定着部品で
ある。加圧ベルト49の内側には、加圧部材43と対向
する位置にシリコーンゴム等からなる加圧ロール48が
配され、前記ニップ部にニップ圧が加わるようになって
いる。
【0104】圧力ロール43aに従動して加熱ベルト4
0は矢印B方向に回転し、それにつれて加圧ベルト49
も矢印C方向に従動回転する。未定着トナー像44が形
成された記録シート45は矢印A方向に、上記定着装置
のニップ部に挿通され、加熱溶融および加圧されトナー
像が定着される。
【0105】なお、本例においては、加熱ベルト40と
加圧ベルト49との双方が本発明の定着部品である場合
について説明したが、加熱ベルト40と加圧ベルト49
のうちの一方のみが本発明の定着部品である場合でも、
本発明の効果は発揮される。もちろん、双方が本発明の
定着部品であることが好ましい。
【0106】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 [実施例1] (1)加熱ロール(本発明の定着部品)の作製 (i)コーティング液(A)の調製
【0107】共通溶剤Xの調製 パーフロロブチルアミンとCF3CF2CH2OHとを、
前者と後者との混合比(重量)が98:2となるように
混ぜ、これを共通溶剤Xとした。
【0108】フッ素樹脂(A1)の準備 下記構造式(a)または(b)で表されるパーフロロブ
テニルビニルエーテル40g、イオン交換水150gお
よび重合開始剤(C37COO)290mgを、内容積
200mlの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系
内を3回窒素で置換した後、テトラフロロエチレン4.
5gを気相より導入した。インキュベータで振とうさせ
ながら、40℃で24時間懸濁重合した。その結果重合
体Aを30g得た。
【0109】・構造式(a)
【化12】
【0110】・構造式(b)
【化13】
【0111】得られた重合体Aの赤外吸収スペクトルを
測定したところ、モノマー(パーフロロブテニルビニル
エーテル)において確認された二重結合に起因する17
90cm-1付近の吸収は確認されなかった。また、この
重合体Aをパーフロロベンゼンに溶解し、19F NMR
スペクトルを測定し、その構造を検討した。その結果、
得られた重合体Aは、一般式(1)で表される構造単位
を繰り返し単位として有する共重合体であり、さらに一
般式(1)で表される構造単位の組成比としては、式中
のmが90mol%、nが10mol%である事が判っ
た。この重合体Aの固有粘度は、パーフロロ(2−ブチ
ルテトラヒドロフラン)中、30℃で0.34dl/g
であった。
【0112】この重合体Aを、さらに空気中300℃で
3時間熱処理したのち、水中に浸漬してフッ素樹脂(A
1)を得た。このフッ素樹脂(A1)の赤外吸収スペク
トルを測定したところ、カルボン酸基に帰属されるピー
クが現れ、一般式(1)で表される構造単位に、官能基
としてカルボン酸基が結合していることが確認された。
【0113】部分加水分解縮合物溶液(A2)の調製 テトラメトキシシランおよびCF3(CF27CH2CH
2Si(OCH33をモル比1:0.5の割合でCF3
2CH2OH中に溶解させ、さらに硝酸と水とを加えた
後に室温で72時間反応させた。次いで、反応液をイオ
ン交換樹脂塔に通過させて硝酸を除去し、部分加水分解
縮合物溶液(A2)10重量部(濃度15重量%)を得
た。
【0114】コーティング液(A)の調製 で準備したフッ素樹脂(A1)100重量部(樹脂換
算分)を、で調製した共通溶剤Xに添加し、これに
で調製した部分加水分解縮合物溶液(A2)10重量部
を加え、アミノフェニルトリメトキシシラン2重量部の
存在下でコーティング液(A)を調製した。このとき、
当該溶液中のポリマー濃度が6重量%となるように調整
した。
【0115】(ii)加熱ロールの作製 基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50
mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、
高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴム
を3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上
に、コーティング液(A)を刷毛塗り法にて塗布し、最
外層としての離型層(乾燥膜厚として20μm)を形成
した。その後、温度をゆっくりあげ、120℃のオーブ
ンで30分間コーティング液中の溶剤分を揮発させ、さ
らに250℃で1時間のベークを行って、加熱ロールを
作製した。
【0116】(2)加圧ロール(本発明の定着部品)の
作製。 基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50
mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、
高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴム
を1mmの厚さに被覆した。さらに、上記加熱ロールと
同じように、コーティング液(A)を20μmの厚さ
(乾燥膜厚)に形成し、加熱ロールと同様のベークを行
って、加圧ロールを作製した。
【0117】(3)架橋度の測定 加熱ロール表面に形成されたフッ素樹脂からなる離型層
を一部(1cm2)剥ぎ取り、重量(αg)を測定し
た。当該離型層の一部を、50℃の共通溶剤X100m
l中に10分間浸漬し、その後200℃のオーブン中に
1時間置き、空冷して室温まで温度が下がってから再度
重量(βg)を測定し、元々の重さ(αg)に対する割
合(β/α×100)%を求めた。結果は95%であっ
た。
【0118】(4)定着装置 以上で得られた(1)の加熱ロール、および(2)の加
圧ロールを図3に示す定着装置の加熱ロール10、およ
び加圧ロール11として組み込んだ。図3を使用し、実
機評価を説明する。ヒータランプ12および13は、そ
れぞれ800Wおよび700Wのハロゲンランプとし、
加熱ロール10の表面の設定温度は、150℃とした。
加熱ロール10の回転速度は100mm/secとし、
加熱ロール10と加圧ロール11との間に形成されるニ
ップ幅は6mmに設定されている。18および19は、
それぞれインレットおよびアウトレットの、記録シート
15をスムーズに出入りさせるための平板状の各シュー
トである。離型剤オイルとして富士ゼロックス(株)製
カラーフューザーオイルを加熱ロール10と加圧ロール
11の両表面に1μl/(A4用紙サイズ)の量になる
ように供給した。
【0119】(5)評価試験 用紙剥離性評価試験 記録シート15として富士ゼロックス製J紙を用い、該
記録シート15に粉体トナーによる未定着トナー像14
をトナー密度が1.5mg/cm2になるように形成し
た。
【0120】未定着トナー像14は、トナーとして富士
ゼロックスA Color 635用カラートナー(シ
アン色)にワックス(ポリプロピレンワックス)を5%
含有したものを使用し、不図示の電子写真装置の転写機
で形成した。用紙剥離性の評価は、記録シート15が加
熱ロール10からきれいに剥離するかどうかを官能的に
評価した。評価基準は以下の通りである。
【0121】 ○:問題なくきれいに剥離する場合 △:剥離はするが、加熱ロール10にややつられてしま
う場合 ×:加熱ロール10に巻き付いてしまう場合 結果を下記表1にまとめて示す。下記表1に示すように
用紙剥離性は良好であった。
【0122】ニップ跡残りの発生有無評価試験 定着装置の加熱ロール10と加圧ロール11とをラッチ
させニップを形成し、その状態のまま回転させる。この
時加熱ロール10の表面の設定温度は、200℃にして
おく。ニップに用紙(富士ゼロックス製J紙)を挿通
し、用紙が両ロール10,11間に挟まれた状態で、両
ロール10,11の回転をとめる。この状態で5秒間静
止した後、両ロール10,11を回転させ、用紙を排出
した後にニップを開放する。両ロール10,11を装置
から取り外し、両ロール10,11表面上にニップ跡が
残っているかを目視および顕微鏡によって判定する。両
ロール10,11の表層材料に耐熱性がない時は、フロ
ーして用紙の繊維模様が両ロール10,11表面に残
り、目視または顕微鏡により検出される。評価基準は以
下の通りである。
【0123】 ○:ニップ跡残りが全く検出されない場合 △:ニップ跡残りが目視では検出されないが、顕微鏡に
よりわずかに検出される場合 ×:ニップ跡残りが目視により検出される場合 結果を下記表1にまとめて示す。下記表1に示すように
ニップ跡残りは検出されなかった。
【0124】[実施例2] (1)加熱ロール(本発明の定着部品)の作製 (i)コーティング液(B)の調製 フッ素樹脂(B1)の準備 前記構造式(a)または(b)で表されるパーフロロブ
テニルビニルエーテル40g、パーフロロプロピルビニ
ルエーテル20g、イオン交換水150gおよび重合開
始剤(C37COO)290mgを、内容積200ml
の耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を3回窒
素で置換した後、テトラフロロエチレン4.5gを気相
より導入した。インキュベータで振とうさせながら、4
0℃で24時間懸濁重合した。その結果重合体Bを25
g得た。
【0125】得られた重合体Bの赤外吸収スペクトルを
測定したところ、モノマー(パーフロロブテニルビニル
エーテルおよびパーフロロプロピルビニルエーテル)に
おいて確認された二重結合に起因する1790cm-1
近の吸収は確認されなかった。また、この重合体Bをパ
ーフロロベンゼンに溶解し、19F NMRスペクトルを
測定し、その構造を検討した。その結果、得られた重合
体Bは、一般式(2)で表される構造単位を繰り返し単
位として有する共重合体であり、さらに一般式(2)で
表される構造単位の組成比としては、式中のpが70m
ol%、qが15mol%、rが15mol%である事
が判った。この重合体Bの固有粘度は、パーフロロ(2
−ブチルテトラヒドロフラン)中、30℃で0.30d
l/gであった。
【0126】この重合体Bを、さらに空気中300℃で
3時間熱処理したのち、水中に浸漬してフッ素樹脂(B
1)を得た。このフッ素樹脂(B1)の赤外吸収スペク
トルを測定したところ、カルボン酸基に帰属されるピー
クが現れ、一般式(2)で表される構造単位に、官能基
としてカルボン酸基が結合していることが確認された。
【0127】コーティング液(B)の調製 で準備したフッ素樹脂(A1)100重量部(樹脂換
算分)を、実施例1で調製した共通溶剤Xに添加し、こ
れに実施例1で調製した部分加水分解縮合物溶液(A
2)10重量部を加え、アミノフェニルトリメトキシシ
ラン2重量部の存在下でコーティング液(B)を調製し
た。このとき、当該溶液中のポリマー濃度が6重量%と
なるように調整した。
【0128】(ii)加熱ロールの作製 実施例1の加熱ロールの作製において、コーティング液
(A)をコーティング液(B)に変更したことを除いて
は、実施例1と同様にして、加熱ロールを作製した。
【0129】(2)加圧ロール(本発明の定着部品)の
作製 実施例1の加圧ロールの作製において、コーティング液
(A)をコーティング液(B)に変更したことを除いて
は、実施例1と同様にして、加圧ロールを作製した。
【0130】(3)架橋度の測定 実施例1の架橋度の測定と同様にして、加熱ロール表面
に形成されたフッ素樹脂からなる離型層の架橋度を測定
した。結果は99.5%であった。
【0131】(4)評価試験 実施例1と同様の定着装置を用い、実施例1と同様にし
て用紙剥離性評価試験、および、ニップ跡残りの発生有
無評価試験を行った。結果を下記表1にまとめて示す。
表1に示すように用紙剥離性は良好であり、また、ニッ
プ跡残りは検出されなかった。
【0132】[実施例3] (1)加熱ロール(本発明の定着部品)の作製 (i)コーティング液(C)の調製 フッ素樹脂(C1)の準備 実施例1で得られたフッ素樹脂(A1)100重量部
(樹脂換算分)に、フィラーとして富士見研磨剤(株)
社製SiC#10000(粒径0.3μm)を10重量
部添加し、攪拌して、これをフッ素樹脂(C1)とし
た。
【0133】コーティング液(C)の調製 で準備したフッ素樹脂(C1)110重量部(樹脂換
算分)を、実施例1で調製した共通溶剤Xに添加し、こ
れに実施例1で調製した部分加水分解縮合物溶液(A
2)10重量部を加え、アミノフェニルトリメトキシシ
ラン2重量部の存在下でコーティング液(C)を調製し
た。このとき、当該溶液中のポリマー濃度が6重量%と
なるように調整した。
【0134】(ii)加熱ロールの作製 実施例1の加熱ロールの作製において、コーティング液
(A)をコーティング液(C)に変更したことを除いて
は、実施例1と同様にして、加熱ロールを作製した。
【0135】(2)加圧ロール(本発明の定着部品)の
作製 実施例1の加圧ロールの作製において、コーティング液
(A)をコーティング液(C)に変更したことを除いて
は、実施例1と同様にして、加圧ロールを作製した。
【0136】(3)架橋度の測定 実施例1の架橋度の測定と同様にして、加熱ロール表面
に形成されたフッ素樹脂からなる離型層の架橋度を測定
した。結果は97.5%であった。
【0137】(4)評価試験 実施例1と同様の定着装置を用い、実施例1と同様にし
て用紙剥離性評価試験、および、ニップ跡残りの発生有
無評価試験を行った。結果を下記表1にまとめて示す。
表1に示すように用紙剥離性は良好であり、また、ニッ
プ跡残りは検出されなかった。
【0138】[実施例4] (1)加熱ベルト(本発明の定着部品)の作製 基体として、厚み200μmのSUS製のエンドレスベ
ルト(幅340mm、周長200mm)を用意し、該エ
ンドレスベルトの外側の面に、弾性体層として、高熱伝
導性のゴム硬度40度のHTV系シリコーンゴムを0.
1mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上に、
実施例1で調製したコーティング液(A)を刷毛塗り法
にて塗布し、最外層としての離型層(乾燥膜厚として2
0μm)を形成した。その後、温度をゆっくりあげ、1
20℃のオーブンで30分間コーティング液中の溶剤分
を揮発させ、さらに250℃で1時間のベークを行っ
て、加熱ベルトを作製した。
【0139】(2)加圧ロール(本発明の定着部品)の
作製。 基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50
mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、
高熱伝導性のゴム硬度40度のHTV系シリコーンゴム
を1mmの厚さに被覆した。さらに、上記加熱ベルトと
同じように、コーティング液(A)を20μmの厚さ
(乾燥膜厚)に形成し、上記加熱ベルトと同様のベーク
を行って、加圧ロールを作製した。
【0140】(3)架橋度の測定 実施例1の架橋度の測定と同様にして、加圧ロール表面
に形成されたフッ素樹脂からなる離型層の架橋度を測定
した。結果は95%であった。
【0141】(4)定着装置 以上で得られた(1)の加熱ベルト、および(2)の加
圧ロールを図5、に示す定着装置の加熱ベルト30、お
よび加圧ロール31として組み込んだ。図5を使用し、
実機評価を説明する。
【0142】圧力ロール33aは200μm厚の鉄製
(直径30mm、長さ350mm)であり、これは50
0W(×2個)のヒータランプ32により加熱される。
圧力ロール33aの表面の設定温度は、200℃とした
(加熱ベルト30を介してその温度は、減衰して記録シ
ート35に伝わる)。圧力ロール33aの内部からは、
逆T字型をした鋼鉄製の圧力印加部材33bが圧力ロー
ル33aを通して加圧ロール31に0.5〜10kg/
cm2(好ましくは1〜5kg/cm2)の圧力が加わ
り、ニップ幅10mmのニップを形成している(実際に
は、未定着トナー像34が形成された記録シート35が
矢印A方向から当該部分に近づいてくると、加熱ベルト
30と加圧ロール31とが接触しはじめ、ニップを形成
する構成となっている。)。圧力印加部材33bの先端
に位置する金属パッド33cには、潤滑剤を含んだ金属
を用いている。更に圧力ロール33aの内面には、潤滑
性のある耐熱オイル(ダイキン工業社製、デムナムグリ
ースS−100:フッ素オイル)が溝を埋めるようにコ
ーティングされている。
【0143】(5)評価試験 用紙剥離性評価試験 記録シート35として富士ゼロックス製J紙を用い、該
記録シート35に粉体トナーによる未定着トナー像34
をトナー密度が1.5mg/cm2になるように形成し
た。
【0144】未定着トナー像34は、トナーとして富士
ゼロックスA Color 635用カラートナー(シ
アン色)にワックス(ポリプロピレンワックス)を5%
含有したものを使用し、不図示の電子写真装置の転写機
で形成した。用紙剥離性の評価は、記録シート35が加
熱ベルト30からきれいに剥離するかどうかを官能的に
評価した。評価基準は以下の通りである。
【0145】 ○:問題なくきれいに剥離する場合 △:剥離はするが、加熱ベルト30にややつられてしま
う場合 ×:加熱ベルト30に巻き付いてしまう場合 結果を下記表1にまとめて示す。下記表1に示すように
用紙剥離性は良好であった。
【0146】ニップ跡残りの発生有無評価試験 定着装置の加熱ベルト30と加圧ロール31とをラッチ
させニップを形成し、その状態のまま回転させる。この
時加熱ベルト30の表面の設定温度は、200℃にして
おく。ニップに用紙(富士ゼロックス製J紙)を挿通
し、用紙が加熱ベルト30と加圧ロール31との間に挟
まれた状態で、加熱ベルト30および加圧ロール31の
回転をとめる。この状態で5秒間静止した後、加熱ベル
ト30および加圧ロール31を回転させ、用紙を排出し
た後にニップを開放する。加熱ベルト30および加圧ロ
ール31を装置から取り外し、加熱ベルト30および加
圧ロール31表面上にニップ跡が残っているかを目視お
よび顕微鏡によって判定する。これらの表層材料に耐熱
性がない時は、フローして用紙の繊維模様が表面に残
り、目視または顕微鏡により検出される。評価基準は実
施例1と同様である。結果を下記表1にまとめて示す。
下記表1に示すようにニップ跡残りは検出されなかっ
た。
【0147】[比較例1] (1)非架橋性フッ素樹脂離型層を有する加熱ロール
(比較用の定着部品)の作製 (i)コーティング液(D)の調製 実施例1で準備したフッ素樹脂(A1)に、溶剤として
パーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)を加え
て、樹脂濃度6重量%のコーティング液(D)を調製し
た。
【0148】(ii)加熱ロールの作製 基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50
mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、
高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴム
を3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上
に、コーティング液(D)を刷毛塗り法にて塗布し、最
外層としての離型層(乾燥膜厚として20μm)を形成
した。その後、温度をゆっくりあげ、120℃のオーブ
ンで30分間コーティング液中の溶剤分を揮発させ、さ
らに180℃で1時間のベークを行って、非架橋性フッ
素樹脂離型層を有する加熱ロールを作製した。
【0149】(2)非架橋性フッ素樹脂離型層を有する
加圧ロール(比較用の定着部品)の作製 基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50
mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、
高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴム
を1mmの厚さに被覆した。さらに、上記加熱ロールと
同じように、コーティング液(A)を20μmの厚さ
(乾燥膜厚)に形成し、上記加熱ロールと同様のベーク
を行って、非架橋性フッ素樹脂離型層を有する加圧ロー
ルを作製した。
【0150】(3)架橋度の測定 実施例1の架橋度の測定において、共通溶剤Xをパーフ
ロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)に変更したこと
を除いては、実施例1と同様にして、加熱ロール表面に
形成されたフッ素樹脂からなる離型層の架橋度を測定し
た。結果は80%であった。
【0151】(4)評価試験 実施例1と同様の定着装置を用い、実施例1と同様にし
て用紙剥離性評価試験、および、ニップ跡残りの発生有
無評価試験を行った。結果を下記表2にまとめて示す。
表2に示すように用紙剥離性はスムーズではないもの
の、用紙は剥離された。一方、ニップ跡残りは目視で検
出され、追試として加熱ロール10の表面の設定温度を
150℃にして同様に試験を行ったが、同じようにニッ
プ跡残りが目視で検出された。
【0152】[比較例2] (1)非架橋性フッ素樹脂離型層を有する加熱ロール
(比較用の定着部品)の作製 (i)コーティング液(E)の調製 実施例2で準備したフッ素樹脂(B1)に、溶剤として
パーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)を加え
て、樹脂濃度6重量%のコーティング液(E)を調製し
た。
【0153】(ii)加熱ロールの作製 基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50
mmφ、長さ400mm)を用意し、弾性体層として、
高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴム
を3mmの厚さに被覆した。さらにこの弾性体層の上
に、コーティング液(D)を刷毛塗り法にて塗布し、最
外層としての離型層(乾燥膜厚として20μm)を形成
した。その後、温度をゆっくりあげ、120℃のオーブ
ンで30分間コーティング液中の溶剤分を揮発させ、さ
らに250℃で1時間のベークを行って、非架橋性フッ
素樹脂離型層を有する加熱ロールを作製した。
【0154】(2)非架橋性フッ素樹脂離型層を有する
加圧ロール(比較用の定着部品)の作製 基体として、アルミニウム製の円筒状ロール(外径50
mmφ、長さ390mm)を用意し、弾性体層として、
高熱伝導性のゴム硬度55度のHTV系シリコーンゴム
を1mmの厚さに被覆した。さらに、上記加熱ロールと
同じように、コーティング液(A)を20μmの厚さ
(乾燥膜厚)に形成し、上記加熱ロールと同様のベーク
を行って、非架橋性フッ素樹脂離型層を有する加圧ロー
ルを作製した。
【0155】(3)架橋度の測定 実施例1の架橋度の測定において、共通溶剤Xをパーフ
ロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)に変更したこと
を除いては、実施例1と同様にして、加熱ロール表面に
形成されたフッ素樹脂からなる離型層の架橋度を測定し
た。結果は93%であった。
【0156】(4)評価試験 実施例1と同様の定着装置を用い、実施例1と同様にし
て用紙剥離性評価試験、および、ニップ跡残りの発生有
無評価試験を行った。結果を下記表2にまとめて示す。
表2に示すように用紙剥離性はスムーズではないもの
の、用紙は剥離された。一方、ニップ跡残りは目視で検
出され、追試として加熱ロール10の表面の設定温度を
150℃にして同様に試験を行ったが、同じようにニッ
プ跡残りが目視で検出された。
【0157】
【表1】
【0158】
【発明の効果】以上の如く、本発明に用いられる架橋性
のフッ素樹脂は、フッ素樹脂でありながら特殊な溶剤に
溶けるのものであり、適当な基材、例えば金属や耐熱性
樹脂フィルム、あるいはゴムなどの弾性体にもコーティ
ングが可能である。また、フィラーを含有できることか
ら、耐磨耗性にも非常に優れるという特徴を持ち、薄く
コーテイングできるので、高画質適性も併せ持つ。
【0159】そして、本発明に用いられる架橋性のフッ
素樹脂は、架橋させてあるので、耐熱特性に優れ、ニッ
プ跡残りなどの問題が発生しない。また、フッ素樹脂粒
子の脱落、剥がれによる耐磨耗性の低下という問題点が
ない。低温で加工できるので下地にゴムを用いた場合に
も、当該ゴムを痛めることがないといった利点もある。
さらに、容易にコーティングできるので、経済性に優れ
るという利点もある。また本発明の定着部品は、加熱ロ
ール型定着装置、あるいは、加熱ベルト型定着装置を構
成するロール、あるいは、ベルトに適用することによ
り、高画質・高耐磨耗・高離型性を併せ持つ定着装置を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 架橋度の異なる2元系重合体のフッ素樹脂に
ついての粘弾性の測定結果を示すグラフである。
【図2】 架橋度の異なる3元系重合体のフッ素樹脂に
ついての粘弾性の測定結果を示すグラフである。
【図3】 一般的な定着装置の構成例、および本発明の
定着部品が適用される定着装置の一例を示す概略断面図
である。
【図4】 本発明の定着部品が適用される定着装置の他
の一例を示す概略断面図である。
【図5】 本発明の定着部品が適用される定着装置の他
の一例を示す概略断面図である。
【図6】 本発明の定着部品が適用される定着装置の他
の一例を示す概略断面図である。
【図7】 本発明の定着部品が適用される定着装置の他
の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10、20、50:加熱ロール 11、31:加圧ロール 12、13、22、32、42、52:ヒータランプ 14、24、34、44、54:未定着トナー像 15、25、35、45、55:記録シート 16、26、56:離型剤塗布装置 27:ロール 28、58:加圧パッド 29、49、59:加圧ベルト 30、40:加熱ベルト(定着ベルト) 33、43:加圧部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H033 AA09 AA16 AA26 BA11 BA12 BB03 BB05 BB14 BB28 BE03 3J103 AA02 AA14 AA41 AA51 BA03 BA41 FA30 GA02 GA57 GA58 HA11 HA12 HA13 HA31 HA43 HA53 HA60 3K058 AA41 AA45 AA64 BA18 CE12 CE17 DA02 GA06

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体の外表面に、下記一般式(1)で表
    される構造単位を有するフッ素樹脂、または、下記一般
    式(2)で表される構造単位を有するフッ素樹脂からな
    り、かつ、該フッ素樹脂が架橋構造を有する離型層が形
    成されてなることを特徴とする電子写真用定着部品。 ・一般式(1) −Am−(CF2−CF2n− ・一般式(2) 【化1】 上記一般式(1)および(2)中、Aは、C610Oで
    表される環状の構成単位であり、mおよびnは、一般式
    (1)で表される構造単位の組成比を表し、p、qおよ
    びrは、一般式(2)で表される構造単位の組成比を表
    す。
  2. 【請求項2】 一般式(1)および(2)におけるAで
    表される構成単位が、下記一般式(3)または一般式
    (4)で表される環状の構成単位であることを特徴とす
    る請求項1に記載の電子写真用定着部品。 ・一般式(3) 【化2】 ・一般式(4) 【化3】
  3. 【請求項3】 前記離型層が、SiC、SiO2、B
    N、Al23、TiN、CF、カーボン粒子、PFA粒
    子、PTFE粒子からなる群より選ばれる少なくとも1
    種以上の充填剤を含有してなることを特徴とする請求項
    1または2に記載の電子写真用定着部品。
  4. 【請求項4】 基体が、金属あるいはガラスからなる円
    筒状ロールであることを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれか1に記載の電子写真用定着部品。
  5. 【請求項5】 円筒状ロールと離型層との間に、耐熱性
    のある弾性体層が形成されていることを特徴とする請求
    項4に記載の電子写真用定着部品。
  6. 【請求項6】 弾性体層が、シリコーンゴム、フロロシ
    リコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムからなる群より
    選ばれる少なくとも1種の弾性体からなることを特徴と
    する請求項5に記載の電子写真用定着部品。
  7. 【請求項7】 基体が、金属あるいは耐熱性樹脂からな
    るベルトであることを特徴とする請求項1ないし3に記
    載の電子写真用定着部品。
  8. 【請求項8】 ベルトと離型層との間に、耐熱性のある
    弾性体層が形成されていることを特徴とする請求項7に
    記載の電子写真用定着部品。
  9. 【請求項9】 弾性体層が、シリコーンゴム、フロロシ
    リコーンゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムからなる群より
    選ばれる少なくとも1種の弾性体からなることを特徴と
    する請求項8に記載の電子写真用定着部品。
  10. 【請求項10】 少なくとも表面が耐熱性および離型性
    を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ
    部を形成する加圧ロールとを有し、前記ニップ部に未定
    着トナー像を有する記録シートを通過させ、熱および圧
    力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着する
    加熱ロール型の定着装置であって、前記加熱ロールおよ
    び/または加圧ロールが請求項4ないし6のいずれか1
    に記載の電子写真用定着部品であることを特徴とする定
    着装置。
  11. 【請求項11】 少なくとも表面が耐熱性および離型性
    を有する加熱ロールと、前記加熱ロールと圧接しニップ
    部を形成する加圧ベルトと、前記加圧ベルトを介して加
    熱ロールに対向し加圧する加圧ロールとを有し、前記ニ
    ップ部に未定着トナー像を有する記録シートを挿通さ
    せ、熱および圧力を作用させて前記記録シート上にトナ
    ー像を定着する加熱加圧型の定着装置であって、前記加
    熱ロールが請求項4ないし6のいずれか1に記載の電子
    写真用定着部品、および/または、前記加圧ベルトが請
    求項7ないし9のいずれか1に記載の電子写真用定着部
    品であることを特徴とする定着装置。
  12. 【請求項12】 少なくとも表面が耐熱性および離型性
    を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接
    する加圧部材と、前記加熱ベルトを介して前記加圧部材
    に対向し加圧する加圧ロールとを有し、加熱ベルトと加
    圧ロールとの間にニップ部が形成され、該ニップ部に未
    定着トナー像を有する記録シートを挿通させ、熱および
    圧力を作用させて前記記録シート上にトナー像を定着す
    る加熱加圧型の定着装置であって、前記加熱ベルトが請
    求項7ないし9のいずれか1に記載の電子写真用定着部
    品、および/または、加圧ロールが請求項4ないし6の
    いずれか1に記載の電子写真用定着部品であることを特
    徴とする定着装置。
  13. 【請求項13】 少なくとも表面が耐熱性および離型性
    を有する加熱ベルトと、前記加熱ベルトの内側より圧接
    する加圧部材と、前記加熱ベルトと圧接しニップ部を形
    成する加圧ベルトと、前記加熱ベルトおよび加圧ベルト
    のニップ部を介して前記加圧部材に対向し加圧する加圧
    ロールとを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を有す
    る記録シートを挿通させ、熱および圧力を作用させて前
    記記録シート上にトナー像を定着する加熱加圧型の定着
    装置であって、前記加熱ベルトおよび/または前記加圧
    ベルトが請求項7ないし9のいずれか1に記載の電子写
    真用定着部品であることを特徴とする定着装置。
JP2000111994A 2000-04-13 2000-04-13 電子写真用定着部品、および定着装置 Pending JP2001296763A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000111994A JP2001296763A (ja) 2000-04-13 2000-04-13 電子写真用定着部品、および定着装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000111994A JP2001296763A (ja) 2000-04-13 2000-04-13 電子写真用定着部品、および定着装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001296763A true JP2001296763A (ja) 2001-10-26

Family

ID=18624236

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000111994A Pending JP2001296763A (ja) 2000-04-13 2000-04-13 電子写真用定着部品、および定着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001296763A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007310238A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置の定着部材、定着装置および画像形成装置
JP2013235103A (ja) * 2012-05-08 2013-11-21 Osaka Gas Co Ltd ローラーの最表面用組成物、並びにそれを用いたローラーの最表面用部材及びローラー
CN106249568A (zh) * 2015-06-10 2016-12-21 柯尼卡美能达株式会社 定影带、定影装置及图像形成装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007310238A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置の定着部材、定着装置および画像形成装置
JP2013235103A (ja) * 2012-05-08 2013-11-21 Osaka Gas Co Ltd ローラーの最表面用組成物、並びにそれを用いたローラーの最表面用部材及びローラー
CN106249568A (zh) * 2015-06-10 2016-12-21 柯尼卡美能达株式会社 定影带、定影装置及图像形成装置
JP2017003765A (ja) * 2015-06-10 2017-01-05 コニカミノルタ株式会社 定着ベルト、定着装置および画像形成装置
US9811032B2 (en) 2015-06-10 2017-11-07 Konica Minolta, Inc. Fixing belt, fixing device, and image forming apparatus
CN106249568B (zh) * 2015-06-10 2019-02-15 柯尼卡美能达株式会社 定影带、定影装置及图像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6921649B2 (ja) 定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置
JP6408892B2 (ja) 電子写真用部材、定着装置及び、電子写真画像形成装置
US20140321894A1 (en) Fuser member
JP6869795B2 (ja) 定着部材、定着装置及び画像形成装置
EP3550376B1 (en) Fixing member, fixing device, and electrophotographic image forming apparatus
WO2011081903A1 (en) Fuser member with fluoropolymer outer layer
US20120244346A1 (en) Fusing composition comprising cross-linking fluorocarbons
US20240160137A1 (en) Fixing member, method for producing the same, fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus
JP2013061383A (ja) 管状部材、無端ベルト、定着装置および画像形成装置
JP5063046B2 (ja) トナー離型層を有する定着用部材およびそれを具備する定着装置
JP2000259022A (ja) 電子写真用定着部品、および定着装置
JP2001296763A (ja) 電子写真用定着部品、および定着装置
JP2023054784A (ja) 定着部材及びその製造方法、定着装置並びに電子写真画像形成装置
US11561495B2 (en) Pressing rotating member and production method thereof, fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus
JP4353533B2 (ja) 定着用部材、定着装置、オイルレス定着方法および定着用部材の製造方法
JP4256488B2 (ja) 定着用部材およびそれを用いた定着装置ならびに画像 形成方法
JP2008134353A (ja) 定着部材、その製造方法、定着装置および画像形成装置
JP2004025873A (ja) オフセット印刷装置
JP2000330405A (ja) 定着部材及びその製造方法、並びに定着装置
JPH11174885A (ja) 定着用ロール、定着用ベルトおよび定着装置
JP3721730B2 (ja) 定着用部材、定着用部材の製造方法、定着装置および画像形成方法
JP3867375B2 (ja) 電子写真用定着部品、および定着装置
JP2023116278A (ja) 定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置
JPH10340022A (ja) 定着用部材およびそれを用いた定着装置ならびに画像形成方法
JP2012068516A (ja) 離型部材、定着器、および画像形成装置