JP2001296668A - 平版印刷版の品質管理方法 - Google Patents

平版印刷版の品質管理方法

Info

Publication number
JP2001296668A
JP2001296668A JP2000114748A JP2000114748A JP2001296668A JP 2001296668 A JP2001296668 A JP 2001296668A JP 2000114748 A JP2000114748 A JP 2000114748A JP 2000114748 A JP2000114748 A JP 2000114748A JP 2001296668 A JP2001296668 A JP 2001296668A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gray scale
printing plate
exposure
lithographic printing
sensitivity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000114748A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichiro Aono
小一郎 青野
Takashi Okuno
敬 奥野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000114748A priority Critical patent/JP2001296668A/ja
Publication of JP2001296668A publication Critical patent/JP2001296668A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ネガ型平
版印刷版の品質を一定に保ち、均一な画像を連続的に形
成するための品質管理方法を提供する。 【解決手段】 支持体上に、赤外線吸収剤と、熱により
ラジカル又は酸を発生する化合物と、重合性化合物或い
は架橋性化合物とを含む感光層を設けたネガ型平版印刷
版の品質管理方法であって、(A)UV露光により製版
するポジ型平版印刷版評価用のグレースケールをUV露
光した後、標準的な配合の標準現像液で現像し、標準現
像液処理グレースケール感度を測定する工程と、(B)
前記と同様の条件でUV露光を行ったグレースケール
を、評価しようとする現像液で現像し、対象現像液処理
グレースケール感度を測定する工程と、(C)両者を比
較する工程と、(D)両者を比較した結果、その差異が
所定の値を超えた場合に、露光/加熱/現像条件を調整
する工程と、を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷マ
スターとして使用可能であり、コンピュータ等のディジ
タル信号から直接製版可能な、いわゆるダイレクト製版
用の赤外線レーザー用のネガ型の画像形成層を有する平
版印刷版の品質管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年におけるレーザーの発展は目ざまし
く、特に、近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ個
体レーザーや半導体レーザーでは、高出力・小型化が進
んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデ
ータから直接製版する際の露光光源として、これらのレ
ーザーは非常に有用である。前述の赤外線領域に発光領
域を持つ赤外線レーザーを露光光源として使用する、赤
外線レーザ用ネガ型平版印刷版材料は、赤外線吸収剤
と、熱によりラジカル或いは酸を発生する化合物と、重
合性化合物或いは架橋性化合物とを含む感光層を有する
平版印刷版材料である。
【0003】通常、このようなネガ型の画像記録材料
は、熱により発生した酸を開始剤として、酸による架橋
反応を生起させて露光部の記録層を硬化させて画像部を
形成するか、あるいは熱により発生したラジカルを開始
剤として重合反応を生起させ、露光部の記録層を硬化さ
せて画像部を形成する記録方式を利用している。このよ
うなネガ型の画像形成材料は、赤外線レーザ照射のエネ
ルギーにより記録層の可溶化を起こさせるネガ型に比較
して画像形成性が低く、架橋或いは重合などの硬化反応
を促進させて強固な画像部を形成するため、現像工程前
に加熱処理を行うのが一般的である。
【0004】しかし、このような赤外線レーザ用ネガ型
平版印刷版材料においては、UV露光により製版するネ
ガ型平版印刷版材料と比べ、現像液の活性度に対するラ
チチュードが狭いため、活性度が高くなると、画像部の
濃度低下、耐刷低下を、活性度が低くなると、現像不良
を容易に引き起こす問題がある。前記問題は、以下の、
前記赤外線レーザ用ネガ型平版印刷版材料と、前記UV
露光により製版するネガ型平版印刷版材料との製版メカ
ニズムの本質的な相違に起因する。
【0005】前記UV露光により製版するネガ型平版印
刷版材料の多くのものは、ジアゾニウム化合物と結合剤
となるポリマーとを必須成分とする。画像形成性は、使
用するジアゾニウム化合物と結合剤によって異なるが、
一般に結合剤の分子量が大きく、カルボキシル基等の親
水性基との共重合比が小さいために、非画像部(未露光
部)はベンジルアルコールなどの有機溶剤を添加した現
像液で容易に溶解、除去することができる。一方、UV
露光により、露光部では前記結合剤とジアゾニウム化合
物とが光反応を起こして網状構造を形成するため、有機
溶剤を含有する現像液を用いた場合でも溶解し難くな
る。したがって、該UV露光により製版するネガ型平版
印刷版材料においては、露光部と非露光部の現像液に対
する溶解性の差が非常に大きい。
【0006】これに対し、前記赤外線レーザ用ネガ型平
版印刷版材料においては、露光時に、露光部(画像部)
では、光が赤外線吸収剤により熱エネルギーに変換さ
れ、その熱により、酸或いはラジカルなどの画像部の硬
化に寄与する成分が生成するが、反応を促進させるため
には、加熱処理が必要であり、加熱により架橋反応或い
は重合反応が進行してはじめて画像部が硬化する。しか
も、加熱温度を調整して画像部と非画像部を形成させて
いるが、平版印刷版として実際に使用しうるレベルのも
のを得られる加熱処理の温度範囲は非常に狭い。さら
に、ここで用いられる重合性化合物或いは架橋性化合物
は、UV露光用の画像形成材料に用いられる結合剤に比
較して親水性基が圧倒的に多いため、硬化した後もアル
カリ性の現像剤に対して溶解しやすい。このため、赤外
線レーザ用のネガ型平版印刷版材料では、非露光部と露
光部との溶解性の差が小さい。このような現像液の活性
度に対するラチチュードが狭い画像形成材料を使用して
安定した画像を連続的に形成するためには、その工程管
理が非常に困難である。
【0007】通常、赤外レーザー用ネガ感光性平版印刷
版を現像する際、現像液感度を極力一定に保つような補
充機構を有する自動現像機を用いる。該補充機構は、プ
レートの現像処理やCO2の吸収より現像液のpHが低
下し現像性が低下することを防ぐため、高活性の補充液
を加えるものである。具体的には、通常のPS版の処理
システムでは、電導度を管理して、それが一定になるよ
うに補充液を加える方法や、プレートの現像処理が一定
枚数に達する毎、或いは、一定の処理時間を経過した
後、などに定期的に所定量の補充液を加える方法が提案
されている。しかし、電導度で管理する方法では、現像
処理枚数が増えて感光層の組成物が多く溶解するように
なると、スタート時と比べて同じ電導度値でもpHが異
なり、現像性も異なってくるという事実がある。
【0008】また、平版印刷版の現像処理枚数、或い
は、一定の時間等の、決まった間隔で所定量の補充液を
加える方法では、プレートの単位面積当りの補充量を規
定するため、画像面積によって現像液にとけ込む感光層
の組成物量が異なり、さらに、自動現像機の設置環境
(温度、湿度、CO2濃度等)により経時でのCO2吸収
量が異なる等の要因により、条件が微妙に変化し、一定
値での管理では、均一な現像性を持続的に得るのは困難
であった。
【0009】UV露光を用いる通常の平版印刷版はラチ
チュードが広いため、上記の点は大きな問題にならない
が、赤外レーザー用ネガ感光性平版印刷版は先に述べた
ようにラチチュードが狭いため、現像液の活性度の変化
により、画像形成性が大きく異なるため、平版印刷版の
品質上の問題を容易に引き起こす。しかしながら、汎用
の赤外線レーザ用ネガ型平版印刷版材料に適用して、画
像部の濃度低下、耐刷低下又は現像不良を、簡易な工程
管理で、効果的に防止する方法は未だ見出されていない
のが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記諸問題
を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即
ち、本発明は、ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ネガ
型画像形成層を有する平版印刷版の製版条件、特に、現
像液の活性状態を容易に判定し、その結果を露光/加熱
/現像工程にフィードバックすることで、平版印刷版の
品質を一定に保ち、均一な画像を連続的に形成するため
の品質管理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、検討の結
果、通常、UV露光により製版するポジ型平版印刷版の
適性露光条件を評価するためのグレースケールを用い
て、特定の標準的な露光、現像を行った場合の感度と、
評価対象となる露光、現像を行ったときの感度を測定
し、両者を比較することで、簡単に現像条件の適不適を
検知し、その結果をフィードバックすることで、平版印
刷版の品質管理が容易に行えることを見出し、本発明を
完成した。
【0012】即ち、本発明の画像評価方法は、支持体上
に、赤外線吸収剤と、熱によりラジカル或いは酸を発生
する化合物と、重合性化合物或いは架橋性化合物とを含
む感光層を設けてなるネガ型平版印刷版の品質管理方法
であって、(A)UV露光により製版するポジ型平版印
刷版評価用のグレースケールを露光後、標準的な配合の
標準現像液で現像し、標準現像液処理グレースケール感
度を測定する工程と、(B)前記と同様のUV露光によ
り製版するポジ型平版印刷版評価用のグレースケールを
露光後、評価しようとする現像液で現像し、対象現像液
処理グレースケール感度を測定する工程と、(C)標準
現像処理グレースケール感度と対象現像処理グレースケ
ール感度とを比較する工程と、(D)前記標準現像処理
グレースケール感度と対象現像処理グレースケール感度
を比較した結果、両者の差異が所定の値を超えた場合
に、露光/加熱/現像条件を調整する工程と、を有する
ことを特徴とする。
【0013】ここで、この(D)両者の差異を比較する
工程において、前記グレースケール感度の差異が0.5
段以上となった場合に露光/加熱/現像条件を調整する
ことが、実用上好適であり、また、(C)標準現像処理
グレースケール感度と対象現像処理グレースケール感度
とを比較する工程が、グレースケールが完全なベタ画像
である段数、完全な非画像部である段数のうち少なくと
も一方を比較する工程であることが評価のばらつきのな
さを確保する上で好ましい態様である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。現像条件が標準よりずれた場合、所望されない画像
部の過剰な現像による濃度低下、エッジの不鮮明化や非
画像部の残膜による汚れ、濃度上昇などがおこる。しか
しながら、多様な画像を形成する平版印刷版の場合、目
的とする画像からのずれを検知するのは困難であった。
本発明においては、UV露光により製版するポジ型平版
印刷版の適性露光条件を評価するための汎用のグレース
ケールを用いて評価を行うことで、評価工程の標準化が
達成できた。本発明で用いるグレースケールでは隣接す
る露光部における版面エネルギーの差が40%程度であ
る汎用のものである。
【0015】このようなグレースケールを、一般的な現
像、製版処理が行われている装置において、製版される
平版印刷版の間に、所定の間隔をおいて適用し、製版条
件を確認するのに使用するのが一般的である。
【0016】本発明においては、グレースケールを紫外
線で露光した後、まず、(A)標準的な配合の標準現像
液で現像して感度を測定し、標準現像液処理グレースケ
ール感度を得る。これは、ベースとなる現像条件の標準
試料となるもので、ここで用いた現像液の処方、処理時
間、処理温度などが標準的な工程として採用される。こ
の評価基準となる標準現像液処理グレースケールの感度
は、評価毎に測定する必要はなく、同一の製版処理を行
う連続工程において、評価、管理を行なおうとする場合
には、最初の段階で一枚だけ測定すればよい。
【0017】次に、評価対象となるグレースケール感度
を測定する。これは、経時後の現像液の疲労の状況など
を確認するためのもので、評価を必要とする時点で、先
に述べたのと同様にグレースケールを用いて露光、現像
を行う。これが、(B)前記と同様の条件で露光を行っ
たグレースケールを、評価しようとする現像液で現像す
る他は前記標準現像処理グレースケールと同様にして現
像して感度を測定する、対象現像液処理グレースケール
感度を測定する工程である。このとき、現像処理温度、
処理時間などは、標準現像液処理グレースケール感度を
測定したのと同一の条件とする。
【0018】次に、前記のようにして得られた評価の標
準となるグレースケールと対象となるグレースケールに
おいて、(C)両者のグレースケール感度の比較を行な
う。評価は、一対比較となるので、容易に差異を検知し
得る。感度は版面を目視で評価してもよく、また、平版
印刷版により印刷を行なった結果得られた画像を比較し
てもよい。好ましくは、簡便性の観点から、比較はグレ
ースケールの所定の段が完全なベタ画像であるグレース
ケールの段数(これを、以下、本発明においてはベタ感
度と称する)、完全な非画像部であるグレースケールの
段数(これを、以下、本発明においてはクリア感度と称
する)を求め、標準と対象のクリア感度及び/又はベタ
感度を比較することが、評価のばらつきのなさを確保す
る上で好ましい態様である。このとき、クリア感度及び
ベタ感度の双方を比較しても、一方だけを比較してもよ
い。
【0019】このように、標準的な現像処理を行なった
試料との比較により、露光/加熱/現像条件の変化が容
易に検地できる。したがって、この平版印刷版の評価結
果を、露光工程、加熱工程、現像、製版工程にフィード
バックすることで、平版印刷版の品質管理を合理的に行
なうことができる。即ち、試験した対象現像処理グレー
スケール感度を標準現像処理における感度と比較するこ
とにより、現像性の低下が見られる場合には、露光条
件、加熱条件を上げるか、現像条件を活性化させる手段
をとり、過剰に現像されている場合には、露光条件、加
熱条件を下げるか、現像条件を緩和する手段をとればよ
い。
【0020】この評価結果を露光/加熱/現像工程へフ
ィードバックする場合の限度は、所望される平版印刷版
の均一性により決定すればよいが、一般的には、グレー
スケールの感度の差異が、グレースケールにおける段評
価で0.5段以上となったときが、露光/加熱/現像工
程にフィードバックする目安となる。通常の紫外線露光
の平版印刷版においては、グレースケールにおける段評
価で1.5段〜2.0段になった場合に、フィードバッ
クを行うことを考慮すれば、本発明に係る赤外線露光型
の平版印刷版においては、より精密な管理を行うことが
好ましいことがわかる。
【0021】露光工程を調整するには、レーザー光の出
力、ビーム径、走査速度、露光時間などを調製して、所
望の露光条件に調整すればよい。
【0022】グレースケールの感度の差異、一般的には
そのベタ感度及び/又はクリア感度の差異が規定範囲を
はずれたときの対策方法としては、現像が過剰に行なわ
れている場合には、以下の手段が挙げられる加熱工程に
おいては、 (1)加熱温度を上げる (2)加熱時間を長くする(オーブン内の搬送速度を下げ
る) (3)温風の風量を上げる (4)プレートとヒーターとの距離を短くする 等の手段をとることができる。
【0023】現像工程においては、 (1)現像液に水を加える、 (2)現像液にドライアイスを入れる (3)CO2ガスを吹き込む (4)補充液の希釈比を下げる (5)自動現像機の補充量の設定を少なくする (6)現像温度を下げる (7)現像時間を短くする(自動現像機の搬送速度を上げ
る) (8)自動現像機の現像ブラシの圧力を下げる (9)自動現像機の現像ブラシの数を減らす (10)スプレーの吐出量を下げる (11)現像液を撹拌する (12)現像液を新液に交換する 等の手段をとることができる。また、露光工程、その他
の工程に適用する手段としては、 (13)露光量を上げる (14)赤外レーザー用ネガ感光性平版印刷版を露光前に加
熱する 等の手段をとることができる。
【0024】一方、現像性が低下して、感度の差異が規
定範囲をはずれたときの対策方法としては、以下の手段
が挙げられる加熱工程においては、 (1)加熱温度を下げる (2)加熱時間を短くする(オーブン内の搬送速度を上げ
る) (3)温風の風量を下げる (4)プレートとヒーターとの距離を長くする 等の手段をとることができる。
【0025】現像工程においては、 (1)補充液を加える (2)補充液の希釈比を上げる (3)自動現像機の補充量の設定を多くする (4)現像温度を上げる (5)現像時間を長くする(自動現像機の搬送速度を下げ
る) (6)自動現像機の現像ブラシの圧力を上げる (7)自動現像機の現像ブラシの数を増やす (8)スプレーの吐出量を上げる (9)現像液を新液に交換する 等の手段をとることができる。また、露光工程、その他
の工程に適用する手段としては、 (10)露光量を下げる方法がある。
【0026】以下に、本発明の画像評価方法及び品質管
理方法を適用し得るネガ型平版印刷版原版について説明
する。本発明の方法は赤外線レーザによる書き込み可能
なすべてのネガ型平版印刷版原版、即ち、赤外線レーザ
照射部が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層を有
する平版印刷版原版であれば、いずれのものにも適用す
ることができる。このようなネガ型感光層の1つとし
て、光重合層が挙げられる。光重合層には、(A)赤外
線吸収剤と(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始
剤)と発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化
する(C)ラジカル重合性化合物とを含有し、好ましく
は(D)バインダーポリマーを含有する。赤外線吸収剤
が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱によ
り、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジ
カルを発生する。ラジカル重合性化合物は、少なくとも
一個のエチレン性不飽和二重結合を有し、末端エチレン
性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有
する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的
に重合反応が生起し、硬化する。
【0027】また、感光層の他の態様としては、酸架橋
層が挙げられる。酸架橋層には、(E)光又は熱により
酸を発生する化合物(以下、酸発生剤と称する)と、
(F)発生した酸により架橋する化合物(以下、架橋剤
と称する)とを含有し、さらに、これらを含有する層を
形成するための、酸の存在下で架橋剤と反応しうる
(G)アルカリ可溶性ポリマーを含む。この酸架橋層に
おいては、光照射又は加熱により、酸発生剤が分解して
発生した酸が、架橋剤の働きを促進し、架橋剤同士ある
いは架橋剤とバインダーポリマーとの間で強固な架橋構
造が形成され、これにより、アルカリ可溶性が低下し
て、現像剤に不溶となる。このとき、赤外線レーザのエ
ネルギーを効率よく使用するため、感光層中には(A)
赤外線吸収剤が配合される。
【0028】ネガ型平版印刷版原版の感光層に用いられ
る各化合物について以下に述べる。 [(A)赤外線吸収剤]本発明に係る平版印刷版原版の
感光層は、赤外線を発するレーザで画像記録可能な構成
を有する。このような感光層には、赤外線吸収剤を用い
ることが好ましい。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を
熱に変換する機能を有している。この際発生した熱によ
り、ラジカル発生剤や酸発生剤が分解し、ラジカルや酸
を発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤
は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有す
る染料又は顔料である。
【0029】染料としては、市販の染料及び例えば「染
料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の
文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、例えば、特開平10−39509号公報の段落番
号[0050]〜[0051]に記載のものを挙げるこ
とができる。これらの染料のうち特に好ましいものとし
ては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、シ
アニン色素が好ましく、特に下記一般式(I)で示され
るシアニン色素が最も好ましい。
【0030】
【化1】
【0031】一般式(I)中、X1は、ハロゲン原子、
またはX2−L1を示す。ここで、X2は酸素原子また
は、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭
化水素基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立に、炭
素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の
保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上
の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2
とは互いに結合し、5員環または6員環を形成している
ことが特に好ましい。Ar1、Ar2は、それぞれ同じで
も異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香
族炭化水素基を示す。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異
なっていても良く、硫黄原子または炭素原子数12個以
下のジアルキルメチレン基を示す。R 3、R4は、それぞ
れ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても
良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好まし
い置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ
基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5
6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていて
も良く、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水
素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子で
ある。また、Z1-は、対アニオンを示す。ただし、R1
〜R8のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、
1-は必要ない。好ましいZ1-は、感光層塗布液の保存
安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラ
フルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェート
イオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましく
は、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイ
オン、およびアリールスルホン酸イオンである。
【0032】本発明において、好適に用いることのでき
る一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例として
は、特願平11−310623号明細書の段落番号[0
017]〜[0019]に記載されたものを挙げること
ができる。
【0033】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。
【0034】顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。これらの顔料の詳細
は、特開平10−39509号公報の段落番号[005
2]〜[0054]に詳細に記載されており、これらを
本発明にも適用することができる。これらの顔料のうち
好ましいものはカーボンブラックである。
【0035】感光層中における、上述の染料又は顔料の
含有量としては、感光層の全固形分重量に対し、0.0
1〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより
好ましく、さらに染料の場合には、0.5〜10重量%
が最も好ましく、顔料の場合には、1.0〜10重量%
が最も好ましい。前記含有量が、0.01重量%未満で
あると、感度が低くなることがあり、50重量%を超え
ると、平版印刷用原版とした場合の非画像部に汚れが発
生することがある。
【0036】[(B)ラジカルを発生する化合物]本発
明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物
としては、オニウム塩が挙げられ、具体的には、ヨード
ニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩である。こ
れらのオニウム塩は酸発生剤としての機能も有するが、
後述するラジカル重合性化合物と併用する際には、ラジ
カル重合の開始剤として機能する。本発明において好適
に用いられるオニウム塩は、下記一般式(III)〜
(V)で表されるオニウム塩である。
【0037】
【化2】
【0038】式(III)中、Ar11とAr12は、それぞ
れ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個
以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有
する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニ
トロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子
数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個
以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲ
ンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイ
オン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスル
ホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表
し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォ
スフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンで
ある。
【0039】式(IV)中、Ar21は、置換基を有してい
ても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好
ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素
原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下
のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキ
シ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素
原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数1
2個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個
以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21 -はZ11-
と同義の対イオンを表す。
【0040】式(V)中、R31、R32及びR33は、それ
ぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していて
も良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ま
しい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原
子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下の
アルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリール
オキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオン
を表す。
【0041】本発明において、好適に用いることのでき
るオニウム塩の具体例としては、特願平11−3106
23号明細書の段落番号[0030]〜[0033]に
記載されたものを挙げることができる。
【0042】本発明において用いられるオニウム塩は、
極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、
さらに360nm以下であることが好ましい。このよう
に吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版
原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
【0043】これらのオニウム塩は、感光層塗布液の全
固形分に対し0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜
30重量%、特に好ましくは1〜20重量%の割合で感
光層塗布液中に添加することができる。添加量が0.1
重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を
越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。これらのオ
ニウム塩は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併
用しても良い。また、これらのオニウム塩は他の成分と
同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加
してもよい。
【0044】[(C)ラジカル重合性化合物]本発明に
係る感光層に使用されるラジカル重合性化合物は、少な
くとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカ
ル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少
なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選
ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く
知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限
定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、
プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマ
ー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体な
どの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の
例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が
あげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。ま
た、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求
核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド
類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ
類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン
酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イ
ソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有す
る不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能
もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオー
ル類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキ
シ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステ
ルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコー
ル類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適
である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸
の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換え
た化合物群を使用する事も可能である。
【0045】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物である
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン
酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エス
テル、マレイン酸エステルの具体例は、特願平11−3
10623号明細書の段落番号[0037]〜[004
2]に記載されており、これらを本発明にも適用するこ
とができる。
【0046】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926、特公昭51−47334、特開
昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステ
ル類や、特開昭59−5240、特開昭59−524
1、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有す
るもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有
するもの等も好適に用いられる。
【0047】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。
【0048】その他の好ましいアミド系モノマーの例と
しては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレ
ン構造を有すものをあげる事ができる。
【0049】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記式(VI)で示される水酸基を含有するビニ
ルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビ
ニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられ
る。
【0050】一般式(VI) CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH (ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示
す。)
【0051】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−
49860号、特公昭56−17654号、特公昭62
−39417、特公昭62−39418号記載のエチレ
ンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適で
ある。
【0052】さらに、特開昭63−277653,特開
昭63−260909号、特開平1−105238号に
記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有
するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
【0053】その他の例としては、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号、各公報に記載されているようなポリエステル
アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートをあげることができる。また、
特公昭46−43946号、特公平1−40337号、
特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、
特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合
物等もあげることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を
含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会
誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(198
4年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介
されているものも使用することができる。
【0054】これらのラジカル重合性化合物について、
どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用する
か、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終
的な記録材料の性能設計にあわせて、任意に設定でき
る。例えば、次のような観点から選択される。感度の点
では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好まし
く、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、画像
部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以
上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性
基を有する化合物(例えば、アクリル酸エステル系化合
物、メタクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物
等)を組み合わせて用いることで、感光性と強度の両方
を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物
や、疎水性の高い化合物は感度や膜強度に優れる反面、
現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく
無い場合がある。また、感光層中の他の成分(例えばバ
インダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分
散性に対しても、ラジカル重合化合物の選択・使用法は
重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2
種以上化合物の併用によって、相溶性を向上させうるこ
とがある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性
を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり
得る。画像記録層(感光層)中のラジカル重合性化合物
の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、
多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、画
像記録層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感
光層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液
からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点
から、ラジカル重合性化合物の好ましい配合比は、多く
の場合、組成物全成分に対して5〜80重量%、好まし
くは20〜75重量%である。また、これらは単独で用
いても2種以上併用してもよい。そのほか、ラジカル重
合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、
解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点か
ら適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに
場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方
法も実施しうる。
【0055】[(D)バインダーポリマー]本発明にお
いては、さらにバインダーポリマーを使用する。バイン
ダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好まし
い。このような「線状有機ポリマー」としては、どれを
使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アル
カリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ
水可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択さ
れる。線状有機ポリマーは、感光層を形成するための皮
膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは
有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能
になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖に
カルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭5
9−44615号、特公昭54−34327号、特公昭
58−12577号、特公昭54−25957号、特開
昭54−92723号、特開昭59−53836号、特
開昭59−71048号に記載されているもの、すなわ
ち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタ
コン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重
合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。ま
た同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘
導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無
水物を付加させたものなどが有用である。
【0056】特にこれらの中で、ベンジル基またはアリ
ル基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリ
ル樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れてお
り、好適である。
【0057】また、特公平7−12004号、特公平7
−120041号、特公平7−120042号、特公平
8−12424号、特開昭63−287944号、特開
昭63−287947号、特開平1−271741号、
特願平10−116232号等に記載される酸基を含有
するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に
優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
【0058】さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーと
して、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド
等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにア
ルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロ
キシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリ
エーテル等も有用である。
【0059】本発明で使用されるポリマーの重量平均分
子量については好ましくは5000以上であり、さらに
好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量に
ついては好ましくは1000以上であり、さらに好まし
くは2000〜25万の範囲である。多分散度(重量平
均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに
好ましくは1.1〜10の範囲である。
【0060】これらのポリマーは、ランダムポリマー、
ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい
が、ランダムポリマーであることが好ましい。
【0061】本発明で使用されるポリマーは従来公知の
方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒と
しては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロ
リド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセト
ン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、
ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶
媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0062】本発明で使用されるポリマーを合成する際
に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始
剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が使用できる。
【0063】本発明で使用されるバインダーポリマーは
単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマー
は、感光層塗布液の全固形分に対し20〜95重量%、
好ましくは30〜90重量%の割合で感光層中に添加さ
れる。添加量が20重量%未満の場合は、画像形成した
際、画像部の強度が不足する。また添加量が95重量%
を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合
可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状
有機ポリマーは、重量比で1/9〜7/3の範囲とする
のが好ましい。
【0064】次に、酸架橋層の構成成分について説明す
る。ここで用いられる赤外線吸収剤は、前記光重合層に
おいて説明した(A)赤外線吸収剤と同様のものを用い
ることができる。好ましい含有量は、感光層の全固形分
重量に対し、0.01〜50重量%が好ましく、0.1
〜10重量%がより好ましく、さらに染料の場合には、
0.5〜10重量%が最も好ましく、顔料の場合には、
1.0〜10重量%が最も好ましい。前記含有量が、
0.01重量%未満であると、感度が低くなることがあ
り、50重量%を超えると、平版印刷用原版とした場合
の非画像部に汚れが発生することがある。
【0065】[(E)酸発生剤]本実施の形態におい
て、熱により分解して酸を発生する酸発生剤は、200
〜500nmの波長領域の光を照射する又は100℃以
上に加熱することにより、酸を発生する化合物をいう。
前記酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光
ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色
剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知
の酸発生剤等、熱分解して酸を発生しうる、公知の化合
物及びそれらの混合物等が挙げられる。例えば、S.
I.Schlesinger,Photogr.Sc
i.Eng.,18,387(1974)、T.S.B
al et al,Polymer,21,423(1
980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,06
9,055号明細書、特開平4−365049号等に記
載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055
号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホ
ニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第3
39,049号、同第410,201号の各明細書、特
開平2−150848号、特開平2−296514号に
記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、
同390,214号、同233,567号、同297,
443号、同297,442号、米国特許第4,93
3,377号、同161,811号、同410,201
号、同339,049号、同4,760,013号、同
4,734,444号、同2,833,827号、独国
特許第2,904,626号、同3,604,580
号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホ
ニウム塩、
【0066】J.V.Crivello et al,
Macromolecules,10(6),1307
(1977)、J.V.Crivello et a
l,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載
のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Te
h,Proc.Conf.Rad.Curing AS
IA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記
載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,9
05,815号明細書、特公昭46−4605号、特開
昭48−36281号、特開昭55−32070号、特
開昭60−239736号、特開昭61−169835
号、特開昭61−169837号、特開昭62−582
41号、特開昭62−212401号、特開昭63−7
0243号、特開昭63−298339号に記載の有機
ハロゲン化合物、特開平2−161445号公報に記載
の有機金属/有機ハロゲン化物、欧州特許第0290,
750号、同046,083号、同156,535号、
同271,851号、同0,388,343号、米国特
許第3,901,710号、同4,181,531号の
各明細書、特開昭60−198538号、特開昭53−
133022号に記載のo−ニトロベンジル型保護基を
有する光酸発生剤、欧州特許第0199,672号、同
84515号、同199,672号、同044,115
号、同0101,122号、米国特許第4,618,5
64号、同4,371,605号、同4,431,77
4号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2
−245756号、特願平3−140109号に記載の
イミノスルフォネート等に代表される、光分解してスル
ホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号
に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0067】また、これら酸を発生する基又は化合物
を、ポリマーの主鎖若しくは側鎖に導入した化合物も好
適に挙げることができ、例えば、米国特許第3,84
9,137号、独国特許第3,914,407号の各明
細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164
824号、特開昭62−69263号、特開昭63−1
46037号、特開昭63−163452号、特開昭6
2−153853号、特開昭63−146029号に記
載の化合物が挙げられる。さらに、V.N.R.Pil
lai,Synthesis,(1),1(198
0)、A.Abad et al,Tetrahedr
on Lett.,(47)4555(1971)、
D.H.R.Barton et al,J.Che
m,Soc,.(B),329(1970)、米国特許
第3,779,778号、欧州特許第126,712号
の各明細書等に記載の、光により酸を発生する化合物も
使用可能である。上述の酸発生剤のうち、下記一般式
(I)〜(V)で表される化合物が好ましい。
【0068】
【化3】
【0069】前記一般式(I)〜(V)中、R1、R2
4及びR5は、同一でも異なっていてもよく、置換基を
有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。
3は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素
数10以下の炭化水素基又は炭素数10以下のアルコキ
シ基を表す。Ar1、Ar2は、同一でも異なっていても
よく、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリ
ール基を表す。R6は、置換基を有していてもよい炭素
数20以下の2価の炭化水素基を表す。nは、0〜4の
整数を表す。前記式中、R1、R2、R4及びR5は、炭素
数1〜14の炭化水素基が好ましい。
【0070】前記一般式(I)〜(V)で表される酸発
生剤の好ましい態様は、本発明者らが先に提案した特願
平11−320997号明細書段落番号[0197]〜
[0222]に詳細に記載されている。これらの化合物
は、例えば、特開平2−100054号、特開平2−1
00055号に記載の方法により合成することができ
る。
【0071】また、(E)酸発生剤として、ハロゲン化
物やスルホン酸等を対イオンとするオニウム塩も挙げる
ことができ、中でも、下記一般式(VI)〜(VIII)
で表されるヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニ
ウム塩のいずれかの構造式を有するものを好適に挙げる
ことができる。
【0072】
【化4】
【0073】前記一般式(VI)〜(VIII)中、X
-は、ハロゲン化物イオン、ClO4 -、PF6 -、SbF6
-、BF4 -又はR7SO3 -を表し、ここで、R7は、置換
基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表
す。Ar3、Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有して
いてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。R8
9、R10は、置換基を有していてもよい炭素数18以
下の炭化水素基を表す。このようなオニウム塩は、特開
平10−39509号公報段落番号[0010]〜[00
35]に一般式(I)〜(III)の化合物として記載され
ている。
【0074】酸発生剤の添加量としては、感光層の全固
形分重量に対し0.01〜50重量%が好ましく、0.
1〜25重量%がより好ましく、0. 5〜20重量%が
最も好ましい。前記添加量が、0.01重量%未満であ
ると、画像が得られないことがあり、50重量%を超え
ると、平版印刷用原版とした時の印刷時において非画像
部に汚れが発生することがある。上述の酸発生剤は単独
で使用してもよいし、2種以上を組合わせて使用しても
よい。
【0075】[(F)架橋剤]次に、架橋剤について説明
する。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。 (i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基
で置換された芳香族化合物 (ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル
基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物 (iii)エポキシ化合物
【0076】以下、前記(i)〜(iii)の化合物につ
いて詳述する。前記(i)ヒドロキシメチル基若しくは
アルコキシメチル基で置換された芳香族化合物として
は、例えば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基
若しくはアルコキシメチル基でポリ置換されている芳香
族化合物又は複素環化合物が挙げられる。但し、レゾー
ル樹脂として知られるフェノール類とアルデヒド類とを
塩基性条件下で縮重合させた樹脂状の化合物も含まれ
る。ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基でポリ
置換された芳香族化合物又は複素環化合物のうち、中で
も、ヒドロキシ基に隣接する位置にヒドロキシメチル基
又はアルコキシメチル基を有する化合物が好ましい。ま
た、アルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合物
又は複素環化合物では、中でも、アルコキシメチル基が
炭素数18以下の化合物が好ましく、下記一般式(1)
〜(4)で表される化合物がより好ましい。
【0077】
【化5】
【0078】
【化6】
【0079】前記一般式(1)〜(4)中、L1〜L
8は、それぞれ独立に、メトキシメチル、エトキシメチ
ル等の、炭素数18以下のアルコキシ基で置換されたヒ
ドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を表す。これ
らの架橋剤は、架橋効率が高く、耐刷性を向上できる点
で好ましい。
【0080】(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アル
コキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有
する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−
A」と示す。)第0,133,216号、西独特許第
3,634,671号、同第3,711,264号に記
載の、単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデ
ヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP
−A第0,212,482号明細書に記載のアルコキシ
置換化合物等が挙げられる。なかでも、例えば、少なく
とも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキ
シメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する
メラミン−ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、N−ア
ルコキシメチル誘導体が最も好ましい。
【0081】(iii) エポキシ化合物としては、1以上の
エポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、オリゴマ
ー、ポリマー状のエポキシ化合物が挙げられ、例えば、
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成
物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピ
クロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その
他、米国特許第4,026,705号、英国特許第1,
539,192号の各明細書に記載され、使用されてい
るエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0082】架橋剤として、前記(i)〜(iii)の化
合物を用いる場合の添加量としては、感光層の全固形分
重量に対し5〜80重量%が好ましく、10〜75重量
%がより好ましく、20〜70重量%が最も好ましい。
前記添加量が、5重量%未満であると、得られる画像記
録材料の感光層の耐久性が低下することがあり、80重
量%を超えると、保存時の安定性が低下することがあ
る。
【0083】本発明においては、架橋剤として、(iv)
下記一般式(5)で表されるフェノール誘導体も好適に
使用することができる。
【0084】
【化7】
【0085】前記一般式(5)中、Ar1は、置換基を
有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。原料の入手
性の点で、前記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン
環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましい。ま
た、その置換基としては、ハロゲン原子、炭素数12以
下の炭化水素基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素
数12以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、ト
リフルオロメチル基等が好ましい。
【0086】上記のうち、高感度化が可能である点で、
Ar1としては、置換基を有していないベンゼン環、ナ
フタレン環、或いは、ハロゲン原子、炭素数6以下の炭
化水素基、炭素数6以下のアルコキシ基、炭素数6以下
のアルキルチオ基又はニトロ基等を置換基として有する
ベンゼン環又はナフタレン環がより好ましい。
【0087】[(G)アルカリ水可溶性高分子化合物]本発
明に係る架橋層に使用可能なアルカリ水可溶性高分子化
合物としては、ノボラック樹脂や側鎖にヒドロキシアリ
ール基を有するポリマー等が挙げられる。前記ノボラッ
ク樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類を酸性条
件下で縮合させた樹脂が挙げられる。
【0088】中でも、例えば、フェノールとホルムアル
デヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールと
ホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−ク
レゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹
脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノ
ボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒド
から得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾー
ルとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フ
ェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p
−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい)の
混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂
や、フェノールとパラホルムアルデヒドとを原料とし、
触媒を使用せず密閉状態で高圧下、反応させて得られる
オルソ結合率の高い高分子量ノボラック樹脂等が好まし
い。前記ノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜
300,000で、数平均分子量が400〜60,00
0のものの中から、目的に応じて好適なものを選択して
用いればよい。
【0089】また、前記側鎖にヒドロキシアリール基を
有するポリマーも好ましく、該ポリマー中のヒドロキシ
アリール基としては、OH基が1以上結合したアリール
基が挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フ
ェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナント
レニル基等が挙げられ、中でも、入手の容易性及び物性
の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましい。本
実施の形態に使用可能な、側鎖にヒドロキシアリール基
を有するポリマーとしては、例えば、下記一般式(I
X)〜(XII)で表される構成単位のうちのいずれか1
種を含むポリマーを挙げることができる。但し、本発明
においては、これらに限定されるものではない。
【0090】
【化8】
【0091】一般式(IX)〜(XII)中、R11は、水
素原子又はメチル基を表す。R12及びR13は、同じでも
異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数
10以下の炭化水素基、炭素数10以下のアルコキシ基
又は炭素数10以下のアリールオキシ基を表す。また、
12とR13が結合、縮環してベンゼン環やシクロヘキサ
ン環を形成していてもよい。R14は、単結合又は炭素数
20以下の2価の炭化水素基を表す。R15は、単結合又
は炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R16は、
単結合又は炭素数10以下の2価の炭化水素基を表す。
1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エ
ステル結合又はアミド結合を表す。pは、1〜4の整数
を表す。q及びrは、それぞれ独立に0〜3の整数を表
す。
【0092】これらのアルカリ可溶性高分子としては、
本発明者らが先に提案した特願平11−320997号
明細書段落番号[0130]〜[0163]に詳細に記載さ
れている。本実施の形態に使用可能なアルカリ水可溶性
高分子化合物は、1種類のみで使用してもよいし、2種
類以上を組合わせて使用してもよい。
【0093】アルカリ水可溶性高分子化合物の添加量と
しては、感光層の全固形分に対し5〜95重量%が好ま
しく、10〜95重量%がより好ましく、20〜90重
量%が最も好ましい。アルカリ水可溶性樹脂の添加量
が、5重量%未満であると、感光層の耐久性が劣化する
ことがあり、95重量%を超えると、画像形成されない
ことがある。
【0094】また、本発明の方法が適用できる公知の記
録材料としては、特開平8−276558号公報に記載
のフェノール誘導体を含有するネガ型画像記録材料、特
開平7−306528号公報に記載のジアゾニウム化合
物を含有するネガ型記録材料、特開平10−20303
7号公報に記載されている環内に不飽和結合を有する複
素環基を有するポリマーを用いた、酸触媒による架橋反
応を利用したネガ型画像形成材料などが挙げられ、これ
らに記載の感光層を本発明に係るネガ型感光層としての
酸架橋層に適用することができる。
【0095】[その他の成分]本発明では、さらに必要
に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよい。
例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色
剤として使用することができる。また、フタロシアニン
系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンな
どの顔料も好適に用いることができる。これらの着色剤
は、画像形成後、画像部と非画像部の区別がつきやすい
ので、添加する方が好ましい。なお、添加量は、感光層
塗布液全固形分に対し、0.01〜10重量%の割合で
ある。
【0096】また、本発明においては、感光層が光重合
層である場合、塗布液の調製中あるいは保存中において
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する
化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防
止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤と
してはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−
t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチ
ルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メ
チレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン
アルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量
は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重
量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻
害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような
高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で
感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の
添加量は、全組成物の約0.1重量%〜約10重量%が
好ましい。
【0097】また、本発明における感光層塗布液中に
は、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開
昭62−251740号や特開平3−208514号に
記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59
−121044号、特開平4−13149号に記載され
ているような両性界面活性剤を添加することができる。
【0098】非イオン界面活性剤の具体例としては、ソ
ルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセ
リド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が
挙げられる。
【0099】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、
商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。
【0100】上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性
剤の感光層塗布液中に占める割合は、0.05〜15重
量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であ
る。
【0101】さらに、本発明に係る感光層塗布液中に
は、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑
剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、ク
エン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチ
ル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸
トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチ
ル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられ
る。
【0102】本発明の方法に適用し得る画像形成材料、
即ち、平版印刷版原版を製造するには、通常、感光層塗
布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持
体上に塗布すればよい。ここで使用する溶媒としては、
エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチ
ルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−
2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1
−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタ
ン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセト
アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチル
ウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等
を挙げることができるがこれに限定されるものではな
い。これらの溶媒は単独又は混合して使用される。溶媒
中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ま
しくは1〜50重量%である。
【0103】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感
光層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版
印刷版原版についていえば一般的に0.5〜5.0g/
2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を
用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回
転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、
エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げ
ることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけ
の感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感光層の
皮膜特性は低下する。
【0104】[支持体]本発明の方法を適用し得る平版
印刷版原版において前記感光層を塗布可能な支持体とし
ては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラ
スチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例え
ば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィル
ム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プ
ロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如
き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチ
ックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体として
は、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げら
れる。
【0105】本発明の平版印刷版原版に使用する支持体
としては、軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れた
アルミニウム板を使用することが好ましい。この目的に
供されるアルミニウム材質としては、JIS 1050
材、JIS 1100材、JIS 1070材、Al−
Mg系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合
金、Al−Zr系合金。Al−Mg−Si系合金などが
挙げられる。
【0106】好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含
む前記の如き合金板であり、更にアルミニウムがラミネ
ートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよ
い。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、
鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビス
マス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の
含有量は10重量%以下である。アルミニウム板として
は、純アルミニウムが好ましいが、完全に純粋なアルミ
ニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元
素を含有するものでもよい。このように、アルミニウム
板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公
知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することが
できる。前記アルミニウム板の厚みとしては、およそ
0.1〜0.6mm程度が好ましく、0.15〜0.4
mmがより好ましく、0.2〜0.3mmが特に好まし
い。
【0107】前記アルミニウム板を粗面化するに先立
ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば
界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによ
る脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化
処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的
に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する
方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行
われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研
磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を
用いることができる。また、電気化学的な粗面化法とし
ては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行
う方法がある。
【0108】この様に粗面化されたアルミニウム板は、
必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理さ
れた後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるた
めに陽極酸化処理が施される。陽極酸化による、陽極酸
化皮膜の量は、1.0g/m 2以上が好ましい。陽極酸
化皮膜の量が、1.0g/m2未満の場合には、耐刷性
が不十分であったり、平版印刷版として用いた場合に
は、非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分
にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる
ことがある。前記陽極酸化処理を施された後、前記アル
ミニウムの表面は、必要に応じて親水化処理が施され
る。
【0109】また、このようなアルミニウム支持体は陽
極酸化処理後に有機酸またはその塩による処理または、
感光層塗布の下塗り層を適用して用いることができる。
【0110】なお支持体と感光層との密着性を高めるた
めの中間層を設けてもよい。密着性の向上のためには、
一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウムに
吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層の厚さ
は任意であり、露光した時に、上層の感光層と均一な結
合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通常、
乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよく、
5〜40mg/m2が特に良好である。中間層中におけ
るジアゾ樹脂の使用割合は、30〜100%、好ましく
は60〜100%である。
【0111】支持体表面に以上のような処理或いは、下
塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じ
てバックコートが設けられる。かかるバックコートとし
ては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合
物および特開平6−35174号記載の有機または無機
金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属
酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
【0112】平版印刷版用支持体として好ましい特性と
しては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μmであ
る。0.10μmより低いと感光層と密着性が低下し、
著しい耐刷の低下を生じてしまう。1.2μmより大き
い場合、印刷時の汚れ性が悪化してしまう。さらに支持
体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.
65であり、0.15より白い場合、画像露光時のハレ
ーションが強すぎ画像形成に支障をきたしてしまい、
0.65より黒い場合、現像後の検版作業において画像
が見難くく、著しく検版性が悪いものとなってしまう。
【0113】以上のようにして、本発明の方法を適用し
うるネガ型の平版印刷版原版を作成することができる。
この平版印刷版原版は、赤外線レーザで記録できる。ま
た、紫外線ランプやサーマルヘッドによる熱的な記録も
可能である。本発明においては、波長760nmから1
200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レ
ーザにより画像露光されることが好ましい。レーザの出
力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するた
め、マルチビームレーザデバイスを用いることが好まし
い。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であ
ることが好ましい。記録材料に照射されるエネルギーは
10〜300mJ/cm2であることが好ましい。
【0114】赤外線レーザにより露光した後、平版印刷
版原版は、好ましくは、水又はアルカリ性水溶液にて現
像される。ここで、本発明の品質管理方法を適用する場
合、形成された画像を評価し、それに応じて所望によ
り、先に述べたような現像条件の制御を行うものであ
る。
【0115】現像液として、アルカリ性水溶液を用いる
場合、本発明の方法に係る現像液及び補充液としては、
従来公知のアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ
酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同
カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同
カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウ
ム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウ
ム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、
同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、
同カリウム及び同リチウム等の無機アルカリ塩が挙げら
れる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリ
メチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、ト
リエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロ
ピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイ
ソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジア
ミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も用いられる。これ
らのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わせて用い
られる。
【0116】さらに、自動現像機を用いて現像する場合
には、現像液と同じものまたは、現像液よりもアルカリ
強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによ
って、長時間現像タンク中の現像液を交換することな
く、多量の平版印刷版原版を処理できることが知られて
いる。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用さ
れる。この補充を行う場合にも、必要に応じて前記品質
管理方法に係る制御を適用することができる。
【0117】現像液及び補充液には現像性の促進や抑
制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高
める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤等
を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン
系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げ
られる。好ましい有機溶剤としてはベンジルアルコール
等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール若しく
はその誘導体、又はポリプロピレングリコール若しくは
その誘導体等の添加も好ましい。また、アラビット、ソ
ルビット、マンニット等の非還元糖を添加することもで
きる。
【0118】さらに、現像液及び補充液には必要に応じ
て、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸または亜硫酸
水素酸のナトリウム塩およびカリウム塩等の無機塩系還
元剤、さらに有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加
えることもできる。
【0119】以上記述した現像液及び補充液を用いて現
像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有す
るリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化
液で後処理されたのち、印刷に用いられる。
【0120】近年、製版・印刷業界では製版作業の合理
化及び標準化のため、印刷用版材用の自動現像機が広く
用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後
処理部からなり、印刷用版材を搬送する装置と各処理液
槽とスプレー装置とからなり、露光済みの印刷版を水平
に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレ
ーノズルから吹き付けて現像処理するものである。ま
た、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイド
ロール等によって印刷用版材を浸漬搬送させて処理する
方法も知られている。このような自動処理においては、
各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充し
ながら処理することができる。また、電気伝導度をセン
サーにて感知し、自動的に補充することもできる。この
ような自動現像機においても、本発明の品質管理方法を
適用することにより、より安定した品質の平版印刷版を
得ることができる。また、実質的に未使用の処理液で処
理するいわゆる使い捨て処理方式にも、温度或いは処理
時間を制御することで、本発明の方法を適用できる。
【0121】以上のようにして得られた平版印刷版は、
所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供
することができる。本発明の方法を適用して、所定の工
程を経て画像形成された平版印刷版は、均一の品質を保
持することができるため、オフセット印刷機等にかけら
れ、多数枚の印刷に好適に用いられる。
【0122】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1) <架橋剤[KZ−9]の合成>1−[α−メチル−α−
(4−ヒドロキシフェニル)エチル]―4―[α、α−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンを、
水酸化カリウム水溶液中で、ホルマリンと反応させた。
反応溶液を硫酸で酸性とし晶析させ、更にメタノールか
ら再結晶することにより、下記構造の架橋剤[KZ−
9]を得た。逆相HPLCにより純度を測定したとこ
ろ、92%であった。
【0123】
【化9】
【0124】<バインダーポリマー[BP−1]の入手
>丸善石油化学(株)製のポリ(p−ヒドロキシスチレ
ン)、マルカ リンカーM S−4P(商品名)を入手
し、[BP−1]とした。
【0125】<支持体の調製>厚さ0.30mmのアル
ミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレン洗浄
して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパ
ミストン−水懸濁液を用い、その表面を砂目立てし、よ
く水で洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリ
ウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い水洗後、
更に2%HNO 3 に20秒間浸漬して水洗した。この時
の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2 であっ
た。次に、この板を7%H2SO4を電解液として電流密
度15A/dm2 で3g/m2 の直流陽極酸化皮膜を設
けた後、水洗乾燥した。次に、このアルミニウム板に下
記下塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥
後の被覆量は10mg/m2 であった。
【0126】 <下塗り液> ・β−アラニン ・・・ 0.1 g ・フェニルホスホン酸 ・・・ 0.05g ・メタノール ・・・40 g ・純水 ・・・60 g
【0127】次に、下記溶液[P−1]を調製し、この
溶液を、上記の下塗り済みのアルミニウム板に塗布し、
100℃で1分間乾燥してネガ型平版印刷版原版[P−
1]を得た。乾燥後の被覆量は1.5g/m2 であっ
た。
【0128】 <溶液[P−1]> ・ノニルフェノール(異性体混合物、Aldrich社製)・ 0.05g ・酸発生剤[SH−1] ・・・ 0.3 g ・架橋剤[KZ−9] ・・・ 0.5 g ・バインダーポリマー[BP−1] ・・・ 1.5 g ・赤外線吸収剤[IK−1] ・・・ 0.07g ・AIZEN SPILON BLUE C−RH ・・・ 0.035g (保土ヶ谷化学(株)製) ・フッ素系界面活性剤 ・・・ 0.01g (メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン ・・・12 g ・メチルアルコール ・・・10 g ・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・ 8 g
【0129】溶液[P−1]に用いた酸発生剤[SH−
1]及び赤外線吸収剤[IK−1]の構造を以下に示
す。
【0130】
【化10】
【0131】次に、浸漬型現像槽を有する市販の自動現
像機LP−900H(富士写真フイルム(株)製)の現
像処理槽に、下記組成のアルカリ現像処理液A(pH約
13)を20リットル仕込み、30℃に保温した。LP
−900Hの第二浴目には、水道水を8リットル、第三
浴目には、FP−2W(富士写真フイルム(株)製):
水=1:1希釈したフィニッシングガム液を8リットル
仕込んだ。
【0132】 〔アルカリ現像処理液Aの組成〕 ・SiO2・K2O 4.0重量% (K2O/SiO2=1.1(モル比)) ・クエン酸 0.5重量% ・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 0.5重量% ・水 95.0重量%
【0133】露光した平版印刷版[P−1](650m
m×550mm×0.24mm厚)をLP−900H
で、一版現像処理する毎に、下記組成の現像補充液Bを
35ccずつ補充しながら処理した。
【0134】 〔現像補充液Bの組成〕 ・SiO2・K2O 5.0重量% (K2O/SiO2=1.1(モル比)) ・クエン酸 0.6重量% ・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 0.6重量% ・水 93.8重量%
【0135】平版印刷版[P−1](650mm×55
0mm×0.3mm厚)をプレートセッターLuxce
l Platesetter 9000CTP(富士写
真フイルム(株)製)を用いて(出力270mW、回転
数1000rpm、解像度2438dpi)露光し、続
いて、搬送式オーブンSPC Mini EV34(商
品名:Wisconsin社製)内を搬送することによ
り、版面温度146℃で75秒間加熱処理を行った後、
一日当り100版現像処理し、3ヵ月間現像処理した。
その際、毎日最初にLuxcel Platesett
er 9000CTPで上記画像を用いて、露光量27
0mW(135mJ/cm2)で露光現像した。その
後、毎日最初にUV露光により製版するポジ型平版印刷
版(富士写真フイルム社製ポジ型PS版商品名:VS)
をSCREEN社製P−806Gを用いて、モード2で
14cts(6Wメタルハライドランプ/1m)で露光
してグレースケールを作成した。このグレースケールを
用いて、クリア感度を求めた。初日はクリア感度5.5
段であった。そこでこのクリア感度が0.5段標準より
はずれた際に、露光量を変化させて、上記範囲におさま
るように調整した。本発明の現像液管理方法により、9
0日間安定に現像処理できた。
【0136】なお、20日目にクリアー感度が6.0段
に上昇したため、本発明の管理方法に基づいてフィード
バックし、加熱温度を149℃に変化させた。30日目
にクリアー感度が6.0段に上昇したため、現像液温度
を30.0℃から28.0℃に変更した。40日目にク
リアー感度が5.0段に低下したため、設定露光量30
0mWに変化させた。さらに、58日目にクリアー感度
が5.0段に低下したため、加熱温度を143℃に変更
した。その後は90日目まで、安定した現像状態が得ら
れた。
【0137】本発明の品質管理方法により、平版印刷版
[P−1]は90日間安定に現像処理できた。なお、2
0日目にクリアー感度が当初の設定値よりも高くなった
ため、本発明の品質管理方法を用いなければ、自動現像
機は、好ましい状態の平版印刷版を得られる条件では、
20日間しか稼働できなかったことになる。このことか
ら、本発明の品質管理方法が有効であることがわかる。
また、フィードバックする条件も、本実施例より、露光
条件、加熱条件、現像条件のいずれを調整しても、有効
な制御を行い得ることがわかった。
【0138】(実施例2) [支持体の作成]99.5%以上のアルミニウムと、F
e 0.30%、Si 0.10%、Ti0.02%、C
u 0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を
清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中
の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理
し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳
造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの
鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化
してしまわないように550℃で10時間均質化処理を
行った。 次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉
中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行っ
て、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧
延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中
心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その
後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにか
けた。
【0139】次に平版印刷版支持体とするための表面処
理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去
するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒
間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間
中和、スマット除去処理を行った。
【0140】次いで支持体と感光層の密着性を良好に
し、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面
を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1%
の硝酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶液を45
℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接
給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー
比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm
2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10%
アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処
理を行い、30%%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、
スマット除去処理を行った。
【0141】さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上
させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形
成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用
い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電
セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うこと
で2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。
【0142】この後印刷版非画像部としての親水性を確
保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸
ソーダ1.5%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接
触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。S
iの付着量は10mg/m2であった。以上により作成
した支持体のRa(中心線表面粗さ)は0.25μmで
あった。
【0143】[下塗り]次に、このアルミニウム支持体
に下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥
装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被服
量は10mg/m2であった。
【0144】 <下塗り液> ・エチルメタクリレートと2−アクリルアミド−2−メチル−1− プロパンスルホン酸ナトリウム塩のモル比75:15の共重合体 0.1g ・2−アミノエチルホスホン酸 0.1g ・メタノール 50g ・イオン交換水 50g
【0145】[感光層]次に、下記溶液[P−2]を調
整し、上記の下塗り済みのアルミニウム板にワイヤーバ
ーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45
秒間乾燥してネガ型平版印刷版原版[P−2]を得た。
乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g/m 2の範囲内であ
った。
【0146】 <溶液[P−2]> ・赤外線吸収剤[IR−6] 0.08g ・オニウム塩[OI−6] 0.30g ・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.00g ・アリルメタクリレートとメタクリル酸の モル比80:20の共重合体 (重量平均分子量12万) 1.00g ・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g ・フッ素系界面活性剤 0.01g (メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン 9.0g ・メタノール 10.0g ・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
【0147】溶液[P−2]に用いた赤外線吸収剤[I
R−6]及びオニウム塩[OI−6]の構造を以下に示
す。
【0148】
【化11】
【0149】露光後、富士写真フイルム(株)製自動現
像機スタブロン900Nを用いて、連続的に、現像処理
した。現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フイ
ルム(株)製DN−3Cの1:1水希釈液を用いた。現
像浴の温度は30℃とした。現像時間は20秒とした。
また、フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製F
N−6の1:1水希釈液を用いた。
【0150】平版印刷版[P−2](650mm×55
0mm×0.3mm厚)を水冷式40W赤外線半導体レ
ーザを搭載したCreo社製Trendsetter3
244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210
rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2
400dpiの条件で露光し、続いて、搬送式オーブン
SPC Mini EV34(商品名:Wiscons
in社製)内を搬送することにより、版面温度146℃
で75秒間加熱処理を行った後、一日当り100版現像
処理し、3ヵ月間現像処理した。その際、実施例1で作
成したのと同様のグレースケールを用いて、毎日最初に
露光現像し、クリア感度を求めた。第1日目は5.5段
であった。そこで、クリア感度が0.5段標準状態をは
ずれた際には条件を変化させることにした。本発明の現
像液管理方法により、60日間安定に現像処理できた。
【0151】なお、25日目にクリア感度が6.0段に
上昇したため、本発明の管理方法に基づいてフィードバ
ックし、加熱温度を149℃に変化させた。32日目に
クリア感度が6.0段に上昇したため、現像液温度を3
0.0℃から28.0℃に変更した。45日目にクリア
感度が5.0段に低下したため、設定露光量を8.5W
に変化させた。その後は60日目まで、安定した現像状
態が得られた。
【0152】本発明の品質管理方法により、60日間安
定に現像処理できた。なお、25日目に非画像部濃度が
当初の設定値よりも高くなったため、本発明の品質管理
方法を用いなければ、自動現像機は、好ましい状態の平
版印刷版を得られる条件では、25日間しか稼働できな
かったことになる。このことから、本発明の品質管理方
法は、光重合型の感光層を有するネガ型平版印刷版にも
有効であることがわかる。
【0153】
【発明の効果】本発明の平版印刷版の品質管理方法によ
れば、ダイレクト製版用の赤外線レーザ用ネガ型画像形
成層を有する平版印刷版に対し、好ましい画像が形成さ
れているか否かを容易に判定し、その結果を露光/加熱
/現像工程にフィードバックすることで、平版印刷版の
品質を一定に保ち、均一な画像が形成された平版印刷版
を連続的に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/027 G03F 7/027 7/029 7/029 7/38 511 7/38 511 Fターム(参考) 2H025 AA00 AB03 AC01 AC08 AD01 BC31 BC51 BE00 CA43 CC20 FA03 FA12 2H096 AA07 AA08 BA05 BA06 BA16 BA20 EA02 EA04 FA01 GA08 LA17

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、赤外線吸収剤と、熱により
    ラジカル或いは酸を発生する化合物と、重合性化合物或
    いは架橋性化合物とを含む感光層を設けてなるネガ型平
    版印刷版の品質管理方法であって、 (A)紫外線露光により製版するポジ型平版印刷版評価
    用のグレースケールを紫外線により露光した後、標準的
    な配合の標準現像液で現像し、標準現像液処理グレース
    ケール感度を測定する工程と、 (B)前記と同様の条件で紫外線露光を行った紫外線露
    光により製版するポジ型平版印刷版評価用のグレースケ
    ールを、評価しようとする現像液で現像し、対象現像液
    処理グレースケール感度を測定する工程と、 (C)標準現像処理グレースケール感度と対象現像処理
    グレースケール感度とを比較する工程と、 (D)前記標準現像処理グレースケール感度と対象現像
    処理グレースケール感度とを比較した結果、両者の差異
    が所定の値を超えた場合に、露光/加熱/現像条件を調
    整する工程と、 を有することを特徴とする平版印刷版の品質管理方法。
  2. 【請求項2】 前記グレースケール感度の差異が0.5
    段以上となったばあに、露光/加熱/現像条件を調整す
    る、請求項1に記載の平版印刷版の品質管理方法。
  3. 【請求項3】 前記(C)標準現像処理グレースケール
    感度と対象現像処理グレースケール感度とを比較する工
    程が、グレースケールが完全なベタ画像である段数、或
    いは、完全な非画像部である段数のうち、少なくとも一
    方を比較する工程である、請求項1に記載の平版印刷版
    の品質管理方法。
JP2000114748A 2000-04-17 2000-04-17 平版印刷版の品質管理方法 Pending JP2001296668A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000114748A JP2001296668A (ja) 2000-04-17 2000-04-17 平版印刷版の品質管理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000114748A JP2001296668A (ja) 2000-04-17 2000-04-17 平版印刷版の品質管理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001296668A true JP2001296668A (ja) 2001-10-26

Family

ID=18626502

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000114748A Pending JP2001296668A (ja) 2000-04-17 2000-04-17 平版印刷版の品質管理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001296668A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6838222B2 (en) Photopolymerizable composition
JP2002023350A (ja) ネガ型平版印刷版原版
JP2004012706A (ja) 平版印刷版原版
JP2002023360A (ja) ネガ型画像記録材料
JP2001318463A (ja) ネガ型平版印刷版原版
JP2001175004A (ja) 画像形成方法
JP2002296768A (ja) 画像記録材料
JP2002062648A (ja) 画像記録材料
JP2002229207A (ja) 画像記録材料
JP2001312068A (ja) 平版印刷版原版
JP2002062642A (ja) ネガ型画像記録材料
JP4098964B2 (ja) 平版印刷版原版
JP2003287878A (ja) 平版印刷版原版及び平版印刷版原版積層体
JP4071905B2 (ja) 平版印刷版原版の画像形成方法
JP2003177527A (ja) 光重合性組成物
JP2002096573A (ja) 平版印刷版用支持体及び平版印刷版原版
JP4060505B2 (ja) 平版印刷版の品質管理方法
JP4351354B2 (ja) 平版印刷版の品質管理方法
JP2001125260A (ja) ネガ型画像記録材料
JP2002090984A (ja) 平版印刷版原版
JP2002225453A (ja) 平版印刷版原版
JP2001296668A (ja) 平版印刷版の品質管理方法
JP2004258313A (ja) 平版印刷版の画像評価方法及び品質管理方法
JP2002090985A (ja) 平版印刷版原版
JP2001166461A (ja) ネガ型平版印刷版原版