JP2001295948A - 高温対応ガス制御バルブ - Google Patents
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Abstract
御バルブを提供すること。 【解決手段】 本発明の高温対応ガス制御バルブ1は、
アクチュエータ2の駆動によってダイヤフラム24を弁
座26に当接・離間させて弁の開閉を行うバルブであっ
て、金属材で形成したダイヤフラム24と弁座26の少
くとも一方にアモルファスカーボン膜をコーティングし
たことを特徴とする。
Description
どで使用される高温ガスの流れを制御する高温ガス対応
ガス制御バルブに関する。
弁の開閉制御によってチャンバへと送られる。そこで使
用されるガス制御バルブには、ガスの滞留を防止するた
めにダイヤフラムバルブが一般的に使用されているが、
樹脂(例えば、ポリイミド樹脂)を用いたダイヤフラム
はガス透過等の問題があるため通常はメタルダイヤフラ
ムが使用されている。そのため、ガス制御バルブの弁部
には、ステンレスを使用したメタルダイヤフラムと樹脂
弁座との組み合わせが採用されている。
まで達するガスの高温化に伴い、メタルダイヤフラムに
対して樹脂製の弁座では十分な耐久性が得られなくなっ
た。そのため、標準品として樹脂性の弁座を形成する一
方で、ガスの高温化対策として弁座を樹脂からステンレ
スなどの金属へ変更し、金属同士のメタルシールを行わ
せるガス制御バルブが使用されている。
タルシールを行うガス制御バルブは、寿命が極端に短い
といった問題があった。そこで先ず、常温ガス(23
℃)と高温ガス(300℃)とによる漏れ試験結果を図
3に示す。図3は、ガス制御バルブの開閉を繰り返した
作動回数に対する漏れ量をグラフに表したものである。
図示するグラフS1は常温ガス、グラフS2は高温ガス
を流したときの試験結果である。また、グラフS3は後
述する本願発明品を高温ガスで作動させたときの試験結
果である。基準値Eは、漏れ規格の上限を示している。
この漏れ試験では、この図からも分かるように、常温ガ
ス(S1)の場合には、ほとんど漏れの変化がなく10
万回を超えても初期のシール性能を維持しすることがで
きたのに対し、高温ガス(S2)の場合には、数十回の
開閉動作で基準値Eを突破してしまった。
後のダイヤフラムと弁座とのシール部を図6及び図7に
示す。なお、図6は、図9に示した常温(23℃)で1
0万回開閉動作させたダイヤフラム(図6(A))と弁
座(図6(B))との顕微鏡写真を図示したものであ
る。また、図7は、図10に示した高温(300℃)で
1万回開閉動作させたダイヤフラム(図7(A))と弁
座(図7(B))との顕微鏡写真を図示したものであ
る。この耐久試験からは、ダイヤフラムと弁座とのシー
ル部分が漏れを発生させる原因を確認することができ
た。即ち、図6と図7とを比べた場合、高温のガス制御
バルブのシール部には、常温のものにはない半径方向
(図面上下方向)にできた大きなスジ状のキズ(例え
ば、矢印Pで示す部分)が多く現れていた。
シール部分には、10万回もの動作を行った後でも当た
りによってキズはできているが、漏れの発生原因となる
ようなキズはなかった。そこで、図7に示す高温ガスの
際のシール部分にできたスジ状のキズPは、ダイヤフラ
ムと弁座との両方に現れ、これが閉弁した際にシール部
分の一次側と二次側とをつなぐ隙間となって漏れを発生
させていると考えられる。また、こうした従来のガス制
御バルブでは、ダイヤフラムと弁座とが擦れて摩耗粉を
多く発生させ、これがパーティクルとなって半導体製造
の歩留りを低下させることになる。従って、半導体製造
分野では、高温ガス対応のガス制御バルブの開発が急務
であった。
可能な高温対応ガス制御バルブを提供することを目的と
する。
御バルブは、アクチュエータの駆動によってダイヤフラ
ムを弁座に当接・離間させて弁の開閉を行うバルブであ
って、金属材で形成したダイヤフラムと弁座の少くとも
一方にアモルファスカーボン膜をコーティングしたこと
を特徴とする。また、本発明の高温対応ガス制御バルブ
は、前記アモルファスカーボン膜が、ダイヤモンドライ
クカーボン膜、またはグラファイトライクカーボン膜で
あることが望ましい。
ーボン膜を付けることによって、アモルファス構造の表
面をもったダイヤフラムや弁座が、低摩擦係数と優れた
耐凝着性などを備え、高温ガスの使用に対して、漏れを
生じさせることなく十分な回数の開閉動作を行うこと、
そしてまたパーティクルの発生を極めて低く抑えること
ができるようになった。
制御バルブの一実施形態について図面を参照して説明す
る。図1及び図2は、本実施形態の高温対応ガス制御バ
ルブを示した断面図であり、図1は閉弁時、図2は開弁
時の状態を示している。高温対応ガス制御バルブ(以
下、単に「ガス制御バルブ」とする)1は、エア圧によ
って開閉を制御するエアオペレートバルブであり、図示
するように上方のシリンダ部2と下方の弁部3とが、筒
状のベース4を介して縦長に形成されたものである。シ
リンダ部2は、ベース4の上端側に張り出したフランジ
4Aの周縁に筒状のガイド4Bが突設され、そこに段突
きのキャップ11が螺合している。ガイド4B内には、
ピストン12が摺動自在にはめ込まれ、キャップ11内
に装填されたスプリング13によって上方から付勢され
ている。また、キャップ11の中央で内部に突設された
ガイド部11Aには、パイロットポート11Bと、ピス
トンロッド14の移動を案内するガイド孔11Cとが上
下に貫通して形成されている。そして、ピストンロッド
14には、そのガイド孔11Cからピストン12下方の
加圧室15へ連通するパイロット孔16が穿設されてい
る。
形成され、そのベース4とバルブボディ21とが螺合し
て一体になっている。ベース4内に挿入されたピストン
ロッド14は、その下端面が弁部3側にまで到達し、ア
ウターステム22に当てられている。アウターステム2
2は、バルブボディ21の筒部21Aに嵌装されたホル
ダ23内に摺動自在に嵌挿され、その下側にはダイヤフ
ラム24に接したインナーステム25が固定されてい
る。そして、弁の開閉動作を行うダイヤフラム24は、
バルブボディ21に突設された弁座26に被るようにし
て周縁部分がホルダ23に挟み込まれている。バルブボ
ディ21には、その弁座26を介して入力ポート27と
出力ポート28とが連通する流路が形成されている。
スプリング13に付勢されたピストン12が押し下げら
れ、図1に示すように下死点に位置している。このと
き、ピストンロッド14がアウターステム22を押し下
げ、ダイヤフラム24がインナーステム25を介して弁
座26へ押しつけられている。ガス制御バルブ1は、通
常状態で閉弁するノーマルクローズタイプである。そこ
で、開弁時には、パイロットポート11Bからパイロッ
ト孔16を通って加圧室15へ圧縮エアが供給され、図
2に示すように加圧されたピストン12がスプリング1
3のバネ力に抗して上昇する。そのため、ピストンロッ
ド14の上昇によってアウターステム22がフリーにな
り、ダイヤフラム24が下方から作用するガス圧によっ
てアウターステム22とともに押し上げられて開弁す
る。更にまた、加圧室15のエアを抜けば、再びスプリ
ング13によってダイヤフラム24が弁座26へ押し付
けられて閉弁する。
いて検討すると、従来のガス制御バルブでは、図7に示
すように漏れを発生させるキズPが生じてしまっていた
が、これは当接するダイヤフラムと弁座との摩擦や凝着
摩耗によるものと考えられる。開閉動作が繰り返し行わ
れると、ダイヤフラムと弁座とのシール部分には擦れが
生じる。そして、ダイヤフラムや弁座の表面には水分が
付着しており、通常温度ではこれが摩擦抵抗を減らす潤
滑剤としての役割を果たすが、高温ガスを扱う場合に
は、水分がとんでしまって表面が乾燥状態になると考え
られる。
が潤滑剤として機能するため擦れによるキズはできにく
いが、ダイヤフラムや弁座とが乾燥した状態で当たる高
温ガスを扱う場合には、摩擦抵抗が大きくなって図7に
示すように漏れを発生させるキズPが生じてしまうと考
えられる。そして、特に高温下では、当接・離間するシ
ール部分が凝着摩耗を起こしてしまい、よりキズPが深
くなっていると考えられる。そこで本実施形態のガス制
御バルブ1ではこうした点を踏まえ、課題解決を図るべ
く高温ガス対策が施されている。
フラム24にはニッケルコバルト合金(Ni−Co合
金)を、そしてバルブボディ21にはステンレス鋼(例
えば、SUS316)を使用し、そのバルブボディ21
の弁座26の表面に、アモルファスカーボン膜をコーテ
ィングすることとした。アモルファスカーボン膜には、
ダイヤモンドライクカーボン(DLC)やグラファイト
ライクカーボン(GLC)といった炭素材料を使用する
ことが考えられる。アモルファスカーボン膜は、結晶粒
界がない緻密なアモルファス構造のため、非常になめら
かな表面を作り出している。そのため、アモルファスカ
ーボン膜によってコーティングされた弁座26は、表面
の摩擦係数が極めて低い値を示すようになり、それに伴
って耐凝着性、耐摩耗性などに優れたものとなる。
は、PVD法の中のイオンプレーティング法で、高真空
中のアーク放電プラズマで炭化水素ガスを分解し、プラ
ズマ中のイオンや励起分子をダイヤフラム24や弁座2
6にぶつけてやることにより成膜することができる。そ
して、DLC膜かGLC膜かは、イオン化する炭化水素
ガスの流量、ダイヤフラムなどへのヒータ加熱の有無、
電圧などのパラメータを変化させることによって区別を
することができる。
膜を施したガス制御バルブ1で漏れ試験を行ったとこ
ろ、図3のグラフS3で示す結果が得られた。即ち、常
温状態で行った未処理のもの(S1)よりも漏れ量は多
かったものの、10万回の開閉動作によっても漏れ量が
基準値Eを超えることはなかった。従って、本実施形態
のガス制御バルブ1によれば、漏れに対する十分な耐久
性を得ることができた。また、パーティクルの発生につ
いても試験を行った。図4は、常温状態で、従来のガス
制御バルブと本実施形態のガス制御バルブ1とのパーテ
ィクルの発生個数を比較したものである。グラフH1が
従来のガス制御バルブで、グラフH2が本実施形態のコ
ーティング処理を施したガス制御バルブ1である。これ
から明らかなように、作動回数の増加に伴ってその差が
はっきりと現れた。
った後のダイヤフラムと弁座とのシール部を図5に示
す。なお、図5は、図8に示した高温(300℃)で1
0万回開閉動作させたダイヤフラム(図5(A))と弁
座(図5(B))との顕微鏡写真を図示したものであ
る。試験を行ったガス制御バルブ1は、コーティング処
理をしていないダイヤフラムとDLC膜を施した弁座で
あり、いずれにもキズP(図7)のような半径方向に生
じるキズはもちろん、常温で行った耐久試験のもの(図
6)のような当たりによるキズQもできなかった。
し、キズができにくくなったことに加え、摩擦係数の大
幅低下の効果が発揮されたからである。即ち、DLC膜
などアモルファスカーボン膜をコーティングすることに
よって、アモルファス構造の表面をもった弁座26は、
表面の平滑性によって低摩擦係数と優れた耐凝着性、耐
摩耗性を有しているからである。更に、アモルファス構
造の表面を備えることによって弁座26自身の攻撃性が
低くなり、ダイヤフラム24と擦れ合っても相手を傷付
けることがないからである。よって、本実施形態のガス
制御バルブ1によれば、高温ガスの使用に耐え得るこ
と、即ち、漏れを生じさせることなく十分な回数の開閉
動作を行うこと、そしてまたパーティクルの発生を極め
て低く抑えることができた。
て説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能であ
る。例えば、前記実施形態では弁座26側にのみアモル
ファスカーボン膜をコーティングした場合について説明
したが、逆にダイヤフラム24にのみコーティングした
り、更にはダイヤフラム24と弁座26の両方をコーテ
ィングするようにしても、同様に効果が得られる。ま
た、例えば前記実施形態ではエアオペレートバルブを示
したが、これ以外にもソレノイドを使用したソレノイド
バルブであってもよい。
ムと弁座の少くとも一方にアモルファスカーボン膜をコ
ーティングしたので、高温ガスの流体制御を行う高温対
応ガス制御バルブの提供が可能となった。
形態のを示した閉弁時の断面図である。
形態のを示した開弁時の断面図である。
対する漏れ量をグラフに表した図である。
1とのパーティクルの発生個数の比較を示した図であ
る。
に示すダイヤフラム(A)と弁座(B)の顕微鏡写真を
示した図である。
に示すダイヤフラム(A)と弁座(B)の顕微鏡写真を
示した図である。
0に示すダイヤフラム(A)と弁座(B)の顕微鏡写真
を示した図である。
形態のダイヤフラム(A)と弁座(B)の顕微鏡写真で
ある。
のダイヤフラム(A)と弁座(B)の顕微鏡写真であ
る。
来のダイヤフラム(A)と弁座(B)の顕微鏡写真であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 アクチュエータの駆動によってダイヤフ
ラムを弁座に当接・離間させて弁の開閉を行うバルブで
あって、 金属材で形成したダイヤフラムと弁座の少くとも一方に
アモルファスカーボン膜をコーティングしたことを特徴
とする高温対応ガス制御バルブ。 - 【請求項2】 請求項1に記載の高温対応ガス制御バル
ブにおいて、 前記アモルファスカーボン膜が、ダイヤモンドライクカ
ーボン膜、またはグラファイトライクカーボン膜である
ことを特徴とする高温対応ガス制御バルブ。
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