JP2001294837A - 接着性樹脂組成物 - Google Patents

接着性樹脂組成物

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JP2001294837A
JP2001294837A JP2000109048A JP2000109048A JP2001294837A JP 2001294837 A JP2001294837 A JP 2001294837A JP 2000109048 A JP2000109048 A JP 2000109048A JP 2000109048 A JP2000109048 A JP 2000109048A JP 2001294837 A JP2001294837 A JP 2001294837A
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propylene
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resin
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JP2000109048A
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English (en)
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Akihisa Sanou
章寿 茶納
Kenjiro Takayanagi
健二郎 高柳
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリプロピレンの耐熱性を保持しつつ、低温
での耐衝撃性と接着強度の両者が優れたポリプロピレン
系の接着性樹脂組成物の提供。 【解決手段】 下記の樹脂成分(A)を10〜99.5
重量%、樹脂成分(B)を0.5〜30重量%含有して
なる接着性樹脂組成物。 樹脂成分(A):下記(a1)成分と(a2)成分とを
含み、かつ重合による(a1)成分の生成後に(a2)
成分を重合して得たプロピレン系重合体 (a1)成分:アイソタクチックインデックスが85%
以上の、プロピレン系重合体 (a2)成分:プロピレンとエチレンを必須成分とする
プロピレン・α−オレフィン共重合体であって、室温キ
シレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して30〜85
重量%であり、かつこの室温キシレン可溶分中のプロピ
レン以外のα−オレフィンの含有量が20〜70重量%
である共重合体成分 樹脂成分(B):不飽和カルボン酸又はその無水物の含
有量が0.01重量%以上となるように変性されたポリ
プロピレン

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特定のプロピレン・
α−オレフィン共重合体と不飽和カルボン酸で変性した
ポリプロピレンを特定の割合で含有してなる、接着性と
低温での耐衝撃性が良好な接着性樹脂組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】石油、天然ガス等の天然資源を輸送した
り、通信用・送電用のケーブルを通したりするためのパ
イプラインを構成する鋼管は、地上、地中、河川、沼沢
地、海中等の様々な場所で、そして寒冷地方から熱帯地
方までに及ぶ多様な気象条件下で使用される可能性があ
る。更に、一旦敷設あるいは埋設された後は、数十年に
わたる長期間の使用に耐えることが求められている。こ
のため、この種の鋼管は、地球上の様々な気象条件や環
境条件に対応できるものでなければならず、鋼管の耐久
性、特に鋼管を構成する鋼材の耐腐食性が大きな問題で
あった。この鋼材の腐食を防止するためにパイプライン
用鋼管をポリオレフィン等の樹脂で被覆する方法が採ら
れ、良好な結果を与えている。
【0003】しかしながら、近年は、原油等の粘度を低
下させることにより輸送コストを削減するために、パイ
プラインの操業温度を70〜80℃以上にする例が増え
てきているが、こうした温度では従来被覆用樹脂として
多用されてきたポリエチレンでは耐熱性が不足する可能
性がある。そこで被覆用樹脂として耐熱性に優れるポリ
プロピレンを使用するケースが増加している。
【0004】ポリプロピレンを用いる鋼管被覆において
は、ポリエチレンによる鋼管被覆と同様、鋼管と被覆用
樹脂であるポリプロピレンとの間にこれらの両者を接着
させるための接着層が通常設けられる。しかしながら、
特に寒冷地で使用する場合、現地への運搬や敷設の際の
環境温度が低いため、この接着層にもポリエチレン系の
被覆鋼管と同等の低温での耐衝撃性が求められる。
【0005】このようなポリプロピレン鋼管被覆用に用
いられる接着性樹脂としては、不飽和カルボン酸で変性
したポリプロピレンが知られている。この不飽和カルボ
ン酸変性ポリプロピレンの耐衝撃性を向上させる方法と
して、エラストマー成分等の柔軟成分を添加することが
知られているが、エラストマーを多く用い過ぎると、逆
にポリプロピレン本来の耐熱性が損なわれ、耐熱性と低
温耐衝撃性のバランスを取ることが問題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来技術の欠点を改良し、ポリプロピレンの耐熱
性を保持しつつ、低温での耐衝撃性(以下「低温衝撃
性」と略記する)と接着強度の両者が優れたポリプロピ
レン系の接着性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のプロ
ピレン・α−オレフィン共重合体エラストマーと、不飽
和カルボン酸で変性したポリプロピレンとを特定の比率
で含有してなる接着性樹脂組成物が良好な結果を与える
ことを見い出して本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、樹脂成分全体
を100重量%とした時に、下記の樹脂成分(A)を1
0〜99.5重量%、樹脂成分(B)を0.5〜30重
量%含有してなる接着性樹脂組成物、に存している。 樹脂成分(A):下記(a1)成分と(a2)成分とを
含み、かつ重合により(a1)成分を生成した後に(a
2)成分が重合によって得られてなるプロピレン系重合
体 (a1)成分:アイソタクチックインデックスが85%
以上の、プロピレンを主成分とする重合体成分 (a2)成分:プロピレンとエチレンを必須成分とする
プロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンと
の共重合体であって、その室温キシレン可溶分が樹脂成
分(A)全体に対して30〜85重量%であり、かつこ
の室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフ
ィンの含有量が20〜70重量%である共重合体成分 樹脂成分(B):不飽和カルボン酸又はその無水物(以
下「不飽和カルボン酸等」と略記する)の含有量が0.
01重量%以上となるように不飽和カルボン酸等により
変性されたポリプロピレン(以下「変性PP」と略記す
る) 本発明の他の要旨は、上記の樹脂成分(A)、(B)に
加えて、樹脂成分(C)としてポリプロピレンを樹脂成
分全体の89.5重量%以下含有してなる上記の接着性
樹脂組成物、及び樹脂成分(A)中の(a1)成分がプ
ロピレンの単独重合体である接着性樹脂組成物、にも存
している。
【0009】本発明の別の要旨は、樹脂成分(A)中の
(a2)成分がプロピレンとエチレンの共重合体である
上記いずれかの接着性樹脂組成物、樹脂成分(A)中の
(a2)成分の室温キシレン不溶分が樹脂成分(A)全
体に対して3〜10重量%である上記いずれかの接着性
樹脂組成物、及び樹脂成分(A)中の(a2)成分の室
温キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して40〜
65重量%で、かつこの室温キシレン可溶分中のプロピ
レン以外のα−オレフィンの含有量が40〜60重量%
である上記いずれかの接着性樹脂組成物、にも存してい
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の接着性樹脂組成物に用い
られる樹脂成分(A)のプロピレン系重合体は、下記の
(a1)成分と(a2)成分とを含み、かつ重合により
(a1)成分を生成した後に(a2)成分が重合によっ
て得られてなるプロピレン系重合体である。
【0011】(a1)成分:アイソタクチックインデッ
クスが85%以上の、プロピレンを主成分とする重合体
成分 (a2)成分:プロピレンとエチレンを必須成分とする
プロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンと
の共重合体であって、その室温キシレン可溶分が樹脂成
分(A)全体に対して30〜85重量%であり、かつこ
の室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフ
ィンの含有量が20〜70重量%である共重合体成分 このプロピレン系重合体を構成する一方の(a1)成分
は、アイソタクチックインデックスが85%以上のプロ
ピレンを主成分とする重合体である。アイソタクチック
インデックスとは、この重合体中の室温のキシレンに不
溶性の結晶性成分の含有割合に実質的に対応する。
【0012】ここでプロピレンを主成分とする重合体と
は、重合体中にプロピレン由来の構成単位が70重量%
以上含有されていることを意味する。好ましいプロピレ
ン由来の構成単位の含有割合は、90重量%以上、より
好ましくは95重量%以上であり、最も好ましいのはプ
ロピレン単独重合体である。ここでこの重合体において
プロピレン以外に用いることができる単量体としては、
炭素原子数が2〜8の他のα−オレフィンが好ましい。
特に好ましい単量体はエチレンである。
【0013】(a1)成分のアイソタクチックインデッ
クスが85%未満では、得られる組成物の耐熱性が劣る
傾向となる。樹脂成分(A)を構成するもう一方の成分
である(a2)成分は、プロピレンとエチレンとを必須
成分とする、プロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−
オレフィンとの共重合体である。
【0014】ここで用いることができる他のα−オレフ
ィンとしては、必須成分であるエチレンの他に、例え
ば、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン等が挙げられる。特に好ましい共重合体は、プロ
ピレンとエチレンのみからなるものである。本発明にお
いては、前記(a2)成分中の室温キシレン可溶分が樹
脂成分(A)中の30〜85重量%で、かつこの室温キ
シレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含
有量が20〜70重量%であることが必要である。
【0015】室温キシレン可溶分が樹脂成分(A)中の
40〜65重量%で、室温キシレン可溶分中のプロピレ
ン以外のα−オレフィンの含有量が40〜60重量%で
あるのが、それぞれより好ましい。この(a2)成分中
の室温キシレン可溶分が前記範囲未満では、低温衝撃性
が劣る傾向となり、一方室温キシレン可溶分が前記範囲
を超過すると、成形加工性が悪化しやすくなる。また室
温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフィン
の含有量が前記範囲を外れた場合は、いずれも低温衝撃
性が劣る傾向となる。
【0016】また(a2)成分中の室温キシレン不溶分
としては、樹脂成分(A)全体の3〜10重量%である
のが低温衝撃性の改良効果の点で好ましく、5〜10重
量%であるのが、更に好ましい。(a2)成分には、上
記の成分以外に、1,4−ヘキサジエン、5−メチル−
1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、シクロ
ヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジ
エン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリ
デン−2−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノ
ルボルネン等の非共役ジエンが、(a2)成分中に0.
5〜10重量%含まれる量で共重合されていてもよい。
【0017】このような樹脂成分(A)のプロピレン系
重合体は、上述の通り重合により(a1)成分を生成し
た後に(a2)成分が重合によって得られてなるもので
ある。このような逐次重合に用いられる触媒は、特に限
定されるものではないが、有機アルミニウム化合物と、
チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び電子
供与性化合物を必須とする固体成分とからなるものが好
ましい。
【0018】この逐次重合は、例えば第一段階でプロピ
レン又はプロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレ
フィンを供給して、前記の触媒の存在下に温度50〜1
50℃、好ましくは50〜100℃、プロピレンの分圧
0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.5MP
aの条件で、プロピレンを主成分とするα−オレフィン
の重合を実施して(a1)成分を生成させ、続いて第二
段階でプロピレンとエチレン、又はプロピレンとエチレ
ンと炭素原子数4〜8のα−オレフィンとを供給して、
前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは5
0〜100℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.3
〜4.5MPa、好ましくは0.5〜3.5MPaの条
件で、プロピレン−エチレン共重合又はプロピレン−エ
チレン−α−オレフィン共重合を実施して(a2)成分
を生成させることにより行うことができる。
【0019】この重合は、回分式、連続式、半回分式の
いずれによってもよく、第一段階の重合は気相又は液相
中、また第二段階以降の重合も気相又は液相中、特には
気相中で実施するのが好ましく、各段階の滞留時間は各
々0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間とするのが
よい。この方法において、(a1)成分及び(a2)成
分の含有量は、各段階において重合させる単量体の量に
より、また(a1)成分のアイソタクチックインデック
スは用いる触媒の種類や重合条件(温度、圧力等)や仕
込単量体の組成により、それぞれ調整できる。(a2)
成分の室温キシレン可溶分は、各重合段階において仕込
む単量体の組成や各段階における重合体の生成量、及び
例えば水素供給量で調節される分子量により調整するこ
とができる。また触媒の種類の選択によっても調整が可
能である。
【0020】樹脂成分全体中の、樹脂成分(A)の含有
量は10〜99.5重量%である。より好ましい含有量
は30〜95重量%である。(A)成分の含有量が10
重量%未満では接着性と低温衝撃性が劣り、99.5%
を超過すると接着成分である変性ポリプロピレンの含有
量が少なくなり、やはり接着性が劣ることとなる。本発
明の接着性樹脂組成物に用いられる樹脂成分(B)であ
る不飽和カルボン酸又はその無水物(不飽和カルボン酸
等)の含有量が0.01重量%以上となるように不飽和
カルボン酸等で変性されたポリプロピレン(変性PP)
の原料となるポリプロピレンとしては、プロピレンの単
独重合体、或いはプロピレンと、エチレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペ
ンテン等のα−オレフィン、アクリル酸、アクリル酸エ
チル等の不飽和カルボン酸及びその誘導体、酢酸ビニル
等のビニルエステル、スチレン、メチルスチレン等の不
飽和芳香族化合物等との、ランダム共重合体、ブロック
共重合体、またはグラフト共重合体を挙げることができ
る。
【0021】本発明に用いる変性PPは、このようなポ
リプロピレンをアクリル酸、マレイン酸、フマ−ル酸、
テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エンドシス
−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−5−エン−2,3−
ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸により変性するこ
とにより得ることができる。
【0022】中もマレイン酸、無水マレイン酸で変性し
たポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンを不飽和
カルボン酸等により変性する方法は特に限定されるもの
ではなく、例えば前記のポリプロピレンを有機溶剤に溶
解した溶液に不飽和カルボン酸等及びラジカル発生剤等
を加え、通常60〜350℃、好ましくは80〜190
℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時
間反応させることにより行う溶液変性法や、押出機等を
使用して、上記のポリプロピレンと不飽和カルボン酸等
とをポリプロピレンの融点以上、例えば170〜280
℃で溶融状態として、通常0.5〜10分間程度反応さ
せることにより変性させる溶融変性法を用いることがで
きる。
【0023】いずれの変性方法を採用するにしても、変
性用の不飽和カルボン酸等を効率良く反応させるため
に、ラジカル発生剤の存在下に反応を行うことが好まし
い。変性PPとしては、不飽和カルボン酸等の含有量が
0.01重量%以上のものを用いるが、中でも0.1〜
10重量%が好ましく、0.3〜5重量%が特に好まし
い。0.01重量%未満では接着性が不十分となり、1
0重量%を超えると、変性反応の副反応であるポリプロ
ピレンの主鎖切断が著しくなり、溶融粘度が低下するた
め、やはり接着性が劣る傾向となりやすい。
【0024】本発明の接着性樹脂組成物においては、樹
脂成分全体に含まれる樹脂成分(B)の変性PPの含有
量は0.5〜30重量%であるが、中でも1〜10重量
%が好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。この含有
量が0.5重量%未満では接着性が不足する。また、含
有量が30重量%を超えると接着性樹脂組成物全体の強
度が低下する。
【0025】本発明の接着性樹脂組成物には、上記の樹
脂成分(A)、(B)に加えて、樹脂成分(C)とし
て、ポリプロピレンを樹脂成分全体の89.5重量%以
下の量で含有していてもよい。このポリプロピレンとし
ては、樹脂成分(B)の原料のところで例示したような
プロピレンの単独重合体やプロピレンと他のコモノマー
との共重合体(但し、樹脂成分(A)に該当するものは
除く)を用いることができる。
【0026】本発明においては、上記の成分に加えて、
樹脂成分(A)〜(C)に該当しないポリオレフィン系
エラストマー等を樹脂成分として添加することもでき
る。また、これらの樹脂成分以外にも、必要に応じて通
常ポリプロピレンの組成物に使用される配合剤を、本発
明の効果を損なわない範囲で添加しても構わない。この
ような配合剤としては、例えば熱安定剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、中和剤、防錆
剤、顔料等を挙げることができる。特に、本発明の接着
性樹脂組成物100重量部あたり、フェノール系、硫黄
系、又はリン系の酸化防止剤を0.1〜2重量部、ハイ
ドロタルサイト等の中和剤を0.01〜0.2重量部配
合すると本発明の効果が更に向上するので好適である。
【0027】本発明の接着性樹脂組成物は、ポリオレフ
ィン樹脂、特にポリプロピレン系樹脂と、鋼管用材料で
ある炭素鋼、ステンレス鋼等の合金鋼との接着だけでな
く、アルミニウム、銅、ニッケル等の非鉄金属との接着
や、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミド
樹脂等の樹脂との、例えば共押出フィルム、ブロー成型
品、チューブあるいはシート等における接着にも用いる
ことができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら
の実施例により限定されるものではない。以下の実施例
及び比較例で用いるプロピレン共重合体組成物は下記の
ようにして製造した。 (1)樹脂成分(A)の製造 内容積550リットルの第一段反応器に、温度70℃で
加圧下(70℃においては約3.2MPaになる)にお
いて、プロピレンとトリエチルアルミニウム及び、重合
体生成速度が20kg/時間となるような量のアルミニ
ウム−マグネシウム−チタン−ケイ素を主成分とする固
体触媒とを連続的に供給し、更に分子量調整剤として水
素をやはり連続的に供給して液相中で第1段階の重合を
実施した。
【0029】続いてプロピレンパージ槽を経由して、生
成重合体を内容積1900リットルの第二段反応器に導
入し、温度60℃で、圧力3.0MPaになるように、
目的とする共重合体の組成割合に応じたプロピレンとエ
チレンとを連続的に供給し、更に分子量調整剤として水
素を連続的に供給するとともに、活性水素化合物(エタ
ノール)を、第一段階で供給した固体成分触媒中のチタ
ン原子に対して200倍モルで、トリエチルアルミニウ
ムに対して2.5倍モルになるように供給して気相中で
重合を実施し、生成重合体を連続的にベッセルに移した
後、水分を含んだ窒素ガスを導入して反応を停止させた
(第二段階重合)。 (2)樹脂成分(A)の組成分析 上記で得た樹脂成分(A)について、以下に示す方法
で、樹脂成分(A)中の(a1)成分及び(a2)成分
の重量割合、(a1)成分及び(a2)成分に含まれる
室温キシレン可溶分の樹脂成分(A)中の重量割合、
(a1)成分のアイソタクチックインデックス、及び
(a2)成分の室温キシレン可溶分中のプロピレン以外
のα−オレフィン(エチレン)の含有量をそれぞれ測定
した。結果を表1に示す。 (1)(a1)成分及び(a2)成分の樹脂成分(A)中
の重量割合 (a2)成分の樹脂成分(A)中の重量割合(これをa
2(重量%)とする)を、得られた樹脂成分(A)の重
量と、第二段階の重合で供給したプロピレンとエチレン
の合計重量から算出した。これより、樹脂成分(A)中
の(a1)成分の重量割合(a1(重量%)とする)
を、「100−a2」によって算出した。 (2)(a1)成分及び(a2)成分中の室温キシレン可
溶分 第一段階の重合後に生成した重合体をサンプリングし、
その試料1gを油浴中のキシレン300ミリリットル中
に入れ、キシレンの沸点である140℃で撹拌下に溶解
してそのまま1時間攪拌を続ける。続いて撹拌しながら
1時間以内で100℃まで降温した後、急冷用油浴に移
して撹拌を継続しながら23±2℃まで急冷してポリマ
ーを析出させ、20分間以上放置した。析出物を濾紙で
自然濾過し、濾液をエバポレータを用いて蒸発乾固し
て、120℃で2時間減圧乾燥した後、常温まで放冷し
てその重量を測定し、(a1)成分中の室温キシレン可
溶分を求め、これと当初の試料量と比較することによ
り、(a1)成分中の室温キシレン可溶分の重量割合
(a1cxs(重量%)とする)を算出した。
【0030】同様にして生成した樹脂成分(A)全体に
含まれる室温キシレン可溶分を測定し、その重量割合
(As(重量%)とする)を算出した。これらより、樹
脂成分(A)に対する、(a1)成分中の室温キシレン
可溶分(a1s(重量%)とする)を、a1s=(a1×
a1cxs)/100により、また(a2)成分中の室温
キシレン可溶分(a2s(重量%)とする)を、a2s=
As−a1sにより、それぞれ算出した。
【0031】また、樹脂成分(A)に対する(a2)成
分中の室温キシレン不溶分(a2i(重量%)とする)
を、a2i=a2−a2sとして算出した。 (3)(a1)成分のアイソタクチックインデックス 上記(2)と同様にして、第一段階の重合後に生成した重
合体((a1)成分)をサンプリングし、そのn−ヘプ
タンによるソックスレー抽出後の残渣重量を測定し、試
料重量に対する重量%として算出した。 (4)(a2)成分の室温キシレン可溶分中のエチレン含
有量 上記(2)において得られた第一段階の重合後に生成した
重合体の室温キシレン可溶分及び樹脂成分(A)全体に
含まれる室温キシレン可溶分について、検量線を用いた
赤外分光光度法により、そのエチレン含有量(それぞれ
Ea1s(重量%)及びEAs(重量%)とする)を測定
し、下式により(a2)成分の室温キシレン可溶分のエ
チレン含有量(Ea2s(重量%)とする)を算出した。
【0032】
【数1】Ea2s=(EAs−Ea1s(a1s/As))/(a
2s/As)
【0033】
【表1】
【0034】(3)実施例1〜5、比較例1〜4 (1)接着性樹脂組成物の調製〜1 表2に示す種類・量の樹脂成分(A)(上記(1)によ
り得たプロピレン系重合体)、樹脂成分(B)(変性P
P)及び必要に応じて樹脂成分(C)(ポリプロピレ
ン)、樹脂成分(D)(エラストマー成分)を、それぞ
れ合計量で100重量%となるようにして配合し、更に
この合計量100重量部あたり、フェノール系酸化防止
剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イ
ルガノックス1010)0.2重量部、リン系酸化防止
剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イ
ルガフォス168)0.1重量部、中和剤(協和化学株
式会社製、アルカマイザーDHT−4A)0.03重量
部を加えて、スーパーミキサーを用いて1分間混合し、
単軸押出機を用いて、温度200℃、スクリュ−回転数
100rpm、押出量8kg/hで溶融混練して、紐状
に押し出し、冷却後ペレット状に切断して接着性樹脂組
成物を得た。 (2)樹脂被覆鋼板の作成 多層シート成形機を用い、内層に上記で得た接着性樹脂
組成物を、外層にプロピレン・エチレンブロック共重合
体を用い、成形温度230℃、ラインスピード3m/分
で、0.5mm厚の接着性樹脂層と2mm厚のプロピレ
ン・エチレンブロック共重合体層とからなる二層シート
を得た。
【0035】次にプライマー処理したサンドブラスト鋼
板(太佑機材社製、ブラスト処理#20)と上記の二層
シートとをシートの接着性樹脂層が鋼板側になるように
重ね合わせ、温度180℃で3分間予熱した後、温度1
80℃、20kg/cm2の圧力で3分間熱プレスし、
樹脂被覆鋼板を得た。 (3)評価 以下に示す方法により鋼板との接着強度、低温衝撃性及
び耐熱性の評価を実施した。結果を表2にまとめて示
す。接着強度 上記で接着樹脂層と鋼板の接着強度(N/cm)を下記
の条件で測定した。
【0036】 剥離幅 10mm 剥離状態 90度剥離 剥離速度 10mm/分 測定雰囲気温度 23℃、90℃低温衝撃性 測定温度を−40℃として、アイゾット衝撃値をJIS
K7110に準拠して測定した。耐熱性 ビカット軟化点をJIS K7206に準拠して測定し
た。
【0037】
【表2】
【0038】(4)実施例6、比較例5 (1)接着性樹脂組成物の調製とポリプロピレン/EVO
H多層ブロー成形体の製造 実施例1と同様の方法で、
表3に示す接着性樹脂組成物を調製し、これを接着層と
して、ポリプロピレンとガスバリア性樹脂であるエチレ
ン・ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと表す)
との積層ブロー成型品を以下の方法により製造した。
【0039】ポリプロピレンとして、プロピレン・エチ
レンランダム共重合体(日本ポリケム株式会社製EG7
F、MFR230℃−21.18N荷重:1.3g/1
0分)を、EVOHとしてクラレ・エバール(株式会社
クラレ製EPF101A、エチレン含量32wt%、M
FR230℃−21.18N荷重:1.3g/10分)
を用い、ダイスの設定温度を220℃として、ポリプロ
ピレン/接着性樹脂組成物/EVOH/接着性樹脂組成
物/ポリプロピレンの層構成からなる3種5層のブロー
成形を実施した。
【0040】ブロー成形品の内容積は1リットル、平均
肉厚は1.5mmであり、各層の層構成比率はポリプロ
ピレンが各々42%、接着性樹脂樹脂組成物が各々4
%、EVOHが8%であった。 (2)評価 このブロー成形品から幅10mmの短冊状のサンプルを
切り出し接着性の評価を行った。切り出したサンプルの
平均厚みは1.5mmであった。
【0041】接着性の評価は引張試験機(試験速度:5
0mm/分、23℃)を用いて、Tピール剥離法で行っ
た。結果を表3にまとめて示す。
【0042】
【表3】
【0043】(5)配合材料 なお表2、表3中の配合材料の記号は、それぞれ以下の
樹脂を示す。 (1)変性PP(樹脂成分(B)) B1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイ
ン酸含量:2.5重量%) B2:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(無水マレイ
ン酸含量:1.0重量%) (2)ポリプロピレン(樹脂成分(C)) C1:プロピレン・エチレンブロック共重合体(日本ポ
リケム社製BC8D、MFR230℃−21.18N荷
重:0.7g/10分) C2:ホモポリプロピレン(日本ポリケム社製EA9、
MFR230℃−21.18N荷重:0.5g/10
分) (3)エラストマー成分(樹脂成分(D)) D1:プロピレン−エチレン共重合体エラストマー(J
SR社製EP01Y、エチレン含量22%、MFR23
0℃−21.18N荷重:3.6g/10分) (6)結果の評価 表2から明らかなように、実施例の組成物を用いた被覆
鋼板は、樹脂成分(A)を含まない比較例1、2と比べ
て低温での耐衝撃強度が大きく、また樹脂成分(A)又
は(B)の含有量が本発明の範囲外の比較例3、4と比
べた場合は、特に高温(90℃)における接着強度が良
好で、また低温衝撃性も優れている。
【0044】また、表3からも本発明の組成物(実施例
6)において接着強度が良好となっていることが判る。
【0045】
【発明の効果】本発明の、特定のプロピレン・α−オレ
フィンブロック共重合体と不飽和カルボン酸で変性した
ポリプロピレンを特定比率で含有してなる接着性樹脂組
成物は、これを用いた樹脂被覆鋼管において、高い接着
強度と優れた低温衝撃性を達成することができる。
【0046】また、EVOH等の他種樹脂との接着強度
も優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 151/06 C09J 151/06 Fターム(参考) 4J002 BB12Y BB21X BP00W BP03W GJ00 4J040 DA112 DL062 DM021 GA07 LA06 LA08 MA03 MA11 MB03 MB05 MB06 NA06 NA12 PA30 PA33

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂成分全体を100重量%とした時
    に、下記の樹脂成分(A)を10〜99.5重量%、樹
    脂成分(B)を0.5〜30重量%含有してなる接着性
    樹脂組成物。 樹脂成分(A):下記(a1)成分と(a2)成分とを
    含み、かつ重合により(a1)成分を生成した後に(a
    2)成分が重合によって得られてなるプロピレン系重合
    体 (a1)成分:アイソタクチックインデックスが85%
    以上の、プロピレンを主成分とする重合体成分 (a2)成分:プロピレンとエチレンを必須成分とする
    プロピレンと炭素原子数2〜8の他のα−オレフィンと
    の共重合体であって、その室温キシレン可溶分が樹脂成
    分(A)全体に対して30〜85重量%であり、かつこ
    の室温キシレン可溶分中のプロピレン以外のα−オレフ
    ィンの含有量が20〜70重量%である共重合体成分 樹脂成分(B):不飽和カルボン酸又はその無水物の含
    有量が0.01重量%以上となるように不飽和カルボン
    酸又はその無水物により変性されたポリプロピレン
  2. 【請求項2】 樹脂成分(A)、(B)に加えて、樹脂
    成分(C)としてポリプロピレンを樹脂成分全体の8
    9.5重量%以下含有してなる請求項1に記載の接着性
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 樹脂成分(A)中の(a1)成分がプロ
    ピレンの単独重合体である請求項1又は2に記載の接着
    性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 樹脂成分(A)中の(a2)成分がプロ
    ピレンとエチレンの共重合体である請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の接着性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 樹脂成分(A)中の(a2)成分の室温
    キシレン不溶分が樹脂成分(A)全体に対して3〜10
    重量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着
    性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 樹脂成分(A)中の(a2)成分の室温
    キシレン可溶分が樹脂成分(A)全体に対して40〜6
    5重量%で、かつこの室温キシレン可溶分中のプロピレ
    ン以外のα−オレフィンの含有量が40〜60重量%で
    ある請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着性樹脂組
    成物。
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