JP2001293788A - 光造形装置および光造形方法 - Google Patents

光造形装置および光造形方法

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JP2001293788A
JP2001293788A JP2000111714A JP2000111714A JP2001293788A JP 2001293788 A JP2001293788 A JP 2001293788A JP 2000111714 A JP2000111714 A JP 2000111714A JP 2000111714 A JP2000111714 A JP 2000111714A JP 2001293788 A JP2001293788 A JP 2001293788A
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JP2000111714A
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Inventor
Katsutoshi Takano
克俊 高野
Toshio Teramoto
俊夫 寺本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 造形工程において形成される樹脂硬化層の表
面が大きい面積を有するものであっても、当該樹脂硬化
層の表面全域に、1回の移動で光硬化性樹脂液を供給し
て均一な厚みの未硬化層を形成することができるリコー
ターを備えた光造形装置および樹脂硬化層の表面に供給
された光硬化性樹脂液の液面を短時間で平坦化すること
ができるリコーターを備えた光造形装置を提供する。 【解決手段】 本発明の光造形装置は、容器内に収容さ
れた光硬化性樹脂液の液面に対して選択的に光を照射し
て樹脂硬化層を形成する工程を繰り返すことにより、当
該樹脂硬化層の積層体よりなる立体形状物を造形する光
造形方法を行うために使用される光造形装置であって、
形成された樹脂硬化層の上方を水平方向に移動して当該
樹脂硬化層の表面に光硬化性樹脂液を塗布するリコータ
ーを備えてなり、当該リコーターの下面の少なくとも一
部に植針処理が施されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光造形装置および光
造形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光硬化性樹脂液の液面に選択的に
光を照射して樹脂硬化層を形成する工程を繰り返すこと
により、樹脂硬化層が一体的に積層されてなる立体形状
物を形成する光造形方法は、造形すべき立体形状物の形
状が複雑なものであっても、容易にしかも短時間で得る
ことができるため注目されている。
【0003】図1は、上記のような光造形方法に使用さ
れる光造形装置の基本的な構成を示す説明図である。図
1において、1は固定ベース、2は光硬化性樹脂液3を
収容する容器、4は光硬化性樹脂液3の液面3Aに対し
て選択的に光を照射するための光源装置、5は樹脂硬化
層の積層体6を支持する支持ステージである。前記積層
体6は目的とする立体形状物の一部を構成するものであ
り、当該積層体6の上部には更に樹脂硬化層が形成され
る。支持ステージ5は昇降可能に設けられ、例えば、図
1に示す状態から支持ステージ5を降下させると、積層
体6の最上層を構成する樹脂硬化層7の表面7Aに、光
硬化性樹脂液が供給されて降下量に相当する厚みの光硬
化性樹脂液の薄層(以下、「未硬化層」という。)が形
成される。しかしながら、このような光造形装置による
光造形方法においては、未硬化層の一層分に相当する積
層体6の降下量が小さいことから、樹脂硬化層7の表面
7Aの全域に光硬化性樹脂液を供給することが困難であ
る。
【0004】そこで、樹脂硬化層の表面に光硬化性樹脂
液を供給する方法として、例えば積層体を一旦大きく下
降させることによって当該樹脂硬化層の表面に光硬化性
樹脂液を供給し、その後、当該樹脂硬化層の表面に未硬
化層の一層分が形成されるよう積層体を上昇させる技術
が開示されている(特公平2−48422号公報参
照)。
【0005】然るに、一旦大きく降下させた積層体を上
昇させると、樹脂硬化層の表面に供給された光硬化性樹
脂液の液面が表面張力により盛り上がる。このため、前
記光硬化性樹脂液の液面を平坦化する目的から、通常、
レベラーを移動させてレベリング動作を行っている。
【0006】しかしながら、堰(トラップ)形状を有す
る立体形状物を造形する場合には、当該堰の内側におけ
る光硬化性樹脂液の液面の盛り上がりが相当高いものと
なり、レベラーによるレベリング動作を行う際に、当該
レベラーによって前方(移動方向)に押し出された光硬
化性樹脂液が当該レベラーの下側を通って後方へ回り込
んでしまい、1回のレベリング動作では完全に光硬化性
樹脂液の液面を平坦化することができないという問題が
ある。その結果、レベリング動作を複数回にわたって行
うことが必要となったり、平坦化するまでに長い待機時
間を要したりすることになり、立体形状物の造形に長い
時間を要することになる。
【0007】そこで、形成された樹脂硬化層の表面に光
硬化性樹脂液を供給する他の方法として、図2に示すよ
うに、形成すべき未硬化層の厚みtに相当する量だけ積
層体6を降下させた後、当該積層体6の最上層を構成す
る樹脂硬化層7の表面7Aに対向する下面9Aを当該表
面7Aから光硬化性樹脂液が吸入される距離dだけ離し
た状態でリコーター9を配置し、次いで、当該リコータ
ー9を水平方向に移動させることにより、当該下面9A
と光硬化性樹脂液との間に作用する粘性抵抗、および下
面9Aと当該表面7Aとの間の間隙に光硬化性樹脂液が
吸入される作用の両者により、光硬化性樹脂液を樹脂硬
化層7の表面7Aに供給する技術が開示されている(特
公平7−108555号公報参照)。このリコーター9
は、光硬化性樹脂液の上方(液上)に位置している時に
光硬化性樹脂液を吸入し、樹脂硬化層7の上方を移動し
ている時に当該樹脂硬化層7の表面7Aに光硬化性樹脂
液を塗布する手段である。
【0008】しかして、上記公報に記載されたようなリ
コーターによって、大きな面積を有する樹脂硬化層の表
面に1回の移動によって光硬化性樹脂液を供給するため
には、リコーター9の下面9Aと光硬化性樹脂液3の液
面3Aとの距離(d−t)をできるだけ大きく設定する
ことが好ましい。
【0009】しかしながら、リコーター9によって光硬
化性樹脂液を確実に吸入して保持するためには、下面9
Aと液面3Aとの距離(d−t)を十分に大きくするこ
とができない。すなわち、この距離(d−t)を大きく
した状態でリコーター9を水平方向に移動させると、当
該リコーター9が光硬化性樹脂液を確実に保持すること
ができなくなり、樹脂硬化層の上方を移動しているとき
に、吸入した光硬化性樹脂液のほとんどが早期に落下し
てしまい、大きな面積を有する樹脂硬化層の表面に満遍
なく光硬化性樹脂液を塗布することができない。
【0010】以上のように、従来のリコーターによって
は、光硬化性樹脂液の液面とリコーターの下面との間の
距離を十分に大きくすることができないため、大きな面
積を有する樹脂硬化層の表面全域に1回の移動で光硬化
性樹脂液を確実に供給することができないという問題が
ある。その結果、前記樹脂硬化層の表面に目的とする厚
みを有する未硬化層を形成するためには、例えばリコー
ターを複数回移動させることが必要となり、高い効率で
立体形状物を造形することができないことになる。これ
は、光硬化性樹脂液の密度が高い程、また光硬化性樹脂
液の表面張力が小さい程顕著な問題となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものである。本発明の第1の
目的は、造形工程において形成される樹脂硬化層の表面
が大きい面積を有するものであっても、当該樹脂硬化層
の表面全域に、1回の移動で光硬化性樹脂液を供給して
均一な厚みの未硬化層を形成することができるリコータ
ーを備えた光造形装置を提供することにある。本発明の
第2の目的は、樹脂硬化層の表面に供給された光硬化性
樹脂液の液面を短時間で平坦化することができるリコー
ターを備えた光造形装置を提供することにある。本発明
の第3の目的は、堰形状を有する立体形状物を造形する
場合であっても、当該堰形状の内側における光硬化性樹
脂液の液面の盛り上がりを短時間で平坦化することがで
きるリコーターを備えた光造形装置を提供することにあ
る。本発明の第4の目的は、光硬化性樹脂液を容易に吸
入して確実に保持することのできるリコーターを備えた
光造形装置を提供することにある。本発明の第5の目的
は、大きな面積の表面を有する樹脂硬化層を積層してな
る立体形状物であっても、高い製造効率で造形すること
のできる光造形方法を提供することにある。本発明の第
6の目的は、堰形状を有する立体形状物であっても高い
製造効率で造形することのできる光造形方法を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の光造形装置は、
容器内に収容された光硬化性樹脂液の液面に対して選択
的に光を照射して樹脂硬化層を形成する工程を繰り返す
ことにより、当該樹脂硬化層の積層体よりなる立体形状
物を造形する光造形方法を行うために使用される光造形
装置であって、形成された樹脂硬化層の上方を水平方向
に移動して当該樹脂硬化層の表面に光硬化性樹脂液を塗
布するリコーターを備えてなり、当該リコーターの下面
の少なくとも一部に植針処理が施されていることを特徴
とする。
【0013】本発明の光造形装置においては、前記リコ
ーターの下面に設けられた針の径が0.1〜3mm、当
該針の長さが1〜30mmであり、植針ピッチが0.1
〜10mmであることが好ましく、0.5〜2mmであ
ることがより好ましい。
【0014】本発明の光造形装置においては、前記リコ
ーターの下面に設けられた針の先端に拡径部が形成され
ていることが好ましく、当該拡径部は、球状、半球状ま
たは板状に形成されていることが好ましい。また、前記
リコーターの下面に設けられた針の先端同士が連結され
てループを形成していてもよい。
【0015】本発明の光造形装置においては、前記リコ
ーターの下面に設けられた針が、プラスチック、セラミ
ックまたは金属から構成されていることが好ましい。
【0016】本発明の光造形装置においては、前記リコ
ーターと共に水平方向に移動して、当該リコーターによ
り塗布された光硬化性樹脂液の液面を平坦化させるレベ
ラーを備えていることが好ましい。また、前記リコータ
ーと前記レベラーとの離間距離が0〜100mmである
ことが好ましく、0〜50mmであることがより好まし
く、0mmに近いことが特に好ましい。
【0017】本発明の光造形装置においては、前記リコ
ーターが前記容器の一端側から他端側に移動するとき
に、当該リコーターにより塗布された光硬化性樹脂液の
液面を平坦化させる第1のレベラーと、前記リコーター
が前記容器の他端側から一端側に移動するときに、当該
リコーターにより塗布された光硬化性樹脂液の液面を平
坦化させる第2のレベラーとを備えてなり、前記リコー
ターと、前記第1のレベラーと、前記第2のレベラーと
が連結されていることが好ましい。また、前記リコータ
ーと前記第1のレベラーとの離間距離および前記リコー
ターと前記第2のレベラーとの離間距離がそれぞれ0〜
100mmであることが好ましい。
【0018】本発明の光造形方法は、上記の光造形装置
を使用して行う光造形方法であって、前記リコーターの
下面に設けられた針の先端が光硬化性樹脂液と接触する
ように当該リコーターを配置し、当該リコーターを水平
方向に移動させて樹脂硬化層の表面に光硬化性樹脂液を
塗布する工程を含むことを特徴とする。
【0019】
【作用】(1)本発明の光造形装置によれば、リコータ
ーの下面の少なくとも一部に植針処理が施されているた
め、毛管現象(刷毛が液体を吸引するような作用)によ
る光硬化性樹脂液の吸入力および保持力が従来のリコー
ターと比較して格段に優れている。従って、光硬化性樹
脂液の液面とリコーターの下面との距離を十分に大きく
することができ、多量の光硬化性樹脂液を当該リコータ
ーによって吸入して保持することができる。その結果、
大きな面積を有する樹脂硬化層の表面全域に対して、リ
コーターの1回の移動で光硬化性樹脂液を供給すること
が可能となる。
【0020】(2)リコーターの下面に設けられた針に
より、光硬化性樹脂液に対する接触面積が増加するた
め、光硬化性樹脂液の吸入力および保持力が大きくな
る。その結果、前記リコーターに多量の光硬化性樹脂液
が吸入される状態であっても、光硬化性樹脂液を確実に
保持し、吸入された光硬化性樹脂液が早期に落下するこ
とを防止することができ、樹脂硬化層の表面全域に当該
光硬化性樹脂液を均一に供給することができる。
【0021】(3)堰形状を有する立体形状物を造形す
る場合において、下面に植針処理が施されているリコー
ターにより、堰の内側で高い盛り上がりを形成している
光硬化性樹脂液(過剰量の樹脂液)が確実に吸入され
る。これにより、堰形状の内側における光硬化性樹脂液
の液面の盛り上がりを短時間で平坦化することができ
る。
【0022】(4)塗布動作の終了後、リコーターの下
面に設けられた針の表面および針同士の間隙には光硬化
性樹脂液が残留しており、この残留液が、リコーターに
よる光硬化性樹脂液の再吸入を促進する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光造形装置につい
て詳細に説明する。図3は、本発明の光造形装置の一例
を示す説明図であり、図1で示したものと同一の符号で
示す構成要素は、図1における構成要素と同一である。
図3において、10はリコーター、33は第1のレベラ
ー、36は第2のレベラー、43は、第1のレベラー3
3とリコーター10と第2のレベラー36とを連結する
連結部材、18は積層体、19は積層体18の最上層を
構成する樹脂硬化層、19Aは樹脂硬化層19の表面で
ある。ここで、積層体18は造形すべき立体形状物の一
部を構成するものであり、当該積層体18の上部には更
に樹脂硬化層が形成される。
【0024】図4は、図3に示した光造形装置の要部
(第1のレベラー33、リコーター10および第2のレ
ベラー36)を示す説明図である。リコーター10は、
積層体18の最上層を構成する樹脂硬化層19の上方を
水平方向に移動して当該樹脂硬化層19の表面19Aに
光硬化性樹脂液を塗布するための手段である。この光造
形装置は、リコーター10の下面10Aに植針処理が施
されている点に特徴を有するものである。
【0025】前記下面10Aにおいて、植針処理が施さ
れた領域(以下、「植針処理面」という。)の大きさ
は、造形すべき立体形状物(樹脂硬化層の表面)のサイ
ズなどに応じて適宜設定される。
【0026】植針処理方法としては特に限定されるもの
ではなく、例えばリコーター10の下面10Aに針の基
端部を埋設する方法、前記下面10Aに針の基端を接着
する方法、および予め植針処理されたシート体を前記下
面10Aに接着する方法などを例示することができる。
かかるシート体としては、マジックテープ(登録商標)
のフック面を有するシート体、マジックテープのループ
面を有するシート体を挙げることができる。
【0027】リコーター10の下方において、多数の針
21が存在する空間(以下、「保持空間15」とい
う。)内に吸入される光硬化性樹脂液の容量Vは、植針
処理面の面積をS、針21の長さをL、保持空間15の
空隙率をεとすると、下記式(1)で求めることができ
る。
【0028】
【数1】式(1) V=S×L×ε
【0029】そして、造形すべき立体形状物を構成する
樹脂硬化層の表面の面積sのうち最大の面積smax を有
する樹脂硬化層の表面に、厚さtの未硬化層を形成する
ために必要な光硬化性樹脂液の量をv(v=smax ×
t)とするとき、保持空間15内に吸入される光硬化性
樹脂液の容量Vは、当該vより大きいことが好ましい。
【0030】ここに、下面10Aに設けられた針21の
長さLは1〜30mmであることが好ましい。また、当
該針21の径は0.1〜3mmであることが好ましく、
更に好ましくは0.4〜3mmである。
【0031】針21の先端には、図5(イ)に拡大して
示すように、半球状の拡径部22が形成されている。こ
れにより、光硬化性樹脂液に対する接触面積が一層増加
するため、前記保持空間15内に吸入された光硬化性樹
脂液の早期落下を確実に防止することができる。また、
図4に示すように、針21の先端に形成された半球状の
拡径部22が液面3Aと同一レベルにあるようにリコー
ター10が配置されている場合には、当該拡径部22に
よって一層高いレベリング効果が得られる。なお、拡径
部の形状は、半球状に限定されるものではなく、図5
(ロ)に示すような球状、同図(ハ)に示すように、針
の軸に対して直交する平面を有する板状であってもよ
い。
【0032】針21の構成材料としては、プラスチッ
ク、セラミックおよび金属などを挙げることができ、光
硬化性樹脂液3の種類などに応じて要求される性能(例
えば光硬化性樹脂液に対する耐蝕性、耐摩耗性、柔軟性
および形状成形性)などを考慮して最適な材料を選択す
ることが好ましい。具体的には、針21に耐摩耗性が要
求される場合には、金属およびプラスチックを選択する
ことが好ましい。また、光硬化性樹脂液の吸入力を特に
高める観点からは、濡れ性の向上効果に優れたセラミッ
クを選択することが好ましい。以上のように針21は、
硬質なものに限定されるものではなく、柔軟性(可撓
性)を有するものであってもよい。また、本発明におい
て「植針処理」には、「植毛処理」が含まれるものとす
る。
【0033】植針処理面における植針ピッチPは、0.
1〜10mmであることが好ましく、0.5〜2mmで
あることがより好ましい。前記植針ピッチPが過小であ
る場合には、保持空間15における空隙率εが過小とな
って、十分な量の光硬化性樹脂液を吸入できない場合が
ある。一方、植針ピッチPが過大である場合には、保持
空間15内に吸入された低粘性の光硬化性樹脂液を十分
に保持することができない場合がある。従って、使用す
る光硬化性樹脂液の種類(粘度・密度)や針の長さなど
を考慮して植針ピッチPを適宜調整することが好まし
い。
【0034】第1のレベラー33は、リコーター10が
容器(図示省略)の一端側から他端側に移動する(移動
方向を「矢印1」で示す。)ときに、当該リコーター1
0によって樹脂硬化層の表面に過剰に供給された光硬化
性樹脂液を除去して、光硬化性樹脂液の液面を平坦化さ
せるための手段である。第1のレベラー33は、液面3
A(水平面)に対して傾斜した状態で設けられている作
用部35(レベリング用ブレード)と、当該作用部35
を支持する支持部34とからなる。第1のレベラー33
とリコーター10との離間距離(図4中、符号Mで示し
た距離)は0〜100mmであることが好ましく、0〜
50mmであることがより好ましく、0mmに近いこと
が特に好ましい。
【0035】第2のレベラー36は、リコーター10が
容器(図示省略)の他端側から一端側に移動する(移動
方向を「矢印2」で示す。)ときに、当該リコーター1
0によって樹脂硬化層の表面に過剰に供給された光硬化
性樹脂液を除去して、光硬化性樹脂液の液面を平坦化さ
せるための手段である。第2のレベラー36は、液面3
Aに対して傾斜した状態で設けられている作用部38
と、当該作用部38を支持する支持部37とからなる。
第2のレベラー36とリコーター10との離間距離は0
〜100mmであることが好ましく、0〜50mmであ
ることがより好ましく、0mmに近いことが特に好まし
い。
【0036】この例の光造形装置において、リコーター
10を矢印1に示す方向に移動させるときには、第2の
レベラー36の作用部38の先端面38Aを液面3Aか
ら離間させた状態とすると共に、第1のレベラー33の
作用部35の先端面35Aのレベルを液面3Aのレベル
と一致させる(図4はそのような状態を示している)。
これにより、光硬化性樹脂液の液面は、第1のレベラー
33によって平坦化される。他方、リコーター10を矢
印2に示す方向に移動させるときには、第1のレベラー
33の作用部35の先端面35Aを液面3Aから離間さ
せた状態とすると共に、第2のレベラー36の作用部3
8の先端面38Aのレベルを液面3Aのレベルと一致さ
せる。これにより、光硬化性樹脂液の液面は、第2のレ
ベラー36によって平坦化される。
【0037】このように、リコーター10の移動方向
に、第1のレベラー33および第2のレベラー36を備
えた本発明の光造形装置によれば、リコーター10が矢
印1に示す方向に移動するとき、および当該リコーター
10が矢印2に示す方向に移動するときの何れにおいて
も、塗布動作およびレベリング動作を行うことができ、
造形時間の短縮化を図ることができる。
【0038】光硬化性樹脂液3としては、造形する立体
形状物に応じて適宜のものを用いることができ、例えば
1.2〜1.8g/cm3 の密度を有する高密度の樹脂
液を好適に用いることができる。
【0039】上記のような構成の本発明の光造形装置に
よれば、以下のようにして立体形状物を構成する任意の
樹脂硬化層(第n層)および(第n+1層)を形成する
ことができる。この例の光造形方法においては、図6に
示すように、リコーター10の下面10Aに設けられた
針21の先端と、容器2内に収容された光硬化性樹脂液
3の液面3Aとが同一レベルにあるようにリコーター1
0を配置している。従って、下面10Aと液面3Aとの
距離は、針21の長さLと一致する。図6において、積
層体18は、造形すべき立体形状物の一部を構成するも
のであり、当該積層体18の最上層(第n−1層)を構
成する樹脂硬化層19の表面19Aは大きな面積s(例
えば1600cm2 :40cm×40cm)を有してい
る。
【0040】(1)第1のレベラー33とリコーター1
0と第2のレベラー36との連結体を容器の一端側にお
ける光硬化性樹脂液の上方(液上)に配置し、第2のレ
ベラー36の作用部38の先端面38Aを液面3Aから
離間させると共に、第1のレベラー33の作用部35の
先端面35Aのレベルを液面3Aのレベルと一致させ
る。
【0041】(2)図3に示した支持ステージ5を、樹
脂硬化層19の表面19Aが液面3Aから形成すべき未
硬化層の厚さに相当する深さに達するまで降下させる。
これにより、図6に示すように、樹脂硬化層19の表面
19Aは、液面3Aから形成すべき樹脂硬化層(第n
層)の厚さ(t)に相当する分だけ下方に位置される。
このとき、表面19Aには表面張力により光硬化性樹脂
液が供給されていない状態であり、当該表面19Aの全
域に所望の未硬化層を形成するためには、v(v=s×
t)の光硬化性樹脂液が必要となる。一方、容器の一端
側の光硬化性樹脂液3上で待機状態にあるリコーター1
0には、保持空間15内の全て(V=S×L×ε>v)
に光硬化性樹脂液が吸入されて保持されている。
【0042】(3)前記光硬化性樹脂液を保持した状態
のリコーター10を水平方向(矢印1に示す方向)に移
動させる。これにより、図7に示すように、樹脂硬化層
19の上方を移動しているリコーター10から、保持空
間15内に保持されていた光硬化性樹脂液が徐々に落下
し、当該樹脂硬化層19の表面19Aの全域に所望量
(v=s×t)以上の光硬化性樹脂液が供給される。
【0043】(4)図8に示すように、リコーター10
と共に移動する第1のレベラー33により、表面19A
上における過剰量の光硬化性樹脂液が除去されて、この
表面19Aに供給された光硬化性樹脂液の液面が平坦化
されることにより、当該樹脂硬化層19の表面19Aに
は厚みtの未硬化層(第n層)か形成される。
【0044】ここで、樹脂硬化層19の表面19A全域
への光硬化性樹脂液の供給を終了し、当該樹脂硬化層1
9の上方を離れた直後のリコーター10には、その下面
10Aに設けられた針21の表面および針21同士の間
隙において光硬化性樹脂液がわずかに残留しており、こ
の残留液が、リコーター10による光硬化性樹脂液の再
吸入を促進する。このため、容器の他端側に向かって光
硬化性樹脂液の上方を移動している時(図8に示した状
態)、および、容器の他端側で待機している時に、特に
吸入を促すよう動作させなくても光硬化性樹脂液の再吸
入がなされる。その結果、リコーター10における保持
空間15内の全て(V=S×L×ε)に光硬化性樹脂液
が再吸入されて保持される。
【0045】(5)光源装置4からの光を前記未硬化層
(第n層)の表面(光硬化性樹脂液3の液面3A)に対
して選択的に照射する。これにより、光照射された部分
は光重合により硬化して、樹脂硬化層(第n層)が形成
される。
【0046】(6)容器の他端側において、第1のレベ
ラー33の作用部35の先端面35Aを液面3Aから離
間させると共に、第2のレベラー36の作用部38の先
端面38Aのレベルを液面3Aのレベルと一致させる。
【0047】(7)図3に示した支持ステージ5を、樹
脂硬化層(第n層)の表面が液面3Aから形成すべき未
硬化層の厚さに相当する深さに達するまで降下させる。
これにより、樹脂硬化層(第n層)の表面は、液面3A
から形成すべき樹脂硬化層(第n+1層)の厚さに相当
する分だけ下方に位置される。このとき、樹脂硬化層
(第n層)の表面には表面張力により光硬化性樹脂液が
供給されていない状態であり、当該表面の全域に所望の
未硬化層を形成するためには、v(v=s×t)の光硬
化性樹脂液が必要となる。一方、容器の他端側の光硬化
性樹脂液3上で待機状態にあるリコーター10には、保
持空間15内の全て(V=S×L×ε>v)に光硬化性
樹脂液が吸入されて保持されている。
【0048】(8)前記光硬化性樹脂液を保持した状態
のリコーター10を水平方向(容器の一端側に向かう方
向)に移動させる。これにより、樹脂硬化層(第n層)
の上方を移動しているリコーター10から、保持空間1
5内に保持されていた光硬化性樹脂液が徐々に落下し、
当該樹脂硬化層(第n層)の表面の全域に所望量(v=
s×t)以上の光硬化性樹脂液が供給される。
【0049】(9)リコーター10と共に移動する第2
のレベラー36により、樹脂硬化層(第n層)の表面上
における過剰量の光硬化性樹脂液が除去されて、この表
面に供給された光硬化性樹脂液の液面が平坦化されるこ
とにより、当該樹脂硬化層(第n層)の表面には厚みt
の未硬化層(第n+1層)か形成される。
【0050】(10)光源装置4からの光を前記未硬化
層(第n+1層)の表面(光硬化性樹脂液3の液面3
A)に対して選択的に照射する。これにより、光照射さ
れた部分は光重合により硬化して、樹脂硬化層(第n+
1層)が形成される。
【0051】(11)上記(1)〜(10)と同様の操
作(未硬化層の形成・樹脂硬化層の形成)を繰り返すこ
とにより、樹脂硬化層の積層体よりなる立体形状物が造
形される。
【0052】図4に示した構成の本発明の光造形装置に
よれば、リコーター10の下面10Aに植針処理が施さ
れていることにより、毛管現象作用による光硬化性樹脂
液の吸入力および保持力が従来のリコーターと比較して
大きいため、液面3Aとリコーター10の下面10Aと
の距離を十分に大きくすることができ、これにより、多
量の光硬化性樹脂液を当該リコーター10によって吸入
することができる。その結果、大きな面積を有する樹脂
硬化層19の表面19Aの全域に、リコーター10の1
回の移動(容器の一端側から他端側への移動、または容
器の他端側から一端側への移動)で光硬化性樹脂液を供
給することが可能となる。
【0053】また、前記リコーター10の下面10に設
けられた針21により、光硬化性樹脂液との接触面積が
増加することによっても、当該リコーター10による光
硬化性樹脂液の吸入力および保持力が大きくなり、これ
により、前記リコーター10に多量の光硬化性樹脂液が
吸入される状態であっても、この吸入された光硬化性樹
脂液が早期に落下することを防止することができる。そ
の結果、樹脂硬化層19の表面19A全域に所望の量の
光硬化性樹脂液を均一に供給することができる。
【0054】本発明の光造形方法によれば、大きな面積
の表面を有する樹脂硬化層を積層してなる立体形状物を
高い効率で造形することができる。また、図6〜図8を
用いて説明した本発明の光造形方法によれば、針21の
先端に形成された拡径部22が液面3Aと同一レベルに
あるようにリコーター10を配置しているので、当該リ
コーター10が移動することにより、当該拡径部22に
より一層高いレベリング効果が得られる。その結果、レ
ベリングに要する時間が短縮されるため、立体形状物の
造形時間を更に短縮することができる。
【0055】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明はこれらに限定されるものではなく種々の変
更を加えることができる。 (1)本発明の光造形方法においては、図9に示すよう
に、下面10Aに設けられた針21の先端が、液面3A
から離間した状態になるように当該リコーター10を配
置することもできる。この光造形方法によれば、液面3
Aとリコーター10の下面10Aとの距離が更に大きく
なるため、リコーター10によって吸入することのでき
る光硬化性樹脂液の容量が一層大きくなる。
【0056】(2)本発明の光造形方法においては、堰
形状を有する立体形状物を高い効率で造形することがで
きる。すなわち、下面10Aに植針処理が施されること
により、吸入保持することのできる光硬化性樹脂液の容
量が大きくなるため、当該堰の内側において表面張力に
よる光硬化性樹脂液の表面に高い盛り上がりが生じて
も、堰の内側を移動しているリコーター10により、盛
り上がり分の当該光硬化性樹脂液を吸入することができ
る。このリコーター10による過剰な量の光硬化性樹脂
液を除去する効果により、堰形状の内側における光硬化
性樹脂液の液面を短時間で平坦化させることができる。
【0057】(3)図10は、本発明の光造形装置の他
の例の要部を示す説明図である。この例の光造形装置に
おいては、リコーター10が容器(図示省略)の一端側
から他端側に移動する(移動方向を「矢印1」で示
す。)ときに、当該リコーター10により塗布された光
硬化性樹脂液の液面を平坦化させるレベラー30を備え
ている。同図において、40は、リコーター10とレベ
ラー30とを連結する連結部材である。レベラー30
は、液面3Aに対して傾斜した状態で設けられている作
用部32と、当該作用部32を支持する支持部31とか
らなる。
【0058】図10に示したような構成を有する本発明
の光造形装置によれば、リコーター10が容器の一端側
から他端側(矢印1に示す方向)に移動するときに、塗
布動作およびレベリング動作を行うことができ、矢印1
に示す方向にリコーター10を1回移動させるだけで、
大きな面積を有する樹脂硬化層の表面全域に光硬化性樹
脂液を確実に供給することができる。なお、矢印1に示
す方向への移動に先行して、リコーター10を容器の他
端側から一端側(矢印2に示す方向)に移動させること
により、樹脂硬化層の表面に光硬化性樹脂液を塗布して
もよい。
【0059】(4)本発明の光造形装置においては、リ
コーターの下面に円錐形状の針が設けられていてもよ
い。 (5)本発明の光造形装置においては、曲面状に形成さ
れた下面に植針処理が施されていてもよい。 (6)本発明の光造形装置においては、リコーターの下
面に設けられた針の先端同士が連結されてループを形成
していてもよく、これにより、当該リコーターにおける
光硬化性樹脂液の保持力を向上させることができる。
【0060】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0061】<実施例1>光硬化性樹脂液を収容する容
器(縦700mm、横700mm、深さ600mm)
と、光硬化性樹脂液の液面に紫外線を照射する光源装置
と、樹脂硬化層の積層体を支持する支持ステージと、こ
の容器内において形成される樹脂硬化層の表面に光硬化
性樹脂液を塗布するリコーターと、このリコーターが前
記容器の一端側から他端側に移動するときに、当該リコ
ーターにより塗布された光硬化性樹脂液の液面を平坦化
させる第1のレベラーと、前記リコーターが前記容器の
他端側から一端側に移動するときに、当該リコーターに
より塗布された光硬化性樹脂液の液面を平坦化させる第
2のレベラーとを備えてなる光造形装置「JSC200
0」(ソニー(株)製)を準備し、前記リコーターの下
面(500mm×25mm)の全域に以下に示す態様で
植針処理を施した。ここで、リコーター、第1のレベラ
ーおよび第2のレベラーは、図10に示したような構成
のものを使用した。また、第1のレベラー(33)およ
び第2のレベラー(36)は、それぞれ、当該リコータ
ー(10)との離間距離が18mmとなるように配置し
た。
【0062】〔植針処理の態様〕 (1)針の形状:直径0.4mm、長さ4mmの円柱体
であって、その先端に半球状(半径0.4mm)の拡径
部を有している。 (2)針の材質:ポリオレフィン (3)植針ピッチ(P):2mm×2mm (4)保持空間の空隙率(ε):93% (5)保持空間の容量(V):46.5cm3 (50c
m×2.5cm×0.4cm×0.93)
【0063】密度1.2g/cm3 、粘度(25℃)
0.5Pa・sの光硬化性樹脂液を前記容器内に収容
し、次いで、リコーター(10)、第1のレベラー(3
3)および第2のレベラー(36)を容器の一端側(樹
脂液の上方)に配置した。ここに、リコーター(10)
の下面(10A)に設けられた針(21)の先端レベル
を光硬化性樹脂液(3)の液面(3A)のレベルと一致
させることにより、リコーター(10)の下面(10
A)と、光硬化性樹脂液(3)の液面(3A)との距離
を4mmに設定した。また、第2のレベラー(36)の
先端面(38A)を光硬化性樹脂液(3)の液面(3
A)から離間させると共に、第1のレベラー(33)の
先端面(35A)を光硬化性樹脂液(3)の液面(3
A)と同一レベルにあるようにした。
【0064】前記光硬化性樹脂液の液面から0.2mm
の深さに支持面が位置するよう支持ステージを降下さ
せ、当該支持ステージ上の光硬化性樹脂液の液面に対し
て選択的に紫外線(光量107mJ/cm2 )を照射す
ることにより、第1層としての樹脂硬化層(400mm
×400mm×0.2mm)を支持ステージ上に形成し
た。
【0065】次いで、当該樹脂硬化層(第1層)を0.
2mm降下させた後、前記リコーター(10)、第1の
レベラー(33)および第2のレベラー(36)を容器
の一端側から他端側に向けて150mm/秒の速度で水
平方向に移動させることにより、前記樹脂硬化層(第1
層)の表面に、光硬化性樹脂液(保持空間に保持されて
いた樹脂液)を塗布した。これにより、当該樹脂硬化層
(第1層)の表面の全域(400mm×400mm)に
均一な厚み(0.2mm)の未硬化層(第2層)が形成
された。その後、光硬化性樹脂液の液面(未硬化層の表
面)に対して選択的に紫外線(光量107mJ/c
2 )を照射することにより、樹脂硬化層(第2層)を
形成した。
【0066】更に、第1のレベラー(33)の先端面
(35A)を光硬化性樹脂液(3)の液面(3A)から
離間させると共に、第2のレベラー(36)の先端面
(38A)を光硬化性樹脂液(3)の液面(3A)と同
一レベルにあるようにした。
【0067】次いで、当該樹脂硬化層(第2層)を0.
2mm降下させた後、前記リコーター(10)、第1の
レベラー(33)および第2のレベラー(36)を容器
の他端側から一端側に向けて150mm/秒の速度で水
平方向に移動させることにより、前記樹脂硬化層(第2
層)の表面に、光硬化性樹脂液(保持空間に保持されて
いた樹脂液)を塗布した。これにより、当該樹脂硬化層
(第2層)の表面の全域(400mm×400mm)に
均一な厚み(0.2mm)の未硬化層(第3層)が形成
された。その後、光硬化性樹脂液の液面(未硬化層の表
面)に対して選択的に紫外線(光量107mJ/c
2 )を照射することにより、樹脂硬化層(第3層)を
形成した。
【0068】以下、同様の操作(未硬化層の形成・樹脂
硬化層の形成)を繰り返すことにより、樹脂硬化層の積
層体よりなる立体形状物を造形した。
【0069】<実施例2>植針ピッチ(P)を1mm×
1mmに変更したこと以外は実施例1と同様にしてリコ
ーターの下面(500mm×25mm)の全域に植針処
理を施した。このリコーターの保持空間の空隙率(ε)
は86%であり、当該保持空間の容量(V)は43.0
cm3 (50cm×2.5cm×0.4cm×0.8
6)である。
【0070】リコーターおよびレベラーの移動速度を7
5mm/秒に変更したこと以外は実施例1と同様にし
て、樹脂硬化層(第1層)の形成、当該樹脂硬化層(第
1層)の表面に光硬化性樹脂液を塗布することによる未
硬化層(第2層)の形成、当該未硬化層(第2層)の表
面に対する選択的な紫外線照射による樹脂硬化層(第2
層)の形成、当該樹脂硬化層(第2層)の表面に光硬化
性樹脂液を塗布することによる未硬化層(第3層)の形
成、当該未硬化層(第3層)の表面に対する選択的な紫
外線照射による樹脂硬化層(第3層)の形成を行った。
【0071】この実施例によれば、樹脂硬化層(第1
層)の表面の全域(400mm×400mm)に、均一
な厚み(0.2mm)の未硬化層(第2層)が形成さ
れ、樹脂硬化層(第2層)の表面の全域(400mm×
400mm)に、均一な厚み(0.2mm)の未硬化層
(第3層)が形成された。以下、同様の操作(未硬化層
の形成・樹脂硬化層の形成)を繰り返すことにより、樹
脂硬化層の積層体よりなる立体形状物を造形した。
【0072】<比較例1>リコーターの下面に植針処理
を施さなかったこと以外は実施例1と同様にして樹脂硬
化層(第1層)を形成し、当該樹脂硬化層(第1層)の
表面に光硬化性樹脂液を塗布することによる未硬化層
(第2層)の形成を試みたところ、樹脂硬化層(第1
層)の表面の一部(10面積%)にしか光硬化性樹脂液
を塗布することができなかった。
【0073】<比較例2>リコーターの下面と光硬化性
樹脂液の液面との距離を2mmに設定して、当該リコー
ターを配置したこと以外は比較例1と同様にして樹脂硬
化層(第1層)を形成し、当該樹脂硬化層(第1層)の
表面に光硬化性樹脂液を塗布することによる未硬化層
(第2層)の形成を試みたところ、樹脂硬化層(第1
層)の表面の一部(80面積%)にしか光硬化性樹脂液
を塗布することができなかった。
【0074】以上の結果を表1にまとめて示す。
【0075】
【表1】
【0076】表1において、比較例1および比較例2に
おける保持容量とは、リコーターの下面の面積(125
cm2 )およびリコーターの下面と光硬化性樹脂液の液
面との距離(4mm/2mm)により算出された値をい
う。
【0077】表1に示すように、実施例1および実施例
2においては、樹脂硬化層の表面全域に光硬化性樹脂液
が塗布されることによって樹脂硬化層(第n−1層)の
表面に均一な厚み(0.2mm)の未硬化層(第n層)
が形成され、目的とする樹脂硬化層(第n層)を形成す
ることができた。更に、容器の他端側(樹脂液の上方)
に到達したリコーターの下方を観察したところ、当該リ
コーターの保持空間に光硬化性樹脂液が再吸入されてい
た。
【0078】これに対して比較例1においては、リコー
ターが確実に光硬化性樹脂液を保持することができない
ため、他端側に向けて移動するリコーターが樹脂硬化層
(第1層)の上方に到達する前に、吸入した光硬化性樹
脂液の殆ど全てが落下してしまい、当該樹脂硬化層(第
1層)の表面には、レベラーに押し出された光硬化性樹
脂液のみが塗布され、当該表面における光硬化性樹脂液
の塗布割合はきわめて低いものであった。また、比較例
2においては、リコーターの下面と樹脂液の液面との距
離(当該リコーターによる光硬化性樹脂液の保持容量)
が十分に確保されていないために、樹脂硬化層(第1
層)の表面全域に光硬化性樹脂液を塗布することができ
なかった。
【0079】<実施例3>実施例1で使用したものと同
様の光造形装置および光硬化性樹脂液を用い、外辺が1
00mm×100mm、内辺が90mm×90mm、厚
さが0.2mmの樹脂硬化層を積層することにより、堰
形状を有する高さ150mmの立体形状物を造形した。
ここに、樹脂硬化層(第n−1層)の表面に、未硬化層
(第n層)を塗布形成する方法として、植針処理された
下面を有するリコーターを、容器の一端側から他端側に
向けて150mm/秒の速度で移動させる方法を採用し
た。また、樹脂硬化層(第n層)を形成するために未硬
化層(第n層)の表面に照射する紫外線の光量を107
mJ/cm2 とした。以上の造形工程において、最上層
(第750層)とされる未硬化層(第750層)を形成
する際に、リコーターによる塗布動作を行ってから、堰
の内側(90mm×90mm)に生じた光硬化性樹脂液
の液面の盛り上がりが平坦化されるまでの時間を測定し
た。結果を表2に示す。
【0080】<実施例4>実施例2で使用したものと同
様の光造形装置(植針ピッチ(P)1mm×1mmであ
るリコーターを備えた光造形装置)を用いたこと以外
は、実施例3と同様にして、堰形状を有する高さ150
mmの立体形状物を造形した。この造形工程において、
最上層(第750層)とされる未硬化層(第750層)
を形成する際に、リコーターによる塗布動作を行ってか
ら、堰の内側(90mm×90mm)において生じた光
硬化性樹脂液の液面の盛り上がりが平坦化されるまでの
時間を測定した。結果を表2に示す。
【0081】<比較例3>比較例1で使用したものと同
様の光造形装置(その下面に植針処理を施していないリ
コーターを備えた光造形装置)を用い、リコーターの下
面と光硬化性樹脂液の液面との距離を2mmに設定した
こと以外は、実施例3と同様にして、堰形状を有する高
さ150mmの立体形状物を造形した。この造形工程に
おいて、最上層(第750層)とされる未硬化層(第7
50層)を形成する際に、リコーターによる塗布動作を
行ってから、堰の内側(90mm×90mm)において
生じた光硬化性樹脂液の液面の盛り上がりが平坦化され
るまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】表2において、比較例3における保持容量
とは、リコーターの下面の面積(125cm2 )および
リコーターの下面と光硬化性樹脂液の液面との距離(2
mm)により算出された値をいう。
【0084】表2に示すように、実施例3および実施例
4においては、樹脂硬化層の表面の上方をリコーターお
よびレベラーが移動することにより、当該樹脂硬化層の
表面に光硬化性樹脂液が供給され、長い待機時間を要す
ることなく堰の内側の光硬化性樹脂液の液面の平坦化が
なされ、目的とする厚み(0.2mm)の未硬化層(第
n層)を短時間で形成することができた。以上のことか
ら、堰形状を有する立体形状物を短時間で造形すること
ができた。
【0085】これに対して比較例3においては、樹脂硬
化層(第n−1層)の表面全域に光硬化性樹脂液を塗布
することはできたが、堰の内側の光硬化性樹脂液の液面
が平坦化するまでには60秒間を要した。その結果、堰
形状を有する立体形状物の造形に長い時間を要した。
【0086】
【発明の効果】本発明の光造形装置によれば、植針処理
が下面に施されたリコーターが備えられていることか
ら、造形工程において形成される樹脂硬化層の表面が大
きい面積を有するものであっても、当該樹脂硬化層の表
面全域に、1回の移動で光硬化性樹脂液を供給して均一
な厚みの未硬化層を形成することができる。
【0087】また、本発明の光造形装置によれば、樹脂
硬化層の表面に供給された光硬化性樹脂液の液面を短時
間で平坦化することができる。そして、前記光造形装置
によれば、堰形状を有する立体形状物を造形する場合で
あっても、当該堰形状の内側における光硬化性樹脂液の
液面の盛り上がりを短時間で平坦化することができる。
【0088】更に、本発明の光造形装置によれば、光硬
化性樹脂液を容易に吸入して確実に保持することができ
る。
【0089】本発明の光造形方法によれば、大きな面積
の表面を有する樹脂硬化層を積層してなる立体形状物で
あっても、高い製造効率で造形することができる。ま
た、堰形状を有する立体形状物であっても高い製造効率
で造形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光造形法に使用される光造形装置の基本的な構
成を示す説明図である。
【図2】従来の光造形装置におけるリコーターの配置状
態を示す説明図である。
【図3】本発明の光造形装置の基本的な構成を示す説明
図である。
【図4】本発明の光造形装置の一実施形態の要部を示す
説明図である。
【図5】植針処理に用いられる針を示す説明図である。
【図6】移動前のリコーターおよびレベラーを示す説明
図である。
【図7】移動しているリコーターおよびレベラーを示す
説明図である。
【図8】移動後のリコーターおよびレベラーを示す説明
図である。
【図9】本発明の光造形方法の他の実施形態における移
動前のリコーターおよびレベラーを示す説明図である。
【図10】本発明の光造形装置の他の実施形態の要部を
示す説明図である。
【符号の説明】
1 固定ベース 2 容器 3 光硬化性樹脂液 3A 液面 4 光源装置 5 支持ステージ 6 積層体 7 樹脂硬化層 7A 樹脂硬化層の表面 9 リコーター 9A 下面 10 リコーター 10A 下面 15 保持空間 18 積層体 19 樹脂硬化層 19A 表面 21 針 22 拡径部 30 レベラー 33 第1のレベラー 36 第2のレベラー 31、34、37 支持部 32、35、38 作用部 32A、35A、38A 先端面 40、43 連結部材

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器内に収容された光硬化性樹脂液の液
    面に対して選択的に光を照射して樹脂硬化層を形成する
    工程を繰り返すことにより、当該樹脂硬化層の積層体よ
    りなる立体形状物を造形する光造形方法を行うために使
    用される光造形装置であって、 形成された樹脂硬化層の上方を水平方向に移動して当該
    樹脂硬化層の表面に光硬化性樹脂液を塗布するリコータ
    ーを備えてなり、当該リコーターの下面の少なくとも一
    部に植針処理が施されていることを特徴とする光造形装
    置。
  2. 【請求項2】 前記リコーターの下面に設けられた針の
    径が0.1〜3mm、当該針の長さが1〜30mmであ
    り、植針ピッチが0.1〜10mmであることを特徴と
    する請求項1に記載の光造形装置。
  3. 【請求項3】 前記リコーターの下面に設けられた針の
    先端に拡径部が形成されていることを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の光造形装置。
  4. 【請求項4】 前記拡径部が、球状、半球状または板状
    に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の光
    造形装置。
  5. 【請求項5】 前記リコーターの下面に設けられた針の
    先端同士が連結されてループを形成していることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の光造形装置。
  6. 【請求項6】 前記リコーターの下面に設けられた針
    が、プラスチック、セラミックまたは金属から構成され
    ていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか
    に記載の光造形装置。
  7. 【請求項7】 前記リコーターと共に水平方向に移動し
    て、当該リコーターにより塗布された光硬化性樹脂液の
    液面を平坦化させるレベラーを備えていることを特徴と
    する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の光造形装
    置。
  8. 【請求項8】 前記リコーターと前記レベラーとの離間
    距離が0〜100mmであることを特徴とする請求項7
    に記載の光造形装置。
  9. 【請求項9】 前記リコーターが、前記容器の一端側か
    ら他端側に移動するときに、当該リコーターにより塗布
    された光硬化性樹脂液の液面を平坦化させる第1のレベ
    ラーと、 前記リコーターが、前記容器の他端側から一端側に移動
    するときに、当該リコーターにより塗布された光硬化性
    樹脂液の液面を平坦化させる第2のレベラーとを備えて
    なり、 前記リコーターと、前記第1のレベラーと、前記第2の
    レベラーとが連結されていることを特徴とする請求項1
    〜請求項6のいずれかに記載の光造形装置。
  10. 【請求項10】 前記リコーターと前記第1のレベラー
    との離間距離および前記リコーターと前記第2のレベラ
    ーとの離間距離がそれぞれ0〜100mmであることを
    特徴とする請求項9に記載の光造形装置。
  11. 【請求項11】 請求項1〜請求項10のいずれかに記
    載の光造形装置を使用して行う光造形方法であって、 前記リコーターの下面に設けられた針の先端が光硬化性
    樹脂液と接触するように当該リコーターを配置し、当該
    リコーターを水平方向に移動させて樹脂硬化層の表面に
    光硬化性樹脂液を塗布する工程を含むことを特徴とする
    光造形方法。
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