JP2001293576A - 接合電極及び耐高エネルギー密度利用機器用部材 - Google Patents

接合電極及び耐高エネルギー密度利用機器用部材

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JP2001293576A
JP2001293576A JP2000051670A JP2000051670A JP2001293576A JP 2001293576 A JP2001293576 A JP 2001293576A JP 2000051670 A JP2000051670 A JP 2000051670A JP 2000051670 A JP2000051670 A JP 2000051670A JP 2001293576 A JP2001293576 A JP 2001293576A
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真人 秋場
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和幸 中村
Kazuyoshi Sato
和義 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 WとCuやNiのように、熱膨張係数の差が
大きい異種材料において接合部で熱伝導性有害な欠陥の
ない密着性に優れ、実用十分な接合強度を有する接合体
を提供する。 【解決手段】 接合電極又は耐高エネルギー密度利用機
器用部材は、タングステン部材3を中間層なしに直接タ
ングステンよりも熱膨張係数の大きい基材2に圧入接合
した接合体1を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高エネルギー密度
利用発電機器などの高温負荷で使用される電極及び部材
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大電流プラズマ電極,大パワー固
定X線陽極,MHD発電(magneto hydrodynamic gen
eration)、核融合炉あるいは高エネルギー密度のビー
ム利用機器等の電極および部材に、その過酷な放電負荷
や熱負荷に耐える材料が要求されている。
【0003】それに対し、高融点で耐熱性が高く、放電
消耗の少ないタングステン(W)およびW合金の使用が
望まれているが、その難加工性、高比重や機械的脆さ、
あるいは組立て時の部材間の結合の困難さから、他材質
基材、特にその加工性や熱伝導性に優れた銅(Cu)お
よびCu合金との接合体の検討がなされている。
【0004】例えば、大電流プラズマ電極,大パワー固
定X線陽極において、プラズマ放電や電子線照射による
損耗に耐える必要が有るため、損耗の少ないWと熱伝導
率が高く水冷効果の大きいCuとの接合体を用いること
により、W単体のアノードに比べ表面温度を低くでき放
電消耗も減少し長寿命化が図られる。また、核融合炉あ
るいは高エネルギー密度のビーム利用機器においても、
大きな熱負荷を受けるとともに、高エネルギーの荷電粒
子ビームによるエロージョン損耗の少ないWと水冷効果
の大きいCuの接合体の使用が検討されている。
【0005】これらの接合体では接合部にボイド等の空
間が存在すると熱伝導性が低下するのみならず、ヒート
スポットと呼ばれる熱の集中部となり、局部溶融等によ
る剥離の恐れがある。そのため、熱伝導性の低下のない
密着性の良好な接合体が必要となる。また、いずれも外
部からの機械的な力がかからないため極端に大きな接合
強度は要求されていないが、高温で使用される際の分離
しない接合強度は必要である。
【0006】ところで、WとCuは相互に固溶しない組
合わせであり、非常に接合の難しい組み合わせである。
通常、異種材料の接合に使用される接合方法としては、
アーク,TIG,レーザ,電子ビーム等を用いた融接接
合(溶接),ろう接接合,摩擦圧接法,及び鋳ぐるみ法
などがある。
【0007】融接は一般に「溶接」と称され、母材の溶
接しようとする部位を加熱し、母材のみか、又は母材と
溶加材とを融合させて溶融金属を作り、これを凝固させ
接合する方法で、鉄系金属を中心に広く構造物の製作に
使用されている。しかし、融接法では母材を溶融する必
要があるため、母材の融点以上の温度に加熱することが
必須である。また母材の溶融、凝固を伴うため組織変
化、すなわち再結晶およぴその粗大化が避けえないため
残留応力変形および組織変化により融接継手部近傍の脆
化、強度低下等の特性変化が生じる。そのため、特に溶
融、凝固にともなう結晶粒粗大化による脆化が顕著なW
などの難溶融性金属に対して適用が困難である。
【0008】また、WとCuの接合の場合、その融点の
大きな差および非固溶性のためほとんど実用レベルの接
合は不可能である。
【0009】ろう接は、ろう付けとも称され、母材を溶
融することなく、母材よりも低い融点をもつ金属の溶加
材(ろう材)を溶融させ、毛細管現象を利用し接合面の
隙間に行き渡らせて接合を行う方法である。そのため、
母材の溶融、凝固にともなう結晶粒粗大化や金属間化合
物が生成による脆化が生じないほか、施工温度が低いた
め熱応力を抑えることができるとともに、母材の組織変
化がない等の利点がある。さらに、ろう接は難溶融性金
属のように、母材溶融に対して高エネルギーが必要な場
合、あるいは凝固時に割れが生じやすい材料に適してい
る。また、異種材料の接合にも適している。しかしなが
ら、ろう接は接合強度が融接法に比し低いだけでなく、
ばらつきが大きいため信頼性が低いことが問題である。
また、ボイド等のヒートスボットが生じやすい。しかも
使用ろう材の融点により使用温度が制限されるととも
に、ろう材の組成によっては熱伝導性が低い欠点があ
る。
【0010】その他に、WとCuの接合法として、摩擦
圧接接合法も提案されている。例えば、特開平8−32
3485号公報において、インサート材を用いたW基金
属材とCu基金属材の摩擦圧接方法に関する接合法が提
案されている。この方法においては、インサート材の使
用によりWとCuの間に熱伝導率がCuより低いNb等
の中間層が存在し熱伝導性が低下することが問題とな
る。また、一般に円形断面材の接合に用いられる方法で
あり、一部接合する一方の素材を角断面とした例もあ
る。いずれにせよ、丸棒状素材が必要である等の形状的
制約もある。さらに、接合する部材同士の回転中心同士
が一致している必要があり、一つの基材に多数本の電極
を設置する電極体には適用できない。
【0011】鋳ぐるみ法は、しばしばWとCuの接合に
用いられている。すなわち、鋳型内に高融点のW基材を
セットし、低融点のCuを溶かした溶湯を流し込み凝固
させW基材を固定する方法である。この場合、ガスの巻
き込みや凝固の際の引け巣の制御が難しいため、ボイド
等のヒートスボットが生じやすい欠点がある。
【0012】また、高温使用時の熱膨張係数の差による
接合強度の低下が生じる。さらに少なくともW基材の周
囲の一部を抱きかかえるようにCuが回り込む必要があ
る。即ち、一面同士の接合は不可能であり、適用できる
接合体の形状が制限される。
【0013】さらに、他の接合法としてPVD成膜法が
ある。しかしながら、電極体等ではW電極がCu冷却部
より突き出た形状の要求も多い。また、平面形状の電極
体においても寿命や冷却能力の負荷軽減から厚肉化の要
求が高まっている。比較的厚膜成膜が可能な溶射法にお
いても、1mm程度が限界であり、その密着強度や信頼
性の低さ、さらに最大の問題は緻密化が事実上不可能で
あること、すなわちボアの存在が避けられないことであ
る。さらに突出形状品の製作は不可能である。
【0014】以上のように、WとCuの接合に対して熱
伝導性に有害な欠陥のない良好な密着性および実用十分
な強度が得られ、かつ適用形状に制限を受けない接合法
が現状では存在しないため、その開発が要求されてい
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】一般に、WとCuの接
合体の製作にはろう接や鋳ぐるみ法が用いられるが、ボ
イド等の欠陥による熱伝導性の低下やヒートスポットの
発生、および熱膨張係数の差が大きな問題となり、この
問題をなくすことができれば、WとCuの組合せ以外の
熱膨張係数の差が大きい異種材料接合体にも適用可能で
ある。例えば、Cu以外でも大きな熱膨張係数を持つN
i及びNi合金,ステンレス合金等がヒートシンクやバ
ッキングプレートとして使用される。
【0016】ここで、熱膨張係数は金属データブック
(日本金属学会編、改訂3版)によれば、20〜500
℃においてW:4.6,Cu:18.3,Ni:15.
2,18−8Moステンレス:17.5である。
【0017】そこで、本発明の技術的課題は、上述の事
情を考慮して、WとCuのように熱膨張係数の差が大き
い異種材料の接合体からなる接合電極と耐高エネルギー
密度利用機器用部材とを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明では、WとCuや
Niのように熱膨張係数の差が大きい異種材料において
密着性に優れた接合体を提供することにあり、具体的に
は予め所定の径、深さの孔を開けたCu基材に対し、W
部材の一部を圧入加工し接合体を得ることを目的として
いる。
【0019】しかしながら、ただCu基材に対しW部材
を圧入しても高温使用時にCu基材の方が大きな熱膨張
を生じるため、Cu基材とW部材が分離してしまう。そ
のため、Cu基材にW部材を圧入する際Cu基材の厚入
部近傍に塑性変形を生じさせることにより目的を達成し
得ることを見いだし、本発明を為すに至ったものであ
る。
【0020】即ち、本発明によれば、タングステン部材
を中間層なしに直接タングステンよりも熱膨張係数の大
きい基材に圧入接合したことを特徴とする接合電極が得
られる。
【0021】また、本発明によれば、前記接合電極にお
いて、前記タングステン部材の一部にテーパ部が形成さ
れていることを特徴とする接合電極が得られる。
【0022】また、本発明によれば、前記接合電極にお
いて、前記基材が銅または銅合金からなり、その一部に
穴加工が施されていることを特徴とする接合電極が得ら
れる。
【0023】また、本発明によれば、前記接合電極にお
いて、前記タングステン部材に形成したテーパ部の径の
一部が、前記基材に施された穴の径よりも大きく、基材
の一部に塑性変形が生じていることを特徴とする接合電
極が得られる。
【0024】また、本発明によれば、前記接合電極にお
いて、圧入接合をホットプレスによって、前記基材の軟
化点以上の高温で圧入してなることを特徴とする接合電
極が得られる。
【0025】また、本発明によれば、タングステン部材
を中間層なしにタングスデンより熱膨張係数の大きい基
材に圧入接合したことを特徴とする耐高エネルギー密度
利用機器用部材が得られる。
【0026】また、本発明によれば、前記耐高エネルギ
ー密度利用機器用部材において、前記タングスデン部材
の一部にテーパ部を形成したことを特徴とする耐高エネ
ルギー密度利用機器用部材が得られる。
【0027】また、本発明によれば、前記耐高エネルギ
ー密度利用機器用部材において、前記基材が銅または銅
合金からなり、その一部に穴加工が施されていることを
特徴とする耐高エネルギー密度利用機器用部材が得られ
る。
【0028】また、本発明によれば、前記耐高エネルギ
ー密度利用機器用部材において、前記タングステン部材
に形成したテーパ部の径の一部が、前記基材に施された
穴の径よりも大きく、前記基材の一部に塑性変形が生じ
ていることを特徴とする耐高エネルギー密度利用機器用
部材が得られる。
【0029】また、本発明によれば、前記耐高エネルギ
ー密度利用機器用部材において、圧入接合をホットプレ
スにより基材の軟化点以上の高温で圧入することを特徴
とする耐高エネルギー密度利用機器用部材が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0031】図1は本発明の第1の実施の形態による接
合体の断面図である。図2は図1の接合体のW丸棒を示
す図である。図3は図1の接合体のCu基材を示す断面
図である。図1を参照すると、接合体1は、Cu基材2
の上端面から設けられた孔部2aにW丸棒3の先端部3
aを圧入することによって、形成されている。
【0032】図2を参照すると、W丸棒3は、その先端
部3aの外周面にテーパ面3bが形成されている。
【0033】また、図3を参照すると、Cu基材2の上
端面には、円筒内周面を有する孔部2aが設けられてい
る。
【0034】図4は本発明の第2の実施の形態による接
合体の断面図である。図5は、図4の接合体の断面図で
ある。
【0035】図4に示すように、接合体1は、Cu基材
2の上端面から設けられた孔部2aにW丸棒3の先端部
3aを圧入することによって、形成されている。
【0036】図5を参照すると、W丸棒7は、一端に長
さ方向に突出した先端部7aを備えている。この先端部
7aは、径が基部よりも小さく、この先端部7aの周面
にテーパ面7bが形成されている。また、Cu基材6
は、図3に示すものと同様の形状を有している。
【0037】この接合体5は、WとCuやNiのように
熱膨張係数の差が大きい異種材料において密着性に優れ
ている。
【0038】次に上記接合体を製造する方法について説
明する。この接合体の製造方法は、Cu基材2,6とW
丸棒3,7の接合部にボイドなどの欠陥による熱伝導性
の低下やヒートスポットの発生がなくかつ実用十分な強
度を持つ接合体を得る方法である。
【0039】具体的には、図2及び図5に示すように、
W丸棒3,7の一端にテーパ加工を施し、予め機械加工
により円筒状の穴部2a,6aを施した無酸素銅基材か
らなるCu基材2,6にCu基材2,6の軟化点以上の
温度で圧入し接合体1,5を得る。その結果、良好な密
着性をもつ接合体1,5が得られる。この接合体1,5
が良好な密着性を生じる理由としては、(イ)塑性変形
により生じる基材内に内在する反力により大きな摩擦力
が生じる、(ロ)成膜後の冷却時の熱収縮が生じた際、
熱膨張係数の差から無酸素銅基材の穴部2a,6aの収
縮が溝内部に圧入されたWの収縮量より大きいため、テ
ーパ部3b,7b全体においてCu部がW部を抱え込み
締めつけ効果を発揮する、(ハ)Cu基材2,6の軟化
点以上の温度で圧入するため、Cu基材2,6がW部表
面に沿って流動、塑性変形するため、Cu基材2,6と
W部に隙間などが生じにくい、等が考えられる。
【0040】そのため、接合部にボイドなどの欠陥によ
る熱伝導性の低下やヒートスポットの発生がなくかつ実
用十分な強度を持つ接合体1,5を得ることが出来、過
酷な放電負荷や熱負荷にさらされる高エネルギー密度の
ビーム利用機器等の電極および部材に使用することが出
来る。
【0041】一般に、高エネルギー密度のビーム利用機
器等の電極および部材に使用する接合体では、接合部に
ボイド等の空間が存在すると熱伝導性が低下するのみな
らず、熱の集中部(ヒートスポット)となり局部溶融等
による剥離の恐れがある。そのため、熱伝導性の低下の
ない密着性の良好な接合体が必要となる。またいずれも
外部からの機械的な力がかからないため極端に大きな接
合強度は要求されていないが、高温で使用される際の分
離しない接合強度は必要である。このような要求に対し
て、本発明の第1及び第2の実施の形態による接合体
は、十分に満足できるものである。
【0042】また、上記の説明において、基材材質とし
てCuについて述べたが、純Cuである必要はなく、C
u合金やNiおよびその合金あるいはステンレス鋼等の
高合金鋼などWよりも熱膨張係数が大きく、かつある程
度の剛性を有する金属および合金などにも適応できる。
さらに、基材形状も平面だけではなく曲面に対しても孔
加工が可能であれば問題なく接合可能である。
【0043】一方、テーパ寸法、形状はWの必要長さあ
るいは基材の接合部面積や形状により決定すればよい
が、Cu基材2,6の接合用の穴部2a,6aとW丸棒
3,7中心のセンター合せを容易にするため、W丸棒
3,7のテーパ先端径は、Cu基材2,6の穴径よりも
若干細径とする事が好ましい。
【0044】なお、W丸棒3,7等のW棒材形状は丸棒
である必要はなく、角棒状でもよい。また、Cu基材
2,6の接合用の穴部の周辺に塑性変形を生じさせるた
めテーパの付け根部の大径部3c,7cはCu基材2,
6の穴径よりも太径とする必要がある。
【0045】また、テーパの太径側と素材丸棒の外径が
同径である必要はない。テーパの太径側の径は素材丸棒
の外径より小径でもよい。
【0046】基材の穴部2a,6aの深さは基材の周辺
部及び穴底部に塑性変形を生じさせるためテーパ長さと
同じもしくは短くする必要がある。
【0047】また、一個の基材に多数本の電極を設置す
ることも可能である。圧入温度は圧入荷重とトレードオ
フの関係にあり、可能であればより高温圧入の方が圧入
荷重を小さくすることが出来、小さなマシン能力のホッ
トプレス機で製作可能となる、あるいは同能力で多数個
を同時に製作することが可能になるなどの点から有利と
なるが、高温にすることにより基材の蒸発等の損傷など
が考えられる場合もあり、荷重との関係から任意に決定
すればよい。勿論、基材の融点以下に抑えることは当然
である。また、低温過ぎる場合は大きな圧入荷重が必要
となり、基材あるいはW部材そのものの損傷やCu部が
W部を抱え込み締めつける効果が低下するため、基材の
軟化点以上が望ましい。
【0048】それでは、本発明の接合体の製造の具体例
について説明する。
【0049】(例1)全長40mm、直径φ4mmのW
丸棒の一端に先端径φ3.5mm,テーパ呼び1:1
0,長さ5mmのテーパ加工を施した。一方、無酸素銅
製の基材(φ20mm×長さ40mm)に深さ5mm直
径3.7mmの穴加工を施した。図2にテーパ加工後の
W丸棒3の形状を、図3に無酸素銅製の基材断面図を示
す。基材2およびテーパ付きW丸棒3を洗浄,乾燥後,
中心軸がずれないように治具により円周方向を固定し、
ホットプレスに装填した。充分真空引き後、炉内温度4
00,500,600℃にそれぞれ加熱し、荷重500
kgをテーパ付きW丸棒3にかけることにより圧入作業
を実施した。その結果、温度400,500,600℃
で圧入した3種共良好な外観を持つ図1に示すような接
合体1が得られた。得られた接合体断面を観察した結
果、ボイドなどの密着強度や熱伝導性を低下させる欠陥
は認められず良好な密着性を有する界面部であることが
確認された。図1は得られた接合体1と同様の断面模式
図を示すものである。尚、治具は外径を基材外径と同じ
くφ20mmとし、中心にW丸棒の外径と同じφ6mm
とした。治具および基材外径はホットプレスのモールド
内径に合わせてあるため、円周方向に固定される。治具
長さを、テーパ付きW丸棒3のテーパ部3bを除いた長
さ35mmと無酸素銅製の基材2の長さ40mmの和、
すなわち75mmとすることにより、圧入深さを調整し
た。
【0050】(例2)前記例1の接合体1の場合と異な
り、テーパの太径側と素材丸棒の外径が同径であるがよ
り大径の部材の場合も同様に圧入出来る。その場合、テ
ーパ付きW丸棒7のテーパは、部材外径と同一である必
要はなく、外径より小径でもよい。ただし、テーパ付き
W丸棒7のテーパ部7bの付け根部に平面部が生じる
が、テーパおよび基材穴部の機械加工時の誤差などによ
りテーパ付きW丸棒7の平面部がCu基材6の上面に密
着しない可能性がある。そのため、テーパ付きW丸棒7
のテーパ長さをCu基材6の穴部6aの深さよりも長く
し、圧入によりテーパ部先端をCu基材6内に食い込ま
せることにより、密着させることを考えた。全長40m
m、直径φ10mmのW丸棒7の一端に例1と同様先端
径φ3.5mm,テーパ及び1:10,長さ5mmのテ
ーパ加工を施した。一方、無酸素銅製の基材(φ20m
m×長さ40mm)に深さ4mm、直径3.7mmの穴
加工を施した。
【0051】図5はテーパ加工後のW丸棒7の形状を、
図3は無酸素銅製の基材断面図を示す。その後、治具内
径のみを変更し他は、前記例1と同様に圧入を実施し
た。その結果、温度400,500,600℃で圧入し
た3種共良好な外観を持つ接合体が得られた。得られた
接合体断面を観察した結果、ポイドなどの密着強度や熱
伝導性を低下させる欠陥は認められず良好な密着性を有
する界面部であることが確認された。得られた接合体
は、図4の断面模式図と同様のものである。また、50
0℃において引張試験を実施した。
【0052】その結果を下記表1に各条件3本の平均値
で示す。なお、本発明のようなテーパ部で接合強度が評
価される場合、接合断面積をどの部分で評価するか一般
的な指標がないため、ここでは引抜き荷重で示した。電
極として使用する場合、機械的な外力は一般に電極部に
かかることはなく、下記表1に示す引き抜き荷重は充分
実用に耐える接合強度である。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
WとCuやNiのように、熱膨張係数の差が大きい異種
材料において接合部で熱伝導性有害な欠陥のない密着性
に優れ、実用十分な接合強度を有する接合体からなる接
合電極及び耐高エネルギー密度利用機器用部材を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による接合体の断面
図である。
【図2】図1の接合体のW丸棒を示す正面図である。
【図3】図1の接合体のCu基材を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による接合体の断面
図である。
【図5】図4の接合体のW丸棒を示す正面図である。
【符号の説明】
1,5 接合体 2,6 Cu基材 2a,6a 穴部 3,7 W丸棒 3a,7a 先端部 3b,7b テーパ部 3c,7c 大径部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋場 真人 茨城県那珂郡那珂町向山801−1 日本原 子力研究所内 (72)発明者 中村 和幸 茨城県那珂郡那珂町向山801−1 日本原 子力研究所内 (72)発明者 佐藤 和義 茨城県那珂郡那珂町向山801−1 日本原 子力研究所内 Fターム(参考) 4E001 LE02 LE06 LE15

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステン部材を中間層なしに直接タ
    ングステンよりも熱膨張係数の大きい基材に圧入接合し
    たことを特徴とする接合電極。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の接合電極において、前記
    タングステン部材の一部にテーパ部が形成されているこ
    とを特徴とする接合電極。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の接合電極において、前記
    基材が銅または銅合金からなり、その一部に穴加工が施
    されていることを特徴とする接合電極。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の接合電極において、前記
    タングステン部材に形成したテーパ部の径の一部が、前
    記基材に施された穴の径よりも大きく、基材の一部に塑
    性変形が生じていることを特徴とする接合電極。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の接合電極において、圧入
    接合をホットプレスによって、前記基材の軟化点以上の
    高温で圧入してなることを特徴とする接合電極。
  6. 【請求項6】 タングステン部材を中間層なしにタング
    スデンより熱膨張係数の大きい基材に圧入接合したこと
    を特徴とする耐高エネルギー密度利用機器用部材。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の耐高エネルギー密度利用
    機器用部材において、前記タングスデン部材の一部にテ
    ーパ部を形成したことを特徴とする耐高エネルギー密度
    利用機器用部材。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の耐高エネルギー密度利用
    機器用部材において、前記基材が銅または銅合金からな
    り、その一部に穴加工が施されていることを特徴とする
    耐高エネルギー密度利用機器用部材。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の耐高エネルギー密度利用
    機器用部材において、前記タングステン部材に形成した
    テーパ部の径の一部が、前記基材に施された穴の径より
    も大きく、前記基材の一部に塑性変形が生じていること
    を特徴とする耐高エネルギー密度利用機器用部材。
  10. 【請求項10】 請求項6記載の耐高エネルギー密度利
    用機器用部材において、圧入接合をホットプレスにより
    基材の軟化点以上の高温で圧入することを特徴とする耐
    高エネルギー密度利用機器用部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011104011A3 (de) * 2010-02-25 2012-01-26 DüRR DENTAL AG Röntgenröhre sowie system zur herstellung von röntgenbildern für die zahnmedizinische oder kieferorthopädische diagnostik
KR101285484B1 (ko) * 2005-08-29 2013-07-12 플란제 에스이 구조화된 텅스텐 부재를 구비한 복합재 부품

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WO2011104011A3 (de) * 2010-02-25 2012-01-26 DüRR DENTAL AG Röntgenröhre sowie system zur herstellung von röntgenbildern für die zahnmedizinische oder kieferorthopädische diagnostik

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