JP2001289836A - 焼却飛灰中の有害物質の測定方法及び装置 - Google Patents

焼却飛灰中の有害物質の測定方法及び装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼却飛灰中の有害物質を簡易に測定する。 【解決手段】 廃棄物焼却炉10において、排ガス中の
飛灰を採取し、測色計28を用いてその色を測定・数値
化することにより、飛灰中のダイオキシン類などの有害
有機塩素化合物の濃度を簡易に算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物焼却炉など
において、集塵灰や集塵器の入口煙道中等の飛灰を採取
し、例えば、測色計によってその色を測定・数値化する
ことにより、飛灰中の未燃炭素分等を測定したり、ダイ
オキシン類などの有害有機塩素化合物に代表される有害
物質の濃度を簡易に算出する方法及び装置に関するもの
である。また、本発明は、廃棄物焼却炉等における燃焼
温度、1次空気量、2次空気量などの効率的な制御に必
要な飛灰中の有害物質濃度を簡易に測定する方法及び装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、廃棄物焼却施設における排ガ
ス等に含まれる有害有機塩素化合物の1つであるダイオ
キシン類を簡易な方法で分析するために、ダイオキシン
類と相関性が高いといわれているクロロベンゼンなどの
指標物質を分析し、この分析値からダイオキシン類濃度
を算出するという方法が知られている。例えば、特開平
11−37986号公報、特開平10−332666号
公報には、ダイオキシン類の代替指標としてのクロロベ
ンゼン類等を、吸着剤に吸着させるなど濃縮操作を行っ
た後、ガスクロマトグラフ装置を用いて分析する方法及
び装置が開示されている。また、例えば、特開平11−
14596号公報には、レーザー多光子イオン化質量分
析装置を用いて、排ガス中のダイオキシン類の代替指標
物質(クロロジベンゾフラン系化合物)を測定し、この
測定値からダイオキシン類濃度を求める方法が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】廃棄物焼却炉におい
て、排ガス中のダイオキシン類などの有害有機塩素化合
物濃度は、非常に濃度が低い。クロロベンゼンなどの代
替指標物質もダイオキシン類と比較すると濃度は高い
が、直接ガスクロマトグラフ装置で分析できるほど濃度
が高くないため、従来の方法では、濃縮するなどの工程
が必要であり、分析に時間がかかるという欠点がある。
その測定結果によって焼却炉の燃焼を制御する方法も考
えられているが、分析に時間がかかるため、測定時の燃
焼状態は、排ガスをサンプリングした時の焼却炉の燃焼
状態と時間差が生じてしまい、効果的な制御を行うこと
ができない。さらに、装置も複雑で、大きくなるために
コストも高い。
【0004】また、飛灰(ダスト)の多い排ガス中のダ
イオキシン類濃度を求める場合には、飛灰が除去された
後に分析が行われるため、飛灰中のダイオキシン類濃度
が含まれない。排ガス中のダイオキシン類は、気相より
も飛灰中に存在する割合の方が高い場合が多いため、従
来の方法では、飛灰の多い排ガス中のダイオキシン類濃
度を正確に算出することは難しい。さらに、指標物質と
ダイオキシン類の濃度との相関性が低い場合もあり、求
めたダイオキシン類濃度の精度が低いという問題があ
る。
【0005】本発明は上記の諸点に鑑みなされたもの
で、本発明の目的は、廃棄物焼却炉などにおいて、排ガ
ス中の飛灰を採取し、例えば、測色計を用いてその色を
測定・数値化することにより、飛灰中の未燃炭素分等を
測定したり、ダイオキシン類などの有害有機塩素化合物
に代表される有害物質の濃度を簡易に算出することがで
き、さらに、これらの値により廃棄物焼却炉等の燃焼温
度、1次空気量、2次空気量などを効果的に制御するこ
とが可能となる焼却飛灰中の有害物質の測定方法及び装
置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の焼却飛灰中の有害物質の測定方法は、廃
棄物焼却炉等から排出される排ガス中の飛灰を採取し、
飛灰の色を測定することにより、飛灰中の有害物質濃度
を算出するように構成されている。飛灰中の有害物質と
しては、後述するダイオキシン類などの有害有機塩素化
合物や未燃炭素の他に、有機ハロゲン化物質(弗化物
等)、Cu化合物(CuCl、CuCl2、Cu2O、C
uO、CuS、CuSO4等)、Fe化合物(FeC
l、FeCl2、FeCl3、FeO、Fe23、Fe3
4、FeS、FeSO4等)、Al化合物(AlCl3
等)、Sb化合物(SbCl5、SbCl3、Sb2
3等)、Sn化合物(SnCl4等)、Ni化合物(Ni
Cl2等)、Zn化合物(ZnO、ZnCl2、ZnS
等)、Pb化合物(PbO、Pb2O、PbSO 4、Pb
S、PbCl2等)、Bi化合物(BiCl3等)、Mn
化合物(MnS、MnCl2等)、Mg化合物(MgC
2等)、Hg化合物(HgO、Hg2O、HgCl、H
gCl2、HgS、Hg2S、HgSO4、Hg2SO
4等)、Cd化合物(CdO、CdCl2、CdS、Cd
SO4等)、Cr化合物(CrO、Cr23、CrO3
CrS、Cr23、CrSO4等)などが挙げられる。
【0007】また、本発明の方法は、廃棄物焼却炉等か
ら排出される排ガス中の飛灰を採取し、飛灰の色を測定
することにより、飛灰中の未燃炭素分を算出することを
特徴としている。また、本発明の方法は、廃棄物焼却炉
等から排出される排ガス中の飛灰を採取し、飛灰の色を
測定することにより、飛灰中のダイオキシン類などの有
害有機塩素化合物濃度を算出することを特徴としてい
る。また、本発明の方法は、廃棄物焼却炉等から排出さ
れる排ガス中の飛灰を採取し、飛灰に含まれる未燃炭素
分を測定することにより、飛灰中のダイオキシン類など
の有害有機塩素化合物濃度を算出することを特徴として
いる。また、本発明の方法は、廃棄物焼却炉等から排出
される排ガス中の飛灰を採取し、飛灰に含まれるCu化
合物(例えば、塩化物、酸化物)及びFe化合物(例え
ば、塩化物、酸化物)の少なくともいずれかを測定する
ことにより、飛灰中のダイオキシン類などの有害有機塩
素化合物濃度を算出することを特徴としている。
【0008】これらの本発明の方法において、色彩計又
は分光測色計を用いて飛灰の色を測定・数値化すること
が好ましい。色彩計は刺激値直読方法で色を測定する装
置であり、分光測色計は分光測色方法で色を測定する装
置である。刺激値直読方法とは、人間の目に対応する分
光感度とほぼ同一の感度を持つ3つのセンサで試料を測
定し、直接「三刺激値」と呼ばれる3つの値を測定する
方法である。一方、分光測色方法とは、複数のセンサで
試料から反射された光を分光し、各波長ごとの反射率を
測定し、そのデータをもとにマイコン部で積分計算を行
い、三刺激値の3つの値を算出する方法である。また、
飛灰に含まれる未燃炭素分の測定方法としては、上記の
刺激値直読タイプの色彩計や分光測色計を用いる他に、
一定光源下における灰の反射光強度を半導体光センサで
測定することで灰の色調を定量化した値から演算する方
法がある。この方法は、一定光源下における灰の反射光
強度を半導体光センサで測定することで灰の色調を定量
化した値が、灰中未燃分の値に対して、片対数グラフで
直線関係にあることから、この直線(検量線)を用いて
灰中未燃分の値を算出するものである。また、未燃炭素
分の他の測定方法としては、灰を高周波加熱して燃焼さ
せCO2として赤外線で検出する方法が挙げられる。こ
の方法は、試料をルツボに入れて高周波炉で燃焼させ、
炭素分をCO2として赤外線吸収法で検出するものであ
る。
【0009】また、上記の本発明の方法において、廃棄
物焼却炉等から排出される排ガスを急冷することによ
り、気相の有害有機塩素化合物を飛灰に移行させた後、
この飛灰を採取することが好ましい。また、上記の本発
明の方法において、廃棄物焼却炉等の出口近傍から高温
の排ガスを吸引するとともに飛灰を捕捉し、捕捉した飛
灰と排ガスを急冷することにより、気相の有害有機塩素
化合物を飛灰に移行させた後、この飛灰を測定に用いる
ことができる。また、これらの本発明の方法において、
廃棄物焼却炉等における燃焼温度、1次空気量、2次空
気量などを制御する指標とするための有害物質(ダイオ
キシン類などの有害有機塩素化合物を含む)濃度又は未
燃炭素分を算出することが好ましい。すなわち、本発明
の方法で算出した有害有機塩素化合物濃度などの値によ
り、廃棄物焼却炉等における燃焼温度、1次空気量、2
次空気量などを制御することができる。
【0010】廃棄物焼却炉等の排ガス中に存在する有害
な有機化合物(有機塩素化合物を含む)は、主に飛灰中
の未燃炭素が熱分解及び酸化分解を受けて生成すると考
えられている。例えば、ダイオキシン類の生成過程は、
ダイオキシン類と構造が近いポリクロロベンゼン、ポリ
クロロフェノールなどの前駆体から生成する「前駆体生
成」と、未燃炭素などの構造的な関連性の薄い物質から
生成する「デ・ノボ(DeNovo)合成」が考えられ
ている。そして、これらの反応には飛灰に含まれるC
u、Feなどの金属が触媒として作用していると考えら
れている。また、排ガス中にはHClが存在しているた
め、排ガス中の金属は塩化物や酸化物などの化合物とな
っていると考えられる。金属の塩化物は有機物の塩素化
(Deacon反応)触媒として知られ、特にCuCl
2の反応性が高いと言われている。したがって、飛灰中
の未燃炭素又は未燃炭素の指標となる値(飛灰の色な
ど)とダイオキシン類の濃度の相関性を明らかにするこ
とにより、ダイオキシン類の濃度を簡易に分析すること
ができる。同様に、飛灰中のCu化合物、Fe化合物等
とダイオキシン類の濃度の相関性を明らかにすることに
より、ダイオキシン類の濃度を簡易に分析することがで
きる。
【0011】これまでの研究により、以下の3点が明ら
かになっている。(1)廃棄物焼却炉においては、飛灰
中の未燃炭素分が多いほど、ダイオキシン類の生成量が
多くなり、排ガス中のダイオキシン類濃度が高くなる。
(2)未燃炭素分の多い飛灰は、黒色が強くなるため、
色を測定すると、明度を示すパラメータ数値が低くな
る。(3)飛灰の明度を示すパラメータと飛灰中のダイ
オキシン類濃度には相関性がある。例えば、図1に示す
ように、飛灰の明度はダイオキシン類濃度に対して片対
数グラフで略直線関係にある。そこで、焼却炉におい
て、集塵器で回収された飛灰、あるいは集塵器入口の煙
道中の飛灰等を採取し、色彩計や分光測色計等の測色計
を用いて色を測定することにより、ダイオキシン類など
の有害有機塩素化合物濃度をわずか数秒で算出すること
が可能になる。このため、算出した有害有機塩素化合物
濃度によって、焼却炉の燃焼温度、1次空気量、2次空
気量などを制御すると、飛灰をサンプリングした時の焼
却炉の燃焼状態と、色を測定した時の燃焼状態の時間差
を非常に小さくできるため、効率的に焼却炉の燃焼を制
御できる。
【0012】本発明の焼却飛灰中の有害物質の測定装置
は、廃棄物焼却炉等から排出される排ガス中の飛灰を採
取する飛灰サンプリング手段と、採取した飛灰の色を測
定・数値化する測色計と、測色計で数値化した飛灰の色
から飛灰中の有害物質濃度を算出する演算手段とを包含
してなることを特徴としている(図2〜図5参照)。ま
た、本発明の装置は、廃棄物焼却炉等から排出される排
ガス中の飛灰を採取する飛灰サンプリング手段と、採取
した飛灰の色を測定・数値化する測色計と、測色計で数
値化した飛灰の色から飛灰中の未燃炭素分を算出する演
算手段とを包含してなることを特徴としている。また、
本発明の装置は、廃棄物焼却炉等から排出される排ガス
中の飛灰を採取する飛灰サンプリング手段と、採取した
飛灰の色を測定・数値化する測色計と、測色計で数値化
した飛灰の色から飛灰中の有害有機塩素化合物濃度を算
出する演算手段とを包含してなることを特徴としている
(図2〜図5参照)。
【0013】また、本発明の装置は、廃棄物焼却炉等か
ら排出される排ガス中の飛灰を採取する飛灰サンプリン
グ手段と、採取した飛灰の一定光源下における反射光強
度を半導体光センサで測定することで灰の色調を定量化
した値から灰中の未燃炭素分を演算する未燃炭素測定器
と、未燃炭素測定器で測定した未燃炭素分から飛灰中の
有害有機塩素化合物濃度を算出する演算手段とを包含し
てなることを特徴としている。また、本発明の装置は、
廃棄物焼却炉等から排出される排ガス中の飛灰を採取す
る飛灰サンプリング手段と、採取した飛灰を高周波加熱
して燃焼させCO2として赤外線で検出することにより
灰中の未燃炭素分を測定する未燃炭素測定器と、未燃炭
素測定器で測定した未燃炭素分から飛灰中の有害有機塩
素化合物濃度を算出する演算手段とを包含してなること
を特徴としている。
【0014】これらの本発明の装置において、飛灰サン
プリング手段を、集塵器入口で消石灰や活性炭等の薬剤
が吹き込まれていない集塵灰を採取するものとすること
ができる(図2参照)。また、これらの本発明の装置に
おいて、飛灰サンプリング手段を、集塵器入口の消石灰
や活性炭等の薬剤が吹き込まれる位置より上流側の飛灰
を採取するものとすることができる(図3参照)。ま
た、これらの本発明の装置において、飛灰サンプリング
手段を、廃棄物焼却炉等からの排ガスが急冷されて気相
の有害有機塩素化合物が飛灰に移行した後の飛灰を採取
するものとすることができる(図4参照)。また、本発
明の装置は、廃棄物焼却炉等の出口近傍に接続された、
高温排ガスを吸引するとともに飛灰を捕捉し、捕捉した
飛灰と排ガスを急冷して気相の有害有機塩素化合物を飛
灰に移行させるための排ガス吸引手段及び冷却手段を備
えた飛灰捕捉手段からなる飛灰取出手段と、飛灰取出手
段で取り出した飛灰を採取する飛灰サンプリング手段
と、採取した飛灰の色を測定・数値化する測色計と、測
色計で数値化した飛灰の色から飛灰中の有害有機塩素化
合物濃度を算出する演算手段とを包含してなることを特
徴としている(図5参照)。
【0015】これらの本発明の装置において、測色計と
しては、色彩計又は分光測色計等を用いることができ
る。また、これらの本発明の装置において、演算手段
を、演算手段で算出した値によって廃棄物焼却炉等にお
ける燃焼温度、1次空気量及び2次空気量の少なくとも
いずれかを制御する制御手段に接続した構成とすること
が好ましい(図2〜図5参照)。また、これらの本発明
の装置において、飛灰サンプリング手段を、採取した飛
灰を微粉砕するようにした飛灰サンプリング・微粉砕手
段とすることが好ましい(図2〜図5参照)。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定さ
れるものではなく、適宜変更して実施することができる
ものである。図2は、本発明の実施の第1形態による焼
却飛灰中の有害物質の測定方法を実施する装置を示して
いる。図2に示すように、一例として、廃棄物焼却炉1
0から排出された排ガスは、空気予熱器12で空気を予
熱して冷却された後、バグフィルタ、電気集塵機等の集
塵器14により排ガス中の飛灰が除去され、ついで、活
性炭吸着塔16、触媒脱硝塔18で処理されて煙突20
から排出される。廃棄物焼却炉10は、1次空気送風機
22から1次空気が吹き込まれ、2次空気送風機24か
ら2次空気が吹き込まれて燃焼状態が調節されている。
なお、廃棄物焼却炉10からの排ガスをボイラに導入し
て熱回収する構成もあるが、図2では図示を省略してい
る。
【0017】廃棄物焼却炉10から排出された排ガス
は、排ガスに含まれる飛灰中の未燃炭素分が多いほど、
冷却過程でのダイオキシン類などの有害有機塩素化合物
の生成量が多くなり、排ガス中の濃度が高くなる。図2
に示すような、集塵器14入口において消石灰や活性炭
などの薬剤が吹き込まれていない施設では、集塵器14
で捕集された焼却飛灰(集塵灰)をサンプリングして、
飛灰の色の測定を行うことができる。集塵灰は、飛灰サ
ンプリング・微粉砕装置26において、サンプリングさ
れ微粉砕される。微粉砕する手段としては、例えば、ボ
ールミル等が用いられる。微粉砕され均一になった飛灰
は、測色計28で色の測定・数値化が行われる。測色計
28としては、刺激値直読タイプの色彩計、分光測色計
などが用いられる。なお、測色計28の代わりに、一定
光源下における灰の反射光強度を半導体光センサで測定
することで灰の色調を定量化した値から灰中未燃分を演
算する未燃炭素測定器、灰を高周波加熱して燃焼させC
2として赤外線吸収法で炭素分を検出する未燃炭素測
定器を用いることも可能である。
【0018】測色計28で飛灰の色を測定すると、未燃
炭素分の多い飛灰ほど、黒色が強くなるため、明度を示
すパラメータ数値が低くなる。飛灰中の未燃炭素分とダ
イオキシン類濃度には相関性があるので、予め検量した
飛灰の明度を示すパラメータと飛灰中のダイオキシン類
濃度との関係から、演算装置30において、飛灰中のダ
イオキシン類などの有害有機塩素化合物濃度が算出され
る。飛灰の明度とダイオキシン類濃度との関係は、例え
ば、図1に示すように、飛灰の明度がダイオキシン類濃
度に対して片対数グラフで略直線関係にあるものであ
り、相関式で表すと、例えば、下記の式のようになる。 CDXNs=2.12×1017・x-9.84DXNs:ダイオキシン類濃度 [ng-TEQ/g] x:明度 [-] 演算装置30で算出した有害有機塩素化合物濃度の値は
制御装置32に送られ、制御装置32によって1次空気
送風機22の空気吹込み量及び/又は2次空気送風機2
4の空気吹込み量が制御される。なお、制御装置32に
よって廃棄物焼却炉10への廃棄物投入量などを制御す
ることも可能である。このように、算出したダイオキシ
ン類などの有害有機塩素化合物濃度により、廃棄物焼却
炉10の燃焼温度、1次空気量、2次空気量などを制御
し、燃焼状態を管理する。なお、本実施形態は、飛灰中
の未燃炭素分やダイオキシン類などの有害有機塩素化合
物濃度を分析できる構成であるが、他の有害物質の分析
に適用することも可能である。
【0019】図3は、本発明の実施の第2形態による焼
却飛灰中の有害物質の測定方法を実施する装置を示して
いる。本実施の形態は、集塵器14手前(上流側)の煙
道34において消石灰や活性炭などの薬剤が吹き込まれ
ている施設の場合である。この場合は、図3に示すよう
に、煙道34における薬剤が吹き込まれる位置より上流
側で飛灰をサンプリングする。本実施形態では、集塵器
14としてバグフィルタが用いられる。他の構成及び作
用は、実施の第1形態の場合と同様である。
【0020】図4は、本発明の実施の第3形態による焼
却飛灰中の有害物質の測定方法を実施する装置を示して
いる。本実施の形態は、図4に示すように、廃棄物焼却
炉10から排出された排ガスを減温塔36で急冷するこ
とにより、気相の有害有機塩素化合物を飛灰に移行させ
た後、この飛灰をサンプリングするようにしたものであ
る。このように、気相の有害有機塩素化合物が多いとき
には、排ガスを急冷し(なお、減温塔には限定されな
い)、有害有機塩素化合物を飛灰に移行させた後、飛灰
の色を測定することが好ましい。なお、急冷する温度は
200℃以下が望ましい。なお、図4は、一例として、
バグフィルタ、電気集塵機などの集塵器14入口におい
て消石灰や活性炭などの薬剤が吹き込まれていない施設
で、集塵器14で捕集された焼却飛灰(集塵灰)をサン
プリングする場合を示しているが、本実施形態の構成
は、バグフィルタなどの集塵器14入口において消石灰
や活性炭などの薬剤が吹き込まれている施設で、集塵器
14入口の薬剤が吹き込まれる位置より上流側で飛灰を
サンプリングする場合にも適用可能である。他の構成及
び作用は、実施の第1形態の場合と同様である。
【0021】図5は、本発明の実施の第4形態による焼
却飛灰中の有害物質の測定方法を実施する装置を示して
いる。図5に示すように、廃棄物焼却炉10の炉出口近
傍に排ガスの採取口38を設け、採取口38から高温の
排ガスを吸引することにより、排ガスを排ガス配管40
を介して飛灰捕捉装置42に導入する。44は誘引送風
機である。飛灰捕捉装置42は、例えば、2重構造の容
器46であり、容器内側にシリカ繊維ろ紙などのフィル
タ48を装着して排ガス中の飛灰を捕捉する。また、2
重構造の容器46内には冷却水等を通して飛灰が捕捉さ
れる部分を急冷する。このように、廃棄物焼却炉10の
炉出口近傍において、高温の排ガスを吸引し、シリカ繊
維ろ紙などのフィルタ48で排ガス中の飛灰を捕捉す
る。また、このとき、飛灰を捕捉する部分を急冷するこ
とにより、気相の有害有機塩素化合物を飛灰に移行させ
る。急冷する温度は200℃以下が望ましい。
【0022】また、排ガス配管40の配管壁に微量の有
害有機塩素化合物が付着するのを避けるために、炉出口
の採取口38から飛灰捕捉装置42までの排ガス配管4
0内壁は、硝子や石英などで構成することが望ましい。
飛灰捕捉装置42で捕捉した飛灰を定期的に取り出し、
飛灰サンプリング・微粉砕装置26でサンプリングし微
粉砕した後、測色計28で色を測定することにより、演
算装置30で有害有機塩素化合物濃度を算出する。この
値によって制御装置32で廃棄物焼却炉10の燃焼温
度、1次空気量、2次空気量などを制御する。他の構成
及び作用は、実施の第1、第3形態の場合と同様であ
る。なお、本実施形態の構成において、集塵器14で捕
集された飛灰をサンプリングして測色計28で色を測定
する構成や、集塵器14入口の薬剤吹込み位置より上流
側で飛灰をサンプリングして測色計28で色を測定する
構成等を適宜組み合わせることも可能である。
【0023】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 (1) 廃棄物焼却炉等において、集塵器で回収された
飛灰、あるいは集塵器入口の煙道中の飛灰等を採取し、
測色計等を用いて色を測定することにより、ダイオキシ
ン類などの有害有機塩素化合物に代表される有害物質の
濃度を短時間で、かつ簡易に算出することができる。 (2) 測色計による飛灰の色の測定は、わずか数秒で
行うことができるため、廃棄物焼却炉の燃焼状態をわず
かな時間差で把握することができ、廃棄物焼却炉の燃焼
温度、1次空気量、2次空気量などの制御が効果的に行
える。 (3) 測色計はコンパクトであるため、本発明の装置
は従来のものよりも非常に小さく、簡単である。このた
め、装置コストを低くすることができる。 (4) 飛灰中の未燃炭素分を簡易に測定したり、有機
ハロゲン化物質(弗化物等)、Cu化合物、Fe化合
物、Al化合物、Sb化合物、Sn化合物、Ni化合
物、Zn化合物、Pb化合物、Bi化合物、Mn化合
物、Mg化合物、Hg化合物、Cd化合物、Cr化合物
などの分析を簡易に行うことが可能になる。また、これ
らの値を用いて焼却炉の燃焼状態を制御することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】飛灰の色彩測定結果と飛灰中のダイオキシン類
濃度との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の実施の第1形態による焼却飛灰中の有
害物質の測定方法を実施する装置を示す系統的概略構成
図である。
【図3】本発明の実施の第2形態による焼却飛灰中の有
害物質の測定方法を実施する装置を示す系統的概略構成
図である。
【図4】本発明の実施の第3形態による焼却飛灰中の有
害物質の測定方法を実施する装置を示す系統的概略構成
図である。
【図5】本発明の実施の第4形態による焼却飛灰中の有
害物質の測定方法を実施する装置を示す系統的概略構成
図である。
【符号の説明】
10 廃棄物焼却炉 12 空気予熱器 14 集塵器 16 活性炭吸着塔 18 触媒脱硝塔 20 煙突 22 1次空気送風機 24 2次空気送風機 26 飛灰サンプリング・微粉砕装置 28 測色計 30 演算装置 32 制御装置 34 煙道 36 減温塔 38 採取口 40 排ガス配管 42 飛灰捕捉装置 44 誘引送風機 46 2重構造の容器 48 フィルタ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/27 B09B 5/00 ZABN 21/35 G01N 1/28 K (72)発明者 梶畠 賀敬 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 新道 憲二郎 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 岡島 重伸 神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号 川 崎重工業株式会社神戸本社内 Fターム(参考) 2G059 AA01 BB09 CC20 DD01 DD12 EE01 EE12 EE13 HH01 MM12 3K062 AA02 AB01 BA02 CA05 CB08 DA05 DA21 DA24 DA40 DB06 DB08 DB30 4D004 AA37 AA46 AB03 AB07 AB08 CA28 CB50 DA01 DA17

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス中
    の飛灰を採取し、飛灰の色を測定することにより、飛灰
    中の有害物質濃度を算出することを特徴とする焼却飛灰
    中の有害物質の測定方法。
  2. 【請求項2】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス中
    の飛灰を採取し、飛灰の色を測定することにより、飛灰
    中の未燃炭素分を算出することを特徴とする焼却飛灰中
    の有害物質の測定方法。
  3. 【請求項3】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス中
    の飛灰を採取し、飛灰の色を測定することにより、飛灰
    中の有害有機塩素化合物濃度を算出することを特徴とす
    る焼却飛灰中の有害物質の測定方法。
  4. 【請求項4】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス中
    の飛灰を採取し、飛灰に含まれる未燃炭素分を測定する
    ことにより、飛灰中の有害有機塩素化合物濃度を算出す
    ることを特徴とする焼却飛灰中の有害物質の測定方法。
  5. 【請求項5】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス中
    の飛灰を採取し、飛灰に含まれるCu化合物及びFe化
    合物の少なくともいずれかを測定することにより、飛灰
    中の有害有機塩素化合物濃度を算出することを特徴とす
    る焼却飛灰中の有害物質の測定方法。
  6. 【請求項6】 飛灰の色を測定することにより飛灰中濃
    度が算出される有害物質が、有機ハロゲン化物質、Cu
    化合物、Fe化合物、Al化合物、Sb化合物、Sn化
    合物、Ni化合物、Zn化合物、Pb化合物、Bi化合
    物、Mn化合物、Mg化合物、Hg化合物、Cd化合物
    及びCr化合物の少なくともいずれかである請求項1記
    載の焼却飛灰中の有害物質の測定方法。
  7. 【請求項7】 色彩計及び分光測色計のいずれかを用い
    て飛灰の色を測定・数値化する請求項1、2、3、5又
    は6記載の焼却飛灰中の有害物質の測定方法。
  8. 【請求項8】 飛灰に含まれる未燃炭素分の測定方法
    が、色彩計及び分光測色計のいずれかで飛灰の色を測定
    ・数値化した値を用いる方法、一定光源下における灰の
    反射光強度を半導体光センサで測定することで灰の色調
    を定量化した値から演算する方法、又は灰を高周波加熱
    して燃焼させCO2として赤外線で検出する方法である
    請求項4記載の焼却飛灰中の有害物質の測定方法。
  9. 【請求項9】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガスを
    急冷することにより、気相の有害有機塩素化合物を飛灰
    に移行させた後、この飛灰を採取する請求項3、4、
    5、7又は8記載の焼却飛灰中の有害物質の測定方法。
  10. 【請求項10】 廃棄物焼却炉等の出口近傍から高温の
    排ガスを吸引するとともに飛灰を捕捉し、捕捉した飛灰
    と排ガスを急冷することにより、気相の有害有機塩素化
    合物を飛灰に移行させた後、この飛灰を測定に用いる請
    求項3、4、5、7又は8記載の焼却飛灰中の有害物質
    の測定方法。
  11. 【請求項11】 廃棄物焼却炉等における燃焼温度、1
    次空気量及び2次空気量の少なくともいずれかを制御す
    る指標とするための有害物質濃度又は未燃炭素分を算出
    する請求項1、2又は6記載の焼却飛灰中の有害物質の
    測定方法。
  12. 【請求項12】 廃棄物焼却炉等における燃焼温度、1
    次空気量及び2次空気量の少なくともいずれかを制御す
    る指標とするための有害有機塩素化合物濃度を算出する
    請求項3、4、5、7、8、9又は10記載の焼却飛灰
    中の有害物質の測定方法。
  13. 【請求項13】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス
    中の飛灰を採取する飛灰サンプリング手段と、 採取した飛灰の色を測定・数値化する測色計と、 測色計で数値化した飛灰の色から飛灰中の有害物質濃度
    を算出する演算手段とを包含してなることを特徴とする
    焼却飛灰中の有害物質の測定装置。
  14. 【請求項14】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス
    中の飛灰を採取する飛灰サンプリング手段と、 採取した飛灰の色を測定・数値化する測色計と、 測色計で数値化した飛灰の色から飛灰中の未燃炭素分を
    算出する演算手段とを包含してなることを特徴とする焼
    却飛灰中の有害物質の測定装置。
  15. 【請求項15】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス
    中の飛灰を採取する飛灰サンプリング手段と、 採取した飛灰の色を測定・数値化する測色計と、 測色計で数値化した飛灰の色から飛灰中の有害有機塩素
    化合物濃度を算出する演算手段とを包含してなることを
    特徴とする焼却飛灰中の有害物質の測定装置。
  16. 【請求項16】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス
    中の飛灰を採取する飛灰サンプリング手段と、 採取した飛灰の一定光源下における反射光強度を半導体
    光センサで測定することで灰の色調を定量化した値から
    灰中の未燃炭素分を演算する未燃炭素測定器と、 未燃炭素測定器で測定した未燃炭素分から飛灰中の有害
    有機塩素化合物濃度を算出する演算手段とを包含してな
    ることを特徴とする焼却飛灰中の有害物質の測定装置。
  17. 【請求項17】 廃棄物焼却炉等から排出される排ガス
    中の飛灰を採取する飛灰サンプリング手段と、 採取した飛灰を高周波加熱して燃焼させCO2として赤
    外線で検出することにより灰中の未燃炭素分を測定する
    未燃炭素測定器と、 未燃炭素測定器で測定した未燃炭素分から飛灰中の有害
    有機塩素化合物濃度を算出する演算手段とを包含してな
    ることを特徴とする焼却飛灰中の有害物質の測定装置。
  18. 【請求項18】 飛灰サンプリング手段が、集塵器入口
    で消石灰や活性炭等の薬剤が吹き込まれていない集塵灰
    を採取するものである請求項13〜17のいずれかに記
    載の焼却飛灰中の有害物質の測定装置。
  19. 【請求項19】 飛灰サンプリング手段が、集塵器入口
    の消石灰や活性炭等の薬剤が吹き込まれる位置より上流
    側の飛灰を採取するものである請求項13〜17のいず
    れかに記載の焼却飛灰中の有害物質の測定装置。
  20. 【請求項20】 飛灰サンプリング手段が、廃棄物焼却
    炉等からの排ガスが急冷されて気相の有害有機塩素化合
    物が飛灰に移行した後の飛灰を採取するものである請求
    項13〜19のいずれかに記載の焼却飛灰中の有害物質
    の測定装置。
  21. 【請求項21】 廃棄物焼却炉等の出口近傍に接続され
    た、高温排ガスを吸引するとともに飛灰を捕捉し、捕捉
    した飛灰と排ガスを急冷して気相の有害有機塩素化合物
    を飛灰に移行させるための排ガス吸引手段及び冷却手段
    を備えた飛灰捕捉手段からなる飛灰取出手段と、 飛灰取出手段で取り出した飛灰を採取する飛灰サンプリ
    ング手段と、 採取した飛灰の色を測定・数値化する測色計と、 測色計で数値化した飛灰の色から飛灰中の有害有機塩素
    化合物濃度を算出する演算手段とを包含してなることを
    特徴とする焼却飛灰中の有害物質の測定装置。
  22. 【請求項22】 測色計が、色彩計及び分光測色計のい
    ずれかである請求項13、14、15、18、19、2
    0又は21記載の焼却飛灰中の有害物質の測定装置。
  23. 【請求項23】 演算手段が、演算手段で算出した値に
    よって廃棄物焼却炉等における燃焼温度、1次空気量及
    び2次空気量の少なくともいずれかを制御する制御手段
    に接続された請求項13〜22のいずれかに記載の焼却
    飛灰中の有害物質の測定装置。
  24. 【請求項24】 飛灰サンプリング手段が、採取した飛
    灰を微粉砕するようにした飛灰サンプリング・微粉砕手
    段である請求項13〜23のいずれかに記載の焼却飛灰
    中の有害物質の測定装置。
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JP2014174011A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Jfe Chemical Corp コールタール類中の溶剤不溶分の測定方法

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