JP2001289309A - ポリアミド樹脂製ギア - Google Patents

ポリアミド樹脂製ギア

Info

Publication number
JP2001289309A
JP2001289309A JP2000106110A JP2000106110A JP2001289309A JP 2001289309 A JP2001289309 A JP 2001289309A JP 2000106110 A JP2000106110 A JP 2000106110A JP 2000106110 A JP2000106110 A JP 2000106110A JP 2001289309 A JP2001289309 A JP 2001289309A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamide
apatite
weight
acid
type compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000106110A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Aramaki
政昭 荒巻
Katsushi Watanabe
克史 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2000106110A priority Critical patent/JP2001289309A/ja
Publication of JP2001289309A publication Critical patent/JP2001289309A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gears, Cams (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車、電気・電子、工業機械などの各種装
置のモーター減速部品などに好適なポリアミド樹脂製ギ
アの提供。 【解決手段】 ポリアミド樹脂が、ポリアミドとフェノ
ール溶媒に不溶な有機物を含有するアパタイト型化合物
からなり、該有機物がアパタイト型化合物100重量部
あたり0.5〜100重量部であることを特徴とするポ
リアミド樹脂製ギア。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアミド樹脂製ギ
アに関するものである。詳しくは、強度、靭性、耐熱性
ならびに切削性に優れ、かつ吸水による寸法変化が小さ
いポリアミド樹脂製ギアに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂などの樹脂製のギアは、
従来より、自動車、電気・電子、工業機械などの各種装
置のモーター減速部品に利用され、公知となっている。
例えば、特公昭58−22336号公報には、円筒状の
金属製芯金の外径面にクロスローレット加工を施してそ
の外周に予め形成した円筒状のポリアミド樹脂成形物を
嵌め込んで溶着したものを一定寸法に切断し、その樹脂
成形物の外周部を切削加工してギア形状を形成せしめた
樹脂製ギアが開示されている。
【0003】また、特公平6−60674号公報では、
樹脂としてナイロン66、ナイロン6等を用い、これに
強度・剛性を向上するためにガラス繊維や炭素繊維など
を充填して強化した材料を射出成形し、ギアの歯部を切
削加工して形成した樹脂製ギアが開示されている。
【0004】一般的に、モータ減速部などに用いられる
樹脂ギアは、高精度を要求されることから、歯部を切削
加工により形成している。このギアには、使用温度の要
求が近年高くなる傾向にあり、120℃以上の耐熱性も
要求されるようになっている。ところが、従来から樹脂
ギアに使用されているナイロン6、ナイロン66等の樹
脂は吸水による寸法変化が大きくて高精度のギアが得に
くく、耐熱性の面でも劣るという問題があった。
【0005】一方、ガラス繊維等で強化したナイロン樹
脂製等のギアは、ギアの歯部の切削加工工程で強化繊維
の影響による切削工具の摩耗が著しいという問題があ
る。更には、樹脂ギアをウォームホイールとして使用す
る場合は、ウォームギアを損傷しないことが好ましいの
であるが、繊維強化したものはウォームギアを傷つけ易
いという問題点もある。以上のような理由から、ポリア
ミド樹脂製のギアは、その応用が著しく制約を受けてい
るというのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、自動
車、電気・電子、工業機械などの各種装置のモーター減
速部品などに好適な、強度、靭性、耐熱性ならびに切削
性に優れ、かつ吸水による寸法変化が小さいポリアミド
樹脂製ギアを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミドに特定量の
アパタイト型化合物を含有させたポリアミド樹脂を用い
ることにより、上記課題を解決できることをを見出し、
本発明に至った。
【0008】すなわち本発明は、(1)ポリアミド樹脂
がポリアミドとフェノール溶媒に不溶な有機物を含有す
るアパタイト型化合物からなり、該有機物がアパタイト
型化合物100重量部あたり0.5〜100重量部であ
ることを特徴とするポリアミド樹脂製ギア、(2)ポリ
アミド形成成分と、アパタイト型化合物形成成分とを配
合し、ポリアミドの重合反応およびアパタイト型化合物
の合成反応を進行させて得られるポリアミド複合体を用
いることを特徴とするポリアミド樹脂製ギア、
【0009】(3)ポリアミド100重量部に対して、
アパタイト型化合物が1〜30重量部である上記1記載
のポリアミド樹脂製ギア、(4)ポリアミド形成成分1
00重量部に対して、アパタイト型化合物形成成分が1
〜30重量部である上記2記載のポリアミド樹脂製ギ
ア、(5)アパタイト型化合物が、平均粒子径にして
0.001〜1μmである上記3記載のポリアミド樹脂
製ギア、
【0010】(6)アパタイト型化合物形成成分が、平
均粒子径にして0.001〜10μmである上記4記載
のポリアミド樹脂製ギア、(7)ポリアミドが、重量平
均分子量にして2万〜20万である上記5または6記載
のポリアミド樹脂製ギア、(8)ポリアミド樹脂が、引
張強度が800Mpa以上、かつ引張伸度が20%以上
である上記5または6記載のポリアミド樹脂製ギア、で
ある。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明
は、ポリアミド樹脂とアパタイト型化合物とからなる強
化ポリアミド樹脂製ギアに係る。本発明で用いるポリア
ミドは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する
重合体である。
【0012】本発明において好ましく用いるポリアミド
は、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリテトラメ
チレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレ
ンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセ
バカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデ
カミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジ
パミド(ナイロン116)、ポリウンデカラクタム(ナ
イロン11)、
【0013】ポリドデカラクタム(ナイロン12)、ポ
リトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロ
ンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド
(ナイロン6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミ
ド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(6
T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンド
デカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メ
チル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイ
ロンジメチルPACM12)、
【0014】ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロン
MXD6)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフ
タルアミド(ナイロン11T(H))、およびこれらの
うち少なくとも2種の異なったポリアミド成分を含むポ
リアミド共重合体、およびこれらの混合物などである。
【0015】これらのポリアミドのうち、本発明課題を
達成するのにより好ましいポリアミドは、ポリカプロラ
クタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド
(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナ
イロン612)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド
(ナイロン6I)、およびこれらのうち少なくとも2種
の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、
およびこれらの混合物などである。
【0016】前記ポリアミド形成成分(原料)として
は、重合可能なアミノ酸、重合可能なラクタム、あるい
は重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩、および重合可
能な前記化合物のオリゴマーを挙げることができる。
【0017】重合可能なアミノ酸としては、例えば6−
アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−
アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸をより具
体的に挙げることができる。本発明では、これらの重合
可能なアミノ酸を1種で用いても良いし、2種類以上組
み合わせて用いても良い。
【0018】重合可能なラクタムとしては、例えばブチ
ルラクタム、ピバロラクタム、カプロラクタム、カプリ
ルラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、
ドデカノラクタムなどをより具体的に挙げることができ
る。本発明では、これらの重合可能なラクタムを1種で
用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良
い。
【0019】重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩のジ
アミンとしては、例えばテトラメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデ
カメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミ
ン、ノナンメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキ
サメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミ
ン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキ
シリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、
【0020】1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキ
サン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカ
ン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5,−ト
リメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキ
シル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘ
キシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキ
シル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、
アミノエチルピペラジンなどを挙げることができる。本
発明では、これらの重合可能なジアミンを1種で用いて
も良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0021】重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩のジ
カルボン酸としては、例えばマロン酸、ジメチルマロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルア
ジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2
−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、
エイコジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、
【0022】2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレ
フタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサ
ヒドロテレフタル酸、ジグリコール酸などを挙げること
ができる。本発明では、これらの重合可能なジカルボン
酸は1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用
いても良い。
【0023】本発明のポリアミド形成成分(原料)に
は、さらに分子量調節あるいは耐熱水性向上のために公
知の末端封止剤を添加することができる。末端封止剤と
しては、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましい。
その他、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネ
ート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアル
コール類などを挙げることができる。
【0024】末端封止剤として使用できるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、
吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデ
シル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン
酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボ
ン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン
酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカル
ボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸など
を挙げることができる。本発明では、これらのモノカル
ボン酸を1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせ
て用いても良い。
【0025】末端封止剤として使用するモノアミンとし
ては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えばメチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、
オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ
ブチルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシル
アミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミ
ン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチ
ルアミンなどの芳香族モノアミンなどを挙げることがで
きる。本発明では、これらのモノアミンを1種で用いて
も良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0026】本発明のポリアミドの分子量は、成形性お
よび物性がより優れていることから、重量平均分子量
(Mw)にして、1万〜100万であることが好まし
く、更には2万〜50万、最も好ましくは2万〜20万
のものである。重量平均分子量は、例えば溶媒としてヘ
キサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、分
子量標準試料としてポリメタクリル酸メチル(PMM
A)を用いて、ゲルパーミッショクロマトグラフィー
(GPC)により求めることができる。
【0027】本発明で好ましく用いられるアパタイト型
化合物は、下記一般式で示される。 (A)10-z(HPO4z(PO46-z(X)2-z・nH2
O ここで、0≦z<2、0≦n≦16であり、(A)は金
属元素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物である
が、成形性および物性の観点から0≦z<1、0≦n≦
4であることがより好ましい。
【0028】好ましい金属元素(A)としては、元素周
期律表の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
11、12、13族元素およびスズ、鉛を挙げることが
できる。これら金属元素は1種であっても、2種以上で
あってもかまわない。本発明においては、得られる樹脂
組成物の経済性、安全性および物性の点から、2族元素
であるマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バ
リウム、あるいはこれらの2種以上からなる混合物であ
ることが特に好ましい。
【0029】前記一般式中のXで示される陰イオンまた
は陰イオン化合物としては、水酸イオン(OH-)、フ
ッ素イオン(F-)、塩素イオン(Cl-)などを挙げる
ことができる。これら陰イオン元素または陰イオン化合
物は1種であっても、2種以上であってもかまわない。
また、本発明においては、前記一般式中のリン酸水素イ
オン(HPO4 2-)、リン酸イオン(PO4 3-)、あるい
はXの一部が炭酸イオン(CO3 2-)に置換した炭酸含
有アパタイトであってもよい。
【0030】本発明においては、前記アパタイト型化合
物の中、金属元素(A)がカルシウムである水酸アパタ
イト(Xが水酸イオン)、フッ素化アパタイト(Xの一
部または全部がフッ素イオン)、塩素化アパタイト(X
の一部または全部が塩素イオン)、炭酸含有水酸アパタ
イト、炭酸含有フッ素化アパタイト、炭酸含有塩素化ア
パタイト、さらには、これらの混合物が最も好ましく用
いられる。
【0031】かかるアパタイト型化合物形成成分(原
料)としては、リン酸系金属化合物や、リン酸系金属化
合物と非リン酸系金属化合物とからなる混合物などを挙
げることができるが、本発明では、リン酸系金属化合物
と非リン酸系金属化合物とからなる混合物であることが
より好ましい。本発明では、アパタイト型化合物形成成
分のリンに対する金属元素のモル比が0.9〜10.0
であればよく、より好ましくは1.2〜5.0、さらに
好ましくは1.5〜2.0である。
【0032】前記リン酸系金属化合物のリン酸類として
は、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタ
リン酸、亜リン酸、次亜リン酸などを挙げることができ
る。より具体的には、リン酸系金属化合物としては、リ
ン酸一水素カルシウム(CaHPO4・mH2O、但し0
≦m≦2である。)、二リン酸二水素カルシウム(Ca
227)、リン酸二水素カルシウム一水和物(Ca
(H2PO42・H2O)、
【0033】二リン酸カルシウム(α−およびβ−Ca
227)、リン酸三カルシウム(α−およびβ−Ca3
(PO42)、リン酸四カルシウム(Ca4(PO42
O)、リン酸八カルシウム五水和物(Ca82(P
46・5H2O)、亜リン酸カルシウム一水和物(C
aHPO3・H2O)、次亜リン酸カルシウム(Ca(H
2PO22)、リン酸マグネシウム第二・三水和物(M
gHPO4・3H2O)、リン酸マグネシウム第三・八水
和物(Mg3(PO42・8H2O)、リン酸バリウム第
二(BaHPO4)などを挙げることができる。
【0034】これらの中でも、本発明では経済性および
物性により優れる点から、リン酸とカルシウムの化合物
が好ましく用いられ、中でもリン酸一水素カルシウム
(CaHPO4・mH2O、但し0≦m≦2である。)が
より好ましく用いられ、特に無水リン酸一水素カルシウ
ム(CaHPO4)とリン酸一水素カルシウム二水和物
(CaHPO4・2H2O)が最も好ましく用いられる。
これらのリン系金属化合物は、1種であっても良いし、
2種以上の組み合わせであっても良い。
【0035】2種以上組み合わせる場合には、例えば、
リン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2
O)と二リン酸二水素カルシウム(CaH227)と
を用いるように、同種の金属元素を含有する化合物の組
み合わせや、リン酸一水素カルシウム二水和物(CaH
PO4・2H2O)とリン酸マグネシウム第二・三水和物
(MgHPO4・3H2O)とを用いるように、異種の金
属元素を含有する化合物の組み合わせなどが例示される
が、いずれでも差し支えない。
【0036】本発明におけるリン酸系金属化合物は、リ
ン酸一水素カルシウム(CaHPO 4・mH2O、但し0
≦m≦2である。)を例にとると、Phosphoru
sand its Compounds,1(195
8)で記載されているVanWazerによるCaO−
2O−P25系の状態図が示すように、水の存在下、
リン酸化合物とカルシウム化合物を混合することによる
公知の方法で得ることができる。より具体的には、例え
ば、20〜100℃の温度下、リン酸二水素カリウム溶
液に、リン酸アルカリ溶液および塩化カルシウム溶液を
滴下し反応させ合成する方法や、炭酸カルシウムまたは
水酸化カルシウムとリン酸水溶液を混合する方法などに
よれば良い。
【0037】ところで、本発明者らは、前記リン酸類の
かわりに、砒素(As)やバナジウム(V)からなる化
合物、すなわち砒酸類やバナジウム酸類を用いても、本
発明と同様な効果が得られるものと推察している。しか
しながら、本発明では、原料成分の安定性、形成成分の
入手容易性、安全性の点で優れることから、リン酸類を
用いることが最も好ましい。
【0038】本発明における非リン酸系金属化合物とし
ては、前記リン酸類以外で金属元素と化合物を形成する
ものであれば特に制限はなく、金属水酸化物(水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウ
ム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、
水酸化マンガンなど)、金属塩化物(塩化カルシウム、
塩化マグネシウム、
【0039】塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化
リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アルミ
ニウム、塩化鉄、塩化マンガンなど)、金属フッ化物
(フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリ
ウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、フッ化
ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アルミニウムな
ど)、金属臭化物(臭化カルシウムなど)、金属ヨウ化
物(ヨウ化カルシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化銅な
ど)、金属炭化物(炭化カルシウムなど)、金属酸化物
(酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウ
ムなど)、
【0040】炭酸金属塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸リチ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アルミニウ
ムなど)、硫酸金属塩(硫酸カルシウムなど)、硝酸金
属塩(硝酸カルシウムなど)、ケイ酸金属塩(ケイ酸カ
ルシウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウムなど)など
の無機金属化合物や、金属元素とモノカルボン酸との化
合物(酢酸カルシウム、酢酸銅、安息香酸カルシウム、
ステアリン酸カルシウムなど)、金属元素とジカルボン
酸との化合物(しゅう酸カルシウム、酒石酸カルシウム
など)、金属元素とトリカルボン酸との化合物(クエン
酸カルシウムなど)などを挙げることができる。
【0041】本発明では、これらの非リン酸系金属化合
物は、1種であっても良いし、2種以上組み合わせても
良い。2種以上組み合わせる場合には、例えば水酸化カ
ルシウムと炭酸カルシウムとの混合物のように、同種の
金属元素を含有する化合物を組み合わせても良いし、例
えば、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムとの混合物
のように、異種の金属元素を含有する化合物を組み合わ
せても良い。
【0042】本発明では、これら化合物の中でも、経済
性および物性がより優れていることから、金属水酸化
物、金属フッ化物、金属塩化物、炭酸金属塩、金属酸化
物、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。特
に元素周期律表の2族元素であるカルシウム、マグネシ
ウム、ストロンチウム、バリウムの水酸化物、フッ化
物、塩化物、炭酸塩、あるいはこれらの混合物がより好
ましく、更にはカルシウムの水酸化物、フッ化物、塩化
物、炭酸塩、酸化物、あるいはこれらの混合物が好まし
く用いられ、その中でも水酸化カルシウム、炭酸カルシ
ウム、フッ化カルシウムが最も好ましく用いられる。
【0043】非リン酸系金属化合物の製造方法は特に制
限されるものでなく、例えば炭酸カルシウムの場合を例
にとると、天然材の粉砕品であっても、化学的に合成さ
れたものであってもかまわない。また、その結晶形態や
形状も特に制限されるものではなく、炭酸カルシウムの
場合を例にとると、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カル
シウム、コロイド炭酸カルシウム、アラゴナイト型炭酸
カルシウム、バテライト型炭酸カルシウム、針状型炭酸
カルシウムなど、あるいはこれらの混合品など、いずれ
を用いてもかまわない。
【0044】本発明のアパタイト型化合物形成成分であ
るリン酸系金属化合物や非リン酸系金属化合物は、好ま
しい平均粒子径が0.001〜10μm、より好ましく
は0.001〜5μm以下、さらに好ましくは0.00
1〜1μmである。平均粒子径の測定は、アパタイト型
化合物形成成分を純水あるいはアルコール類中に分散さ
せ、超音波処理を行った後、レーザ回折/散乱式粒度分
布装置で測定する方法によれば良い。
【0045】本発明のポリアミド複合体の製造方法は、
ポリアミド形成成分(原料)に、アパタイト型化合物形
成成分(原料)を配合し、次いでポリアミドの重合とア
パタイト型化合物の合成を行う方法を用いることが好ま
しい。ポリアミドの重合とアパタイト型化合物合成のよ
り好ましい方法は、ポリアミド形成成分とアパタイト型
化合物形成成分との配合物を加熱し、ポリアミド形成成
分をアパタイト型化合物形成成分の存在下に重合し、そ
の後アパタイト型化合物を合成する方法や、あるいはア
パタイト型化合物形成成分をポリアミド形成成分の存在
下に反応させ、その後ポリアミドを重合する方法であ
る。
【0046】更に好ましい方法は、前記両形成成分の配
合物を40〜300℃の温度下で、ポリアミドの重合反
応およびアパタイト型化合物の合成反応を進行させる方
法であり、最も好ましい方法は、前記両形成成分の配合
物を加圧下、40〜300℃の温度下で、ポリアミドの
重合反応およびアパタイト型化合物の合成反応を同時並
行的に進行させる方法である。
【0047】前記ポリアミド形成成分とアパタイト型化
合物形成成分との配合量は、ポリアミド形成成分100
重量部に対して、アパタイト型化合物形成成分1〜30
重量部であり、より好ましくは1.5〜25重量部、更
には2.5〜20重量部、特に好ましくは3〜15重量
部である。アパタイト型化合物形成成分が1重量部未満
の場合には、強度、耐熱性の改良効果が十分でなく、3
0重量部を越えた場合には、伸度が低下する傾向にあ
る。
【0048】ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物
の形成成分との配合方法としては、固体状のポリアミド
形成成分とアパタイト型化合物の形成成分を直接混合す
る方法、ポリアミド形成成分の水溶液とアパタイト型化
合物形成成分の水溶液や懸濁液とを配合する方法などの
いずれによっても良い。また、アパタイト型化合物の分
散性を向上させるために、必要に応じて、ポリアミド形
成成分やアパタイト型化合物形成成分に分散剤や錯化剤
などの化合物を添加しても良い。更には、アパタイト型
化合物形成成分の懸濁液、あるいはアパタイト型化合物
形成成分とポリアミド形成成分との混合液を、超音波に
よる処理を行ったり、ホモジナイザーによる処理を行っ
ても良い。
【0049】本発明では、前記分散剤の種類を、特に制
限するものではなく、公知の分散剤を用いることができ
る。例えば、「分散・凝集の解明と応用技術,1992
年」(北原文雄監修・株式会社テクノシステム発行)の
232〜237ページに記載されているようなアニオン
系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性
剤、非イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤など
を用いることができる。
【0050】これらの中でもアニオン系界面活性剤、非
イオン系界面活性剤を用いることが好ましく、特に、価
格および物性の観点から、クエン酸ナトリウム、ポリア
クリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ス
チレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレ
イン酸などのオレフィン−無水マレイン酸共重合体、シ
ョ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステル類など
を用いることがより好ましい。
【0051】錯化剤としては、金属イオンと錯体を形成
する化合物であれば特に制限されることがなく、例え
ば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三
酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエー
テルジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ク
エン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、エ
チレンジアミンなどの脂肪族アミン、尿素などを用いる
ことができる。これらの中でも、価格および物性の観点
からクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、
エチレンジアミン(en)が特に好ましい。
【0052】前記ポリアミドの重合は、公知の方法を用
いることができる。例えば、11−アミノウンデカン酸
などの水に難溶な成分を形成成分とし、40〜300℃
で加熱し重縮合する方法、ε−カプロラクタムを形成成
分とし、その水溶液を必要に応じてモノカルボン酸など
の末端封鎖剤、あるいはε−アミノカプロン酸などの反
応促進剤を加えて、不活性ガスを流通させながら、40
〜300℃に加熱し重縮合するラクタム類の開環重縮合
法、ヘキサメチレンアジパミドなどのジアミン・ジカル
ボン酸を形成成分とし、その水溶液を40〜300℃の
温度下、加熱濃縮し、発生する水蒸気圧を常圧〜約1.
96Mpa(ゲージ圧)の間の圧力に保ち、最終的には
圧力を抜き常圧あるいは減圧し重縮合を行う熱溶融重縮
合法などを用いることができる。
【0053】さらには、ジアミン・ジカルボン酸固体塩
や重縮合物の融点以下の温度で行う固相重合法、ジカル
ボン酸ハライド成分とジアミン成分とを溶液中で重縮合
させる溶液法なども用いることができる。これらの方法
は必要に応じて組合わせてもかまわない。また、重合形
態としては、バッチ式でも連続式でもかまわない。ま
た、重合装置も特に制限されるものではなく、公知の装
置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型
反応器、ニーダーなどの押出機型反応器などを用いるこ
とができる。
【0054】本発明のアパタイト型化合物の確認は、例
えば、ポリアミド複合体、ポリアミド樹脂複合体、ある
いはポリアミド樹脂組成物やその成形体を用いて、広角
X線回折、赤外吸収スペクトルなどで直接確認する方法
や、ポリアミドが可溶なフェノール溶媒で、ポリアミド
を溶出し、アパタイト型化合物成分を分離し、分離した
アパタイト型化合物の広角X線回折、赤外吸収スペクト
ルなどで確認する方法などによれば良い。
【0055】本発明のアパタイト型化合物は、結晶性ア
パタイト型化合物であっても、非晶性アパタイト型化合
物であってもかまわないが、物性の観点から、結晶性ア
パタイト型化合物であることがより好ましい。アパタイ
ト型化合物が結晶性であることの確認は、具体的には、
X線の線源として、銅Kα(波長λ=0.1542n
m)を用いて、広角X線回折を測定し、回折角(2θ)
が25.5〜26.5度に(002)面ピークが存在
し、さらに回折角(2θ)が32.5〜33.5度に
(300)面ピークが存在することを確認すればよい。
本発明では、上記のように確認される結晶性アパタイト
型化合物であることが特に好ましい。
【0056】本発明のアパタイト型化合物の含有量は、
ポリアミド100重量部に対して1〜30重量部である
ことが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量部、
更には2.5〜20重量部、特に好ましくは3〜15重
量部である。アパタイト型化合物の含有量は、例えば、
ポリアミド複合体を用いて、JISR3420に従って
強熱減量(Ig.loss)を測定し、その重量減少量
から求めることができる。アパタイト型化合物の含有量
がポリミド100重量部に対して、1重量部未満の場合
には、強度、耐熱性の改良効果が十分でなく、また30
重量部を越えた場合には、伸度が低下するする傾向にあ
る。
【0057】本発明のアパタイト型化合物のリンに対す
る金属元素の比は、モル比にして0.9〜10.0であ
ることが好ましく、より好ましくは1.2〜5.0、特
に好ましくは、1.3〜2.5である。この比が0.9
未満や、10.0を越えた場合には、発泡成形性の低下
が著しくなる恐れがある。
【0058】本発明のアパタイト型化合物が含有する有
機物は、アパタイト型化合物100重量部あたり、0.
5〜100重量部であることが必要である。より好まし
くは、1〜100重量部、更には3〜75重量部、特に
好ましくは4〜50重量部である。
【0059】該有機物は、イオン結合反応、吸着反応あ
るいはグラフト化反応などの物理的、化学的相互作用に
よりアパタイト型化合物の内部や表面に取り込まれてい
る有機物であるため、たとえポリアミドが可溶なフェノ
ール溶媒を用いて溶解操作を行っても、溶媒中に溶解・
溶出しないという性質を有しおり、このことがアパタイ
ト型化合物とマトリックスであるポリアミドとの固着、
接着性を非常に向上させている。該有機物の量が、アパ
タイト型化合物100重量部あたり0.5重量部未満の
場合は引張伸度の低下が起こりやすく、また100重量
部を越えた場合には、成形加工性が低下する傾向にあ
る。
【0060】本発明者らの検討によれば、本発明におけ
る前記有機物は、分離したアパタイト型化合物の熱分解
ガスクロマトグラフィーおよび熱分解成分のマススペク
トル(MS)、赤外吸収スペクトルの測定結果から、ポ
リアミド形成成分、ポリアミド、あるいはこれらの反応
生成物である。従って本発明の前記有機物は、特にマト
リックスであるポリアミドとの固着、接着性がより向上
する点から、前記有機物の少なくとも一部がポリアミド
であることが好ましい。また、前記有機物には、水が含
有されてもかまわない。
【0061】本発明の前記有機物の含有量は、具体的に
は、(i)アパタイト型化合物の分離操作、(ii)熱減
量率の測定、(iii)熱分解成分の測定による有機物の
定量、を行うことによって求めることができる。以下
に、詳細に説明する。
【0062】(i)アパタイト型化合物の分離操作:ポ
リアミド複合体、ポリアミド樹脂複合体、あるいは本発
明の発泡成形品10gを秤量し、90重量%フェノール
200mlと混合し、40℃で2時間攪拌し、遠心分離
器を用いて分離操作を行い、上澄み溶媒を除去する。さ
らに200mlのフェノールを加え、以後同様な溶解操
作と遠心分離器を用いた分離操作を4回繰り返し行う。
【0063】引き続き、99.5重量%エタノール20
0mlを加えて、23℃で2時間攪拌し、遠心分離器を
用いて分離操作を行い、上澄み溶媒を除去する。この操
作をさらに4回繰り返した後、減圧乾燥器中で乾燥し、
アパタイト型化合物を得る。なお、ポリアミド樹脂がポ
リアミドと他の樹脂との混合物の場合には、上記ポリア
ミド溶解操作前あるいはその後に、他の樹脂が可溶な溶
媒を用いて、混合したポリアミド以外の樹脂の溶解・分
離操作を行えば良い。
【0064】(ii)熱減量率(X(重量部/アパタイト
型化合物100重量部))の測定:得られたアパタイト
型化合物5〜15mgを秤量し、熱重量分析(TGA)
装置により、30℃から550℃まで99.9℃/mi
nで昇温後、550℃で1時間保持する。30℃におけ
る初期重量(W0)と、550℃で1時間保持した後の
最終重量(W1)を用いて、下式に熱減量率Xを算出で
きる。 熱減量率X(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)=(W0−W1)×100/W1
【0065】(iii)熱分解成分の測定による有機物の
定量:前記(i)により得られたアパタイト型化合物を
1〜10mg秤量し、熱分解ガスクロマトグラフィーに
より、熱分解温度550℃、カラム温度50〜320℃
(昇温速度20℃/min)の条件下で測定する。得ら
れた熱分解ガスクロマトグラフィーのパイログラムを、
保持時間2min未満と2min以上に分けそのピーク
面積を算出する。2min以下の成分は二酸化炭素など
の低分子量成分であるため、この低分子量成分を全体か
ら差し引き、有機物の量とした。具体的には、それぞれ
の面積Sa(2min未満)とSb(2min以上)を
算出し、前記(ii)の熱減量率Xを用いて、下式にて有
機物の量を算出する。 有機物の量(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)=X・Sb/(Sa+Sb)
【0066】本発明のアパタイト型化合物の平均粒子径
は、好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは
0.001〜0.5μmである。本発明における平均粒
子径は、電子顕微鏡写真法により求めることができ、該
平均粒子径は次のようにして算出することができる。す
なわち、本発明のポリアミド樹脂製ギアから切り出した
超薄切片の透過型電子顕微鏡(TEM:写真倍率5万
倍)を撮影し、アパタイト型化合物の粒子径di、粒子
数niを求め、次式により平均粒子径を算出する。 平均粒子径=Σdi・ni/Σni この場合、粒子径が球状とみなせない場合には、その短
径と長径を測定し、両者の和の1/2を粒子径とする。
また、平均粒子径の算出には最低2000個の粒子径を
測定する。
【0067】本発明のギアに用いられるポリアミド樹脂
は、引張強度が800Mpa以上、引張伸度が20%以
上であることが好ましい。引張強度、および引張伸度の
測定は、ASTM D638に準じて行えばよい。引張
強度、および引張伸度が上記範囲を外れる場合には、使
用時に、ギアの歯や、ギア本体にクラックが発生しやす
い傾向にある。
【0068】本発明のポリアミド製樹脂ギアの成形法
は、例えば射出成形、押出成形、溶媒成形、プレス成
形、熱成形等の通常の成形方法で成形できる。中でも射
出成形が好ましく、特に、円筒状の金属をインサートし
た状態で、外周を射出成形し得られる円盤あるいは円筒
状の芯金付成形品を、必要に応じて目的の厚さに切断
し、さらに、外周の樹脂部分を切削などの方法により、
凹形状を有する歯を外周に沿って断続して形成させる方
法が最も好ましい。
【0069】本発明のポリアミド樹脂製ギアは、マトリ
ックスであるポリアミドあるいはポリアミドに、アパタ
イト型化合物が均一にかつ微細に分散しかつポリアミド
とアパタイト型化合物との界面が極めて良好に固着、接
着しており、従来のポリアミド樹脂に比較し、強度、剛
性、靭性、切削性ならびに吸水時の寸法特性に優れるた
め、自動車、電気・電子、工業機械などの各種装置のモ
ーター減速部品などの各種ギアへの応用が期待される。
【0070】本発明においては、必要に応じて本発明の
目的を損なわない範囲で、ポリアミド樹脂に無機充填材
を配合してもかまわない。無機充填材としては、特に限
定されないが、例えばガラス繊維、炭素繊維、ガラスフ
レーク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオ
リン、マイカ、ウォラストナイト、窒化ホウ素、二硫化
モリブデンなどを挙げることができる。
【0071】本発明においては、高温下雰囲気下での耐
熱性を向上させるために、ポリアミド樹脂に、耐熱性改
良剤を配合してもかまわない。耐熱性改良剤としては、
特に制限はないが、例えばハロゲン金属塩および第I族
遷移系列金属化合物を挙げることができる。前記ハロゲ
ン金属塩とは、ハロゲンと元素周期律表の1族あるいは
2族金属元素との塩であり、好ましいものとしては、ヨ
ウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナ
トリウム、塩化ナトリウムなど、あるいはこれらの混合
物を挙げることができ、中でも最も好ましいものとして
は、ヨウ化カリウムを挙げることができる。
【0072】また、前記第I族遷移系列金属化合物と
は、元素周期律表の第I遷移系列金属(11族)の化合
物であり、好ましくものとしては、銅元素(Cu)の金
属化合物を挙げることができ、例えば、銅のハロゲン化
物、硫酸塩、酢酸塩、プロピオオン酸塩、安息香酸塩、
アジピン酸塩、テレフタル酸塩、サルチル酸塩、ニコチ
ン酸塩、ステアリン酸塩や、エチレンジアミン(e
n)、エチレンジアミン四酢酸等のキレート化合物な
ど、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。こ
の中でも、好ましくものとしては、ヨウ化銅、臭化第一
銅、臭化第二銅、塩化第一銅、酢酸銅を挙げることがで
きる。
【0073】耐熱改良剤であるハロゲン金属塩と第I族
遷移系列金属化合物とは、組み合わせて用いるが、この
場合、耐熱性がより改善されるという観点から、ハロゲ
ンと第一遷移系列金属元素とのモル比が1〜500の範
囲が好ましく、5〜200の範囲がより好ましい。
【0074】本発明の耐熱性改良剤の配合量は、ポリア
ミド100重量部に対して0.001〜20重量部であ
ることが好ましく、0.005〜20重量部がより好ま
しく、0.01〜1重量部が最も好ましい。配合量が
0.001未満の場合には、耐熱性の改良効果が顕著で
なくなる傾向にあり、また20重量部を越えた場合に
は、引張強度の低下を引き起こす懸念がある。
【0075】本発明においては、必要に応じて本発明の
目的を損なわない範囲で、摺動性を改善するために、ポ
リアミド樹脂にポリシロキサン類を配合してもかまわな
い。ポリシロキサン類としては、例えばポリジメチルシ
ロキサン、およびポリジメチルシロキサンの側鎖あるい
は末端の少なくとも1つのメチル基が、水素元素、アル
キル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、
アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル
基、メルカプト基、クロロアルキル基、アルキル高級ア
ルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビ
ニル基、あるいはトリフロロメチル基の選ばれる少なく
とも1つの基により変性された変性ポリシロキサン、あ
るいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0076】本発明においては、必要に応じて本発明の
目的を損なわない範囲で、ポリアミドに他の樹脂を混合
してもかまわない。配合する他の樹脂としては、熱可塑
性樹脂やゴム成分を添加することができる。
【0077】前記他の熱可塑性樹脂は、例えばアタクチ
ックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、シ
ンジオタクチックポリスチレン、AS樹脂などのポリス
チレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカ
ーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホンなどのポリエーテル系樹脂、
【0078】ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシメ
チレン、他のポリアミドなどの縮合系樹脂、ポリアクリ
ル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレ
ートなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン、エチレンープロピレン共重合体など
のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、
ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)などの含ハロ
ゲンビニル化合物系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂などを挙げることができる。
【0079】ゴム成分は、ゴムやそれらの変性体を挙げ
ることができる。ゴムは、例えば天然ゴム、ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン
(登録商標)、ポリスルフィドゴム、チオコールゴム、
アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エビク
ロロヒドリンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重
合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体(SEB)、
【0080】スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−
スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イ
ソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレ
ン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン
−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、
水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重
合体(SEPS)、
【0081】スチレン−ブタジエンランダム共重合体、
水素添加スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチ
レン−エチレン−プロピレンランダム共重合体、スチレ
ン−エチレン−ブチレンランダム共重合体、エチレン−
プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−(1−ブテ
ン)共重合体、エチレン−(1−ヘキセン)共重合体、
エチレン−(1−オクテン)共重合体、
【0082】エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(EPDM)、あるいはブタジエン−アクリロニトリル
−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタク
リレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(M
BS)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−
スチレン−コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリ
レート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MA
BS)、
【0083】アルキルアクリレート−ブタジエン−アク
リロニトリル−スチレンコアシェルゴム(AABS)、
ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(SBR)、メ
チルメタクリレート−ブチルアクリレートシロキサンを
はじめとするシロキサン含有コアシェルゴムなどのコア
シェルタイプを挙げることができる。
【0084】また、ゴム変性体は、上記ゴムを、極性基
を有する変性剤により変性したものであり、例えば無水
マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEP
S、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合
体、無水マレイン酸変性エチレン−(1−ブテン)共重
合体、無水マレイン酸変性エチレン−(1−ヘキセン)
共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−(1−オクテ
ン)共重合体、
【0085】無水マレイン酸変性EPDM、エポキシ変
性SEBS、エポキシ変性エチレン−プロピレン共重合
体、エポキシ変性エチレン−(1−ブテン)共重合体、
エポキシ変性エチレン−(1−ヘキセン)共重合体、エ
ポキシ変性エチレン−(1−オクテン)共重合体などが
好ましく用いられる。本発明では、ポリアミドに、上記
熱可塑性樹脂、ゴム成分を1種類配合して用いても良い
し、2種類以上組み合わせて配合して用いても良い。
【0086】また、本発明のポリアミド樹脂には、通常
のポリアミド樹脂に用いられる充填剤、三酸化アンチモ
ン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸
亜鉛、すず酸亜鉛、ヒドロキシすず酸亜鉛、ポリリン酸
アンモニウム、シアヌル酸メラミン、サクシノグアナミ
ン、ポリリン酸メラミン、硫酸メラミン、フタル酸メラ
ミン、芳香族系ポリフォスフェート、複合ガラス粉末な
どの難燃剤、チタンホワイト、カーボンブラック、メタ
リック顔料などの顔料や着色剤、亜リン酸ソーダやヒン
ダードフェノールに代表される熱安定剤、種々の可塑
剤、成形性改良剤、耐候性向上剤や帯電防止剤などの各
種添加剤を含有させることができる。
【0087】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を越え
ない限り、以下の実施例に制限されるものではない。な
お、以下の実施例、比較例において記載した物性評価
は、以下のように行った。 1.ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分
の特性 (1−1)アパタイト型化合物形成成分の含有量(重量
%) ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分の配
合量から算出した。 (1−2)アパタイト型化合物形成成分のリンに対する
金属元素のモル比 アパタイト型化合物形成成分中の金属元素およびリンを
定量し、モル比を算出した。
【0088】(a)金属元素の定量:以下、金属元素と
してカルシウムの場合につき説明するが、他の金属元素
についても同様にして求めることができる。アパタイト
型化合物形成成分0.5gを白金皿に秤量し、500℃
電気炉で炭化する。冷却後、塩酸5mlおよび純水5m
lを加えヒーター上で煮沸溶解する。再び冷却し、純水
を加え500mlとした。装置はThermoJarr
ellAsh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結
合プラズマ(ICP)発光分析により、波長317.9
33nmにて定量した。
【0089】(b)リンの定量:アパタイト型化合物形
成成分0.5gを秤量し濃硫酸を20ml加え、ヒータ
ー上で湿式分解した。冷却後、過酸化水素5mlを加
え、ヒーター上で加熱し、全量が2〜3mlになるまで
濃縮した。再び冷却し、純水で500mlとした。装置
はThermoJarrellAsh製IRIS/IP
を用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析
により、波長213.618(nm)にて定量した。
【0090】2.ポリアミド樹脂組成物の特性 (2−1)ポリアミドの重量平均分子量(Mw) ポリアミド複合体を用いて、ゲルパーミッショクロマト
グラフィー(GPC)により求めた。装置は東ソー
(株)製HLC−8020、検出器は示差屈折計(R
I)、溶媒はヘキサフルオロイソプロパノール(HFI
P)、カラムは東ソー(株)製TSKgel−GMHH
R−Hを2本とG1000HHRを1本用いた。溶媒流
量は0.6ml/min、サンプル濃度は、1〜3(m
gサンプル)/1(ml溶媒)であり、フィルターでろ
過し、不溶分を除去し、測定試料とした。得られた溶出
曲線をもとに、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)換
算により、重量平均分子量(Mw)を算出した。
【0091】(2−2)アパタイト型化合物の含有量の
定量(重量/100重量部ポリアミド) ポリアミド複合体を100±20℃で8時間乾燥し冷却
する。該複合体を白金皿に1g秤量し、650±20℃
の電気炉で灰化し、冷却後、その重量を秤り、アパタイ
ト型化合物の含有量を定量した。
【0092】(2−3)アパタイト型化合物のリンに対
する金属元素のモル比 アパタイト型化合物の金属元素およびリンを定量し、モ
ル比を算出した。 (a)金属元素の定量:以下、金属元素としてカルシウ
ムの場合につき説明するが、他の金属元素についても同
様にして求めることができる。ポリアミド複合体0.5
gを白金皿に秤量し、500℃電気炉で炭化する。冷却
後、塩酸5mlおよび純水5mlを加えヒーター上で煮
沸溶解する。再び冷却し、純水を加え500mlとし
た。装置はThermoJarrellAsh製IRI
S/IPを用いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)
発光分析により、波長317.933nmにて定量し
た。
【0093】(b)リンの定量:ポリアミド複合体0.
5gを秤量し濃硫酸を20ml加え、ヒーター上で湿式
分解した。冷却後、過酸化水素5mlを加え、ヒーター
上で加熱し、全量が2〜3mlになるまで濃縮した。再
び冷却し、純水で500mlとした。装置はTherm
oJarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高
周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長
213.618(nm)にて定量した。
【0094】(2−4)有機物量(重量部/アパタイト
型化合物100重量部) (a)アパタイト型化合物の分離操作:ポリアミド複合
体10gを秤量し、90重量%フェノール200mlと
混合し、40℃で2時間攪拌し、遠心分離器〔国産遠心
器(株)製H103RLH〕を用いて20000rpm
で1時間、分離操作を行い、上澄み溶媒を除去した。さ
らに200mlのフェノールを加え、以後同様な溶解操
作と遠心分離器を用いた分離操作を4回繰り返し行っ
た。引き続き、99.5重量%エタノール200mlを
加えて、23℃で2時間攪拌し、遠心分離器を用いて2
0000rpmで1時間、分離操作を行い、上澄み溶媒
を除去する。この操作をさらに4回繰り返した後、減圧
乾燥器中で80℃で12時間乾燥し、目的のアパタイト
型化合物を得た。
【0095】(b)分離したアパタイト型化合物の熱減
量率(X(重量部/アパタイト型化合物))測定:(2
−4)の(a)で得られたアパタイト型化合物10mg
を秤量し、熱重量分析(TGA)装置により熱減量率X
を求めた。装置は島津製作所製TGA−50、温度条件
としては、30℃から550℃まで99.9℃/min
で昇温後、550℃で1時間保持した。30℃における
初期重量(W0)と、550℃で1時間保持した後の最
終重量(W1)を用いて、下式により、有機物量を算出
した。 熱減量率X(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)=(W0−W1)×100/W1
【0096】(c)有機物の定量:(2−4)の(a)
で得たアパタイト型化合物を3mg秤量し、以下の条件
で熱分解クロマトグラフィー(GC)および熱分解GC
/MSのパイログラムを得た。 ・熱分解 装置:フロンティア社ダブルショットパイロライザーP
Y−2010D 熱分解温度:550℃ ・ガスクロマトグラフィー(GC) 装置:HEWLETTPACKARD社製HP−589
0 カラム:J&W社製DURABONDDB−1(0.2
5mmI.D.×30m、膜厚0.25μm) カラム温度:50℃→320℃(昇温速度20℃/mi
n) 注入口温度:320℃ 検出器温度:320℃
【0097】・マススペクトル(MS) 装置:JEOL社製AutoMSSystemII イオン化:EI(70V) 測定質量範囲:m/z=10〜400 温度:200℃ 得られた熱分解GCのパイログラムを、保持時間2mi
n未満と2min以上に分け、それぞれののピーク面積
Sa(2min未満)とSb(2min以上)を算出
し、(2−4)の(b)で求めた熱減量率Xを用いて、
下式にて有機物の量を算出した。 有機物の量(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)=X・Sb/(Sa+Sb) また、マススペクトル(MS)から熱分解成分の同定を
行った。
【0098】(2−5)X線回折によるアパタイト型化
合物の生成の確認 (2−4)の(a)で得たアパタイト型化合物のX線回
折を測定した。測定条件は以下のとうりである。 X線:銅Kα 波数:0.1542nm 管電圧:40KV 管電流:200mA 走査速度:4deg./min 発散スリット:1deg. 散乱スリット:1deg. 受光スリット:0.15mm
【0099】3.評価用成形品の作成および物性 成形品は、射出成形機を用いて作成した。装置は日精樹
脂(株)製PS40E、シリンダー温度300℃、金型
温度80℃に設定し、射出17秒、冷却20秒の射出成
形条件で評価用成形品を得た。
【0100】(3−1)引張強度(Mpa)および引張
伸度(%) ASTM D638に準じて行った。但し、引張伸度
は、ネッキングみによる伸度部分は除いた。 (3−2)ノッチ付きIzod衝撃強度(J/m) ASTM D256に準じて行った。 (3−3)荷重たわみ温度(℃) ASTM D648に準じて行った。荷重は1.83M
paで行った。
【0101】4.芯金付成形品の作成および物性 外周面をクロスレット加工を施し溶剤で脱脂した、直径
45mmの円筒状の芯金を80℃に加熱し、射出成形金
型に挿入し、射出成形機を用いて、芯金の外周に円筒状
の樹脂部分を有する、一体化した直径75mmの芯金付
成形品を作成した。シリンダー温度300℃、金型温度
80℃に設定し、射出17秒、冷却20秒の射出成形条
件で射出成形を行った。
【0102】(4−1)切削性 芯金付成形品の樹脂部の外周面に、切削によりギア歯を
加工し、芯金付樹脂製ギアを得た。切削性の評価は、1
つの切削工具で形成できたギア歯の個数により行った。 (4−2)吸水における寸法変化 前記(4−1)で得られた芯金付樹脂製ギアを、60
℃、相対湿度95%の条件下で48hr保持し、外径寸
法の変化量を測定した。
【0103】製造例1 ポリアミド複合体(A)の製造:50重量%のポリアミ
ド形成成分(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との
等モル塩)の水溶液を30Kg作製した。アパタイト型
化合物形成成分として、平均粒子径3μmで最大粒子径
10μm以下のリン酸一水素カルシウム二水和物(Ca
HPO4・2H2O)を750g、および平均粒子径1.
5μm重質炭酸カルシウム(CaCO3)の25重量%
懸濁液を1746g(炭酸カルシウム:純水=291
g:873g)用いた。これら、ポリアミド形成成分お
よびアパタイト型化合物形成成分を混合し、十分撹拌し
た。カルシウムとリンとのモル比は、1.67と算出さ
れた。
【0104】該ポリアミド形成成分の水溶液とアパタイ
ト型化合物形成成分の混合懸濁液とを、撹拌装置を有
し、かつ下部に抜出しノズルを有する70リットルのオ
ートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、十分攪拌し
た。窒素で置換した後、撹拌しながら温度を50℃から
約270℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の
圧力は、ゲージ圧にして約1.77Mpaになるが、圧
力が1.77Mpa以上にならないよう水を系外に除去
しながら加熱を約1時間続けた。その後、約1時間をか
け、圧力を大気圧まで降圧し、更に約270℃、大気圧
で約1時間保持した後、撹拌を停止し、下部ノズルから
ストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティング
を行い、ペレットを得た。
【0105】得られたペレットを、タンブララー型の重
合装置に入れ、190℃の条件下、窒素を流通させなが
ら、9時間保持し、冷却後ペレットを取り出した。この
得られたポリアミド複合体(A)を評価した結果、重量
平均分子量(Mw)は90000、アパタイト型化合物
含有量は、ポリアミド100重量部に対して、5.7重
量部であった。リンに対するカルシウムのモル比は1.
67と算出された。5万倍の透過型電顕観察結果から、
アパタイト型化合物の平均粒子径は98nmであった。
【0106】90%フェノール水溶液により、溶出・分
離操作を行い、得られたアパタイト型化合物を評価した
結果、広角X線回折により、結晶性アパタイト型化合物
の生成を確認できた。また該溶出・分離操作により得ら
れたアパタイト型化合物の有機物の量は6.5(重量部
/アパタイト100重量部)と算出された。また、熱分
解GC/マススペクトルの解析結果から、アパタイト型
化合物に残存する有機物の熱分解成分の1つとして、シ
クロペンタノンが確認された。
【0107】製造例2 ポリアミド複合体(B)の製造:アパタイト型化合物形
成成分として、平均粒子径3μmで最大粒子径10μm
以下のリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4
・2H2O)を750g、および平均粒子径1.5μm
重質炭酸カルシウム(CaCO3)と、平均粒径3μm
のフッ化カルシウム(CaF2)との混合物の25重量
%懸濁液を1148g(炭酸カルシウム:フッ化カルシ
ウム:純水=276g:11g:861g)を用いる以
外は実施例1と同様にして、ポリアミド複合体(B)を
得た。
【0108】製造例3 ポリアミド複合体(C)の製造:アパタイト型化合物形
成成分として、平均粒子径3μmで最大粒子径10μm
以下のリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4
・2H2O)を1500g、および平均粒子径1.5μ
m重質炭酸カルシウム(CaCO3)と、平均粒径3μ
mのフッ化カルシウム(CaF2)との混合物の25重
量%懸濁液を2304g(炭酸カルシウム:フッ化カル
シウム:純水=553g:23g:1728g)を用い
る以外は実施例1と同様にして行い、ポリアミド複合体
(C)を得た。
【0109】製造例4 ポリアミド複合体(D)の製造:50重量%のポリアミ
ド形成成分(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との
等モル塩)の水溶液を30Kg作製した。アパタイト型
化合物形成成分として、平均粒子径3μmで最大粒子径
10μm以下のリン酸一水素カルシウム二水和物(Ca
HPO4・2H2O)を750g、および平均粒子径1.
5μm重質炭酸カルシウム(CaCO3)の25重量%
懸濁液を1746g(炭酸カルシウム:純水=291
g:873g)用いた。これら、ポリアミド形成成分お
よびアパタイト型化合物形成成分を混合し、十分撹拌し
た。カルシウムとリンとのモル比は、1.67と算出さ
れた。
【0110】該ポリアミド形成成分の水溶液とアパタイ
ト型化合物形成成分の混合懸濁液とを、撹拌装置を有
し、かつ下部に抜出しノズルを有する70リットルのオ
ートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、十分攪拌し
た。窒素で置換した後、撹拌しながら温度を50℃から
約160℃まで昇温した。この際、圧力が約0.2Mp
a以上にならないように、水を系外に除去しながら加熱
した。温度が約160℃に達した時、耐熱性改良剤であ
るヨウ化カリウム(KI)0.34重量部とヨウ化第一
銅(CuI)0.02重量部との混合物の50重量%水
溶液を、オートクレーブに注入した。その後、温度を約
270℃まで昇温した。
【0111】この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲー
ジ圧にして約1.77Mpaになるが、圧力が1.77
Mpa以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱
を約1時間続け、約1時間をかけ圧力を大気圧まで降圧
した。その後、更に約270℃大気圧で約1時間保持し
た後、撹拌を停止し、下部ノズルからストランド状にポ
リマーを排出し、水冷・カッティングを行いペレットを
得た。得られたペレットを、タンブララー型の重合装置
に入れ、190℃の条件下、窒素を流通させながら、9
時間保持し、冷却後ペレットを取り出し、ポリアミド複
合体(D)を得た。
【0112】製造例5 耐熱性改良剤を配合したポリアミド66の製造:50重
量%のポリアミド形成成分(ヘキサメチレンジアミンと
アジピン酸との等モル塩)の水溶液を30Kg作製し、
ヨウ化カリウム(KI)0.51重量部とヨウ化第一銅
(CuI)0.03重量部とを配合し、十分撹拌した。
該耐熱性改良剤を配合したポリアミド形成成分を、撹拌
装置を有し、かつ下部に抜出しノズルを有する70リッ
トルのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温度下、十
分攪拌した。以後の重合操作は実施例1と同様にして行
い、耐熱性改良剤を配合したポリアミド66を得た。
【0113】
【実施例】実施例1 ポリアミド複合体(A)を用いて、評価用成形品と芯金
付成形品を成形し評価した。結果を表1に示す。 実施例2 ポリアミド複合体(B)を用いて、評価用成形品と芯金
付成形品を成形し評価した。結果を表1に示す。
【0114】実施例3 ポリアミド複合体(D)を用いて、評価用成形品と芯金
付成形品を成形し評価した。結果を表1に示す。 実施例4 ポリアミド複合体(C)のポリアミド100重量部に対
して、製造例5で得られた耐熱性改良剤を配合したポリ
アミド66を100重量部をペレットブレンドし、評価
用成形品と芯金付成形品を成形し評価した。結果を表1
に示す。
【0115】比較例1 製造例5で得られた耐熱性改良剤を配合したポリアミド
66を用いて、評価用成形品と芯金付成形品を成形し評
価した。結果を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
【発明の効果】本発明で用いるポリアミド樹脂は、その
中に含有されているアパタイト型化合物がマトリックス
であるポリアミド中に均一にかつ微細に分散し、その界
面においてポリアミドに極めて良好に固着、接着してい
るという効果を有しており、そのため該ポリアミド樹脂
からなる本発明のポリアミド樹脂製ギアは、自動車、電
気・電子、工業機械などの各種装置のモーター減速部品
などに非常に有用であるという効果がある。
フロントページの続き Fターム(参考) 3J030 AC03 AC10 BC01 BC08 CA10 4F071 AA54 AA55 AA80 AA81 AB25 AB29 AD02 AH17 BA01 BB03 BB05 BB06 BC07 4J002 CL011 CL031 DH046 FB266 GM02 GN00 GQ00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド樹脂がポリアミドとフェノー
    ル溶媒に不溶な有機物を含有するアパタイト型化合物か
    らなり、該有機物がアパタイト型化合物100重量部あ
    たり0.5〜100重量部であることを特徴とするポリ
    アミド樹脂製ギア。
  2. 【請求項2】 ポリアミド形成成分と、アパタイト型化
    合物形成成分とを配合し、ポリアミドの重合反応および
    アパタイト型化合物の合成反応を進行させて得られるポ
    リアミド複合体を用いることを特徴とするポリアミド樹
    脂製ギア。
  3. 【請求項3】 ポリアミド100重量部に対して、アパ
    タイト型化合物が1〜30重量部である請求項1記載の
    ポリアミド樹脂製ギア。
  4. 【請求項4】 ポリアミド形成成分100重量部に対し
    て、アパタイト型化合物形成成分が1〜30重量部であ
    る請求項2記載のポリアミド樹脂製ギア。
  5. 【請求項5】 アパタイト型化合物が、平均粒子径にし
    て0.001〜1μmである請求項3記載のポリアミド
    樹脂製ギア。
  6. 【請求項6】 アパタイト型化合物形成成分が、平均粒
    子径にして0.001〜10μmである請求項4記載の
    ポリアミド樹脂製ギア。
  7. 【請求項7】 ポリアミドが、重量平均分子量にして2
    万〜20万である請求項5または6記載のポリアミド樹
    脂製ギア。
  8. 【請求項8】 ポリアミド樹脂が、引張強度が800M
    pa以上、かつ引張伸度が20%以上である請求項5ま
    たは6記載のポリアミド樹脂製ギア。
JP2000106110A 2000-04-07 2000-04-07 ポリアミド樹脂製ギア Pending JP2001289309A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000106110A JP2001289309A (ja) 2000-04-07 2000-04-07 ポリアミド樹脂製ギア

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000106110A JP2001289309A (ja) 2000-04-07 2000-04-07 ポリアミド樹脂製ギア

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001289309A true JP2001289309A (ja) 2001-10-19

Family

ID=18619343

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000106110A Pending JP2001289309A (ja) 2000-04-07 2000-04-07 ポリアミド樹脂製ギア

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001289309A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019208514A1 (ja) 2018-04-23 2019-10-31 旭化成株式会社 セルロース含有ギヤ
US12007001B2 (en) 2018-04-23 2024-06-11 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Cellulose-containing gear

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019208514A1 (ja) 2018-04-23 2019-10-31 旭化成株式会社 セルロース含有ギヤ
US11242913B2 (en) 2018-04-23 2022-02-08 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Cellulose-containing gear
EP4040018A1 (en) * 2018-04-23 2022-08-10 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha A molded article
US11572931B2 (en) 2018-04-23 2023-02-07 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Cellulose-containing gear
US12007001B2 (en) 2018-04-23 2024-06-11 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Cellulose-containing gear

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6890984B2 (en) Polyamide resin composition
JP4148774B2 (ja) ポリアミド
JP3307959B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法
JP2001226579A (ja) 強化ポリアミド樹脂組成物
JP2004269784A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2001234059A (ja) 安定性に優れるポリアミド樹脂組成物
JP4569988B2 (ja) メタリック原着ポリアミド樹脂組成物
JP2001289309A (ja) ポリアミド樹脂製ギア
JP4562842B2 (ja) 難燃性ポリアミド樹脂組成物
JP2000063665A (ja) ポリアミド樹脂組成物の製造方法
JP3327274B2 (ja) 自動車内装部品
JP2002122195A (ja) 動力伝達用無端部材のポリアミド樹脂製ガイド
JP2002122193A (ja) 動力伝達用無端部材のポリアミド樹脂製テンショナー
JP3327268B2 (ja) ポリアミド中空成形品
JP2004075716A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2004123869A (ja) 共重合ポリアミド樹脂組成物
JP2003335938A (ja) 共重合ポリアミド樹脂組成物
JP3327266B2 (ja) ポリアミド溶着成形品
JP3389895B2 (ja) バリヤー性ポリアミドタンク
JP3327275B2 (ja) ポリアミド多層成形品
JP2004075745A (ja) ポリアミド樹脂製セルフタップネジ
JP2001234058A (ja) ポリアミド製発泡成形品
JP4562841B2 (ja) 難燃ポリアミド樹脂組成物
JP2002293924A (ja) 靭性の改良されたポリアミド樹脂組成物
JP2002293925A (ja) ポリアミド樹脂組成物の製造方法