JP2001288674A - 織編物又は不織布の片面改質方法及び片面が改質された織編物又は不織布 - Google Patents

織編物又は不織布の片面改質方法及び片面が改質された織編物又は不織布

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JP2001288674A
JP2001288674A JP2000094898A JP2000094898A JP2001288674A JP 2001288674 A JP2001288674 A JP 2001288674A JP 2000094898 A JP2000094898 A JP 2000094898A JP 2000094898 A JP2000094898 A JP 2000094898A JP 2001288674 A JP2001288674 A JP 2001288674A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐洗濯性を有し、表裏異機能を有する織編物
又は不織布得るための片面の改質方法、及び片面が改質
された織編物又は不織布を提供する。 【解決手段】親水性の織編物又は不織布の片面に糊剤を
塗布し、該織編物又は不織布の他の一面を少なくとも1
種のフルオロカーボンを含む雰囲気中でプラズマ処理し
た後、糊剤を除去することを特徴とする織編物又は不織
布の片面改質方法;少なくとも1種のフルオロカーボン
を用いてプラズマ処理された親水性の織編物又は不織布
であって、JISL 1096A法による吸水速度が片面が10秒
以下であり,他の一面が200秒以上であること、或い
は、片面に存在するフッ素原子の数が、他の一面に存在
するフッ素原子の数の4倍以上であることを特徴とする
織編物又は不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、織編物又は不織布
の片面改質方法及び片面が改質された織編物又は不織布
に関する。
【0002】
【従来の技術】体温調節のため及び生理的な発汗機能に
より、平常時においても人間の皮膚からは絶えず水分が
蒸発しているが、激しいスポーツを行うと、体温の急上
昇を防ぐために発汗量が増大する。
【0003】このため激しいスポーツ時には衣服内空間
の湿度も上昇し、温度33℃、湿度65%以上になると
汗線から体表に達した汗はガス化できなくなり、液相の
発汗が始まると云われている。
【0004】本来、発汗量の増大は、気化熱によって上
昇する体温を低下させる働きを持っているが、汗が皮膚
表面に残留したり、皮膚に接する衣服面に保持されてい
ると気化熱による体温調節が効果的に作用しなくなり、
益々衣服内温度と発汗量の上昇をきたすこととなる。
【0005】逆に、運動が終わって体温が下がり始める
時に、体表面の汗や皮膚に接する衣服面に汗が存在する
と、これらが気化され、冷え感を感じる原因となる。
【0006】このような運動時又は運動後の<蒸れ感>
<べとつき感><冷え感>といった不快感をなくすため
には、体表面の汗をすみやかに吸収し、皮膚に接する部
分から迅速に外部環境に放出できるという物性を有する
衣服が必要である。スポーツ衣料ばかりでなく、肌に密
着する下着や肌着についても同様のことがいえる。
【0007】かかる観点から従来の繊維素材を評価する
と、木綿、ウール等の天然繊維100%の繊維素材は、吸水
性に優れているため汗を良く吸い取るが、保水性にも優
れているため一旦吸い取った汗は容易に蒸発せず、繊維
内部にかなりの水分が残り、乾燥に時間を要する。一
方、合成繊維100%の繊維素材は、水と接触したときの吸
水速度が低く、透水能力に劣るため、汗の吸収、移動が
行われず汗濡れによる不快感を招く原因となる。
【0008】天然繊維と合成繊維との混紡品において
も、吸い取られた汗は天然繊維に吸収され、含水保護さ
れた状態となるため、汗(水分)を容易に蒸発しないと
いう欠点をもつ。
【0009】これら欠点を解消するために、片面が疎水
性であって他の一面が親水性である布帛が提案されてい
る。
【0010】ここで、図1に両面が疎水性の織編物、両
面が親水性の織編物及び片面が疎水性であって他の一面
が親水性の織編物の吸水・透水性についてのモデル図を
示す。
【0011】合成繊維100%の繊維素材のような疎水性の
織編物は、図1のモデル図(A)に示すように水分浸透層
は外側まで達っしない。天然繊維100%の繊維素材のよう
な両面が親水性の織編物は、モデル図(B)のように、外
側まで水分浸透層が達するが、内側と外側の水分浸透層
の広がりは均一である。親水性面と疎水性面を併有した
織編物は、(C)に示すように疎水性面の水分浸透層から
親水性面の水分浸透層に拡大を示す。
【0012】上記したように、スポーツ衣料、下着、肌
着などに用いる織編物において真に必要とされる汗に対
する挙動は汗を織編物内部に含水することではなく、む
しろ織編物内部に含水せずに肌側に接している疎水性面
から外気と常に接している親水性面へ移動させ、その表
層に汗を拡散・放散させることが重要である。図1(C)に
示すような吸水・透水性を有する布帛、即ち片面が疎水
性であって他の一面が親水性である布帛はかかる挙動を
達成できるものである。
【0013】従って、片面が疎水性面であって他の一面
が親水性面である織編物を得るための種々の方法が提案
されているが、織編物の片面に親水性薬剤又は撥水性薬
剤を塗布する後加工法では、蒸れ感、べとつき感等を生
じない織編物を容易に作製できることが知られている。
しかし、かかる加工法により得られる織編物は、単に薬
剤を塗布しているため耐洗濯性が乏しく、また塗布され
た薬剤により織編物が目づまりを起こして通気性に劣る
などの欠点がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点の
ない織編物又は不織布を得るための片面の改質方法及び
上記欠点のない織編物又は不織布を提供することを目的
とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討を重
ねた結果、プラズマ処理を行う前に織編物又は不織布の
片面にプラズマ反応防止層として片面に糊剤を塗布し、
フルオロカーボンを含む雰囲気中でプラズマ処理を行う
ことにより上記課題を達成することができることを見出
し、本発明を完成した。
【0016】即ち、本発明は下記の各項に係る発明を提
供するものである。
【0017】項1 親水性の織編物又は不織布の片面に
糊剤を塗布し、該織編物又は不織布の他の一面を少なく
とも1種のフルオロカーボンを含む雰囲気中でプラズマ
処理した後、糊剤を除去することを特徴とする織編物又
は不織布の片面改質方法。
【0018】項2 織編物又は不織布の片面の全部に糊
剤を塗布する項1に記載の方法。
【0019】項3 織編物又は不織布の片面に部分的に
糊剤を塗布する項1に記載の方法。
【0020】項4 糊剤が水溶性糊剤である項1〜3の
いずれかに記載の方法。
【0021】項5 乾燥後の糊剤の厚さが40〜60μ
mとなるような量の糊剤を塗布する項1〜4のいずれか
に記載の方法。
【0022】項6 少なくとも1種のフルオロカーボン
を用いてプラズマ処理された親水性の織編物又は不織布
であって、JISL 1096A法による吸水速度が片面が10秒
以下であり、他の一面が200秒以上であることを特徴
とする織編物又は不織布。
【0023】項7 少なくとも1種のフルオロカーボン
を用いてプラズマ処理された親水性の織編物又は不織布
であって、片面に存在するフッ素原子の数が、他の一面
に存在するフッ素原子の数の4倍以上であることを特徴
とする織編物又は不織布。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】本発明の織編物又は不織布の加工方法は図
2に示すように、三段階からなる。第一段階は、織編物
又は不織布の片面にプラズマ反応防止層としての糊剤を
塗布する工程である;第二段階は、フルオロカーボンを
含む雰囲気中でのプラズマ処理により織編物又は不織布
の他の一面の表面をフッ素化する工程である;第三段階
は、織編物又は不織布の片面に塗布された糊剤等を除去
をする工程である。
【0026】[第一段階]第一段階の塗布糊置工程で
は、織編物又は不織布の片面にプラズマ反応防止層とし
て糊剤を塗布する。
【0027】本発明が対象とする織編物又は不織布は、
親水性の繊維又は親水性の繊維と疎水性の繊維の混紡で
ある。
【0028】本明細書では、JISL 1096A法による吸水速
度(以下、単に“吸水速度”という場合がある)が10
秒以下程度のものを親水性の織編物又は不織布、JISL 1
096A法による吸水速度が200秒以上程度のものを疎水
性の織編物又は不織布という。本発明で用いる親水性の
織編物又は不織布としては、吸水速度が5秒以下程度の
ものが好ましく、1秒以下程度のものがより好ましく、
疎水性の織編物又は不織布としては、吸水速度が300
秒以上程度のものが好ましい。
【0029】親水性繊維としては、木綿、麻、絹、ウー
ル等が例示できる。
【0030】親水性繊維としては、親水化ポリエステル
のように、疎水性の繊維を公知の方法により親水化した
ものを用いることができる。
【0031】親水性繊維との混紡として用いる疎水性繊
維としては、ポリエステル系、ポリプロピレン系、ポリ
アミド系、ポリアクリロニトリル系、ポリプロピレン系
の合成繊維等が例示される。より具体的には、木綿とポ
リエステルの混紡が例示される。
【0032】これら繊維の太さは、特に限定されるもの
ではないが、通常、15〜400デニール程度である。
【0033】織編物又は不織布の目付及び厚みは、特に
限定されるものではないが、それぞれ、通常、30〜5
00g/m2程度、50〜1,000μm程度である。
【0034】本発明においてプラズマ反応防止層として
用いる糊剤は、塗布した面が第二段階のプラズマ処理に
よりフッ素化されないようなものであれば特に限定され
るものではないが、水溶性糊剤が好ましい。
【0035】水溶性糊剤としては、例えば、アルギン酸
ナトリウム類、デンプン類、加工デンプン類(デキスト
リン、カルボキシメチルデンプン等)、繊維誘導体類
(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロース等)、合成糊類(ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリル酸等)等が例示される。
【0036】糊剤は、単独で用いてもよく、2種以上組
み合わせて使用してもよい。
【0037】糊剤は、通常、水を加えて糊状にして使用
する。この場合、糊剤の濃度は、塗布する織編物又は不
織布の種類に応じて適宜設定することができるが、0.
5〜20wt%程度が好ましく、0.5〜10wt%程
度が特に好ましい。
【0038】織編物又は不織布へ糊剤を塗布する方法と
しては、織編物又は不織布の片面のみに均一に塗布する
ことができる方法であれば特に制限されるものではな
く、例えば、バーコーター、ナイフコーター、ドクター
コーター、スクリーン、模様付きスクリーン(例えば、
縞模様、格子模様、円模様、楕円模様等及びこれらを組
み合わせた模様等が付いたスクリーン)等を用いて印奈
する方法等が挙げられる。
【0039】糊剤は、織編物又は不織布の片面の、全部
に塗布してもよく、部分的に塗布してもよい。
【0040】糊剤を部分的に塗布する場合は、例えば、
上記したような模様付きスクリーンを用い、糊剤塗布部
分と非塗布部分とが、縞模様、格子模様、円模様、楕円
模様等の種々の模様(パターン)及びこれら模様の組み
合わせとなるように塗布することができる。
【0041】また、糊剤の塗布量は、プラズマ反応防止
層として機能する限り特に限定されるものではないが、
例えば、乾燥後の糊剤の厚さが40〜60μm程度とな
るような量の糊剤を塗布することができる。
【0042】塗布した糊剤は、例えば、60℃程度の雰
囲気下に15〜20分程度放置して乾燥させたり、5〜
8時間程度空気中に放置して乾燥させる。また、必要に
応じてベーキングを行ってもよい。
【0043】[第二段階]第二段階では、第一段階にお
いて得られた片面を塗布糊置した織編物又は不織布を、
フルオロカーボンを含む雰囲気中でプラズマ処理する。
【0044】通常、フルオロカーボンを含む雰囲気中で
プラズマ処理を行うと、織編物又は不織布の表面にフッ
素原子を含む基が結合してフッ素化される(例えば、C
F結合、C−CFn(nは1〜3の整数)、CF−CFn
(nは1〜3の整数)結合、CF2結合、CF3結合など
がXPSによる表面分析により確認される)。しかし、
第一段階において塗布糊置した面は、糊剤がプラズマ反
応防止層となるため、プラズマ処理によりフッ素化され
ない。従って、かかるプラズマ処理により、実質的に、
塗布糊置していない他の一面のみにフッ素原子を含む基
が織編物又は不織布の表面に結合することとなり、実質
的に片面のみがフッ素化された織編物又は不織布を得る
ことが可能となる。
【0045】本発明方法においてプラズマ処理に使用す
るガスは、フルオロカーボンを含むガスである。フルオ
ロカーボンとしては、炭素数1〜5程度のパーフルオロ
カーボンを好ましく用いることができ、例えば、C
4、C26、C38などが挙げられる。プラズマ処理
は、フルオロカーボン以外のガスを含む雰囲気中で行っ
てもよいが、より多くのフッ素原子を含む基を織編物又
は不織布の表面に結合させるためには(即ち、高いフッ
素化率を得るためには)、フルオロカーボンガスのみの
雰囲気中で行うことが好ましい。また、フルオロカーボ
ンは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用い
てもよい。
【0046】プラズマ処理は、公知のプラズマ処理法、
例えば、低温プラズマ処理装置を用いた方法、大気圧プ
ラズマ処理装置を用いた方法などにより行うことができ
る。
【0047】大気圧プラズマ処理法では、通常フルオロ
カーボンガスをヘリウムガスとの混合ガスとして用いる
ため、通常ヘリウムガスを用いない低温プラズマ処理法
の方が、フッ素化率が高いので好ましい。
【0048】低温プラズマ処理装置を用いた方法は、例
えば、内部電極型プラズマ装置内に片面を塗布糊置した
織編物又は不織布を置き、低温プラズマ処理用ガスを連
続的に導入し、電極間に電圧をかけて行うことができ
る。
【0049】低温プラズマ処理条件は、塗布糊置してい
ない他の一面のみがフッ素化された織編物又は不織布を
得られる限り特に限定されるものではなく適宜設定する
ことができる。慣用されている内部電極型プラズマ装置
を用いた場合に好ましい条件を以下に例示する。
【0050】電圧をかける電源として、放電持続性及び
プラズマ均一性の点から、例えば13.56MHz程度
を使用するのが好ましい。
【0051】放電出力は0.1〜1W/cm2程度が望ま
しく、放電時間は5秒以上程度、特に5〜60秒程度が
望ましい。
【0052】放電に際してのガス圧力は13.3〜2.
66×103 Pa(0.1〜20mmHg)程度が好ま
しく、特に 13.3〜1.33×103Pa(0.1〜
10mmHg)程度が好ましく、さらに13.3〜1.
33×102 Pa(0.1〜1 mmHg)程度が好まし
い。
【0053】ガスの流量は、30〜300 ml/min
程度が好ましく、100〜200ml/min程度がよ
り好ましい。
【0054】上記の条件において低温プラズマ処理を行
った場合、織編物又は不織布に損傷を与えることなく、
高いフッ素化率が得られるので好ましい。
【0055】大気圧プラズマ処理法の条件も、低温プラ
ズマ処理法について例示した上記条件を参照して適宜設
定することができる。
【0056】[第三段階]第二段階にて得られた織編物
又は不織布は、片面に糊剤が塗布糊置されたまま残存し
ているので、該糊剤を第三段階において除去する。
【0057】除去は、糊剤を布帛から除去する方法とし
て慣用されている方法を用いて行うことができ、例え
ば、40〜60℃以下の温水を用いて洗浄することによ
り行うことができる。必要に応じて、超音波洗浄により
糊剤等の除去を行ってもよい。
【0058】かくして、実質的に片面のみがフッ素化
(疎水化)された織編物又は不織布、即ち表裏異機能を
有する織編物又は不織布が得られる。本発明には、この
ようにして得られた織編物又は不織布も包含される。
【0059】本発明の方法によれば、実質的に片面のみ
をフッ素化することが可能となり、実質的に片面のみを
改質することができる。本発明で用いる織編物又は不織
布は親水性のものであるのであり、フッ素化された面は
疎水性を呈するので、本発明方法により得られた織編物
又は不織布は、表裏異機能を有している。
【0060】本発明織編物又は不織布 本発明の方法により親水性の織編物又は不織布にフルオ
ロカーボンガスを用いてプラズマ処理した場合、実質的
に片面のみがフッ素化され、片面が親水性、他の一面が
疎水性となり、表裏異機能を有する織編物又は不織布が
得られる。織編物又は不織布の種類、フルオロカーボン
ガスの種類などのプラズマ処理の条件などに応じて異な
るが、例えば、下記の(1)又は(2)の物性を有する織編物
又は不織布が得られる。 (1) JISL 1096A法による吸水性が、片面(プラズマ非
照射面)が10秒以下程度であり、他の一面(プラズマ
照射面)が200秒以上程度である。
【0061】プラズマ非照射面の吸水性速度は、好まし
くは、5秒以下程度であり、より好ましくは1秒以下程
度である。プラズマ照射面の吸水速度は、好ましくは3
00秒以上程度である。 (2) 片面に存在するフッ素原子の数が他の一面に存在す
るフッ素原子の数の4倍以上である。
【0062】フッ素原子数は、例えば、ESCAによる
表面元素分析により算出することができ、これにより上
記(2)の値を得ることができる。
【0063】本発明の織編物又は不織布では表面に存在
するフッ素原子の数が裏面に存在するフッ素原子の数よ
り多く、通常、4倍以上程度であり、4.2倍以上程度
が好ましく、5.8倍以上程度がより好ましい。
【0064】本発明の織編物又は不織布は、レインコー
ト、ウインドブレーカー、スポーツ衣料、下着等に好ま
しく用いることができる。
【0065】
【発明の効果】本発明方法によれば、実質的に片面のみ
がフッ素化(疎水化)された織編物又は不織布、即ち表
裏異機能を有する織編物又は不織布を得ることができ
る。本発明方法により得られた織編物又は不織布の表裏
異機能は、耐洗濯性などの耐久性に優れている。
【0066】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示して、本発明を
より詳細に説明する。
【0067】実施例1 水溶性糊剤として、アルギン酸ナトリウムを10重量%と
なるように水を用いて調製した。乾燥後の厚さが50 μm
となるようにスクリーン法により木綿の片面に糊剤を塗
布し、15分間60℃の雰囲気下に放置して乾燥させた。使
用した木綿は、厚さ 0.85 mm、目付け値272.4 g/m2であ
った。
【0068】次いで、内部電極型プラズマ装置(プラズ
マ処理装置、商品名、ヒラノ光音株式会社製)内の、内
部型平行平板電極の間にある試料台の上に上記布帛を置
き、低温プラズマ処理を行った。低温プラズマ処理は、
フルオロカーボンとしてC38を用い、プラズマ装置内
圧力5.4×10Pa、ガス流量100 ml/min、プラズマ照射時
間30秒間、放電出力0.15 W/cm2という条件下にて行っ
た。プラズマ処理後、減圧となっていた装置内に空気を
入れ、その後、装置内から布帛を取り出した。
【0069】装置内から取り出した布帛を、温水中にて
1晩浸漬させて糊剤等を除去し、その後乾燥させた。
【0070】比較例1 プラズマ反応防止層として糊剤を塗布しないこと以外は
実施例1と同様にしてフッ素化木綿を得た。
【0071】実施例2 フルオロカーボンとしてC38の代わりにC26を用い
た以外は実施例1と同様にしてフッ素化木綿を得た。
【0072】比較例2 プラズマ反応防止層として糊剤を塗布しないこと以外は
実施例2と同様にしてフッ素化木綿を得た。
【0073】実施例3 フルオロカーボンとしてC38の代わりにCF4を用い
た以外は実施例1と同様にしてフッ素化木綿を得た。
【0074】比較例3 プラズマ反応防止層として糊剤を塗布しないこと以外は
実施例3と同様にしてフッ素化木綿を得た。
【0075】[吸水性試験]実施例1〜3及び比較例1
〜3により得られた布帛を、JIS-0217-104法の簡便法に
従い洗濯した。洗濯を10回繰返した後の各布帛の吸水性
の評価を、JISL1096A法に従って行った。結果
を表1に示す。
【0076】
【表1】 表1に示した結果より、実施例1〜3の布帛は、片面は
吸水性であり、他の一面はほとんど吸水性がなく、片面
のみがフッ素化されており、優れた表裏異機能を有して
いることがわかる。これに対して、比較例1〜3の布帛
は、両面ともフッ素化されて疎水性基を有しているた
め、両面が吸水性がなく、表裏異機能が得られていない
ことがわかる。
【0077】[透水性(濡れ面積)]実施例1〜3及び
比較例1〜3で得られた布帛について、以下の透水性試
験を行った。即ち、テフロン(登録商標)樹脂をコーテ
ィングしたガラス板上に市販のインク(ブルーブラッ
ク)を2.0倍に水で希釈したインク液(以下、「水滴」
とする)を正確に0.1cc滴下した。各布帛をプラズマ処
理面が上となるように水滴の上に置き、60秒間放置し
た。次にテフロン樹脂をコーティングした別のガラス板
上に各布帛を移動させ、3分間放置後、各布帛の両面の
濡れ面積を測定した。
【0078】JIS-0217-104法の簡便法に従い10回洗濯
した各布帛についても、同様にして透水性の評価を行っ
た。
【0079】実施例1〜3の各布帛については、洗濯前
及び洗濯後のいずれも、プラズマ処理面まで水が浸透し
なかった。一方比較例の各布帛は、いずれもプラズマ処
理面まで水が浸透していた。従って、実施例の布帛は片
面のみがフッ素化されており、表裏異機能を有している
ことがわかる。これに対して、比較例1〜3の布帛は、
表裏異機能が得られていないことがわかる。さらに、実
施例の布帛は、洗濯後においても表裏異機能が維持され
ており、本発明方法により得られた布帛の表裏異機能
は、耐久性があることがわかる。
【0080】[XPSによる表面分析]XPSにより、
実施例1〜3で得られた布帛のプラズマ照射面及びプラ
ズマ非照射面の表面の元素分析を行った。また、プラズ
マ処理前の布帛の表面についても元素分析を行った(比
較例4)。なお、測定は、JIS-0217-104法の簡便法に従
い10回洗濯した後に行った。
【0081】XPSは、Φ Quantum 2000を用いて下記
の条件にて行った。
【0082】分析領域:100μmΦ X強度:15 kV、24.3W パスエネルギー:187.85eV(wide)/23.50
(narrow)。
【0083】表面の元素分析により得られた結果を、フ
ッ素原子と炭素原子の数の比(F/C)として、表面(プ
ラズマ照射面)及び裏面(プラズマ非照射面)について
それぞれ表2に示す。さらに、これら数値の裏面に対す
る表面の比を示す。
【0084】
【表2】 実施例1〜3で得られたいずれの布帛においても、10
回の洗濯後であっても表面に裏面より多くのフッ素原子
が存在していることから、表面に裏面より多くのフッ素
原子を含む基(疎水性基)が存在していることがわか
る。従って、実施例1〜3で得られた布帛は、洗濯後に
も表裏異機能を有していることが明らかである。
【0085】[フッ素原子含有量の測定]実施例1及び
2にて得られた布帛のフッ素原子含有量を、1回洗濯
後、5回洗濯後及び10回洗濯後についてそれぞれ測定
した。洗濯は、JIS-0217-104法の簡便法に従って行っ
た。フッ素原子の定量は、“「有機微量定量分析,南江
堂,394頁,(1969)”に記載された、Belcherらの方法
(アリザリンコンプレクソン法)に従って行った。結果
を下記表3に示す。
【0086】
【表3】 実施例1及び2で得られたいずれの布帛も、洗濯後のフ
ッ素原子含有量にほとんど変化がなかった。上記方法で
測定したフッ素原子の量は、表面及び裏面の両方を含む
ものであるが、これらの結果から、本発明方法によるフ
ッ素化により、布帛の表面に結合しているフッ素原子を
含む疎水性基は、洗濯により消失していないことがわか
る。従って、これら結果から、本発明方法により得られ
た布帛は、洗濯後であっても表裏異機能が維持されるこ
とが予測される。
【図面の簡単な説明】
【図1】布帛(織編物)の吸水拡散機構のモデル図を示
す。
【図2】本発明の織編物又は不織布の片面改質方法を示
す。
【符号の説明】
(A) 疎水性の織編物の吸水拡散のモデル図 (B) 両面が親水性の織編物の吸収拡散のモデル図 (C) 親水性面と疎水性面を併有した織編物の吸水拡散
のモデル図 (1) 疎水性領域 (2) 親水性領域 (3) 水滴 (4) 水分浸透層
フロントページの続き (72)発明者 巽 拓士 大阪府大阪市中央区島之内1丁目11番32号 日新繊維株式会社内 (72)発明者 後藤 紀 大阪府大阪市中央区島之内1丁目11番32号 日新繊維株式会社内 Fターム(参考) 4L031 AA01 AA11 AB32 AB33 AB34 BA32 CB05 DA08 4L033 AA01 AA04 AB05 AB06 AB07 AC07 BA05 CA04 CA06 CA07 CA18 CA29

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性の織編物又は不織布の片面に糊剤
    を塗布し、該織編物又は不織布の他の一面を少なくとも
    1種のフルオロカーボンを含む雰囲気中でプラズマ処理
    した後、糊剤を除去することを特徴とする織編物又は不
    織布の片面改質方法。
  2. 【請求項2】 織編物又は不織布の片面の全部に糊剤を
    塗布する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 織編物又は不織布の片面に部分的に糊剤
    を塗布する請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 糊剤が水溶性糊剤である請求項1〜3の
    いずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 乾燥後の糊剤の厚さが40〜60μmと
    なるような量の糊剤を塗布する請求項1〜4のいずれか
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも1種のフルオロカーボンを用
    いてプラズマ処理された親水性の織編物又は不織布であ
    って、JISL 1096A法による吸水速度が片面が10秒以下
    であり、他の一面が200秒以上であることを特徴とす
    る織編物又は不織布。
  7. 【請求項7】 少なくとも1種のフルオロカーボンを用
    いてプラズマ処理された親水性の織編物又は不織布であ
    って、片面に存在するフッ素原子の数が、他の一面に存
    在するフッ素原子の数の4倍以上であることを特徴とす
    る織編物又は不織布。
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