JP2001288451A - カルボン酸誘導体を成分化合物とする新規ゲル化剤及びゲル組成物 - Google Patents

カルボン酸誘導体を成分化合物とする新規ゲル化剤及びゲル組成物

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JP2001288451A
JP2001288451A JP2000103789A JP2000103789A JP2001288451A JP 2001288451 A JP2001288451 A JP 2001288451A JP 2000103789 A JP2000103789 A JP 2000103789A JP 2000103789 A JP2000103789 A JP 2000103789A JP 2001288451 A JP2001288451 A JP 2001288451A
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tetracarboxylic acid
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Satoru Abe
悟 阿部
Hiroyuki Suzuki
啓之 鈴木
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Nippon Soda Co Ltd
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Nippon Soda Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成が容易でありかつ家庭内廃油処理や産業
廃棄溶剤の凝固処理及び液状芳香剤や脱臭剤などの固形
化処理において優れた性能を示す新規な低分子ゲル化剤
及び当該ゲル化剤を含むゲル組成物を提供すること。 【解決手段】 拡散性の4つのカルボキシル基を有し、
かつ中心対称構造を有するテトラカルボン酸誘導体、好
ましくは一般式(I)で表されるテトラカルボン酸誘導
体、特に一般式(II)又は一般式(III)で表されるテ
トラカルボン酸誘導体と、該テトラカルボン酸誘導体と
反応して塩または分子化合物を形成する長鎖アルキルア
ミン又は長鎖アルキルアミドとを成分化合物とするゲル
化剤を調製する。 【化1】 【化2】 【化3】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゲル化剤及びゲル組
成物に関し、より詳細には、家庭内廃油処理や産業廃棄
溶剤の処理の他、液状芳香剤、脱臭剤等の固形化におい
て広く使用することができるゲル化剤や当該ゲル化剤を
含むゲル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】油類に少量添加するだけで油全体をゼリ
ー状に固めることができるオイルゲル化剤は、家庭内廃
油や流出原油などの凝固剤としての用途の他、産業廃棄
溶剤の処理・化粧品・食料品・医薬品分野などにおける
利用が期待されている。特に低分子化合物のゲル化剤
は、比較的少量の添加で液体をゲル化できる、加熱
時に速やかに溶け放冷時に容易にゲルを形成する、形
成されたゲルは熱可逆的であり、加熱と放冷を繰り返す
ことにより溶液とゲルの変化を繰り返すなどの特徴があ
り、オイルゲル化剤として好適に用いられている。
【0003】現在まで、低分子化合物のオイルゲル化剤
として20種類ほどの化合物が報告されており、具体的
には、廃てんぷら油用として市販されている12−ヒド
ロキシステアリン酸 [Bull.Chem.Soc.Jpn.,53,1714(198
0)]、流出原油用として配備されているN−ラウロイル
−1−グルタミン酸−α,γ−ビス−n−ブチルアミド
[現代化学,57,(1987)]の他ビス−n−ヘキサデシロキ
シアントラセン[J.Chem.Soc.Chem.Common.,416(199
1)]、ジウンデカノイル−trans−1,3,5−シ
クロヘキサンジカルボサアミド[Angew.Chem.Int.Ed.Eng
l.,1382(1993)]、N−オクチル−D−グルコンアミド−
6−ベンゾエート[J.Chem.Soc.Chem.Common.,545(199
7)]などが知られている。また、二成分型のオイルゲル
化剤として、5−ヘキサデシル−2,4,6−トリアミ
ノピリジンと5,5−ジドデシルバルビツール酸[J.Che
m.Soc.Chem.Common.,1382(1993)]、フェノールとビス
(2−エチルヘキシル)スルホスクシン酸ナトリウム
[J.Phys.Soc.Chem.,3809(1994)]、胆汁酸誘導体とn−
オクタデシルアミンの塩[日本化学会第74回春季年会
講演予稿集 1G103]も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術にお
ける低分子オイルゲル化剤はその合成が煩雑な化合物が
多く、その多くは実用的といいうるものではなかった。
また、ゲル化において必要とされる、水素結合などの分
子間相互作用による巨大繊維状会合体形成が不十分なも
のが多いなどの問題から、その性能は十分満足できるも
のではなかった。
【0005】本発明の課題は、合成が容易でありかつ家
庭内廃油処理や産業廃棄溶剤の凝固処理及び液状芳香剤
や脱臭剤などの固形化処理において優れた性能を示す新
規な低分子ゲル化剤及び当該ゲル化剤を含むゲル組成物
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決すべく鋭意研究をした結果、強固な水素結合
形成能を持つカルボキシル基が巨大繊維状会合体を形成
すべく拡散的に4つ配置された、特定の中心対称構造を
有するテトラカルボン酸誘導体を成分化合物とする塩ま
たは分子化合物が新規なゲル化剤として優れた性能を示
すことを見い出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、拡散性の4つのカルボ
キシル基を有し、かつ中心対称構造を有するテトラカル
ボン酸誘導体を成分化合物とすることを特徴とするゲル
化剤や、かかるテトラカルボン酸誘導体と、該テトラカ
ルボン酸誘導体と反応して塩又は分子化合物を形成する
化合物とを成分化合物とすることを特徴とするゲル化剤
や、これらゲル化剤を含有することを特徴とするゲル組
成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のゲル化剤としては、拡散
性の4つのカルボキシル基を有し、かつ中心対称構造を
有するテトラカルボン酸誘導体を成分化合物とするゲル
化剤や、かかるテトラカルボン酸誘導体と、該テトラカ
ルボン酸誘導体と反応して塩または分子化合物を形成す
る化合物とを成分化合物とするゲル化剤であれば、特に
制限されるものではないが、上記テトラカルボン酸誘導
体としては、一般式(I)で表されるテトラカルボン酸
誘導体であることが好ましい。
【0009】
【化9】
【0010】上記一般式(I)中、Xは、炭素原子、C
1〜C3の4つのアルキレン基で置換されたメタン、
[化10](Yは、(CH2)n又はp−フェニレン基
を表し、nは0、1、2又は3である)、[化11]
(Zは、(CH2)n若しくはp−フェニレン基を表
し、nは、0、1、2又は3であり、R1〜R8は、それ
ぞれ水素原子、C1〜C6のアルキル基、C2〜C4の
アルケニル基、C1〜C6のアルキル基を有してもよい
フェニル基、ハロゲン原子若しくはC1〜C6のアルコ
キシ基を示す)、[化12](R9、R10は、それぞれ
水素原子、C1〜C6のアルキル基、C2〜C4のアル
ケニル基、C1〜C6のアルキル基を有してもよいフェ
ニル基、ハロゲン原子またはC1〜C6のアルコキシ基
を示す。)、[化13]、[化14]、[化15]又は
[化16]を表す。
【0011】
【化10】
【0012】
【化11】
【0013】
【化12】
【0014】
【化13】
【0015】
【化14】
【0016】
【化15】
【0017】
【化16】
【0018】また、上記一般式(I)で表されるテトラ
カルボン酸誘導体の中でも、一般式(II)(一般式(I
I)中、R11〜R18は、それぞれ水素原子、C1〜C6
のアルキル基、C2〜C4のアルケニル基、C1〜C6
のアルキル基を有してもよいフェニル基、ハロゲン原子
またはC1〜C6のアルコキシ基を示す。)で表される
テトラキスカルボキシフェニルエタン及びその誘導体、
又は一般式(III)(一般式(III)中、R9、R10は、
それぞれ水素原子、C1〜C6のアルキル基、C2〜C
4のアルケニル基、C1〜C6のアルキル基を有しても
よいフェニル基、ハロゲン原子またはC1〜C6のアル
コキシ基を示す。)で表されるベンゼンテトラカルボン
酸及びその誘導体が、広範囲の液状物質のゲル化、低濃
度でのゲル化、ゲル組成物の熱可逆性などの点から特に
好ましい。
【0019】
【化17】
【0020】
【化18】
【0021】また、上記一般式(I)、一般式(II)及び
一般式(III)で表されるカルボン酸誘導体において、R1
〜R8、R9〜R10及びR11〜R18で表される置換基とし
ては、それぞれ水素原子、C1〜C6のアルキル基、C
2〜C4のアルケニル基、C1〜C6のアルキル基を有
してもよいフェニル基、ハロゲン原子またはC1〜C6
のアルコキシ基を示し、上記C1〜C6のアルキル基と
しては、直鎖、分岐又は環状のC1〜C6のアルキル基
であれば特に制限されるものではなく、メチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル
基等を具体的に例示することができ、C2〜C4のアル
ケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニ
ル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニ
ル基、1,3−ブタジエニル基等を具体的に例示するこ
とができ、C1〜C6のアルキル基を有してもよいフェ
ニル基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基等
を具体的に例示することができ、ハロゲン原子として
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等を具
体的に例示することができ、C1〜C6のアルコキシ基
としてはメトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等を
具体的に挙げることができる。
【0022】上記一般式(II) で表されるテトラキスカ
ルボキシフェニルエタン及びその誘導体の具体例として
は、テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタン、テ
トラキス(3,5−ジメチル−4−カルボキシフェニ
ル)エタン、テトラキス(3−カルボキシフェニル)エ
タン、テトラキス(3−カルボキシ−4,5−ジメチル
フェニル)エタン等を挙げることができ、一般式(III)
で表されるベンゼンテトラカルボン酸及びその誘導体の
具体例としては、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカ
ルボン酸、3,6−ジメチル−ベンゼン−1,2,4,
5−テトラカルボン酸などを挙げることができる。
【0023】その他、上記一般式(I)で表されるテト
ラカルボン酸誘導体の具体例としては、2,2−ジカル
ボキシマロン酸、3,3−ジカルボキシメチル−ペンタ
ジエン酸、3,3−ジカルボキシメチル−ペンタジエン
酸、4,4−ビス−(2−カルボキシエチル)−ヘプタ
ジエン酸、5,5−ビス−(3−カルボキシプロピル)
−ノナジエン酸、2,3−ジカルボキシ−スクシン酸、
2,4−ジカルボキシ−ペンタジエン酸、2,5−ジカ
ルボキシ−ヘキサジエン酸、2,6−ジカルボキシ−ヘ
プタジエン酸、2−(4−ジカルボキシメチル−フェニ
ル)−マロン酸、テトラ(4−カルボキシフェニル)メ
タン、2,2’,7,7’−テトラキス(カルボキシ
ル)−9,9’−スピロビフルオレン、9,10−ビス
−(3,5−カルボキシフェニル)アントラセン、アダ
マンタン−1,3,5,7−テトラカルボン酸等を挙げ
ることができる。
【0024】本発明のゲル化剤は、少なくとも上記テト
ラカルボン酸誘導体を含む二種以上の成分化合物が水素
結合又はイオン結合により結合することによって、液状
物質に対して少量添加し、加熱溶解後放冷することで容
易にゲルを形成できるゲル化剤であり、上記テトラカル
ボン酸誘導体と、該テトラカルボン酸誘導体と反応して
塩又は分子化合物を形成する化合物とを成分化合物とす
るゲル化剤を好適に例示することができる。そして、上
記テトラカルボン酸誘導体と反応して塩または分子化合
物を形成する化合物としては、長鎖アルキルアミン又は
長鎖アルキルアミドから選ばれる群の1種又は2種以上
の化合物等を挙げることができる。
【0025】上記長鎖アルキルアミン及び長鎖アルキル
アミドとしては、直鎖または分岐のC8〜C17のアル
キル鎖を一本以上有しているアミン又はアミド化合物が
好ましく、具体的には、n−オクタデシルアミン、N−
メチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチル−
n−オクタデシルアミン、N,N−ジ −n−オクチル
アミン、3,7−ジメチル−n−オクチルアミン、4−
n−オクチルピリジン、4−(3,7−ジメチル−オク
チル)ピリジン、3,5−(3,7−ジメチル−オクチ
ル)ピリジン、4−n−オクチルアニリン、4−(3,
7−ジメチル−オクチル)アニリン、N−メチル−4−
n−オクチルアニリン、N,N−ジメチル−4−n−オ
クチルアニリン、4−n−オクチルピペリジン、4−
(3,7−ジメチル−オクチル)ピペリジン、n−オク
タデシルアミド、N−メチル−n−オクタデシルアミ
ド、3,7−ジメチル−n−オクチルアミド等を例示す
ることができる。
【0026】本発明のゲル化剤は、上記テトラカルボン
酸誘導体と、かかるテトラカルボン酸誘導体と塩又は分
子化合物を形成する物質とを直接混合するか、あるいは
溶媒中で混合することにより、得ることができる。そし
て、かかる方法により得られた物質が確かに2成分から
なる塩又は分子化合物であることは、熱分析(TG及び
DTA)、赤外吸収スペクトル(IR)、X線回折パタ
ーン、固体NMRスペクトル等により確認することがで
きる。また、分子化合物の組成は熱分析、1H−NMR
スペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)、元素分析等により確認することができる。
【0027】本発明のゲル組成物は、上記本発明のゲル
化剤を含有するゲル組成物であれば何ら制限されるもの
ではなく、例えば、粉末状の本発明のゲル化剤を液状物
質に数重量%程度の濃度で添加し、加熱して溶解させた
後に、室温まで放冷することにより得ることができる。
この際、液状物質は二種類以上の化合物からなる混合物
であってもよい。
【0028】本発明のゲル化剤によりゲル化が可能な物
質としては、メタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2-プロパノール、t−ブチルアルコール等のアル
コール類及びこれらの50%濃度程度の水溶液、アセト
ン、2-ブタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、
テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル
類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド
等のアミド類、ジメチルスルホキシド、ジベンジルスル
ホキシド等のスルホキシド類、アセトニトリル、ベンゾ
ニトリル等のニトリル類、クロロホルム、四塩化炭素な
どのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、o−
キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼ
ン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ブ
ロモベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳
香族化合物、灯油、軽油等の鉱物油、サラダ油、大豆
油、菜種油等の植物油、シリコンオイルなどを挙げるこ
とができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例に従ってさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。 実施例1(1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキ
シフェニル)エタンとN,N−ジメチル−n−オクタデ
シルアミンからなるゲル化剤の製造) 1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニ
ル)エタン1.0g(1.96mM)をエタノール25
mlに加え、還流条件で攪拌し、溶解させた。この溶液
にN,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン10g
(33.6mM)を滴下して加え、室温下で12時間放
置した。析出した固体を吸引ろ過し、この固体を50℃
で真空乾燥させて、1,1,2,2−テトラキス(4−
カルボキシフェニル)エタンとN,N−ジメチル−n−
オクタデシルアミンとの組成比率1:4(モル比)から成
る分子化合物3.26gを得た(収率98%)。このも
のが前記組成の塩であることは1H−NMR及び熱分析
(TG−DTA)により確認した。1H−NMRにおい
ては、分子化合物形成を示す、1,2,2−テトラキス
(4−カルボキシフェニル)エタンのカルボン酸ピーク
の高磁場シフト(12.82ppm→8.55ppm)
が確認された。また、TGにおいて、209℃からアミ
ン成分の放出に伴う重量減が観察され(全重量の63%
分)、DTAにおいて、1,2,2−テトラキス(4−
カルボキシフェニル)エタンの融解に由来する吸熱ピー
クが388℃に観察された。プロトンNMRの結果を以
下に示す。
【0030】1H−NMR(270MHz,CDCl3
δ8.85(s,4H,−COOH),7.76(d,
J=8.1Hz,8H,Ar−H),7.15(d,J
=8.1Hz,8H,Ar−H),4.87(s,2
H,CH),2.65(t,8H,(CH32NCH2
−×4),2.51(s,24H,(CH32N−×
4),1.62(m,8H,(CH32NCH2CH2
×4),1.26(m,112H,−(CH214−×
4),0.89(t,J=6.8Hz,12H,CH3
CH2−×4)
【0031】実施例2(ベンゼン−1,2,4,5−テ
トラカルボン酸とN,N−ジメチル−n−オクタデシル
アミンからなるゲル化剤の製造) ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸1.0g
(3.93mM)をエタノール8mlに加え、室温で攪
拌し、溶解させた。この溶液にN,N−ジメチル−n−
オクタデシルアミン10g(33.6mM)を滴下して
加え、室温下で12時間放置した。析出した固体を吸引
ろ過し、この固体を50℃で真空乾燥させて、ベンゼン
−1,2,4,5−テトラカルボン酸とN,N−ジメチ
ル−n−オクタデシルアミンとの組成比率1:2(モル
比)から成る塩2.81gを得た(収率84%)。この
ものが前記組成の分子化合物であることは1H−NM
R、13C CP/MAS NMR及び熱分析(TG−DT
A)により確認した。1H−NMRにおいては、ベンゼ
ン−1,2,4,5−テトラカルボン酸のカルボン酸ピ
ーク(12.83ppm)のケミカルシフト値に変化が
見られなかったが、13CCP/MAS NMRにおいて、
分子化合物形成を示すカルボキシル基ピークの高磁場シ
フト(171.22ppm→167.89ppm)が観
察された。また、TGにおいて、220℃からアミン成
分の放出に伴う重量減が観察され(全重量の70%
分)、DTAにおいて、ベンゼン−1,2,4,5−テ
トラカルボン酸の融解に由来する吸熱ピークが284℃
に観察された。プロトンNMRの結果を以下に示す。
【0032】1H−NMR(270MHz,CDCl3
δ12.83(s,2H,−COOH),9.23
(s,2H,Ar−H),3.04(t,J=8.1H
z,4H,(CH32NCH2−×2),2.88
(s,12H,(CH32N−×2),1.77(m,
4H,(CH32NCH2CH2−×2),1.24
(m,56H,−(CH214−×2),0.88
(t,J=6.8Hz,6H,CH3CH 2−×2)
【0033】実施例3(1,1,2,2−テトラキス
(4−カルボキシフェニル)エタンとN,N−ジメチル
−n−オクタデシルアミンからなるゲル化剤を含有する
ゲル組成物の製造方法) 1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニ
ル)エタンとN,N−ジメチル−n−オクタデシルアミ
ンとの組成比率1:4(モル比)から成る粉末0.1gと
ベンゼン2mlを蓋つき試験管に入れ、還流条件まで加
熱してゲル化剤を溶解させた。これを25℃の恒温槽で
2時間静置した後、取り出した。試験管を逆さまにして
軽くたたいても溶媒が流れ出ず、型崩れのないゲルが形
成されていた。
【0034】実施例4(ベンゼン−1,2,4,5−テ
トラカルボン酸とN,N−ジメチル−n−オクタデシル
アミンからなるゲル化剤を含有するゲル組成物の製造方
法) ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸とN,N
−ジメチル−n−オクタデシルアミンとの組成比率1:
2(モル比)から成る粉末0.1gとエチルベンゼン6m
lを蓋つき試験管に入れ、還流条件まで加熱してゲル化
剤を溶解させた。これを25℃の恒温槽で2時間静置し
た後、取り出した。試験管を逆さまにして軽くたたいて
も溶媒が流れ出ず、型崩れのないゲルが形成されてい
た。
【0035】実施例5(1,1,2,2−テトラキス
(4−カルボキシフェニル)エタンとN,N−ジメチル
−n−オクタデシルアミンからなるゲル化剤を含有する
ゲル組成物の熱可逆性) 1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニ
ル)エタンとN,N−ジメチル−n−オクタデシルアミ
ンからなるゲル化剤を含有するベンゼンゲル組成物の入
った蓋付き試験管を80℃の恒温槽に1時間静置するこ
とにより、ゲル状から溶液(ゾル)状に変化した。これ
を25℃の恒温槽で2時間静置した後、取り出した。試
験管を逆さまにして軽くたたいても溶媒が流れ出ず、型
崩れのないゲルが再形成されることを確認した。このよ
うに、本発明のゲル組成物においては、ゲル化剤を構成
する酸−アミン間の水素結合の解離・形成を温度により
コントロールすることができ、ゲル−溶液間の可逆性を
付与することができる。
【0036】実施例6(ベンゼン−1,2,4,5−テ
トラカルボン酸とN,N−ジメチル−n−オクタデシル
アミンからなるゲル化剤を含有するゲル組成物のpH変
化による崩壊性) ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸エタンと
N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミンからなるゲ
ル化剤を含有する50%エタノール水溶液ゲル組成物を
pH3.0及びpH10.0の緩衝液中に浸漬した。数
秒後それぞれの場合において、ゲルの崩壊が観察され
た。このように本発明のアルコール−水系ゲル組成物に
おいては、ゲル化剤を構成する酸−アミン間の水素結合
の解離をpH制御により行うことが可能なため、単一成
分から成る従来の低分子ゲル化剤では困難であるpHに
応答する崩壊性を付与することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明のテトラカルボン酸誘導体を成分
化合物とする新規ゲル化剤は、煩雑な合成を伴わずに簡
単な操作で調製できる上に、成分化合物同士の組み合わ
せを適宜変えることにより、少量の添加で広範囲の液状
物質のゲル化が可能となる。また得られるゲル組成物は
ゲル−溶液間の熱可逆性を有し、pH変化により容易に
崩壊させることも可能である。従って、本発明のカルボ
ン酸誘導体を成分化合物とする新規ゲル化剤及びそれら
を含有するゲル組成物は、非常に広範な分野で利用可能
であり、産業上における意義は極めて大きい。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 拡散性の4つのカルボキシル基を有し、
    かつ中心対称構造を有するテトラカルボン酸誘導体を成
    分化合物とすることを特徴とするゲル化剤。
  2. 【請求項2】 テトラカルボン酸誘導体が、一般式
    (I)で表されるテトラカルボン酸誘導体であることを
    特徴とする請求項1記載のゲル化剤。 【化1】 [一般式(I)中、Xは、炭素原子、C1〜C3の4つ
    のアルキレン基で置換されたメタン、 【化2】 (Yは、(CH2)n又はp−フェニレン基を表し、n
    は0、1、2又は3である。)、 【化3】 (Zは、(CH2)n又はp−フェニレン基を表し、n
    は、0、1、2又は3であり、R1〜R8は、それぞれ水
    素原子、C1〜C6のアルキル基、C2〜C4のアルケ
    ニル基、C1〜C6のアルキル基を有してもよいフェニ
    ル基、ハロゲン原子又はC1〜C6のアルコキシ基を示
    す。)、 【化4】 (R9、R10は、それぞれ水素原子、C1〜C6のアル
    キル基、C2〜C4のアルケニル基、C1〜C6のアル
    キル基を有してもよいフェニル基、ハロゲン原子または
    C1〜C6のアルコキシ基を示す。)、又は 【化5】 【化6】 【化7】 【化8】 を示す。]
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のテトラカルボン酸
    誘導体と、該テトラカルボン酸誘導体と反応して塩また
    は分子化合物を形成する化合物とを成分化合物とするこ
    とを特徴とするゲル化剤。
  4. 【請求項4】 テトラカルボン酸誘導体と反応して塩ま
    たは分子化合物を形成する化合物が、長鎖アルキルアミ
    ン又は長鎖アルキルアミドから選ばれる群の1種又は2
    種以上の化合物であることを特徴とする請求項3記載の
    ゲル化剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載のゲル化剤
    を含有することを特徴とするゲル組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006206731A (ja) * 2005-01-28 2006-08-10 Nippon Soda Co Ltd エポキシ樹脂組成物
JP2013124252A (ja) * 2011-12-15 2013-06-24 Xerox Corp アルキル化芳香族酸を含む有機ゲル組成物

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