JP2001288155A - ジシアノグルタル酸ジエステルの製造方法 - Google Patents

ジシアノグルタル酸ジエステルの製造方法

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JP2001288155A JP2000108579A JP2000108579A JP2001288155A JP 2001288155 A JP2001288155 A JP 2001288155A JP 2000108579 A JP2000108579 A JP 2000108579A JP 2000108579 A JP2000108579 A JP 2000108579A JP 2001288155 A JP2001288155 A JP 2001288155A
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diester
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ethyl
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Taiji Ono
泰司 大野
Kenji Ishikawa
賢児 石川
Koji Kushibiki
浩二 櫛引
Yoshikazu Mori
義和 森
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】瞬間接着剤の主成分として広く用いられている
2−シアノアクリレートの原料として利用可能なジシア
ノグルタル酸ジエステルの新規な製造方法の提供。 【解決手段】シアノアセテートとホルムアルデヒドとの
縮合体を重合抑制剤の存在下で解重合し、得られる留分
を分縮してなるジシアノグルタル酸ジエステルの製造方
法において、前記解重合反応は、前記分縮により回収さ
れたジシアノグルタル酸ジエステルの少なくとも一部を
還流しつつ反応を行うものであることを特徴とするジシ
アノグルタル酸ジエステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、瞬間接着剤の主成
分として広く用いられている2−シアノアクリレートの
原料として利用可能なジシアノグルタル酸ジエステルの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2−シアノアクリレートは被着材表面近
傍に存在する微量の水分により速やかに重合を開始し、
各種の材質からなる被着材の殆ど全てを数秒から数分程
度の極めて短い時間に接着し、かつその接着力も強力な
ため、電機・電子、機械部品、精密機械、家庭用品およ
び医療等の広範囲な分野で瞬間接着剤の主成分として使
用されている。
【0003】2−シアノアクリレートの製造方法として
は、シアノアセテートとホルムアルデヒドとを原料とす
る方法(USP2721858:特公昭35-1030
9号)が工業的に有利な方法として、今日一般に広く採
用されている。当該製造方法は、次の3つの工程からな
っている。すなわち第1工程ではシアノアセテートとホ
ルムアルデヒドとをピペリジン等の塩基性触媒の存在下
に有機溶媒中で縮合させ、第2工程では第1工程で得ら
れた縮合体を重合抑制剤の存在下、五酸化二リン等の解
重合触媒の存在下に高温減圧条件で解重合し、第3工程
では解重合によって得られた粗製2−シアノアクリレー
トを蒸留して精製2−シアノアクリレートを得るという
ものである。
【0004】この製造方法において、ジシアノグルタル
酸ジエステルは主として第2工程の解重合過程で生成す
るもので、そのままでは最終的に第3工程の蒸留残渣と
なり、2−シアノアクリレートの収率を低減させる原因
となっていた。このため、当該ジシアノグルタル酸ジエ
ステルの再利用方法が検討されてきた。USP3254
111には、第3工程で蒸留を2段階で行い、第2留分
として得られたジシアノグルタル酸ジエステルを原料と
し、第1工程で縮合反応を行う方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、ジシアノグルタル酸ジエ
ステルを2段階の蒸留で回収するため、余分なエネルギ
ーを必要とし経済的ではなかった。また、特開昭59−
196853号には、第3工程で得られた蒸留残渣を、
第1工程の原料とする方法が開示されている。しかし、
この方法では密閉反応器を用い加圧下で縮合反応を行う
ため、特殊な反応器が必要であった。さらに、ジシアノ
グルタル酸ジエステルは第3工程を過ぎてから回収され
るため、蒸留のための余分なエネルギーを必要とし経済
的ではなかった。
【0005】ジシアノグルタル酸ジエステルを効率よく
回収する方法として、特開昭60−204752号に
は、第2工程でジシアノグルタル酸ジエステルを回収す
る方法が開示されている。即ち、重合抑制剤の存在下、
150〜320℃の温度、0.1〜150mbar
(0.01〜15kPa)の圧力のもとで、シアノアセ
テートとホルムアルデヒドとの縮合体を解重合し、生成
する解重合蒸気を120〜200℃の温度帯域を通過さ
せてジシアノグルタル酸ジエステルを主成分とする高沸
点留分を得ると共に、次に解重合蒸気を−30〜50℃
の温度帯域を通過させることにより2−シアノアクリレ
ートを得る方法である。
【0006】しかし、この方法では120〜200℃の
温度範囲であれば、高沸点留分を分離する温度帯域を低
くするほど、ジシアノグルタル酸ジエステルの収率を高
くすることができるものの、逆に精製2−シアノアクリ
レートの収率が低下してしまい、2−シアノアクリレー
トの収率を高位に維持しつつジシアノグルタル酸ジエス
テルの収率を上げることが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、2−
シアノアクリレートの製造工程において、2−シアノア
クリレートの原料として再利用可能なジシアノグルタル
酸ジエステルを、簡単な操作により、精製2−シアノア
クリレートの収率を損なうことなく製造する方法の提供
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、解重合反
応器より生成する留分から、2−シアノアクリレートの
沸点以上で凝縮するジシアノグルタル酸ジエステルを主
成分とする高沸点留分を分縮回収する過程を鋭意検討す
る中で、この分縮過程においても2−シアノアクリレー
トの重合が少なからず発現し、ジシアノグルタル酸ジエ
ステル中に含まれることを発見した。これは即ち、2−
シアノアクリレートの収率を低下させていることを意味
している。さらに、分縮回収された2−シアノアクリレ
ート重合物を含有するジシアノグルタル酸ジエステルの
解重合性を鋭意検討する中で、2−シアノアクリレート
重合物を含有するジシアノグルタル酸ジエステルには、
再度解重合可能な成分が少なからず残っていることを発
見し、この分縮された2−シアノアクリレート重合物を
含有するジシアノグルタル酸ジエステルを、解重合反応
器に還流しつつ解重合する操作を行い、当該操作を経た
後にジシアノグルタル酸ジエステルを回収することで、
2−シアノアクリレートおよびジシアノグルタル酸ジエ
ステル双方の収率を高め得ることを発見した。また、2
−シアノアクリレートとジシアノグルタル酸ジエステル
の分縮を一度に厳密に行う必要がなくなることから、公
知の分縮温度、例えば特開昭60−204752号記載
の120〜200℃においては言うまでもなく、これよ
り低い分縮温度においても、精製2−シアノアクリレー
トおよびジシアノグルタル酸ジエステル双方の収率の向
上が図れることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において2−シアノアクリレートを一般式
で示すと、式(1)のものである。ジシアノグルタル酸
ジエステルは、シアノアセテートとホルムアルデヒドと
の縮合体を解重合する過程において生成する2−シアノ
アクリレートの沸点以上で凝縮する高沸点留分の主成分
であり、式(2)で示されるものである。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】上記各式において、Rはハロゲン原子を有
していてもよい炭素数が1〜20の飽和または不飽和
の、直鎖型炭化水素基、分岐型鎖状炭化水素基または環
状炭化水素基、或いはハロゲン原子を有していてもよい
炭素数が1〜20のは芳香族炭化水素基である。ただ
し、Rがエーテル結合を含む場合には、エーテル結合さ
れている炭化水素残鎖の何れかまたは双方が、ハロゲン
原子を有していてもよい炭素数が5〜20の飽和または
不飽和の、直鎖型炭化水素基、分岐型鎖状炭化水素基ま
たは環状炭化水素基、或いはハロゲン原子を有していて
もよい炭素数が5〜20の芳香族基である。また式
(2)の2つのRは、同じでも違っていてもよい。
【0013】上記式で示される2−シアノアクリレート
の具体例としては、2−シアノアクリル酸のメチル、エ
チル、クロロエチル、n−プロピル、i−プロピル、ア
リル、プロパギル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペン
チル、n−ヘキシル、アミル、2−メチル−3−ブテニ
ル、3−メチル−3−ブテニル、2−ペンテニル、n−
ヘキシル、6−クロロヘキシル、シクロヘキシル、フェ
ニル、テトラヒドロフルフリル、2−ヘキセニル、4−
メチル−ペンテニル、3−メチル−2−シクロヘキセニ
ル、ノルボルニル、ヘプチル、シクロヘキサンメチル、
シクロヘプチル、1−メチル−シクロヘキシル、2−メ
チル−シクロヘキシル、3−メチル−シクロヘキシル、
2−エチルヘキシル、n−オクチル、シクロオクチル、
シクロペンタンメチル、2,3−ジメチルシクロヘキシ
ル、n−ノニル、イソノニル、オキソノニル、n−デシ
ル、イソデシル、n−ドデシル、2−エトキシエチル、
2−エトキシ−2−エトキシエチル、ブトキシ−エトキ
シ−エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ヘキサ
フルオロイソプロピル、ラウリル、イソトリデシル、ミ
リスチル、セチル、ステアリル、オレイル、ベヘニル、
ヘキシルデシル、オクチルドデシル、ベンジル、クロロ
フェニル、2−ペンチルオキシエチル、2−ヘキシルオ
キシエチル、2−シクロヘキシルオキシエチル、2−
(2−エチルヘキシルオキシ)エチルおよび2−フェノ
キシエチル等が挙げられ、これらはシアノアクリレート
系瞬間接着剤の主成分または副成分として用いられるも
のである。
【0014】シアノアセテートとホルムアルデヒドを原
料とするジシアノグルタル酸ジエステルの製造方法につ
いて、簡単に説明すると以下の通りである。
【0015】1.縮合工程 縮合工程とは、シアノアセテートとホルムアルデヒドと
を、塩基性触媒および溶媒の存在下、加熱して縮合して
縮合体を得る工程である。縮合工程で用いられるシアノ
アセテートは、最終的な製品となる2−シアノアクリレ
ートに対応するものであり、ホルムアルデヒドは、特に
限定されるものではないが、具体的な化合物としては、
ホルムアルデヒドガス、ホルマリン水溶液、ホルムアル
デヒドとアルコールの反応生成物、パラホルムアルデヒ
ドおよびトリオキサン等が挙げられ、これらは単独また
は混合して用いられ、とりわけパラホルムアルデヒドが
好適である。
【0016】縮合工程で用いられる触媒は、公知のピペ
リジン、モルホリン、キノリン、イソキノリン、エチル
アミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノー
ルアミン、ピリジン酢酸塩等の有機塩基性物質や、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等無機塩基
性物質が挙げられ、これらは単独または混合して用いら
れる。縮合工程で用いられる溶媒としては、トルエン、
キシレン、ベンゼン、トリクロロエチレン、シクロヘキ
サン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール、トリクレジルフォスフェート、ジオクチルフ
タレート、ジフェニルフェニルホスホネート等が挙げら
れ、これらは単独または混合して用いられる。
【0017】2.解重合工程 解重合工程は、縮合工程で得られた縮合体に解重合触媒
と重合抑制剤とを加え、減圧下高温で解重合し、ジシア
ノグルタル酸ジエステルおよび粗製2−シアノアクリレ
ートをガスとして取り出し、これを凝縮させてそれぞれ
回収する工程である。解重合工程で用いられる解重合触
媒としては、五酸化二リン、リン酸、ポリリン酸、パラ
トルエンスルホン酸等があり、とりわけ五酸化二リンが
反応性が良く好ましい。解重合工程で用いられる重合抑
制剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメ
チルエーテル、ピロガロール、ジ−t−ブチルフェノー
ル、t−ブチルピロカテコール等があり、とりわけハイ
ドロキノンが好ましい。また、解重合工程では、解重合
時の反応容器内の粘稠性を低下させるためにトリクレジ
ルホスフェート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフ
ェニルホスホネート等の高沸点溶媒を添加することもで
きる。
【0018】3.蒸留工程 粗製2−シアノアクリレートについては、その中に残存
する微量水分や不純物である重合物等を除去するための
蒸留操作を行う。なお、解重合反応で得られた粗製2−
シアノアクリレートをそのまま蒸留工程に導き、解重合
反応と同時に連続的に蒸留工程を行うことも可能であ
る。
【0019】本発明は、解重合反応において、解重合で
得られる留分から、2−シアノアクリレートの沸点以上
で凝縮するジシアノグルタル酸ジエステルを主成分とす
る高沸点留分を分縮し、次いで残りの留分を全縮するこ
とにより、粗製2−シアノアクリレートを回収する中
で、前記解重合反応は、前記回収されたジシアノグルタ
ル酸ジエステルの少なくとも一部を解重合反応に還流し
つつ反応を行うものであることを特徴とする。
【0020】具体的には、分縮器および全縮器を設置し
た反応器に、シアノアセテートとホルムアルデヒドとの
縮合体を入れ、減圧下に徐々に昇温していく。反応器内
部が解重合反応を開始する温度に達すると2−シアノア
クリレートのガスが出始め、反応器内部温度を前記反応
開始温度より高い温度に保ち解重合を続ける。解重合の
圧力は15kPa以下、温度は150〜320℃が好ま
しい。圧力が15kPaを超えると解重合温度を高くし
なければならず、結果として異常分解反応が起き易くな
り、また温度が150℃未満では、解重合反応が起こり
難く、320℃を超えると異常分解反応が起こり易くな
り何れも好ましくない。一方、分縮器および全縮器は解
重合により生じるガスを凝縮できる温度に保つ。この場
合、分縮器の温度は、分縮する圧力条件下において2−
シアノアクリレートの沸点より10℃高い温度を下限と
し110℃を上限とする温度範囲とすることが好まし
い。この下限より低いと、2−シアノアクリレートが捕
捉され易く、上限を超えると、目的とするジシアノグル
タル酸ジエステルが捕捉され難くなり共に好ましくな
い。全縮器の温度は前記分縮器の温度より低くするが、
−30〜50℃の範囲が好ましい。
【0021】解重合で留出するガス中のジシアノグルタ
ル酸ジエステルは、分縮器で凝縮し、その一部または全
部を、解重合反応器に還流する。2−シアノアクリレー
トおよびジシアノグルタル酸ジエステル双方の収率を上
げるためには全量を戻す方が好ましい。また、ジシアノ
グルタル酸ジエステルを一度溜めて解重合反応に戻すこ
とも可能だが、溜めている間に、ジシアノグルタル酸ジ
エステルと共存する2−シアノアクリレート重合物の重
合度が増加する恐れがあるので、ジシアノグルタル酸ジ
エステルは解重合反応器に還流しつつ解重合する方が好
ましい。一方、分縮器をガス状態で通過した粗製2−シ
アノアクリレートは、全縮器で凝縮し回収する。解重合
反応末期に、粗製2−シアノアクリレートの留出が減少
するか確認されなくなった時点で、ジシアノグルタル酸
ジエステルの解重合反応器への還流を止め、回収するこ
とが好ましい。
【0022】本発明では、ジシアノグルタル酸ジエステ
ルを2−シアノアクリレートの原料として再利用するた
め、解重合反応器より生成する留分から、2−シアノア
クリレートの沸点以上で凝縮するジシアノグルタル酸ジ
エステルを分縮する。しかし、分縮したジシアノグルタ
ル酸ジエステル中には、2−シアノアクリレートに再解
重合できる2−シアノアクリレート重合物が少なからず
存在している。よってこのジシアノグルタル酸ジエステ
ルを、解重合反応器に還流しつつ解重合した後に回収す
ることで、2−シアノアクリレートおよびジシアノグル
タル酸ジエステル双方の収率を共に向上させることがで
きるのである。さらに分縮温度を公知の温度、例えば特
開昭60−204752号記載の120〜200℃にお
いては勿論のこと、これより低い分縮温度である、その
圧力における2−シアノアクリレートの沸点より10℃
高い温度以上であれば、粗製2−シアノアクリレートお
よびジシアノグルタル酸ジエステル双方の収率の向上を
図ることができ、エネルギー的にも有利なものとなる。
【0023】
【実施例】以下、実施例および比較例により、さらに詳
しく本発明を説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。図1に示す反応装置は本発明によるシア
ノアセテートとホルムアルデヒドとの縮合体を解重合す
る際のジシアノグルタル酸ジエステルの分縮、回収を行
うために使用することができる。
【0024】実施例1 攪拌機を付属した400リットルの解重合反応器1にシ
アノ酢酸エチルとパラホルムアルデヒドの縮合体16
2.5kgを仕込み、五酸化二リン1.2kgとハイドロキ
ノン1.8kgを加えた。反応器を0.3〜0.8kPa
の減圧下に徐々に昇温していったところ、反応器内部が
150℃になった辺りから粗製エチル−2−シアノアク
リレートガスが出始め、内部温度を150〜200℃に
保ったまま解重合を続ける一方、分縮器2内を90〜1
10℃に保ち、全縮器4内を−30〜10℃に保つ。解
重合された粗製エチル−2−シアノアクリレートガス中
のエチルジシアノグルタル酸ジエステルは、分縮器で凝
縮されるが、ジシアノグルタル酸ジエステル回収受器6
には回収せず、解重合反応器還流管を通り、反応器に戻
す。一方、分縮器をガス状態で通過した粗製エチル−2
−シアノアクリレートは、全縮器で凝縮され、粗製2−
シアノアクリレート回収受器5に回収した。解重合反応
末期に、粗製エチル−2−シアノアクリレートの留出が
目視で確認されなくなった時点で解重合反応器への還流
を止め、エチルジシアノグルタル酸ジエステルをジシア
ノグルタル酸ジエステル回収受器に回収する。エチルジ
シアノグルタル酸ジエステルの留出が目視で確認されな
くなった時点で解重合を終了したが、この間13.8kg
のエチルジシアノグルタル酸ジエステルと130.8kg
の粗製エチル−2−シアノアクリレート(収率:80.
5%)を得ることができた。
【0025】この粗製エチル−2−シアノアクリレート
1kg当たり五酸化二リン1.3gとハイドロキノン5g
を加えて蒸留し、初留分を4%留去させた後、留分8
9.4%の精製エチル−2−シアノアクリレートを得る
ことができた(シアノ酢酸エチルとパラホルムアルデヒ
ドとの縮合体に対する精製エチル−2−シアノアクリレ
ートの収率:72.0%)。
【0026】比較例1 攪拌機を付属した400リットルの解重合反応器1に実
施例1と同じ縮合体162.5kgを仕込み、五酸化二リ
ン1.2kgとハイドロキノン1.8kgを加えた。反応器
を0.3〜0.8kPaの減圧下に徐々に昇温していっ
たところ、反応器内部が150℃になった辺りから粗製
エチル−2−シアノアクリレートガスが出始め、内部温
度を150〜200℃に保ったまま解重合を続ける一
方、分縮器2内を120〜140℃に保ち、全縮器4内
を−30〜10℃に保つ。解重合された粗製エチル−2
−シアノアクリレートガス中のエチルジシアノグルタル
酸ジエステルは、分縮器で凝縮され、ジシアノグルタル
酸ジエステル回収受器6に回収される。一方、分縮器を
ガス状態で通過した粗製エチル−2−シアノアクリレー
トは、全縮器で凝縮され、粗製2−シアノアクリレート
回収受器5に回収される。粗製エチル−2−シアノアク
リレートおよびエチルジシアノグルタル酸ジエステルの
留出が目視で確認されなくなった時点で解重合を終了し
たが、この間11.2kgのエチルジシアノグルタル酸ジ
エステルと133.6kgの粗製エチル−2−シアノアク
リレート(収率:82.2%)を得ることができた。
【0027】この粗製エチル−2−シアノアクリレート
1kg当たり五酸化二リン1.3gとハイドロキノン5g
を加えて蒸留し、初留分を4%留去させた後、留分8
3.3%の精製エチル−2−シアノアクリレートを得る
ことができた(シアノ酢酸エチルとパラホルムアルデヒ
ドとの縮合体に対する精製エチル−2−シアノアクリレ
ートの収率:68.5%)。
【0028】実施例2 攪拌機、コンデンサーおよびディーン−シュターク型水
分離器の付属した2リットルのガラス製反応器に、酢酸
エチル0.6リットル、シアノ酢酸エチル840g、パ
ラホルムアルデヒド240g、実施例1で得られたエチ
ルジシアノグルタル酸ジエステル100gおよびピペリ
ジン0.7ミリリットルを添加し、昇温して酢酸エチル
と水の共沸温度下で反応させた。留出分中の酢酸エチル
は、水分離器で水と分離した後、再び反応器中に戻し
た。理論量の水を除去した後、酢酸エチルを減圧下で留
去し、黄色の高粘性液体の重合物が得られた。この重合
物を解重合し、粗製2−シアノアクリレートを得、これ
を蒸留して精製エチル−2−シアノアクリレート757
gを得た。
【0029】比較例2 エチルジシアノグルタル酸ジエステル以外は、実施例2
と同量の原料を使用し、エチルジシアノグルタル酸ジエ
ステルを添加せずに同様の方法で縮合、解重合、蒸留を
行い、精製エチル−2−シアノアクリレート684gを
得た。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、2−シアノアクリレー
トの製造工程において、2−シアノアクリレートの原料
として再利用可能なジシアノグルタル酸ジエステルを、
簡単な操作により、精製2−シアノアクリレートの収率
を損なうことなく製造することが可能となり、非常に経
済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための解重合反応器およびそ
の周辺を示した工程図である。
【符号の説明】
1=解重合反応器 2=分縮器 3=ジシアノグルタル酸ジエステルの解重合反応器への
還流管 4=全縮器 5=粗製2−シアノアクリレート回収受器 6=ジシアノグルタル酸ジエステル回収受器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 義和 富山県高岡市伏木二丁目1番3号 東亞合 成株式会社高岡工場内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC91 AD11 BC10 BD40 BD52 BD84 QN30

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアノアセテートとホルムアルデヒドと
    の縮合体を重合抑制剤の存在下で解重合し、得られる留
    分を分縮してなるジシアノグルタル酸ジエステルの製造
    方法において、前記解重合反応は、前記分縮により回収
    されたジシアノグルタル酸ジエステルの少なくとも一部
    を還流しつつ反応を行うものであることを特徴とするジ
    シアノグルタル酸ジエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 分縮温度が、分縮する圧力条件下におい
    て、2−シアノアクリレートの沸点より10℃高い温度
    を下限とし、110℃を上限とする温度範囲であること
    を特徴とする請求項1のジシアノグルタル酸ジエステル
    の製造方法。
JP2000108579A 2000-04-10 2000-04-10 ジシアノグルタル酸ジエステルの製造方法 Pending JP2001288155A (ja)

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