JPH10182580A - 改質された2−シアノアクリレートの製造方法 - Google Patents

改質された2−シアノアクリレートの製造方法

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JPH10182580A
JPH10182580A JP30946697A JP30946697A JPH10182580A JP H10182580 A JPH10182580 A JP H10182580A JP 30946697 A JP30946697 A JP 30946697A JP 30946697 A JP30946697 A JP 30946697A JP H10182580 A JPH10182580 A JP H10182580A
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cyanoacrylate
water
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ppm
acidic
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JP30946697A
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Seitaro Tajima
誠太郎 田島
Shigeji Yamada
成志 山田
Shin Takahashi
伸 高橋
Mitsuyoshi Sato
三善 佐藤
Osahiro Nakagawa
修太 中川
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 瞬間接着剤の原料として優れる、接着速度の
改良された2−シアノアクリレート、特に高沸点の2−
シアノアクリレートの提供。 【解決手段】 シアノ酢酸を含む酸性不純物を含有する
2−シアノアクリレートを水洗して、該不純物を500
ppm以下にすることを特徴とする改質された2−シア
ノアクリレートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、瞬間接着剤の主成分と
して広く用いられている2−シアノアクリレートの改質
品に関するものであり、本発明は化学品および接着剤技
術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2−シアノアクリレートは被着材表面近
傍に存在する微量の水分により速やかに重合を開始し、
ポリエチレン、ポリプロピレン等の一部の不活性材料を
除く各種の材質からなる被着材の殆ど全てを数秒から数
分程度の極めて短い時間に接着しかつその接着力も強力
なため、電気、電子、機械部品、精密機械、家庭用品、
医療等の広範囲な分野で瞬間接着剤の主成分として使用
されている。
【0003】2−シアノアクリレートの製造方法として
は、これまで種々の方法が提案されており、例えばナト
リウムアルコラート、シアノアセテート等より2−シア
ノ−3−アルコキシプロピオネートを経由して製造する
方法(USP2467926)、およびシアノアセテー
トとホルムアルデヒドを原料とする方法(USP272
1858:特公昭35−10309)等が知られてお
り、この内シアノアセテートとホルムアルデヒドを原料
とする方法が工業的に有利な方法として、当該方法或い
はその改良方法が今日一般に広く採用されている。
【0004】シアノアセテートとホルムアルデヒドとを
原料とする方法は3つの工程からなっており、第1工程
ではシアノアセテートとホルムアルデヒドをピペリジン
等の塩基性触媒の存在下に有機溶媒中で縮合させ、第2
工程では、第1工程で得られる縮合物を五酸化二燐等の
酸性触媒の存在下に高温減圧条件で解重合し、第3工程
では解重合によって得られた粗製2−シアノアクリレー
トを蒸留して精製2−シアノアクリレートを得るという
ものである。
【0005】上記2−シアノアクリレートの製造方法に
関して、2−シアノアクリレートの精製品、特に高純度
の製品を得る為の提案も既にいろいろなされており、例
えば、150〜320℃/0.1〜150mbarで解
重合後、解重合蒸気を120〜200℃の帯域と−30
〜50℃の帯域を通過させて高純度とする方法(特開昭
60−204752)、蒸留を10段より多い分離段に
わたって減圧下に向流で行い、禁止剤を最上分離段にお
いて連続的に添加して、2−シアノアクリレートを分縮
器から数えて最上の8つの棚板の1つから取り出す方法
(特開平1−135754)、縮合工程においてホルム
アルデヒドに対するシアノアセテートのモル比を1〜
1.1に調整することと解重合を170℃以下で行うこ
とにより、最終製品である2−シアノアクリレートにシ
アノアセテートが含まれてこないようにして高純度にす
る方法(特開昭51−26813)、シアノアセテート
とホルムアルデヒドを縮合して得られる縮合体をアルカ
リ処理した後解重合する方法(特公平1−42258)
等がある。
【0006】上記のごとき方法は、下記の一般式で示さ
れる2−シアノアクリレートにおいて、Rが炭素数1〜
4の炭化水素基からなる低沸点の2−シアノアクリレー
トの精製においては効果があり、優れた接着剤の原料と
なる品質の優れた2−シアノアクリレートが得られるの
であるが、Rが5〜20の炭化水素基からなる高沸点の
2−シアノアクリレートでは、それらの方法で精製した
高沸点の2−シアノアクリレートを用いて接着剤を調製
しても、接着速度に優れる接着剤を得ることは困難であ
った。
【0007】
【化1】CH2 =C(CN)COOR
【0008】本発明者等は鋭意検討を行った結果、2−
シアノアクリレート中には、縮合工程で用いた溶媒や原
料の2−シアノアセテート、2−シアノアセテートが加
水分解して発生するアルコールのような中性不純物や、
シアノ酢酸やシアノアクリル酸を始めとする酸性不純物
が含まれており、これら不純物の中でも酸性不純物の存
在が、接着速度に悪影響を与えていることを見出した。
【0009】さらに、本発明者等はこのような酸性不純
物がどの程度含まれているかを評価する方法として酸分
測定法を開発し、逆にこれによって測定可能な物質を酸
性不純物として定義した。すなわち本発明の酸分測定法
とは、2−シアノアクリレート3gをアセトン90ml
に溶解し、良く撹拌しながら3mlの水と数滴のブロモ
フェノールを加え、1/1000規定水酸化ナトリウム
水溶液で滴定し、分子量85.06のシアノ酢酸に換算
して2−シアノアクリレート中の重量百分率で表現する
というものである。
【0010】上記測定法等を用いた結果、該酸性不純物
は、シアノ酢酸を主なる成分とするもので、通常の解重
合後の2−シアノアクリレート中には500〜5000
ppm存在していること、前述の高沸点の2−シアノア
クリレートではそれら酸性不純物と目的物である2−シ
アノアクリレートに沸点差が無く、蒸留による分離が極
めて困難であることを見出した。従って、高沸点の2−
シアノアクリレートの接着速度の改良のためにはそれら
の酸性不純物の悪影響を取り除く新たな方法が必要であ
り、品質の良好な改質された2−シアノアクリレートの
製造方法が強く望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
要望に応えるべく、瞬間接着剤の原料として優れる、接
着速度の改良された2−シアノアクリレート、特に高沸
点の2−シアノアクリレートを提供するという課題を解
決せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、2−シアノアクリ
レート系接着剤は微量の水分により速やかに重合を開始
するため水分からの隔離が常識であったのに対し、驚く
べきことに高沸点の2−シアノアクリレートは、通常の
水洗処理を行っても実質的に重合させること無く酸性不
純物を除去できることが可能であるという全く予期でき
ない事実を発見し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち本発明は、シアノ酢酸を含む酸性
不純物を含有する2−シアノアクリレートを水洗して該
不純物を500ppm以下にすることを特徴とする改質
された2−シアノアクリレートの製造方法に関するもの
であり、さらにはシアノアセテートとホルムアルデヒド
の縮合体を解重合して得られる、酸性不純物がシアノ酢
酸換算で500〜5000ppm含有する2−シアノア
クリレートを水洗することを特徴とする改質された2−
シアノアクリレートの製造方法に関するものである。
【0014】S.Douglasらのブチル−2−シア
ノアクリレートの水系分散重合における重合速度のpH
依存性の研究において、室温下pH0.5の塩酸水溶液
24.75mlに0.25mlのブチル−2−シアノア
クリレートを滴下し撹拌したが、2日後も重合が完了し
ていなかったことが観察されていることを見ても強酸性
下では2−シアノアクリレートは重合し難いことは明ら
かである(Journal ofColliod and Interface Science,
Vol.101, No.1, p149-158, 1984 )。これによると、
多量の酸が存在している系、例えば過剰の酸化剤による
酸化反応で得られた酸性不純物が数%〜数十%も含有す
る2−シアノアクリレートを水洗する場合には、重合は
ある程度防止できることが考えられる。これに対し本発
明は、例えばシアノアセテートとホルムアルデヒドの縮
合体を解重合して得られた、酸性不純物が5000pp
m未満の、言い替えるならば高純度の2−シアノアクリ
レートに対して中性または中性付近の水を接触させるも
のであり、同じ水洗という操作であっても上記酸性不純
物が数%も含有する2−シアノアクリレートの水洗とは
本質的に全く異なっているということが言える。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 ○2−シアノアクリレート 本発明に適用される2−シアノアクリレートとしては、
水分に起因する重合が比較的緩和なもの、具体的には高
沸点の2−シアノアクリレートが好ましいものとして例
示され、また当然のことに親水基を有し水溶性またはそ
の傾向を示すものへの適用は困難である。本発明に適用
される好ましい2−シアノアクリレートを一般式で示す
と以下のとおりのものである。
【0016】
【化2】CH2 =C(CN)COOR
【0017】上記式において、Rはハロゲン原子を有し
ていてもよい炭素数が5〜20の飽和または不飽和の、
直鎖型または分岐型鎖状炭化水素基、飽和または不飽和
の環状炭化水素基、芳香族基である。但し、Rがエーテ
ル基を含む場合には、エーテル基で結合されている残鎖
の何れかがハロゲン原子を有していてもよい炭素数が5
〜20の飽和または不飽和の、直鎖型または分岐型鎖状
炭化水素基、飽和または不飽和の環状炭化水素基、芳香
族基である。
【0018】上記式で示される2−シアノアクリレート
の具体例としては、n−ペンチル−2−シアノアクリレ
ート、アミル−2−シアノアクリレート、2−メチル−
3−ブテニル−2−シアノアクリレート、3−メチル−
3−ブテニル−2−シアノアクリレート、2−ペンテニ
ル−2−シアノアクリレート、n−ヘキシル−2−シア
ノアクリレート、6−クロロヘキシル−2−シアノアク
リレート、シクロヘキシル−2−シアノアクリレート、
2−ヘキセニル−2−シアノアクリレート、4−メチル
−ペンテニル−2−シアノアクリレート、3−メチル−
2−シクロヘキセニル−2−シアノアクリレート、ノル
ボルニル−2−シアノアクリレート、ヘプチル−2−シ
アノアクリレート、シクロヘキサンメチル−2−シアノ
アクリレート、シクロヘプチル−2−シアノアクリレー
ト、1−メチル−シクロヘキシル−2−シアノアクリレ
ート、2−メチル−シクロヘキシル−2−シアノアクリ
レート、3−メチル−シクロヘキシル−2−シアノアク
リレート、2−エチルヘキシル−2−シアノアクリレー
ト、n−オクチル−2−シアノアクリレート、シクロオ
クチル−2−シアノアクリレート、シクロペンタンメチ
ル−2−シアノアクリレート、2,3−ジメチルシクロ
ヘキシル−2−シアノアクリレート、n−ノニル−2−
シアノアクリレート、イソノニル−2−シアノアクリレ
ート、n−デシル−2−シアノアクリレート、イソデシ
ル−2−シアノアクリレート、n−ドデシル−2−シア
ノアクリレート、ラウリル−2−シアノアクリレート、
イソトリデシル−2−シアノアクリレート、ミリスチル
−2−シアノアクリレート、セチル−2−シアノアクリ
レート、ステアリル−2−シアノアクリレート、オレイ
ル−2−シアノアクリレート、ベヘニル−2−シアノア
クリレート、ヘキシルデシル−2−シアノアクリレー
ト、オクチルドデシル−2−シアノアクリレート、フェ
ニル−2−シアノアクリレート、ベンジル−2−シアノ
アクリレート、クロロフェニル−2−シアノアクリレー
ト、2−ペンチルオキシエチル−2−シアノアクリレー
ト、2−ヘキシルオキシエチル−2−シアノアクリレー
ト、2−シクロヘキシルオキシエチル−2−シアノアク
リレート、2−(2−エチルヘキシルオキシ)エチル−
2−シアノアクリレートおよび2−フェノキシエチル−
2−シアノアクリレート等が挙げられ、これらのいずれ
も2−シアノアクリレート系瞬間接着剤の主成分または
副成分として用いられるものである。
【0019】なお、先の一般式においてRが炭素数1〜
4の炭化水素基からなる低沸点の2−シアノアクリレー
トの場合は、水洗によらなくとも蒸留で酸性不純物を除
去できるし、水分に起因する重合反応の進行が速いので
本発明の方法の適応は好ましくないが、もし水洗をする
場合には後述のように有機溶剤を併用することにより水
洗条件を適宜選択することが好ましい。
【0020】○処理方法 以下に、上記の如き高沸点2−シアノアクリレートを水
洗することによって高品質の改質された2−シアノアク
リレートを製造する方法を説明する。 1.水洗工程 水洗は、通常の有機合成で行われるようないわゆる水洗
処理、すなわち油成分としての2−シアノアクリレート
への水の投入、撹拌および静置による油層と水層の分離
の操作がそのまま適用される。水洗処理は、2−シアノ
アクリレートの粗製品だけでなく、従来の方法で精製さ
れた2−シアノアクリレート精製品にも適用でき、さら
に長期間保管されていて一部変質し接着速度が低下して
しまった2−シアノアクリレートにも適用され、水洗に
より接着速度を高くあるいは元のレベルに戻すことがで
きる。
【0021】酸性不純物は、シアノ酢酸を主なる成分と
し、他にシアノアクリル酸等を含むものである。シアノ
アセテートとホルムアルデヒドを塩基性触媒の存在下有
機溶剤中で縮合させ、次いで酸性触媒の存在下に解重合
して得られた2−シアノアクリレートは、通常多量の酸
性不純物は存在せず、含有量はシアノ酢酸換算で500
から多くても5000ppmまでである。もし得られた
2−シアノアクリレートの酸性不純物の含有量が500
ppm以下であれば、接着速度に悪影響を与えることは
ないため水洗は不要で、一方5000ppmを超えるも
のは、水洗処理を複数回行わないと目標の500ppm
以下にはならず不経済であるばかりか、水洗処理の繰り
返しにより重合の可能性が大きくなり、本発明を適用す
るのは避けるべきである。本発明は、水洗により2−シ
アノアクリレート中の酸性不純物を500ppm以下と
するものである。500ppmを超えるものだと接着速
度が低くなる。より好ましくは200ppm以下とする
ものである。特に前述の一般式の炭素数Rが5〜20の
高沸点の2−シアノアクリレートの場合は、200pp
m以下としなければ接着速度が高くならず好ましくな
い。
【0022】水洗工程で用いられる水としては、弱酸性
〜弱アルカリ性が好ましく、2−シアノアクリレートを
不安定にするような水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
等の無機塩基性物質や、アミン等の有機塩基性物質や、
2−シアノアクリレートの加水分解を進行させるような
塩酸、硫酸等の強酸性物質が大量に混入しているものは
避ける必要がある。水洗工程で用いられるより好ましい
水は、弱酸性〜中性の水であり、特に好ましいものは中
性の水である。水洗における温度条件は、0℃以上50
℃以下が好ましく、5〜30℃が更に好ましい。
【0023】水洗に要する時間は、2−シアノアクリレ
ートの種類によって大きく異なり、一般的には30秒〜
1日程度であるが、30分〜8時間程度で処理するのが
好ましい。ここでいう水洗に要する時間とは、連続して
2−シアノアクリレートに水層が接触している時間のこ
とで、水洗作業を複数回繰り返した場合、その合計をい
う。この作業に要する時間が30秒以下であると十分に
改質することが困難で、1日以上であると2−シアノア
クリレートのかなりの部分が重合してしまい回収率が大
幅に低下してしまう。
【0024】水洗処理には1種または数種混合の有機溶
剤を使用できる。有機溶剤としては、水への相溶性が低
く、2−シアノアクリレートの重合を開始する塩基性官
能基を持たず、またそれ自体が酸性物質ではないものが
好ましく、具体的にはトルエン、キシレン、ベンゼン等
の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エ
ーテル等の脂肪族炭化水素、トリクロロエチレン、ジク
ロロエチレン、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭
素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、エチルエ
ーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン
系溶媒が挙げられ、特にトルエン、キシレンが好まし
い。有機溶剤は2−シアノアクリレートと水の比重差が
小さな場合に油層と水層の分離を良好にする目的の他
に、2−シアノアクリレートの重合を緩慢にする効果が
あり、有機溶剤との併用で2−シアノアクリレートの回
収率を向上させるという効果が奏される。なお、水層と
油層の分離を良好にする目的で、塩化ナトリウム等を水
層に溶解させる方法は2−シアノアクリレートの重合を
進めてしまい回収率を低下させるため本発明にとり好ま
しいものではない。水洗処理における水層と油層の割合
は、2−シアノアクリレートおよび有機溶剤の種類によ
って大きく異なるが、一般的には1:100〜100:
1であり、1:10〜10:1の範囲が本発明にとって
好ましく、1:3〜3:1がとりわけ好ましい。
【0025】2.乾燥工程 水洗された2−シアノアクリレートには、通常の有機合
成で使用される液体の乾燥方法を適用させることが好ま
しい。乾燥が行われなかったり、乾燥が不良であった場
合には、蒸留中に重合が進行して回収率が低下する。乾
燥の方法としては、蒸発による乾燥、共沸蒸留による乾
燥、凍結による乾燥、乾燥剤による乾燥等が適用され、
乾燥剤による乾燥が本発明にとり好ましい。乾燥剤とし
ては、2−シアノアクリレートの重合を開始するような
金属ナトリウムのような塩基性物質や、それ自体が強酸
性である五酸化二燐のようなものは使用してはならず、
弱酸性〜中性のもののみが使用でき、そのようなものと
して塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブ等が挙げら
れ、硫酸マグネシウムがとりわけ好ましい。乾燥剤を用
いた乾燥工程に要する時間は、使用する乾燥剤および乾
燥される2−シアノアクリレートと用いた有機溶剤の種
類によって大きく異なるが、一般的には1分〜1日が好
ましく、5分〜8時間で乾燥するのが好ましく、15分
〜1時間がより好ましい。ここでの乾燥工程に要する時
間とは、乾燥剤が2−シアノアクリレートまたは2−シ
アノアクリレートと有機溶剤の混合物に接触している時
間で、1分以下であると乾燥の効果が無く、引き続き行
われる蒸留工程で重合を起こす原因となり、1日以上で
あると2−シアノアクリレートのかなりの部分が重合し
てしまい回収率が大きく低下してしまう。
【0026】3.蒸留工程 乾燥後の2−シアノアクリレートに残存する微量水分を
分離したり、水洗工程で生成することがある重合物を除
去するために蒸留操作を行うことが好ましい。蒸留には
通常の2−シアノアクリレートの蒸留方法が適用でき、
有機溶剤を使用した場合にはこれらの有機溶剤を留去し
た後に、0.1〜10mmHgの減圧下に加熱して2−
シアノアクリレートを蒸留精製する。蒸留の際には、釜
側にある2−シアノアクリレートに、五酸化二燐、SO
2 やパラトルエンスルホン酸、BF3 、プロパンサルト
ン、メタンスルホン酸等のアニオン重合禁止剤を添加す
るのが好ましく、プロパンサルトンやパラトルエンスル
ホン酸はとりわけ好ましい。また、ハイドロキノンやハ
イドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール等のラ
ジカル重合禁止剤の添加も好ましいものである。
【0027】蒸留後の改質された2−シアノアクリレー
トを保存するために、2−シアノアクリレートのアニオ
ン重合禁止剤やラジカル重合禁止剤を配合すると良い。
使用可能なアニオン重合禁止剤の具体例は、特に限定さ
れないがSO2 、BF3 のごとき酸性ガス、メタンスル
ホン酸、ヒドロキシプロピルスルホン酸、パラトルエン
スルホン酸のごときスルホン酸化合物、三フッ化ホウ素
エチルエーテル、三フッ化ホウ素フェノール、三フッ化
ホウ素メタノール、三フッ化ホウ素n−ブチルエーテ
ル、酢酸三フッ化ホウ素のごときBF3 錯体、ポリ燐
酸、五酸化燐、アルキル燐酸エステルのごとき燐酸化合
物、ピロメリット酸、アコニット酸、シアノ酢酸、カプ
リン酸のごとき有機酸等があるが挙げられるが、S
2 、BF3 、BF3 錯体、メタンスルホン酸、パラト
ルエンスルホン酸がとりわけ好ましい。本発明に使用可
能なラジカル重合禁止剤の具体例は、特に限定されるも
のではないが、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメ
チルエーテル、ピロガロール、ジ−t−ブチルフェノー
ル、t−ブチルピロカテコール等があり、とりわけハイ
ドロキノンが好ましい。
【0028】本発明における水洗処理は、前記したよう
に、従来の方法で精製された2−シアノアクリレート精
製品にも精製されていない粗製品にも適用でき、さらに
長期間保管されていて一部変質し接着速度が低下してし
まった2−シアノアクリレートにも適用されるものであ
るが、より一般的には、前記したシアノアセテートとホ
ルムアルデヒドを原料として2−シアノアクリレートを
製造する一般的な製造方法の一工程として取り入れ、改
質された2−シアノアクリレートを得ることに非常に効
果的に利用される。シアノアセテートとホルムアルデヒ
ドを原料とする2−シアノアクリレートの製造方法につ
いてより詳細に説明すると以下の通りである。
【0029】1.縮合工程 縮合工程とは、シアノアセテートとホルムアルデヒド
を、塩基性触媒および溶媒の存在下加熱して縮合し縮合
体を得る工程である。縮合工程で用いられるシアノアセ
テートは、製品たる2−シアノアクリレートに対応する
ものであり、ホルムアルデヒドは、特に限定されるもの
ではないが、具体的な化合物としては、ホルムアルデヒ
ドガス、ホルマリン水溶液、ホルムアルデヒドとアルコ
ールの反応生成物、パラホルムアルデヒド、トリオキサ
ン等が挙げられ、これらは単独または混合して用いら
れ、とりわけパラホルムアルデヒドが好適である。
【0030】縮合工程で用いられる触媒は、公知のピペ
リジン、モルホリン、キノリン、イソキノリン、エチル
アミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノー
ルアミン、ピリジン酢酸塩等の有機塩基性物質や、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等無機塩基
性物質が挙げられ、これらは単独または混合して用いら
れ、とりわけピペリジンが好ましい。縮合工程で用いら
れる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ト
リクロロエチレン、シクロヘキサン、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、トリクレジルフォスフェー
ト、ジオクチルフタレート、ジフェニルフェニルホスホ
ネート等が挙げられ、これらは単独または混合して用い
られる。本発明の縮合工程で最終的に得られる縮合体
は、引き続いて行われる解重合工程で良好に2−シアノ
アクリレートに分解されるように、公知の適切な前処理
を施される。前処理として、例えば原料中に含まれてい
た水や縮合工程中に発生する水を、水と共沸混合物を作
る溶媒を用いた場合には共沸により除去し、そうでない
場合は留去される。また触媒は酸性物質を用いて失活さ
せたり、水洗除去したり、溶媒と共に除去したりする。
【0031】2.解重合工程 解重合工程にも従来公知の方法が適用できる。すなわ
ち、縮合工程で得られた縮合体に酸性物質とラジカル重
合禁止剤を加え、減圧下高温で解重合し粗モノマーを得
る方法である。解重合工程で用いられる酸性物質として
は、五酸化二燐、燐酸、ポリ燐酸、パラトルエンスルホ
ン酸等があり、とりわけ五酸化二燐が好ましい。解重合
工程で用いられるラジカル重合禁止剤としては、ハイド
ロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガ
ロール、ジ−t−ブチルフェノール、t−ブチルピロカ
テコール等があり、とりわけハイドロキノンが好まし
い。また、解重合工程では、解重合時の反応容器内の粘
稠性を低下させるためにトリクレジルホスフェート、ジ
オクチルフタレート、ジフェニルフェニルホスホネート
等の高沸点溶媒を公知の如く添加することもできる。
【0032】
【作用】本発明は、特に下記の一般式で表される2−シ
アノアクリレートの改質品を提供できるものであり、従
来公知の方法で得られた製品を原料とした場合に比べ接
着速度の速い瞬間接着剤の製造を可能とする。
【0033】
【化3】CH2 =C(CN)COOR
【0034】ここで、Rは炭素数が5〜20の飽和また
は不飽和の、直鎖型または分岐型鎖状炭化水素基、飽和
または不飽和の環状炭化水素基、芳香族基でありハロゲ
ン基で置換されていてもよい。但し、Rがエーテル基を
含む場合には、エーテル基で結合されている残鎖の何れ
かが炭素数が5〜20の飽和または不飽和の鎖状炭化水
素基、飽和または不飽和の環状炭化水素基、芳香族基で
ありハロゲン基で置換されていてもよい基である。本発
明は、上記の高沸点2−シアノアクリレートの品質改良
に特に適したものであり、水分に起因する重合反応の進
行が速い低級アルキル−2−シアノアクリレートで代表
される低沸点の2−シアノアクリレートについては、溶
剤を併用して、その種類と使用量を適切に選択すること
により、改質された低沸点2−シアノアクリレートを製
造することが可能である。
【0035】
【実施例】以下、実施例および比較例により、さらに詳
しく本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものでない。評価の方法は以下の通りにして行
った。 酸分測定方法:α−シアノアクリレート3gをアセト
ン90mlに溶解し、良く撹拌しながら3mlの水と数
滴のブロモフェノールを加え、1/1000規定水酸化
ナトリウム水溶液で滴定し、当量値で表した。 セットタイム測定方法: (天然ゴム)試験片をJIS−K−6850に準拠し
て、接着剤で張り合わせ、手で軽く試験片を長軸方向に
引張り、外れなくなるまでに要する時間をセットタイム
とした。 (硬質塩ビ)硬質塩ビをJIS−K−6850に準拠し
て、接着剤で張り合わせ、3kg以上の接着強さに達す
る時間をセットタイムとした。 2−シアノアクリレート純度測定 島津製作所製ガスクロマトグラフGC−9A、PEG2
0Mカラムを用いてガスクロにより分析した。
【0036】合成例1 撹拌機、コンデンサー、デーン−シュターク型水分離器
の付属した500mlのガラス製フラスコにトルエン1
00ml、パラホルムアルデヒド33.2g(1.05
モル)、シクロヘシキル−2−シアノアセテート167
g(1.0モル)およびピペリジン0.3mlを添加
し、昇温してトルエンと水の共沸温度下で反応させ、留
出分中のトルエンは水分離器で水と分離した後再び反応
器中に戻した。16時間反応させて理論脱水量の水を除
去した後室温に戻したところ褐色透明の粘稠な液体にな
った。5%燐酸水100mlを加えピペリジンを失活さ
せ、水層を除去した。トルエンを10mmHgの減圧下
で、50℃まで加熱して留去したところ、反応器内部は
褐色高粘性液体となった。この高粘性液体を50℃に加
熱しながら良く撹拌し、五酸化二燐3gとハイドロキノ
ン3gを加え、2〜3mmHgの減圧下に徐々に昇温し
ていったところ、反応器内部が150℃になった辺りか
らシクロヘキシル−2−シアノアクリレートが留出し始
めた。反応器内部が200℃になるまでに解重合を続け
た結果、104.5g(収率58.1%)のシクロヘキ
シル−2−シアノアクリレート粗製品を得た。この粗製
品に五酸化二燐0.2gとハイドロキノン1gを加えて
再蒸留して得た純度99.6%のシクロヘキシル−2−
シアノアクリレート精製品84.8g(全収率47.3
%)に、SO2 20ppmとハイドロキノン1000p
pmを加えた。
【0037】実施例1 合成例1で合成したシクロヘキシル−2−シアノアクリ
レート精製品50gとトルエン60gを、200ml三
角フラスコに入れ撹拌した。そこに25gの蒸留水を加
え約15分、室温(25℃)で撹拌した。次に分液漏斗
に移し水層を除いた。油層を三角フラスコに戻し、蒸留
水25gを加え約15分撹拌した後、分液漏斗に移し水
層を除いた。油層を三角フラスコに再び戻し蒸留水25
gを加え約15分撹拌した後、分液漏斗に移し水層を除
いた。このように3回水洗した油層に1gの硫酸マグネ
シウムを加え約15分撹拌し、濾紙を用いて硫酸マグネ
シウムを取り除いた。濾液を200mlのナスフラスコ
に入れ、トルエンを2mmHgの減圧下で留去した後、
約80℃まで加熱するとシクロヘキシル−2−シアノア
クリレートが留出し始めたので、受器を換え82−85
℃/2mmHgの留分を取ったところシクロヘキシル−
2−シアノアクリレート改質品36.2g(回収率7
2.4%)を得た。SO2 20ppmとハイドロキノン
1000ppmを加え、セットタイム測定、酸分測定お
よび純度測定を行った。その結果は表1に示した。
【0038】比較例1 合成例1で合成したシクロヘキシル−2−シアノアクリ
レート精製品を用いて、セットタイム測定、酸分測定お
よび純度測定を行った。その結果は表1に示した。
【0039】合成例2 合成例1と同様にアミル−2−シアノアクリレートを合
成し、102.33g(収率61.2%)のアミル−2
−シアノアクリレート粗製品を得た。この粗製品に五酸
化二燐0.2gとハイドロキノン1gを加えて再蒸留
し、純度99.7%のアミル−2−シアノアクリレート
精製品92.6g(全収率55.4%)に、SO2 20
ppmとハイドロキノン1000ppmを加えた。
【0040】実施例2 合成例2で合成したアミル−2−シアノアクリレート精
製品50gとキシレン100gを、300ml三角フラ
スコに入れ撹拌した。そこに100gの蒸留水を加え約
10分、室温(25℃)で撹拌した。次に分液漏斗に移
し水層を除いた。油層に硫酸マグネシウムを加え約10
分撹拌し、濾紙を用いて硫酸マグネシウムを取り除い
た。濾液を300mlのナスフラスコに入れ、トルエン
を2mmHgの減圧下で留去した後、約80℃まで加熱
するとアミル−2−シアノアクリレートが留出し始めた
ので、受器を換え82−85℃/2mmHgの留分を取
ったところアミル−2−シアノアクリレート改質品3
9.5g(回収率79.0%)を得た。SO2 20pp
mとハイドロキノン1000ppmを加え、セットタイ
ム測定、酸分測定および純度測定を行った。結果は表1
に示した。
【0041】比較例2 合成例2で合成したアミル−2−シアノアクリレート精
製品を用いて、セットタイム測定および酸分測定を行
い、その結果は表1に示した。
【0042】合成例3 解重合の温度範囲を150〜250℃で行ったことを除
けば合成例1と同様にして、2−エチルヘキシル−2−
シアノアクリレートを合成し、79.7g(収率38.
1%)の2−エチルヘキシル−2−シアノアクリレート
粗製品を得た。この粗製品に五酸化二燐0.2gとハイ
ドロキノン1gを加えて再蒸留し、純度99.6%の2
−エチルヘキシル−2−シアノアクリレート精製品6
8.4g(全収率32.7%)に、SO2 20ppmと
ハイドロキノン1000ppmを加えた。
【0043】実施例3 合成例3で合成した2−エチルヘキシル−2−シアノア
クリレート精製品50gを200ml三角フラスコに入
れ撹拌した。そこに100gの蒸留水を加え約30分、
室温(25℃)で撹拌した。次に分液漏斗に移し水層を
除いた。油層にモレキュラーシーブA4を10g加え約
8時間撹拌し、濾紙を用いてモレキュラーシーブを取り
除いた。濾液を200mlのナスフラスコに入れ、パラ
トルエンスルホン酸0.05gを添加して、2mmHg
の減圧下約90℃まで加熱すると2−エチルヘキシル−
2−シアノアクリレートが留出し始めたので、受器を換
え92−95℃/2mmHgの留分を取ったところ2−
エチルヘキシル−2−シアノアクリレート改質品32.
2g(回収率64.4%)を得た。SO2 20ppmと
ハイドロキノン1000ppmを加えた。セットタイム
を行い、その結果を表1に示した。
【0044】比較例3 合成例3で合成した2−エチルヘキシル−2−シアノア
クリレート精製品を用いて、セットタイム測定及び酸分
測定を行い、その結果は表1に示した。
【0045】合成例4 解重合の温度範囲を150〜250℃で行ったことを除
けば合成例1と同様にベンジル−2−シアノアクリレー
トを合成し、61.6g(収率32.9%)のベンジル
−2−シアノアクリレート粗製品を得た。この粗製品に
五酸化二燐0.2gとハイドロキノン1gを加えて再蒸
留し、純度99.8%のベンジル−2−シアノアクリレ
ート精製品53.5g(全収率28.6%)に、SO2
20ppmとハイドロキノン1000ppmを加えた。
【0046】実施例4 合成例4で合成したベンジル−2−シアノアクリレート
精製品50gとベンゼン50gを、1000ml三角フ
ラスコに入れ撹拌した。そこに500gの蒸留水を加え
約20分、室温(25℃)で撹拌した。次に分液漏斗に
移し水層を除いた。油層を三角フラスコに戻し、蒸留水
500gを加え約20分撹拌した後、分液漏斗に移し水
層を除いた。このように2回水洗した油層に2gの硫酸
マグネシウムを加え約15分撹拌し、濾紙を用いて硫酸
マグネシウムを取り除いた。濾液を200mlのナスフ
ラスコに入れ、ベンゼンを2mmHgの減圧下で留去し
た後、約110℃まで加熱するとベンジル−2−シアノ
アクリレートが留出し始めたので、受器を換え112−
130℃/2mmHgの留分を取ったところベンジル−
2−シアノアクリレート改質品42.8g(回収率8
5.6%)を得た。SO2 20ppmとハイドロキノン
1000ppmを加え、セットタイム測定および酸分測
定、純度測定を行い、表1に示した。
【0047】比較例4 合成例4で合成したベンジル−2−シアノアクリレート
精製品を用いて、セットタイム測定及び酸分測定を行
い、その結果は表1に示した。
【0048】合成例5 解重合の温度範囲を150〜300℃で行ったことと、
解重合時に100gのトリクレジルホスフェートを反応
器に共存させていたことを除けば合成例1と同様にオク
チルドデシル−2−シアノアクリレートを合成し、10
6.9g(収率28.3%)のオクチルドデシル−2−
シアノアクリレート粗製品を得た。この粗製品に五酸化
二燐0.2gとハイドロキノン1gを加えて再蒸留し、
純度98.6%のオクチルドデシル−2−シアノアクリ
レート精製品94.0g(全収率24.9%)に、SO
2 20ppmとハイドロキノン1000ppmを加え
た。
【0049】実施例5 合成例5で合成したオクチルドデシル−2−シアノアク
リレート精製品50gとトルエン10gを、1000m
l三角フラスコに入れ撹拌した。そこに500gの蒸留
水を加え約1時間、室温(25℃)で撹拌した。次に分
液漏斗に移し水層を除いた。油層に3gの硫酸マグネシ
ウムを加え約30分撹拌し、濾紙を用いてを取り除い
た。濾液を200mlのナスフラスコに入れ、トルエン
を2mmHgの減圧下で留去した後、約150℃まで加
熱するとオクチルドデシル−2−シアノアクリレートが
留出し始めたので、受器を換え152−180℃/2m
mHgの留分を取ったところオクチルドデシル−2−シ
アノアクリレート改質品38.7g(回収率77.4
%)を得た。SO2 20ppmとハイドロキノン100
0ppmを加え、セットタイム測定、酸分測定および純
度測定を行い、表1に示した。
【0050】比較例5 合成例5で合成したベンジル−2−シアノアクリレート
精製品を用いて、セットタイム測定および酸分測定を行
い、その結果は表1に示した。
【0051】合成例6 解重合の温度範囲を150〜300℃で行ったことと、
解重合時に100gのトリクレジルホスフェートを反応
器に共存させていたことを除けば合成例1と同様に2−
ヘキシルオキシエチル−2−シアノアクリレートを合成
し、63.8g(収率30.5%)の2−ヘキシルオキ
シエチル−2−シアノアクリレート粗製品を得た。この
粗製品に五酸化二燐0.2gとハイドロキノン1gを加
えて再蒸留し、純度99.3%の2−ヘキシルオキシエ
チル−2−シアノアクリレート精製品48.3g(全収
率23.1%)に、SO2 20ppmとハイドロキノン
1000ppmを加えた。
【0052】実施例6 合成例6で合成した2−ヘキシルオキシエチル−2−シ
アノアクリレート精製品40gとクロロホルム110g
を、500ml三角フラスコに入れ撹拌した。そこに2
0gの蒸留水を加え約10分、室温(25℃)で撹拌し
た。次に分液漏斗に移し水層を除いた。油層を三角フラ
スコに再び戻し 蒸留水20gを加え約10分撹拌した
後、分液漏斗に移し水層を除いた。このように2回水洗
した油層に1gの硫酸マグネシウムを加え約15分撹拌
し、濾紙を用いて硫酸マグネシウムを取り除いた。濾液
を200mlのナスフラスコに入れ、トルエンを2mm
Hgの減圧下で留去した後、約180℃まで加熱すると
2−ヘキシルオキシエチル−2−シアノアクリレートが
留出し始めたので、受器を換え182−250℃/2m
mHgの留分を取ったところ2−ヘキシルオキシエチル
−2−シアノアクリレート改質品21.4g(回収率5
3.5%)を得た。SOO2 20ppmとハイドロキノ
ン1000ppmを加え、セットタイム測定、酸分測定
および純度測定を行い、表1に示した。
【0053】比較例6 合成例6で合成した2−ヘキシルオキシエチル−2−シ
アノアクリレート精製品を用いて、セットタイム測定及
び酸分測定を行い、その結果は表1に示した。
【0054】実施例7 合成例1で合成したシクロヘキシル−2−シアノアクリ
レート粗製品50gを用いたことを除いて、実施例1と
同様に水洗処理を行い、改質品35.3g(回収率7
0.6%)を得た。SO2 20ppmとハイドロキノン
1000ppmを加え、セットタイム測定、酸分測定お
よび純度測定を行い、表1に示した。
【0055】実施例8 合成例1で合成したシクロヘキシル−2−シアノアクリ
レート精製品50gを水洗するにあたって、5℃の蒸留
水を用いたことを除いて、実施例1と同様に処理を行
い、改質品39.0g(回収率78%)を得た。SO2
20ppmとハイドロキノン1000ppmを加え、セ
ットタイム測定、酸分測定および純度測定を行い、表1
に示した。
【0056】実施例9 合成例1で合成したシクロヘキシル−2−シアノアクリ
レート精製品50gを水洗するにあたって、40℃の蒸
留水を用いたことを除いて、実施例1と同様に処理を行
い、改質品31.1g(回収率62.2%)を得た。S
2 20ppmとハイドロキノン1000ppmを加
え、セットタイム測定、酸分測定および純度測定を行
い、表1に示した。
【0057】実施例10 合成例1と同様に合成し、3年間通常の作業場で保管し
たシクロヘキシル−2−シアノアクリレート精製品(純
度94.5%)を用いたことを除いて、実施例1と同様
に処理を行い、改質品26.7g(回収率53.4%)
を得た。SO220ppmとハイドロキノン1000p
pmを加え、セットタイム測定、酸分測定および純度測
定を行い、表1に示した。
【0058】比較例7 実施例9に用いた、3年間通常の作業場で保管したシク
ロヘキシル−2−シアノアクリレート精製品のセットタ
イム測定および酸分測定を行い、その結果は表1に示し
た。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明は以上のように高沸点2−シアノ
アクリレートの製造において、簡単な操作で品質良好な
2−シアノアクリレートを得ることができ、その結果と
して接着速度の速い接着剤を提供できるため、各種産業
に与える効果大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 三善 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内 (72)発明者 中川 修太 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社名古屋総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアノ酢酸を含む酸性不純物を含有する
    2−シアノアクリレートを水洗して、該不純物を500
    ppm以下にすることを特徴とする改質された2−シア
    ノアクリレートの製造方法。
  2. 【請求項2】 シアノアセテートとホルムアルデヒドの
    縮合体を解重合して得られる、酸性不純物がシアノ酢酸
    換算で500〜5000ppm含有する2−シアノアク
    リレートを水洗することを特徴とする請求項1記載の改
    質された2−シアノアクリレートの製造方法。
  3. 【請求項3】 水洗を有機溶剤の共存下に行うことを特
    徴とする請求項1または2記載の改質された2−シアノ
    アクリレートの製造方法。
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