JP3804396B2 - 2−シアノアクリレートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、瞬間接着剤の主成分として広く用いられている2−シアノアクリレートの製造方法に関するものであり、特に製造工程中の解重合反応の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2−シアノアクリレートは被着材表面近傍に存在する微量の水分により速やかに重合を開始し、各種の材質からなる被着材の殆ど全てを数秒から数分程度の極めて短い時間に接着し、かつその接着力も強力なため、電気、電子、機械部品、精密機械、家庭用品および医療等の広範囲な分野で瞬間接着剤の主成分として使用されている。
【0003】
2−シアノアクリレートの製造方法としては、シアノアセテートとホルムアルデヒドとを原料とする方法(USP2721858:特公昭35-10309号)が工業的に有利な方法として、今日一般に広く採用されている。当該製造方法は、次の3つの工程からなっている。すなわち第1工程ではシアノアセテートとホルムアルデヒドとをピペリジン等の塩基性触媒の存在下に有機溶媒中で縮合させ、第2工程では第1工程で得られた縮合体を重合抑制剤の存在下、五酸化二リン等の解重合触媒の存在下に高温減圧条件で解重合し、第3工程では解重合によって得られた粗製2−シアノアクリレートを蒸留して精製2−シアノアクリレートを得るというものである。
【0004】
しかし、前記2-シアノアクリレートの製造方法を行うと、第2工程の解重合後期において2−シアノアクリレートと共に2,4−ジシアノグルタル酸ジエステル等の高沸点留分が多く留出する。このため、粗製2−シアノアクリレートの収率を高めようとすると、粗製2−シアノアクリレートの純度が低くなってしまう。さらにこれら高沸点留分は、特開昭60−204752号に記載されているように、2−シアノアクリレートの重合促進の作用があるため、粗製2−シアノアクリレートの純度をさらに低くしてしまう。また、第3工程において、精製2−シアノアクリレートの収率を維持するために粗製2−シアノアクリレートの蒸留収率を高めようとすると、純度が低い粗製2−シアノアクリレートほど沸点上昇が大きくなり、特に蒸留後期において2−シアノアクリレートと共に不純物が多く留出するため、結果として精製2−シアノアクリレートの品質も悪化させてしまうといった問題があった。
【0005】
これらの問題を解決する方法として、特開昭60−204752号には、重合抑制剤の存在下、150〜320℃の温度、0.1〜150mbar(0.01〜15kPa)の圧力の下で、シアノアセテートとホルムアルデヒドとの縮合体を解重合し、生成する解重合蒸気を、120〜200℃の温度帯域を通過させて高沸点留分を分離し、次に−30〜50℃の温度帯域を通過させることにより2−シアノアクリレートを高収率で得る方法が開示されている。
【0006】
しかし、この方法では120〜200℃の範囲内であれば、高沸点留分を分離する温度帯域を低くするほど、精製2−シアノアクリレートの純度を高くすることができるものの、反面2−シアノアクリレートの収率が低下してしまう。即ち、2−シアノアクリレートの収率を高位に維持しつつ純度を上げることが困難であった。また、この方法では2−シアノアクリレートの沸点以上120℃未満の温度帯域で凝縮する高沸点留分は、依然として粗製2−シアノアクリレート中に留出してしまうといった欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、2−シアノアクリレートの製造において、簡単な操作で高沸点留分を精度良く分縮除去でき、精製2−シアノアクリレートの収率を高位に維持できる方法の提供である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、解重合反応器より生成する留分から、2−シアノアクリレートの沸点以上で凝縮する高沸点留分を分縮除去する過程を鋭意検討したところ、高沸点留分の分縮過程においても、2−シアノアクリレートの重合が少なからず発現し、結果として精製2−シアノアクリレートの収率を低下させていることを発見した。
また、本発明者等は、分縮除去された2−シアノアクリレート重合物を含有する高沸点留分の解重合性を鋭意検討したところ、2−シアノアクリレート重合物を含有する高沸点留分には、2−シアノアクリレートに再解重合できる成分が少なからず残っていることを発見し、この分縮除去された2−シアノアクリレート重合物を含有する高沸点留分を解重合反応器に還流しつつ解重合することで2−シアノアクリレートの収率を上げることができることを発見した。さらに2−シアノアクリレートと高沸点留分との分離を一度に厳密に行う必要がなくなるため、公知の分縮温度、例えば特開昭60−204752号記載の120〜200℃においては言うまでもなく、これより低い分縮温度においても、2−シアノアクリレートの収率および純度の向上が図れることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に適用される2−シアノアクリレートを一般式で示すと以下の通りのものである。
【0010】
【化1】
【0011】
上記式において、Rはハロゲン原子を有していてもよい炭素数が1〜20の飽和または不飽和の、直鎖型炭化水素基、分岐型鎖状炭化水素基または環状炭化水素基、或いはハロゲン原子を有していてもよい炭素数が1〜20のは芳香族炭化水素基である。
ただし、Rがエーテル結合を含む場合には、エーテル結合されている炭化水素残鎖の何れかまたは双方が、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数が5〜20の飽和または不飽和の、直鎖型炭化水素基、分岐型鎖状炭化水素基または環状炭化水素基、或いはハロゲン原子を有していてもよい炭素数が5〜20の芳香族基である。
【0012】
上記式で示される2−シアノアクリレートの具体例としては、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、n−プロピル、i−プロピル、アリル、プロパギル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、アミル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、2−ペンテニル、n−ヘキシル、6−クロロヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロフルフリル、2−ヘキセニル、4−メチル−ペンテニル、3−メチル−2−シクロヘキセニル、ノルボルニル、ヘプチル、シクロヘキサンメチル、シクロヘプチル、1−メチル−シクロヘキシル、2−メチル−シクロヘキシル、3−メチル−シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、シクロオクチル、シクロペンタンメチル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、n−ノニル、イソノニル、オキソノニル、n−デシル、イソデシル、n−ドデシル、2−エトキシエチル、2−エトキシ−2−エトキシエチル、ブトキシ−エトキシ−エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ヘキサフルオロイソプロピル、ラウリル、イソトリデシル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オレイル、ベヘニル、ヘキシルデシル、オクチルドデシル、ベンジル、クロロフェニル、2−ペンチルオキシエチル、2−ヘキシルオキシエチル、2−シクロヘキシルオキシエチル、2−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルおよび2−フェノキシエチル等が挙げられ、これらはシアノアクリレート系瞬間接着剤の主成分または副成分として用いられるものである。
【0013】
シアノアセテートとホルムアルデヒドを原料とする2−シアノアクリレートの製造方法について、より詳細に説明すると以下の通りである。
【0014】
1.縮合工程
縮合工程とは、シアノアセテートとホルムアルデヒドとを、塩基性触媒および溶媒の存在下、加熱して縮合して縮合体を得る工程である。
縮合工程で用いられるシアノアセテートは、製品たる2−シアノアクリレートに対応するものであり、ホルムアルデヒドは、特に限定されるものではないが、具体的な化合物としては、ホルムアルデヒドガス、ホルマリン水溶液、ホルムアルデヒドとアルコールの反応生成物、パラホルムアルデヒドおよびトリオキサン等が挙げられ、これらは単独または混合して用いられ、とりわけパラホルムアルデヒドが好適である。
【0015】
縮合工程で用いられる触媒は、公知のピペリジン、モルホリン、キノリン、イソキノリン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ピリジン酢酸塩等の有機塩基性物質や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等無機塩基性物質が挙げられ、これらは単独または混合して用いられる。
縮合工程で用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、トリクロロエチレン、シクロヘキサン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トリクレジルフォスフェート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフェニルホスホネート等が挙げられ、これらは単独または混合して用いられる。本発明の縮合工程で最終的に得られる縮合体は、引き続いて行われる解重合工程で良好に2−シアノアクリレートに分解されるように、公知の適切な前処理を施される。前処理として、例えば原料中に含まれていた水や縮合工程中に発生する水を、水と共沸混合物を作る溶媒を用いた場合には共沸により除去し、そうでない場合は留去される。また触媒は酸性物質を用いて失活させたり、水洗除去したり、溶媒と共に除去したりする。
【0016】
2.解重合工程
解重合工程は、縮合工程で得られた縮合体に解重合触媒と重合抑制剤とを加え、減圧下高温で解重合し、粗製2−シアノアクリレートをガスとして取り出し、これを凝縮させる工程である。
解重合工程で用いられる解重合触媒としては、五酸化二リン、リン酸、ポリリン酸、パラトルエンスルホン酸等があり、とりわけ五酸化二リンが反応性が良く好ましい。
解重合工程で用いられる重合抑制剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、ジ−t−ブチルフェノール、t−ブチルピロカテコール等があり、とりわけハイドロキノンが好ましい。
また、解重合工程では、解重合時の反応容器内の粘稠性を低下させるためにトリクレジルホスフェート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフェニルホスホネート等の高沸点溶媒を添加することもできる。
【0017】
3.蒸留工程
続いて、粗製2−シアノアクリレート中に残存する微量水分や不純物である重合物等を除去するための蒸留操作を行う。
蒸留において有機溶剤を使用した場合には、これらの有機溶剤を留去した後に、好ましくは0.01〜1.33kPaの減圧下に加熱して粗製2−シアノアクリレートを蒸留精製する。
蒸留の際には、釜側にある粗製2−シアノアクリレートに、五酸化二リン、SO2やパラトルエンスルホン酸、BF3、プロパンサルトン、メタンスルホン酸等のアニオン重合禁止剤を添加するのが好ましい。
また、ハイドロキノンやハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール等のラジカル重合禁止剤の添加も好ましいものである。
なお、解重合反応で得られた粗製2−シアノアクリレートをそのまま蒸留工程に導き、解重合反応と同時に連続的に蒸留工程を行うことも可能である。
【0018】
蒸留後の精製された2−シアノアクリレートを保存するためには、2−シアノアクリレートのアニオン重合禁止剤やラジカル重合禁止剤を配合すると良い。
アニオン重合禁止剤の具体例としては、SO2、BF3のごとき酸性ガス、メタンスルホン酸、ヒドロキシプロピルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸のごときスルホン酸化合物、三フッ化ホウ素エチルエーテル、三フッ化ホウ素フェノール、三フッ化ホウ素メタノール、三フッ化ホウ素n−ブチルエーテル、酢酸三フッ化ホウ素のごときBF3錯体、ポリリン酸、五酸化二リン、アルキルリン酸エステルのごときリン酸化合物、ピロメリット酸、アコニット酸、シアノ酢酸、カプリン酸のごとき有機酸等が挙げられるが、SO2、BF3、BF3錯体、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸がとりわけ好ましい。
本発明に使用可能なラジカル重合禁止剤の具体例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、ジ−t−ブチルフェノール、t−ブチルピロカテコール等があり、とりわけハイドロキノンが好ましい。
【0019】
本発明は、前記解重合工程において、解重合で得られる留分から、2−シアノアクリレートの沸点以上で凝縮する高沸点留分を、解重合反応に戻して解重合することを特徴とする2−シアノアクリレートの製造方法である。
当該高沸点留分は、解重合留分から2−シアノアクリレート留分を分離して得ることができ、分離手段としては、分縮が好ましい。
【0020】
具体的には、分縮器および全縮器を設置した反応器に、シアノアセテートとホルムアルデヒドとの縮合体を入れ、減圧下に徐々に昇温していく。反応器内部が解重合反応を開始する温度に達すると2−シアノアクリレートのガスが出始め、反応器内部温度を前記反応開始温度より高い温度に保ち解重合を続ける。解重合の圧力は、15kPa以下、温度は150〜320℃が好ましい。圧力が15kPaを超えると解重合温度を高くする必要があり、その結果異常分解反応が起こり易くなり、また温度が150℃未満では、解重合反応が起こり難く、320℃を超えると異常分解反応が起こり易くなり何れも好ましくない。
一方、分縮器および全縮器は解重合により生じるガスを凝縮できる温度に保つ。この場合、分縮器の温度は、分縮する圧力条件下において2−シアノアクリレートの沸点より10℃高い温度を下限とし110℃を上限とする温度範囲とすることが好ましい。この下限より低い温度では2−シアノアクリレートが捕捉され易く、上限を超えた温度では高沸点留分が捕捉され難くなり共に好ましくない。全縮器の温度は前記分縮器の温度より低くするが、−30〜50℃の範囲が好ましい。
【0021】
解重合され、留出するガス中の高沸点留分は、分縮器で凝縮し、その一部または全部を、解重合反応器に戻す。2−シアノアクリレートの収率を上げるためには全量を戻す方が好ましい。
また、高沸点留分を一度溜めた後に、解重合反応に戻すこともできるが、溜めている間に高沸点留分中に存在する2−シアノアクリレート重合物の重合度が上昇する恐れがあるので、高沸点留分は解重合反応器に還流しつつ、解重合する方が好ましい。
一方、分縮器をガス状態で通過した粗製2−シアノアクリレートは、全縮器で凝縮し回収する。解重合反応末期に、粗製2−シアノアクリレートの留出が減少するか確認されなくなった時点で、高沸点留分の解重合反応器への還流を止め、回収することが好ましい。
【0022】
本発明では、粗製2−シアノアクリレートの純度を上げるため、解重合反応器より生成する留分から、2−シアノアクリレートの沸点以上で凝縮する高沸点留分を分縮除去する。しかし、分縮除去した高沸点留分中には、2−シアノアクリレート重合物等の2−シアノアクリレートに再解重合できる成分が少なからず残っており、よってこの高沸点留分を解重合反応器に還流しつつ解重合するものである。この場合、公知の分縮温度、例えば特開昭60−204752号に記載の120〜200℃においては言うまでもなく、これより低い分縮温度である、該圧力下における2−シアノアクリレートの沸点より10℃高い温度以上であれば、粗製2−シアノアクリレートの収率および純度を向上させることができる。
【0023】
なお、前記例はバッチ式の解重合反応について述べたものだが、連続式の解重合反応でも本発明を適用できるものである。
【0024】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、さらに詳しく本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本反応を説明するための解重合反応器およびその周辺を示した概略図である。
【0025】
実施例1
攪拌機を付属した400リットルの解重合反応器1にシアノ酢酸エチルとパラホルムアルデヒドの縮合体165kgを仕込み、五酸化二リン1.2kgとハイドロキノン1.8kgを加えた。
反応器を0.3〜0.8kPaの減圧下に徐々に昇温していったところ、反応器内部が150℃になった辺りから粗製エチル−2−シアノアクリレートガスが出始め、内部温度を150〜200℃に保ったまま解重合を続ける一方、分縮器2内を90〜110℃に保ち、全縮器4内を−30〜10℃に保った。解重合された粗製エチル−2−シアノアクリレートガス中の高沸点留分は、分縮器で凝縮されるが、高沸点留分回収受器6には回収せず、解重合反応器還流管を通り反応器に戻した。一方、分縮器をガス状態で通過した粗製エチル−2−シアノアクリレートは、全縮器で凝縮され、粗製2−シアノアクリレート回収受器5に回収した。
粗製エチル−2−シアノアクリレートの留出がなくなった時点で解重合を終了したが、この間130.0kgの粗製エチル−2−シアノアクリレートを得ることができた(収率:78.8%)。また、得られた粗製エチル−2−シアノアクリレートの純度は、94.5%であった。
【0026】
この粗製エチル−2−シアノアクリレート1kg当たり五酸化二リン1.3gとハイドロキノン5gを加えて蒸留し、初留分を4%留去させた後、留分90.5%の精製エチル−2−シアノアクリレートを得ることができた(シアノ酢酸エチルとパラホルムアルデヒドとの縮合体に対する精製エチル−2−シアノアクリレートの収率:71.3%)。
【0027】
比較例1
攪拌機を付属した400リットルの解重合反応器1に実施例1と同じ縮合体162.5kgを仕込み、五酸化二リン1.2kgとハイドロキノン1.8kgを加えた。
反応器を0.3〜0.8kPaの減圧下に徐々に昇温していったところ、反応器内部が150℃になった辺りから粗製エチル−2−シアノアクリレートガスが出始め、内部温度を150〜200℃に保ったまま解重合を続ける一方、分縮器2内を120〜140℃に保ち、全縮器4内を−30〜10℃に保った。解重合された粗製エチル−2−シアノアクリレートガス中の高沸点留分は、分縮器で凝縮され、高沸点留分回収受器6に回収される。一方、分縮器をガス状態で通過した粗製エチル−2−シアノアクリレートは、全縮器で凝縮され、粗製2−シアノアクリレート回収受器5に回収した。
粗製エチル−2−シアノアクリレートおよび高沸点留分の留出がなくなった時点で解重合を終了したが、この間133.6kgの粗製エチル−2−シアノアクリレートを得ることができた(収率:82.2%)。また、得られた粗製エチル−2−シアノアクリレートの純度は87.3%であった。
【0028】
この粗製エチル−2−シアノアクリレート1kg当たり五酸化二リン1.3gとハイドロキノン5gを加えて蒸留し、初留分を4%留去させた後、留分83.3%の精製エチル−2−シアノアクリレート蒸留品を得ることができた(シアノ酢酸エチルとパラホルムアルデヒドとの縮合体に対する精製エチル−2−シアノアクリレートの収率:68.5%)。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、2−シアノアクリレートの製造において、簡単な操作で高沸点留分を精度良く分縮除去できるため、精製2−シアノアクリレートの収率を高位に維持しつつ粗製2−シアノアクリレートの純度向上を図ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本反応を説明するための解重合反応器およびその周辺を示した工程図である。
【符号の説明】
1 解重合反応器
2 分縮器
3 高沸点留分の解重合反応器還流管
4 全縮器
5 粗製2−シアノアクリレート回収受器
6 高沸点留分回収受器
Claims (4)
- シアノアセテートとホルムアルデヒドとの縮合体を重合抑制剤の存在下で解重合するに当たり、解重合で得られる留分から、2−シアノアクリレートの沸点以上で凝縮する高沸点留分を解重合反応に戻して解重合することを特徴とする2−シアノアクリレートの製造方法。
- シアノアセテートとホルムアルデヒドとの縮合体を重合抑制剤の存在下で解重合するに当たり、解重合で得られる留分から、2−シアノアクリレートの沸点以上で凝縮する高沸点留分を分縮し、分縮した高沸点留分を解重合反応に戻して解重合することを特徴とする2−シアノアクリレートの製造方法。
- シアノアセテートとホルムアルデヒドとの縮合体を重合抑制剤の存在下で解重合するに当たり、解重合で得られる留分から、2−シアノアクリレートの沸点以上で凝縮する高沸点留分を分縮し、分縮した高沸点留分を解重合反応に還流しつつ解重合することを特徴とする2−シアノアクリレートの製造方法。
- 分縮温度が、分縮する圧力条件下において2−シアノアクリレートの沸点より10℃高い温度を下限とし、110℃を上限とする温度範囲であることを特徴とする請求項2または3の2−シアノアクリレートの製造方法。
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