JP2001286282A - 遺伝子導入のためのウイルスエンベロープベクター - Google Patents
遺伝子導入のためのウイルスエンベロープベクターInfo
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Abstract
定、かつ広範囲の生体内組織に遺伝子導入可能な、高遺
伝子導入活性を有する遺伝子導入ベクターが必要とされ
る。 【解決手段】 ウイルスエンベロープに対して、凍結融
解処理または界面活性剤との混合によって、外来遺伝子
を導入し、遺伝子導入ベクターを調製する。この遺伝子
導入ベクターを含む遺伝子治療のための薬学的組成物、
この遺伝子導入ベクターを含むキット、およびこの遺伝
子導入ベクターを用いた遺伝子導入方法もまた提供され
る。
Description
生体内での遺伝子導入のための安全かつ高効率のベクタ
ーに関する。特に、本発明は、ウイルス、不活性化ウイ
ルス、特に不活性化HVJ(センダイウイルス)を用い
て調製する遺伝子導入ベクターに関する。また、本明細
書の遺伝子導入ベクターは、遺伝子治療および高スルー
プットスクリーニングにも使用され得る。
の多くのウイルスおよび非ウイルス(合成)法が開発さ
れている(Mulligan、Science、26
0、926〜932(1993)およびLedley、
Human Gene Therapy、第6巻、11
29〜1144(1995))。一般に、細胞への遺伝
子送達のために、ウイルス法は、非ウイルス法より効果
的である。しかし、ウイルスベクターは、親ウイルスか
らの必須遺伝子要素の同時導入、ウイルス遺伝子のリー
キーな発現、免疫原性、および宿主ゲノム構造の改変の
ため安全性での問題を生じ得る。一般に、非ウイルスベ
クターは、細胞傷害性および免疫原性がより少ない。し
かし、大部分の非ウイルス法は、ウイルスベクターのい
くつかに比べ、特に生体内への遺伝子導入効率はより悪
い。
ーの両方は、制限とともに長所を持っている。それ故、
高効率および低毒性を持つ生体内への遺伝子導入ベクタ
ーを開発することで、1つのタイプのベクターシステム
の制限を、別のタイプのシステムの有利な点を導入する
ことにより補償すべきである。
タンパク質が大量に産生されるとCTLを誘導すること
が知られている(Cole、G.A.ら、J.Immu
nology 158、4301〜4309(199
7))。また宿主のタンパク質合成が阻害される懸念も
ある。
を遠心やカラム操作で融合タンパク質を精製して脂質膜
に再構成する方法で作成された粒子は、再構成させるこ
とによってウイルスの持つ他のタンパク質(主としてM
タンパク質)が失われることにより、融合活性に必要な
FlとHNタンパク質の比率が野生型のウイルスと同様
には保たれないために、融合活性が低くなるという欠点
もある。また再構成したときに融合タンパク質が脂質膜
に挿入される方向性が野生型ウイルスと同様であるとは
限らないために未知の抗原提示がなされる可能性もあ
る。
も報告されているが(Uchida,T.ら、J.Ce
ll.Biol.80、10〜20、1979)、この
方法では完成粒子の膜組成は本来のウイルス粒子とは大
きく異なるために本来のウイルス機能が喪失される危険
性は大きい。
うに遺伝子やタンパク質をリポソームに封入し、これと
不活性化HVJを融合して作成される融合粒子を用いる
方法は、培養細胞や生体組織への非侵襲の遺伝子導入を
可能とし、世界的にもこの手法が動物実験レベルでは頻
用されるようになった(Dzau,V.J.ら、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA、93、11
421〜11425(1996)およびKaneda,
Y.ら、Molecular Medicine To
day、5、298〜303(1999))。しかしウ
イルスとリポソームという2つの異なるベシクルを準備
する必要があり手法が複雑であること、リポソームと融
合することによってウイルス粒子より平均直径が1.3
倍大きくなった粒子は融合活性がウイルスの10%以下
に落ちてしまうことなどの欠点も合わせ持つことがわか
った。
は、遺伝子導入が不可能な組織や極めて効率の低い組織
も存在した。このことは、従来法に基づく遺伝子治療の
対象となる組織を限定し得ることを示す。
に、安全、高効率かつ簡便に調製でき、かつ広範囲の生
体内組織に対して遺伝子導入が可能なウイルスベクター
の開発が望まれている。
VJベクター法またはHVJ−リポソーム法の欠点を克
服し、広範囲の培養細胞や生体組織に対する、安全、高
効率かつ簡便なウイルスベースの遺伝子導入ベクターを
開発することにある。
いて、不活性化ウイルスを使用する安全かつ高効率な遺
伝子導入ベクターが提供される。ウイルスのゲノムが不
活性化されている不活性化ウイルスでは、ウイルスタン
パク質の複製がないため安全で細胞毒性・抗原性も低
い。不活性化ウイルスを用いる遺伝子導入ベクターであ
るウイルスエンベロープベクター中に遺伝子を封入する
ことにより、培養細胞や生体組織に対する、安全、高効
率かつ簡便な遺伝子導入ベクターが調製される。
生体内組織に遺伝子導入が可能であるウイルスエンベロ
ープベクターが提供される。1つの実施態様において、
使用されるウイルスは、HVJである。本発明のウイル
スエンベロープベクターによって生体内で遺伝子導入さ
れる組織としては、肝臓、骨格筋、子宮、脳、眼部、頚
動脈、皮膚、血管、肺、心臓、腎臓、脾臓、癌組織、神
経、Bリンパ球、および呼吸器官の組織が挙げられる
が、これらに限定されない。
便に遺伝子導入する方法が提供される。本発明のウイル
スエンベロープベクターを使用する、好ましい浮遊細胞
への遺伝子導入方法としては、浮遊細胞とウイルスエン
ベロープベクターとを硫酸プロタミン存在下で混合する
工程、およびその混合液に遠心力を加える工程を包含す
る、遺伝子導入方法が挙げられる。
伝子導入ベクターを用いて、大量の遺伝子を短時間で封
入することによる、高効率で迅速な培養細胞及び生体組
織への遺伝子導入が可能となる。従って、本発明のさら
なる局面において、本発明の遺伝子導入ベクターを用い
るゲノムの高スループットの大量迅速解析システムが可
能となる。
ベクターは、−20℃で凍結した状態で長期間(少なく
とも2〜3ヶ月以上)の保存が可能である。そしてこの
遺伝子導入ベクターは、例えば凍結状態で密封し、貯蔵
し、輸送することができる。
おいて好ましくは70%以上、より好ましくは80%以
上、さらにより好ましくは90%以上、最も好ましくは
95%以上の細胞に遺伝子導入活性を有する遺伝子導入
ベクターが提供される。
ルスの調製の2ヶ月後に遺伝子導入ベクターであるウイ
ルスエンベロープベクターを形成した場合に、60%以
上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以
上、最も好ましくは90%以上の遺伝子導入活性を保持
する遺伝子導入ベクターが提供される。
所投与において好ましくは30%以上、より好ましくは
40%以上、さらにより好ましくは50%以上、最も好
ましくは60%以上の組織中の細胞に対して遺伝子導入
活性を有する遺伝子導入ベクターが提供される。
エンベロープを含む遺伝子導入ベクターが提供される。
ベクターの調製のために使用されるウイルスは、野生型
ウイルスであっても、組換え型ウイルスであってもよ
い。
るウイルスは、レトロウイルス科、トガウイルス科、コ
ロナウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイル
ス科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラ
ブドウイルス科、ポックスウイルス科、ヘルペスウイル
ス科、バキュロウイルス科、およびヘパドナウイルス科
からなる群から選択される科に属するウイルスである。
また、本発明の特定の局面において、使用されるウイル
スは、HVJである。また、本発明のさらなる局面にお
いて、Hasan,M.K.ら(Journal of
General Virology,78、2813
〜2820(1997))またはYonemitsu,
Y.ら(Nature Biotechnology
18、970〜973(2000))に記載される組換
え型センダイウイルスを用いて、遺伝子導入ベクターが
調製される。
組織に遺伝子導入するための遺伝子導入ベクターが提供
される。
法において、ウイルスを不活性化する工程は必ずしも必
要ではない。従って、本発明の1つの局面において、ウ
イルスを不活性化する工程を行わずに、 1)ウイルスを外来遺伝子と混合する工程、および 2)この混合液を凍結融解するか、もしくはこの混合液
を、さらに界面活性剤と混合する工程、を包含する方法
によって遺伝子導入ベクターを作成し得る。
ための不活性化ウイルスエンベロープベクターの調製方
法であって、以下;ウイルスを不活性化する工程、不活
性化ウイルスを外来遺伝子と混合する工程、および混合
液を凍結融解する工程、を包含する、方法が提供され
る。
入のための不活性化ウイルスエンベロープベクターの調
製方法であって、以下;ウイルスを不活性化する工程、
および不活性化ウイルスを界面活性剤の存在下で外来遺
伝子と混合する工程、を包含する、方法が提供される。
る界面活性剤は、オクチルグルコシド、Triton−
X100、CHAPSおよびNP−40からなる群から
選択される。
イルスエンベロープとの混合前に、硫酸プロタミンを外
来遺伝子に添加する工程をさらに包含する、不活性化ウ
イルスエンベロープベクターの調製方法が提供される。
た動物組織に遺伝子を導入する方法であって、以下;所
望の遺伝子を含有する遺伝子導入ベクターを調製する工
程、遺伝子導入ベクターによって、該動物組織に遺伝子
を導入する工程、を包含する、方法が提供される。
来遺伝子を導入する方法が提供され、この方法は、以
下:浮遊細胞と遺伝子導入ベクターとを、硫酸プロタミ
ン存在下で混合する工程、混合液を遠心する工程を包含
する。
の遺伝子導入ベクターを含有する、遺伝子治療のための
薬学的組成物が提供される。
合、「遺伝子導入」とは、生体内またはインビトロにお
いて、標的細胞内に、天然、合成または組換えの所望の
遺伝子または遺伝子断片を、導入された遺伝子がその機
能を維持するように、導入することをいう。本発明にお
いて導入される遺伝子または遺伝子断片は、特定の配列
を有するDNA、RNAまたはこれらの合成アナログで
ある核酸を包含する。また、本明細書において使用され
る場合、遺伝子導入、トランスフェクション、およびト
ランスフェクトは、互換可能に使用される。
ベクター」、「遺伝子ベクター」または「ウイルスエン
ベロープベクター」とは、ウイルスエンベロープ中に外
来遺伝子を封入したベクターをいう。遺伝子導入ベクタ
ーの調製のために使用されるウイルスとしては、野生型
ウイルスであっても、組換え型ウイルスであってもよ
い。
ウイルスは、レトロウイルス科、トガウイルス科、コロ
ナウイルス科、フラビウイルス科、パラミクソウイルス
科、オルトミクソウイルス科、ブニヤウイルス科、ラブ
ドウイルス科、ポックスウイルス科、ヘルペスウイルス
科、バキュロウイルス科、およびヘパドナウイルス科か
らなる群から選択される科に属するウイルスである。ま
た、本発明の特定の局面において、使用されるウイルス
は、HVJである。
活性」とは、ベクターによる「遺伝子導入」の活性をい
い、導入された遺伝子の機能(例えば、発現ベクターの
場合、コードされるタンパク質の発現および/またはそ
のタンパク質の活性など)を指標として検出され得る。
とは、ゲノムを不活性化したウイルスをいう。この不活
性化ウイルスは、複製欠損である。好ましくは、この不
活性化は、UV処理またはアルキル化剤による処理によ
って、なされる。
子」とは、遺伝子導入ベクター内に含まれる、ウイルス
以外の起源の核酸配列をいう。本発明の1つの局面にお
いて、この外来遺伝子は、遺伝子導入ベクターによって
導入された遺伝子が発現するために適切な調節配列(例
えば、転写に必要なプロモーター、エンハンサー、ター
ミネーター、およびポリA付加シグナル、ならびに翻訳
に必要なリボゾーム結合部位、開始コドン、終止コドン
など)と作動可能に連結される。本発明の別の局面にお
いて、外来遺伝子は、この外来遺伝子の発現のための調
節配列を含まない。本発明のさらなる局面において、外
来遺伝子は、オリゴヌクレオチドまたはデコイ核酸であ
る。
子は、代表的にはDNAまたはRNAの核酸分子である
が、導入される核酸分子は、核酸アナログ分子を含んで
もよい。遺伝子導入ベクター内に含まれる分子種は、単
一の遺伝子分子種であっても、複数の異なる遺伝子分子
種であってもよい。
ブラリー」とは、天然より単離された核酸配列または合
成の核酸配列を含む、核酸ライブラリーである。天然よ
り単離された核酸配列の供給源としては、真核生物細
胞、原核生物細胞、またはウイルス由来の、ゲノム配
列、cDNA配列が挙げられるが、これらに限定されな
い。天然より単離された配列に、任意の配列(例えば、
シグナル、タグなど)を付加したライブラリーもまた、
本発明の遺伝子ライブラリーに含まれる。1つの実施態
様において、遺伝子ライブラリーは、その中に含まれる
核酸配列の、転写および/または翻訳をもたらすプロモ
ーターなどの配列を含む。
ンダイウイルス」は、互換可能に用いられ得る。
トリ赤血球0.5%を凝集可能なウイルスの活性をい
い、1 HAUは、ほぼ2400万ウイルス粒子に相当
する(Okada,Y.ら、Biken Journa
l 4、209〜213、1961)。
発明の遺伝子導入ベクターを用いて局所的にまたは全身
的にのいずれかで投与され得る。そのような核酸構築物
がタンパク質のコード配列を包含する場合、そのタンパ
ク質の発現は、内因性の哺乳類のプロモーターまたは異
種のプロモーターの使用により誘導され得る。コード配
列の発現は、構成的であり得るか、または調節され得
る。
のための組成物として使用する場合、本発明のベクター
の投与は、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)または生
理食塩水などに懸濁したベクター懸濁液の局所(例え
ば、癌組織内、肝臓内、筋肉内および脳内など)への直
接注入か、または血管内(例えば、動脈内、静脈内およ
び門脈内)への投与によりなされる。
ターは、一般には、この遺伝子導入ベクターを単位用量
注入可能な形態(溶液、懸濁液または乳濁液)で、薬学
的に受容可能なキャリア(すなわち、使用された投薬量
および濃度においてレシピエントに対して非毒性であ
り、そして処方物の他の成分と適合性であるもの)とを
混合することによって処方され得る。例えば、処方物
は、好ましくは、酸化剤および遺伝子導入ベクターにと
って有害であることが公知である他の化合物を含まな
い。
増強する物質のような微量の添加物を適宜含む。このよ
うな物質は、使用された投薬量および濃度においてレシ
ピエントに対して非毒性であり、そしてリン酸、クエン
酸、コハク酸、酢酸、および他の有機酸またはそれらの
塩のような緩衝剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤;
低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド(例えば、
ポリアルギニンまたはトリペプチド);タンパク質(例
えば、血清アルブミン、ゼラチン、またはイムノグロブ
リン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリド
ン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン酸、ア
スパラギン酸、またはアルギニン);単糖、二糖および
他の炭水化物(セルロースまたはその誘導体、グルコー
ス、マンノース、またはデキストリンを含む);キレー
ト剤(例えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マ
ンニトールまたはソルビトール);対イオン(例えば、
ナトリウム);および/または非イオン性界面活性剤
(例えば、ポリソルベート、ポロキサマー)、またはP
EGを含み得る。
は、代表的には、単位または多用量容器、例えば、密封
アンプルまたはバイアルにおいて、水溶液として貯蔵さ
れ得る。
以上の成分を満たした1以上の容器を含む薬学的パック
またはキットを提供する。さらに、本発明のポリペプチ
ドは、他の治療化合物とともに使用され得る。
組成物は医療実施基準(goodmedical pr
actice)に一致した様式で、個々の患者の臨床状
態(例えば、予防または処置されるべき状態)、遺伝子
導入ベクターを含む組成物の送達部位、標的組織、投与
方法、投与計画および当業者に公知の他の因子を考慮し
つつ処方され、そして投与される。従って、本明細書の
遺伝子導入ベクターの「有効量」または適切な投与量
は、このような考慮事項によって決定される。
を投与する場合、マウス一匹あたり、20〜20,00
0HAU相当の、好ましくは60〜6,000HAU相
当の、より好ましくは200〜2,000HAU相当の
遺伝子ベクターが投与される。投与される遺伝子ベクタ
ー中に含有される外来遺伝子の量は、マウス一匹あた
り、0.1〜100μg、好ましくは0.3〜30μ
g、より好ましくは1〜10μgである。
与する場合、被験体あたり、400〜400,000H
AU相当の、好ましくは1,200〜120,000H
AU相当の、より好ましくは4,000〜40,000
HAU相当の遺伝子ベクターが投与される。投与される
遺伝子ベクター中に含有される外来遺伝子の量は、被験
体あたり、2〜2,000μg、好ましくは6〜600
μg、より好ましくは20〜200μgである。
限定しないことが意図される。
ーの調製およびその使用) (実施例1:凍結融解によるHVJエンベロープベクタ
ーの調製)外来遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を用
い、組換えHVJウイルスを様々な回数で凍結融解した
後、培養細胞に遺伝子導入した。
ラーゼ発現ベクターpcOriPLuc(Saekiお
よびKanedaら、Human Gene Ther
apy、11、471〜479(2000))と様々な
濃度のHVJウイルスを混合した。HVJウイルス濃度
は、10、25、50、100HAU/μlに調製し
た。この溶液を12分割し、それぞれをドライアイスに
よって4℃に保存して凍結させた後、融解することを最
大30回まで繰り返した。所定回数の凍結融解を終えた
溶液を、BHK−21細胞(24ウェルディッシュ、4
×104細胞/ディッシュ、0.5ml DMEM,1
0%FCS)の培地に添加し、37℃、5%CO2にて
20分間反応後、PBSにより洗浄し、新たに培養液を
0.5ml加えて24時間培養した。
re Lysis Reagent(Promega
社)500μlを細胞上に加えて細胞を溶解した後、マ
イクロチューブに移して遠心し、得られた上清20μl
から、Promega Luciferase Ass
ay SystemとLumat LB9501 Lu
minophotometerを用いてルシフェラーゼ
活性を測定した。測定は各溶液について3回行い、平均
値を求めた。
HVJウイルスの凍結融解の回数が増加するに従ってル
シフェラーゼ活性が上昇し、3回の凍結融解に比べ20
回の凍結融解では10倍以上のルシフェラーゼ発現が観
察された。この結果から、この実施例に用いた条件で
は、組換えHVJウイルスの凍結融解の回数は好ましく
は5回以上、さらに好ましくは15〜20回程度である
ことが確認された。
VJエンベロープベクターの遺伝子導入効率)実施例1
と同様の組換えHVJウイルスを30回凍結融解した
後、宿主細胞に添加するウイルス数を同一条件として、
細胞への遺伝子導入効率を調べた。
2において、例えばX軸が500HAUの場合では、ウ
イルス濃度10HAU/μlの溶液の添加量は50μl
であり、100HAU/μlの溶液は5μlとなる。こ
の図2に示したとおり、ウイルス濃度が100HAU/
μlの溶液は10〜50HAU/μl濃度の場合に比較
して遺伝子発現の効率が約50%低下した。この結果か
ら、この実施例の条件では、組換えウイルス濃度はl0
〜50HAU/μlの範囲とすることが好ましいことが
確認された。
融解した後、30回目の凍結を行い、その凍結状態で1
週間保存した後、融解して細胞に添加した。その結果、
この1週間冷凍保存した組換えHVJウイルスも、30
回の凍結融解を連続で行ったウイルスと同程度のルシフ
ェラーゼ遺伝子発現を示した。
を用いる遺伝子導入効率の測定)ルシフェラーゼ発現ベ
クターの量を様々に変えてHVJエンベロープベクター
を調製し、宿主細胞への遺伝子導入効率を調べた。
0HAUとした。ルシフェラーゼ発現ベクターpcOr
iPLucの量は、1μlのTE当たり0.05、0.
1、0.25、0.5、1.0、1.5、2.0、3.
0、5.5μgとした。最終溶液量を100μlとして
20回の凍結融解を行った後、実施例1と同一の方法に
よりルシフェラーゼ活性を測定した。
伝子である発現ベクターpcOriPLuc(約9.5
kb)の添加量が1.5μgまでは量依存的に発現量が
増加し、これ以降は発現量にはほとんど変化はなかっ
た。以上の結果から、この実施例で用いた条件では、
1.5μg/μl以上の外来遺伝子DNAを遺伝子導入
に用いることが好ましいことが確認された。
液の種類の影響)HVJエンベロープベクター調製に用
いる緩衝液の種類を変えて、宿主細胞への遺伝子導入効
率を調べた。
0HAU、ルシフェラーゼ発現ベクターpcOriPL
uc量は15μg/μlとした。緩衝液はTE、PB
S、BSS(137mM NaCl、5.4mM KC
l、10mM Tris−HCl、pH7.5)、並び
にこれらの緩衝液に最終濃度0mM、20mM、40m
M、60mMのショ糖を添加したものを使用した。最終
溶液量を100μlとして20回の凍結融解を行った
後、実施例1と同一の方法によりルシフェラーゼ活性を
測定した。
施例で用いた条件では、組換えHVJウイルスの調製の
ための緩衝液としてはTE単独が好ましいことが確認さ
れた。
l Viral Envelop)型のベクターと本願
発明のHVJエンベロープベクターとの比較)従来の遺
伝子導入ベクターである不活性化HVJ−リポソーム
(最も遺伝子導入効率の優れたAVE型(Saeki,
Y.ら、Human Gene Therapy、8、
2133〜2141(1997))を用いた遺伝子導入
と、この発明の方法とを比較した。
量はTE 1μl当たり50HAU、ルシフェラーゼ発
現ベクターpcOriPLucの量は1.5μg/μl
とした。また、組換えHVJウイルスの凍結融解の回数
は2回または15回とした。その他の条件は、宿主細胞
をヒト胎児腎細胞株HEK293とした以外は実施例1
と同様とした。
エンベロープベクターの凍結融解を15回繰り返すこの
発明の方法は、遺伝子導入効率においてHVJ一リポソ
ームを用いた従来方法よりはるかに優れていることが確
認された。
入効率)FITC(イソチオシアン酸フルオレッセイ
ン)で蛍光標識した合成オリゴヌクレオチド(20b
p)を1mg/m1の濃度で不活性化HVJウイルスと
混合し、この溶液を20回凍結融解した後、BHK−2
1細胞と20分間反応させた。17時間後に蛍光シグナ
ルを観察した結果、ほぼ100%の細胞の核内に蛍光の
集積が認められた。この結果から、この発明の方法は、
合成核酸の細胞内導入にも有効であることが確認され
た。
FP(グリーン蛍光タンパク質)遺伝子と不活性化HV
Jウイルスの混合溶液を20回凍結融解した後、2ng
−5μ1をラット大脳に注入した。その結果、注入部位
に蛍光シグナルが観察された。また、GFP遺伝子によ
るHVJエンベロープベクターを凍結して3ヶ月保存し
た後、ラット大脳に注入したが、同じく注入部位にGF
P遺伝子発現による蛍光シグナルが観察された。
内においても確実に遺伝子導入が可能であることが確認
された。また、HVJエンベロープベクターの凍結保存
が可能であることも確認された。
クターの調製およびその使用) (実施例8:界面活性剤を用いる不活性化HVJエンベ
ロープベクターの調製)界面活性剤を用いる不活性化H
VJエンベロープベクターの調製方法の概略を図6に示
す。
への種ウイルスの接種により増殖されたものが一般に使
用され得るが、サル、ヒトなどの培養細胞、培養組織へ
のウイルスの持続感染系(トリプシンなどの加水分解酵
素を培養液中に添加)を利用して増殖させたもの、クロ
ーニングされたウイルスゲノムを培養細胞に感染させ持
続感染をおこさせて増殖させたもの、全てが利用可能で
ある。
ようにおこなった。
ific pathogen free)の受精卵を使
って増殖させ分離・精製したHVJ(Z種)を細胞保存
用チューブに分注し、10% DMSOを加えて液体窒
素中に保存し、調製した。
ベーター(SHOWA−FURANKI P−03型;
約300鶏卵収容)にいれ、36.5℃,湿度40%以
上の条件で10〜14日飼育した。暗室中で、検卵器
(電球の光が口径約1.5cmの窓を通して出るように
なっているもの)を用いて、胚の生存及び気室と漿尿膜
を確認し、漿尿膜の約5mm上方に鉛筆でウイルス注入
箇所の記しをつけた(太い血管を除いた場所を選定す
る)。ポリペプトン溶液(1%ポリペプトン、0.2%
NaClを混合し、1M NaOHでpH7.2に調
整してオートクレーブ滅菌し、4℃保存したもの)で種
ウイルス(液体窒素からとりだしたもの)を500倍に
希釈し、4℃においた。卵をイソジン及びアルコールで
消毒し、ウイルス注入箇所に千枚通しで小孔をあけ、希
釈した種ウイルス0.lmlを26ゲージの針付き1m
lシリンジを用いて、漿尿腔内に入るように注入した。
溶かしたパラフィン(融点50〜52℃)をパスツール
ピペットを用いて孔の上に置きこれをふさいだ。卵をイ
ンキュベーターにいれ、36.5℃、湿度40%以上の
条件で3日飼育した。次に、接種卵を一晩4℃におい
た。翌日、卵の気室部分をピンセットで割り、18ゲー
ジの針を付けた10mlシリンジを漿尿膜の中にいれ
て、漿尿液を吸引し、滅菌ボトルに集め、4℃に保存し
た。
による精製方法、カラムによる精製方法、または当該分
野において公知のその他の精製方法によって、精製され
得る。 (2.1:遠心分離による精製方法)手短には、増殖さ
せたウイルス液を回収し低速遠心で培養液や漿尿液中の
組織・細胞片を除去した。その上清を高速遠心(27,
500×g,30分間)とショ糖密度勾配(30〜60
%w/v)を利用した超遠心(62,800×g,90
分間)により精製した。精製の間にウイルスをできるだ
け穏和に扱い、4℃で保存することに注意すべきであ
る。
法によってHVJを精製した。
卵の漿尿液を集め4℃にて保存)の約100m1を広ロ
の駒込ピペットで50mlの遠心チューブ2本に入れ
(Saeki,Y.,およびKaneda,Y:Pro
tein modifiedliposomes(HV
J−1iposomes)for the deliv
ery of genes,oligonucleot
ides and proteins. Cell B
iology;A laboratory handb
ook(第2版)J.E.Celis編(Acadcm
ic Press Inc.,SanDiego)第4
巻、127〜135,1998を参照のこと)、低速遠
心機で3000rpm,10分、4℃で遠心し(ブレー
キはオフ)、卵の組織片を除去した。
(高速遠心用)に分注し、アングルローターで27,0
00g,30分遠心した(アクセル、ブレーキはオ
ン)。上清を除き、沈殿にBSS(10mM Tris
−HCl(pH7.5)、137mM NaC1、5.
4mM KC1;オートクレーブし、4℃保存)(BS
SのかわりにPBSでも可能)をチューブ当たり約5m
l加え、そのまま4℃で一晩静置した。広ロの駒込ピペ
ットでゆるやかにピペッテイングして沈殿をほぐし1本
のチューブに集め、同様にアングルローターで27,0
00g、30分遠心した。上清をのぞき沈殿にBSS約
10mlを加え、同様に4℃で一晩静置した。広ロの駒
込ピペットでゆるやかにピペッテイングして沈殿をほぐ
し、低速遠心機で3000rpm,10分、4℃で遠心
し(ブレーキはオフ)、除ききれなかった組織片やウイ
ルスの凝集塊をのぞいた。上清を新しい滅菌済みチュー
ブに入れ精製ウイルスとして4℃で保存する。
9ml加え、分光光度計で540nmの吸収を測定し、
ウイルス力価を赤血球凝集活性(HAU)に換算した。
540nmの吸収値1がほぼ15,000HAUに相当
した。HAUは融合活性とほぼ比例すると考えられる。
また実際にニワトリ赤血球液(0.5%)を用いて、赤
血球凝集活性を測定してもよい(動物細胞利用実用化マ
ニュアル、REALIZE INC.(内田、大石、古
沢編集)P259〜268、1984を参照のこと)。
製も必要に応じて行い得る。具体的には、ウイルス懸濁
液を60%、30%のショ糖溶液(オートクレーブ滅
菌)を重層した遠心チューブにのせ、62,800×g
で120分間密度勾配遠心を行う。遠心後、60%ショ
糖溶液層上にみられるバンドを回収する。回収したウイ
ルス懸濁液をBSSもしくはPBSを外液として4℃で
透析を一晩行い、ショ糖を除去する。すぐに使用しない
場合は、ウイルス懸濁液にグリセロール(オートクレー
ブ滅菌)と0.5M EDTA液(オートクレーブ滅
菌)をそれぞれ最終濃度が10%と2〜10mMになる
ように加えて−80℃で穏やかに凍結し、最終的に液体
窒素中で保存する(凍結保存はグリセロ一ルと0.5M
EDTA液の代わりに10mM DMSOでも可
能)。 (2.2:カラムおよび限外濾過による精製方法)遠心
分離による精製方法に代えて、カラムによるHVJの精
製も本発明に適用可能である。
0のフィルターによる限外濾過による濃縮(約10倍)
とイオン交換クロマトグラフィー(0.3M〜lM N
aCl)による溶出を用いて精製した。
法を使用して、HVJをカラムによって精製した。
のメンブランフィルターにてろ過した。0.006〜
0.008% BPL(最終濃度)を漿尿液に加え(4
℃、1時間)、HVJを不活性化した。漿尿液を37
℃、2時間インキュベートすることによって、BPLを
不活性化した。
logy、Needham、Massachusett
s)を用いたタンジェンシャルフロー限外ろ過法により
約10倍濃縮した。緩衝液として、50mM NaC
l、1mM MgCl2、2%マンニトール、20mM
Tris(pH 7.5)を用いた。HAUアッセイ
により、ほぼ100%のHVJ回収率であり優れた結果
がえられた。
ァルマシアバイオテクKK、Tokyo)によるカラム
クロマトグラフィー法(緩衝液:20mM TrisH
Cl(pH7.5)、0.2〜1M NaCl)でHV
Jを精製した。40〜50%の回収率であり、純度は9
9%以上であった。
logy)を用いたタンジェンシャルフロー限外ろ過法
によりHVJの画分を濃縮した。
化が必要な場合、以下に記載するように、紫外線照射ま
たはアルキル化剤処理により行った。
mlを30mm径のシャーレにとり、99または198
ミリジュール/cm2を照射した。ガンマー線照射も利
用可能である(5〜20グレイ)が完全な不活性化がお
こらない。
直前に、10mM KH2PO中に0.01% β−プ
ロピオラクトンの調製をした。作業中は低温下に保ち素
早く作業を行った。
%になるようにβ−プロピオラクトンを添加し、氷上で
60分間でインキュベートした。その後2時間、37℃
でインキュベートした。エッペンドルフチューブにチュ
ーブあたり10,000HAU分ずつ分注し、15,0
00rpm,15分遠心し、沈殿を−20℃で保存す
る。上記の不活性化法によらず、沈殿を−20℃で保存
せず、そのまま界面活性剤処理によりDNAを取り込ま
せ、ベクターを作成することも可能である。
成)保存してあったHVJに外来DNA200〜800
μgを含む溶液92μlを加えてピペッティングでよく
懸濁した。この溶液は、−20℃で、少なくとも、3ヶ
月保存可能である。HVJとの混合前にDNAに硫酸プ
ロタミンを添加すると、発現効率が2倍以上増強した。
グルコシド(10%)を8μl加えて15秒氷上でチュ
ーブを振盪し、45秒氷上に静置した。界面活性剤での
処理時間は、1〜5分間が好ましい。オクチルグルコシ
ド以外に、Triton−X100(t−オクチルフェ
ノキシポリエトキシエタノール)、CHAPS(3−
[(3−コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ]−
1−プロパンスルホン酸)、NP−40(ノニルフェノ
キシポリエトキシエタノール)などの界面活性剤も使用
し得る。Triton−X100、NP−40およびC
HAPSの好ましい最終濃度は、それぞれ、0.24〜
0.80%、0.04〜0.12%および1.2〜2.
0%である。
00rpmで15分遠心した。生じた沈殿にPBSまた
は生理食塩水などを300μl加えて、ボルテックス、
ピペッティングで懸濁した。懸濁液は直接遺伝子導入に
使用することも、−20℃で保存後に遺伝子導入に使用
することも可能である。このHVJエンベロープベクタ
ーは、少なくとも2ヶ月間の保存後、同程度の遺伝子導
入効率を維持した。
におけるFlとHNタンパク質の比率) (1:サンプルの調製) (i)精製HVJ 10,000HAU相当を15,0
00rpm,15分間遠心し、沈殿を300μlのPB
Sに懸濁し−20℃に保存した。 (ii)精製HVJ 10,000HAU相当を紫外線
照射(198ミリジュール/cm2)後、15,000
rpm,15分間遠心し、沈殿を300μlのPBSに
懸濁し−20℃で保存した。 (iii)精製HVJ 10,000HAU相当を紫外
線照射(198ミリジュール/cm2)後、15,00
0rpm,15分間遠心し、沈殿にpcLuciDNA
200μg(溶液92μl)を加えて、ピペッテングで
懸濁した。氷上に置き、オクチルグルコシド(10%)
を8μ1加えて、15秒間、手でチューブを振盪し、4
5秒間氷上静置し、冷BSSを1ml加えて、すぐに1
5,000rpm、15分間遠心後、300μlのPB
Sに懸濁し−20℃で保存した。
プルの5、10、20μlに×5のLaemliサンプ
ル緩衝液を加え10% SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動を行った。泳動終了後、クマシーブルーで染
色し、脱染色後、セロファン紙に張り付けて乾燥させ
た。
したサンプルをLAS2000(Fuji Film、
Tokyo)に取り込ませ(図7)、F1,HN相当の
タンパク質バンドの濃度を測定した。1種類のサンプル
につき、3つの異なる量を泳動し、各々のF1/HN密
度を算出し、サンプル毎に平均と標準偏差を求めた。
i)のサンプルでF1/HNは、ほぼ1.7で一致し
た。F1 51kD、HN 68kDaの分子量を考慮
すれば、モル比は約2.3となる。F1、HNを用いた
再構成リポソームでの融合の最適値が、F1/HNが約
2で与えられるという報告(Exp.Cell Re
s.142、95〜101、1985)とも矛盾しな
い。他の研究者から報告のある再構成型ではこの比が野
生型ウイルスのものと異なる(J.Virol.67、
3312〜3318、1993)。その他のタンパク質
組成もHVJとHVJエンベロープベクターではほぼ同
じであった。
ーへのDNAの封入及び封入率) (1:HVJエンベロープベクター(DNA封入、未封
入)の電子顕微鏡像)前述のようにしてpSFV−La
cZ(14.5kb)130μgを10,000HAU
のHVJ(紫外線不活性化)に封入しHVJエンベロー
プベクターを作成した。
00μlのPBSに懸濁し−20℃で保存した。10日
後、1μlの懸濁液をグリッド上にのせ、陰性染色法に
て電子顕微鏡を用いて観察した。コントロールとしてD
NA未封入のHVJエンベロープベクターを用いた。
ベロープベクターは、かつて観察されたHVJウイルス
そのものとほぼ外郭は同型のものが多かった。DNA未
封入のものに比較し、DNAを用いたものはHVJエン
ベロープベクター内に電子密度の濃い構造物を認めた。
一方、未封入のものは内部の透過性は高く、ウイルスゲ
ノムが破壊されたか、喪失されたと推定された。
NA封入率)前述のようにしてpcLuci(7.4k
b)157μgを6,700HAUのHVJ(紫外線不
活性化)に封入して、HVJエンベロープベクターを作
成した。HVJエンベロープベクターを、300μlの
BSSに懸濁し、ミクロコッカルヌクレアーゼ15単
位、CaCl2 2mM、RNaseA 20μg/m
l、20℃、30分間処理し、PBS 1リットルに対
して透析した(4℃、オーバーナイト)。1%SDS、
37℃で、l分間処理した。500μlのフェノール、
500μlクロロホルム−イソアミルアルコールで処理
し、その後、エタノール沈殿した。100μlのBSS
に懸濁し、分光光度計で260nm,280nmを測定
した。
で、換算すると、HVJエンベロープベクター中へのD
NAの取り込み効率は、3.8%であった。10,00
0HAUのHVJに、279μgのpcLuciを取り
込ませた場合の取り込み効率は、7.2%であった。
DNA取り込み効率は、オクチルグルコシドを用いた場
合約6〜7%であろうと推定されるが、用いるDNA量
によって多少変化する可能性がある。また硫酸プロタミ
ンをDNA、HVJエンベロープベクターと共存させる
と導入効率が上昇することがわかっているが、これはH
VJエンベロープベクターへのDNA封入効率が上昇し
たためではないかと考えられる。Triton−X10
0,NP−40ではさらに効率が上がり10〜40%程
度と推定される。
ーによる細胞内への遺伝子導入) (1:遺伝子導入方法)1,000HAU分をエッペン
ドルフチューブにとり(30μl)、硫酸プロタミン
(1mg/ml)5μ1を加えた。BHK−21細胞
(前日に、ウェルあたり200,000個で、6つのウ
ェルにまいたもの)の培地を交換し、1ウェルあたり
0.5mlの培地(10%FCS−DMEM)を添加し
た。各ウェルに、上記のベクター(1,000HAU相
当)と硫酸プロタミンの混合液を加え、プレートを前後
左右にふってベクターと細胞を良く混ぜ合わせ、37℃
で、5%CO2インキュベーター中に10分間放置し
た。
ュベーター中でオーバーナイト(16hr〜24hr)
放置し、遺伝子発現を調べた。ルシフェラーゼ(pcL
uci;CMVプロモーターを有するルシフェラーゼ遺
伝子)の場合は、CellLysis Buffer
(Promega)0.5mlで細胞を溶解し、その2
0μl溶液中の活性をルシフェラーゼアッセイキット
(Promega)を用いて測定した。グリーン蛍光タ
ンパク質(pCMV−GFPE;Promega)の場
合は、そのまま蛍光顕微鏡で観察し、400倍率で5〜
8視野を観察し、蛍光を発する細胞の割合を算出した。
条件の検討)培養細胞はBHK−21細胞を用いた。
成におけるオクチルグルコシド(OG)濃度の検討)
(1)の遺伝子導入方法に、以下の変更を加えて、HV
Jエンベロープベクターによる遺伝子導入に対する、各
濃度(HVJエンベロープベクターの作成時に用いたO
Gの最終濃度)のオクチルグルコシド(OG)の影響を
調べた: (A)オクチルグルコシド濃度:1、2、3%; HVJエンベロープベクター作成時に、不活性化HVJ
をOGによって処理した時間:1分間、5分間、10分
間; 超音波処理を行ったか(sonic)、または行わなか
った。 (B)オクチルグルコシド濃度:0.125〜1.25
%; トランスフェクションに用いたベクターの容量:10μ
l、100μl。 (C)オクチルグルコシド:0.55〜0.8%; トランスフェクションの時間:30分間、オーバーナイ
ト(O/N)。 結果を図9に示す。
プロタミン(PS)の濃度・処理時間) (1)の遺伝子導入方法に、以下の変更を加えて、HV
Jエンベロープベクターによる遺伝子導入に対する、硫
酸プロタミンの影響を調べた: (A)硫酸プロタミン:0〜100μg/ml培地; トランスフェクションの時間:20、40、60分間。 (B)硫酸プロタミン:0〜40μg/ml培地; トランスフェクションの時間:5、10、20分間。 結果を図10に示す。
封入するDNA濃度の遺伝子発現量に対する効果)
(1)の遺伝子導入方法に、以下の変更を加えて、HV
Jエンベロープベクターによる遺伝子発現量に対する、
実験に使用したDNA量の影響を調べた: (A)DNA量:20〜200μg;HVJエンベロー
プベクターを−20℃または−80℃で5日間保存し
た。 (B)DNA量:180〜360μg/HVJ 10,
000HAU。 結果を図11に示す。
の、遺伝子発現量に対する影響)(1)の遺伝子導入方
法に、以下の変更を加えて、HVJエンベロープベクタ
ーによる遺伝子発現量に対する、遺伝子導入に用いるH
VJ力価の影響を調べた:5,000、10,000、
20,000HAUの力価のHVJを用いてHVJエン
ベロープベクターを調製し、その各々の、250、50
0、1,000、2,000HAUに相当する量を用い
て、BHK−21細胞にトランスフェクションした。結
果を図12に示す。
伝子導入効率に対する、HVJ不活性化条件の影響)
(1)の遺伝子導入方法に、以下の変更を加えて、BH
K−21細胞中でのルシフェラーゼ遺伝子発現に対す
る、HVJの不活性化方法(UVまたはβ−プロピオラ
クトン)の効果を調べた。 (A)UV不活性化のための照射量:0〜231ミリジ
ュール/cm2。 (B)HVJ処理に用いたβ−プロピオラクトン(BP
L)濃度:0〜0.025%。 結果を図13に示す。
ーの各種細胞への遺伝子導入)ヒト舌部の扁平上皮癌
(SAS)へ、実施例11に記載の方法により遺伝子導
入を行った。結果を図14に示す。遺伝子導入の際の、
硫酸プロタミン濃度およびトランスフェクション時のイ
ンキュベーション時間を、図14に記載のように変化さ
せ、遺伝子導入の効率を、ルシフェラーゼ遺伝子の発現
によって測定した。トランスフェクションを行った条件
の範囲内では、200μg/mlの硫酸プロタミンを使
用し、60分間のトランスフェクション処理をした場合
に遺伝子導入効率が最大であったが、硫酸プロタミン濃
度をさらに増加させれば、遺伝子導入効率のさらなる増
加が予測される。
例11に記載の方法により遺伝子導入を行った。結果を
図15に示す。遺伝子導入の際の、硫酸プロタミン濃度
およびトランスフェクション時のインキュベーション時
間を、図15に記載のように変化させ、遺伝子導入の効
率を、ルシフェラーゼ遺伝子の発現によって測定した。
トランスフェクションを行った条件の範囲内では、10
0μg/mlの硫酸プロタミンを使用し、60分間のト
ランスフェクション処理をした場合に遺伝子導入効率が
最大であったが、硫酸プロタミン濃度をさらに増加させ
れば、遺伝子導入効率のさらなる増加が予測される。
ーの各種生体組織内への遺伝子導入)本実施例では、実
施例11に記載のHVJエンベロープベクターを用い
る、種々の生体内組織への遺伝子導入を例示する。
ープベクターを、0.8%のオクチルグルコシドおよび
200μgのpcLuciを氷上に1分間放置し、そし
て300μlのPBSに懸濁することによって調製し
た。調製懸濁液の1/10量(1,000HAUに相
当)30μlを、70μlのPBSで希釈し(全量10
0μl)、マウス(C57BL/6)肝臓の葉(lob
e)の1つに注入した。
Viral Envelop)リポソームを、200μ
gのpcLuciを用いて、ボルテックス/排出(vo
rtexing/extrusion)、その後のスク
ロース勾配遠心分離(62,000g、90分間)によ
って調製した。次に、この調製物を、遠心分離(27,
000g、30分間)によってペッレトとし、そして5
00μlのPBS中に懸濁した。このサンプルの100
μlをマウス(C57BL/6)肝臓の葉(lobe)
の1つに注入した。
て、その葉のルシフェラーゼ活性をPromega社の
Luciferase Assay Systemを用
いてアッセイした。結果を図16Aに示す。この結果か
ら、明らかなように、本発明のHVJエンベロープベク
ターは、従来のHVJ−AVEリポソームと比べて約2
倍の顕著に高い遺伝子導入効率を示した。
にHVJエンベロープベクターを調製した。50μlと
100μlのサンプルを、PBSで希釈して500μl
とし、マウスのファローピウス管に注入し、子宮頸を1
0分間結紮した。24時間後、マウス子宮を単離して、
葉および子宮のルシフェラーゼ活性を、Promega
社のLuciferase Assay System
を用いてアッセイした。結果を図16Bに示す。本発明
のHVJエンベロープベクターによって、マウス子宮へ
の遺伝子導入が可能であったが、HVJ−AVEリポソ
ームを用いた方法では、検出可能な程度の子宮組織への
遺伝子導入が見出されなかった。
プベクターを13.1と同様に調製した。LacZ発現
のために、pEB−CMV−LacZ(13kb)を含
有するHVJエンベロープベクターを、200μgのプ
ラスミドを使用して調製した。これら各ベクターを含有
するHVJエンベロープベクターを上記のように子宮に
注入した。結果を、図16Cに示す。LacZ染色によ
って、主に子宮内膜の腺上皮でのLacZ遺伝子の発現
が検出された。
Luciを含有するHVJエンベロープベクターを調製
したのと同様の方法によって、pEGFP−1(クラゲ
のグリーン蛍光タンパク質遺伝子(約0.7kb)を、
サイトメガロウイルスプロモーターを有する発現ベクタ
ーに組み込んだベクター;Clontech社、Pal
o Alto,CAより入手可能)を含有するHVJエ
ンベロープベクターを調製した。30μlのベクター
(調製物の1/10であり、1,000HAUに相当)
をSDラット(Sprague−Dawleyラット)
に、頸動脈注入、または大槽より髄腔内注入した。遺伝
子導入の3〜4日後、ラットを屠殺し、脳切片を固定化
することなく調製し、そして蛍光顕微鏡下で蛍光を観察
した。図16Dに示される結果のように、頚動脈注入及
び大槽より髄腔内注入のいずれの場合も、脳内における
グリーン蛍光タンパク質(GFP)の発現が認められ
た。これに対して、HVJ−AVEリポソームを用い
て、同様の遺伝子導入をラット頚動脈より行った場合、
脳内でのGFP発現は、認められなかった。
n Vitrogen社、SanDiego,CA)の
HindIII/XbaI部位にヒトHGF(肝細胞増
殖因子)遺伝子の変異体であるNK4 cDNA(1.
4kb)をクローニングして構築されたpCMV−NK
4を、大阪大学医学系研究科の中村敏一教授らより分与
していただいた。
CMV−NK4を用いて、10,000HAUの不活性
化HVJを用いた以外は、上記に記載のpcLuciを
含有するHVJエンベロープベクターを調製したのと同
様の方法によって、HVJエンベロープベクターを調製
した。pCMV−NK4は、HGF機能を阻害する変異
型HGFを発現するベクターである。50μlのベクタ
ー(調製物の1/6)を、新血管形成を誘導するために
組換えVEGFのペレットで処理した、ウサギの角膜組
織中に注入した。処置の7日後、ウサギを、屠殺し、目
の中の新血管形成を観察した。結果を図16Eに示す。
pCMV−NK4が容量依存的にVEGFによって誘導
された血管新生を抑制した。
pcLuciを含有するHVJエンベロープベクターを
調製したのと同様の方法によって、SV40プロモータ
ーの制御下のLacZ遺伝子を有するpSV−LacZ
(Promega社、Madison、WI)を含有す
るHVJエンベロープベクターを調製した。50μlの
ベクター(調製物の1/6)をラットの気管に注入し
た。遺伝子導入の3日後、ラットを屠殺し、組織を1%
のグルタルアルデヒドを用いて固定化し、動脈中のLa
cZの発現を、X−galを用いて可視化した。結果を
図16Fに示す。気管支上皮にLacZ染色を認めた。
また、肺動脈からHVJエンベロープベクターを導入し
たときも気管支上皮に遺伝子発現を認めた(データを示
さず)。
ターのドラッグデリバリーシステム(DDS)としての
機能)本発明の遺伝子導入ベクターは、オリゴヌクレオ
チドまたはデコイ核酸治療のためのドラッグデリバリー
システムとしても有用である。
入)本発明のウイルスエンベロープベクターを使用し
て、細胞への蛍光標識オリゴヌクレオチドの導入を行っ
た。
リゴヌクレオチド(5’−CCTTgAAGGGATT
TCCCTCC−3’)194μg/92μ1 BSS
を10,000HAUのHVJ(紫外線198ミリジュ
ール/cm2で不活性化)の沈殿と混合し、Trito
nX−100(0.24%、最終濃度)を添加し、氷上
で1分間処理し、1mlのBSSを加えて、遠心(1
5,000rpm、15分、4℃)した。沈殿に100
μlのPBSを加えて、−20℃保存した。1ヶ月後、
融解し、10μl分を5μgの硫酸プロタミンと混合
し、500万個のBHK−21細胞(0.5ml倍地
中)とインキュベート(10分、60分)した。導入翌
日に蛍光顕微鏡で細胞の蛍光を観察したところ、図17
Bに示すように、10分では10%程度のオリゴヌクレ
オチド導入効率であったが、図17Aに示すように、6
0分では80%以上の細胞にオリゴヌクレオチドが導入
されていた。
接触性皮膚炎の治療)本発明のウイルスエンベロープベ
クターを使用して、細胞へのデコイ核酸の導入を行っ
た。
核酸(5’−GATCAAGACCTTTTCCCAA
GAATCTAT−3’および3’−CATGTTCT
GGAAAAGGGTTCTTAGATA−5’、(W
ang,LHら、:Blood 95、1249〜12
57、 2000))250μg/300μl BSS
を30,000HAUのHVJ(紫外線99ミリジュー
ル/cm2で不活性化)の沈殿と混合し、Triton
X−100(最終濃度 0.24%)を添加し、氷上で
1分間処理し、lmlのBSSを加えて、遠心(15,
000rpm、15分間、4℃)した。沈殿に300μ
lのPBSを加えて−20℃保存した。このHVJエン
ベロープベクターを、マウスの皮下注入に用いたとこ
ろ、IgE誘発のアレルギーと遅延型皮膚反応を抑制し
た。
入)ヒト白血病細胞様であるCCRF−CEM、NAL
M−6、K−562を対象として遺伝子導入実験を行っ
た。
μg(92μl)を10,000HAUの不活性化HV
J(紫外線99ミリジュール/cm2)の沈殿と混合
し、TritonX−100(0.24%、最終濃度)
を加え、氷上で1分間処理し、1mlのBSSを加え
て、遠心(15,000rpm、15分、4℃)した。
沈殿に300μlのPBSを加えてHVJエンベロープ
ベクターを調製した。ベクター60μl(2,000H
AU相当)、硫酸プロタミン、および400万個の浮遊
系細胞を、1.5mlのエッペンドルフチューブ中で混
合し、10,000〜15,000rpm、10分、2
0℃の遠心を行った。その後、沈殿に培養液を加え、培
養皿に移し、1日後に細胞のルシフェラーゼ活性を測定
した。
既存のリポソーム試薬(GibcBRLのLipofe
ctin、Lipofectamineなど)を用いた
場合には導入効率が極めて低い細胞株(特にCCRF−
CEM、NALM−6)であるが、図18に示すよう
に、これら細胞株に対する高効率の遺伝子導入が観察さ
れた。
ミン600〜1,000μg/mlを添加し、遠心は1
0,000rpmまたは15,000rpmで、10分
間、20℃での遠心をする条件であった。HVJエンベ
ロープベクターによる有意な細胞毒性は認められなかっ
た。また、遠心と硫酸プロタミンの添加の両方が、遺伝
子導入に必要であった。
CMV−Luciferase354μg(92μl)
を34,000HAUの不活性化HVJ(紫外線99ミ
リジュール/cm2)の沈殿と混合し、TritonX
−100(0.24%、最終濃度)を添加して、氷上で
1分間処理し、1mlのBSSを加えて、遠心(10,
000〜15,000rpm、10分間、20℃)し
た。沈殿に300μlのPBSを加えて、−20℃で保
存した。1日後、硫酸プロタミン500μg/ml、ま
たは1000μg/mlと混合し、その100μ1をマ
ウスメラノーマB16−Flの腫瘍塊(径7〜8mm)
に注入し、1日後にルシフェラーゼ活性を測定した。図
19に示すように、腫瘍塊での遺伝子発現がみられた。
好ましい硫酸プロタミン濃度は、500μg/mlであ
った。しかし、これより低い硫酸プロタミン濃度では、
遺伝子発現を検出できなかった。
ープベクターの調製) (17.1:不活性化ウイルスの調製)1型単純疱疹ウ
イルス(HSV−1)(1010プラーク形成単位/m
1)を大阪大学医学系研究科細菌学講座の山西教授より
供与された。このウイルスの不活性化条件を培養サル細
胞(Vero細胞)におけるウイルスのプラーク形成に
より検討した。β−プロピオラクトン(BPL)0.0
5%を用いたウイルスの不活性化では、Vero細胞で
のプラークの出現頻度が、9.l×l0-4(プラーク/
Vero細胞)であった。一方、紫外線200および4
00ミリジュール/cm2照射でのウイルスの不活性化
は、それぞれ4.3×10-4、2.2×10- 6(プラー
ク/Vero細胞)であった。
伝子導入)100μ1のHSV−1(109粒子)を6
20μ1のPBSで希釈後、紫外線400ミリジュール
/cm2照射し、その10%量(72μ1)とDNA
(pCMV−Luciferase 8.83μg/μ
l)と混合し、氷上で3%Triton−X100を8
μ1加え(最終濃度、0.24%)、その1、2、3、
4、5、6分後に1mlのPBSを添加して希釈した。
各サンプルの100μ1をそのままBHK−21細胞
(6ウェルプレート中)に導入した。細胞は10%のウ
シ胎児血清(FCS)含有ダルベッコ最少必須培地(D
ME)0.5m1/ウェルで培養した。また、別の実験
において、各サンプルの100μlを硫酸プロタミン5
μgと混合後、BHK−21に導入した。37℃、5%
CO2のインキュベーター中で60分問放置後、培養
液を10%FCS−DMEと交換した。22時間後にル
シフェラーゼ活性を測定した。図20に示すように、本
発明の方法を用いて調製されたヘルペスウイルスエンベ
ロープベクターによる高効率の遺伝子導入が確認され
た。各サンプルとも形態学的な観察による細胞毒性は認
められなかった。
理したヘルペスウイルスエンベロープベクターを−80
℃で2日間保存後、解凍し、再度BHK−21細胞に添
加して導入効率を測定した。今回は導入60分後に10
%FCS−DME 2.5ml/ウェルを加えて一晩培
養して活性を測定した。血清の影響、ベクター量につい
て検討した。
存後であっても、なお高効率の遺伝子導入が確認され
た。血清10%を加えた培地を用いたものが、無血清培
地よりも導入効率が高く、ベクター溶液200μ1(推
定量:2.8×107ウイルス粒子/ウェル)が100
μ1溶液(推定量:1.4×107ウイルス粒子/ウェ
ル)より遺伝子導入活性が高かった。
伝子導入)上記の開示より、この界面活性剤を用いてエ
ンベロ一プベクターを作成する技術はHVJのみでな
く、広く脂質膜を有するエンベロープウイルスに適用可
能であることが当業者に明らかである。従って、当業者
が本発明の開示に従って、他のエンベロープウイルスを
用いて、容易に遺伝子導入のためのエンベロ一プベクタ
ーを調製し得ることが明らかである。従って、レトロウ
イルス科、トガウイルス科、コロナウイルス科、フラビ
ウイルス科、パラミクソウイルス科、オルトミクソウイ
ルス科、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス科、ポック
スウイルス科、ヘルペスウイルス科、バキュロウイルス
科、ヘパドナウイルス科などのウイルスのエンベロープ
ベクターが作成可能である。これによりウイルスの有す
る組織指向性を利用した特定の臓器への標的導入が実現
可能と考えられる。たとえば単純疱疹ウイルスのエンベ
ロープベクターは神経指向性のベクターとして、エプス
タイン−バーウイルスのエンベロープベクターはBリン
パ球指向性のベクターとして、インフルエンザのエンベ
ロープベクターは呼吸器指向性ベクターとして応用し得
る。
の目的について本明細書に記載されるが、種々の改変
が、本発明の意図および範囲から逸脱せずに行われ得る
ことは、明らかである。具体的には、本明細書の実施例
は、不活性化HVJを用いた遺伝子導入ベクターについ
て記載されてきたが、同様の調製方法を用いて、HVJ
以外のウイルスを不活性化して本発明の遺伝子導入ベク
ターを調製すること、および不活性化工程を行わずに本
発明の遺伝子導入ベクターを調製することは、本明細書
の開示から当業者に明らかである。したがって、本発明
は、添付の請求の範囲以外によっては限定されない。
優れた新しい遺伝子導入方法が提供される。これによ
り、遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングが可能
になると考えられる。本発明のウイルスエンベロープベ
クターを含む、高スループットスクリーニングのための
キットもまた提供される。また、本出願によって提供さ
れるウイルスエンベロープベクターは長期間の凍結保存
が可能であり、要事調製の必要がないため、作業工程が
大幅に簡略化できるとともに、導入ベクターの大量調製
による均質な遺伝子導入が可能となる。さらに、本発明
の遺伝子導入ベクターは、従来のHVJを基に調製され
たベクターよりも、高効率の遺伝子導入を可能にし、か
つ従来の方法よりもより広範囲の生体内組織に対する遺
伝子導入を可能とする。
品投与のためのドラッグデリバリーシステム、薬物のス
クリーニング系、および遺伝子治療用ベクターも提供さ
れる。
回数で凍結融解し、培養細胞にトランスフェクションし
て外来遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)の発現(ルシフ
ェラーゼ活性)の程度を測定した結果である。
プベクターの調製に使用したウイルス数を同一として培
養細胞にトランスフェクションした場合のルシフェラー
ゼ活性を測定した結果である。
伝子(ルシフェラーゼ発現ベクター)の量を様々に変え
た場合のルシフェラーゼ活性を測定した結果である。
めの緩衝液の種類を変えた場合のルシフェラーゼ活性を
測定した結果である。
VJ−リポソームを用いた遺伝子導入と、この発明の方
法とを比較した結果である。
ンベロープベクターの調製方法の概略を示す図である。
ンベロープベクター中に含まれるタンパク質の、SDS
−PAGEパターンを示す図である。
色法を用いた電子顕微鏡写真である。(1)未処理のH
VJ;(2)DNAを含まないオクチルグルコシド処理
したHVJ;(3)オクチルグルコシド処理した、DN
Aを含有するHVJ。
コシド濃度、オクチルグルコシドによるHVJの各処理
時間、超音波処理有り(sonic)または超音波処理
なし、および各使用したベクター容量における遺伝子導
入効率を、ルシフェラーゼ活性で示したグラフである。
コシド濃度、オクチルグルコシドによるHVJの各処理
時間、超音波処理有り(sonic)または超音波処理
なし、および各使用したベクター容量における遺伝子導
入効率を、ルシフェラーゼ活性で示したグラフである。
コシド濃度、オクチルグルコシドによるHVJの各処理
時間、超音波処理有り(sonic)または超音波処理
なし、および各使用したベクター容量における遺伝子導
入効率を、ルシフェラーゼ活性で示したグラフである。
硫酸プロタミン(PS)の濃度および各トランスフェク
ト時間における遺伝子導入効率を、ルシフェラーゼ活性
で示したグラフである。
硫酸プロタミン(PS)の濃度および各トランスフェク
ト時間における遺伝子導入効率を、ルシフェラーゼ活性
で示したグラフである。
DNA量(実験に使用した量)、および各保存温度にお
ける遺伝子導入効率を、ルシフェラーゼ活性で示したグ
ラフである。
DNA量(実験に使用した量)、および各保存温度にお
ける遺伝子導入効率を、ルシフェラーゼ活性で示したグ
ラフである。
VJを用いてHVJエンベロープベクターを調製し、遺
伝子導入を行った場合の遺伝子導入効率を、ルシフェラ
ーゼ活性で示したグラフである。
おける遺伝子導入効率を、ルシフェラーゼ活性で示した
グラフである。
ラクトン(BPL)濃度における遺伝子導入効率を、ル
シフェラーゼ活性で示したグラフである。
に対する、図面に示した各硫酸プロタミン濃度および各
トランスフェクションのインキュベーション時間におけ
る遺伝子導入効率を、ルシフェラーゼ活性で示したグラ
フである。
に対する、図面に示した各硫酸プロタミン濃度および各
トランスフェクションのインキュベーション時間におけ
る遺伝子導入効率を、ルシフェラーゼ活性で示したグラ
フである。
のHVJエンベロープベクターおよびHVJ−AVE
(Artificial Viral Envelo
p)リポソームを用いた遺伝子導入効率を、ルシフェラ
ーゼ活性で示したグラフである。
のHVJエンベロープベクターおよびHVJ−AVE
(Artificial Viral Envelo
p)リポソームを用いた遺伝子導入効率を、ルシフェラ
ーゼ活性で示したグラフである。
のHVJエンベロープベクターを用いたpEB−CMV
−LacZの遺伝子導入後に、子宮組織のLacZ染色
を行った結果である。LacZ染色によって、主に子宮
内膜の腺上皮でのLacZ遺伝子の発現が検出された。
0〜400g)に対して、10,000HAUのpEG
FP−1を含むHVJエンベロープベクターを、大槽経
由、頚動脈経由で投与した結果である。投与後3〜4日
目に屠殺し、生切片を作製し、蛍光顕微鏡下で観察し
た。 大槽経由での投与 脳の表面への、遺伝子導入が確認された。一方、脳深部
への遺伝子導入は、確認されなかった。脈絡叢への遺伝
子導入も確認されなかった。 、頚動脈経由での投与 投与を行った左側において、有意に高い発現が確認され
た。脳表面部分のみではなく、基底核部にも、発現が確
認された。また、対脳の脳表にも、確認された。対脳の
脳表での発現は、側副流(colateral flo
w)によって、対側に流れたものと考えられた。
HGFを発現するベクターであるpCMV−NK4が、
容量依存的にVEGFによって誘導された血管新生を抑
制した結果を示す図である。
を気管に注入して行った遺伝子導入の結果を示す図であ
る。
クレオチド導入の翌日に、蛍光顕微鏡で細胞の蛍光を観
察した結果を示す。10分間のインキュベーションでは
10%程度のオリゴヌクレオチド導入効率であった(図
17B)。一方、60分間のインキュベーションでは8
0%以上の細胞にオリゴヌクレオチドが導入されていた
(図17A)。
F−CEM、NALM−6、K−562を対象として導
入実験を行った結果である。これら細胞株は、HVJ−
リポソームや既存のリポソーム試薬(Gibc BRL
のLipofectin、Lipofectamine
など)では導入効率が極めて低い細胞株(特にCCRF
−CEM、NALM−6)である。硫酸プロタミン60
0〜1000μg/mlを添加し、遠心は10000r
pmまたは15000rpmで、10分間、20℃での
遠心をする条件において、高いルシフェラーゼ活性が得
られた。有意な細胞毒性は認められなかった。また、遠
心と硫酸プロタミンはどちらも導入に必要であった。
F−CEM、NALM−6、K−562を対象として導
入実験を行った結果である。これら細胞株は、HVJ−
リポソームや既存のリポソーム試薬(Gibc BRL
のLipofectin、Lipofectamine
など)では導入効率が極めて低い細胞株(特にCCRF
−CEM、NALM−6)である。硫酸プロタミン60
0〜1000μg/mlを添加し、遠心は10000r
pmまたは15000rpmで、10分間、20℃での
遠心をする条件において、高いルシフェラーゼ活性が得
られた。有意な細胞毒性は認められなかった。また、遠
心と硫酸プロタミンはどちらも導入に必要であった。
F−CEM、NALM−6、K−562を対象として導
入実験を行った結果である。これら細胞株は、HVJ−
リポソームや既存のリポソーム試薬(Gibc BRL
のLipofectin、Lipofectamine
など)では導入効率が極めて低い細胞株(特にCCRF
−CEM、NALM−6)である。硫酸プロタミン60
0〜1000μg/mlを添加し、遠心は10000r
pmまたは15000rpmで、10分間、20℃での
遠心をする条件において、高いルシフェラーゼ活性が得
られた。有意な細胞毒性は認められなかった。また、遠
心と硫酸プロタミンはどちらも導入に必要であった。
す。癌組織である腫瘍塊における遺伝子発現がみられ、
特に、硫酸プロタミン500μg/mlの時に高い遺伝
子導入活性が得られた。これより低い濃度の硫酸プロタ
ミンを用いた場合、遺伝子発現を検出できなかった。
クターを用いる細胞への遺伝子導入の結果を示す。総ル
シフェラーゼ活性は低いが、Triton−X100で
の5分間の処理によって、最も導入効率の高いベクター
が作製できたと判断された。また硫酸プロタミンを用い
ない調製方法が、導入効率が高かった。各サンプルとも
形態学的な観察によって細胞毒性は認められなかった。
イルスエンベロープベクターを用いる細胞への遺伝子導
入の結果を示す。血清10%を加えた培地を用いた場
合、無血清培地よりも導入効率が高く、ベクター溶液2
00μ1(推定量:2.8×107ウイルス粒子/ウェ
ル)が100μ1溶液(推定量:1.4×107ウイル
ス粒子/ウェル)より活性が高かった。
Claims (19)
- 【請求項1】 ウイルスエンベロープを含む、遺伝子導
入ベクター。 - 【請求項2】 前記ウイルスが、野生型ウイルスまたは
組換え型ウイルス由来である、請求項1に記載の遺伝子
導入ベクター。 - 【請求項3】 前記ウイルスが、レトロウイルス科、ト
ガウイルス科、コロナウイルス科、フラビウイルス科、
パラミクソウイルス科、オルトミクソウイルス科、ブニ
ヤウイルス科、ラブドウイルス科、ポックスウイルス
科、ヘルペスウイルス科、バキュロウイルス科、および
ヘパドナウイルス科からなる群から選択される科に属す
るウイルス由来である、請求項1または2に記載の遺伝
子導入ベクター。 - 【請求項4】 前記ウイルスがHVJである、請求項3
に記載の遺伝子導入ベクター。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のベ
クターであって、;該ウイルスを外来遺伝子と混合する
工程、および該混合液を2回以上凍結融解する工程、を
包含する方法によって調製される、遺伝子導入ベクタ
ー。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のベ
クターであって、該ウイルスを界面活性剤の存在下で外
来遺伝子と混合する工程を包含する方法によって調製さ
れる、遺伝子導入ベクター。 - 【請求項7】 前記方法が、ウイルスを不活性化する工
程をさらに包含する、請求項5または6に記載の遺伝子
導入ベクター。 - 【請求項8】 前記界面活性剤が、オクチルグルコシ
ド、Triton−X100、CHAPSおよびNP−
40からなる群から選択される、請求項7に記載の遺伝
子導入ベクター。 - 【請求項9】 前記界面活性剤が、オクチルグルコシド
である、請求項8に記載の遺伝子導入ベクター。 - 【請求項10】 硫酸プロタミンを前記外来遺伝子に添
加する工程をさらに包含する、請求項1〜9のいずれか
1項に記載の遺伝子導入ベクター。 - 【請求項11】 動物生体内の組織に遺伝子導入するた
めの、請求項1〜10のいずれか1項に記載の遺伝子導
入ベクター。 - 【請求項12】 前記組織が、肝臓、骨格筋、子宮、
脳、眼部、頚動脈、皮膚、血管、肺、心臓、腎臓、脾
臓、癌組織、神経、Bリンパ球、および呼吸器官の組織
からなる群から選択される、請求項11に記載の遺伝子
導入ベクター。 - 【請求項13】 遺伝子治療のための、請求項1〜12
に記載の遺伝子導入ベクターを含有する薬学的組成物。 - 【請求項14】 請求項1〜12に記載の遺伝子導入ベ
クターを含有する、遺伝子ライブラリーのスクリーニン
グのためのキット。 - 【請求項15】 遺伝子導入のためのウイルスエンベロ
ープを含む遺伝子導入ベクターの調製方法であって、以
下;該ウイルスを外来遺伝子と混合する工程、および該
混合液を2回以上凍結融解する工程、を包含する、方
法。 - 【請求項16】 遺伝子導入のためのウイルスエンベロ
ープを含む遺伝子導入ベクターの調製方法であって、該
ウイルスを界面活性剤の存在下で外来遺伝子と混合する
工程、を包含する、方法。 - 【請求項17】 ウイルスを不活性化する工程をさらに
包含する、請求項15または16に記載の方法。 - 【請求項18】 単離された動物組織に遺伝子を導入す
る方法であって、以下;所望の外来遺伝子を含有する請
求項1〜12のいずれか1項に記載の遺伝子導入ベクタ
ーを調製する工程、 該遺伝子導入ベクターによって、該単離された動物組織
に遺伝子を導入する工程、を包含する、方法。 - 【請求項19】 浮遊細胞に外来遺伝子を導入する方法
であって、以下:該浮遊細胞と請求項1〜12のいずれ
か1項に記載の遺伝子導入ベクターとを、硫酸プロタミ
ン存在下で混合する工程、 該混合液を遠心する工程を包含する、方法。
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