JP2001284620A - 光起電力素子の製造方法 - Google Patents

光起電力素子の製造方法

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JP2001284620A
JP2001284620A JP2000093127A JP2000093127A JP2001284620A JP 2001284620 A JP2001284620 A JP 2001284620A JP 2000093127 A JP2000093127 A JP 2000093127A JP 2000093127 A JP2000093127 A JP 2000093127A JP 2001284620 A JP2001284620 A JP 2001284620A
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transparent electrode
electrode layer
semiconductor layer
layer
substrate
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JP2000093127A
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Hirotsugu Shimoda
寛嗣 下田
Hideo Tamura
秀男 田村
Masahiro Kanai
正博 金井
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Canon Inc
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体層にプラズマダメージを与えない且つ
堆積速度が速く、大面積にわたって均一な透明電極層を
作製することにより、良好な特性、高い歩留り及び生産
性の良好な薄膜太陽電池を提供する。 【解決手段】 少なくとも基板上に半導体層、透明電極
層を順に積層形成する光起電力素子の製造方法におい
て、透明電極層が、ターゲット上に複数のトンネル状磁
場を形成し、ターゲットと基板との間に電界を形成する
マグネトロンスパッタリング法により作製され、半導体
層102と接する側の透明電極層103を、ターゲット
表面における水平磁場強度のピーク値B1maxを0.
08テスラ≦B1max≦0.15テスラとし且つ基板
とターゲット間の距離d1を80mm≦d1≦150m
mとして堆積した後、半導体層102と接しない側の透
明電極層104を、ターゲット表面における水平磁場強
度のピーク値B2maxを0.02テスラ≦B2max
≦0.05テスラとし且つ基板とターゲット間の距離d
2を30mm≦d2≦60mmとして堆積することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光起電力素子、特
に薄膜太陽電池に関するものであり、良好な特性、歩留
り及び生産性の高い光起電力素子の製造方法、特には太
陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、太陽電池による太陽光発電の実用
化に向けて様々な研究開発が行われている。太陽電池を
電力需要を賄うものとして確立させるためには、使用す
る太陽電池の光電変換効率が十分に高く、信頼性に優れ
たものであり、且つ大量生産が可能であることが要求さ
れる。
【0003】アモルファスシリコン太陽電池は、結晶系
Si等を用いて作成される太陽電池と比較して、低コス
トで生産可能で量産性に富んでいることなどから注目さ
れている。その理由は原料ガスとしてシラン等の容易に
入手できるガスを使用し、これをグロー放電分解して、
金属シートや樹脂シート等の比較的安価な帯状基板上に
半導体膜等の堆積膜の形成が可能なためである。
【0004】アモルファスシリコン太陽電池においては
一般的に半導体層自体のシート抵抗は高いため半導体全
面にわたる透明な上部電極を必要とし、通常は可視光に
対する透明性と電気伝導度性に優れた特性を持つSnO
2,In23,ITO(In23+SnO2)膜等の透明
電極層を設ける。
【0005】これらの透明電極層は一般にスパッタリン
グ法、真空抵抗加熱蒸着法、エレクトロンビーム蒸着
法、スプレー法等により形成される。また、生産性や大
面積化等を考慮した場合にはスパッタリング法特にはマ
グネトロンスパッタリング法が多く用いられる。
【0006】公知のようにスパッタリング法は、真空容
器内に基板とターゲットを対向させて配置し、アルゴン
等の放電ガスを導入すると共に真空容器内を一定の減圧
状態に維持し、ターゲット側に負電圧を印加して放電を
生起し、電離された放電ガスイオンが負電圧で加速され
てターゲットに入射し、ターゲット表面の原子を叩き出
し、叩き出されたターゲット原子の一部を基板上に薄膜
として堆積されるものである。
【0007】これに対しマグネトロンスパッタリング法
では、更にターゲット背部に磁石を設け、ターゲット表
面にトンネル状の磁界を発生させることにより、イオン
の衝撃によりターゲットから放出された二次電子がトン
ネル状の磁場により拘束され、特に磁場のトンネル内で
は環状に沿って運動するため、放電ガスと衝突する確率
が高くなり高密度プラズマが容易に得られ、高速成膜が
可能である。一方、磁石を固定して用いるとプラズマが
局所的に集中するために大面積にわたって均一に成膜し
にくく、更にターゲットが局部的に消耗するという問題
点もある。そのため、特開平5−106035号公報で
磁石をターゲット面と平行に移動させながらスパッタリ
ングを行なうことが開示されている。また、特開平5−
44029号公報ではターゲット表面の磁界を特定の形
態に設定し、ターゲットの利用効率を改善する技術等も
提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば太陽
電池が基板上にn,i,p接合を有する半導体層を設け
た後、該半導体層上に透明電極層を設けた構成を有する
場合、透明電極層としては膜の光透過率が良く且つ比抵
抗が低いことが望ましく、更には透明電極層形成時に半
導体層特にはp層にスパッタリングによるプラズマダメ
ージを極力与えないことが要求される。半導体層がプラ
ズマダメージを受けると太陽電池としての特性及び歩留
りは著しく低下するという問題が生じる。また、透明電
極層の堆積速度が速く、大面積にわたって均一に堆積可
能で、生産性が良好である必要がある。
【0009】本発明は、半導体層にプラズマダメージを
与えない且つ堆積速度が速く、大面積にわたって均一な
透明電極層を作製することにより、良好な特性、高い歩
留り及び生産性の良好な薄膜太陽電池を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の光起電力素子の
製造方法は、少なくとも基板上に半導体層、透明電極層
を順に積層形成する光起電力素子の製造方法において、
前記透明電極層が、ターゲット上に複数のトンネル状磁
場を形成し、前記ターゲットと前記基板との間に電界を
形成するマグネトロンスパッタリング法により作製さ
れ、前記半導体層と接する側の透明電極層を、前記ター
ゲット表面における水平磁場強度のピーク値B1max
を0.08テスラ≦B1max≦0.15テスラとし且
つ前記基板と前記ターゲット間の距離d1を80mm≦
d1≦150mmとして堆積した後、前記半導体層と接
しない側の透明電極層を、前記ターゲット表面における
水平磁場強度のピーク値B2maxを0.02テスラ≦
B2max≦0.05テスラとし且つ前記基板と前記タ
ーゲット間の距離d2を30mm≦d2≦60mmとし
て堆積することを特徴とする。
【0011】本発明においては、前記透明電極層の全膜
厚範囲を50〜100nmとし、前記透明電極層の前記
半導体層と接する側の透明電極層の膜厚範囲を10〜2
0nm且つ前記透明電極層の前記半導体層と接しない側
の透明電極層の膜厚範囲を40〜80nmとすることが
好ましい。
【0012】また、前記透明電極層を形成する際に、前
記基板の温度を層厚方向に制御し、前記透明電極層の前
記半導体層と接しない側の透明電極層の最表面部に、前
記透明電極層の前記半導体層と接する側の透明電極層よ
り比抵抗の高い領域を層厚方向に少なくとも3nm〜1
0nm設けることが好ましい。
【0013】また、前記透明電極層が金属酸化物層から
成る場合には、該透明電極層を形成する際に、該金属酸
化物層の酸化度を層厚方向に制御し、前記透明電極層の
前記半導体層と接しない側の透明電極層の最表面部に、
前記透明電極層の前記半導体層と接する側の透明電極層
より比抵抗の高い領域を層厚方向に少なくとも3nm〜
10nm設けることが好ましい。
【0014】また、前記基板が帯状基板であって、前記
透明電極層がロール・ツー・ロール方式により堆積され
ることも好ましく、さらには、前記透明電極層を形成す
る際、前記帯状基板幅内において基板搬送方向と直交す
る方向の前記ターゲット表面における水平磁場強度の分
布が±10%の範囲内にあり、且つ基板幅方向における
磁界と電界が直交する点同士の距離Lと基板幅Wの比L
/Wが1.2≦L/W≦1.7であることが好ましい。
【0015】
【作用】本発明では、少なくとも基板上に半導体層、透
明電極層が順に積層形成された光起電力素子の製造方法
において、透明電極層がターゲット上に複数のトンネル
状磁場を形成し、前記ターゲットと前記基板との間に電
界を形成するマグネトロンスパッタリング法により作製
され、半導体層と接する側の透明電極層をターゲット表
面における水平磁場強度のピーク値B1maxを0.0
8テスラ≦B1max≦0.15テスラの強磁場とする
ことでターゲット表面近傍において高密度プラズマを発
生させ、且つ基板とターゲット間の距離d1を80mm
≦d1≦150mmと距離をおいて堆積することで、半
導体層にプラズマダメージを与えない均一な透明電極層
を形成した後、半導体層と接する側の透明電極層上に、
半導体層と接しない側の透明電極層をターゲット表面に
おける水平磁場強度のピーク値B2maxを0.02テ
スラ≦B2max≦0.05テスラの比較的低磁場とす
ることで基板とターゲット間において一様な広範囲にわ
たるプラズマを発生させ、且つ基板とターゲット間の距
離d2を30mm≦d2≦60mmと距離を狭めて堆積
することで堆積速度の速い均一な透明電極層が形成さ
れ、透明電極層全体として見た場合、半導体層にプラズ
マダメージを与えない且つ堆積速度の速い透明電極層を
得ることが出来る。
【0016】更に、前記基板が帯状基板であって、前記
透明電極層がロール・ツー・ロール方式により堆積され
る場合において、透明電極層を形成する際、帯状基板幅
内において基板搬送方向と直交する方向のターゲット表
面における水平磁場強度Bの分布をB±10%の範囲内
とし、且つ基板幅方向における磁界と電界が直交する点
同士の距離Lと基板幅Wの比L/Wを1.2≦L/W≦
1.7とすることで、基板幅方向における透明電極層の
膜厚むらを無くすことが出来、基板が大面積化しようと
も基板全域にわたって均一な透明電極層を得ることが出
来る。その結果、良好な特性、高い歩留り及び生産性の
良好な光起電力素子特には薄膜太陽電池を提供すること
が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に
説明する。
【0018】図1は、本発明の光起電力素子の一例を示
す模式的断面図である。図1において、101は基板、
102は半導体層、103は半導体層と接する側の透明
電極層、104は半導体層と接しない側の透明電極層を
表す。
【0019】本発明に係る透明電極層の形成方法として
は、特に限定はされないが、スパッタリングされるター
ゲット部材の背部にマグネットを配し、ターゲット上に
トンネル状の磁場を形成し、ターゲットと基板との間に
電界を形成させるマグネトロンスパッタリング法を用い
ることが出来る。
【0020】まず、半導体層102上に半導体層と接す
る側の透明電極層103として、半導体層にプラズマダ
メージを与えないようにして均一な透明電極層を10〜
20nm形成する。その為には、ターゲット表面におけ
る垂直磁場強度が0となる水平磁場強度のピーク値B1
maxを0.08テスラ≦B1max≦0.15テスラ
の強磁場とすることでターゲットから放出された二次電
子をトンネル状の磁場に長い間拘束させると共にターゲ
ット表面近傍において高密度プラズマを発生させ、且つ
基板とターゲット間の距離d1を80mm≦d1≦15
0mmと距離をおいて堆積することが重要である。すな
わち、二次電子をターゲット表面近傍で長い間拘束さ
せ、高密度プラズマを基板から遠ざけることにより、半
導体層への二次電子のアタックや流れ込み、及びプラズ
マからの熱的ダメージやスパーク等を低減させることが
できる。
【0021】次に、半導体層と接する側の透明電極層1
03上に半導体層と接しない側の透明電極層104とし
て、堆積速度の速い均一な透明電極層を40〜80nm
形成する。その為には、ターゲット表面における水平磁
場強度のピーク値B2maxを0.02テスラ≦B2m
ax≦0.05テスラの比較的低磁場とすることで基板
とターゲット間において一様な広範囲にわたるプラズマ
を発生させ、且つ基板とターゲット間の距離d2を30
mm≦d2≦60mmと距離を狭めて堆積することが重
要である。すなわち、基板とターゲット間において一様
な広範囲にわたるプラズマを発生させ、基板とターゲッ
ト間を狭めて堆積することで堆積速度の速い均一な透明
電極層を形成することができる。
【0022】このように本発明の製造方法によれば、透
明電極層全体として見た場合、半導体層にプラズマダメ
ージを与えない且つ堆積速度の速い透明電極層を50〜
100nm均一に得ることが出来る。
【0023】図2は、本発明の光起電力素子の別の例を
示す模式的断面図である。図2において、201は基
板、202は半導体層、203は半導体層と接する側の
透明電極層、204は半導体層と接しない側の透明電極
層、205は半導体層と接しない側の透明電極層の最表
面部を表し、半導体層と接する側の透明電極層より比抵
抗の高い領域である。
【0024】本発明に係る透明電極層としては、可視光
に対する透明性と電気伝導度性に優れた特性を持つSn
2,In23,ITO(In23+SnO2),ZnO
膜等の金属酸化物膜が使用される。太陽電池の特性にお
いて半導体層上に堆積される透明電極層のシート抵抗は
低い方が良いとされる。透明電極層のシート抵抗を低く
することにより太陽電池としてのシリーズ抵抗を下げる
ことが出来、太陽電池の電流−電圧曲線において曲線因
子を向上させることが出来る。更には、透明電極層のシ
ート抵抗を下げれば集電効率は向上し、グリッド電極を
ワイヤー付線により形成する場合、グリッドの本数を減
らすことが出来、ワイヤーの影による光の損失(シャド
ーロス)を低減することが可能となる。
【0025】しかしながら、透明電極層のシート抵抗が
低くなると、米国特許4,451,970号、4,46
4,823号公報に開示されているような電解液中にお
ける電気化学反応によって半導体層内に潜在的に内在す
る欠陥部分(シャント部分)上の透明電極層を除去しよ
うとすると、太陽電池にバイアスを印加した際、選択性
が悪くなりシャント部だけでなくシャントしていない部
分の透明電極層にも電流が流れやすくなり、シャント部
上の透明電極層を膜厚分除去する間にシャントしていな
い部分の透明電極層も徐々にエッチングされて行き、太
陽電池の特性及び外観を著しく低下させるという問題点
が生じてくる。
【0026】そこで、本発明では、半導体層と接する側
の透明電極層203及び半導体層と接しない側の透明電
極層204の比抵抗範囲を1×10-4〜4×10-4Ω・
cmの低抵抗な範囲とし、且つ半導体層と接しない側の
透明電極層204の最表面部に比抵抗範囲が8×10-4
〜2×10-3Ω・cmである比抵抗の高い領域205を
層厚方向に少なくとも3nm〜10nm設けることが好
ましく、それにより電解処理中に欠陥部分上の透明電極
層がエッチング溶解されている間に透明電極層の比抵抗
が低いことに起因する非欠陥部上の透明電極層が同時に
徐々にエッチングされる割合を抑制することが出来、且
つ電解処理後の透明電極層のシート抵抗を低い状態に維
持することが出来る。
【0027】上記のような比抵抗の高い領域205を形
成する一つの方法として、透明電極層を形成する際に、
基板の温度を層厚方向に制御し、制御された基板温度に
応じた比抵抗を有する透明電極層を形成する方法があ
る。基板温度を高くする程、形成される透明電極層の比
抵抗は低くなるが、透明電極層の成膜温度は半導体層の
成膜温度より低いことが好ましく、例えば半導体層が
n,i,pの構成をとる場合、透明電極層の成膜温度は
p層の成膜温度より低い方が好ましい。すなわち、透明
電極層の成膜温度を層厚方向に制御する場合、半導体層
と接する側の透明電極層の成膜温度としては150〜2
20℃が好ましく、半導体層と接しない側の透明電極層
の成膜温度としては25〜100℃が好ましい。
【0028】また、本発明に係る透明電極層としては、
可視光に対する透明性と電気伝導度性に優れた特性を持
つSnO2,In23,ITO(In23+SnO2),
ZnO膜等の金属酸化物膜が使用されため、透明電極層
の半導体層と接する側の領域の比抵抗と他の領域の比抵
抗とを変化させる別の方法としては、透明電極層を形成
する際に、透明電極層である金属酸化物層の酸化度を層
厚方向に制御し、制御された酸化度に応じた比抵抗を有
する透明電極層を形成する方法がある。酸化度を高くす
るすなわち膜中の酸素濃度を高くすれば透明電極層の比
抵抗は高くなる。酸化度を透明電極層の層厚方向に制御
する方法としては、成膜チャンバー内に導入する酸素ガ
ス流量を制御する方法、酸素ガスの導入方法により制御
する方法、ターゲットや蒸着源等の部材自体の酸素含有
量や組成、材質の種類を制御する方法等が挙げられる。
【0029】また、ロール・ツー・ロール方式により、
幅の広い長尺の帯状基板を連続搬送させながら透明電極
層を堆積する場合は、帯状基板幅内において基板搬送方
向と直交する方向のターゲット表面における水平磁場強
度の分布が±10%の範囲内に入るような磁場を形成
し、且つ図3に示すように基板幅方向における磁界と電
界が直交する点同士の距離Lと基板幅Wの比L/Wの値
が1.2≦L/W≦1.7とすることで基板幅方向にお
ける膜厚むらを抑えることが出来、基板が大面積化しよ
うとも均一な透明電極層を得ることが可能となる。
【0030】
【実施例】まず、本発明の実験例を説明する。
【0031】(実験例)本発明の少なくとも基板上に半
導体層、透明電極層が順に積層形成された光起電力素子
において、半導体層と接する側の透明電極層を堆積する
際のターゲット表面における水平磁場強度のピーク値B
1max及び基板とターゲット間の距離(以下、「T−
S間距離」と記載)d1、半導体層と接しない側の透明
電極層を堆積する際の水平磁場強度のピーク値B2ma
x及びT−S間距離d2をそれぞれ変化させて光起電力
素子特には太陽電池を製造し、評価した。
【0032】まず、半導体層と接する側の透明電極層の
堆積条件を得るために、ターゲット表面における水平磁
場強度のピーク値及びT−S間距離を変化させて、半導
体層上に透明電極層を65nm堆積させ、太陽電池とし
て評価した。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1に○で示したように、半導体層と接す
る側の透明電極層を堆積する際のターゲット表面におけ
る水平磁場強度のピーク値の範囲は0.08テスラ〜
0.15テスラ、T−S間距離の範囲は80mm〜15
0mmが最も好ましい。例えば、T−S間距離の範囲が
妥当であって水平磁場強度のピーク値がこの範囲を外れ
た場合、0.15テスラを超える高磁場になればなる程
プラズマがよりターゲット表面中央で局在化し、膜厚分
布が悪化した。また、逆に0.08テスラよりも低い低
磁場になればなる程プラズマが広範囲に渡って広がり、
太陽電池を電解処理した際、電解処理によって形成され
るピンホール近傍における透明電極層の侵食が大きくな
り外観が不良となった。すなわち、半導体層が透明電極
層を形成する際、プラズマダメージを受けたと考えられ
る。一方、水平磁場強度のピーク値が妥当であってT−
S間距離がこの範囲を外れた場合、150mmよりも距
離が離れれば離れる程基板はプラズマから遠ざかり、半
導体層上に膜が堆積し難くなった。また、逆に80mm
よりも距離が近くなればなる程半導体層はプラズマから
のダメージを受けやすくなり、太陽電池を電解処理した
際、電解処理によって形成されるピンホール近傍におけ
る透明電極層の侵食が大きくなり外観が不良となった。
【0035】次に、半導体層と接しない側の透明電極層
の堆積条件を得るために、半導体層上に半導体層と接す
る側の透明電極層をターゲット表面における水平磁場強
度のピーク値B1max=0.12テスラ、T−S間距
離d1=100mmの条件下で15nm堆積した後、こ
の半導体層と接する側の透明電極層上に半導体層と接し
ない側の透明電極層をターゲット表面における水平磁場
強度のピーク値及びT−S間距離を変化させて、50n
m堆積させ、太陽電池として評価した。その結果を表2
に示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2に○で示したように、半導体層と接し
ない側の透明電極層を堆積する際のターゲット表面にお
ける水平磁場強度のピーク値の範囲は0.02テスラ〜
0.05テスラ、T−S間距離の範囲は30mm〜60
mmが最も好ましい。例えば、T−S間距離の範囲が妥
当であって水平磁場強度のピーク値がこの範囲を外れた
場合、0.05テスラを超える高磁場になればなる程プ
ラズマがよりターゲット表面中央で局在化し、膜厚分布
が悪化した。また、逆に0.02テスラよりも低い低磁
場になればなる程放電の維持が困難となった。一方、水
平磁場強度のピーク値が妥当であってT−S間距離がこ
の範囲を外れた場合、60mmよりも距離が離れれば離
れる程堆積速度は低下した。また、逆に30mmよりも
距離が近くなればなる程基板がプラズマから熱を貰い、
基板温度を所望の温度に制御し難くなり太陽電池の特性
は低下した。
【0038】次に、本発明の光起電力素子特には薄膜太
陽電池の製造方法の実施例について説明するが、本発明
はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0039】(実施例1)本実施例では、図4に模式的
断面を示したシングル型太陽電池を製造した。図4にお
いて、301は基板、302は裏面反射層、303は透
明導電層、304はアモルファスシリコン(以下、「a
−Si」と記載)からなるRFn型の半導体層、305
はa−SiからなるRFi型の半導体層、306はa−
SiGeからなるMWi型の半導体層、307はa−S
iからなるRFi型の半導体層、308はμc−Siか
らなるRFp型の半導体層、309は半導体層と接する
側の透明電極層、310は半導体層と接しない側の透明
電極層である。
【0040】以下では、形成の手順に従って説明する。
【0041】(1)十分に脱脂、洗浄した50mm×5
0mm角のステンレス基板301上にバッチ式スパッタ
リング法により裏面反射層302、透明導電層303を
成膜した。裏面反射層302は金属層であり材料として
はAl,Ag,Pt,Au,Ni,Ti,Cr,Cu等
の金属単体及び合金が用いられるが、ここでは反射率の
比較的高いAlを使用した。透明導電層303は透明導
電性酸化物層であり材料としてはZnO,SnO2,I
23,ITO等が用いられるがここではZnOを使用
した。また、これらの表面は光の乱反射を起こさせるた
めにテクスチャー構造とした。なお、膜厚はそれぞれ2
00nm、1200nmとした。
【0042】(2)透明導電層303上に不図示のバッ
チ式プラズマCVD装置を用いて、表3に示す成膜条件
で半導体層304〜308を成膜した。a−Si半導体
層の成膜法としてはRFプラズマCVD法(RFPCV
D法)、マイクロ波プラズマCVD法(MWPCVD
法)、ECR法、熱CVD法等を所望に応じて用いる。
【0043】
【表3】
【0044】(3)半導体層308上に図5に示すバッ
チ式スパッタリング装置を用いて、半導体層と接する側
の透明電極層309と半導体層と接しない側の透明電極
層310を成膜した。図5において、401は基板、4
02は真空容器、403はヒーター、404はターゲッ
ト、405はカソード電極、406はマグネットユニッ
ト、407は直流電源、408はガスライン、409,
410はマスフローコントローラーである。
【0045】まず、表4に示す成膜条件で、ターゲット
404表面における水平磁場強度のピーク値B1max
を0.1テスラ、基板401とターゲット404の間の
距離(以下、「T−S間距離」と記載)d1を110m
mに設定し、基板温度を200℃、投入電力密度を1.
2W/cm2に制御して半導体層と接する側の透明電極
層309としてITO膜を15nm成膜した。なお、こ
の時のITO膜の比抵抗は3.5×10-4Ω・cmであ
った。
【0046】次に、表4に示す成膜条件で、基板温度を
200℃に保持したまま、ターゲット404の支持体で
もあるカソード電極405とマグネットユニット406
との距離を変化させることによりターゲット404表面
における水平磁場強度のピーク値B2maxを0.03
テスラ、またT−S間距離を50mmに設定し、放電を
再び生起させ、投入電力密度1.2W/cm2の下、半
導体層と接しない側の透明電極層310としてITO膜
を50nm成膜した。なお、この時のITO膜の比抵抗
は3.7×10-4Ω・cmであった。以上で、a−Si
Geシングルセルの作成を終えた。
【0047】
【表4】
【0048】(4)前記セルを65℃に保温された硫酸
アルミニウム30wt.%水溶液の電解質溶液槽に入
れ、セル基板側を負極、対向電極側を正極とし、電極間
距離40mmの下、正電圧2.5Vを印加時間50ms
としパルス的に50回印加し電解処理を行い、半導体層
に潜在的に内在する欠陥部分上の半導体層と接する側の
透明電極層309及び半導体層と接しない側の透明電極
層310を選択的に除去した。なお、硫酸アルミニウム
30wt.%水溶液の電気電導度は70.0mS/cm
(65℃)とし、また対向電極面積は基板面積(50m
m×50mm)と同様とした。その後、前記セルを電解
質溶液槽内から取り出し、純水でセル表面の電解質溶液
を十分に洗い流した後、温風オーブンで150℃の温度
で30分乾燥を行った。
【0049】(5)前記電解処理を行ったセルの透明電
極層310上に、塩化第二鉄(FeCl3・6H2O)を
加熱溶融したエッチング性溶液に粒子径5μmのアクリ
ル樹脂の微粒子体及びグリセリンを混錬して作製したエ
ッチングペーストを不図示のスクリーン印刷機で線幅1
mmのラインで、40mm×40mm角のパターンで印
刷した。なお、線厚は30μmとした。その後、不図示
のIRオーブンで温度170℃で5分間加熱処理した
後、セルをIRオーブンから取り出し冷却後、純水でぺ
ーストを剥離し、温風オーブンで150℃の温度で30
分間乾燥を行い、40mm×40mm角のエッチングパ
ターンを形成した。
【0050】上記(1)〜(5)の工程により、エッチ
ングパターンを形成したセルのエッチングラインエリア
内に対して、照度200luxの蛍光灯の光を照射した
時の低照度開放電圧(低照度Voc)の測定及び外観目
視検査を行った。さらに、低照度Voc測定後、集電用
のグリッド電極を銀ペーストのスクリーン印刷法で形成
し、AM1.5の太陽光スペクトルで100mW/cm
2の光量の疑似太陽光源を用いて太陽電池特性を測定
し、光電変換効率を求めた。
【0051】その結果、低照度Vocにおいては0.3
2V、外観目視検査においては欠陥部分のピンホール及
びピンホール近傍における透明電極層の侵食が若干見ら
れたが、全体的な透明電極層の膜厚の減少は小さく、外
観は良好であった。また、光電変換効率においては8.
2%が得られ、本実施例のシングル型太陽電池は良好な
特性であった。すなわち、透明電極層においては、成膜
時に半導体層にプラズマダメージを与えずに且つ堆積速
度の速い均一な膜が得られた。
【0052】(実施例2)本実施例では、太陽電池の半
導体層の構成をトリプル型とした点、半導体層と接しな
い側の透明電極層の最表面部に半導体層と接する側の透
明電極層より比抵抗の高い領域を層厚方向に設けた点、
透明電極層の成膜条件及び電解処理条件が異なる以外は
実施例1と同様にして太陽電池を製造した。
【0053】図6は、本実施例で製造したトリプル型太
陽電池の構成を示した模式的断面図である。図6では、
基板501上に裏面反射層502としてAlを、透明導
電層503としてZnOを堆積した後、表5に示す成膜
条件でa−SiからなるRFn型の半導体層504、a
−SiからなるRFi型の半導体層505、a−SiG
eからなるMWi型の半導体層506、a−Siからな
るRFi型の半導体層507、μc−SiからなるRF
p型の半導体層508(以上ボトム層)、a−Siから
なるRFn型の半導体層509、a−SiからなるRF
i型の半導体層510、a−SiGeからなるMWi型
の半導体層511、a−SiからなるRFi型の半導体
層512、μc−SiからなるRFp型の半導体層51
3(以上ミドル層)、a−SiからなるRFn型の半導
体層514、a−SiからなるRFi型の半導体層51
5、μc−SiからなるRFp型の半導体層516(以
上トップ層)が順次積層されている。すなわち、半導体
層504〜516はa−Si/a−SiGe/μc−S
iからなるトリプルセルとした。
【0054】
【表5】
【0055】その後、半導体層516上に図4に示すバ
ッチ式スパッタリング装置を用いて、表6に示す成膜条
件で、まずターゲット404表面における水平磁場強度
のピーク値B1maxを0.12テスラ、T−S間距離
d1を120mmに設定し、基板温度を200℃、投入
電力密度を1.2W/cm2に制御して半導体層と接す
る側の透明電極層517としてITO膜を15nm成膜
した。なお、この時のITO膜の比抵抗は2.5×10
-4Ω・cmであった。
【0056】次に、基板温度を200℃に保持したま
ま、マグネットとして用いた電磁石の電流値を調整する
ことによりターゲット404表面における水平磁場強度
のピーク値B2maxを0.035テスラ、またT−S
間距離d2を55mmに設定し、放電を再び生起させ、
投入電力密度1.2W/cm2の下、半導体層と接しな
い側の透明電極層518としてITO膜を40nm成膜
した。なお、この時のITO膜の比抵抗は2.7×10
-4Ω・cmであった。
【0057】次に、ヒーターをOFFし基板温度が室温
になるまで冷却した後、基板温度を50℃に制御し、水
平磁場強度のピーク値B2max及びT−S間距離d2
はそのままの状態で半導体層と接しない側の透明電極層
518の最表面部に透明電極層519としてITO膜を
10nm成膜した。なお、この時のITO膜の比抵抗は
9.5×10-4Ω・cmであった。以上で、トリプルセ
ルの作成を終えた。
【0058】
【表6】
【0059】次に、前記トリプルセルを65℃に保温さ
れた硫酸アルミニウム30wt.%水溶液の電解質溶液
槽に入れ、セル基板側を負極、対向電極側を正極とし、
電極間距離40mmの下、正電圧4.2Vを印加時間5
0msとしパルス的に40回印加し電解処理を行った。
なお、硫酸アルミニウム30wt.%水溶液の電気電導
度は70.0mS/cm(65℃)とし、また対向電極
面積は基板面積(50mm×50mm)と同様とした。
その後、前記セルを電解質溶液槽内から取り出し、純水
でセル表面の電解質溶液を十分に洗い流した後、温風オ
ーブンで150℃の温度で30分乾燥を行った。
【0060】その後、実施例1と同様のエッチング処理
によるエッチングパターンの形成を行った。更に、集電
用のグリッド電極を銀ペーストのスクリーン印刷法で形
成した。
【0061】また、本実施例の太陽電池に対しても実施
例1と同様の低照度Vocの測定、外観目視検査及び光
電変換効率の測定を行った。
【0062】その結果、低照度Vocにおいては1.1
5V、外観目視検査においては欠陥部分のピンホールは
目視では観察されず、SEM観察したところ非常に小さ
なピンホールが観察され、ピンホール近傍における透明
電極層の侵食は非常に小さく外観は極めて良好であっ
た。また、光電変換効率においては11.8%が得ら
れ、本実施例のトリプル型太陽電池は良好な特性であっ
た。すなわち、透明電極層においては、成膜時に半導体
層にプラズマダメージを与えずに且つ堆積速度の速い均
一な膜が得られ、更に半導体層と接しない透明電極層の
最表面部に比抵抗の高い領域を薄く設けることでトリプ
ルセルに対して電解処理が非常に効果的に行われてい
た。
【0063】(実施例3)長尺の帯状基板上にロール・
ツー・ロール法を用いて図6に示すトリプル型太陽電池
を製造した。
【0064】以下では、形成の手順に従って説明する。
【0065】(1)オーカイト及び純水で十分に脱脂、
洗浄したステンレス帯状基板(幅355.6mm、長さ
1000m)501を不図示のロール・ツー・ロール型
DCマグネトロンスパッタ装置に入れ、裏面反射層50
2としてAlを200nm堆積し、その後、透明導電層
503としてZnOを1200nm堆積した。
【0066】(2)基板を取り出し、不図示のロール・
ツー・ロール型プラズマCVD装置に入れ、透明導電層
503上に表7に示す成膜条件でa−SiからなるRF
n型の半導体層504、a−SiからなるRFi型の半
導体層505、a−SiGeからなるMWi型の半導体
層506、a−SiからなるRFi型の半導体層50
7、μc−SiからなるRFp型の半導体層508(以
上ボトム層)、a−SiからなるRFn型の半導体層5
09、a−SiからなるRFi型の半導体層510、a
−SiGeからなるMWi型の半導体層511、a−S
iからなるRFi型の半導体層512、μc−Siから
なるRFp型の半導体層513(以上ミドル層)、a−
SiからなるRFn型の半導体層514、a−Siから
なるRFi型の半導体層515、μc−SiからなるR
Fp型の半導体層516(以上トップ層)を順次積層
し、a−Si/a−SiGe/μc−Siトリプルセル
を形成した。
【0067】
【表7】
【0068】(3)基板を取り出し、図7に示すロール
・ツー・ロール型DCマグネトロンスパッタ装置に入れ
半導体層516上に表8に示す成膜条件で、基板を搬送
速度2500mm/minで連続搬送させながら、まず
6放電炉ある内の第1放電炉と第2放電炉において、タ
ーゲット616、617表面における水平磁場強度のピ
ーク値B1maxを0.12テスラ、T−S間距離d1
を105mmに設定し、基板温度を200℃、投入電力
密度を1.2W/cm2に制御して半導体層と接する側
の透明電極層517としてITO膜を15nm堆積さ
せ、その後第3放電炉〜第5放電炉において、ターゲッ
ト618〜620表面における水平磁場強度のピーク値
B2maxを0.035テスラ、T−S間距離d2を5
5mmに設定し、基板温度を200℃、投入電力密度を
1.2W/cm2に制御して半導体層と接しない側の透
明電極層518としてITO膜を40nm堆積させ、そ
の後第5放電炉と第6放電炉の間に設けた冷却手段によ
り基板を冷却し、第6放電炉において基板温度を60℃
に制御し、他は第3放電炉〜第5放電炉と同様の条件で
半導体層と接しない側の透明電極層518の最表面部に
透明電極層519としてITO膜を10nm堆積させ
た。また、この時の基板幅方向における磁界と電界が直
交する点同士の距離Lは570mmであり、基板幅Wと
の比L/Wは1.6であった。なお、この時の半導体層
と接する側の透明電極層517の比抵抗は2.3×10
-4Ω・cm、半導体層と接しない側の透明電極層518
の比抵抗は2.5×10-4Ω・cm、半導体層と接しな
い側の透明電極層の最表面部に設けた透明電極層519
の比抵抗は9.7×10-4Ω・cmであった。以上で、
a−Si/a−SiGe/μc−Siトリプル型太陽電
池セルの作成を終えた。
【0069】
【表8】
【0070】(4)ステンレス帯状基板上に作成したa
−Si/a−SiGe/μc−Siトリプル型太陽電池
セルを355.6mm×120mm(幅355.6mm
はそのままで基板搬送方向に120mm)のサイズに切
断した。以下、前記サイズの太陽電池セルをスラブと呼
ぶことにする。
【0071】(5)前記スラブをpHが1.2に調整さ
れた常温(25℃)の硫酸と水酸化カリウムの混合水溶
液(硫酸2.0%、水酸化カリウム0.7%、純水9
7.3%)の電解質溶液槽に入れ、セル基板側を負極、
対向電極側を正極とし、電極間距離40mmの下、正電
圧4.2Vを印加時間25msとしパルス的に80回印
加し電解処理を行った。なお、硫酸と水酸化カリウムの
混合水溶液の電気電導度は、70.0mS/cm(25
℃)とし、また対向電極面積は基板面積(355.6m
m×120mm)と同様とした。その後、前記スラブを
電解質溶液槽内から取り出し、純水でセル表面の電解質
溶液を十分に洗い流した後、温風オーブンで150℃の
温度で30分乾燥を行った。
【0072】(6)実施例1に記載のエッチングペース
トと同様のぺーストを用いて、不図示のスクリーン印刷
機でスラブの透明電極層519上に線幅1mmのライン
で、18mm×43mm角のエッチングパターン36個
を印刷した。なお、線厚は30μmとした。その後、不
図示のIRオーブンで温度170℃で5分間加熱処理し
た。加熱処理後、スラブをIRオーブンから取り出し冷
却後、スラブを純水で洗浄しペーストを除去した。その
後、スラブを温風オーブンで150℃の温度で30分乾
燥を行った。
【0073】上記(1)〜(6)の工程により、透明電
極層上にエッチングパターンを形成したスラブの各エッ
チングラインエリア(18mm×43mmの長方角が3
6個)内における照度200luxの蛍光灯の光を照射
した時の低照度開放電圧(低照度Voc)の測定及び外
観目視検査を行った。さらに、低照度Voc測定後、各
エッチングラインエリア内に集電用のグリッド電極を銀
ペーストのスクリーン印刷法で形成し、AM1.5の太
陽光スペクトルで100mW/cm2の光量の疑似太陽
光源を用いて太陽電池特性を測定し、光電変換効率及び
歩留り(36個のエッチングエリアに対してそれぞれシ
ャントしているかどうかの判定)を求めた。
【0074】その結果、36個のエッチングエリア内に
おける低照度Vocの平均値は1.10V、外観目視検
査においてはスラブの端面付近に欠陥部分の孔が見ら
れ、端面付近を除くスラブ全域において目視ではピンホ
ールは観察されず、SEM観察したところ非常に小さな
ピンホールが観察され、ピンホール近傍における透明電
極層の侵食は非常に小さく外観は良好であった。また、
基板幅方向における透明電極層の膜厚むらは殆ど無かっ
た。すなわち、透明電極層においては、成膜時に半導体
層にプラズマダメージを与えずに且つ堆積速度の速い均
一な膜が得られ、更に半導体層と接しない透明電極層の
最表面部に比抵抗の高い領域を薄く設けることでトリプ
ルセルに対して電解処理が非常に効果的に行われてい
た。また、光電変換効率の平均値は11.3%、歩留り
は100%が得られ、本実施例の大面積のトリプル型太
陽電池は良好な特性であった。
【0075】(実施例4)本実施例では、透明電極層の
成膜条件及び方法が異なる以外は実施例3と同様にして
図6に示す太陽電池を製造した。
【0076】透明電極層としては、図7に示すロール・
ツー・ロール型DCマグネトロンスパッタ装置を用い
て、半導体層516上に表9に示す成膜条件で、基板を
搬送速度2500mm/minで連続搬送させながら、
まず6放電炉ある内の第1放電炉と第2放電炉におい
て、ターゲット616、617表面における水平磁場強
度のピーク値B1maxを0.14テスラ、T−S間距
離d1を120mmに設定し、酸素流量をスパッタリン
グガスであるアルゴン流量に対して1.3%に制御した
アルゴンと酸素の混合ガスを対向する2本のガス管から
基板搬送方向と同及び逆方向より導入し、基板温度を2
00℃、投入電力密度を1.2W/cm2に制御して半
導体層と接する側の透明電極層517としてITO膜を
10nm堆積させ、その後第3放電炉〜第5放電炉にお
いて、ターゲット618〜620表面における水平磁場
強度のピーク値B2maxを0.03テスラ、T−S間
距離d2を50mmに設定し、酸素流量をスパッタリン
グガスであるアルゴン流量に対して1.3%に制御した
アルゴンと酸素の混合ガスを対向する2本のガス管から
基板搬送方向と同及び逆方向より導入し、基板温度を2
00℃、投入電力密度を1.2W/cm2に制御して半
導体層と接しない側の透明電極層518としてITO膜
を45nm堆積させ、その後第6放電炉において、ター
ゲット621表面における水平磁場強度のピーク値B2
maxを0.035テスラ、T−S間距離d2を55m
mに設定し、対向する2本のガス管の内基板送り出し室
側のガス管から基板搬送方向と同方向よりアルゴンガス
のみを導入し、基板巻き取り室側のガス管から基板搬送
方向と逆方向よりアルゴン流量に対して2.5%に制御
された酸素ガスのみを導入し、基板温度を200℃、投
入電力密度を1.2W/cm 2に制御して半導体層と接
しない側の透明電極層518の最表面部に透明電極層5
19としてITO膜を10nm堆積させた。また、実施
例3と同様にこの時の基板幅方向における磁界と電界が
直交する点同士の距離Lは570mmであり、基板幅W
との比L/Wは1.6であった。なお、この時の半導体
層と接する側の透明電極層517の比抵抗は2.3×1
-4Ω・cm、半導体層と接しない側の透明電極層51
8の比抵抗は2.5×10-4Ω・cm、半導体層と接し
ない側の透明電極層の最表面部に設けた透明電極層51
9の比抵抗は10×10-3Ω・cmであった。以上で、
a−Si/a−SiGe/μc−Siトリプル型太陽電
池セルの作成を終えた。
【0077】
【表9】
【0078】本例においても、太陽電池に対し実施例3
と同様の評価を行った。その結果、36個のエッチング
エリア内における低照度Vocの平均値は1.07V、
外観目視検査においてはスラブの端面付近に欠陥部分の
ピンホールが見られ、端面付近を除くスラブ全域におい
て目視ではピンホールは観察されず、SEM観察したと
ころ非常に小さなピンホールが観察され、ピンホール近
傍における透明電極層の侵食は非常に小さく外観は極め
て良好であった。また、基板幅方向における透明電極層
の膜厚むらは殆ど無かった。すなわち、透明電極層にお
いては、成膜時に半導体層にプラズマダメージを与えず
に且つ堆積速度の速い均一な膜が得られ、更に半導体層
と接しない透明電極層の最表面部に比抵抗の高い領域を
薄く設けることでトリプルセルに対して電解処理が非常
に効果的に行われていた。また、光電変換効率の平均値
は11.0%、歩留りは100%が得られ、本実施例の
大面積のトリプル型太陽電池は良好な特性であった。
【0079】(比較例)本比較例では、透明電極層にお
いて半導体層と接する側の透明電極層を半導体層と接し
ない側の透明電極層と同様の条件、すなわちターゲット
表面における水平磁場強度のピーク値B1maxを0.
035テスラ、T−S間距離を55mmと本発明の範囲
外の条件下で作成した以外は実施例1と同様にして太陽
電池を作成した。
【0080】本例においても、実施例1と同様の低照度
Vocの測定、外観目視検査、光電変換効率の測定を行
った。
【0081】その結果、低照度Vocは0.21V、外
観目視検査においては実施例1と比較して欠陥部分のピ
ンホールが増加しており、さらにピンホール近傍におけ
る透明電極層の侵食も大きくなっており、外観は不良で
あった。すなわち、半導体層と接する側の透明電極層成
膜時に半導体層特には半導体層の最上部層であるp層に
プラズマダメージを与えたと考えられる。また、光電変
換効率においても6.9%であり、良好な特性ではなか
った。
【0082】
【発明の効果】以上説明のように、本発明の光起電力素
子の製造方法によれば、半導体層にプラズマダメージを
与えない且つ堆積速度が速く、大面積にわたって均一な
透明電極層を作製することにより、良好な特性、高い歩
留り及び生産性の良好な光起電力素子特には太陽電池を
提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の一例を示す模式的断面
図である。
【図2】本発明の光起電力素子の別の例を示す模式的断
面図である。
【図3】ターゲット上のトンネル状磁場を説明するため
の図である。
【図4】実施例1により製造されたシングル型太陽電池
の模式的断面図である。
【図5】実施例1におけるバッチ式スパッタリング装置
の概略図である。
【図6】実施例2により製造されたトリプル型太陽電池
の模式的断面図である。
【図7】実施例3におけるロール・ツー・ロール型DC
マグネトロンスパッタ装置である。
【符号の説明】
101 基板 102 半導体層 103 半導体層と接する側の透明電極層 104 半導体層と接しない側の透明電極層 201 基板 202 半導体層 203 半導体層と接する側の透明電極層 204 半導体層と接しない側の透明電極層 205 半導体層と接しない側の透明電極層の最表面部
に設けた透明電極層 301 基板 302 裏面反射層 303 透明導電層 304〜308 半導体層 309 半導体層と接する側の透明電極層 310 半導体層と接しない側の透明電極層 401 基板 402 真空容器 403 ヒーター 404 ターゲット 405 カソード電極 406 マグネットユニット 407 直流電源 408 ガスライン 409,410 マスフローコントローラー 411 排気ポンプ 501 基板 502 裏面反射層 503 透明導電層 504〜516 半導体層 517 半導体層と接する側の透明電極層 518 半導体層と接しない側の透明電極層 519 半導体層と接しない側の透明電極層の最表面部
に設けた透明電極層 601 帯状基板 602 基板送り出し室 603 基板巻き取り室 604〜609 ヒーター 610〜615 カソード電極 616〜621 ターゲット 622〜627 直流電源 628〜633 ガス管 634 冷却手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 正博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA04 AA05 BA12 BA14 CA16 CA17 CB21 CB27 CB29 DA04 DA17 FA02 FA03 FA04 FA18 FA19 FA23 GA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも基板上に半導体層、透明電極
    層を順に積層形成する光起電力素子の製造方法におい
    て、 前記透明電極層が、ターゲット上に複数のトンネル状磁
    場を形成し、前記ターゲットと前記基板との間に電界を
    形成するマグネトロンスパッタリング法により作製さ
    れ、 前記半導体層と接する側の透明電極層を、前記ターゲッ
    ト表面における水平磁場強度のピーク値B1maxを
    0.08テスラ≦B1max≦0.15テスラとし且つ
    前記基板と前記ターゲット間の距離d1を80mm≦d
    1≦150mmとして堆積した後、 前記半導体層と接しない側の透明電極層を、前記ターゲ
    ット表面における水平磁場強度のピーク値B2maxを
    0.02テスラ≦B2max≦0.05テスラとし且つ
    前記基板と前記ターゲット間の距離d2を30mm≦d
    2≦60mmとして堆積することを特徴とする光起電力
    素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記透明電極層の全膜厚範囲を50〜1
    00nmとし、前記透明電極層の前記半導体層と接する
    側の透明電極層の膜厚範囲を10〜20nm且つ前記透
    明電極層の前記半導体層と接しない側の透明電極層の膜
    厚範囲を40〜80nmとすることを特徴とする請求項
    1に記載の光起電力素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記透明電極層を形成する際に、前記基
    板の温度を層厚方向に制御し、前記透明電極層の前記半
    導体層と接しない側の透明電極層の最表面部に、前記透
    明電極層の前記半導体層と接する側の透明電極層より比
    抵抗の高い領域を層厚方向に少なくとも3nm〜10n
    m設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の光起
    電力素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記透明電極層が金属酸化物層から成
    り、該透明電極層を形成する際に、該金属酸化物層の酸
    化度を層厚方向に制御し、前記透明電極層の前記半導体
    層と接しない側の透明電極層の最表面部に、前記透明電
    極層の前記半導体層と接する側の透明電極層より比抵抗
    の高い領域を層厚方向に少なくとも3nm〜10nm設
    けることを特徴とする請求項1又は2に記載の光起電力
    素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記基板が帯状基板であって、前記透明
    電極層がロール・ツー・ロール方式により堆積されるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光起
    電力素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記透明電極層を形成する際、前記帯状
    基板幅内において基板搬送方向と直交する方向の前記タ
    ーゲット表面における水平磁場強度の分布が±10%の
    範囲内にあり、且つ基板幅方向における磁界と電界が直
    交する点同士の距離Lと基板幅Wの比L/Wが1.2≦
    L/W≦1.7であることを特徴とする請求項5に記載
    の光起電力素子の製造方法。
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