JP2001281672A - 液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

液晶表示装置の製造方法

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JP2001281672A
JP2001281672A JP2000096116A JP2000096116A JP2001281672A JP 2001281672 A JP2001281672 A JP 2001281672A JP 2000096116 A JP2000096116 A JP 2000096116A JP 2000096116 A JP2000096116 A JP 2000096116A JP 2001281672 A JP2001281672 A JP 2001281672A
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vertical alignment
alignment film
solvent
substrate
liquid crystal
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JP2000096116A
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Shingo Kataoka
真吾 片岡
Yoshiro Koike
善郎 小池
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示装置の製造方法に関し、垂直配向膜
を欠陥なく塗布するとともに、欠陥が発生した場合に
は、簡単に垂直配向膜を剥離する。 【解決手段】 基板1に設けた垂直配向膜4を剥離する
際の前工程として、垂直配向膜4成分中のジアミン基に
作用し、垂直配向規制力を低下させる処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置の製造
方法に関するものであり、特に、液晶分子を膜面に対し
て垂直に配向させる垂直配向膜を欠陥なく塗布し、或い
は、欠陥が発生した場合に確実に垂直配向膜を剥離させ
ることによって製造歩留りを向上し、且つ、製造コスト
を低減するための構成に特徴のある液晶表示装置の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、アクティブマトリクスを用いた液
晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力が実現できるデ
ィスプレイとして注目されているが、このようなアクテ
ィブマトリクス型液晶表示装置としては、誘電率異方性
が正のp型のネマティック液晶を基板面に対しほぼ水平
に配向させ、且つ、互いに対向する基板間で液晶分子の
配向方向を90°ツイストさせたTN(Twisted
Nematic)方式が主流である。
【0003】しかし、このTNモードの場合には、視野
角が狭い、応答速度が遅いという致命的な欠点がある。
そこで、本出願人は、このTN方式に替わる方式とし
て、誘電率異方性が負のn型の液晶材料を垂直配向さ
せ、且つ、基板表面に設けた突起(Protrusio
n)もしくは抜き(Slit)により電圧印加時の液晶
分子の傾斜方向を規制するMVA(Multi−dom
ain Vertical Alignment)方式
を開発し、視角特性及び応答速度を大幅に改善すること
に成功している。
【0004】ここで、図6及び図7を参照してMVA方
式液晶表示装置を説明する。 図6(a)参照 図6(a)は、電圧を印加しない状態における液晶分子
の配向状態を概略的に示すMAV方式液晶表示装置の部
分切り欠き斜視図であり、ガラスからなるTFT基板2
1にはTFT及びTFTに接続された画素電極(いずれ
も図示を省略)が形成されており、この上にレジストか
らなる突起23が設けられると共に、全面を覆うように
垂直配向膜(図示を省略)が設けられている。
【0005】一方、TFT基板21に対向するCF(カ
ラーフィルタ)基板22は、ガラスからなるとともに、
CF基板22の表面にはITO等からなる対向電極(図
示を省略)が設けられており、この上にレジストからな
る突起24がTFT基板21側に設けた突起23と交互
に位置するように設けられると共に、全面を覆うように
垂直配向膜(図示を省略)が設けられている。
【0006】次いで、対向するTFT基板21とCF基
板22との間に負の誘電率異方性を有するn型液晶を注
入することによってMVA方式液晶表示装置の基本構成
が完成する。この場合、液晶分子25は垂直配向膜の規
制を受けてTFT基板21及びCF基板22に対して垂
直に配向するとともに、突起23,24の傾斜部におい
ては、傾斜面に垂直に配向することになる。
【0007】この様なMVA方式の直視型液晶表示装置
において、TFT基板21側に設ける偏光板とCF基板
22側に設ける偏光板とを、クロスニコルに配置するこ
とによって、電圧を印加しない状態においては入射光が
透過できずに“黒”表示になる。
【0008】図6(b)参照 図6(b)は電圧を印加した状態におけるMVA方式液
晶表示装置の部分切り欠き斜視図であり、電圧を印加す
ることによって、突起23,24の形状構造によって液
晶分子25の傾斜方向が規制されながら印加電圧に応じ
て水平方向に向かって傾き、出射光を透過して“白”表
示が得られることになる。この場合、液晶分子25の1
画素内において複数の方向に配向することになるため視
角特性は改善され、また、液晶分子25の傾斜方向は、
突起23,24近傍の液晶分子25の傾斜方向に規制さ
れて傾斜するので応答速度が改善されることになる。
【0009】図7参照 図7は、画素26に対する突起23及び突起24の配置
パターンを一例を示す平面図であり、TFT基板側に設
けられる突起23及びCF基板側に設けられる突起24
は互いに一定の間隔で三角波状に配置されている。な
お、図においては、3画素分を概略的に図示しており、
画素26のほぼ中央に設けた補助容量バスライン30に
対して突起23及び突起24は線対称に設けられてい
る。
【0010】図に示すように、液晶分子25は、ゲート
電極27側においては夫々C,Dで示すように突起2
3,24に対して垂直方向で且つ互いに逆向きに配向
し、一方、ゲート電極27から離れた側においても夫々
A,Bで示すように突起23,24に対して垂直方向で
且つ互いに逆向きに配向され、C,DとA,Bとは互い
にほぼ直交する方向となる。
【0011】したがって、この様なMVA方式液晶表示
装置に電圧を印加した場合には、液晶は1画素内におい
て、A,B,C,Dの4方向に配向することになるの
で、良好な視角特性を得ることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この様なMV
A方式液晶表示装置においては、液晶分子を垂直に配向
させる配向膜材料、即ち、垂直配向膜材料を用いなけれ
ばならないが、この垂直配向膜材料は表面張力を小さく
するために非極性であるアルキル基の付いたジアミンを
導入しているため、ガラス基板に対する濡れ性は水平配
向膜に劣り、垂直配向膜材料を塗布する際にはじきやく
すなるのでピンホールや膜面の凹凸が発生しやすい問題
がある。
【0013】特に、MVA方式液晶表示装置において
は、TFT基板及びCF基板の少なくとも一方に、突起
或いはスリットを設けているので、通常のTFT液晶表
示装置より大きな凹凸構造を持ち、したがって、この様
な凹凸の激しい基板の表面に欠陥のない垂直配向膜を再
現性良く形成することは困難になる。
【0014】この様な垂直配向膜の表面張力の小ささの
原因は垂直配向膜材料の分子構造にあるので、その事情
を図8及び図9を参照して説明する。 図8乃至図9(c)参照 図8は垂直配向膜の基本骨格を構成する有機化合物の構
造式であり、図におけるR1 は、図9(a)または図9
(b)に示す酸無水物モノマーであり、また、R2 及び
3 は図9(c)に示すのジアミンである。
【0015】また、R2 は、図9(c)における垂直配
向成分となる側鎖部を有する側鎖型ジアミンモノマーで
あり、また、R3 は図9(c)における垂直配向成分と
なる側鎖部を除去した水平配向成分からなるジアミンで
あり、R2 :R3 の比率を変えることによって、即ち、
m:nの比を変えることによって垂直配向能力を制御し
ている。
【0016】また、凹凸の激しい基板の表面に欠陥のな
い垂直配向膜を形成するためには、基板に対する濡れ性
に関して高いレベルのものが要求されるとともに、配向
膜材料を塗布する際の溶剤としては、突起を構成するレ
ジストに対する膨潤度の小さな材料を選択する必要があ
る。
【0017】上述の各問題は、垂直配向膜としてポリイ
ミド系配向膜材料を用いた場合に特に顕著になる。即
ち、ポリイミド或いは部分的にポリイミド骨格を有する
配向膜材料はポリマーの剛直性が強く、且つ、図8に示
すように分子が長い等の理由から溶剤に対して濡れにく
いだけでなく、溶けにくく、且つ、吸湿により析出して
沈澱しやすいという問題がある。
【0018】そのため、通常のポリイミド系水平配向膜
材料では、上記の可溶性という点に重点がおかれ、ポリ
マーを溶解させるためのNMP(1−メチル−2−ピロ
リドン)と吸湿性を抑えるためのγ−BL(γ−ブチル
ラクトン)とで溶媒成分のおよそ80%〜90%を占め
ているのが現状である。
【0019】しかし、このγ−BL(表面張力≒43d
yn/cm)は極性が大きいので主要な溶剤成分の中で
最も表面張力が大きく、配向膜材料であるポリマーの可
溶性自体は高くなるものの、極性が高い溶剤ほど凸版を
介して基板に転写された時、凸版のメッシュ跡がそのま
ま残る等のレベリング性に問題があり、膜の平坦化が困
難である。
【0020】また、γ−BLはNMPと比較すると極性
の低い溶剤と混ざった時の可溶性が悪く、表面張力を小
さくするために非極性成分を多くしている垂直配向膜材
料は、非極性成分が少なく表面張力が大きな水平配向膜
材料と比較してγ−BLに溶けずらくなっている。その
ため、極性が大きな溶媒に対して、印刷後の焼成時に疎
水性相互作用により凝集しやすく、基板に対するバジキ
やピンホールが生じやすくなる。なお、極性の高い溶剤
の比率を減らしていくほど、この凝集はなくなる傾向に
あるが、あまり減らすと今度はポリマー中の極性の大き
な酸無水物が溶けなくなるため、バランスが重要にな
る。
【0021】また、印刷面にハジキによる微小なピンホ
ールが生じたとき、ピンホールにおいては液晶分子が水
平配向となり、従来のTN方式、或いは、電圧無印加時
の初期配向が水平であるモードでは平均化されて問題と
ならないものの、垂直配向モードでは黒表示時に輝点と
して現れ、表示品質を大きく落としてしまうという問題
がある。
【0022】例えば、突起を設けたMVA基板の表面
に、感光性ポリブタジエン(コムラテック製)からなる
メッシュサイズが300ライン/インチの印刷版を備え
た日本写真印刷(株)製の印刷装置を用いて、0.15
mmの印刷圧によって、ポリイミド材料からなる垂直配
向膜a(RN−1358:日産化学社製製品名)を塗布
する際に、溶媒組成として、NMP:γ−BL:BC
(ブチルセロソルブ)=50:30:20とする。
【0023】この場合、垂直配向膜の膜厚に、250Å
程度の凹凸が観察され、この基板を用いて液晶セルを作
製したところ、表示にザラツキが強く生じるとともに、
画素と同程度の大きさのハジキにより輝点が多く発生し
た。
【0024】また、同様に、MVA基板に、溶媒組成と
してNMP:γ−BL:BC=50:40:10を用い
て、ポリイミド骨格を有する垂直配向膜A(JALS−
2046:JSR社製製品名)を塗布した場合、配向膜
厚に300Å程度の凹凸が観察され、この基板を用いて
液晶セルを作製したところ、表示にザラツキが強く生じ
るとともに、画素と同程度の大きさのハジキにより輝点
が多く発生した。
【0025】この様なハジキの問題を改善するために
は、溶剤として表面張力の小さな材料であるBC(ブチ
ルセロソルブ:表面張力≒27dyn/cm)をより多
く用いれば良いが、このBCは極性が高く、ポリマーの
溶解性を低下させるという問題が発生する。
【0026】また、配向膜材料を塗布する際に、例え
ば、感光性ポリブタジエンからなるメッシュを用いた印
刷版を用いて塗布することになるが、印刷面にメッシュ
跡による凹凸が形成され、この印刷面の凹凸が表示にザ
ラツキ感を与え、このザラツキ感は特に垂直配向モード
の場合に顕著になるので問題となる。
【0027】この様な印刷版のメッシュに起因するザラ
ツキ感は、メッシュを膨潤させることによって改善する
ことができるものの、上述のように、溶剤として吸湿性
を抑えるためのγ−BLは、主要な溶剤成分の中で印刷
版に対する膨潤度(0.5%)が最も低いために問題と
なる。一方、γ−BLの比率を低下させると吸湿による
ポリマーの析出が問題となる。
【0028】一方、配向膜に欠陥が発生した場合には、
TFT等を形成した高価な基板を有効利用するために、
基板に形成した配向膜を剥離工程により一旦除去し、再
度配向膜形成工程に投入することになる。この様な剥離
工程は、特別な装置及び材料を用いずに現行の設備或い
は材料を流用して行うことが望ましいく、この様な現行
の設備或いは材料としては感光性樹脂の現像装置及び現
像液が挙げられる。例えば、剥離液としては、アルカリ
水溶液、特に、現像液として多用されているTMAH
(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)水溶
液中で揺動することによって配向膜を剥離することが好
適である。
【0029】例えば、ガラス基板上にITO電極を設け
たITOベタ基板上に、全面に、垂直配向膜材料を塗布
したのち、80℃で焼成した状態のものを、TMAH
2.38%水溶液中に浸漬して、2分間揺動させて垂直
配向膜の剥離を試みた。
【0030】この場合、垂直配向膜として、垂直配向膜
B(JALS−684:JSR社製製品名)、垂直配向
膜C(JALS−2008:JSR社製製品名)、及
び、垂直配向膜b(RN−1276:日産化学社製製品
名)を用いた場合、垂直配向膜Bの剥離はできたもの
の、垂直配向膜C,bの場合には剥離ができなかった。
【0031】さらに、ガラス基板上にITO電極を設け
た基板上に、レジストLC−200(シプレイ社製製品
名)により高さ1.3μmで幅5μmの突起を60μm
の間隙で設け、次いで、全面に、垂直配向膜材料を塗布
したのち、80℃で焼成した状態のものを、TMAH
2.38%水溶液中に浸漬して、2分間揺動させて垂直
配向膜の剥離を試みた。この場合、垂直配向膜Bの場合
には、残渣が多く残り、ほとんど剥離することができ
ず、垂直配向膜C,bの場合には、全く剥離することが
できなかった。
【0032】以上のように、表面張力が小さな垂直配向
膜の場合には、TMAH水溶液中の揺動では剥離させる
ことが困難であり、特に、突起やスリットを設けるMV
A方式液晶表示装置の場合には、突起の近傍に残渣が残
りやすく、配向膜の剥離がより困難になる。
【0033】一方、塗布時の溶剤であるNMPを剥離液
として用いた場合には剥離が可能であるものの、NMP
はTMAHと比較して非常に高価であり、且つ、剥離装
置の材質としてNMPに対する耐性の強いテフロン(登
録商標)製装置等を用いる必要があり、コスト面で不利
であり、さらに、環境に対する影響についても考慮する
必要がある。
【0034】したがって、本発明は、垂直配向膜を欠陥
なく塗布するとともに、欠陥が発生した場合には、簡単
に垂直配向膜を剥離することを目的とする。
【0035】
【課題を解決するための手段】ここで、図1を参照して
本発明における課題を解決するための手段を説明する。 図1(a)及び(b)参照 (1)本発明は、液晶表示装置の製造方法において、基
板1に設けた垂直配向膜4を剥離する際の前工程とし
て、垂直配向膜成分中のジアミン基に作用し、垂直配向
規制力を低下させる処理を行うことを特徴とする。
【0036】この様に、ピンホール等の欠陥を有する垂
直配向膜4を基板1から剥離する際に、前処理として、
垂直配向膜成分中のジアミン基に作用し、垂直配向規制
力を低下させる処理を行うことにより、垂直配向膜4の
表面張力が大きくなり、剥離液6に対する濡れ性が向上
するので、通常の剥離液6中で揺動するだけで、垂直配
向膜4を確実に剥離することが可能になる。
【0037】また、本発明は、上記(1)において、垂
直配向規制力を低下させた後の垂直配向膜4の表面張力
を40dyn/cm以上とするとが望ましい。即ち、前
処理によって垂直配向膜4の表面張力を40dyn/c
m以上にすることによって、通常のレジストの現像液で
あるTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキ
サイド)水溶液を用いても剥離が可能になるので、低コ
スト化が可能になる。
【0038】(2)また、本発明は、上記(1)におい
て、垂直配向規制力を低下させる処理として、酸素雰囲
気中での紫外線照射処理を行うことを特徴とする。
【0039】この様に、垂直配向規制力を低下させる処
理としては、酸素雰囲気中、特に、大気中で紫外線5を
照射する紫外線照射処理を行うことが好適であり、それ
によって、特別の装置及び材料を用いることなく、垂直
配向規制力を低下させることができ、低コスト化に寄与
することになる。
【0040】また、本発明は、上記(1)において、垂
直配向規制力を低下させる処理として、酸素プラズマ処
理或いはIPA(イソプロピルアルコール)での超音波
振動処理のいずれかを行っても良いものである。即ち、
酸素プラズマ中で垂直配向膜4をアッシング処理しても
良いし、或いは、表面活性作用のあるIPA中に浸漬す
ることによって濡れ性が高まり、超音波振動によって剥
離しやすくなる。さらに、アルコール系は垂直配向膜4
を構成する分子間の結合を切る作用もあるので、垂直配
向規制力が弱まる。
【0041】また、本発明は、上記(1)または(2)
において、剥離液6として、アルカリ水溶液、特に、T
MAHを用いることが好適である。即ち、TMAHは非
常に安価であり、且つ、入手が容易であるので、剥離工
程を現行の装置及び材料を用いて低コストで行うことが
できる。
【0042】また、本発明は、上記(1)または(2)
において、剥離液6中に、垂直配向膜4に対する接触角
を低下させる界面活性剤を添加しても良いものである。
即ち、界面活性剤を添加することによって濡れ性が改善
されるので、剥離が容易になる。なお、界面活性剤とし
て、通常の界面活性剤以外にも、界面活性作用のあるI
PAを添加しても良いものである。
【0043】また、本発明は、上記(1)または(2)
において、基板1として、基板1上に突起3または電極
2の抜き部が形成されて表面に凹凸のある基板1に適用
することが好適である。即ち、表面に凹凸のあるMVA
基板の場合には、凹凸の近傍で垂直配向膜4の膜厚が厚
くなりやすく、それによって剥離がより困難になるの
で、上記(1)または(2)の手法は、MVA基板に好
適である。
【0044】(3)また、本発明は、液晶表示装置の製
造方法において、互いに対向させるとともに、少なくと
も一方の表面に突起3或いは電極2の抜き部を設けた基
板1の表面に垂直配向膜4を形成する工程において、表
面張力が31dyn/cm以下の溶剤の比率が30重量
%以上である溶媒に溶解されているポリイミド或いは部
分的にポリイミド骨格を有する高分子を用いることを特
徴とする。
【0045】この様に、垂直配向膜4を構成するポリイ
ミド或いは部分的にポリイミド骨格を有する高分子を溶
解させる溶媒中の表面張力が31dyn/cm以下の溶
剤の比率を30%重量以上とすることによって、塗布時
の基板1の表面におけるハジケによる膜厚の凹凸を小さ
くすることができ、それによって、ピンホールがない垂
直配向膜4を再現性良く形成することができ、且つ、ザ
ラツキ感のない表示を実現することができる。
【0046】(4)また、本発明は、上記(3)におい
て、ポリイミド或いは部分的にポリイミド骨格を有する
高分子を溶解させる溶媒中の1−メチル−2−ピロリド
ンの重量比が、25%<1−メチル−2−ピロリドンの
重量比≦60%であることを特徴とする。
【0047】この様に、溶媒中のNMP(1−メチル−
2−ピロリドン)の重量比は、25%以下であるとポリ
マーの析出が起こり、一方、60%を越えると突起3を
構成するレジストに対する膨潤度が極めて高くなり、且
つ、残留DC、即ち、残留電荷による配向のバラツキが
大きくなるので、25%<1−メチル−2−ピロリドン
の重量比≦60%にすることが好適である。
【0048】(5)また、本発明は、上記(3)または
(4)において、ポリイミド或いは部分的にポリイミド
骨格を有する高分子を溶解させる溶媒が、ブチルセロソ
ルブを含まず、1−メチル−2−ピロリドン及びγ−ブ
チルラクトンを除いて、ブチルセロソルブより極性の低
い溶剤のみからなることを特徴とする。
【0049】この様に、溶剤には、極性が高くポリマー
の溶解性を低下させるBC(ブチルセロソルブ)を含ま
せないことが好適であり、BCの替わりに、表面張力が
低く、且つ、BCより極性の低い溶剤を用いることが好
適である。
【0050】また、本発明は、上記(5)において、溶
媒中のγ−BL(γ−ブチルラクトン)の重量比が0〜
40%であることを特徴とする。即ち、γ−BLは表面
張力が高く、且つ、印刷版に対する膨潤度が低く、40
%を越えるとザラツキ感は強くなるので、40%以下に
することが望ましい。
【0051】また、本発明は、上記(5)において、溶
媒中のγ−BL(γ−ブチルラクトン)の重量比を0と
し、DAA(ジアセトアルコール)を添加することを特
徴とする。即ち、DAAは表面張力が小さく、且つ、吸
湿によるポリマー析出を抑制する作用があるので、γ−
BLの替わりにDAAを用いることが望ましく、特に、
溶媒を約60重量%のNMPと約40重量%のDAAの
みで構成した場合に、残留DCのバラツキを最低にする
ことができる。
【0052】また、本発明は、上記(5)において、溶
媒中におけるBC(ブチルセロソルブ)よりも印刷版に
対する膨潤度の大きな溶剤の重量比を30%以上とした
ことを特徴とする。この様に、印刷版に対する膨潤度の
大きな溶剤の重量比を30%以上とすることによって、
印刷版のメッシュ跡による膜厚の凹凸を小さくすること
ができ、ザラツキ感のない表示を実現することができ
る。なお、この様な溶剤としては、印刷版に対する膨潤
度が60%程度であり、且つ、表面張力がBCとほぼ同
程度のDGDE(ジエチレングリコールジエチルエーテ
ル)が好適である。
【0053】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の第1の実施の形
態の垂直配向膜の剥離工程を説明する。まず、ガラス基
板の全面にITOを設けたITOベタ基板と、ITOベ
タ基板上にレジストLC−200(シプレイ社製製品
名)により高さ1.3μmで幅5μmの突起を60μm
の間隙で設けたMVA基板を用意したのち、ITO基板
及びMVA基板の表面に垂直配向膜材料を塗布し、例え
ば、80℃で焼成して垂直配向膜を形成する。
【0054】次いで、各種の垂直配向規制力を低下させ
る前処理を行ったのち、TMAH2.38%水溶液中に
浸漬して、2分間揺動させて垂直配向膜の剥離を試みる
とともに、前処理前後の垂直配向膜の表面張力を測定す
る。この場合の表面張力は、表面張力が既知である水と
ジオドメタンを垂直配向膜上に滴下してその接触角を測
定し、測定結果を拡張ホークスの式に代入して求めたも
のである。
【0055】以上を前提として、本発明の第1の実施の
形態における前処理に関する具体的実施例を説明する。 (実施例1)ITOベタ基板及びMVA基板の双方に、
垂直配向膜材料を塗布したのち、80℃で焼成した垂直
配向膜に対し、エキシマUVを用いて、波長が、例え
ば、254nmの紫外線を2000mJ照射する前処理
を行い、次いで、TMAH2.38%水溶液中に浸漬し
て、2分間揺動させて垂直配向膜の剥離を試みた。例え
ば、エキシマ光照射装置としては、ウシオ電機(株)製
UER465308−172(製品名)を用いた。
【0056】垂直配向膜として、垂直配向膜B(JAL
S−684:JSR社製製品名)、垂直配向膜C(JA
LS−2008:JSR社製製品名)、及び、垂直配向
膜b(RN−1276:日産化学社製製品名)を用いた
場合、ITO基板及びMVA基板の双方において、いず
れの垂直配向膜の剥離が可能であった。
【0057】そこで、各垂直配向膜の表面張力の変化を
調べてみた結果を纏めたのが表1である。
【表1】
【0058】表1から明らかなように、垂直配向膜B
(JALS−684:JSR社製製品名)の場合には、
紫外線照射前に38.2〜38.8dyn/cmであっ
た表面張力が紫外線照射後には42.3〜43.4dy
n/cmに上昇し、垂直配向膜C(JALS−200
8:JSR社製製品名)の場合には、紫外線照射前に3
6.5〜37.2dyn/cmであった表面張力が紫外
線照射後には41.2〜42.7dyn/cmに上昇
し、また、垂直配向膜b(RN−1276:日産化学社
製製品名)の場合には、紫外線照射前に34.8〜3
5.5dyn/cmであった表面張力が紫外線照射後に
は40.5〜41.3dyn/cmに上昇しているのが
確認された。なお、上記の各数値は、6枚の基板の最低
値と最高値を表示している。
【0059】したがって、TMAH水溶液中での剥離が
可能な表面張力の境界は40dyn/cmであると考え
られるので、紫外線照射後の表面張力が40dyn/c
m以上になるように紫外線の波長及び照射エネルギーを
決定すれば良い。
【0060】(実施例2)ITOベタ基板及びMVA基
板の双方に、垂直配向膜B(JALS−684:JSR
社製製品名)を形成したのち、IPA(イソプロピルア
ルコール)中に浸漬し、例えば、15分間超音波を印加
する前処理を行う。
【0061】次いで、TMAH2.38%水溶液中に浸
漬して、2分間揺動させて垂直配向膜の剥離を試みた結
果、ITOベタ基板及びMVA基板の双方において、垂
直配向膜の剥離が可能であった。
【0062】この場合、IPAは界面活性作用があるの
で、濡れ性が改善され、超音波振動によって剥離しやす
くなるとともに、アルコールは垂直配向膜の分子結合を
切る作用があるので、表面配向規制力が低減し表面張力
が上昇するためと考えられる。
【0063】(実施例3)ITOベタ基板及びMVA基
板の双方に、実施例1と同様に、垂直配向膜B(JAL
S−684:JSR社製製品名)、垂直配向膜C(JA
LS−2008:JSR社製製品名)、及び、垂直配向
膜b(RN−1276:日産化学社製製品名)を形成し
たのち、O2 プラズマ用いたアッシング処理を行って、
垂直配向膜の表面張力を40dyn/cm以上にする。
【0064】次いで、TMAH2.38%水溶液中に浸
漬して、2分間揺動させて垂直配向膜の剥離を試みた結
果、ITOベタ基板及びMVA基板の双方において、い
ずれの垂直配向膜の剥離が可能であった。この場合、O
2 プラズマアッシングによって垂直配向膜の表面が荒ら
され、TMAH水溶液との濡れ性が改善されるためと考
えられる。
【0065】(実施例4)MVA基板に、図8(c)に
示した垂直配向成分比率、即ち、R2 /(R2 +R3
=rを変化させた各種の配向膜、即ち、r=0.05の
垂直配向膜D(JALS−2023:JSR社製製品
名)、r=0.1の垂直配向膜E(JALS−200
4:JSR社製製品名)、r=0.25の垂直配向膜F
(JALS−688:JSR社製製品名)、r=0.6
5の垂直配向膜G(JALS−2009:JSR社製製
品名)、及び、r=1.0の垂直配向膜H(JALS−
2024:JSR社製製品名)を形成したのち、波長
が、例えば、254nmの紫外線を2000mJ照射す
る前処理を行った。
【0066】次いで、紫外線照射前のMVA基板と紫外
線照射後のMVA基板の双方をTMAH2.38%水溶
液中に浸漬して、2分間揺動させて垂直配向膜の剥離を
試みた結果、垂直配向成分比率rが0.1以下で表面張
力が40dyn/cm以上の垂直配向膜D及び垂直配向
膜Eの場合には、紫外線照射前のMVA基板において
も、いずれの垂直配向膜の剥離が可能であった。
【0067】一方、垂直配向成分rが0.25,0.6
5の垂直配向膜F及び垂直配向膜Gの場合には、紫外線
照射後の基板においてのみ垂直配向膜の剥離が可能であ
った。
【0068】また、垂直配向成分rが1.0の垂直配向
膜Hの場合には、紫外線照射後においても通常のTMA
H水溶液中での揺動では剥離は不可能であり、TMAH
に界面活性剤を加えた水溶液を用いた場合に剥離が可能
であった。
【0069】これは、TMAHに接触角を低下させる界
面活性剤を加えることによって、垂直配向膜との濡れ性
が改善されるためと考えられる。なお、この場合の界面
活性剤入りのTMAH水溶液としては、CS−5000
(JSR社製製品名)及びTS−201(三洋化成工業
社製製品名)を用いたが、いずれの場合も剥離が可能で
あった。
【0070】(実施例5)この実施例5は、実際にTF
Tを形成したTFT基板、及び、実際にカラーフィルタ
を形成したCF基板を用いたものであり、TFT基板及
びCF基板の双方に、実施例1と同様に、レジストLC
−200(シプレイ社製製品名)により高さ1.3μm
で幅5μmの突起を60μmの間隙で設けたのち、双方
に基板の表面に、垂直配向膜B(JALS−684:J
SR社製製品名)、垂直配向膜C(JALS−200
8:JSR社製製品名)、及び、垂直配向膜b(RN−
1276:日産化学社製製品名)を形成したのち、波長
が、例えば、254nmの紫外線を3000mJ照射す
る前処理を行った。
【0071】次いで、TMAH2.38%水溶液中に浸
漬して、2分間揺動させて垂直配向膜の剥離を試みた結
果、CF基板の場合には、いずれの垂直配向膜も剥離が
可能であった。しかし、表面の凹凸がより大きなTFT
基板の場合には、垂直配向膜C及び垂直配向膜bでは僅
かに残渣が見られた。
【0072】そこで、TFT基板について、界面活性剤
入りのTMAH水溶液であるCS−5000(JSR社
製製品名)及びTS−201(三洋化成工業社製製品
名)中で揺動を行った結果、いずれの液においても残渣
について大きな改善効果が確認された。
【0073】次に、MVA基板に対して、欠陥の発生の
ない垂直配向膜を塗布するための溶媒の組成に特徴のあ
る本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実
施の形態においては、突起を設けたMVA基板の表面
に、感光性ポリブタジエン(コムラテック製)からなる
メッシュサイズが300ライン/インチの印刷版を備え
た日本写真印刷(株)製の印刷装置を用いて、0.15
mmの印刷圧によって、垂直配向膜材料を塗布する際
に、垂直配向膜材料を溶解する溶媒組成として、NMP
(1−メチル−2−ピロリドン)、γ−BL(γ−ブチ
ルラクトン)、BC(ブチルセロソルブ)、DAA(ジ
アセトンアルコール)、及び、DGDE(ジエチレング
リコールジエチルエーテル)を各種組み合わせて用いて
塗布し、その結果について、垂直配向膜の膜厚の凹凸の
大きさ、ザラツキ感、及び、溶解性、或いは、残留DC
バラツキについての測定を行う。
【0074】図3参照 図3は、本発明の第2の実施の形態に用いる各種の溶剤
の表面張力と感光性ポリブタジエン(コムラテック製)
からなるメッシュに対する膨潤度の相関図であり、NM
Pとγ−BL、BCとDAAとは夫々ほぼ同様の相関を
示し、DGDEは他と異なった相関を示している。
【0075】以上を前提に、本発明の第2の実施の形態
に関する具体的実施例を説明する。 (実施例6)従来の溶媒中の表面張力を低下させるため
の溶剤としてBC(表面張力≒27dyn/cm)を用
いているが、この場合のBCの比は20重量%であるた
め、さらに表面張力を低下させるためにBCの比率を増
やした場合にはBCの極性の高さに起因してポリマーの
析出が見られ、印刷性の改善を図ることができなかっ
た。
【0076】そこで、実施例6においては、表面張力を
低下させるための溶剤としてBCの替わりにDGDE
(表面張力≒27〜28dyn/cm)を用いたもので
あり、γ−BLを30重量%にした状態で、NMPとD
GDEの相対比率を変化させたものであり、この溶媒中
に垂直配向膜材料としてポリイミド材料である垂直配向
膜a(RN−1358:日産化学株式会社製製品名)を
溶解させて塗布したものであり、その結果を表2として
示す。
【0077】
【表2】 表2に示すように、DGDEの増加とともに、垂直配向
膜aの膜厚における凹凸は漸減し、DGDEが30重量
%において、凹凸が100Å程度になり、輝点は少なく
なり、また、DGDEが40重量%において、凹凸が1
00Å以下になり、輝点のほとんどない優れた表示特性
が得られた。したがって、DGDEを溶剤として用いる
場合には、その比率としては、30重量%以上にするこ
とが必要である。
【0078】(実施例7)実施例7においては、表面張
力を低下させるための溶剤としてBCの替わりに用いる
DGDEの比率を30重量%にした状態で、NMPとγ
−BLの相対比率を変化させたものであり、この溶媒中
に垂直配向膜材料としてポリイミド材料である垂直配向
膜a(RN−1358:日産化学株式会社製製品名)を
溶解させたものであり、その結果を表3として示す。
【0079】
【表3】 表3に示すように、ポリマーを溶解させる性質の強いN
MPの低下とともに、ポリイミド材料の可溶性が低下
し、NMPが25重量%において、ポリマーの析出が見
られた。この様な傾向は、γ−BLの比率を30重量%
とした状態で、NMPの比率を下げ、DGDEの比率を
高めた場合にも同様であり、したがって、NMPの比率
としては、25重量%を越えた値とする必要がある。
【0080】(実施例8)実施例8においては、表面張
力を低下させるための溶剤としてBCの替わりにDGD
Eを用い、γ−BLの比率を40重量%にした状態で、
NMPとDGDEの相対比率を変化させたものであり、
この第8の実施例においては、溶媒中に垂直配向膜材料
としてポリイミド骨格も持つ材料である垂直配向膜A
(JALS−2046:JSR社製製品名)を溶解させ
て塗布したものであり、その結果を表4として示す。
【0081】
【表4】 表4に示すように、DGDEの増加とともに、垂直配向
膜aの膜厚における凹凸は漸減し、DGDEが30重量
%において、凹凸が100Å以下になり、輝点のない優
れた表示特性が得られた。
【0082】但し、DGDEの比率が40重量%におい
て、ポリマーの析出が見られたが、これは、NMPの比
率が20重量%であるためである。したがって、この結
果からも、DGDEを溶剤として用いる場合には、その
比率としては、30重量%以上にすることが必要である
ことが理解される。
【0083】(実施例9)実施例9においては、表面張
力を低下させるための溶剤としてBCの替わりに用いる
DGDEの比率を30重量%にした状態で、NMPとγ
−BLの相対比率を変化させた溶媒、及び、γ−BLの
比率を40重量%にした状態で、NMPとDGDEの相
対比率を変化させた溶媒を用い、これらの溶媒中に垂直
配向膜材料としてポリイミド骨格も持つ材料である垂直
配向膜A(JALS−2046:JSR社製製品名)を
溶解させて塗布したものであり、その結果を表5として
示す。
【0084】
【表5】 表5に示すように、ポリマーを溶解させる性質の強いN
MPの低下とともに、ポリイミド材料の可溶性が低下
し、いずれの溶媒の場合にも、NMPが25重量%にお
いて、ポリマーの析出が見られた。
【0085】したがって、垂直配向膜材料としてポリイ
ミド骨格も持つ材料である垂直配向膜A(JALS−2
046:JSR社製製品名)を用いた場合にも、NMP
の比率としては、25重量%を越えた値とする必要があ
ることが理解される。
【0086】(実施例10)実施例10においては、表
面張力を低下させるための溶剤としてBCの替わりにD
AA(表面張力≒30dyn/cm)を用いたものであ
り、NMP、γ−BL、及び、DAAの相対比率を変化
させた溶媒中に垂直配向膜材料としてポリイミド骨格も
持つ材料である垂直配向膜A(JALS−2046:J
SR社製製品名)を溶解させて塗布したものであり、そ
の結果を表6として示す。
【0087】
【表6】 表6に示すように、表面張力の大きなγ−BL(表面張
力≒43dyn/cm)の低下とともに濡れ性が改善さ
れ、γ−BLを0%とした場合には、NMPを50重量
%以上とした場合に、垂直配向膜の膜厚の凹凸は150
Å以下になり、NMP:γ−BL:DAA=60:0:
40の場合にザラツキ感の極めて軽微な優れた表示特性
が得られた。なお、DAAを用いた場合には、γ−BL
を0%にしても吸湿性に問題は発生しなかった。
【0088】また、上記の図3から明らかなように、γ
−BL(膨潤度≒0.5%)の印刷版に対する膨潤性が
極めて低く、印刷版のメッシュに起因する凹凸がザラツ
キ感に影響を与えるので、表面張力を低下させる溶剤と
して膨潤性の低いDAA(膨潤度≒2%)を用いた場合
には、γ−BLの比率はできるだけ0に近づけることが
好適である。
【0089】なお、実施例6〜9のように、表面張力を
低下させる溶剤として膨潤性の高いDGDE(膨潤度≒
59%)を用いた場合には、γ−BLの低膨潤性は問題
にならないものの、高表面張力性の観点からγ−BLの
比率は40重量%以下にすることが好適である。
【0090】(実施例11)実施例11は、MVA基板
に設ける突起を構成するレジストに対する溶媒の膨潤性
を考慮した場合であり、レジストLC−200(シプレ
イ社製製品名)により高さ1.5μmで幅10μmの突
起を設けたMVA基板を用意し、NMPとBCの相対比
率を変化させた各種溶媒中に垂直配向膜材料としてポリ
イミド骨格も持つ材料である垂直配向膜B(JALS−
684:JSR社製製品名)を溶解させて塗布し、セル
厚を3.5μmの実際に表示セルを1条件について6枚
作製し、残留DCバラツキ、即ち、液晶セルにおける残
留電荷に起因する液晶分子の配向のバラツキを測定した
ものであり、結果を表7に示す。
【0091】
【表7】 表7に示すように、NMPの比率を60重量%以下にす
ることによって残留DCバラツキを小さくすることがで
きるので、NMPの比率としては60重量%以下が好適
であることが理解される。これは、溶媒の突起を構成す
るレジストに対する膨潤度が影響していると考えられる
ので、この事情を図4及び図5を参照して説明する。
【0092】図4参照 図4は、各溶剤の突起を構成するレジストに対する膨潤
度を示す図であり、通常の溶剤を構成するNMPの膨潤
度は約30%であり、γ−BLの膨潤度は約15°であ
り、BCの膨潤度は約2%である。一方、本発明の実施
の形態に用いいるDAAの膨潤度は約2%であり、DG
DEの膨潤度は約1%である。
【0093】図5参照 図5は、膨潤度が約30%のNMPと膨潤度が約2%の
BCとからなる溶媒のレジストに対する膨潤度を示した
図であり、NMP比率の減少とともに膨潤度の低下し、
表7において、優れた残留DCバラツキが得られるNM
P比率が60重量%以下において、膨潤度は約11.5
%以下になっている。
【0094】これは、膨潤度が高いと、配向膜材料を塗
布する際に溶媒が突起を構成するレジスト中に含浸して
膨潤し、突起の形状が変形し、焼成工程において溶媒が
蒸発した後にも、膨潤に伴う突起の形状変形の影響が残
るため、残留DCバラツキが発生するものと考えられ
る。
【0095】したがって、残留DCバラツキを許容範囲
に低減するためには、溶媒全体としてのレジストに対す
る膨潤度は約11.5%以下になるようにする必要があ
り、そのためには、溶媒中におけるNMPの比率は60
重量%以下にする必要がある。なお、この実施例11に
おいては、低表面張力の溶剤としてBCを用いている
が、印刷性を高めるために比率を増加させた場合、極性
が高いためにポリマーが析出するという上述の理由によ
って、BCの替わりに、DGDE或いはDAAを用いる
ことが望ましい。
【0096】以上の第2の実施の形態に関する実施例6
乃至実施例11を総合的に判断すると、MVA基板等の
基板との濡れ性を改善するための低表面張力の溶剤の溶
媒中に占める比率としては、表面張力が31dyn/c
m以下の溶剤を30重量%以上含むようにすれば良い。
【0097】また、ポリイミド等の垂直配向膜を構成す
る高分子を溶解させるためのNMPの比率は、ポリマー
の析出及び残留DCバラツキの観点から25重量%<N
MPの比率≦60重量%にすることが望ましい。
【0098】また、吸湿性を抑えるためのγ−BLの比
率は、印刷版に対する膨潤性の観点から、40重量%以
下であることが望ましく、特に、低表面張力溶剤として
膨潤度の低いDAAを用いた場合には、γ−BLはでき
る限り0に近いほど望ましい。
【0099】また、溶媒としてBCを用いない場合に
は、低表面張力の溶剤として、印刷版に対する膨潤度も
考慮して、BC(表面張力≒27dyn/cm,膨潤度
≒13%)より膨潤度の大きな溶剤を用い、その比率を
30重量%以上にすることが望ましい。例えば、この様
な膨潤度の大きな低表面張力の溶剤としてはDGDE
(表面張力≒27〜28dyn/cm,膨潤度≒59
%)が好適であり、上記の実施例6から明らかなように
DGDEの比率は30重量%以上にすることが望まし
い。
【0100】また、BCは低表面張力であるものの、極
性が大きいので、低表面張力の溶剤としては、BCの替
わりに極性の小さなDAA或いはDGDEを用いること
が望ましく、それによって、ポリマーの析出を抑制する
とともに、環境に対する影響を小さくすることが可能に
なる。
【0101】以上、本発明の各実施の形態及各実施例を
説明してきたが、本発明は各実施の形態及び各実施例に
記載した構成及び条件に限られるものではなく、各種の
変更が可能である。例えば、上記の各実施の形態におい
ては、本発明の効果が表れやすい表面に突起或いはスリ
ットを有するMVA基板を用いて説明しているが、本発
明はMVA方式の液晶表示装置に限られるものではな
く、通常のTN方式の液晶表示装置も対象とするもので
ある。
【0102】また、上記の実施の形態或いは各実施例に
おいては、垂直配向膜として、ポリイミド骨格を有する
垂直配向膜A〜H及びポリイミド材料からなる垂直配向
膜a,bを用いているがこれらの垂直配向膜に限られる
ものでなく、液晶分子の垂直配向規制力を有する配向膜
であれば適用されるものである。
【0103】また、上記の第2の実施の形態において
は、低表面張力の溶剤として、DAA及びDGDEを用
いているが、表面張力が約29dyn/cmのDPM
(ジプロピレングリコールメチルエーテル)を用いても
良いものである。
【0104】
【発明の効果】本発明によれば、紫外線照射処理等の前
処理によって垂直配向膜の表面張力を40dyn/cm
以上に増大させているので、入手が容易で安価な剥離液
によって垂直配向膜の剥離が可能になり、それによっ
て、塗布段階で垂直配向膜に欠陥が生じた場合にもMV
A基板を廃棄することなく再利用が可能になるので、低
コスト化が可能になり、且つ、対環境への影響も配慮し
た構成とすることができる。
【0105】また、本発明によれば、垂直配向膜の塗布
時に用いる溶媒中における表面張力が31dyn/cm
以下の溶剤の比率を30重量%以上としているので、基
板に対するハジキが少なくなり、再現性良く欠陥のない
垂直配向膜の形成が可能になり、特に表面に突起等の凹
凸を設けたMVA基板に対して好適であり、それによっ
て、光漏れやザラツキ感或いは表示ムラのない良好な表
示特性を得ることができ、高品位で広視野角の液晶表示
装置の低コスト化、高製造歩留り化に寄与するところが
大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の垂直配向膜の表面
エネルギーの垂直配向成分比率依存性の説明図である。
【図3】溶剤の表面張力の膨潤度の相関図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における溶剤のレジ
ストに対する膨潤度の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるレジストに
対する膨潤度のNMP比率依存性の説明図である。
【図6】MVA方式液晶表示装置の概念的構成図であ
る。
【図7】MVA方式液晶表示装置における液晶分子の傾
斜方向の説明図である。
【図8】垂直配向膜の基本骨格を構成する有機化合物の
構造式である。
【図9】有機化合物を構成するR1 〜R3 の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2 電極 3 突起 4 垂直配向膜 5 紫外線 6 剥離液 21 TFT基板 22 CF基板 23 突起 24 突起 25 液晶分子 26 画素 27 ゲート電極 28 ゲートバスライン 29 データバスライン 30 補助容量バスライン
フロントページの続き Fターム(参考) 2H088 FA14 HA03 MA18 2H090 HB08Y HC14 HC19 MA01 4F073 AA01 BA31 BB02 BB05 CA45 CA62

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に設けた垂直配向膜を剥離する際の
    前工程として、前記垂直配向膜成分中のジアミン基に作
    用し、垂直配向規制力を低下させる処理を行うことを特
    徴とする液晶表示装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記垂直配向規制力を低下させる処理と
    して、酸素雰囲気中での紫外線照射処理を行うことを特
    徴とする請求項1記載の液晶表示装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 互いに対向させるとともに、少なくとも
    一方の表面に突起或いは電極の抜き部を設けた基板の表
    面に垂直配向膜を形成する工程において、表面張力が3
    1dyn/cm以下の溶剤の比率が30重量%以上であ
    る溶媒に溶解されているポリイミド或いは部分的にポリ
    イミド骨格を有する高分子を用いることを特徴とする液
    晶表示装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記ポリイミド或いは部分的にポリイミ
    ド骨格を有する高分子を溶解させる溶媒中の1−メチル
    −2−ピロリドンの重量比が、25%<1−メチル−2
    −ピロリドンの重量比≦60%であることを特徴とする
    請求項3記載の液晶表示装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記ポリイミド或いは部分的にポリイミ
    ド骨格を有する高分子を溶解させる溶媒が、ブチルセロ
    ソルブを含まず、1−メチル−2−ピロリドン及びγ−
    ブチルラクトンを除いて、ブチルセロソルブより極性の
    低い溶剤のみからなることを特徴とする請求項3または
    4に記載の液晶表示装置の製造方法。
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