JP2001281642A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JP2001281642A
JP2001281642A JP2000091400A JP2000091400A JP2001281642A JP 2001281642 A JP2001281642 A JP 2001281642A JP 2000091400 A JP2000091400 A JP 2000091400A JP 2000091400 A JP2000091400 A JP 2000091400A JP 2001281642 A JP2001281642 A JP 2001281642A
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insulating film
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polymer composite
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Shinya Kosako
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光学ヒステリシスに起因する残像や焼き付きを
防止すると共に、低印加電圧にて駆動することができ、
コントラスト等表示品位の優れた液晶表示素子を提供す
る。 【解決手段】液晶表示素子は、下基板2と、該下基板2
に対向して配置される上基板1と、上基板1及び下基板
2間に配置された液晶高分子複合体層7とを有して構成
され、更に上基板1と下基板2の内側面には、相互に臨
界表面張力の異なる第1絶縁膜5と第2絶縁膜6とが設
けられている。更に第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6表面
にはそれぞれ、ドーム状の液晶滴10と液晶滴9とが形
成され、液晶滴10内部の液晶分子は上基板1に対して
平行に配向し、液晶滴9内部の液晶分子は下基板2に対
して垂直に配向している。これにより、印加電圧−光透
過率特性の急峻性を緩やかなものとし、見かけ上のヒス
テリシスを低減して残像や焼き付け等を低減させること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、投射型ディスプレ
イ等に用いられる高分子分散型液晶を用いた散乱型の液
晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、偏光板が不要で、電界により液晶
分子の配列を制御して、光散乱状態を変化させる表示方
式の液晶表示素子が提案されている。この表示方式はT
N型液晶パネル等の従来方式と異なり、直線偏光を得る
為の偏光板を必要としない。従って、光の利用効率が高
いことから、次世代の液晶表示素子として注目され、活
発に研究開発が行われている。
【0003】上記のような液晶表示素子としては、NC
AP(Nematic Curviliner AlignedPhase)と呼ばれ
る、ネマチック液晶をポリビニルアルコール等でマイク
ロカプセル化したものがある(粉体と工業、VOL.2
2、NO.8(1990))。又、PDLC(Polymer
Dispersed Liquid Crystal)といわれる、液晶滴を高分
子樹脂中に分散させたものもある(フラットパネルディ
スプレイ’91、日経BP社、p.219)。更にこれ
らの他に、PNLC(Polymer Network Liquid Crysta
l)と呼ばれる、高分子樹脂が液晶の連続相の中に3次
元網目状に広がる構造を有するものもある(電気情報通
信学会技術研究報告、EID89−89、p.1)。
【0004】しかし、上記のような光散乱状態を変化さ
せる液晶表示素子にはヒステリシスが生じるという問題
があった。例えば、液晶滴を高分子マトリクス中に分散
・保持させたPDLCの場合、印加電圧に対する透過率
の変化を測定すると、図8に示す電気光学特性が得られ
る。同図に示す曲線aから明らかな様に、印加電圧を増
加させる昇電圧過程と、減少させる降電圧過程とでは透
過率−印加電圧曲線が一致せず、同一の特性を示さない
ことが分かる(液晶討論会講演予稿集,p.312(1
991)、SID’93 Digest,p.575
(1992)など)。これは、液晶が高分子樹脂中の微
小な空間内に閉じこめられており、液晶−高分子樹脂界
面に於ける液晶分子が高分子樹脂の配向規制力の影響を
受けることに起因する。よって、上記液晶表示素子で
は、ヒステリシスが本来的に発生する表示方式である言
える。一方、このヒステリシスは、表示画面に於ける残
像や焼き付けの発生要因となる。従って、この液晶表示
素子を映像表示装置に応用した場合には、残像や焼き付
けが観測される表示品位の著しく損なわれた表示装置と
なる。
【0005】ここで、上記ヒステリシスは、上記のよう
な光散乱状態を変化させる液晶表示素子に於いて、印加
電圧の比較的低い領域に於いて最も大きくなる傾向を示
す。具体的にはある透過率Taに於けるヒステリシス
は、透過率Tbに於けるヒステリシスと比較して大きく
なっていることが分かる。このことは透過率Taに於い
て、電圧上昇時に於ける印加電圧と電圧下降時に於ける
印加電圧との差ΔVaが、透過率Tbに於けるΔVbよ
りも大きくなっていることから明らかである。
【0006】一方、上記ヒステリシスを低減させる方法
としては、急峻性を小さくすることが考えられる。この
場合、印加電圧−光透過率特性は図8に示す曲線bで表
される。ここで、昇電圧過程に於いて透過率がTaとな
るときの曲線aに於ける印加電圧をVaとし、同様に曲
線bに於ける印加電圧をVbとする。透過率Taに於け
るヒステリシス幅ΔVaは、曲線a・b共に同じであ
る。しかし、印加電圧に対する見かけ上のヒステリシス
(光学ヒステリシス)では曲線aがΔTa、曲線bがΔ
Tbとなっており、明らかに曲線bの方が小さい。
【0007】上記のように、印加電圧−光透過率特性に
於ける急峻性を小さくする方法としては、例えば液晶滴
の粒径を不均一にすること等が考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように印加電圧−光透過率特性に於ける急峻性を小さく
すれば、光学ヒステリシスが改善される代わりに、図8
から明らかな様に印加電圧が大きくなるという問題点を
有している。
【0009】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、ヒステリシスに起因する残
像や焼き付きを防止すると共に、低印加電圧にて駆動す
ることができ、コントラスト等の表示品位に優れた液晶
表示素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、一対の基板間
に、液晶及び高分子樹脂を含む液晶高分子複合体層が設
けられ、該液晶高分子複合体層に電界を印加することに
より、液晶高分子複合体層の光散乱状態を変化させる液
晶表示素子に於いて、印加電圧−光透過率特性を所定の
印加電圧範囲内に於いて急峻性が緩やかとなるように構
成する。これにより、透過率−印加電圧曲線に於いてヒ
ステリシス性が最も大きい電圧領域の急峻度のみを選択
的に低下させることができ、印加電圧を増加させた場合
(昇電圧過程)と減少させた場合(降電圧過程)との同
一印加電圧に於ける透過率の差(以下、単に見かけ上の
ヒステリシス又は光学ヒステリシスと称する。)を低減
させ、結果として、ヒステリシスに起因する残像及び焼
き付きを防止するものである。
【0011】上記の課題を解決する為に、請求項1に記
載の液晶表示素子は、一対の基板間に、液晶及び高分子
樹脂を含む液晶高分子複合体層が設けられ、該液晶高分
子複合体層に電界を印加することにより、液晶高分子複
合体層の光散乱状態を変化させる液晶表示素子であっ
て、上記一対の基板上に於ける液晶は濡れた状態にあ
り、上記液晶高分子複合体層は、印加電圧−光透過率特
性の相互に異なる複数の領域が基板に対して垂直方向に
配列して構成されていることを特徴とする。
【0012】上記の構成によれば、液晶高分子複合体層
が印加電圧−光透過率特性の相互に異なる複数の領域に
て構成される結果、該液晶高分子複合体層全体としては
それらの特性を平均化した印加電圧−光透過率特性とす
ることができる。従って、印加電圧−光透過率特性の急
峻性も平均化され、従来の高分子分散型液晶パネルに於
ける印加電圧−光透過率特性と比較して、緩やかな急峻
性を備えた特性とすることができる。しかも、光透過率
が最大となるときの印加電圧の値は、各領域の印加電圧
−光透過率特性に於いて光透過率が最大となるときの印
加電圧の値を超えるものではない。よって、消費電力を
抑制することが可能となる。
【0013】上記のように印加電圧−光透過率特性の急
峻性を従来の特性と比べて緩やかなものとすることによ
り、以下のような作用効果を奏する。即ち、ある透過率
に於いて、昇電圧過程での印加電圧と降電圧過程での印
加電圧との差(即ち、ヒステリシスの大きさ)が、従来
の特性と同程度であっても、ある印加電圧に於ける昇電
圧過程での透過率と降電圧過程での透過率との差(即
ち、見かけ上のヒステリシスの大きさ)を比較した場
合、従来の特性と比較してその差を縮小させることがで
きる。これにより、表示画面に於いて焼き付けや残像等
の発生を抑制し、表示特性の良好な液晶表示素子を提供
することができる。
【0014】上記の課題を解決する為に、請求項2に記
載の液晶表示素子は、一対の基板間に、液晶及び高分子
樹脂を含む液晶高分子複合体層が設けられ、該液晶高分
子複合体層に電界を印加して、液晶高分子複合体層の光
散乱状態を変化させる液晶表示素子であって、上記一対
の基板上に於ける液晶は濡れた状態にあり、両基板のう
ち一方の基板に於ける臨界表面張力と、他方の基板に於
ける臨界表面張力とが相互に異なることを特徴とする。
【0015】上記の構成によれば、一方の基板に於ける
臨界表面張力と、他方の基板に於ける臨界表面張力とを
異ならせることにより、液晶による両基板の濡れ性を変
化させることができる。この濡れ性が変化するとそれぞ
れの基板に対する液晶の接触角が異なり、少なくとも2
つの印加電圧−光透過率特性が異なる領域を形成するこ
とができる。これにより、液晶高分子複合体層全体とし
ては、従来の印加電圧−光透過率特性と比較して急峻性
の一層緩やかな特性とすることができ、光学ヒステリシ
ス性を低減させることができる。
【0016】上記の課題を解決する為に、請求項3に記
載の液晶表示素子は、一対の基板間に、液晶及び高分子
樹脂を含む液晶高分子複合体層が設けられ、該液晶高分
子複合体層に電界を印加して、液晶高分子複合体層の光
散乱状態を変化させる液晶表示素子であって、上記一対
の基板上に於ける液晶は濡れた状態にあり、両基板のう
ち一方の基板に対する液晶の接触角と、他方の基板に対
する液晶の接触角とが異なることを特徴とする。
【0017】上記の構成によれば、一方の基板上で濡れ
ている液晶の接触角と、他方の基板上で濡れている液晶
の接触角とを異ならせることにより、前記請求項2にて
説明したのと同様に印加電圧−光透過率特性の急峻性を
一層緩やかなものとし、光学ヒステリシスを低減させる
ことができる。
【0018】尚、上記したように両基板に対する液晶の
接触角が異なるということは、臨界表面張力を相互に異
ならせることにより、その結果物としての前記請求項2
に係る発明が構成されると言える。しかしながら、本願
発明者等は以下の様な場合も想定して本請求項3に係る
発明を請求するものである。即ち、両基板の臨界表面張
力を異ならせる為には、それらの材料を異なったものに
するか、或いは他の物質層等を介在させることにより可
能となる。ここで、両基板にそれぞれ異なる材料を使用
することにより、臨界表面張力の値を各々相違するよう
にした場合について考える。この場合、両基板のうち何
れか一方に用いた材料が、液晶との関係に於いて親和性
の高いものを用いたとする。すると、両基板については
明らかに臨界表面張力が相違するにも拘わらず、同様の
接触角で液晶が濡れることもあり得る。このような場合
については、印加電圧−光透過率特性の急峻性を緩やか
にできないことは明らかである。なぜならば、印加電圧
−光透過率特性の相異なる2つの領域が形成される代わ
りに、両基板で同様の特性となる領域が形成されること
になるからである。又、上記したことは基板上に他の物
質層を形成した場合についても言える。以上のように、
両基板に於いて臨界表面張力が単に異なれば、基板に対
する液晶の濡れ性が変化するということではない為、上
記請求項3を請求するものである。
【0019】上記の課題を解決する為に、請求項4に記
載の液晶表示素子は、一対の基板間に、液晶及び高分子
樹脂を含む液晶高分子複合体層が設けられ、該液晶高分
子複合体層に電界を印加して、液晶高分子複合体層の光
散乱状態を変化させる液晶表示素子であって、上記一対
の基板上に於ける液晶は濡れた状態にあり、両基板のう
ち一方の基板に対する液晶分子のプレチルト角と、他方
の基板に於ける液晶分子のプレチルト角とが相互に異な
ることを特徴とする。
【0020】本発明に係る液晶表示素子は、両基板近傍
にある液晶が濡れた状態にあり、該液晶に於ける液晶分
子に対するアンカリング(配向規制力)を、それぞれの
基板に於いて相違させたものとしている。具体的には、
液晶分子に対してアンカリングが強く作用する場合に
は、該液晶分子のプレチルト角は小さい一方、弱く作用
する場合にはプレチルト角が大きくなる。
【0021】ここで、液晶高分子複合体層に電界を印加
すると、高プレチルト角にて配向している液晶分子は低
印加電圧にてほぼ垂直配向に転移している。これに対し
て、低プレチルト角にて配向している液晶分子はアンカ
リングの影響を強く受けていることから、該液晶分子は
ゆっくりと垂直配向にて転移しようとする。又、液晶高
分子複合体層に印加していた電界を印加状態から無印加
状態にすると、初期配向状態に於いて低プレチルト角で
配向していた液晶分子は、近傍の基板から強くアンカリ
ングの影響を受けているので、初期配向状態への復元が
強く働く。これに対して、高プレチルト角にて配向して
いる液晶分子は、本来的にアンカリングの影響を強く受
けているものではないので、初期配向状態への復元は比
較的緩やかである。この結果、印加電圧−光透過率特性
に於いては、最もヒステリシスが大きい低印加電圧領域
に於ける急峻度のみを選択的に緩和した特性とすること
ができ、光学ヒステリシスを低減させることができる。
【0022】請求項5に記載の液晶表示素子は、請求項
4に記載の液晶表示素子に於いて、上記一方の基板に於
ける液晶分子が該基板の法線方向に配向しており、か
つ、上記他方の基板に於ける液晶分子が該基板に対して
平行となるように配向していることを特徴とする。
【0023】上記の構成によれば、一方の基板近傍の液
晶分子を垂直配向させ、他方の基板近傍の液晶分子を平
行配向させると、印加電圧−光透過率特性の急峻性は最
も緩やかなものとすることができ、この結果光学ヒステ
リシスの発生を最小限に抑制することができる。
【0024】請求項6に記載の発明は、請求項2ないし
請求項5の何れか1つに記載の液晶表示素子に於いて、
上記一対の基板のうち、一方の基板の内側面には絶縁膜
が設けられていることを特徴とする。
【0025】上記の構成によれば、何れか一方の基板の
内側面に絶縁膜を形成すれば、各々の基板界面に接する
液晶分子に及ぼす配向規制力を容易に変えることが可能
となる。
【0026】請求項7に記載の発明は、請求項2ないし
請求項5の何れか1つに記載の液晶表示素子に於いて、
上記一対の基板の内側面には、互いに異なる材料で構成
された絶縁膜が設けられていることを特徴とする。
【0027】上記の構成によれば、両基板に設けられる
絶縁膜の材料をそれぞれ異ならせることにより、両基板
に於いて配向規制力を容易に異ならせることができる。
しかも、該絶縁膜の絶縁膜材料を種々変更することによ
り、各種の液晶に容易に対応させて配向規制力を制御す
ることも可能となる。更に両基板に絶縁膜を設ければ、
液晶高分子複合体層に於ける保持電圧の絶縁性も向上さ
せることができる。
【0028】請求項8に記載の発明は、請求項2ないし
請求項5の何れか1つに記載の液晶表示素子に於いて、
上記一対の基板の内側面にはそれぞれ同一の材料からな
る絶縁膜が設けられており、更に、上記絶縁膜を構成す
る材料には、それぞれ含有量の異なるフッ素系界面活性
剤が含まれていることを特徴とする。
【0029】フッ素系界面活性剤は液晶をはじく性質を
有している。従って、絶縁膜の材料にこのフッ素系界面
活性剤を添加すれば、その添加量に応じて液晶の濡れ性
を制御することが可能となる。よって、上記構成のよう
に、両基板に設けられる絶縁膜の材料にそれぞれ添加量
の異なるフッ素系界面活性剤を添加することにより、各
々の絶縁膜の配向規制力を容易に異ならせることが可能
となる。又、絶縁膜を構成する主要構成材料が、両基板
に於いて同種の材料を使用しているので、液晶高分子複
合体層内に存在する不純物イオンに起因して発生する焼
き付けも低減することができる。
【0030】請求項9に記載の発明は、請求項2ないし
請求項5の何れか1つに記載の液晶表示素子に於いて、
上記一対の基板の内側面にそれぞれ絶縁膜が設けられて
おり、上記絶縁膜は、臨界表面張力が相互に異なる少な
くとも2種の材料を含んで構成され、一方の基板側に設
けられた絶縁膜と、他方の基板側に設けられた絶縁膜と
で、上記材料の混合比が異なることを特徴とする。
【0031】上記の構成によれば、両基板の内側面に設
けられた絶縁膜の材料として、臨界表面張力が相互に異
なる少なくとも2種の材料を含んで構成されるので、該
材料の配合割合を種々変更することにより、各々の絶縁
膜の配向規制力を容易に異ならせることが可能となる。
しかも、フッ素系界面活性剤等の添加物を使用しなくと
も配向規制力の制御が可能なことから、絶縁膜の電圧保
持特性や信頼性等を一層向上させることができる。
【0032】上記の課題を解決する為に、請求項10に
記載の発明は、それぞれ電極を有する一対の基板間に、
液晶と高分子樹脂とを含む液晶高分子複合体層が設けら
れ、該液晶高分子複合体層に電界を印加して、液晶高分
子複合体層の光散乱状態を変化させる液晶表示素子の製
造方法であって、上記電極のうち一方の電極上に第1絶
縁膜材料を塗布した後、該第1絶縁膜材料を焼成して第
1絶縁膜を形成する第1絶縁膜形成工程と、上記電極の
うち他方の電極上に第2絶縁膜材料を塗布した後、該第
2絶縁膜材料を焼成して第2絶縁膜を形成する第2絶縁
膜形成工程と、上記一対の基板を、上記第1絶縁膜と第
2絶縁膜とが対向するように貼り合わせて空セルを形成
する貼り合わせ工程と、上記空セル内部に、液晶及び高
分子材料を含む混合組成物を設ける工程と、上記高分子
材料を重合させることにより、上記液晶高分子複合体層
を形成する液晶高分子複合体層形成工程とを備え、上記
第1及び第2絶縁膜形成工程に於いて使用する第1及び
第2絶縁膜材料は、上記液晶が濡れ性を示す材料である
ことを特徴とする。
【0033】上記方法によれば、第1絶縁膜の材料とし
て第1絶縁膜材料を使用する一方、第2絶縁膜の材料と
して第2絶縁膜材料を使用するので、互いに配向規制力
の相異なった絶縁膜を形成することができる。更に、貼
り合わせ工程にて作製した空セル内部に、液晶及び高分
子材料を含む混合組成物を設け、該高分子材料を重合さ
せることにより、高分子材料と液晶とを相分離させて液
晶高分子複合体層を形成する。ここで、第1及び第2絶
縁膜の材料として、液晶が濡れ性を示す絶縁膜材料を使
用しているので、上記した相分離の過程に於いては、第
1及び第2絶縁膜近傍の液晶が該第1及び第2絶縁膜に
接すると濡れ現象を生じる。上記したように、第1絶縁
膜と第2絶縁膜とでは相互に配向規制力が異なるので、
両者の近傍に於ける液晶分子を、相互に異なったプレチ
ルト角にて配向させることができる。これにより、上記
液晶高分子複合体層に於いて印加電圧−光透過率特性の
異なる領域を少なくとも2つ形成することができ、結果
として急峻性の緩やかな印加電圧−光透過率特性を有す
る液晶高分子複合体層形成できる。よって、印加電圧の
増大を抑制すると共に、光学ヒステリシスを低減させた
液晶表示素子を製造することができる。
【0034】上記の課題を解決する為に、請求項11に
記載の発明は、それぞれ電極を有する一対の基板間に、
液晶と高分子樹脂とを含む液晶高分子複合体層が設けら
れ、該液晶高分子複合体層に電界を印加して、液晶高分
子複合体層の光散乱状態を変化させる液晶表示素子の製
造方法であって、上記電極のうち一方の電極に絶縁膜材
料を塗布した後、所定の焼成温度で焼成して第1絶縁膜
を形成する第1絶縁膜形成工程と、上記電極のうち他方
の電極に上記絶縁膜材料を塗布した後、上記焼成温度と
は異なる焼成温度で焼成して第2絶縁膜を形成する第2
絶縁膜形成工程と、上記一対の基板を、上記第1絶縁膜
と第2絶縁膜とが対向するように貼り合わせて空セルを
形成する貼り合わせ工程と、上記空セル内部に、液晶及
び高分子材料を含む混合組成物を設ける工程と、上記高
分子材料を重合させることにより、上記液晶高分子複合
体層を形成する液晶高分子複合体層形成工程とを備え、
上記第1及び第2絶縁膜形成工程に於いて使用する絶縁
膜材料は、上記液晶が濡れ性を示す材料であることを特
徴とする。
【0035】絶縁膜を形成する際の焼成温度を変えるこ
とにより、形成された絶縁膜の表面構造等の物理的性質
や化学的性質等を変えることができる。従って、上記方
法のように、第1及び第2絶縁膜形成工程に於いて使用
する絶縁膜材料を同様のものとする一方、両工程に於け
る焼成温度をそれぞれ変えることにより、第1絶縁膜と
第2絶縁膜とで配向規制力を相互に異ならせることが可
能となる。よって、第1絶縁膜と第2絶縁膜とに於ける
液晶分子を、相互に異なったプレチルト角にて配向させ
ることができ、上記液晶高分子複合体層に於いて印加電
圧−光透過率特性の異なる領域を少なくとも2つ形成す
ることができる。この結果、急峻性の緩やかな印加電圧
−光透過率特性を有する液晶高分子複合体層を形成で
き、印加電圧の増大を抑制すると共に、光学ヒステリシ
スを低減させた液晶表示素子を製造することができる。
【0036】上記の課題を解決する為に、請求項12に
記載の発明は、それぞれ電極を有する一対の基板間に、
液晶と高分子樹脂とを含む液晶高分子複合体層が設けら
れ、該液晶高分子複合体層に電界を印加して、液晶高分
子複合体層の光散乱状態を変化させる液晶表示素子の製
造方法であって、上記電極のうち一方の電極に、フッ素
系界面活性剤を所定の添加量だけ加えた絶縁膜材料を塗
布した後、該絶縁膜材料を焼成して第1絶縁膜を形成す
る第1絶縁膜形成工程と、上記電極のうち他方の電極
に、上記添加量とは異なる量のフッ素系界面活性剤を添
加した絶縁膜形成用溶液を塗布した後、上記焼成温度で
焼成して第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、
上記一対の基板間に、液晶及び高分子材料を含む混合組
成物を設ける工程と、上記高分子材料を重合させること
により、上記液晶高分子複合体層を形成する液晶高分子
複合体層形成工程とを備え、上記第1及び第2絶縁膜形
成工程に於いて使用する絶縁膜材料は、上記液晶が濡れ
性を示す材料であることを特徴とする。
【0037】上記の方法によれば、第1及び第2絶縁膜
形成工程に於いてフッ素系界面活性剤の添加量を異なら
せることによっても、配向規制力を相互に異ならせた絶
縁膜を形成することができる。フッ素系界面活性剤は、
絶縁膜の配向規制力を低下させる作用を有している。従
って、フッ素系界面活性剤を多く含有する程、液晶に対
する親和性が低下し、高プレチルト角にて液晶分子を配
向させることが可能となる。以上のことから、該フッ素
系界面活性剤の添加量を調節することにより各種の液晶
にも対応した絶縁膜を形成することができ、光学ヒステ
リシスを低減させた液晶表示素子を製造することができ
る。
【0038】上記の課題を解決する為に、請求項13に
記載の発明は、それぞれ電極を有する一対の基板間に、
液晶と高分子樹脂とを含む液晶高分子複合体層が設けら
れ、該液晶高分子複合体層に電界を印加して、液晶高分
子複合体層の光散乱状態を変化させる液晶表示素子の製
造方法に於いて、上記電極のうち一方の電極に、臨界表
面張力が相互に異なる少なくとも2種の材料が所定の混
合比にて混合された第1絶縁膜材料を塗布した後、所定
の焼成温度で焼成して第1絶縁膜を形成する第1絶縁膜
形成工程と、上記電極のうち他方の電極に、上記第1絶
縁膜材料とは異なる混合比で混合された第2絶縁膜材料
を塗布した後、所定の焼成温度で焼成して第2絶縁膜を
形成する第2絶縁膜形成工程と、上記一対の基板間に、
液晶及び高分子材料を含む混合組成物を設ける工程と、
上記高分子材料を重合させることにより、上記液晶高分
子複合体層を形成する液晶高分子複合体層形成工程とを
備え、上記第1及び第2絶縁膜形成工程に於いて使用す
る第1及び第2絶縁膜材料は、上記液晶が濡れ性を示す
材料であることを特徴とする。
【0039】上記の方法によれば、第1及び第2絶縁膜
形成工程に於いて、臨界表面張力が相互に異なる少なく
とも2種の材料を用い、かつこれらの材料の混合比を相
互に異ならせることにより、相互に配向規制力の異なっ
た第1絶縁膜と第2絶縁膜とを形成する。例えば、液晶
に対する臨界表面張力が大きな材料を多く含有させるこ
とにより、配向規制力の強い絶縁膜を形成することがで
きる一方、反対に臨界表面張力の小さな材料を多く含有
させると配向規制力の弱い絶縁膜を形成することができ
る。これにより、各種の液晶にも対応した第1及び第2
絶縁膜を形成することができ、光学ヒステリシスを低減
させた液晶表示素子を製造することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図
1ないし図6に基づいて説明すれば以下の通りである。
但し、説明に不要な部分は省略し、又、説明を容易にす
る為に拡大或いは縮小等して図示した部分がある。
【0041】本発明の技術的思想は、一対の基板間に、
液晶及び高分子樹脂を含む液晶高分子複合体層が設けら
れ、該液晶高分子複合体層に電界を印加することによ
り、液晶高分子複合体層の光散乱状態を変化させて画像
等を表示させる表示素子に於いて、低印加電圧領域にて
液晶が立ち上がり、かつ印加電圧が大きくなりすぎない
程度に緩やかな急峻性を有する印加電圧−光透過率特性
を持たせることにより、印加電圧の増大を抑制しつつ、
光学ヒステリシスを低減させるというものである。
【0042】上記したような印加電圧−光透過率特性を
得る為に本発明は、液晶高分子複合体層に於ける膜厚方
向にて該特性の異なる少なくとも2つの領域に分割す
る。より具体的には、以下に述べる通りである。
【0043】図1は、本実施の形態に係る液晶表示素子
の概略を示す断面模式図である。図2は該液晶表示素子
の要部を示す断面模式図である。この液晶表示素子は、
下基板2と、該下基板2に対向して配置される上基板1
と、上基板1及び下基板2の間に配置された液晶高分子
複合体層7とを有する。上基板1及び下基板2は、例え
ばガラスから成る透明な基板である。この下基板2上に
は、画素スイッチング素子としての薄膜トランジスタ
(TFT:Thin Film Transistor)、金属配線(走査信
号線・画像信号線)及び透明な画素電極4等が形成され
ている。これら金属配線、TFT及び画素電極4等は、
第2絶縁膜6により覆われている。尚、図1において
は、発明内容の理解を容易にする為、金属配線及びTF
T等は省略されている。一方、前記上基板1の内側面に
は透明な対向電極3が形成されており、この対向電極3
は第1絶縁膜5によって覆われている。前記画素電極4
及び対向電極3は、例えばインジウム・錫酸化物(IT
O:Indium Tin Oxide)からなる。
【0044】また前記液晶高分子複合体層7は、基本的
には高分子マトリクス中に液晶滴が独立分散された構造
の高分子分散型液晶(PDLC)層である。但し、本実
施の形態における液晶高分子複合体層7は、通常のPD
LC層と異なり、高分子樹脂8と、3種類の液晶滴9〜
11とを含んで構成されている。液晶滴9〜11内の液
晶分子は誘電率異方性が正のものが用いられている。
【0045】上記液晶滴11は液晶高分子複合体層7内
部に存在し、通常の高分子分散型液晶における液晶滴と
同様にほぼ球形又は回転楕円体形状に形成されている。
一方、上記液晶滴9・10は、図2に示すように、上記
第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6上に存在し、かつ液晶高
分子複合体層7内方側に膨出したドーム状に形成されて
いる。具体的に説明すれば、液晶滴9は接触角がθ1
なるように第1絶縁膜5に扁平な半球状に形成されてい
る。この液晶滴9内部の液晶分子21…は電圧無印加時
に於いて、上基板1に対し平行となるように配向してい
る。これは第1絶縁膜5の配向規制力が液晶分子21…
に作用していることに起因している。又、液晶滴10は
接触角がθ2となるように第2絶縁膜6に大円を接する
半球状に形成されている。液晶滴10の高さd2は、そ
の内部の液晶分子22…が下基板2の法線方向に対して
傾斜しない程度の高さを有している。よって、液晶分子
22…は電圧無印加時に於いて、下基板2に対して垂直
となるように配向している。これは以下に述べる理由に
よる。即ち、一般に絶縁膜の配向規制力が液晶分子に強
く作用すると、この液晶分子は基板に対して低プレチル
ト角にて配向する。一方、第2絶縁膜6は、上記第1絶
縁膜5と比較して、液晶分子に対する配向規制力の作用
が非常に弱くなるように設計している。従って液晶滴1
0内部の液晶分子22…は、第2絶縁膜6の配向規制力
を受けて下基板2に対して垂直となるように配向するの
である。又、液晶滴10内部に於ける高分子樹脂8近傍
の液晶分子は、該高分子樹脂8との相互作用の結果とし
て、液晶滴10の系全体の自由エネルギーが最小となる
ような配向状態となる。従って、高分子樹脂8近傍の液
晶分子が該高分子樹脂8の壁面に沿うようにして配向す
る場合も本発明に含まれることは言うまでもない(図2
(c)参照)。尚、上記液晶滴9の接触角は、その内部
の液晶分子21…が上基板1に対して平行に配向するよ
うに設定すればよい。又、上記液晶滴10の接触角につ
いても、その内部の液晶分子22…が下基板2に対して
法線方向に配向するように、設定すればよい。但し、液
晶滴9と液晶滴10との接触角の差は少なくとも20度
以上であることを要する。
【0046】上記第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6は相互
に異なる臨界表面張力を有した絶縁膜であり、より詳細
には第1絶縁膜5は第2絶縁膜6よりも大きな臨界表面
張力を有している。また第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6
に使用される絶縁膜材料としては、液晶との間に濡れ性
を示すものであれば特に限定されるものではない。この
濡れ性を示す為には、第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6の
両者の臨界表面張力が常に液晶の表面張力と比べて大き
いことが条件となる。一方、上記したように、第1絶縁
膜5は第2絶縁膜6と比較して臨界表面張力が大きい
為、液晶は該第2絶縁膜6よりも第1絶縁膜5に対して
大きな濡れ性を示す。この結果、液晶滴9の第1絶縁膜
5に対する接触面積が、液晶滴10の第2絶縁膜6に対
する接触面積と比較して大きいことになる。
【0047】尚、濡れ性は一般に、接触する液体、固体
等の界面張力のバランスから考慮することができる。即
ち、固体(第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6に相当す
る。)表面に2種類の液体(液晶及び高分子材料に相当
する。)が接触可能な場合においては、固体と高分子材
料との界面に於ける界面張力、液晶と固体との界面に於
ける界面張力、及び高分子材料と液晶との界面に於ける
界面張力の三者のバランスにより濡れ現象が生じると考
えられる。一方、例えば液晶及び高分子材料を固定させ
て考えれば、両者の界面に於ける界面張力は一定とする
ことができる。この場合、固体と高分子材料との間の界
面張力、及び液晶と固体との界面に於ける界面張力の大
小関係により濡れ性は決定される。このことは、高分子
材料を気体と見なすことにより、液晶と高分子材料との
間の界面張力を液晶の表面張力に置き換え、かつ固体と
高分子材料との間の界面張力を固体の臨界表面張力に置
き換えても成立する。なぜならば、液晶と高分子材料と
の界面に於ける界面張力を一定と考える限り、濡れ性は
固体と高分子材料との界面に於ける界面張力、及び液晶
と固体との界面に於ける界面張力の大小関係により決定
され、界面張力の値自体に特別な意味が見出されるわけ
ではないからである。従って濡れ性は、液晶の表面張力
と固体の臨界表面張力との大小関係によって評価するこ
とができる。
【0048】ここで、本実施の形態に係る液晶表示素子
の印加電圧−光透過率特性について詳述する。図3はこ
の液晶表示素子に於ける透過率と印加電圧との関係を示
すグラフである。
【0049】上記図3に示す曲線a・bは参考までに図
示したものである。両曲線ともに、上下の基板表面に濡
れることにより形成されたドーム状の液晶滴を有する液
晶表示素子の印加電圧−光透過率特性を表しているが、
両者は以下の点で異なる。即ち、曲線aは上下の基板に
於けるドーム状の液晶滴内部の液晶分子が該基板と平行
となるように初期配向している場合を示している。一
方、曲線bは上下の基板に於けるドーム状の液晶滴内部
の液晶分子が該基板の法線方向に初期配向している場合
を示している。又、同図中に示す曲線cは、本実施の形
態に係る液晶表示素子の印加電圧−光透過率特性を表し
ている。
【0050】図3から明らかな様に、曲線bは曲線aと
比較して低印加電圧側にシフトした印加電圧−光透過率
特性となっている。一般に誘電率異方性が正の液晶分子
は、電界が印加されると基板の法線方向に平行となるよ
うに配向するが、曲線bで表される液晶表示素子の場
合、基板表面に形成されたドーム状の液晶滴内部の液晶
分子は予め基板の法線方向に配向している。一方、曲線
aで表される液晶表示素子の場合、ドーム状の液晶滴内
部の液晶分子は、電圧無印加時に於いて基板に対し平行
に配向しているので、液晶分子の配向が法線方向となる
ように配向状態を変える必要があり、その分だけ大きな
電圧を要する。よって、ドーム状の液晶滴内部に於ける
液晶分子の配向方向が基板に対して垂直であるか、又は
平行であるかによって、印加電圧−光透過率特性が大き
く異なる。
【0051】また曲線cは、印加電圧の低い低電圧領域
では曲線bに沿うような軌跡を示す一方、印加電圧の高
い高電圧領域で曲線aに沿うような軌跡を示しており、
全体としては曲線bと曲線aの間に位置している。この
ことは、上記した曲線a・bで表される特性をふまえて
曲線cを考察すると、以下の如く明白である。
【0052】即ち、下基板2側に於ける液晶滴10内部
の液晶分子22…は、初期配向状態に於いて下基板2の
法線方向に配向しているので、低電圧領域にて透過率の
上昇が開始される。従って、この領域に於いては曲線b
に近い特性を示す。一方、上基板1側に於ける液晶滴9
内部の液晶分子21…は、初期配向状態に於いて上基板
1に平行となるように配向しているので、該液晶分子2
1…の立ち上がりは液晶分子22…と比較して遅くな
る。よって全体としては、曲線aとbとの間で緩やかな
急峻性を示す曲線cで表される印加電圧−光透過率特性
となる。
【0053】本実施の形態に係る液晶表示素子は、以上
のような印加電圧−光透過率特性を示すことから、以下
に述べるような表示品位の向上を可能とする。即ち、図
3に示すように、曲線aに於いて最大のヒステリシス幅
△Vを与える透過率をT1とし、昇電圧過程に於ける透
過率T1のときの印加電圧をVaとする。同様に曲線b
・cに於いても昇電圧過程に於ける透過率T1のときの
印加電圧をVb・Vcとする。これにより各曲線a〜c
に於いて、印加電圧Va〜Vcに於ける光学ヒステリシ
スは図中に示すΔTa、ΔTb及びΔTcとなる。図3
から明らかなように、各曲線a〜cでは透過率T1に於
けるヒステリシス幅ΔVはほぼ同じであるが、光学ヒス
テリシスは△Ta=△Tb>△Tcとなっており、急峻
度のなだらかな曲線cが小さいことが分かる。しかも透
過率が最大となるときの印加電圧は、曲線aと比較して
大きくない。よって、本実施の形態に係る液晶表示素子
は印加電圧の増大を抑制しつつ、ヒステリシスに起因す
る残像や焼き付きの低減を図ることができる。
【0054】更に、曲線cの場合に於いては、低印加電
圧にて高いコントラスト比で表示することができる。即
ち、曲線aと比較した場合、ある印加電圧に於ける透過
率では曲線cの方が高い。よって、低印加電圧にて高コ
ントラストの表示が実現可能である。一方、曲線bと比
較した場合、ある印加電圧に於ける透過率では曲線cの
方が低いと言えるが、この曲線bでは本来的にヒステリ
シスが大きい為好ましくない。以上のことから、本実施
の形態に係る曲線cはヒステリシスの発生を抑制しつ
つ、低印加電圧にて高いコントラストで表示することが
できる。
【0055】次に、本実施の形態に係る液晶表示素子の
製造方法について説明する。図4はこの液晶表示素子の
製造工程を説明する為のフローチャートである。図5及
び図6は、上記図4に於ける製造工程の主要部分を示す
フローチャートである。
【0056】先ず、上基板1上に従来公知の方法により
対向電極3を形成する(S1)。続いて、この対向電極
3の内側面に第1絶縁膜5を以下に述べるようにして形
成する(第1絶縁膜形成工程、S2)。即ち、図5
(a)に示すように、有機溶媒に絶縁膜材料を所定の濃
度となるように溶解させた第1絶縁膜形成用溶液を調製
する(S11)。この第1絶縁膜形成用溶液を対向電極
3上に塗布し(塗布工程、S12)、その後所定の焼成
温度Ta(℃)にて一定時間焼成を行い(S13)、上
記有機溶媒を蒸発させて第1絶縁膜5を形成する。一
方、下基板2上にも従来公知の方法により薄膜トランジ
スタ及び画素電極4を形成した後(S3)、この画素電
極4上に第2絶縁膜6を形成する。即ち、図5(b)に
示すように、有機溶媒に絶縁膜材料を所定の濃度となる
ように溶解させた第2絶縁膜形成用溶液を調製する(S
14)。この第2絶縁膜形成用溶液を画素電極4上に塗
布し(S12)、その後所定の焼成温度Tb(℃)にて
一定時間焼成を行い(S15)、上記有機溶媒を蒸発さ
せて第2絶縁膜6を形成する。
【0057】ここで、第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6に
於ける絶縁膜材料が同じ場合と、異なる場合とでは以下
に述べる点で絶縁膜の形成方法が異なる。
【0058】即ち、先ず異種の絶縁膜材料を使用する場
合には、第1絶縁膜5の絶縁膜材料として液晶との濡れ
性が大きいものを選択し、かつ第2絶縁膜6の絶縁膜材
料として液晶との濡れ性の小さい絶縁膜材料を選択する
方法がある。又、相互に液晶との濡れ性が異なる少なく
とも2種類の絶縁膜材料を適宜配合して第1及び第2絶
縁膜形成用溶液を調製することにより、第1絶縁膜5又
は第2絶縁膜6を形成することも可能である。この場合
絶縁膜材料としては、具体的には液晶の表面張力より小
さい臨界表面張力を有する材料Aと、液晶の表面張力よ
り大きい臨界表面張力を有する材料Bとを用いる。
【0059】次に、同種の絶縁膜材料を使用する場合に
は、絶縁膜を形成する際の焼成温度を変える方法や、絶
縁膜材料にそれぞれ異なる量のフッ素系界面活性剤を添
加する方法等がある。前者の場合、第1及び第2絶縁膜
形成工程に於ける焼成温度の関係をTa>Tbとすれば
よい。焼成温度を変えると、形成された絶縁膜に於ける
表面構造等の物理的性質や化学的性質等を変化させるこ
とができ、結果として絶縁膜に対する液晶の濡れ性を制
御できる。又、焼成温度が高いと液晶の絶縁膜に対する
濡れ性が大きくなるということも本願発明者等は確認し
ている。従って、上記したような焼成温度の関係が成立
すれば、上記第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6を形成する
ことができる。一方、後者の場合、第1絶縁膜形成用溶
液に添加するフッ素系界面活性剤の添加量をW1とし、
第2絶縁膜形成用溶液に添加するフッ素系界面活性剤の
添加量をW2とすると、両者の間にはW1<W2の関係が
成立していればよい。フッ素系界面活性剤は液晶に対し
て非親和性を示す。このフッ素系界面活性剤を絶縁膜形
成用溶液に添加すると、形成された絶縁膜に液晶をはじ
く性質を付加することができる。従って、上記したよう
な添加量の関係を満たしていれば、上記第1絶縁膜5及
び第2絶縁膜6を形成することができる。但し、この場
合、第1及び第2絶縁膜形成工程に於ける焼成温度はT
a=Tbとなる。その他にも、絶縁膜表面を加工・処理
することにより表面粗さを大きくする方法もある。この
ように絶縁膜表面を粗くすることにより、液晶との濡れ
性を小さくし液晶滴内部の液晶分子を基板に対して垂直
方向に配向させることができる。尚、上記絶縁膜材料と
しては、ポリイミド化合物等が挙げられる。
【0060】以上のようにして上記第1絶縁膜5及び第
2絶縁膜6を形成した後、以下のようにしてスペーサ兼
シール樹脂12を形成する。即ち、スペーサ兼シール樹
脂12を、上基板1又は下基板2のうち何れか一方の基
板上に、塗布形状が液晶注入口の部分を欠いた枠状パタ
ーンとなる様に塗布する。そして、上基板1及び下基板
2を、第1絶縁膜5と第2絶縁膜6とが対向するように
して貼り合わせ、空セルを作製する(空セル作製工程、
S5)。一方、液晶及び高分子材料を主要材料とする混
合組成物を予め調製し(S6)し、空セルにこの混合組
成物を液晶注入口から注入して(液晶注入工程、S
7)、液晶高分子混合物層を形成する。
【0061】更に、高分子材料の重合により相分離させ
て液晶高分子複合体層7を形成する(液晶高分子複合体
層形成工程、S8)。相分離させる方法としては、光重
合相分離法や熱重合相分離法等が挙げられる。例えば、
光重合相分離法にて相分離を行う場合には、以下に述べ
るようにして液晶高分子複合体層7を形成することがで
きる。先ず、高圧水銀灯を光源とする紫外線を液晶高分
子混合物層に照射する。このとき、相溶していた高分子
材料と液晶とは、該高分子材料の重合が進行すると共に
相分離し、液晶からなる微小滴が析出する。この微小滴
は、近傍の他の微小滴と凝集し合って、次第に液晶滴へ
と大きく成長していく。成長していく液晶滴のうちで、
第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6近傍に存在するものは、
それらの表面に接すると濡れる。この結果、周囲の高分
子材料が固化した後、ドーム状の液晶滴9又は液晶滴1
0が形成される。これにより、本実施の形態に係る液晶
表示素子を作製することができる。
【0062】(その他の事項)尚、本発明に係る液晶表
示素子は、図3に示す曲線cで表されるように、低電圧
領域にて液晶が立ち上がり、かつ印加電圧が大きくなり
すぎない程度に緩やかな急峻性を有する印加電圧−光透
過率特性を有していることを最大の特徴事項としてい
る。
【0063】従って、本発明は、上記した印加電圧−光
透過率特性を有する液晶高分子複合体層を備えた液晶表
示素子であれば特に限定されるものではなく、上基板側
に於ける液晶滴内部の液晶分子と、下基板側に於ける液
晶滴内部の液晶分子との初期配向状態が異なっていれば
よい。このように上下基板で液晶滴内部の液晶分子の初
期配向状態を異ならせる為には、その上下基板に於ける
配向規制力を変えればよい。これにより、液晶滴内部に
於ける液晶分子のプレチルト角が、上基板側と下基板側
とで相互に異なるように制御することができる。
【0064】以上のことから、上下基板に於いて液晶と
の濡れ性が異なるようにすることが可能であれば、上下
基板の何れか一方の側に絶縁膜を設けた態様であっても
よく、或いは他の物質層等を形成した態様でもよい。
【0065】又、前記実施の形態に於いては、高分子樹
脂中に液晶滴が互いに独立して分散した態様を示した
が、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、液晶
滴の一部が相互に接触し連なった状態で存在している構
造のものや、高分子樹脂が3次元網目状をなし、液晶が
網目間に連続層を形成したポリマーネットワーク型構造
の液晶表示素子にも適用することができる。
【0066】
【実施例】以下に、図面を参照して、この発明の好適な
実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に
記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対
配置等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の
範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単な
る説明例に過ぎない。
【0067】本実施例に係る高分子分散型液晶表示素子
は、前記実施の形態と同様の構成を有しており、以下の
ようにして作製した。先ず、下基板2上に、前記実施の
形態と同様にして薄膜トランジスタ及び画素電極4を形
成した。次に、上記画素電極4の内側面に、第2絶縁膜
6を以下のようにして形成した。先ず、絶縁膜材料を有
機溶媒に溶解させた絶縁膜形成用溶液を調製した。次い
で、この絶縁膜形成用溶液をスピンナーにて上記下基板
2上に塗布した後、所定の温度で所定時間焼成した。一
方、上基板1上にも前記実施の形態1と同様の方法によ
り対向電極3及び第1絶縁膜5を形成した。
【0068】ここで、上記第1絶縁膜5及び第2絶縁膜
6に液晶材料を付着させて、それぞれの接触角を測定し
た。更に、上記第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6のそれぞ
れについて、臨界表面張力γp1又はγp2も求めた。こ
れらの具体的な測定方法等については後段にて説明す
る。
【0069】続いて、この上基板1上に、熱硬化型のシ
ール材(商品名:ストラクトボンド、三井東圧化学
(株)製)を、塗布形状が液晶注入口の部分を欠いた枠
状パターンとなる様に形成した。又、上記上基板1及び
下基板2を、12μm径のプラスティック製のスペーサ
(商品名:ミクロパール、積水ファイン(株)製)を介
して貼り合わせた。更に、150℃で2時間加熱して上
記シール材12を完全に硬化させ、空セルを作製した。
【0070】続いて、液晶高分子複合体層7を形成する
材料の調製を行った。即ち、液晶材料(商品名:TL−
213、メルク(株)製、)8.50g、重合性モノマ
ーとしての2−エチルヘキシルアクリレート(東京化成
(株)製)0.80g、オリゴマーとしてのポリウレタ
ンアクリレート0.60g、重合開始剤(商品名:ダロ
キュア1173、チバガイキ(株)製)0.05gを混
ぜ合わせ、25℃の温度で十分撹拌して液晶材料と高分
子材料とが均一に混ざり合った混合溶液を作製した。
【0071】この混合溶液を液晶注入口より真空注入法
にて注入し、その後、紫外線硬化型封口樹脂(商品名;
ロックタイト、日本ロックタイト(株)製)により該液
晶注入口を封止して液晶高分子混合物層を形成した。続
いて、この液晶高分子混合物層に、紫外線(光源として
高圧水銀灯を用いた。)を照射し液晶高分子複合体層7
を形成した。照射条件としては、温度25℃に於いて照
射強度を約200mW/cm2とし、照射時間を30秒
とした。又、紫外線の照射は紫外線・赤外線反射フィル
ター(商品名:UVIR、ジオマテック(株)製)を介し
て行った。これにより、高分子樹脂中に液晶滴が独立し
て分散した液晶表示素子を作製した。ここで、上記液晶
高分子複合体層7の中央部分に於ける液晶滴の平均粒径
は、1.0〜1.2μmであった。この平均粒径は上基
板1を剥がすなどして上記高分子分散型液晶表示素子を
分解し、イソプロピルアルコールにて液晶を洗浄除去
し、液晶高分子複合体層7の相分離構造を光学顕微鏡に
て観察することにより求めた。
【0072】(実験)以上のようにして得られた液晶表
示素子について、以下のような各種の実験を行った。
【0073】(a)接触角 上記第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6に液晶材料を付着さ
せて、それぞれの接触角を自動測定装置(界面化学
(株))にて測定した。上記液晶材料としては、液晶高
分子複合体層7に使用した液晶材料と同じメルク社製の
TL−213を使用した。
【0074】(b)臨界表面張力 上記第1絶縁膜5及び第2絶縁膜6の臨界表面張力γp
は、それぞれジスマンプロット法により求めた。即ち、
所定の温度に於いて、各種の表面張力を有する濡れ性試
験標準試薬(ナカライテスク(株)製)を、第1絶縁膜
5又は第2絶縁膜6表面に付着させ、それぞれの接触角
θを測定した。次に、横軸にcosθ、縦軸に各種の濡
れ性試験標準試薬の表面張力をプロットし、cosθ=
1となる表面張力を求め、この表面張力を第1絶縁膜5
及び第2絶縁膜6の臨界表面張力γpとした。
【0075】(c)光学ヒステリシス 光学ヒステリシスは以下のようにして求めた。先ず、液
晶表示素子に電圧を印加し、透過率の変化を輝度計にて
測定した。測定条件は、温度30℃、受光角0.2度と
し、印加電圧は30Hzの矩形波とした。次に、上記の
測定から印加電圧を0Vから増加させたとき(昇電圧過
程)に於ける特性と、印加電圧を30Vから減少させた
とき(降電圧過程)に於ける特性とを求めた。更に、こ
れらの特性から同一の印加電圧での昇電圧過程と降電圧
過程に於いて透過率に差を求め、これを光学ヒステリシ
スの最大値(△Tmax)とした。
【0076】(実施例1)本実施例1に係る液晶表示素
子は、第1絶縁膜の絶縁膜材料としてAL1051(商
品名、日本合成ゴム(株)製)を用い、第2絶縁膜の絶
縁膜材料としてJALS−214(商品名、日本合成ゴ
ム(株)製)を用いた。
【0077】本実施例1に係る液晶表示素子について、
上記各種の実験を行ったところ、第1絶縁膜に対する液
晶滴の接触角は15度であり、第2絶縁膜6に対する液
晶滴の接触角は40度であった。更に、第1絶縁膜及び
第2絶縁膜の臨界表面張力γpはそれぞれ29dyne
/cm、31dyne/cmであった。又、電圧−透過
率特性は図6に示す通りであった。この図より、光学ヒ
ステリシスの最大値ΔTは0.9%であった。結果を下
記表1に示す。
【表1】 (比較例1)本比較例1に係る液晶表示素子は、前記実
施例1に於ける第2絶縁膜の両者の絶縁膜材料を、AL
1051に替えた以外は前記実施例1に係る高分子分散
型液晶表示素子と同様の構成とした。
【0078】本比較例1に係る液晶表示素子について上
記各種の実験を行ったところ、前記表1に示すように第
1及び第2絶縁膜に対する液晶滴の接触角は15度であ
った。更に、上記第1及び第2絶縁膜の臨界表面張力は
31.0dyne/cmであった。又、電圧−透過率特
性は図7に示す通りであった。この図より、光学ヒステ
リシスの最大値Δtは1.7%であった。
【0079】(実施例2)本実施例2に係る液晶表示素
子は、第1絶縁膜を形成する際の焼成温度を120℃
(焼成時間30分)とし、第2絶縁膜を形成する際の焼
成温度180℃(30分)とした以外は、前記比較例1
と同様の方法にて作製した。
【0080】本実施例2に係る液晶表示素子について上
記各種の実験を行ったところ、前記表1に示すように第
1絶縁膜に対する液晶滴の接触角は20度であり、第2
絶縁膜に対する液晶滴の接触角は15度であった。更
に、上記第1及び第2絶縁膜の臨界表面張力はそれぞ
れ、30.0dyne/cm、30.5dyne/cm
であった。又、電圧−透過率特性を求め、これを基に光
学ヒステリシスの最大値を求めたところ1.0%であっ
た。更に、表示画面に於ける焼き付けも一層低減してい
ることがわかった。
【0081】(実施例3)本実施例3に係る液晶表示素
子は、第1絶縁膜の絶縁膜材料にフッ素系界面活性剤
(商品名:FC430、スリーエム(株)製)を配合し
た以外は、前記比較例1と同様の方法にて作製した。
【0082】本実施例3に係る液晶表示素子について上
記各種の実験を行ったところ、前記表1に示すように第
1絶縁膜に対する液晶滴の接触角は50度であり、第2
絶縁膜に対する液晶滴の接触角は15度であった。更
に、上記第1及び第2絶縁膜の臨界表面張力はそれぞ
れ、28.0dyne/cm、31.0dyne/cm
であった。又、電圧−透過率特性を求め、これを基に光
学ヒステリシスの最大値を求めたところ0.8%であっ
た。
【0083】(結果)以上のようにして得られた実施例
1〜実施例3に係る液晶表示素子、及び比較例1に係る
液晶表示素子に対して、それぞれ光学ヒステリシスを求
めた結果、以下のことが分かった。
【0084】即ち、上下基板近傍の液晶滴に於ける液晶
分子の初期配向状態を、一方の基板に於ける液晶滴内部
の液晶分子を該基板に対して平行となるようにし、か
つ、他方の基板に対して液晶滴内部の液晶分子を該基板
に対して垂直となるようにすることで、光学ヒステリシ
スを低減させることができた。
【0085】
【発明の効果】本発明は、以上のように説明した形態で
実施され、以下に述べるような効果を奏する。即ち、印
加電圧の増大を抑制しつつ光学ヒステリシスを低減し、
かつコントラスト比も良好な液晶表示素子及びその製造
方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶表示素子の概略
を示す断面模式図である。
【図2】上記液晶表示素子の要部を示す断面模式図であ
る。
【図3】上記液晶表示素子の印加電圧−光透過率特性を
グラフである。
【図4】上記液晶表示素子の製造工程を示すフローチャ
ートである。
【図5】上記フローチャートに於ける第1絶縁膜形成工
程又は第2絶縁膜形成工程を示すフローチャートであ
る。
【図6】本発明の実施例1に係る液晶表示素子の印加電
圧−光透過率特性を示すグラフである。
【図7】比較例1に係る液晶表示素子の印加電圧−光透
過率特性を示すグラフである。
【図8】従来の液晶表示素子に於ける印加電圧−光透過
率特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 上基板 2 下基板 5 第1絶縁膜 6 第2絶縁膜 7 液晶高分子複合体層 8 高分子樹脂 9〜11 液晶滴 21、22 液晶分子 ΔTa〜ΔTc 見かけ上のヒステリシス(光学ヒステ
リシス) Va〜Vc 印加電圧
フロントページの続き Fターム(参考) 2H089 HA04 KA04 KA08 LA07 LA19 MA04X NA09 NA24 NA39 QA05 QA11 QA12 QA15 QA16 SA18 TA02 2H090 HA03 HB08X HB15X HC05 HC15 HD01 JC17 KA11 LA02 MA01 MA02 5C094 AA03 AA06 AA24 BA43 CA19 DA15 EB10 FA04 FB01 FB20 GB01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間に、液晶及び高分子樹脂を
    含む液晶高分子複合体層が設けられ、該液晶高分子複合
    体層に電界を印加することにより、液晶高分子複合体層
    の光散乱状態を変化させる液晶表示素子であって、 上記一対の基板上に於ける液晶は濡れた状態にあり、上
    記液晶高分子複合体層は、印加電圧−光透過率特性の相
    互に異なる複数の領域が基板に対して垂直方向に配列し
    て構成されていることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 一対の基板間に、液晶及び高分子樹脂を
    含む液晶高分子複合体層が設けられ、該液晶高分子複合
    体層に電界を印加して、液晶高分子複合体層の光散乱状
    態を変化させる液晶表示素子であって、 上記一対の基板上に於ける液晶は濡れた状態にあり、両
    基板のうち一方の基板に於ける臨界表面張力と、他方の
    基板に於ける臨界表面張力とが相互に異なることを特徴
    とする液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 一対の基板間に、液晶及び高分子樹脂を
    含む液晶高分子複合体層が設けられ、該液晶高分子複合
    体層に電界を印加して、液晶高分子複合体層の光散乱状
    態を変化させる液晶表示素子であって、 上記一対の基板上に於ける液晶は濡れた状態にあり、両
    基板のうち一方の基板に対する液晶の接触角と、他方の
    基板に対する液晶の接触角とが異なることを特徴とする
    液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 一対の基板間に、液晶及び高分子樹脂を
    含む液晶高分子複合体層が設けられ、該液晶高分子複合
    体層に電界を印加して、液晶高分子複合体層の光散乱状
    態を変化させる液晶表示素子であって、 上記一対の基板上に於ける液晶は濡れた状態にあり、両
    基板のうち一方の基板に対する液晶分子のプレチルト角
    と、他方の基板に於ける液晶分子のプレチルト角とが相
    互に異なることを特徴とする液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 上記一方の基板に於ける液晶分子が該基
    板の法線方向に配向しており、かつ、上記他方の基板に
    於ける液晶分子が該基板に対して平行となるように配向
    していることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示素
    子。
  6. 【請求項6】 上記一対の基板のうち、一方の基板の内
    側面には絶縁膜が設けられていることを特徴とする請求
    項2ないし請求項5の何れか1つに記載の液晶表示素
    子。
  7. 【請求項7】 上記一対の基板の内側面には、互いに異
    なる材料で構成された絶縁膜が設けられていることを特
    徴とする請求項2ないし請求項5の何れか1つに記載の
    液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 上記一対の基板の内側面にはそれぞれ同
    一の材料からなる絶縁膜が設けられており、 更に、上記絶縁膜を構成する材料には、それぞれ含有量
    の異なるフッ素系界面活性剤が含まれていることを特徴
    とする請求項2ないし請求項5の何れか1つに記載の液
    晶表示素子。
  9. 【請求項9】 上記一対の基板の内側面にそれぞれ絶縁
    膜が設けられており、 上記絶縁膜は、臨界表面張力が相互に異なる少なくとも
    2種の材料を含んで構成され、一方の基板側に設けられ
    た絶縁膜と、他方の基板側に設けられた絶縁膜とで、上
    記材料の混合比が異なることを特徴とする請求項2ない
    し請求項5の何れか1つに記載の液晶表示素子。
  10. 【請求項10】 それぞれ電極を有する一対の基板間
    に、液晶と高分子樹脂とを含む液晶高分子複合体層が設
    けられ、該液晶高分子複合体層に電界を印加して、液晶
    高分子複合体層の光散乱状態を変化させる液晶表示素子
    の製造方法であって、 上記電極のうち一方の電極上に第1絶縁膜材料を塗布し
    た後、該第1絶縁膜材料を焼成して第1絶縁膜を形成す
    る第1絶縁膜形成工程と、 上記電極のうち他方の電極上に第2絶縁膜材料を塗布し
    た後、該第2絶縁膜材料を焼成して第2絶縁膜を形成す
    る第2絶縁膜形成工程と、 上記一対の基板を、上記第1絶縁膜と第2絶縁膜とが対
    向するように貼り合わせて空セルを形成する貼り合わせ
    工程と、 上記空セル内部に、液晶及び高分子材料を含む混合組成
    物を設ける工程と、 上記高分子材料を重合させることにより、上記液晶高分
    子複合体層を形成する液晶高分子複合体層形成工程とを
    備え、 上記第1及び第2絶縁膜形成工程に於いて使用する第1
    及び第2絶縁膜材料は、上記液晶が濡れ性を示す材料で
    あることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 それぞれ電極を有する一対の基板間
    に、液晶と高分子樹脂とを含む液晶高分子複合体層が設
    けられ、該液晶高分子複合体層に電界を印加して、液晶
    高分子複合体層の光散乱状態を変化させる液晶表示素子
    の製造方法であって、 上記電極のうち一方の電極に絶縁膜材料を塗布した後、
    所定の焼成温度で焼成して第1絶縁膜を形成する第1絶
    縁膜形成工程と、 上記電極のうち他方の電極に上記絶縁膜材料を塗布した
    後、上記焼成温度とは異なる焼成温度で焼成して第2絶
    縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、 上記一対の基板を、上記第1絶縁膜と第2絶縁膜とが対
    向するように貼り合わせて空セルを形成する貼り合わせ
    工程と、 上記空セル内部に、液晶及び高分子材料を含む混合組成
    物を設ける工程と、 上記高分子材料を重合させることにより、上記液晶高分
    子複合体層を形成する液晶高分子複合体層形成工程とを
    備え、 上記第1及び第2絶縁膜形成工程に於いて使用する絶縁
    膜材料は、上記液晶が濡れ性を示す材料であることを特
    徴とする液晶表示素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 それぞれ電極を有する一対の基板間
    に、液晶と高分子樹脂とを含む液晶高分子複合体層が設
    けられ、該液晶高分子複合体層に電界を印加して、液晶
    高分子複合体層の光散乱状態を変化させる液晶表示素子
    の製造方法であって、 上記電極のうち一方の電極に、フッ素系界面活性剤を所
    定の添加量だけ加えた絶縁膜材料を塗布した後、該絶縁
    膜材料を焼成して第1絶縁膜を形成する第1絶縁膜形成
    工程と、 上記電極のうち他方の電極に、上記添加量とは異なる量
    のフッ素系界面活性剤を添加した絶縁膜形成用溶液を塗
    布した後、上記焼成温度で焼成して第2絶縁膜を形成す
    る第2絶縁膜形成工程と、 上記一対の基板間に、液晶及び高分子材料を含む混合組
    成物を設ける工程と、 上記高分子材料を重合させることにより、上記液晶高分
    子複合体層を形成する液晶高分子複合体層形成工程とを
    備え、 上記第1及び第2絶縁膜形成工程に於いて使用する絶縁
    膜材料は、上記液晶が濡れ性を示す材料であることを特
    徴とする液晶表示素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 それぞれ電極を有する一対の基板間
    に、液晶と高分子樹脂とを含む液晶高分子複合体層が設
    けられ、該液晶高分子複合体層に電界を印加して、液晶
    高分子複合体層の光散乱状態を変化させる液晶表示素子
    の製造方法に於いて、 上記電極のうち一方の電極に、臨界表面張力が相互に異
    なる少なくとも2種の材料が所定の混合比にて混合され
    た第1絶縁膜材料を塗布した後、所定の焼成温度で焼成
    して第1絶縁膜を形成する第1絶縁膜形成工程と、 上記電極のうち他方の電極に、上記第1絶縁膜材料とは
    異なる混合比で混合された第2絶縁膜材料を塗布した
    後、所定の焼成温度で焼成して第2絶縁膜を形成する第
    2絶縁膜形成工程と、 上記一対の基板間に、液晶及び高分子材料を含む混合組
    成物を設ける工程と、 上記高分子材料を重合させることにより、上記液晶高分
    子複合体層を形成する液晶高分子複合体層形成工程とを
    備え、 上記第1及び第2絶縁膜形成工程に於いて使用する第1
    及び第2絶縁膜材料は、上記液晶が濡れ性を示す材料で
    あることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
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