JP3271693B2 - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

液晶表示素子の製造方法

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    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/133377Cells with plural compartments or having plurality of liquid crystal microcells partitioned by walls, e.g. one microcell per pixel

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば多人数で使
用する携帯情報端末、パーソナルコンピューター、ワー
ドプロセッサー、アミューズメント機器、テレビジョン
装置などの平面ディスプレイを有する液晶表示素子、シ
ャッタ効果を利用した表示板、窓、扉、壁などに用いら
れる液晶表示素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平6-301015号および特開平7-120728
号には、高分子物質に囲まれた液晶領域を有し、機械的
強度および視角特性に優れた液晶表示素子およびその製
造方法が開示されている。この液晶表示素子は、一対の
基板間に液晶、重合性樹脂材料および重合開始剤を含む
混合物を挟持した後、ホトマスク等により照射強度が調
節された光を照射して重合性樹脂材料を硬化させ、高分
子物質に囲まれた液晶領域を形成することにより作製さ
れる。上記液晶表示素子が機械的強度および視角特性に
優れる理由は、高分子物質が両基板の間隔を保つ働きを
し、そして高分子物質に囲まれた液晶領域中の液晶分子
の配向方向は一方向でなく様々な方向を向いていること
にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記液晶表示
素子は、液晶相のTNIの低下、透過率の低下、閾値電圧
の高電圧化、応答速度が遅いといった問題を有する。さ
らに液晶領域内の周辺部にディスクリネーションライン
が発生するという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは様々な基板
形状、基板表面にある材料の種類、液晶材料、重合性樹
脂材料の種類を変化させて鋭意検討した結果、液晶相の
特性が液晶本来の特性に極めて近い特性を有する液晶表
示素子の作製方法を見出した。
【0005】すなわち、本発明は、高分子物質によって
囲まれた液晶領域を有する液晶表示素子の製造方法であ
って、少なくとも電極膜を有する一対の基板を貼り合わ
せる工程;該基板間に、液晶、重合性樹脂材料および
重合開始剤を含む混合物を挟持する工程;前記混合物を
完全に相溶した状態になる温度にまで加熱した後、該加
熱混合物を冷却することにより液晶相を析出させる工
程;前記混合物を、5℃/minより小さい温度降下速度で
温度降下させることにより、該析出した液晶相を成長さ
せる工程;および該液晶相の大きさが絵素の大きさの80
%以上になる温度で紫外線を照射することにより該重合
性樹脂材料を硬化させる工程を包含する液晶表示素子の
製造方法である。
【0006】好ましい実施態様においては、上記重合性
樹脂材料を硬化させる温度は、液晶相の大きさが上記絵
素の大きさと同じになる温度である。
【0007】
【0008】
【0009】好ましい実施態様においては、上記液晶相
の外周に沿ってディスクリネーションラインが存在する
ように前記基板間に印加した電圧を上昇および降下させ
て液晶分子を軸対称状に配向させる工程をさらに包含す
る。
【0010】好ましい実施態様においては、2V/minよ
り遅い速度で前記印加した電圧を降下させる。
【0011】好ましい実施態様においては、上記液晶相
が上記絵素の大きさの3%から99%である温度で上記液
晶分子を軸対称状に配向させる。
【0012】好ましい実施態様においては、上記基板上
の絵素領域の周囲に突起状構造体が存在する。
【0013】好ましい実施態様においては、上記基板間
に電圧を印加しながら上記重合性樹脂材料を硬化させ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0015】本明細書において、用語「絵素」とは、液
晶表示素子において、画像を形成する基本単位である。
加工上の理由などでブラックマトリクスなどにより区切
られた1つの領域をさらに2つ以上n個に分割した際に
は、そのn個に分割されたそれぞれの領域をいう。
【0016】本明細書において、用語「絵素領域」と
は、液晶表示素子において、表示素子の絵素を構成する
部分をいい、この部分は一対の基板に挟まれた1つの液
晶領域を含む。
【0017】本明細書において用語「液晶相が独立して
存在する」とは、1つの液晶相が周囲の他の液晶相との
間に明確な境界領域を有していることをいう。
【0018】本明細書において用語「液晶相の大きさ」
とは、液晶相を基板平面に垂直な方向から見たときの液
晶相の有する面積のことをいう。
【0019】本明細書において用語「液晶相が成長す
る」とは、液晶相の大きさが大きくなることをいう。
【0020】本発明の高分子物質によって囲まれた液晶
領域を有する液晶表示素子の好適な製造方法としては、
まず、少なくとも電極膜を有する一対の基板をスペーサ
ーにより間隙を介して設置してセルを構成する。次に、
基板間に、液晶、重合性樹脂材料および重合開始剤を含
む混合物を注入する。次いで、混合物の温度を変動させ
ることにより、液晶相の大きさが絵素の大きさの80%以
上になりかつ絵素領域内に1つの液晶相が独立して存在
する温度で重合性樹脂材料を硬化させて液晶領域を形成
することにより液晶表示素子が得られ得る。
【0021】液晶相の大きさを絵素の大きさの80%以上
の大きさに制御する方法としては、i)液晶、重合性樹
脂材料および重合開始剤を含む混合物に加熱のみ行い液
晶相を制御する方法、ii)混合物を加熱した後に冷却し
て液晶相を析出させ、これを成長させる方法、iii)加
熱や冷却を何回か組み合わせて液晶相の大きさを制御す
る方法などがある。
【0022】析出させた液晶相を温度降下により成長さ
せる工程において、温度は5℃/minより小さい速度、
好ましくは2℃/min以下の速度、より好ましくは1℃
/min以下の速度で降下する。温度降下速度が速いと液
晶が不均一に析出するため絵素毎での液晶相の大きさの
バラツキの原因となり、さらに大きな液晶相同士の融合
が頻繁に起こるようになるためディスクリネーションの
発生を引き起こしやすい。
【0023】次に重合性樹脂材料を硬化させて高分子物
質に囲まれた液晶領域を形成する。この重合性樹脂材料
を硬化させる温度は以下のようにして決定し得る。
【0024】液晶および重合性樹脂材料を含む混合物を
一対の基板間に挟持した液晶セルの温度を変化させて混
合物に生じる状態変化を観察し、重合性樹脂材料含有量
(重合性樹脂材料および液晶を含む混合物の全重量に対
する重量%)に対して液晶が析出し始める温度、液晶相
の大きさが絵素と同じ大きさになる温度、液晶相が独立
して存在しなくなる温度および全て液晶相になる温度を
プロットすると図1に示す相図が得られる。
【0025】図1の相図において、A領域は液晶と重合
性樹脂材料とが完全に相溶した状態である。A領域とB
領域とを隔てる直線は、重合性樹脂材料含有量に対して
液晶が析出し始める温度を示す。析出した液晶相は、B
領域で温度降下と共に成長するが、その大きさは絵素の
大きさより小さい。B領域とC領域とを隔てる直線は、
重合性樹脂材料含有量に対して液晶相の大きさが絵素と
同じ大きさになる温度を示す。絵素と同じ大きさになっ
た液晶相は、C領域で温度降下と共にさらに成長する。
C領域とD領域とを隔てる直線は、重合性樹脂材料含有
量に対して液晶相が独立して存在しなくなる温度を示
す。D領域では、液晶相は隣の液晶相と融合するため、
液晶相はさらに大きくなり、液晶相の形状もランダムに
なる。D領域とE領域とを隔てる直線は、重合性樹脂材
料含有量に対して全ての領域が液晶相になる温度を示
す。E領域では全ての領域が液晶相である。
【0026】例えば、重合性樹脂材料含有率a重量%の
混合物の温度を降下させた場合、液晶と重合性樹脂材料
とが完全に相溶した状態の混合物から液晶が析出し始
め、そして温度Taにおいて析出した液晶相の大きさが
絵素と同じになる。このときの液晶相はx点の重合性樹
脂材料含有率を有し、液晶と重合性樹脂材料とが完全に
相溶した状態の混合物はy点の重合性樹脂材料含有率を
有する。
【0027】図1から明らかなように、重合性樹脂材料
含有率a重量%の混合物の温度をさらに降下させていく
と、液晶相の大きさは成長し、同時に液晶相に含まれる
重合性樹脂材料の量は増加していく。つまり、液晶相の
純度は、液晶相が小さい方が高い。しかし、液晶相が小
さいと重合性樹脂材料を硬化させて得られる液晶領域の
開口率が低下するため、得られる表示素子の性能が低下
する。従って、形成される液晶領域の開口率と液晶領域
中の液晶の純度とを考慮すると、重合性樹脂材料の含有
率に関わらず液晶相の大きさが絵素の大きさの80%以
上、好ましくは同じ大きさになりかつ1つの絵素内に液
晶相が独立して存在する温度で重合性樹脂材料の硬化を
行うことが好ましい。
【0028】液晶相が上記条件を満たす温度は、使用す
る液晶、重合性樹脂材料の種類、それらの混合比、基板
の形状、基板の表面状態などによって異なる。従って、
液晶相が上記条件を満たす温度は、使用する液晶、重合
性樹脂材料および基板材料の各組合せ毎に相図を描くこ
とにより求められ得る。
【0029】使用する重合性樹脂材料の量は以下のよう
にして決定し得る。
【0030】図1に示すように重合性樹脂材料と液晶と
が同じであっても、重合性樹脂材料含有量がa重量%の
場合とb重量%の場合では、液晶相の大きさが絵素と同
じ大きさになる温度は異なる。重合性樹脂材料含有量が
a重量%の場合、液晶相および非液晶相領域に含まれる
重合性樹脂材料の量が少ないため、重合性樹脂材料含有
量がb重量%の場合に比べて、液晶表示素子の透過率、
閾値電圧、応答速度、信頼性が向上する。しかし、重合
性樹脂材料の硬化により得られる高分子物質の絶対量が
少ないため重合性樹脂材料含有量がb重量%の場合と比
べて、押圧に対する安定性が減少する。また、B領域お
よびC領域が狭くなるために適した状態で重合性樹脂材
料を硬化させるために厳しい温度の制御が必要になる。
従って、重合性樹脂材料の使用量は、作製する液晶表示
素子の求められる性能および図1に示すような相図に基
づく作製条件を考慮して決定され得る。
【0031】重合性樹脂材料の硬化は、主に光を照射す
ることによって行い得る。照射する光の露光照度と露光
時間は、液晶と重合性樹脂材料との割合によって異なる
ため、特に限定されない。機械的強度の優れた液晶セル
を形成するためには、強い露光照度で短時間露光するよ
りも弱い露光照度で長時間露光する方が好ましい。強い
露光照度で短時間露光すると分子量の小さい高分子物質
が多量に生成する。高分子物質の分子量が小さいと充分
な機械的強度を有する液晶セルが得られない。フォトマ
スクを用いる場合、フォトマスクは連続または独立した
規則性パターンを有し、マトリクス状あるいはストライ
プ状であり得る。液晶領域形成後、さらに液晶層全面に
光を照射することによって、重合性樹脂材料の硬化を完
全なものとし得る。
【0032】本発明の液晶表示素子の製造方法におい
て、液晶領域中の液晶分子を軸対称状に配向させること
により液晶表示素子の視角特性を向上させ得る。液晶分
子を軸対称状に配向させる方法としては、例えば、重合
性樹脂材料を硬化する前に、セルを構成する基板間に電
圧を印加し、そして液晶相の外周に沿ってディスクリネ
ーションラインが存在するように印加電圧を上下させる
ことで液晶分子を軸対称状に配向させ得る。印加電圧の
上下変化は複数回行い得る。印加電圧および印加電圧を
上下させる速度は、液晶および重合性樹脂材料の種類、
重合性樹脂材料含有率、基板間隔、絵素の大きさなどに
依存して適宜選択され得る。
【0033】印加電圧の上下変化は、液晶相の大きさが
絵素の大きさの3%〜99%、好ましくは10%〜90%、よ
り好ましくは30%〜75%になる温度で行う。液晶相の大
きさが絵素の大きさの3%より小さい場合、液晶相を成
長させる過程で液晶分子の軸対称状配向が壊れることが
有る。他方、液晶相の大きさが絵素の大きさの99%より
大きい場合、ディスクリネーションラインを制御するこ
とが難しい。
【0034】ディスクリネーションは、重合性樹脂材料
を硬化させて液晶領域を形成する工程において、液晶分
子にプレチルトを持たせることにより低減し得る。液晶
分子にプレチルトを持たせる方法としては、例えば、重
合性樹脂材料の硬化と共に基板間に電圧を印加する。電
圧印加時間は、重合性樹脂材料の硬化工程の開始から液
晶分子がプレチルトを持ちはじめる時間までであり得
る。硬化中常に電圧を印加していると、表示素子を作製
した後に電圧を印加しても液晶分子の応答が悪くなりコ
ントラストが低下する。
【0035】液晶領域の位置を正確に絵素と対応させる
ことにより液晶表示素子の視角特性を向上させ得る。液
晶領域の位置を正確に絵素と対応させるためには、液晶
相の析出位置を制御する必要がある。液晶相の析出位置
を絵素に対応させる方法として、例えば、基板上の絵素
に対応して液晶領域が配置される領域の周囲に突起を有
する基板を用い得る。
【0036】本発明に用い得る液晶としては、常温付近
で液晶状態を示す物質であれば特に制限されないが、ネ
マティック液晶(2周波駆動用液晶、△ε<0の液晶を
含む)、コレステリック液晶(特に、可視光に選択反射
特性を有する液晶)、スメクティック液晶、強誘電性液
晶、デスコティック液晶などを挙げることができる。こ
れらのうち、ネマティック液晶もしくは、コレステリッ
ク液晶、またはカイラル剤の添加されたネマティック液
晶が好ましい。カイラル剤の添加されたネマティック液
晶においては、ヒステリシス、均一性、d・△n(位相
差)による着色の問題などから10μm以上の螺旋ピッチ
を持つようにカイラル剤を添加することが好ましい。ま
た、加工時に光重合反応を伴うため耐化学反応性に優れ
た液晶が好ましい。具体的には、化合物中、フッ素原子
などの官能基を有する液晶であり、ZLI-4801-000、ZLI-
4801-001、ZLI-4792(メルク社製)などを挙げることが
できる。これらの液晶材料は、混合して用い得る。
【0037】本発明に用い得る重合性樹脂材料として
は、例えば、炭素数3以上の長鎖アルキル基または芳香
族基を有するアクリル酸またはアクリル酸エステルを使
用し得る。これらの例としては、イソブチルアクリレー
ト、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、
イソアミルアクリレート、n-ブチルアクリレート、トリ
デシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、
2-フェノキシエチルアクリレート;これらのアクリレー
トをメタクリレートに換えたもの;およびこれらのモノ
マーのハロゲン化物(特に塩素化、またはフッ素化した
モノマー)、例えば、2,2,3,4,4,4-へキサフルオロブチ
ルメタクリレート、2,2,3,4,4,4-へキサクロロブチルメ
タクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタク
リレート、2,2,3,3-テトラクロロプロピルメタクリレー
ト、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パー
クロロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオ
クチルエチルアクリレート、パークロロオクチルエチル
アクリレートを挙げることができる。これらモノマー
は、単独または2種以上混合して使用し得る。
【0038】本発明に用い得る重合性樹脂材料および液
晶を含む混合物は、所望に応じて光重合開始剤を含み得
る。光重合開始剤の例としては、Irgacure 651、Irgacu
re 184(チバガイギー社製)、およびDarocur 1173(メ
ルク社製)等を挙げることができる。光重合開始剤は、
液晶と重合性樹脂材料との混合物の総重量に対して0.01
〜3重量%添加し得る。
【0039】本発明で用い得る基板は少なくとも電極膜
を有し、必要に応じて液晶分子の配向を制御する配向処
理が施され得る。配向処理方法としては、基板にポリイ
ミドなどの高分子物質や無機材料を塗布後、布で擦るラ
ビング法、表面自由エネルギーの低い化合物を塗布する
垂直配向法、SiO2などの斜め蒸着による斜め配向法、ま
た、ラビング処理を行わない水平配向膜、または無処理
基板(基板に透明電極を設置した基板)などが挙げられ
る。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
【0041】(実施例1)ガラス基板(1.1mm厚)上にI
TO(酸化インジウムおよび酸化スズの混合物)から成る
厚み100nmの透明電極が形成された基板にシール剤(ス
トラクトボンドXN−21S)を印刷法でパターンニングし
た。他方、図2に示すようなガラス基板(1.1mm厚、ITO
100nm付き)に100μm角の抜けを有するモリブデンから
成るブラックマトリクスをパターンニングした基板に粒
子径4.5μmのプラスチックビーズ(ミクロパール;積水
ファインケミカル社製)を散布し、先に作製した電極付
き基板と貼りあわせてセルを作製した。
【0042】β-(パーフロロオクチル)エチルアクリ
レート 1.5g、ラウリルアクリレート 2.6g、R684(日
本化薬社製)1.0g、およびp-フェニルスチレン 1.9gか
らなる重合性樹脂材料と液晶ZLI-4792(メルク社製)と
を総量が1.0gになるように混合し、さらに光重合開始剤
Irgacure 651を0.005g加えてよく混合した。この混合物
を先に作製したセルに注入して液晶セルを得、次いでこ
の液晶セルの温度を変化させて相状態の観察を行い、相
図(図3)を作成した。このときの液晶セルの温度降下
速度は0.1℃/minであった。
【0043】次いで、任意の重合性樹脂材料含有量3重
量%および7重量%において、液晶および重合性樹脂材
料を含む混合物が、それぞれ図3に示すような温度Ta、
Tb、TcおよびTd℃のときに、高圧水銀ランプを用いて10
mW/cm2の照度で紫外線を10分間液晶セルに照射し重合性
樹脂材料を硬化させた。絵素領域と液晶領域の関係を模
式的に図4に示す。それぞれの重合性樹脂材料含有量の
とき、液晶相の大きさが絵素の大きさと同じになる温度
より高い温度で露光すると絵素に対して小さい液晶領域
が形成され、その結果、得られる表示素子の透過率およ
びコントラストが低下した。表示素子の透過率、コント
ラストなどが実用上問題の無いレベルに達するのは、液
晶領域の大きさが絵素の大きさの80%以上の場合であっ
た。
【0044】次に、上記各温度で硬化を行って得られた
表示素子の液晶相のTNIをそれぞれ測定した結果を表1
に示す。液晶相の大きさが絵素の大きさと同じになるま
での間の温度で硬化した方が、TNI温度は液晶本来の値
(91℃)に近かった。このTNI温度が高い液晶セルは、
70℃下に100時間置く信頼性評価試験において安定性が
良好であった。
【0045】
【表1】
【0046】(実施例2)実施例1で用いたのと同じ液
晶、重合性樹脂材料および重合開始剤を使用して重合性
樹脂材料含有率が5、10、15、20重量%の混合物を作製
し、実施例1と同じセルに注入して液晶セルを得た。こ
れらの重合性樹脂材料含有率の異なる液晶セルをそれぞ
れいったん95℃まで加熱して10時間その温度を維持した
後、実施例1で得られた相図に基づいて液晶相の大きさ
が絵素の大きさの50%になる温度まで0.5℃/minで徐冷
した。上記各液晶セルについて100個の絵素における絵
素の大きさに対する液晶相の大きさを測定して標準偏差
を計算したところ、それぞれ、0.056、0.071、0.062、
0.046であり、液晶相の大きさはほぼ均一であった。こ
れらをさらに0.5℃/minで徐冷すると、ほぼ同時に大き
さの均一な液晶相が得られた。これらの温度でそれぞれ
の液晶セルに実施例1と同様に紫外線を照射して重合性
樹脂材料を硬化させると電圧無印加時の透過率、応答速
度に優れた液晶表示素子を作製することができた。
【0047】(比較例1)実施例1で用いたのと同じ液
晶、重合性樹脂材料および重合開始剤を使用して重合性
樹脂材料含有率が5、10、15、20重量%の混合物を作製
し、実施例1で用いたのと同じセルに注入して液晶セル
を得た。これらの重合性樹脂材料含有率の異なる液晶セ
ルをそれぞれ室温から液晶相の大きさが絵素の大きさよ
り小さい温度にまで加熱した。上記各液晶セルについて
100個の絵素における絵素の大きさに対する液晶相の大
きさを測定して標準偏差を計算したところ、それぞれ、
0.138、0.187、0.168、0.203であり、液晶相の大きさは
不均一であった。これらを0.5℃/minで徐冷しても液晶
相の大きさはなお不均一であり(図5)、一部で隣の液
晶相との融合が起こっていた。実施例1と同様に紫外線
を照射して重合性樹脂材料を硬化させて得た表示素子の
光学特性は良くなかった。
【0048】(実施例3)ビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル 0.25g、イソボルニルアクリレート0.2g、
β-(パーフロロオクチル)エチルアクリレート 0.1
g、およびt-ブチルパーオキサイド 0.05gからなる重合
性樹脂材料と液晶ZLI-4792(メルク社製:カイラル剤S-
811を0.3wt%含有)0.54gと重合開始剤Irgacure 907
0.03gとからなる混合物を実施例1で用いたのと同じセ
ルに注入して液晶セルを得た。この液晶セルをいったん
95℃に10時間加熱した後、温度を下げて液晶を析出さ
せ、次いで表2に示す冷却速度で冷却して液晶相の大き
さが絵素の大きさと同じになるまで液晶相を成長させ
た。このとき冷却速度が速い場合、絵素内で複数個の液
晶相が発生、成長、融合した。そして融合の際にディス
クリネーションの発生が観察された。100個の絵素につ
いてディスクリネーションの発生している割合を調べた
ところ、ディスクリネーションの発生率5%以下となる
冷却速度は、1℃/min以下であった。冷却速度が遅いほ
どディスクリネーションの発生は少なく、0.5℃/min以
下の速度ではほとんど発生が見られない。しかし、スル
ープットなどを考慮すると0.1℃/hrより遅い速度は実用
的でない。
【0049】
【表2】
【0050】(実施例4)実施例3で用いたのと同様の
液晶セルをいったん95℃で10時間加熱した後、0.5℃/mi
nで徐冷し、液晶相の大きさが絵素の大きさの50%にな
った温度で両基板間に矩形波、60Hzで電圧の印加を行っ
た。0〜5Vの範囲で電圧を数回上下させて液晶領域に
発生するディスクリネーションラインが液晶相の外周に
沿うようにして液晶分子を軸対称状に配向させた。次い
で、電圧の印加を止め液晶相の大きさが絵素の大きさと
同じになる温度にまで0.5℃/minで徐冷した。この温度
で偏光顕微鏡を用いて液晶相を観察すると、図6に示す
ようにすべての絵素において液晶分子が軸対称状に配向
しているのが観察された。次に、実施例1と同様の条件
で紫外線を照射し重合性樹脂材料を硬化させた後、基板
の両外側に偏光板をクロスニコルになるように張り付け
て表示素子を作製した。この表示素子は±50°の視角範
囲内で白黒反転が生じない広視野角を有していた。
【0051】(実施例5)ガラス基板(1.1mm厚)上にI
TOから成る厚み100nmの透明電極が形成された基板にシ
ール剤(ストラクトボンドXN−21S)を印刷法でパター
ンニングした。他方、図7に示すようなガラス基板(1.
1mm厚、ITO 100nm付き)に50μm×150μmの抜けを有す
るモリブデンから成るブラックマトリクス3をパターン
ニングした基板に粒子径4.5μmのプラスチックビーズ
(ミクロパール;積水ファインケミカル社製)を散布
し、先に作製した電極付き基板と貼りあわせてセルを作
製した。このセルに実施例3で用いたのと同じ混合物を
注入して液晶セルを得た。
【0052】この液晶セルをいったん95℃で10時間加熱
した後、0.5℃/minで徐冷し、液晶相の大きさが絵素の
大きさの50%になった温度で両基板間に矩形波、60Hzで
電圧の印加を行った。0〜5V範囲で電圧を数回上下さ
せて液晶領域に発生するディスクリネーションライン1
1が液晶相の外周5に沿った楕円状になるようにして液
晶分子を軸対称状に配向させた。次いで、電圧の印加を
止め液晶相の大きさが絵素の大きさと同じになる温度に
まで0.5℃/minで徐冷した。この温度で実施例1と同様
の条件で紫外線を照射し重合性樹脂材料を硬化させた
後、基板の両外側に偏光板をクロスニコルになるように
張り付けて表示素子を作製した。この表示素子は±50°
の視角範囲内で白黒反転が生じない広視野角を有してい
た。
【0053】(実施例6)実施例3で用いたのと同様の
液晶セルをいったん95℃で10時間加熱した後、0.5℃/mi
nで徐冷した。液晶相の大きさが絵素の大きさの50%に
なった温度で両基板間に、上昇速度2V/min、降下速度
0.1、0.5、1.0、1.5、2.0および5.0V/minで矩形波、60H
zで電圧印加操作を行った。電圧降下速度2.0V/min以下
ではディスクリネーションラインを液晶相の外周に沿っ
た形状に制御でき、そして液晶分子を軸対称状に配向さ
せることができたが、5.0V/minでは不可能であった。電
圧降下速度が遅いほど電圧印加操作1回で軸対称状配向
をとる液晶相の数が多くなる。電圧降下速度は1.0V/min
以下が好ましいが、スループットを考慮すると0.1V/hr
以下はあまり実用的でない。
【0054】(実施例7)実施例3で用いたのと同様の
液晶セルをいったん95℃で10時間加熱した後0.5℃/min
で徐冷し、次いで様々な液晶相の大きさの温度で両基板
間に矩形波、60Hzで電圧を印加して軸対称状に液晶分子
を配向させる操作を行った。0〜5V範囲で電圧を数回
上下させ、液晶相に発生するディスクリネーションライ
ンが液晶相の外周に沿うようにして液晶分子を軸対称状
に配向させた。液晶相の大きさが小さい温度で配向操作
を行った場合、電圧の印加を止め液晶相の大きさが絵素
の大きさと同じになる温度にまで0.5℃/minの割合で徐
冷していく過程で液晶相の融合によってディスクリネー
ションが発生した。配向操作を行う時点の液晶相の大き
さが絵素の大きさの3%以下および99%以上ではディス
クリネーションラインの観察が困難であり、約10%より
大きくなると観察がしやすくなった。配向操作を行う時
点の液晶相の大きさが絵素の大きさの30%を超えると、
他の小さな液晶相と融合しても軸対称状の配向が乱れる
ことはほとんどなかった。液晶相の大きさが絵素の大き
さに近づくにつれ、ディスクリネーションラインを液晶
相外周に沿わせることが難しくなり、液晶相の大きさが
絵素の大きさの75%ぐらいまでがディスクリネーション
ラインの制御性が良好であり、90%になるとディスクリ
ネーションラインはあまり動かなかった。
【0055】(実施例8)ガラス基板(1.1mm厚)上にI
TOから成る厚み100nmの透明電極が形成された基板にシ
ール剤(ストラクトボンドXN−21S)を印刷法でパター
ンニングした。他方、図8に示すように同様のITOから
なる透明電極が形成された基板上に100μm角の抜けを有
するブラックマトリクスを形成し、さらにそのブラック
マトリクス上にネガ型フォトレジストOMR83(東京応化
社製)を塗布、露光、現像、リンス、焼成して高さ2.5
μmの突起を形成した。この突起を形成した基板に粒子
径4.5μmのプラスチックビーズ(ミクロパール;積水フ
ァインケミカル社製)を散布し、先に作製した基板と貼
りあわせてセルを作製した。
【0056】β-(パーフロロオクチル)エチルアクリ
レート 1.5g、ステアリルアクリレート 2.6g、トリメ
チロールプロパントリアクリレート 1.0g、および4-フ
ルオロスチレン 1.9gからなる重合性樹脂材料 0.1g、
液晶材料ZLI-4792(メルク社製)0.9g、および光重合開
始剤Irgacure 651 0.005gからなる混合物をセルに注入
して液晶セルを得た。
【0057】この液晶セルを100℃で5時間加熱した後
に0.3℃/minの割合で徐冷したところ、全ての絵素にお
いて絵素のほぼ中心で液晶相の成長過程が進行し、液晶
相の大きさはセル全域でほぼ均一であった。液晶相の大
きさが絵素の大きさの約55%になった温度で両基板間に
矩形波、60Hzで電圧の印加して軸対称状に液晶分子を配
向させる操作を行った。0〜5Vの範囲で電圧を数回上
下させ、液晶相に発生するディスクリネーションライン
が液晶相の外周に沿うようにして液晶分子を軸対称状に
配向させた。次いで、電圧の印加を止め液晶相が絵素の
大きさと同じになる温度にまで0.5℃/minで徐冷した。
この温度で高圧水銀ランプを用いて11mW/cm2の照度で紫
外線を15分間液晶セルに照射し重合性樹脂材料を硬化さ
せて表示素子を得た。偏光顕微鏡を用いて反射モードで
表示素子を観察したところ図9のように絵素領域以外に
は液晶領域がほぼ見当たらなかった。シュリーレン模様
の中心はほぼ絵素の中心に位置していた。
【0058】(実施例9)ガラス基板(1.1mm厚)上にI
TOから成る厚み100nmの透明電極が形成された基板にシ
ール剤(ストラクトボンドXN−21S)を印刷法でパター
ンニングした。同様のITOからなる透明電極が形成され
た基板上に100μm角の抜けを有するブラックマトリクス
上にネガ型フォトレジストV−259PA(新日鉄化学社製)
を塗布、露光、現像、リンス、焼成して高さ1.8μmの突
起を形成した。この突起を形成した基板に粒子径4.7μm
のプラスチックビーズ(ミクロパール;積水ファインケ
ミカル社製)を散布し、先に作製した基板と貼りあわせ
てセルを作製した。
【0059】トリメチロールプロパントリアクリレート
0.1g、ラウリルアクリレート 0.26g、2,2,3,4,4-へ
キサフロロブチルアクリレート 0.15g、4-フロロスチ
レン0.19gからなる重合性樹脂材料0.1g、液晶ZLI-4792
(メルク社製;カイラルS−811を0.33wt%含有)0.
9g、および重合開始剤Irgacure 184 0.006gからなる均
一混合物をセルに注入して液晶セルを得た。この液晶セ
ルを90℃で15時間加熱した後、0.8℃/minの割合で徐冷
し、液晶相の大きさが絵素の大きさの45%になった温度
で60Hzの矩形波を0〜5V範囲で数回上下させながら印
加し、その時に生じるディスクリネーションラインを液
晶相の外周に沿うように制御して液晶分子を軸対称状に
配向させた。次いで電圧印加を止め、0.5℃/minの割合
で液晶相の大きさが絵素の大きさと同じになるまで徐冷
し、その温度で高圧水銀ランプを用いて13mW/cm2の照度
で紫外線を20分間液晶セルに照射した。紫外線照射と同
時に、液晶セルに2V電圧を1分、2分、5分、10分、2
0分印加した場合について、重合性樹脂材料硬化後に電
圧を5V加したときのディスクリネーションの発生の様
子を図10に示す。電圧を印加している時間が長いとディ
スクリネーションラインの発生は良好に抑制される。し
かし、印加時間が長くなるにしたがって液晶分子はチル
ト角が高くなった状態で固定されるため、電圧無印加時
の表示素子の透過率が低くなりコントラストが低下す
る。
【0060】
【表3】
【0061】(実施例10)1.1mm厚のガラス基板上に
厚さ100nmのITO透明電極を形成した基板にシール剤(ス
トラクトボンドXN‐21S)を印刷した。他方、図8に示す
ようなIT0透明電極が形成された基板に100μm角の抜け
を有するブラックマトリクスを形成し、さらにその上に
ネガ型フォトレジストOMR83(東京応化社製)を塗布、露
光、現像、リンス、焼成して高さ2.0μmの突起を形成し
た。突起を形成した基板に粒子径4.5μmのプラスチック
ビーズ(ミクロパール;積水ファィンケミカル社製)を散
布し、先に作製した基板と貼りあわせてセルを作製し
た。
【0062】2-(パーフロロオクチル)エチルアクリレー
ト 1.5g、ラウリルアクリレート2.6g、トリメチロール
プロパントリアクリレート 1.0g、および4-フルオロス
チレン 1.9gからなる重合性樹脂材料 0.1g、液晶ZLI-
4792(メルク社製)0.9g、および光重合開始剤Irgacure
907 0.005gからなる混合物をセルに注入して液晶セル
を得た。
【0063】この液晶セルを95℃で5時間加熱した後、
0.5℃/minの割合で徐冷した。液晶相の大きさが絵素の
大きさの50%になった温度で、矩形波を0〜5Vの範囲
でかつ0.3V/minの速度で10回電圧を上げ下げしてディス
クリネーションラインが液晶相の外周に沿うようにする
と、全液晶相に対して約95%の液晶相が軸対称状に配向
した。さらに0.5℃/minの割合で徐冷して、液晶相の大
きさが絵素の大きさと同じになった温度で高圧水銀ラン
プ下で11mW/cm2の照度で紫外線を15分間照射して重合性
樹脂材料を硬化させた。次いで、基板の両外側に偏光板
をクロスニコルになるように張り付けて液晶表示素子を
得た。得られた液晶表示素子は±50°の視角範囲内で白
黒反転が生じない広視角を有していた。さらに、得られ
た液晶表示素子は、0〜5Vのコントラストが148、応答
速度(τrd)が58msecであった。液晶表示素子を70℃
の恒温槽中で100時間放置した後も、液晶領域の形状お
よび電気光学特性に大きな変化はなかった。
【0064】(実施例11)実施例10と同様にして液晶
セルを作製した。この液晶セルを95℃で5時間加熱した
後、2.5℃/minの割合で徐冷したところ、液晶相の大き
さにバラツキが生じた。液晶相の大きさが絵素の大きさ
の45%〜50%になった温度で、矩形波を0〜5Vの範囲
でかつ1.7V/minの速度で数回電圧を上げ下げしてディス
クリネーションラインが液晶相の外周に沿うように印加
した。一回目の操作で、液晶が軸対称状に配向していな
い液晶相の約30%が軸対称状に配向した。しかし、電圧
を上下させる操作を繰り返すと液晶相が軸対称状に配向
する割合が減っていき、全絵素中の液晶相の約60%以上
の液晶相を軸対称状に配向させるためには、約300回の
電圧上下の操作を行わなければならなかった。続いて、
再度液晶セルを95℃で5時間加熱した後、0.5℃/minの割
合で徐冷すると全絵素でほぼ同じ大きさの液晶相が得ら
れた。液晶相の大きさが絵素の大きさの約50%になった
温度で短形波を0〜5Vの範囲で、かつ0.3V/minの速度で
数回電圧を上げ下げしてディスクリネーションラインが
液晶相の外周に沿うように印加すると全絵素中の液晶相
の約95%の液晶相が軸対称状に配向した。さらに0.5℃/m
inの割合で徐冷して、液晶相の大きさが絵素の大きさと
同じになった温度で高圧水銀ランプ下で11mW/cm2の照度
で紫外線を15分間照射して重合性樹脂材料を硬化させ
た。次いで、基板の両外側に偏光板をクロスニコルにな
るように張り付けて液晶表示素子を得た。得られた液晶
表示素子は±50°の視角範囲内で白黒反転が生じない広
視角を有していた。さらに、得られた液晶表示素子は、
0〜5Vのコントラストが144、応答速度(τrd)が55m
secであった。液晶表示素子を70℃の恒温槽中で100時間
放置した後も、液晶領域の形状および電気光学特性に大
きな変化はなかった。液晶相の配向が十分でない場合、
重合性樹脂材料を硬化させる前であれば、再度液晶セル
の温度を上下させて液晶を再配向させ得ることが確認で
きた。
【0065】(実施例12)ガラス基板(1.1mm厚)上にIT0
からなる厚み100nmの透明電極が形成された基板にシー
ル剤(ストラクトボンドXN−21S)を印刷法でパターンニ
ングした。他方、図11に示すようなガラス基板(1.1mm
厚、IT0 100nm付き)に50μm×150μmのぬけを有するモ
リブデンから成るブラックマトリクスをパターンニング
した基板に、ネガ型フォトレジストV−259PA(新日鉄化
学社製)を塗布、露光、現像、リンス、焼成して高さ2.2
μmのレジストから成る突起を形成した。ブラックマト
リクスで囲われた絵素をレジストで2つの部分に分割す
ることにより50μm×55μmの絵素を新たに形成した。こ
の突起を形成した基板に粒子径4.6μmのプラスチックビ
ーズ(ミクロパール;積水ファインケミカル社製)を散布
し、先に作製した基板と貼り合わせてセルを作製した。
【0066】作製したセルに実施例3で用いたのと同じ
混合物を注入して液晶セルを得た。この液晶セルをいっ
たん95℃で10時間加熱した後、0.5℃/minで徐冷し、液
晶相の大きさが、分割して新たに形成した絵素の大きさ
(50μm×55μm)の約50%になった温度で両基板間に矩形
波、60Hzで電圧の印加を行った。0〜5Vの範囲で電圧
を数回上下させて液晶相に発生するディスクリネーショ
ンラインが液晶相の外周に沿った楕円状になるようにし
て液晶分子を軸対称状に配向させた。次いで、電圧の印
加を止め液晶相の大きさが絵素の大きさ(50μm×55μm)
と同じになるまで0.5℃/minで徐冷した。この温度で実
施例1と同様の条件で紫外線を照射し、重合性樹脂材料
を硬化させた後、基板の両外側に偏光板をクロスニコル
になるように張り付けて表示素子を作製した。
【0067】得られた表示素子は、実施例5と同様に±
50°の視角範囲内で白黒反転が生じない広視角を有して
いた。実施例5で作製した液晶表示素子と比較すると、
ブラックマトリクス内をレジストで区切っているため、
開ロ率が低下し透過率がやや下がってはいたが、シュリ
ーレン模様の中心の揃った表示素子を得ることができ
た。
【0068】
【発明の効果】本発明によると、高分子物質によって囲
まれた液晶領域を有する液晶表示素子の製造において、
液晶、重合性樹脂材料、重合開始剤を含む混合物ならび
に基板の種類、形状に対応して、液晶と高分子物質との
相分離を明確に行い得る。そのことにより視角特性、コ
ントラスト、高温信頼性に優れた液晶表示素子が得られ
得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、液晶および重合性樹脂材料を含む混合
物の相図である。
【図2】図2は、実施例1で使用したブラックマトリク
ス付き基板を示す。
【図3】図3は、実施例1で作製した液晶セルの相図を
示す。
【図4】図4は、実施例1で作製した液晶表示素子の絵
素の様子を示す。
【図5】図5は、比較例1の重合性樹脂材料含有率5%
の場合の絵素の状態を示す。
【図6】図6は、実施例4で作製した軸対称配向してい
る液晶セルの絵素の様子を示す。
【図7】図7は、実施例5で作製した液晶セル内の液晶
相のディスクリネーションラインを示す。
【図8】図8は、実施例5で使用した突起付きの基板を
示す。
【図9】図9は、実施例7で作製した液晶表示素子を偏
光顕微鏡の反射モードで観察した様子を示す。
【図10】図10は、実施例8において露光時に電圧を
印加した時間に対する絵素のディスクリネーションライ
ンの発生の様子を示す。
【図11】図11は、実施例12で使用したブラックマ
トリクス付き基板を示す。
【符号の説明】 1.ガラス基板 2.ITO 3.ブラックマトリクス 4.絵素領域 5.液晶領域 6.樹脂領域 7.相溶領域 8.消光模様 9.突起領域 10.OMR83 11.ディスクリネーションライン 12.V−259PA
フロントページの続き (72)発明者 堀江 亘 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 山田 信明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−194636(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1334

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子物質によって囲まれた液晶領域を
    有する液晶表示素子の製造方法であって、 少なくとも電極膜を有する一対の基板を貼り合わせる工
    程; 該基板間に、液晶、重合性樹脂材料および重合開始剤
    を含む混合物を挟持する工程;前記混合物を完全に相溶した状態になる温度にまで加熱
    した後、該加熱混合物を冷却することにより 液晶相を析
    出させる工程;前記混合物を、5℃/minより小さい温度降下速度で温度
    降下させることにより、 該析出した液晶相を成長させる
    工程;および該液晶相の大きさが絵素の大きさの80%以
    上になる温度で紫外線を照射することにより該重合性樹
    脂材料を硬化させる工程を包含する、液晶表示素子の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記重合性樹脂材料を硬化させる温度
    が、液晶相の大きさが前記絵素の大きさと同じになる
    度である、請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記液晶相の外周に沿ってディスクリネ
    ーションラインが存在するように前記基板間に印加した
    電圧を上昇および降下させて液晶分子を軸対称状に配向
    させる工程をさらに包含する、請求項1または2に記載
    液晶表示素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 2V/minより遅い速度で前記印加した電
    圧を降下させる、請求項に記載の液晶表示素子の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記液晶相の大きさが前記絵素の大きさ
    の3%から99%である温度で前記液晶分子を軸対称状に
    配向させる、請求項またはに記載の液晶表示素子の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記基板上の絵素領域の周囲に突起状構
    造体が存在する、請求項1からのいずれかに記載の
    晶表示素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記基板間に電圧を印加しながら前記重
    合性樹脂材料を硬化させる、請求項1から6のいずれか
    に記載の液晶表示素子の製造方法。
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