JP2001279372A - ロールフォーミング性に優れた3ピース缶用鋼板 - Google Patents
ロールフォーミング性に優れた3ピース缶用鋼板Info
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Abstract
鋼板を提供する。 【解決手段】 コイル幅方向において、鋼板表面におけ
る引張または圧縮残留応力と鋼板の板厚中心部における
引張または圧縮残留応力との差:Δ≧80MPaであるロー
ルフォーミング性に優れた3ピース缶用鋼板である。前
記3ピース缶用鋼板は、重量%で、C:0.001〜0.08%、S
i:0.04%以下、Mn:0.05〜0.5%、P:0.05%以下、S:
0.03%以下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.002〜0.02
%、またはさらに、Nb:0.002〜0.06%、Ti:0.002〜0.
06%のいずれか1種もしくは2種、またはさらに、B:0.0
005〜0.005%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から
なる。
Description
グ性に優れる3ピース缶用鋼板に関する。ものである。
この発明は、に関する。
属クロム、クロム酸処理を施したティン・フリー・スチー
ルは、缶用鋼板として食缶、飲料缶、エアゾール缶など
に使用されている。このティン・フリー・スチール缶には
蓋、胴、底からなる3ピース缶と胴と底が一体となる2ピ
ース缶があるが、いずれも近年のPETボトルやアルミ缶
等との競争激化により製缶コストの低減が要求されてい
る。特に3ピース缶においては、素材コスト低減のため
に缶胴用鋼板の板厚ゲージダウンが要求されている。し
かし、缶胴用鋼板の板厚ゲージをダウンしていくとスプ
リングバックの影響が大きくなるため、ロールフォーミ
ング性は低下する。
る目的で、薄肉化と同時に鋼板の硬質化が行われてい
る。この硬質化により強度(YP)が上昇した場合もスプ
リングバックの影響が大きくなるためロールフォーミン
グ性は低化する。
長手方向にされていたが、近年、板取り歩留り向上のた
めにコイル幅方向にロールフォーミングされることが増
えてきている。一般にコイル幅方向の方がコイル長手方
向に比べてYPが大きいことから、コイル幅方向にロール
フォーミングする場合もスプリングバックの影響が大き
くなりロールフォーミング性の面で不利になる。
せる要因が数多くある一方で、ロールフォーミング性の
向上のためには、現在のところ、製缶メーカーではロー
ルフォーミング装置の改造や調整により対応するしか方
法がなく、生産性向上の妨げになっている。
化によるYPの低減が唯一の手段である。
硬化しない完全弾塑性体と仮定すると、一般にスプリン
グバックとYPとの間には下式が成立つ。 Δθ/θ=3(YP・r)/(E・t)−4[(YP・r)/(E・t)]3 ・・・・・・(1) ここで、Δθ:スプリングバック角度、θ:曲げ角度、
YP:降伏応力、r:曲げ半径、E:ヤング率、t:板厚
ミング性向上に対して制御可能な鋼板材質因子はYPの他
になく、YPを下げずにロールフォーミング性を向上させ
ることはできない。
ことにより缶体強度確保しなければならず、YPを下げる
ことは実質困難になってきている。
で、ゲージダウンに伴い顕在化するロールフォーミング
性の低下の問題を、YPを下げることなく解決し、ロール
フォーミング性に優れた3ピース缶用鋼板を提供するこ
とを目的とする。
を解決すべく研究を重ねた結果、以下の知見を得た。3
ピース缶用鋼板において、ロールフォーミング加工前に
通常よりも大きな残留応力を付与することにより、その
方向の応力歪み曲線を変えることができる。すなわち、
圧縮残留応力の存在する部位に引張応力を与える場合、
または、引張残留応力に存在する部位に圧縮応力を与え
る場合、その部位のYPは素材本来のYPと残留応力の和に
なる。また、引張残留応力の存在する部位に引張応力を
与える場合、または、圧縮残留応力の存在する部位に圧
縮応力を与える場合、その部位のYPは素材本来のYPと残
留応力の差になる。鋼板の表面と板厚中心部に異なる残
留応力を付与した場合、表面のYPと板厚中心部のYPは異
なってくる。そして、鋼板全体のYPで見た場合、応力歪
み曲線上でのYPが見かけ上低下し、結果として弾性域と
塑性域の境界付近での変形応力が低下することになる。
ロールフォーミング加工では、弾性域と塑性域の境界付
近の変形となる部位が多く存在するため、もはや前記ス
プリングバックとYPとの関係式は成立せず、変形応力低
下の効果でスプリングバックが低下し、その結果として
ロールフォーミング性は向上する。
たものであり、上記課題は以下の発明により解決され
る。
ける引張または圧縮残留応力と鋼板の板厚中心部におけ
る引張または圧縮残留応力との差:Δ≧80MPaであるこ
とを特徴とするロールフォーミング性に優れた3ピース
缶用鋼板。
〜0.08%、Si:0.04%以下、Mn:0.05〜0.5%、P:0.05
%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.01〜0.1%、N:0.0
02〜0.02%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からな
ることを特徴とするロールフォーミング性に優れた3ピ
ース缶用鋼板。
で、Nb:0.002〜0.06%、Ti:0.002〜0.06%のいずれか
1種もしくは2種を含有することを特徴とするロールフォ
ーミング性に優れた3ピース缶用鋼板。
重量%で、B:0.0005〜0.005%を含有することを特徴と
するロールフォーミング性に優れた3ピース缶用鋼板。
明する。まず、鋼板の残留応力について説明する。表1
に示すアルミキルド鋼スラブに対して熱間圧延、冷間圧
延を行った後、連続焼鈍を行い、焼鈍後の降温速度を表
面と裏面で差をつけることにより、通常より大きな内部
残留応力を付与した。次いで、通常の調質圧延または2
次冷間圧延を行った後、ローラーレベリングにより圧延
方向の内部残留応力のみを低減し、コイル幅方向にのみ
通常よりも大きな内部残留応力を有するめっき原板を得
た。ここで、通常の調質圧延を行っためっき原板をシン
グル・レデュース(以下SRと略す)、2次冷間圧延を行った
めっき原板をダブル・レデュース(以下DRと略す)と称
す。
常のめっき、塗装、焼付けを施し供試材1〜4を作成し
た。また、通常より大きな内部残留応力を付与すること
なしに、供試材と同じアルミキルド鋼スラブから熱間圧
延、冷間圧延、連続焼鈍、調質圧延を施し、さらにめっ
き、塗装、焼付けを行った鋼板を比較材1〜4として作製
した。
ル幅方向が長辺になるように、幅10mm、長さ100mmに剪
断し、さらに片面のみにシールテープを貼り、1規定の
塩酸中での電気分解により表面のめっき層を除去し、こ
れらを残留応力測定用のサンプルとした。さらに、しゅ
う酸と過酸化水素水の混合液に浸すことにより、片面の
み0.005mmずつ化学研磨した。片面のみ化学研磨してい
くと、内部残留応力のバランスがくずれ、サンプルに反
りが生じるので、その反りの曲率を測定した。この作業
を供試材、比較材とも、鋼板板厚が半分以下になるまで
繰り返した。得られた結果より、化学研磨厚みと反り曲
率の関係を求め、その結果を計算処理(板厚tの鋼板の
表層深さaまで化学研磨した場合の曲率をφ(a)とする
と、深さ(a)の残留応力σ(a)は、σ(a)=E/6*[(t-a)2*d
φ(a)/da − 4(t-a)*φ(a) + 2∫a 0φ(x)dx ] で表さ
れる。)することにより、サンプルの表面からの深さ位
置毎の内部残留応力を求めた。図1に深さ位置と残留応
力の関係を示す。
鋼板表面と板厚中心部との残留応力の差が大きくなって
いることがわかる。
o1に対して熱間圧延、冷間圧延を行った後、連続焼鈍を
行い、表面と裏面での焼鈍後の降温速度を種々変化さ
せ、さまざまな内部残留応力を付与した鋼板を得た。次
いで、通常の調質圧延を行った後、ローラーレベリング
により圧延方向の内部残留応力のみを低減し、コイル幅
方向にのみ通常よりも大きな内部残留応力を付与して、
板厚が約0.19mm、YPが約430MPaの、さまざまな残留応力
を有するめっき原板を作製した。得られためっき原板
を、続いて、通常のめっき、塗装、焼付けを施し供試材
を作成した。さまざまな残留応力を付与した供試材を用
い、溶接缶用のブランクの寸法に剪断し、コイル幅方向
について、実際のロールフォーミング加工を行い、巻幅
を測定した。ここで、残留応力が約0MPaの場合に、巻幅
が0mmになるように、ロールフォーマーを調整して行っ
た。図2に表面と板厚中心部との残留応力の差(Δ)と
巻幅の関係を示す。ここで、巻幅は、図3に示すよう
に、ロールフォーミング加工により丸まったブランクの
一端と反対側の端の間隔を巻幅として定義した。ブラン
クの端同士に重なりが生じた場合は、重なり幅を巻幅と
して負の値で表すものとする。また、図2において、引
張残留応力は正の値で、圧縮残留応力は負の値で示し、
表面の残留応力から板厚中心部の残留応力を引いた差の
絶対値を残留応力の差(Δ)と定義した。
れ徐々に巻幅が小さくなっていき、80MPaで約4mm巻幅が
低減され、ロールフォーミング効果が得られる。また、
巻幅差4mmというのは、板厚差0.005mmにより生じる巻幅
差にほぼ等しく、例えば、実際の製缶工程において、板
厚が0.005mm異なる2種類の鋼板をロールフォーミングす
る場合に、板厚の薄い方の鋼板に残留応力80MPaを付与
しておけば、2種類の鋼板は同等の巻幅を示す。よっ
て、ロールフォーマーの装置調整をすることなしに、連
続してロールフォーミングすることが可能になる。一
方、付与する残留応力の差が80MPa未満の場合、巻幅低
減量が4mm未満になるため、ロールフォーミング効果が
少ない。以上より、鋼板表面と板厚中心部との残留応力
の差を80 MPa以上に限定する。
位置より鋼板板厚の1/4の深さの位置までの範囲での残
留応力の最大値を鋼板表面の残留応力と定義する。ここ
で、最表層0.005mmを除いた理由は、最表層では特異点
的な残留応力を示すことがあるからである。
位置における残留応力を鋼板中心部の残留応力と定義す
る。
C量が0.001%未満になると極端に軟質化し強度の確保が
困難である。また0.08%を超えると粗大なセメンタイト
が析出しフランジ加工性を低下させるので缶用鋼板とし
てはふさわしくない。よって、C量は0.001〜0.08%が好
ましい。
が望ましいが、不可避的に混入するため、上限を0.04%
とするのが好ましい。
必要な元素であり、その効果を発揮するために下限を0.
05%とするのが好ましい。しかし、含有量が多いと製缶
時の加工性を劣化させるため、上限を0.5%とするのが
好ましい。
影響が顕著となるので、上限を0.05%とする。
り、また介在物を生じさせてフランジ加工性低下の原因
にもなるので、上限を0.03%とするのが好ましい。
が、sol.Alの状態で0.01%未満では十分な効果が得られ
ず、一方、0.1%を超えるとその効果が飽和し、非金属
介在物を増加させる。以上より0.01〜0.1%とするのが
好ましい。
0.02%超では、延性の低下を引き起こしフランジ加工性
の面で好ましくない。一方、0.002未満では軟質化し必
要な強度の確保が困難になるため好ましくない。よっ
て、N量は0.002〜0.02%とするのが好ましい。
も良い。Nbは、炭素の固着により時効性を低減させる効
果があるが、0.002%未満ではその効果が小さくなりす
ぎる。一方、0.06%を超えると組織の均一性に悪影響を
及ぼす。以上より、0.002〜0.06%とするのが好まし
い。
未満では効果が小さくなりすぎ、0.06%超えでは効果が
飽和するので、0.002〜0.06%とする。
が、0.0005%未満ではその効果が不足し、0.005%超え
では加工性の劣化につながるため、0.0005〜0.005%と
するのが好ましい。
にロールフォーミング性の問題が生じることは稀であ
り、最近の缶用鋼板のゲージダウンの傾向を考慮する
と、0.3mm以下が好ましい。
れた3ピース缶用鋼板の製造方法は残留応力が本発明範
囲内であればよく、特に限定されない。
る影響を殆ど受けないため、本発明の効果は冷延鋼板に
表面処理を施すかどうかに拘わらず得られるものであ
り、本発明の対象は冷延鋼板かめっき等を施した表面処
理鋼板(めっき鋼板)かどうかは問わない。すなわち、
通常行われる冷延鋼板に錫めっき等を施しためっき鋼
板、めっき後に塗装やラミネートを施した表面処理鋼板
も本発明に含まれる。また、めっきの種類は問わず、金
属クロム、クロム酸処理等のめっきでも良い。
応力を限定しているが、コイル長手方向の残留応力は限
定されない。
熱間圧延、冷間圧延を行った後、連続焼鈍を行い、焼鈍
後の降温速度を表面と裏面で差をつけることにより、通
常より大きな内部残留応力を付与した。次いで、通常の
調質圧延または2次冷間圧延を行った後、ローラーレベ
リングにより圧延方向の内部残留応力のみを低減し、コ
イル幅方向にのみ通常よりも大きな内部残留応力を有す
るSRとDRのめっき原板を得た。上記で得られためっき原
板を、続いて、通常のめっき、塗装、焼付けを施し実施
例1〜4を作成した。
を用い、熱間圧延、冷間圧延を行い、次いで、通常より
大きな内部残留応力を付与することなしに、連続焼鈍、
調質圧延を施し、さらにめっき、塗装、焼付けを行った
鋼板を比較例1〜4として作製した。
た。また、残留応力は調質圧延後の残留応力とし、図1
と同様の方法により求めた。
ンクの寸法に剪断し、コイル幅方向について、各No毎に
比較例の巻幅が0になるようにロールフォーマーを調整
しロールフォーミング加工を行い巻幅を測定した。ここ
で、巻幅の測定方法は図3と同様である。
示す。
明範囲内にあるので、巻幅が小さく、ロールフォーミン
グ性に優れていることがわかる。
囲を外れるので、実施例に比べて巻幅が大きくなってい
る。
いずれの場合においても比較例に比べて実施例は巻幅が
小さく、スプリングバックの影響を受けずにロールフォ
ーミング性に優れていることがわかる。
グ性に優れた3ピース缶用鋼板を得ることができる。ま
た、YPを下げることなくロールフォーミング性が向上す
るので、ゲージダウンによって、あるいはゲージダウン
と同時に缶体強度を確保する観点から鋼板を硬質化して
もロールフォーミング性に悪影響を与えることはなく、
製缶コストの低減が要求される3ピース缶用鋼板として
好適である。さらに、ロールフォーミング工程において
装置調整・改造を不要とするので、効率良く生産するこ
とができる。
幅の関係を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 コイル幅方向において、鋼板表面付近に
おける引張または圧縮残留応力と鋼板の板厚中心部にお
ける引張または圧縮残留応力との差:Δ≧80MPaである
ことを特徴とするロールフォーミング性に優れる優れた
3ピース缶用鋼板。 - 【請求項2】 請求項1に記載の鋼板において、重量%
で、C:0.001〜0.08%、Si:0.04%以下、Mn:0.05〜0.
5%、P:0.05%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.01〜
0.1%、N:0.002〜0.02%を含有し、残部Fe及び不可避
的不純物からなるなることを特徴とする請求項1に記載
のロールフォーミング性に優れる優れた3ピース缶用鋼
板。 - 【請求項3】 請求項2に記載の鋼板においてさらに、
重量%で、Nb:0.002〜0.06%、Ti:0.002〜0.06%のい
ずれか1種もしくは2種を含有することを特徴とする請求
項2に記載のロールフォーミング性に優れる優れた3ピー
ス缶用鋼板。 - 【請求項4】さらに、重量%で、B:0.0005〜0.005%を
含有することを特徴とする請求項2ないし3に記載のロー
ルフォーミング性に優れた3ピース缶用鋼板。
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JP2000092767A JP3565131B2 (ja) | 2000-03-30 | 2000-03-30 | ロールフォーミング性に優れた3ピース缶用鋼板 |
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- 2000-03-30 JP JP2000092767A patent/JP3565131B2/ja not_active Expired - Fee Related
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