JP2001279175A - 紫外線硬化層、紫外線硬化層積層体、および紫外線硬化層の製造方法 - Google Patents

紫外線硬化層、紫外線硬化層積層体、および紫外線硬化層の製造方法

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JP2001279175A
JP2001279175A JP2000094346A JP2000094346A JP2001279175A JP 2001279175 A JP2001279175 A JP 2001279175A JP 2000094346 A JP2000094346 A JP 2000094346A JP 2000094346 A JP2000094346 A JP 2000094346A JP 2001279175 A JP2001279175 A JP 2001279175A
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ultraviolet
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silicon alkoxide
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基材の劣化を抑制し、耐熱性の低い基材にも形
成でき、高い親水性と表面硬度が実現され、親水性が持
続され、必要に応じて親水性が回復できる紫外線硬化
層。 【解決手段】シリコンアルコキシド系化合物および光触
媒性半導体化合物を含んでなる硬化層原料に、最大放射
波長が315nm以下のUVを照射することにより形成
される紫外線硬化層。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒性半導体を
含有する、紫外線照射で形成される硬化層に関する。よ
り詳しくは、有機系および無機系の基材を問わず、従
来、硬化層の形成が不可能であった基材の表面において
も、基材の物理的および化学的特性を損なうことなく、
光触媒性半導体を含有する硬化層を形成することによっ
て、基材の表面を親水化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】表面の親水性は水との接触角によって定
量化することができ、20°以下の場合を親水性、10
°以下の場合を超親水性と呼ぶのが一般的である。そし
て、表面が超親水性の場合、微小な水滴の発生が抑制さ
れ、光の散乱が低減されるため、超親水性の表面は防曇
性に優れる。
【0003】高い耐熱性を有する基材の表面を親水化す
る技術としては、表面を、チタニア等の光触媒性半導体
を含有するシリカにより被覆することが例示される。森
崎および服部著の「界面と微生物」(1986年6月1
5日版、誠製本株式会社)の第51頁には、シリカの水
に対する接触角は0°で、超親水性であることが記載さ
れている。また、チタニア等の光触媒性半導体は紫外線
により励起され、励起された光触媒性半導体の触媒作用
により、表面に付着した撥水性有機物が分解されるた
め、親水性が持続する。更に、失活した光触媒性半導体
は紫外線により再励起できるので、紫外線を照射するこ
とにより、親水性を回復することができる。加えて、シ
リカやチタニアは高い表面硬度を有しており、低毒性
で、物理的および化学的に安定であり、安価で工業的に
入手が容易である。
【0004】シリカは、結晶性シリカと無定形シリカと
に分類される。そして、この様なシリカの基材上への一
般的な形成法としては、シリコンアルコキシド系化合物
を含む硬化層原料を基板上に塗布し、焼成することによ
って無定形シリカとする方法が例示される。更に、無定
形シリカを1050℃以上で焼成すれば、結晶性シリカ
が得られる。
【0005】従って、シリコンアルコキシド系化合物お
よび光触媒性半導体化合物を含む硬化層原料を加熱焼成
すれば、光触媒性半導体を含有する硬化層を形成するこ
とができる。
【0006】しかしながら、以上の様な方法により、樹
脂やアルミ等の耐熱性に乏しい基材の表面を親水化する
ことは困難な場合があった。
【0007】樹脂やアルミ等の表面を親水化する技術と
しては、表面に紫外線を照射して、表面上に付着してい
る撥水性の有機物を分解する方法が一般に知られてい
る。しかしながら、この様な方法では、紫外線照射直後
において効果が認められるものの、撥水性の有機物の付
着により、短時間で表面の親水性が失われてしまう場合
があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特許第2756474
号公報には、TiO2、ZnO、SnO2、SrTi
3、WO3、Bi23、Fe23からなる群から選ばれ
た光触媒性半導体材料とシリカとを含む光触媒性被膜に
関して、光触媒性半導体材料を含む無定形シリカの前駆
体を必要に応じ加水分解させながら脱水縮重合に付すこ
とにより、無定形シリカによって結着された光触媒性被
膜を製造することが記載されている。そして、この様に
して得られた光触媒性被膜は、光触媒性半導体材料の光
励起に起因する、親水性と自己浄化作用を有することが
記載されている。
【0009】しかしながら、当該公報における光触媒性
被膜の製法の具体例として、無定形シリカの前駆体と結
晶性チタニアゾルとの混合物を基材の表面に塗布し、必
要に応じて加水分解させてシラノールを形成した後、約
100℃以上の温度で加熱してシラノールを脱水縮重合
に付すことにより、チタニアが無定形シリカで結着され
た光触媒性コーティングを形成すると記載されている。
特に、シラノールの脱水縮重合を約200℃以上の温度
で行えば、シラノールの重合度を増し、光触媒性コーテ
ィングの耐アルカリ性能を向上させることができると記
載されている。従って、当該公報に記載の方法では、樹
脂やアルミ等の耐熱性に乏しい基材の表面を親水化する
ことは困難だと考えられる。
【0010】特開平11−217560号公報には、シ
リコンアルコキシドおよび/またはその加水分解物と、
二酸化ケイ素微粉末を含有してなる分散液より形成され
た被膜において、膜表面に高さ0.01〜0.1μmの
微細な凹凸面を一様に形成することにより親水性を実現
することが提案されている。
【0011】しかしながら、当該公報における被膜の形
成方法としては、実施例1に記載されている様に、ソー
ダガラス板上にスピンコート塗布された分散液を120
℃で30分間加熱して硬化することが例示されており、
ポリエチレン等の低耐熱性の基材で実施することは困難
であると予想される。
【0012】更に、当該公報の比較例1においては、微
細な凹凸形成することなく、ソーダガラス板上にスピン
コート塗布された分散液を120℃で30分間加熱して
被膜した場合、防曇性が不十分であることが記載されて
いる。
【0013】特開平11−315224号公報には、熱
硬化性コーティング組成物を硬化させるためには、従来
80〜300℃で30分以上加熱する必要があったとい
う課題を解決するため、基材の表面を親水化するための
コーティング組成物であって、光触媒と紫外線硬化剤を
含むことを特徴とする光触媒性親水性コーティング組成
物が開示されている。
【0014】そして、当該公報における硬化方法として
は、実施例1に記載されている様に、紫外線照度30〜
50mW/cm2の紫外線ランプHLR100T−1
(セン特殊光源社製)により1分間照射することが例示
されている。
【0015】しかしながら、セン特殊光源社製の紫外線
ランプHLR100T−1は、高圧水銀ランプであるた
め、発生される赤外線は365nmの波長を主成分とす
るUV−Aである。従って、当該公報には、UV−Cの
ような短波長(254nmが主成分)すなわち高エネル
ギーの紫外線を使用することは記載されておらず、得ら
れる硬化物の表面硬度等の機械的強度が不足することが
懸念される。
【0016】以上の様な状況に鑑み、本発明の目的は、
以下の特性を同時に実現する紫外線硬化層を提供するこ
とである; (ア)加熱焼成することなく形成でき、熱変形等の物理
的および不純物の拡散等の化学的劣化が基材に発生する
ことを抑制できる、(イ)有機系および無機系の基材を
問わず、汎用的に基材に形成することができる、(ウ)
十分な親水性が実現され、親水性が持続され、必要に応
じて親水性が回復できる、(エ)表面硬度等の機械的特
性に優れている。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明によれば、シリコンアルコキシド系化合物およ
び光触媒性半導体化合物を主に含んでなる硬化層原料
に、最大放射波長が315nm以下であるUVを照射
し、該硬化層原料を硬化させることにより得られる紫外
線硬化層が提供される。
【0018】また、本発明によれば、シリコンアルコキ
シド系化合物および光触媒性半導体化合物を主に含んで
なる硬化層原料を基材上に塗布する工程と、塗布された
該硬化層原料を乾燥させる工程と、乾燥された該硬化層
原料に、最大放射波長が315nm以下であるUVを照
射して硬化させる工程と、を含んでなることを特徴とす
る紫外線硬化層の製造方法が提供される。
【0019】更に、本発明によれば、基材と、シリコン
アルコキシド系化合物および光触媒性半導体化合物を主
に含んでなる硬化層原料に、最大放射波長が315nm
以下であるUVを照射して形成される紫外線硬化層と、
を少なくとも含んでなることを特徴とする紫外線硬化層
積層体が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】本願発明における硬化層原料に含
まれるシリコンアルコキシド系化合物は、UV照射によ
り、ケイ素に1以上4以下の水酸基が置換したシラノー
ル類へと誘導され、このシラノール類がUV照射によっ
て脱水反応を起こし、紫外線硬化層(以降、UV硬化層
とも記す)が形成される。従って、加熱焼成することな
く硬化層が形成されるため、基材の表面温度はUV照射
により僅かに上昇するものの、好ましくは90℃以下、
より好ましくは70℃以下、更に好ましくは50℃以下
と、低温に保つことができる。
【0021】このため、基材の形状(熱による変形)、
機械的特性、光学的特性、磁気的特性および電気的特性
等の物理的特性が劣化することが抑制される。また、基
材の化学的特性が劣化する、基材中に含まれる不純物が
硬化層形成時に拡散する等の化学的な不都合の発生も抑
制される。
【0022】従って、耐熱性の程度によらず、有機系お
よび無機系の汎用的な基材上に、本発明のUV硬化層を
形成することができる。
【0023】なお、UV硬化の技術で一般に使用されて
きたUVは、高圧水銀ランプによるUV−Aと呼ばれる
もので、その最大放射波長は365nmと長波長である
ため、低エネルギーであった。このため、硬化反応を十
分進行させるにはエネルギーが不足する場合があり、そ
の結果、UV硬化層の硬化不良、親水性不足、表面硬度
不足が発生する場合があった。
【0024】これに対し、本発明で使用されるUVは、
最大放射の波長が315nm以下、好ましくは280n
m以下である。即ち、UVは一般にスペクトルを有し、
波長の異なる複数の成分を含んでいるが、主成分の波長
が315nm以下、好ましくは280nm以下である。
【0025】従って、本発明で使用されるUVの最大放
射波長は短波長であり、高エネルギーであるため、UV
硬化層の硬化不良が抑制され、高い親水性、高い表面硬
度が実現される。
【0026】また、本発明で使用されるUVとしては、
高エネルギーであり、工業的使用が容易である等の理由
から、UV−Cが好ましい(以降、UV−Cによる硬化
層をUV−C硬化層とも言う)。
【0027】そして、UV−Cは、低圧水銀ランプやエ
キシマランプにより、工業的に好ましい形態で発生させ
ることができる。
【0028】本発明のUV硬化層の水との接触角は、U
V照射による硬化直後で、好ましくは20°以下、より
好ましくは10°以下、更に好ましくは5°以下、最も
好ましくは1°以下とすることができる。即ち、20°
以下の場合、本発明のUV硬化層は親水性である、10
°以下の場合、本発明のUV硬化層は超親水性であると
言うことができる。
【0029】以上の様に、本発明のUV硬化層が優れた
親水性を有している理由については、硬化層の特性を解
析することにより、以下の通り推察している。
【0030】まず、X線回折法により本発明のUV硬化
層の結晶状態を解析した結果、従来得られている無定形
シリカと同様、非晶状態であることが示唆された。しか
しながら、FT−IRを測定したところ、焼成により得
られる従来の硬化層と比較して、本発明のUV硬化層中
では、より多量のシラノール類が生じていることが示唆
された。このことより、本発明のUV硬化層中には、多
量の水酸基が存在していると考えられる。
【0031】更に、本願発明のUV硬化層は、光触媒性
半導体を含有しており、この光触媒性半導体は、UV硬
化層形成時の紫外線照射により励起される。このため、
本発明においては、UV硬化層の形成と同時に、光触媒
性半導体が励起される。そして、励起された光触媒性半
導体は、表面に付着した撥水性有機物を、高効率で分解
する。
【0032】以上の理由により、本発明のUV硬化層
は、優れた親水性を示すものと考えられる。
【0033】また、光触媒性半導体の有機物分解作用に
より、本発明のUV硬化層は、親水性以外にも、防汚
性、浄化性、脱臭性、抗菌性、殺菌性を示すものと考え
られる。
【0034】更に、本発明のUV硬化層は多量のシラノ
ール類を含有しているため、脱水反応による水も多量に
含有していると考えられる。そして、UV硬化層形成の
際、基材は低温に保たれるため、UV硬化層から水が放
出されることが抑制される。このため、UV硬化層形成
後の長期間で、表面から水が失われた場合においても、
表面から失われた水は、層内部に存在する水により補給
されるものと考えられる。
【0035】加えて、本願発明のUV硬化層は、光触媒
性半導体を含有している。光触媒性半導体はUVにより
励起され、励起された光触媒性半導体の触媒作用によ
り、表面に付着した撥水性有機物が分解されるため、親
水性が持続すると考えられる。
【0036】以上の理由により、UV硬化層の優れた親
水性は、長く維持されるものと考えられる。
【0037】一方、UV硬化層形成後に親水性が失われ
た場合も、光を照射することにより、シラノール類の生
成および脱水反応を進行させることができる。更に、失
活した光触媒性半導体は微弱光により再励起されるの
で、微弱光を照射することにより、UV硬化層の親水性
を回復することができる。即ち、水との接触角を、再
び、好ましくは20°以下、より好ましくは10°以
下、更に好ましくは5°以下、最も好ましくは1°以下
として、親水性を回復することができる。
【0038】本発明のUV硬化層は光触媒性半導体を含
有しているため、親水性の回復は、微弱な光の照射で行
うことができる。なお、親水性の回復の際に使用する光
としては、365nmの照度が、0.01μW/cm2
以上が好ましく、0.1μW/cm2以上がより好まし
い。
【0039】本発明においては、最大放射波長が315
nm以下の高エネルギーのUV照射により硬化反応を進
行させる。このため、得られるUV硬化層は、高い表面
硬度を有する。具体的には、JIS K 5400に準
じた鉛筆引掻試験において、硬化層の破損の目視判定で
決定される表面硬度を、好ましくは2B以上、より好ま
しくはB以上、更に好ましくはHB以上とすることがで
きる。
【0040】なお、低荷重でも変形の大きい樹脂等の基
材にUV硬化層が形成されている場合は、鉛筆引掻試験
の荷重を適時調整することにより、表面硬度を測定し
た。
【0041】本発明で使用されるシリコンアルコキシド
系化合物としては、テトラアルコキシシラン、テトライ
ソプロポキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テ
トラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等のシリコ
ンアルコキシド単量体を例示することができる。
【0042】また、良好な硬化性を実現するために、シ
リコンアルコキシド系化合物として、シリコンアルコキ
シド重合体が好ましい場合がある。シリコンアルコキシ
ド重合体は、上記の様なシリコンアルコキシド単量体よ
りシラノール類を生成させ、同時に脱水縮重合を進行さ
せることにより得られるものであり、シリコンアルコキ
シド重合体を含む硬化層原料は、最大放射波長が315
nm以下のUV照射により、短時間で硬化し、得られる
UV硬化層は、十分に高い表面硬度を有する。
【0043】シリコンアルコキシド重合体の重量平均分
子量は、得られるUV硬化層の特性、および硬化層作製
時の作業性を大きく左右する。即ち、シリコンアルコキ
シド重合体の重量平均分子量が大きい程、UV硬化層の
高い親水性と表面硬度を実現することができ、1000
以上が好ましく、3000以上がより好ましく、500
0以上が更に好ましい。また、シリコンアルコキシド重
合体の重量平均分子量が小さい程、基材に硬化層原料を
良好に塗布できるため、1000000以下が好まし
く、900000以下がより好ましく、800000以
下が更に好ましい。
【0044】本発明における光触媒性半導体としては、
TiO2、ZnO、SnO2、SrTiO3、WO3、Bi
23、Fe23等を例示することができる。中でも、高
活性であり、毒性が低く、化学的に安定で、安価である
等の理由により、チタニア(TiO2)が好ましい。
【0045】本発明における、光触媒性半導体を含有す
るUV硬化層は、光触媒性半導体化合物を含有する硬化
層原料により作製することができる。光触媒性半導体化
合物とは、光触媒性半導体、光触媒性半導体を主に含む
もの、UV照射により光触媒性半導体を生成し得る化合
物等を意味しており、チタニアゾル等の光触媒性半導体
ゾル、結晶性チタニア等の光触媒性半導体の粒子を例示
することができる。
【0046】チタニアゾルとしては、加水分解によって
得られた含水酸化チタンの微粒子を、硝酸や塩酸で解膠
し、酸性溶液中に存在させたものが、分散性が良好で安
定である等の理由により好ましい。
【0047】結晶性チタニアの粒子としては、アナター
ゼ型およびルチル型のいづれをも使用することができ
る。アナターゼ型チタニアは、有機物の分解能が高いた
め好ましい。ルチル型チタニアは、超親水性のUV硬化
層が得られるため好ましい。
【0048】次に、本発明のUV硬化層の作製方法につ
いて説明する。
【0049】本発明における硬化層原料は、シリコンア
ルコキシド系化合物を適当な溶剤に溶解または均一分散
して調製される。
【0050】溶剤としては、シリコンアルコキシド系化
合物および光触媒性半導体化合物を、溶解または均一に
分散するものであれば特に限定されないが、乾燥工程に
おいて容易に気化するものが好ましい。具体的には、メ
チルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエス
テル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロフォルム、ペン
タン、ヘキサン、シクロヘキサン等の有機溶剤等を例示
することができる。
【0051】また、必要に応じて、硬化層原料には、シ
ラノール類生成反応触媒、シラノール類脱水反応触媒、
光触媒性半導体の生成反応触媒、UV硬化触媒、界面活
性材、安定剤、乾燥制御剤(フォルムアミド、ジメチル
フォルムアミド)等が添加される場合もある。
【0052】本発明におけるUV硬化層をシリコンアル
コキシド重合体より作製する場合には、所定濃度のシリ
コンアルコキシド系化合物(単量体)を含むものを調製
し、基材に塗布するに先立ち、好ましくは1℃以上80
℃以下の温度で、好ましくは5分以上5年以下で、シリ
コンアルコキシド系化合物(単量体)をプレ重合するこ
とにより、所望の重量平均分子量のシリコンアルコキシ
ド重合体を含む硬化層原料を調製することができる。
【0053】なお、反応が均一に進むと言う理由から、
プレ重合は加熱法により行うことが好ましい。
【0054】また、所望の重量平均分子量のシリコンア
ルコキシド重合体を得るために、シリコンアルコキシド
系化合物(単量体)に対する水のモル比([水]/[シ
リコンアルコキシド系化合物(単量体)])を、好まし
くは0.1以上100以下とする。
【0055】なお、シリコンアルコキシド系化合物の硬
化層原料全体に占める割合は、シリコンアルコキシド系
化合物を完全に脱水反応した場合に生じるSiO2の量
(SiO2換算)として表すことができる。そして、U
V硬化層が十分な層厚を有し、十分な親水性と表面硬度
を実現するために、シリコンアルコキシド系化合物の硬
化層原料全体に占める割合は、SiO2換算で0.01
質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好まし
く、0.5質量%以上が更に好ましくしい。また、ゲル
化を抑制して、プレ重合を適度な速度で進行させるため
に、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより
好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
【0056】更に、プレ重合工程において、メチルアル
コール、エチルアルコール、プロピルアルコール等のア
ルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロフォルム、ペンタン、
ヘキサン、シクロヘキサン等の有機溶剤等;塩酸、硫
酸、硝酸、有機酸等の酸性触媒;アンモニア、TEA、
ピリジン、DMAP等の塩基性触媒等を添加する場合も
ある。
【0057】加えて、プレ重合工程において、重合中の
シリコンアルコキシド重合体が臨界分子量以上となる
と、急速に重合反応が進行し、反応系がゲル化する場合
がある。この場合、プレ重合工程の前半では、高濃度の
シリコンアルコキシド系化合物(単量体)を高温で反応
させ、シリコンアルコキシド重合体の分子量が所望の値
となった時点で、希釈によりシリコンアルコキシド重合
体の濃度を低下させ、反応温度も低下させて、反応系が
ゲル化することを抑制することができる。
【0058】以上のプレ重合工程により、シリコンアル
コキシド重合体を生成した後、光触媒性半導体化合物を
混合して、硬化層原料を調製する。
【0059】また、予め光触媒性半導体化合物を混合し
ておき、これをプレ重合することにより、硬化層原料を
調製することもできる。
【0060】なお、光触媒性半導体化合物の含有量は、
SiO2の場合と同様に、光触媒性半導体の量で表すこ
とができる。そして、UV硬化層の十分な親水性を実現
するために、SiO2および光触媒性半導体の総量に占
める光触媒性半導体の割合は、10モル%以上が好まし
く、UV硬化層の十分な表面硬度を実現するために、8
0モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好まし
い。
【0061】得られた硬化層原料は、ディップコート法
(浸漬法)、スプレーコート法、スピンコート法、フロ
ーコート法、ロールコート法、メニスカス法等により、
基材上に塗布される。
【0062】塗布量については、最終的に所望の層厚の
UV硬化層が得られるように調整される。UV硬化層の
厚みは、十分な親水性と表面硬度を実現するために、1
nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。ま
た、層が厚くなりすぎ、基材表面近傍の硬化層に十分な
UVが到達せず、クラックや剥離が発生することを抑制
するために、1000nm以下が好ましく、500nm
以下がより好ましい。
【0063】本発明で使用される基材は特に制限されな
いが、従来の焼成法では硬化層を形成することが困難で
あった様な、耐熱性の低い基材も使用することができ
る。また、基材が組成物よりなり、基材を構成している
マトリックスは十分な耐熱性を有していても、基材に含
まれる、安定剤、可塑材、塩等の低分子化合物が加熱に
より基材外に拡散する場合においても、本発明のUV硬
化層を形成することができる。
【0064】以上のような基材やマトリックスの例とし
ては、アルミ等の低融点金属系材料;ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリビニル
アルコール、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポ
リフェニレンスルフィド、ポリサルフォン、ポリアリレ
ート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、
ポリエーテルケトン、液晶ポリエステル、ポリイミド、
ポリアミドイミド等の樹脂;スチレンラバー、ブタジエ
ンラバー、天然ゴム等のエラストマー;低融点ガラス、
青板ガラス等の網目修飾イオンを含むガラス;フェライ
ト等の低キューリー点磁性材料;木綿、紙、木材、皮革
等の可燃性材料等を挙げることができる。
【0065】また、ガラス、セラミック、陶器、充填剤
を多量に含む樹脂等の昇温や冷却により熱破損し易い基
材に、従来の焼成法により、硬化層を形成した場合、基
材に熱破損が生じる場合があった。これに対し、本発明
によれば、熱破損し易い基材の場合においても、UV硬
化層を良好に形成することができる。
【0066】本発明においては、UV照射の条件は、得
られるUV硬化層の特性を大きく左右することから、注
意深く至適化される。即ち、適当な工程時間で、UV硬
化層の十分な親水性と表面硬度を実現するために、25
4nmの照度は、0.01mW/cm2以上が好まし
く、0.1mW/cm2以上がより好ましく、1mW/
cm2以上が更に好ましい。また、UV照射中に基材の
温度が上昇したり、基材の劣化や変色等を抑制するため
に、254nmの照度は、50mW/cm2以下が好ま
しく、30mW/cm2以下がより好ましく、15mW
/cm2以下が更に好ましい。
【0067】加えて、UVの照射時間は、UV硬化層の
十分な親水性と表面硬度を実現するために、1秒以上が
好ましく、5秒以上がより好ましく、10秒以上が更に
好ましい。また、UV照射中に基材の温度が上昇するこ
とを抑制するために、30分以下が好ましく、20分以
下がより好ましく、10分以下が更に好ましい。
【0068】特に、基材の温度上昇を厳密に抑制する必
要がある場合は、熱線カットフィルターやコールドミラ
ー等を、紫外線光源部に設ける場合もある。
【0069】更に、従来の加熱による焼成法とは異な
り、本発明においてはUV照射により硬化工程が行われ
る。このため、たとえUV照射により基材の温度が上昇
したとしても、UVを消灯することにより、急速に基材
を冷却することができる。従って、本発明においては、
UV照射を間歇的に行うことにより、特に効果的に基材
の温度上昇を抑制できる。なお、間歇的にUV照射を行
う場合のUV照射時間とは、UV点灯時間の総和を意味
する。
【0070】加えて、本発明においてはUV照射により
硬化工程が行われるため、硬化と同時に、冷媒を用いて
基材を冷却することもできる。この場合も、効果的に基
材の温度上昇を抑制することができる。
【0071】本発明の紫外線硬化層積層体は、図6に示
す様に、基材20上にUV硬化層30を形成することに
より作製することができるが、UV硬化層30以外に
も、必要に応じて、他の機能層を設けることができる。
【0072】例えば、図7に示す様に、UV硬化層60
の下に、保護層、拡散防止層、接着層、触媒層等の下地
層50を形成することができる。下地層50の具体例と
しては、UV硬化層と基材との間の良好な接着性を実現
するため、シランカップリング剤の塗布層等を挙げるこ
とができる。
【0073】また、他の具体例としては、基材40から
の不純物の拡散を抑制するために、拡散防止層として、
下地層50を形成することもできる。この場合、UV硬
化層60の形成中において、基材40は低温に保たれる
ため、基材40に含まれる不純物が拡散することが抑制
される。このため、UV硬化層60中の光触媒化合物が
不純物により失活することが抑制されため、好ましい。
【0074】本願発明のUV硬化層の好ましい用途例と
しては、接眼レンズ、めがねレンズ、ゴーグル、歯科用
口内鏡等の防曇性が要求される樹脂材料を挙げることが
できる。特に、紫外線照射による親水性の回復は、歯科
用口内鏡や接眼レンズ等の無菌的状態が要求される分野
において、紫外線の殺菌力も期待できることから、衛生
的な方法である。
【0075】
【実施例】以下に実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではな
い。なお、以下特に明記しない限り、試薬等は市販の高
純度品を用いた。
【0076】(評価方法) (ア)接触角:水との接触角は、接触角測定装置(協和
界面科学社製CA−D)を用いて測定した。なお、測定
可能な接触角の最低値は1°であり、これ以下の場合、
接触角は0°とした。
【0077】(イ)表面硬度:表面硬度の指標として、
JIS K 5400に準じて鉛筆引掻試験を行い、鉛
筆硬度を測定した。
【0078】(ウ)重量平均分子量:100質量部倍の
テトラヒドロフランに試料を溶解し、東ソー株式会社製
HLG−8120を用いて、GPCによりポリスチレン
換算の重量平均分子量を測定した。
【0079】(実施例1及び2)UV−C硬化層1及び
2 テトラエトキシシラン(キシダ化学)6質量部、水6質
量部、加水分解触媒として36%塩酸2質量部およびエ
チルアルコール86質量部を混合し、室温まで冷却した
もの、及び、これを5℃で8ヶ月反応し、重量平均分子
量15000のテトラエトキシシラン重合体を含むもの
を調製した。そして、それぞれに、アナターゼ型チタニ
アゾルSTS−01(石原産業社製)を、シリカおよび
チタニアのモル数が同じとなるよう混合して、硬化層原
料1及び2を調製した。なお、いずれの場合も、SiO
2換算量は1.61質量%であった。
【0080】次に、硬化層原料1及び2を、ポリエチレ
ン(PE)シート上に、硬化時の層厚が80nmとなる
よう浸漬法にて塗布した後、溶剤を揮発し、センエンジ
ニアリング社製200W低圧水銀灯を用いて、UV−C
を間歇的に点灯時間の総和が2分となるよう照射して、
UV−C硬化層1及び2を形成した。なお、硬化方法の
詳細として、254nmのUV照度が8mW/cm
2で、一回当たりのUV−C照射時間が40秒のトンネ
ル炉を3回通過させ、硬化を行った。この時、PEシー
トの温度は、48℃となった。
【0081】(比較例1及び2)焼成硬化層1及び2 UV−C照射によりPEシートが加温されるのと同じ温
度である48℃で焼成硬化する以外は、UV−C硬化層
1及び2の場合と同様にして、焼成硬化層1及び2を作
製した。
【0082】(性能評価)以上で得られた硬化層を室温
まで冷却し、接触角および表面硬度を測定し、結果を表
1に示した。
【0083】
【表1】 表1より、UV−C硬化層は、親水性および表面硬度の
いずれにも優れていることが判った。特に、プレ重合を
行ったUV−C硬化層2が、表面硬度に優れることも判
った。
【0084】また、UV−Cの照射により、PEシート
に変形や反りが生じることもなかった。
【0085】なお、焼成硬化層1及び2の場合におい
て、加熱温度を150℃として焼成硬化層の形成を試み
たが、PEシートが大きく変形し、焼成硬化層を形成す
ることができなかった。
【0086】また、硬化層原料1及び2の硬化をUV−
Aを照射することにより試みたが、硬化層を得ることは
できなかった。即ち、365nmの照度が80mW/c
2と言う高出力で、30分間と言う長時間のUV−A
照射を行ったが、硬化層原料1及び2は硬化しなかっ
た。
【0087】(実施例3、比較例3)UV−C硬化層
3、焼成硬化層3 厚み0.5mm、幅50mm、長さ100mmのアルミ
製反射板であるSL材(住友軽金属株式会社製)を複数
枚用意し、硬化後の層厚が100nmとなるよう硬化層
原料2を浸漬法により塗布した2群を用意した。
【0088】第1群については、センエンジニアリング
製200W低圧水銀灯を用いて、254nmの照度が8
mW/cm2の条件により、2分間UV−Cを照射し、
UV−C硬化層3を作製した。また、第2群について
は、UV−C硬化層3と同じ表面硬度の焼成硬化層が得
られる条件として、焼成温度150℃で20分の焼成を
行い、焼成硬化層3を作製した。
【0089】図1に示すように、硬化層形成後における
SL材の反りの指標として、100mm辺の凸状変化t
を測定したところ、UV−C硬化層3形成後において、
tは0(測定限界以下)であり、また、SL材上におけ
る反射像に歪みは確認されなかった。これに対し、焼成
硬化層3形成後においては、tは0.5mmであり、S
L材上における反射像に歪みが確認された。
【0090】また、硬化層形成後にSL材を暗室に放置
し、接触角の放置時間に対する変化を測定した。結果を
図2に示したが、図2において、■はUV−C硬化層3
に関する結果を、◆は焼成硬化層3に関する結果を、そ
れぞれ示した。
【0091】図2から明らかな通り、20日を経過した
時点においても、UV−C硬化層3の接触角は0°であ
り、焼成硬化層3と比較して、長期間に渡り超親水性を
維持できることが判った。
【0092】(実施例4及び5)UV−C硬化層4及び
5 テトラエトキシシラン(キシダ化学)6質量部、水6質
量部、加水分解触媒として36%塩酸2質量部およびエ
チルアルコール86質量部を混合し、これを5℃で8ヶ
月反応させ、重量平均分子量15000のテトラエトキ
シシラン重合体を含む拡散防止層原料を調製した。そし
て、得られた拡散防止層原料に、アナターゼ型チタニア
ゾルSTS−01(石原産業社製)を、シリカおよびチ
タニアのモル数が同じとなるよう混合して、硬化層原料
3を調製した。なお、硬化層原料3におけるSiO2
算量は、1.61質量%であった。
【0093】次に、基材として、青板ガラス(松波硝子
株式会社製、micro slide glass)を
用意し、浸漬法により硬化後の層厚が150nmとなる
よう拡散防止層原料を塗布、乾燥後、センエンジニアリ
ング製200W低圧水銀灯を用いて、254nmの照度
が8mW/cm2の条件により、2分間UV−Cを照射
し、UV−C拡散防止層を形成した。このUV−C拡散
防止層は、青板ガラス中に含まれるアルカリ網目修飾イ
オンの拡散を抑制するために設けられるものである。
【0094】なお、得られたUV−C拡散防止層の表面
硬度は7Hと十分高く、これは後に述べる500℃の焼
成により形成された拡散防止層の表面硬度と同じ値であ
った。
【0095】その後、UV−C拡散防止層上に、浸漬法
により硬化後の層厚が100nmとなるよう硬化層原料
3を塗布、乾燥後、センエンジニアリング製200W低
圧水銀灯を用いて、254nmの照度が8mW/cm2
の条件により、2分間UV−Cを照射し、UV−C硬化
層4を積層して、表2に示す構成1を作製した。
【0096】また、UV−C拡散防止層を形成しないこ
と以外は構成1と同様にして、UV−C硬化層5を含む
構成2を作製した。
【0097】(比較例4及び5)焼成硬化層4及び5 構成1で使用した青板ガラス上に、浸漬法により硬化後
の層厚が150nmになるよう拡散防止層原料を塗布、
乾燥後、500℃で20分の加熱を行うことにより、5
00℃拡散防止層を形成した。この500℃拡散防止層
は、青板ガラス中に含まれるアルカリ網目修飾イオンの
拡散を抑制するために設けられたものである。
【0098】次に、得られたUV−C拡散防止層上に、
浸漬法により硬化後の層厚が100nmになるよう硬化
層原料3を塗布、乾燥後、500℃で20分の加熱を行
うことにより、500℃焼成硬化層4を積層して、表2
に示す構成3を作製した。
【0099】また、500℃拡散防止層を形成しないこ
と以外は構成3と同様にして、500℃焼成硬化層5を
含む構成4を作製した。
【0100】
【表2】 (メチレンブルーの分解試験)有機物の例としてメチレ
ンブルーを用い、チタニアの光触媒作用をメチレンブル
ーの分解能として評価した。即ち、以上で得られた構成
1〜4を、メチレンブルー水溶液に浸し、色素を吸着さ
せた後、水分を蒸発させた。その後、BLBライトを用
いて、365nmにおける照度1mW/cm2の条件で
紫外線照射を行い、チタニアの光励起に伴うメチレンブ
ルーの分解反応を進行させた。分解反応の進行の追跡
は、580nmにおける吸光度の変化(ΔAbs)を測
定することにより行い、結果を図3に示した。なお、Δ
Absの絶対値が大きい程、分解反応が、より進行した
ことを意味する。
【0101】図3から明らかな通り、焼成を行うと、基
材中のアルカリ網目修飾イオンが硬化層中へ拡散し、チ
タニアの有機物分解力が低下するのに対し、UV−Cに
よる硬化を行った場合は、アルカリ網目修飾イオンが殆
ど拡散しないため、チタニアは高い分解能力を保持して
いることが判った。また、UV−Cにより硬化層を作製
した場合は、アルカリ網目修飾イオンが殆ど拡散しない
ため、拡散防止層が形成されていない場合においても、
チタニアは十分な分解能力を保持していることが判っ
た。
【0102】(実施例6)UV−C硬化層6 1mm厚のポリサルファイド(PSF)樹脂板(水との
接触角は80°)上に、浸漬法により硬化層原料2を塗
布し、これを乾燥した。次に、UV−C硬化層2の場合
と同様にして、層厚150nmのUV−C硬化層6を形
成した。
【0103】得られたUV−C硬化層6を、暗室に放置
し、接触角の経時変化を測定したところ、22日目で0
°、43日目で2.8°、83日目で4.2°であっ
た。これより、極めて長期にわたり超親水性が維持され
ることが判った。
【0104】(実施例7、比較例6)UV−C硬化層
7、焼成硬化層6 アルカリ網目修飾イオン拡散の影響の無い白板ガラス基
材(松波硝子株式会社製、micro slide g
lass)に、硬化後の層厚が100nmとなるよう浸
漬速度を適宜調節し、硬化層原料2を塗布、乾燥した。
その後、UV−C硬化層2の場合と同様の条件により、
UV−C硬化層7を作製した。
【0105】また、280℃で30分の加熱により、焼
成硬化層6を形成した。なお、シリコンアルコキシドを
200℃以上で加熱焼成することにより無定形シリカが
形成され、焼成硬化層6は無定形シリカを構成している
と考えられる。なお、200℃は、特許第275647
4号公報に記載の温度である。
【0106】これらの硬化層を暗中保管しながら接触角
を測定し、超親水性が失われたことを確認した51日目
に、BLB照射(365nmにおける紫外線照度は、1
mW/cm2とした)を行い、超親水性を回復するのに
必要な時間を測定した。
【0107】結果を図4に示したが、▼がUV−C硬化
層7に関する結果を、▽が焼成硬化層6に関する結果を
示す。
【0108】図4から明らかな様に、BLB照射による
回復においては、UV−C硬化層7中のチタニアの光励
起に伴う有機物分解作用により、表面に吸着し親水性を
劣化させると考えられる有機物質が、焼成硬化層6と比
較して高効率に分解され、超親水性が短時間で回復させ
ることが判った。
【0109】(実施例8、比較例7)UV−C硬化層
8、焼成硬化層7 OHP用で厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレー
ト(PET)シートに、硬化後の層厚が150nmとな
るよう浸漬速度を適宜調節し、硬化層原料2を塗布、乾
燥した。その後、UV−C硬化層2の場合と同様の条件
により、UV−C硬化層8を作製した。
【0110】また、100℃で20分の加熱により、焼
成硬化層7を形成した。なお、100℃とは、無定形シ
リカが形成される下限の温度であり、PETシートが殆
ど熱変形しない温度であり、特許第2756474号公
報に記載の温度である。
【0111】これらの硬化層を暗中保管しながら接触角
を測定し、超親水性が失われたことを確認した51日目
に、BLB照射(365nmにおける紫外線照度は、1
mW/cm2とした)を行い、超親水性を回復するのに
必要な時間を測定した。
【0112】結果を図5に示したが、×がUV−C硬化
層8に関する結果を、+が焼成硬化層7に関する結果を
示す。
【0113】図5から明らかな様に、UV−C硬化層8
は超親水を維持する時間が長いばかりではなく、BLB
照射による回復において、UV−C硬化層8中のチタニ
アの光励起に伴う有機物分解作用により、表面に吸着し
親水性を劣化させると考えられる有機物質が、焼成硬化
層7と比較して高効率に分解され、超親水性が短時間で
回復させることが判った。
【0114】(実施例9)UV−C硬化層9 厚み0.2mmのポリ塩化ビニル(PVC)シートに、
硬化後の層厚が150nmとなるよう浸漬速度を適宜調
節し、硬化層原料2を塗布、乾燥した。その後、UV−
C硬化層2の場合と同様の条件により、UV−C硬化層
9を作製した。UV−C硬化層9の、UV−C硬化直後
における接触角は0°を示し、息を吹きかけても全く曇
を生じなかった。更に、UV−C硬化層9をガラスケー
スに入れ一般家庭の居間に置き、太陽光の当たらない方
向に向け、夜間は蛍光燈光の照射を行った。なお、蛍光
燈照射の条件は、ガラスを透過しUV−C硬化層9の表
面に到達する波長365nmの紫外線照度の最大値が
0.5μW/cm2という微弱光照射とした。以上の条
件で、UV−C硬化層9を1年間保存し、接触角を測定
したところ8°であり、息を吹きかけ曇状態を観察した
ところ曇も生じなかった。
【0115】以上より、微弱光照射下で1年と言う長期
間後も、UV−C硬化層9の親水性が維持されることが
判った。
【0116】(実施例10)UV−C硬化層10 チタニアゾルの代わりに、結晶性チタニアの粒子ST−
01(石原産業社製)を使用した以外は、UV−C硬化
層2の場合と同様にして、UV−C硬化層10を作製し
た。得られたUV−C硬化層10の接触角および表面硬
度を測定したところ、それぞれ0°及び4Hであった。
【0117】
【発明の効果】シリコンアルコキシド系化合物および光
触媒性半導体化合物を含んでなる硬化層原料に、最大放
射波長が315nm以下のUVを照射することにより、
基材の劣化を抑制し、耐熱性の低い基材にも形成でき、
高い親水性と表面硬度が実現され、親水性が持続され、
必要に応じて親水性が回復できる紫外線硬化層を形成す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SL材の反りの様子を示す図である。
【図2】硬化層の接触角の経時変化を示す図である。
【図3】BLB照射による吸光度の変化を示す図であ
る。
【図4】BLB照射による接触角の変化を示す図であ
る。
【図5】BLB照射による接触角の変化を示す図であ
る。
【図6】UV硬化層を含む積層構造の例を示す模式図で
ある。
【図7】UV硬化層を含む積層構造の例を示す模式図で
ある。
【符号の説明】
10 SL材 20 基材 30 UV硬化層 40 基材 50 下地層 60 UV硬化層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 AA011 AA012 DL021 DL022 HA161 HA162 HA211 HA212 HA441 HA442 KA06 KA08 KA12 LA03 MA09 MA10 MA14 NA05 NA06 PA17 PC02 PC03 PC04 PC06 PC07 PC08 PC09 PC10

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンアルコキシド系化合物および光
    触媒性半導体化合物を主に含んでなる硬化層原料に、最
    大放射波長が315nm以下であるUVを照射し、該硬
    化層原料を硬化させることにより得られる紫外線硬化
    層。
  2. 【請求項2】 前記光触媒性半導体化合物は、光触媒性
    半導体ゾルであることを特徴とする請求項1記載の紫外
    線硬化層。
  3. 【請求項3】 前記光触媒性半導体ゾルは、チタニアゾ
    ルであることを特徴とする請求項2記載の紫外線硬化
    層。
  4. 【請求項4】 前記光触媒性半導体化合物は、光触媒性
    半導体の粒子であることを特徴とする請求項1記載の紫
    外線硬化層。
  5. 【請求項5】 前記光触媒性半導体の粒子は、結晶性チ
    タニアの粒子であることを特徴とする請求項4記載の紫
    外線硬化層。
  6. 【請求項6】 前記UVの最大放射波長は、280nm
    以下であることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに
    記載の紫外線硬化層。
  7. 【請求項7】 前記UVは、UV−Cであることを特徴
    とする請求項6記載の紫外線硬化層。
  8. 【請求項8】 前記UV−Cは、低圧水銀ランプにより
    発生されるものであることを特徴とする請求項7記載の
    紫外線硬化層。
  9. 【請求項9】 前記UVの照射においては、254nm
    の照度が0.01mW/cm2以上50mW/cm2以下
    でることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の
    紫外線硬化層。
  10. 【請求項10】 前記UVの照射時間は、1秒以上30
    分以下であることを特徴とする請求項1乃至9いずれか
    に記載の紫外線硬化層。
  11. 【請求項11】 前記シリコンアルコキシド系化合物
    は、重量平均分子量が1000以上1000000以下
    のシリコンアルコキシド重合体であることを特徴とする
    請求項1乃至10いずれかに記載の紫外線硬化層。
  12. 【請求項12】 前記UV照射による硬化直後において
    は、水との接触角が20°以下であり、親水性であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の紫外
    線硬化層。
  13. 【請求項13】 前記UV照射から所定時間経過後に微
    弱光を照射することにより、水との接触角を20°以下
    とでき、親水性を回復できることを特徴とする請求項1
    乃至12いずれかに記載の紫外線硬化層。
  14. 【請求項14】 鉛筆引掻試験(JIS K 540
    0)に準じて測定される表面硬度は、2B以上であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至13いずれかに記載の紫外
    線硬化層。
  15. 【請求項15】 1nm以上1000nm以下の層厚を
    有することを特徴とする請求項1乃至14いずれかに記
    載の紫外線硬化層。
  16. 【請求項16】 シリコンアルコキシド系化合物および
    光触媒性半導体化合物を主に含んでなる硬化層原料を基
    材上に塗布する工程と、塗布された該硬化層原料を乾燥
    させる工程と、乾燥された該硬化層原料に、最大放射波
    長が315nm以下であるUVを照射して硬化させる工
    程と、を含んでなることを特徴とする紫外線硬化層の製
    造方法。
  17. 【請求項17】 前記塗布工程に先立ち、前記硬化層原
    料中のシリコンアルコキシド系化合物をシリコンアルコ
    キシド重合体とするプレ重合工程を含むことを特徴とす
    る請求項16記載の紫外線硬化層の製造方法。
  18. 【請求項18】 基材と、シリコンアルコキシド系化合
    物および光触媒性半導体化合物を主に含んでなる硬化層
    原料に、最大放射波長が315nm以下であるUVを照
    射して形成される紫外線硬化層と、を少なくとも含んで
    なることを特徴とする紫外線硬化層積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014529664A (ja) * 2011-09-01 2014-11-13 スリーエム イノベイティブプロパティズカンパニー 少なくとも部分硬化した層の製造方法
JP2014237120A (ja) * 2013-05-08 2014-12-18 トヨタ自動車株式会社 塗膜形成方法
CN113433179A (zh) * 2020-03-23 2021-09-24 株式会社斯库林集团 细胞保持容器

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