JP2001279171A - 耐衝撃性の向上した粉体塗料用樹脂組成物 - Google Patents

耐衝撃性の向上した粉体塗料用樹脂組成物

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JP2001279171A
JP2001279171A JP2000093242A JP2000093242A JP2001279171A JP 2001279171 A JP2001279171 A JP 2001279171A JP 2000093242 A JP2000093242 A JP 2000093242A JP 2000093242 A JP2000093242 A JP 2000093242A JP 2001279171 A JP2001279171 A JP 2001279171A
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acid
carboxyl group
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resin composition
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JP2000093242A
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Hisao Ikeda
久男 池田
Toshiaki Takeyama
敏明 武山
Yasuhiro Gunji
康弘 軍司
Motohiko Hidaka
基彦 日高
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Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性に優れた硬化物性を与える粉体
塗料用樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)ポリカルボン酸又はその誘導体
(a1)、及びエチレングリコールを3〜30モル%含
有する多価アルコール(a2)を原料として合成され、
且つ1000〜20000の数平均分子量、5〜200
の酸価、及び30〜120℃のガラス転移温度を有する
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、(B)トリス
(β−メチルグリシジル)イソシアヌレート、及び
(C)開環重合抑制剤を含有する粉体塗料用樹脂組成物
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い耐衝撃性を有
する、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ基を有する硬
化剤を利用した粉体塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、粉体塗料用樹脂としてエポキシ系
樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ
塩化ビニール系樹脂、ポリエチレン系樹脂などが用いら
れている。
【0003】近年塗膜の物理的特性、平滑性の点から熱
硬化性樹脂が主流となっている。しかし、熱硬化性樹脂
は、縮合系樹脂を用いた場合やブロックイソシアネート
を硬化剤に用いた場合は、硬化時に縮合脱離成分やブロ
ック剤等がガスとなって発生し、塗膜に気泡を生じやす
いという欠点がある。
【0004】そこで粉体塗料に用いられる好ましい硬化
剤としては、硬化反応時に脱離成分のないポリグリシジ
ル化合物があげられる。しかしながら一般のグリシジル
化合物、例えば、ビスフェノール型ジグリシジルエーテ
ルを硬化剤として用いる場合は、低分子量型のビスフェ
ノール型ジグリシジルエーテルは室温で液体であり、カ
ルボキシル基含有樹脂と溶融混練し、粉砕して粉体塗料
化した際に粉末が貯蔵中に融着(ブロッキング)すると
いう問題を生じる。
【0005】一方、高分子量型のビスフェノール型ジグ
リシジルエーテルは、単位重量部当たりの官能基(エポ
キシ基)数が少ないために、高添加量になりコストの上
で不利となるので産業上好ましくない。また、高分子量
型のビスフェノール型ジグリシジルエーテルを多量に添
加すると、塗料の溶融粘度が高くなり、塗膜の平滑性が
損なわれるという問題も生じる。
【0006】つまり、硬化剤としては、通常室温付近で
は固体であり、溶融粘度が低い事、更に単位重量部当た
りの官能基数が多いことが好ましいのである。この様な
硬化剤として、一分子中に3個のグリシジル基或いはこ
れに類似の官能基を有する化合物としてトリス(β−メ
チルグリシジル)イソシアヌレートが挙げられる。
【0007】このトリス(β−メチルグリシジル)イソ
シアヌレートを用いた例として、特開昭49−2424
4号公報には、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル、
ジヒドロキシアルコール、多価カルボン酸等より合成さ
れる酸価30〜200のポリエステル樹脂、及びトリス
(β−メチルグリシジル)イソシアヌレートからなる粉
体塗料用樹脂組成物が開示されている。
【0008】特開昭49−94722号公報には、遊離
ヒドロキシル基含有ポリエステル樹脂、酸無水物、及び
トリス(β−メチルグリシジル)イソシアヌレート等の
エポキシ化合物からなる粉体塗料用樹脂組成物の製造法
が開示されている。
【0009】特開昭50−19832号公報には、側鎖
にエステル結合を介してカルボキシル基を含有したポリ
エステル樹脂と、トリス(β−メチルグリシジル)イソ
シアヌレート等のエポキシ化合物とからなる粉体塗料用
樹脂組成物の製造法が開示されている。
【0010】特開昭51−44130号公報には、遊離
のフェノール性水酸基を有するポリエステル樹脂と、2
個以上のグリシジル基を有する融点30〜250℃の化
合物、トリス(β−メチルグリシジル)イソシアヌレー
ト等のエポキシ化合物、又はエポキシ基を有する化合物
とラジカル共重合する単量体とから成る粉体塗料用樹脂
組成物が開示されている。この組成物には、触媒として
テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルア
ンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウム
塩、イミダゾール、2−メチル−4−エチル−イミダゾ
ール、2−メチル−イミダゾール等のイミダゾール類、
トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の第三
アミン類、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の有
機カルボン酸を添加する事が出来るものである。
【0011】特開昭51−12823号公報には、(メ
チル)グリシジル基を有するビニル系単量体、(メチ
ル)グリシジル基を有する不飽和ポリエステル、及び他
のビニル系単量体から成る重合体に、多価カルボン酸を
配合した粉体塗料用組成物が開示されている。この組成
物は、硬化反応を促進する為に酸、アルカリ、アミン等
を添加する事が出来るものである。
【0012】特開昭52−69935号公報には、カル
ボキシル基含有ポリエステルと、トリグリシジルイソシ
アヌレート又はトリス(β−メチルグリシジル)イソシ
アヌレートに、酸価の低い特定のポリエステルを添加し
た粉体塗料組成物が開示されている。
【0013】特開平4−63872号公報には、カルボ
キシル基含有樹脂と、分子中に2個以上のカルボキシル
基を有するポリエステルオリゴマーにトリス(β−メチ
ルグリシジル)イソシアヌレート等のエポキシ化合物を
付加させ1分子中に2〜6個のグリシジル基を有するポ
リグリシジル化合物を含有した粉体塗料組成物が開示さ
れている。この組成物は、イミダゾール等の硬化触媒を
含有するものである。
【0014】特開平4−288373号公報には、基体
樹脂と硬化剤と更に硬化触媒を含有した粉体塗料組成物
が開示されている。基体樹脂は、1分子中にカルボキシ
ル基を2個以上有する樹脂である。硬化剤としてはトリ
グリシジルイソシアヌレートや、1分子中に2個以上の
カルボキシル基を有するポリエステルオリゴマーにトリ
ス(β−メチルグリシジル)イソシアヌレートを付加さ
せることによって得られた1分子中に平均2〜6個のグ
リシジル基を有するポリグリシジル化合物が記載されて
いる。また硬化触媒として、トリエチルアミン等の第3
級アミン、イミダゾール、2−エチルイミダゾール等の
第2級アミノ基を有するイミダゾール化合物が例示され
ている。
【0015】特開平8−325481号公報には、カル
ボキシル基含有樹脂とトリス(β−メチルグリシジル)
イソシアヌレート及び開環重合抑制剤として特定のアミ
ンやオニウム塩からなる粉体塗料用樹脂組成物が例示さ
れている。
【0016】特開平11−228867号公報には、カ
ルボキシル基含有樹脂とトリス(β−メチルグリシジ
ル)イソシアヌレート及び立体障害アミンからなる粉体
塗料用樹脂組成物が例示されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】特開昭49−9472
2号公報、及び特開昭51−44130号公報に記載の
遊離のヒドロキシル基、特に遊離のフェノール性水酸基
(−C64OH)をもつポリエステル樹脂は、トリス
(β−メチルグリシジル)イソシアヌレート等のエポキ
シ化合物を硬化剤として添加して粉体塗料用組成物にし
た時に、フェノール性水酸基と上記エポキシ化合物との
反応によって生じるエーテル結合が、フェノキシ基(−
64O−)の安定性が高いために、光によりフェノキ
シ基が脱離し易くなるので耐候性が悪く好ましくない。
【0018】一方、特開昭49−24244号公報、特
開昭50−19832号公報、特開昭52−69935
号公報、特開平4−63872号公報、特開平4−28
8373号公報にはカルボキシル基含有樹脂と、トリス
(β−メチルグリシジル)イソシアヌレート等のエポキ
シ化合物を硬化剤として添加した粉体塗料用組成物が開
示されている。
【0019】カルボキシル基を含有する樹脂と、トリス
(β−メチルグリシジル)イソシアヌレートを用いる場
合は、基材上で加熱硬化させる時に、β−メチルグリシ
ジル基同士の開環重合による自己重合が起こり易く、目
的とするカルボキシル基とβ−メチルグリシジル基によ
る硬化反応が起こり難く、結果として硬化不足となり、
得られた塗膜は耐衝撃性や耐候性等で充分な物性を有す
るものではない。カルボキシル基含有ポリエステル樹脂
では、このカルボキシル基に由来するH+(プロトン)
の影響が大きく、β−メチルグリシジル基同士の開環重
合による自己重合が優先して起こるためと考えられる。
【0020】特開平8−325481号公報や特開平1
1−228867号公報には開環重合による自己重合を
抑制し、目的反応を進行させるために特定の構造のアミ
ンやオニウム塩を開環重合抑制剤として使用している。
しかしながら開環重合抑制剤を使用してもある割合で自
己重合が生じるためにトリス(β−メチルグリシジル)
イソシアヌレートを過剰量使用することが好ましいと記
述されている。
【0021】我々は、優れた特徴を持つトリス(β−メ
チルグリシジル)イソシアヌレートを硬化剤として種々
検討を行ったところ上記従来技術中に記載されている自
己重合が原因で塗膜の硬化不良が起こることを確認し
た。これによって塗料をアルミニウム等の基材に塗装
し、硬化した塗膜の強度が経時的に低下するのである。
【0022】本発明は、硬化剤としてトリス(β−メチ
ルグリシジル)イソシアヌレートが抱える自己重合性が
原因の硬化不良(塗膜の耐衝撃性の低下)を解決し、充
分な耐衝撃性や耐候性等を有する塗膜が得られる粉体塗
料用樹脂組成物を提供するものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本願発明は第1観点とし
て、下記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分: (A)成分:ポリカルボン酸又はその誘導体(a1)、
及びエチレングリコールを3〜30モル%含有する多価
アルコール(a2)を原料として合成され、且つ100
0〜20000の数平均分子量、5〜200の酸価、及
び30〜120℃のガラス転移温度を有するカルボキシ
ル基含有ポリエステル樹脂、(B)成分:式(1):
【0024】
【化3】
【0025】で表されるトリス(β−メチルグリシジ
ル)イソシアヌレート、及び(C)成分:開環重合抑制
剤として、式(2):
【0026】
【化4】
【0027】で表される結合を分子中に有するアミン、
ピリジン類、トリアリールホスフィン、及びオニウム化
合物より成る群の中から選ばれた少なくとも1種の化合
物、を含有する粉体塗料用樹脂組成物、第2観点とし
て、(A)成分のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂
のカルボキシル基が脂肪族カルボン酸に基づくカルボキ
シル基である第1観点に記載の粉体塗料用樹脂組成物、
及び第3観点として、(A)成分の合成に使用される
(a2)がエチレングリコールを5〜15モル%含有す
る多価アルコールである第1観点又は第2観点に記載の
粉体塗料用樹脂組成物である。
【0028】
【発明の実施の形態】本願発明に用いられる(A)成分
のカルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、ポリカルボ
ン酸又はその誘導体(a1)、及びエチレングリコール
を3〜30モル%含有する多価アルコール(a2)を原
料として合成され、且つ1000〜20000の数平均
分子量、5〜200の酸価、及び30〜120℃のガラ
ス転移温度を有するものである。
【0029】本願発明では、これらの条件を満たす限
り、公知の原料及び方法を用いて得られた如何なるカル
ボキシル基含有ポリエステル樹脂も使用する事が出来
る。
【0030】上記の(A)成分のカルボキシル基含有ポ
リエステル樹脂の原料のうち(a1)カルボキシ成分と
しては、2官能のカルボキシ成分として例えばテレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸、ビフェニルジカルボン
酸、ナフタレンジカルボン酸、5−tert−ブチル−1,
3−ベンゼンジカルボン酸、コハク酸、マレイン酸、フ
マル酸、メサコン酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、1 ,3 −シクロヘキサンジカルボ
ン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、水添ダイ
マー酸、ハイミック酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサ
ヒドロフタル酸などを例示することができる。これらは
無水物や、誘導体としてエステル、酸ハライドとしても
原料として使用することができる。全体のカルボキシ成
分中でテレフタル酸を80モル%以上使用する事で塗膜
の柔軟性が増し、機械強度が向上するので好ましい。ま
た、全体のカルボキシ成分中でイソフタル酸を5モル%
以上使用する事で塗膜の耐候性が向上するので好まし
い。所望により3官能以上のカルボキシ成分として、3
〜4官能のカルボキシ成分が例えばトリメリット酸、ト
リメシン酸、ピロメリット酸などを例示する事が出来
る。これらもまた無水物や、誘導体としてエステル、酸
ハライドとしても原料として使用することができる。こ
れらの酸原料は単独で又は2種以上の混合物として用い
る事が出来る。
【0031】また、(A)成分のカルボキシル基含有ポ
リエステル樹脂のカルボキシル基が脂肪族カルボン酸に
基づくカルボキシル基を有する事によって、このカルボ
キシル基に由来するH+(プロトン)の影響が小さくな
り、β−メチルグリシジル基同士の開環重合による自己
重合が抑えられるので好ましい。このカルボキシル基を
与える原料としては、コハク酸、マレイン酸、フマル
酸、メサコン酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、1 ,3 −シクロヘキサンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、水添ダイマ
ー酸、ハイミック酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒ
ドロフタル酸を例示することができる。このカルボキシ
ル基を導入する方法は、特に限定されるものではなく、
ポリエステル分子の末端だけを置換しても、分子内に導
入されていても良い。
【0032】本願発明の(A)成分のカルボキシル基含
有ポリエステル樹脂の原料である多価アルコール(a
2)の3〜30モル%は、エチレングリコールを使用す
る。エチレングリコール以外の多価アルコールとしては
特に限定されるものではないが、2官能アルコールとし
てネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3
−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジ
オール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、2−メチルー1,5−ペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−ト
リメチル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2
−エチル−1,3−プロパンジオール、ヒドロキシピバ
リルヒドロキシピバレート、水素化ビスフェノールA、
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物などを例示
することができる。3官能以上のアルコール成分として
は、3〜6官能のアルコール成分が例えばグリセリン、
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリ
ス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエ
リスリトール、ジペンタエリスリトールなどを例示する
ことができる。
【0033】全体の多価アルコール中でネオペンチルグ
リコールを70モル%以上、特に80モル%以上使用す
ることで塗膜の耐候性が向上するので好ましい。
【0034】さらに上記以外の成分として、一分子中に
カルボキシル基とアルコールを両方有する成分を使用し
ても良く、例えば2官能成分として、パラヒドロキシ安
息香酸、ε−カプロラクトン、3官能以上の成分として
ジメチロールプロピオン酸、酒石酸などを例示すること
ができる。
【0035】本願発明における(A)成分のモル比の記
載は、重合して得られたカルボキシル基含有ポリエステ
ル成分中に含まれる原料由来の成分を示し、重合する際
に用いる成分のモル比は要件とされない。
【0036】本願発明の(A)成分の原料として使用さ
れるポリカルボン酸は、重合する際に用いた比率が得ら
れるカルボキシル基含有ポリエステルの成分にほぼ反映
されるが、重合の際に多価アルコール成分を系外に除去
しながらアルコール交換反応によって重合を進行させる
場合には、多価アルコール成分は原料として用いた成分
のモル比と得られたカルボキシル基含有ポリエステルの
成分とが異なる場合がある。
【0037】本発明で使用されるモノマー成分は、多価
アルコール中のエチレングリコールが3〜30モル%で
構成される。これによって硬化塗膜の柔軟性が向上し、
硬化した塗膜の初期強度が向上するだけでなく、経時的
に塗膜の強度が低下する事を防ぐこともできる。多価ア
ルコール成分中のエチレングリコールが、3モル%以下
である場合は柔軟性の向上効果がなく、30モル%を超
えると塗膜の強度は向上するが、耐候性が低下するので
好ましくない。また、多価アルコール成分中のエチレン
グリコールを5〜15モル%とすることでさらに硬化塗
膜の柔軟性と耐候性のバランスが良くなるので好まし
い。
【0038】(A)成分のポリエステル樹脂としては数
平均分子量が1000〜20000で用いられ、数平均
分子量が1000未満では、塗膜とした時の膜強度が低
下し、また20000を超える場合は、焼付け時のフロ
ー性が低下する為に平滑な塗膜が得られない。好ましく
は2000〜10000である。また、酸価は5〜20
0(KOH−mg/g)で用いられ、酸価が5未満では
カルボキシル基含有量が少ないので、充分に硬化剤と反
応する事ができず、硬化性が低く充分な塗膜強度が得ら
れない。また、酸価が、200を超えると架橋密度が必
要以上に高くなり、耐衝撃性が低下する。好ましくは2
0〜100(KOH−mg/g)である。さらに、ガラ
ス転移温度は30〜120℃で用いられ、ガラス転移温
度が30℃以下では貯蔵中に融着(ブロッキング)を起
こし易く、120℃を超える場合は、混練時の硬化剤と
の均一混合が難しく、また焼付け時のフロー性が低下す
る為に平滑な塗膜が得られなくなる。好ましくは40〜
80℃である。
【0039】本願発明に使用される(B)成分は、式
(1)で表されるトリス(β−メチルグリシジル)イソ
シアヌレートであり、粉体塗料用樹脂組成物中で硬化剤
として作用する。このトリス(β−メチルグリシジル)
イソシアヌレートは、例えば、下記反応式により、イソ
シアヌール酸と、β−メチルエピハロゲノヒドリンとか
ら合成する事が出来る。但しXは、塩素原子、臭素原子
等のハロゲン原子である。
【0040】
【化5】
【0041】しかし、この方法で合成されるトリス(β
−メチルグリシジル)イソシアヌレートは、副生成物と
して二量体やエポキシ前駆体のハロゲノヒドリンが混入
する事もある。副生成物の含有量は少ない方が好ましい
が、少量の副生成物を含有しても得られる塗膜への影響
はほとんど認められない。
【0042】トリス(β−メチルグリシジル)イソシア
ヌレートの添加量は、(A)成分中のカルボキシル基の
当量に対する上記の副生成物中のβ−メチルグリシジル
基も含めた全β−メチルグリシジル基の当量比が1.1
〜2.5の割合に含有する事が必要である。
【0043】本発明の粉体塗料用樹脂組成物では、上記
(A)成分と上記(B)成分が、(B成分中のβ−メチ
ルグリシジル基)/(A成分中のカルボキシル基)の当
量比で0.9〜2.5、好ましくは1.1〜2.5、さ
らに好ましくは1.2〜2.0の割合に含有する事が出
来る。
【0044】本願発明に用いる(C)成分は、式
(2):
【0045】
【化6】
【0046】で表される結合を分子中に有するアミン、
ピリジン類、トリアリールホスフィン、及びオニウム化
合物より成る群の中から選ばれた少なくとも1種の化合
物であり、本願の粉体塗料用樹脂組成物では開環重合抑
制剤として作用する。
【0047】また、上記(A)成分100重量部に対し
て、上記(C)成分は、0.01〜10重量部、好まし
くは、0.05〜5重量部の割合に含有する事が出来
る。
【0048】上記(C)成分の式(2)で表される結合
を分子中に有するアミンは、鎖状構造、或いは環状構造
が挙げられるが、環状構造のアミンがより好ましい。こ
の式(2)で表される結合を分子中に有する環状アミン
は、例えば、イミダゾール、イミダゾール誘導体などが
挙げられるが、更にこの環状アミンの中でも1,8−ジ
アザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7と、1,
5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5を使用
することで耐水性が向上するので好ましい。
【0049】上記(C)成分のトリアリールホスフィン
は、トリフェニルホスフィン及び置換トリフェニルホス
フィンが挙げられ、置換トリフェニルホスフィンは例え
ばトリトリルホスフィン、トリスメトキシフェニルホス
フィン等が挙げられる。
【0050】上記(C)成分のオニウム化合物は、アン
モニウム塩、アンモニウム塩基、ピリジニウム塩、ピコ
リニウム塩、ホスフォニウム塩、アルソニウム塩、スチ
ボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノ
ニウム塩、スタンノニウム塩、ヨードニウム塩が例示さ
れる。中でもアンモニウム塩、アンモニウム塩基、ピリ
ジニウム塩、ピコリニウム塩、ホスフォニウム塩、スル
ホニウム塩を使用することで副反応の開環重合の抑制効
果があるので好ましく、塗膜の焼き付け時の着色性の観
点から、より好ましくはアンモニウム塩、ホスフォニウ
ム塩、スルホニウム塩であり、中でもホスフォニウム塩
を用いることで開環重合の抑制効果、塗膜の焼き付け時
の着色性さらに塗膜の耐水性の面で最も好ましい。
【0051】オニウム化合物を例示するとアンモニウム
塩としては、例えばベンジルトリエチルアンモニウムハ
ライド、ベンジルトリエチルアンモニウムハライド、メ
チルトリオクチルアンモニウムハライド、ベンジルトリ
ブチルアンモニウムハライド、ベンジルトリメチルアン
モニウムハライドなどが例示される。
【0052】アンモニウム塩基としては、例えばベンジ
ルトリエチルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルト
リエチルアンモニウムヒドロキサイド、メチルトリオク
チルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリブチル
アンモニウムヒドロキサイドなどが例示される。これら
のアンモニウム塩基は、例えば上記アンモニウム塩をし
めった酸化銀の作用又は苛性ソーダを作用させることに
よって対イオンのハロゲンがヒドロキシルイオン(-
H)に置換され強塩基性を示したものである。
【0053】ピリジニウム塩としては、N−ラウリルピ
リジニウムハライド、N−ベンジルピリジニウムハライ
ドなどが例示される。
【0054】ピコリニウム塩としては、N−ベンジルピ
コリニウムハライド、N−ベンジルピコリニウムハライ
ド、N−ラウリルピコリニウムハライド等が例示され
る。
【0055】ホスフォニウム塩としては、テトラn−ブ
チルホスフォニウムハライド、テトラn−プロピルホス
フォニウムハライド等のテトラアルキルホスフォニウム
ハライド;トリエチルベンジルホスフォニウムハライド
等のトリアルキルベンジルホスフォニウムハライド;ト
リフェニルメチルホスフォニウムハライド、トリフェニ
ルエチルホスフォニウムハライド等のトリフェニルモノ
アルキルホスフォニウムハライド;トリフェニルベンジ
ルホスフォニウムハライド、テトラフェニルホスフォニ
ウムハライド、トリトリルモノアリールホスフォニウム
ハライド、或いはトリトリルモノアルキルホスフォニウ
ムハライドが例示される。中でも、トリフェニルメチル
ホスフォニウムハライド、トリフェニルエチルホスフォ
ニウムハライド等のトリフェニルモノアルキルホスフォ
ニウムハライド;トリフェニルベンジルホスフォニウム
ハライド等のトリフェニルモノアリールホスフォニウム
ハライド;トリトリルモノフェニルホスフォニウムハラ
イド等のトリトリルモノアリールホスフォニウムハライ
ド;トリトリルモノメチルホスフォニウムハライド等の
トリトリルモノアルキルホスフォニウムハライドを使用
することによって開環重合の抑制効果、塗膜の焼き付け
時の着色性さらに塗膜の耐水性が向上するので好まし
い。
【0056】スルホニウム塩としては、トリフェニルス
ルフォニウムハライド、トリフェニルスルフォニウムハ
ライド、トリトリルスルフォニウムハライドなどが例示
される。
【0057】本願発明で使用される上記オニウム塩の対
イオンであるハロゲン(ハライド)は塩素イオン、臭素
イオン、ヨウ素イオンである。
【0058】本願発明では、所望により種々の粉体塗料
用添加剤を加えることができる。この任意成分として
は、硬化温度を低温下或いは硬化時間を低時間化する目
的で効果促進剤、塗膜の平滑性改善剤としてアクリル酸
アルキルエステル類、着色顔料として二酸化チタン、酸
化鉄等の無機顔料やカーボン、フタロシアニン、ジアゾ
化合物等の有機顔料、さらにワキ防止剤、帯電防止剤、
難燃剤、可塑剤、流れ性調整剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤等があげられる。
【0059】本願発明の粉体塗料用樹脂組成物の調製
は、公知の方法で行われ、例えば、(A)成分、(B)
成分、(C)成分、更に必要により任意成分を混合し、
70〜120℃の温度で溶融混練を行い、冷却後、粉砕
してふるい分けを行って得られる。上記の溶融混練は、
通常の一軸または二軸の押し出し成形機、例えば、ブス
社製のコニーダ成形機等の装置を用いて行う事ができ
る。また、粉砕は、通常の乾式粉砕機、例えばハンマー
ミルやジェットミル等の装置を用いることができる。得
られた粉砕物は、50〜200メッシュ、好ましくは1
00〜200メッシュの分級機でふるい分けして粉末状
の本願発明の粉体塗料用樹脂組成物を得る事ができる。
【0060】本願発明の粉体塗料樹脂組成物は、通常の
化成処理を施したアルミニウム、アルマイト、鉄等の基
材に用いる事ができる。
【0061】本願発明の粉体塗料樹脂組成物は、基材に
一般の静電粉体塗装法や流動浸漬法により付着させた
後、140〜230℃の温度で、10分〜30分間加熱
して硬化することにより、充分な耐衝撃性や、耐候性等
を有する塗膜とする事ができる。上記の加熱は、通常に
用いられる熱風循環焼き付け炉等の装置により行う事が
できる。これにより、基材上に30〜300μmの厚み
を有する被膜を形成する事ができる。
【0062】本願発明のポリβ−メチルグリシジルエス
テル化合物は、β−位に位置するメチル基の電子供与性
および立体障害によって硬化反応性に多少問題が生じる
事がある。そのような理由から硬化促進剤を用いる事が
可能である。この硬化促進剤とは、一般にカルボキシル
基とグリシジル基の反応を促進する化合物であればさし
つかえなく、硬化促進剤を用いる事によって塗料の硬化
を低温あるいは短時間で硬化することができる。
【0063】本願発明では、(A)成分100重量部に
対して、(C)成分の添加量は0.01〜10重量部で
あるが、これは使用時の140〜230℃の硬化温度
で、本願の粉体塗料用樹脂組成物が糸引しなくなり、ゲ
ル化するまでの時間が20秒〜30分、好ましくは1分
〜20分程度になる為の添加量範囲である。(C)成分
はβ−メチルグリシジル基同士の自己重合抑制剤である
と同時に、β−メチルグリシジル基とカルボキシル基の
硬化反応促進剤でもある。従って、(C)成分の添加量
が10重量部を超えると、ゲル化までの時間が20秒以
内となり硬化時のフロー性が無くなり平滑な塗膜が得ら
れない。また、(C)成分の添加量が0.01重量部未
満の場合は、硬化が不十分となり好ましくない。
【0064】さらに本願発明では、硬化促進剤を含有す
る事ができる。これもまた(C)成分との組み合わせに
より使用時の140〜230℃の硬化温度で、本願の粉
体塗料樹脂組成物が糸引きしなくなり、ゲル化するまで
の時間が、20秒〜30分程度になる様に配合すること
がよい。添加量は、所望の硬化条件により左右される。
【0065】
【実施例】合成例1 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂A1の合成 精留塔及び攪拌機付き反応器にテレフタル酸ジメチルエ
ステル90部、イソフタル酸ジメチルエステル10部、
ネオペンチルグリコール65部及びエチレングリコール
10部、ジブチルスズオキサイド0.05部を仕込み、
メタノールを系外に留去しながら、加熱反応し、メタノ
ールの流出が止まった後に、その生成物を窒素置換した
攪拌機付き重合反応器に移し、更に三酸化アンチモン
0.1部、及びトリメチルホスフェイト0.1部を添加
して、250℃で常圧反応を30分行い、次いで約25
mmHgの減圧下で30分間反応した。一旦、常温まで
戻しイソフタル酸5部を添加して窒素ガス雰囲気下、2
50℃で2時間解重合反応を行って樹脂A1を得た。得
られた樹脂A1は、NMRでグリコール成分の組成分析
を行ったところ、ネオペンチルグリコール/エチレング
リコールの構成比率が92/8であり、これによりグリ
コール成分中のエチレングリコールが8モル%であるこ
とが確認できた。またカルボキシ当量2600g/e
q、酸価22(KOH−mg/g)、数平均分子量52
00、ガラス転移温度は約68℃であった。
【0066】合成例2 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂A2の合成 精留塔及び攪拌機付き反応器にテレフタル酸ジメチルエ
ステル90部、イソフタル酸ジメチルエステル10部、
ネオペンチルグリコール60部及びエチレングリコール
15部、ジブチルスズオキサイド0.05部を仕込み、
メタノールを系外に留去しながら、加熱反応し、メタノ
ールの流出が止まった後に、その生成物を窒素置換した
攪拌機付き重合反応器に移し、更に三酸化アンチモン
0.1部、及びトリメチルホスフェイト0.1部を添加
して、250℃で常圧反応を30分行い、次いで約25
mmHgの減圧下で30分間反応した。一旦、常温まで
戻し1,3−シクロヘキサンジカルボン酸8部を添加して
窒素ガス雰囲気下、250℃で2時間解重合反応を行っ
て樹脂A2を得た。得られた樹脂A2は、NMRでジオ
ール成分の組成分析を行ったところ、ネオペンチルグリ
コール/エチレングリコールの構成比率が85/12で
あり、これによりグリコール成分中のエチレングリコー
ルが12モル%であることが確認できた。また、カルボ
キシ当量2000g/eq、酸価28(KOH−mg/
g)、数平均分子量4000、ガラス転移温度は約63
℃であった。
【0067】比較合成例1 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂A3の合成 精留塔及び攪拌機付き反応器にテレフタル酸ジメチルエ
ステル90部、イソフタル酸ジメチルエステル10部、
ネオペンチルグリコール80部、ジブチルスズオキサイ
ド0.05部を仕込み、メタノールを系外に留去しなが
ら、加熱反応し、メタノールの流出が止まった後に、そ
の生成物を窒素置換した攪拌機付き重合反応器に移し、
更に三酸化アンチモン0.1部、及びトリメチルホスフ
ェイト0.1部を添加して、250℃で常圧反応を30
分行い、次いで約25mmHgの減圧下で30分間反応
した。一旦、常温まで戻しイソフタル酸5部を添加して
窒素ガス雰囲気下、250℃で2時間解重合反応を行っ
て樹脂A3を得た。得られた樹脂A3は、カルボキシ当
量2500g/eq、酸価22(KOH−mg/g)、
数平均分子量5000、ガラス転移温度は約73℃であ
った。
【0068】下記の原料を準備した。 A1 :カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、合成例
1で合成した樹脂A1、ジオール成分中のエチレングリ
コールは8モル%〔カルボキシ当量2600g/eq、
酸価22(KOH−mg/g)、数平均分子量520
0、ガラス転移温度は約68℃〕 A2 :カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、合成例
2で合成した樹脂A2、ジオール成分中のエチレングリ
コールは12モル%〔カルボキシ当量2000g/e
q、酸価28(KOH−mg/g)、数平均分子量40
00、ガラス転移温度は約63℃〕 A3 :カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、比較合
成例1で合成した樹脂A3、ジオール成分中のエチレン
グリコールは0モル%〔カルボキシ当量2500g/e
q、酸価22(KOH−mg/g)、数平均分子量50
00、ガラス転移温度は約73℃〕 B1 :トリス(β−メチルグリシジル)イソシアヌレ
ート〔日産化学工業(株)製、商品名MT−239、エ
ポキシ当量122g/eq〕 C1 :エチルトリフェニルホスフォニウムブロマイド
〔Technochemie GmbH(株)製、商品
名TEP〕 D1 :流動性付与剤〔モンサント・ケミカル(株)
製、商品名モダフローP−3〕 E1 :ワキ防止剤〔和光純薬(株)製、商品名ベンゾ
イン〕 F1 :白色顔料(主成分は酸化チタン)〔クロノス・
チタン・GMBH製、商品名クロノス2160〕 実施例1 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A1)の596
g、トリス(β−メチルグリシジル)イソシアヌレート
(B1)の38g、エチルトリフェニルホスフォニウム
ブロマイド(C1)の3g、流動性付与剤(D1)の1
0.0g、ワキ防止剤(E1)の3.0g、及び白色顔
料(F1)350gをニーダーに入れ、120℃の温度
で溶融混合した。その後、室温に冷却し、ピンミルを用
いて粉砕した。この粉砕物を150メッシュの分級機で
ふるい分けして粉体塗料用樹脂組成物を得た。上記の配
合組成は表1に示した。
【0069】実施例2 表1に示した配合成分で、実施例1と同様の方法で実施
例2の粉体塗料用樹脂組成物を得た。
【0070】比較例1 カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(A3)の595
g、トリス(β−メチルグリシジル)イソシアヌレート
(B1)の39g、エチルトリフェニルホスフォニウム
ブロマイド(C1)の3g、流動性付与剤(D1)の1
0.0g、ワキ防止剤(E1)の3.0g、及び白色顔
料(F1)350gをニーダーに入れ、120℃の温度
で溶融混合した。その後、室温に冷却し、ピンミルを用
いて粉砕した。この粉砕物を150メッシュの分級機で
ふるい分けして粉体塗料用樹脂組成物を得た。上記の配
合組成は表1に示した。
【0071】
【表1】 0.6mm厚のリン酸亜鉛処理鋼板に、上記の実施例1
〜2及び比較例1の粉体塗料用樹脂組成物を、静電スプ
レー塗装法で60μmの膜厚で塗装後、180℃で20
分間焼き付け、上記の粉体塗料用樹脂組成物による塗膜
を得た。これらの塗膜の性能を、下記の試験法により評
価した。
【0072】試験:衝撃試験 (JIS、K−5400、塗料一般試験方法の耐衝撃性
の試験に準ずる)先端に一定の丸みを有する撃芯と、そ
の丸みに合致するくぼみを有する受け台との間に、塗膜
を上にした試験片を置き、塗膜の表面に上記の一定の丸
みを有する撃芯(球体を含有するおもり)が衝突したと
きの塗膜の衝撃抵抗性を、われ、剥がれができるかどう
かで調べた。衝撃の強さは、落体の重さと落下距離とで
調節した。塗膜面に、われや剥がれが発生した時の落体
の重さと落下距離を記録した。撃芯の先端径は1/2イ
ンチで統一し、(おもりの重さkg)×(高さcm)で
表示した。衝撃試験機は東洋テスター工業(株)製を用
いた。
【0073】表1中で、実施例1の組成物による塗膜は
実施例膜1と表し、同様に実施例2の組成物による塗膜
は実施例膜2、比較例1の組成物による塗膜は比較例膜
1と表す。
【0074】
【表2】 ――――――――――――――――――――――――――――――― 表2 ――――――――――――――――――――――――――――――― 実施例膜1 実施例膜2 比較例膜1 ――――――――――――――――――――――――――――――― 1日後 50kg・cm以上 50kg・cm以上 50kg・cm以上 10日後 50kg・cm以上 50kg・cm以上 20kg・cm 30日後 50kg・cm以上 50kg・cm以上 10kg・cm以下 ――――――――――――――――――――――――――――――― 日数は180℃で20分間焼き付けてからの日数を示
す。標中の数値は試験結果(Kg・cm)
【0075】
【発明の効果】本願発明の粉体塗料用樹脂組成物は、こ
れまでに知られていた自己重合抑制剤である(C)成分
だけでなく、(A)成分としてポリカルボン酸又はその
誘導体(a1)、及びエチレングリコールを3〜30モ
ル%含有する多価アルコール(a2)を原料として合成
され、且つ1000〜20000の数平均分子量、5〜
200の酸価、及び30〜120℃のガラス転移温度を
有するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を使用す
る。これにより、耐衝撃性の試験の値で、初期値だけで
なく時間の経過によって低下することがない。本願発明
で選択された(A)成分中の必須成分であるエチレング
リコールを原料としていないカルボキシル基含有ポリエ
ステル樹脂を用いる組成物に比べて良好な結果を示し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日高 基彦 千葉県船橋市坪井町722番地1 日産化学 工業株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA03 AB01 AC02 AD01 AD02 AD07 AE11 BA02 BA03 BA04 BA05 BA08 BA10 BD10 BF09 BF25 CA02 CA04 CA06 CB05A CB06A CC05A FC05 GA13 GA14 GA16 GA17 HA01 HB01 HB06 4J038 DB382 DD041 GA06 JB18 JC17 JC26 JC29 MA13 MA14 NA11 PA02 PC02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分、(B)成分、及び
    (C)成分: (A)成分:ポリカルボン酸又はその誘導体(a1)、
    及びエチレングリコールを3〜30モル%含有する多価
    アルコール(a2)を原料として合成され、且つ100
    0〜20000の数平均分子量、5〜200の酸価、及
    び30〜120℃のガラス転移温度を有するカルボキシ
    ル基含有ポリエステル樹脂、 (B)成分:式(1): 【化1】 で表されるトリス(β−メチルグリシジル)イソシアヌ
    レート、及び (C)成分:開環重合抑制剤として、式(2): 【化2】 で表される結合を分子中に有するアミン、ピリジン類、
    トリアリールホスフィン、及びオニウム化合物より成る
    群の中から選ばれた少なくとも1種の化合物、を含有す
    る粉体塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分のカルボキシル基含有ポリエ
    ステル樹脂のカルボキシル基が脂肪族カルボン酸に基づ
    くカルボキシル基である請求項1に記載の粉体塗料用樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)成分の合成に使用される(a2)
    がエチレングリコールを5〜15モル%含有する多価ア
    ルコールである請求項1又は請求項2に記載の粉体塗料
    用樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111607313A (zh) * 2020-05-22 2020-09-01 四川桑瑞斯高分子材料有限公司 一种喷涂稳定的雨花石粉末涂料及制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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