JP2001276975A - 溶接用コンジットライナ - Google Patents

溶接用コンジットライナ

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JP2001276975A
JP2001276975A JP2000095165A JP2000095165A JP2001276975A JP 2001276975 A JP2001276975 A JP 2001276975A JP 2000095165 A JP2000095165 A JP 2000095165A JP 2000095165 A JP2000095165 A JP 2000095165A JP 2001276975 A JP2001276975 A JP 2001276975A
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liner
welding
winding
gap
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JP2000095165A
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English (en)
Inventor
Toru Ono
徹 小野
Toshiyuki Izumi
敏行 泉
Yukio Fujiwara
行雄 藤原
Hiroyuki Takahashi
弘幸 高橋
Masaki Abe
昌樹 阿部
Naomichi Katsumata
直路 勝又
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Tokin Corp
Original Assignee
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Tokin Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ライナの屈曲等により送給抵抗が高くなる過
酷な使用環境下においても、良好な送給性を長時間発揮
することのできる溶接用コンジットライナを提供する。 【解決手段】 溶接用ワイヤをガイドする巻線型のコン
ジットライナであって、線径0.8〜2.2mmの金属
線を内径1.5〜3.0mmの螺旋状に巻き、ワイヤ通
路を除く容積が巻線一周当り3〜90mm3 の空隙部を
入口から少なくとも1mの距離にわたって巻線間に間隙
を設けることにより形成し、この部分のライナ外周に被
膜を施したことを特徴とする溶接用コンジットライナ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全自動および半自
動溶接に使用されるワイヤ送給用のコンジットライナに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にCO2 ガスシールドアーク溶接、
MIG溶接等には細径(0.8〜1.6mmφ)の溶接
用ワイヤが使用される。溶接用ワイヤはスプールに巻か
れた、あるいはぺールパックに装填された形態で溶接に
供せられる。この溶接用ワイヤの使用に際しては、送給
機の送給ローラによりスプールあるいはぺールパックか
らワイヤを引き出すとともに後続するケーブルに内包さ
れたコンジットライナ(以下、ライナと称する。)内に
押し込み、このライナを経由して、ケーブル先端に取り
付けられた溶接トーチ内の給電チップまで送給する方式
が採用されている。ワイヤはこの給電チップと被溶接材
間で電圧を印可されてアーク溶接が行われる。
【0003】ここで使用されるライナは金属線を螺旋状
にして形成したフレキシブルなガイド管であり、その長
さは通常3〜6m程度であるが広域の溶接を行なう場合
には10〜20mの長尺なものとなり、溶接個所までの
距離に合わせて選択使用される。この方式によれば、造
船現場等の溶接個所が狭隘な、あるいは高低差がある場
所であっても、ケーブル(ライナ)を沿わすことにより
比較的容易に溶接が行なえる利点がある。ところが、使
用時に、次のような問題が生じることがあり、その解決
を求められている。
【0004】安定した溶接を行なうためには、溶接用ワ
イヤを決められた一定の速度で溶接部に供給すること、
つまり送給性が良好であることが必要となる。ワイヤは
送給ローラの送給力によってライナ内に押し込まれ、一
方ライナ内面からは接触摩擦による抵抗を受ける。この
とき、ライナが直線状態に近い比較的優しい使用環境下
の場合には、抵抗はそれ程大きくならず送給性に問題は
生じないが屈曲個所が多い、屈曲度合いが大きい、ある
いはライナが長尺化した場合等の過酷な使用環境下の場
合には、抵抗が増加し送給力とのバランスが崩れ、送給
性が悪化する。
【0005】送給抵抗の増加により、送給ローラがスリ
ップし易くなるので、ワイヤは所定の送給速度を維持で
きず不安定になる(短期の問題)。また、送給ローラの
スリップにより、ワイヤ表面が削れ、この削れ滓がライ
ナ内に進入して蓄積しワイヤの通路を塞ぐようになるの
で、益々送給性が悪化する(長期の問題)。その結果、
溶接アークの乱れ、ビード形状の不揃い、融合不良、ア
ンダーカットの発生等のトラブルが発生する。
【0006】これまで、良好な送給性の確保を目的とし
て、溶接用ワイヤ、コンジットライナの両面から改善案
がいくつか提案されている。溶接用ワイヤ側からの改善
案として、特開昭58−135795号公報には、ワイ
ヤ表面にグラファイト,二硫化モリブデン,ガラス粉末
等の固体潤滑剤をワイヤ表面に特定量塗布した溶接用ワ
イヤが開示されている。しかしながら、上記の技術では
潤滑剤付着量のコントロールが困難で、過剰に潤滑剤が
付着した箇所が発生したり、潤滑剤が不均一に付着する
ことがあり満足できない。
【0007】コンジットライナ側からの改善案として、
例えば特開平9−70665号公報には、溶接時に屈曲
する部分の一部または全部の巻線間隔が0.1〜2.0
mmであるコンジットライナが開示されている。このラ
イナの狙いは、屈曲するライナ部分の巻線間隔を広げる
ことでワイヤがライナに接触する機会を少なくして、潤
滑油の膜切れを起りにくくする。これにより、ワイヤ表
面の摩耗が少なくなるので、剥離物がライナ内に蓄積す
ることによる送給抵抗の増加を防止できる。しかし、表
面に固体潤滑剤を有するワイヤでは、送給ローラでスリ
ップが起き易く、この部分での剥離した異物をライナ内
に持ち込むことによる異物詰り、あるいはライナ内で擦
れて脱落する異物(表面潤滑剤,めっき粉,Fe粉)詰
り等の解消について対策はなされていない。
【0008】また、特開平7−241677号公報に
は、ガイド孔の断面形状をワイヤが挿通可能な三角形,
四角形等の非円形に形成したコンジットライナが開示さ
れている。このライナの狙いは、ライナ内を通過するワ
イヤのうねりを少なくして送給抵抗を減少させ、かつワ
イヤの周面とガイド孔の内面との間に大きな空隙を形成
し異物による目詰りを防止する。しかし、ワイヤが通過
可能な空間を出来るだけ小さくするのでワイヤがライナ
内壁に接触する機会が多く送給抵抗が増加し易くなる。
管状のライナの場合は常時ライナに接触するのでこれも
送給抵抗の増加につながる。また、異物が溜まる空間は
ワイヤの送給通路に向かって開いているので、脱落した
異物がワイヤに接触し易い等の問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、ライ
ナの屈曲等により送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下
であっても、固体潤滑剤を表面に有するワイヤを使用す
る場合であっても長期間に渡って良好な送給性を維持す
ることのできる溶接用コンジットライナを提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】(1)溶接用ワイヤをガ
イドする巻線型のコンジットライナであって、線径0.
8〜2.2mmの金属線を内径1.5〜3.0mmの螺
旋状に巻き、ワイヤ通路を除く容積が巻線一周当り3〜
90mm3 の空隙部を入口から少なくとも0.5mの距
離にわたって巻線間に間隙を設けることにより形成し、
この部分のライナ外周に被膜を施したことを特徴とする
溶接用コンジットライナにある。
【0011】(2)空隙部が異物の導入部と狭隘部と貯
留部とからなる前記(1)記載の溶接用コンジットライ
ナにある。 (3)ライナ入口側の巻線を疎巻にし、出口側の巻線を
密着巻にした前記(1)または(2)記載の溶接用コン
ジットライナにある。 (4)溶接用ワイヤは表面にめっき膜を有し、かつ送給
潤滑剤として固体潤滑剤と潤滑油を付着した前記(1)
ないし(3)記載の溶接用コンジットライナにある。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を詳しく説明
する。溶接用ワイヤが良好な送給性を発揮するために
は、 ワイヤがライナ内を通過する際にライナ内壁から受け
る接触抵抗(反力)をできるだけ低くして送給ローラ部
分でワイヤのスリップを抑制する。 送給ローラ部分でのスリップに起因する、およびライ
ナ内壁との接触摩擦に起因するワイヤ表面からの脱落異
物(潤滑剤、めっき、ワイヤ素地)がライナ通路に溜ま
ることによる送給抵抗の増加を抑制することが重要であ
る。
【0013】は特にライナの屈曲度合いが大きい場合
に有効で、これを満足させるためには、ワイヤ表面に固
体潤滑剤を含む送給潤滑剤を過不足なく付着させればよ
い。しかし、付けすぎると送給ローラでのスリップが大
きくなり、ワイヤ送給通路でワイヤ表面からの脱落異物
が多くなり易くが満足しにくくなる。または特にラ
イナの長期耐久性に有効で、これを満足させるために
は、ワイヤ表面からの脱落した異物がライナ内のワイヤ
通路から排除させればよい。 本発明は、(大屈曲
性)を満足させるために送給潤滑剤が比較的多く付着し
た溶接用ワイヤを送給する場合でも、(長期耐久性)
が満足できるコンジットライナである。
【0014】図1に本発明コンジットライナ例の全体図
を示す。図1で、本発明のコンジットライナ(1)はラ
イナ導入孔を有する口金(2)とワイヤをガイドするた
めの長尺の巻線部(4)と口金側の巻線外周を被覆する
樹脂製のカバー(3)からなる。巻線部(4)は、疎巻
部(5)と密着巻部(6)から構成され、疎巻部(5)
はカバー(3)で覆われている。コンジットライナ
(1)は線径0.8〜2.2mmの金属線を螺旋状に巻
いて図2、図3に示す断面構造の巻線(4)に形成され
ている。
【0015】図2は巻線間に隙間のある疎巻部の、図3
は巻線間に隙間のない密着巻部のそれぞれ断面拡大図
で、この場合の巻線断面(7)形状は略円形で内面側に
通過するワイヤ(9)をガイドする接触点(8)が、ま
た隣り合う巻線間には、空隙部(10),(11)が形
成される。疎巻部(図2)では巻線間に隙間が有り、そ
のため空隙部の断面は図(4)に示すように中央にくび
れ(12)のある瓢箪型断面となり、密着巻部(図3)
ではくびれのない三角形状の盤面となる。
【0016】本発明では、疎巻部(図2)を口金側(ワ
イヤの入側)に形成し、密着巻部(図3)を先端側(ト
ーチ側)に形成する。口金側に疎巻部を形成するのはワ
イヤ表面から脱落する異物の多くは口金側のライナに集
中することに基き、これに対応して口金側の空隙部(貯
留部)の容積を大きく、かつ貯留効率の良い構造として
いる。疎巻部の部分断面図を図4に、全体断面図を図5
に示す。疎巻部は、巻線間に間隙(ギャップ)を形成さ
せることにより空隙を大きくとる。この空隙部(10)
は、内側空隙部(13)と外側空隙部(14)およびく
びれ部(12)から構成される。ワイヤ表面からの異物
は巻線の接触点(8)で擦られて脱落し、先ず内側空隙
部に溜まり、次第にくびれ部(12)を通過して外側空
隙部(14)に溜まるようになる。外側空隙部(14)
に溜まった異物はくびれ部(12)からは出にくい。カ
バー(3)は外側空隙部(14)の蓋あるいは底の役目
を果たす。
【0017】この巻線断面(円)間の空隙部(10)の
断面積Sと巻線一周分の容積Vは、 S=(1−π/4)×d2 +Gd V={(1−π/4)×d2 +Gd}×π(Di+d) で表される。また、密着巻部(図3)の場合は、外側空
隙部(14)がない分だけ小さくなり S=0.5×(1−π/4)×d2 V=0.5×(1−π/4)×d2 ×π(Di+d) で表される。
【0018】一例として金属線(略円形断面)により形
成した内径2.2mmの巻線型ライナの場合では、図6
に示すように巻線間の間隙長(ギャップ)を広くするこ
とにより、またライナ線径(金属線径)を太くすること
により一周空隙部容積を大きくできる。密着巻(巻線間
隙長G=0mm)と比較すると、表1に巻線間隙長によ
る一周空隙部容積の変化を示す様に間隙長を開けること
が、一周空隙部容積を大きくする上で非常に有効である
ことが判る。
【0019】
【表1】
【0020】次に、ライナ内を通過するワイヤは、ライ
ナの内壁つまり巻線の内側接触点に当たりながら進み、
また当たることで接触抵抗が生じ、表面から異物が脱落
する。従ってこの接触点の数はワイヤをガイドする機能
を損なわない範囲で少ない方が好ましい。表2は巻線間
隙長によるライナ1m当りの接触点数の変化を示したも
ので、間隙長が広くなるほど、またライナ線径を太くす
るなるほど接触点の数が減少することが判る。
【0021】
【表2】
【0022】本発明は、線径0.8〜2.2mmの金属
線を内径1.5〜3.0mmの螺旋状に巻いた巻線型の
コンジットライナであって、ワイヤ通路を除く容積が巻
線一周当り3〜90mm3 の空隙部を入口から少なくと
も0.5mの距離に渡って巻線間に形成する。一周空隙
部容積が3mm3 未満では異物溜りとしての機能に乏し
く、また、巻線間隙のくびれ部が狭くなり過ぎて外側空
隙部に異物が入り込みにくくなる。更に接触点数が多い
ので送給抵抗が大きい。90mm3 超では異物溜りとし
ての機能は十分であるが、巻線間隙が広くなりすぎてワ
イヤをガイドする機能が劣化してくる(特に挿通開始時
にワイヤ先端が巻線に引っ掛かり易い)。
【0023】また、ワイヤが一本当りの巻線に強く当た
るようになるので(接触圧力の増加)、潤滑切れを起し
易く、このためライナの大屈曲に対応できににくなる。
また上記空隙部を入口から少なくとも5mの範囲にわた
って形成するのは、図7に示すようにワイヤ表面から脱
落する異物の多くは入口側のライナに集中することに基
く。図7は表面に固体潤滑剤を有する大屈曲性が比較的
良好なワイヤを使用して長時間溶接した場合の、長さ6
mのコンジットライナ内での異物の詰り状況を示すもの
である。このときの溶接条件を表3に、また、送給試験
の実施要領図を図8に示す。異物詰まり量は、ワイヤ1
0kg当り(10kgW)でライナ10cm当り(10
cmR)の詰り量(mg/10kgW×10cmR)を
表した。
【0024】
【表3】
【0025】図7、表4から、ライナ内の異物詰り量は
入口側が多く出口側になるに従って少なくなっているこ
とが判る。入口から1mの範囲に全体(6m)のほぼ1
/3が、入口から2mの範囲に全体のほぼ1/2が脱落
している。ライナ出口側先端部ではトーチの曲りにより
ライナが屈曲し、このため若干多く詰まっている。ライ
ナの入口側に集中する脱落異物が送給性に与える弊害を
軽減するには、脱落異物をワイヤ通路からできるだけ除
くことが必要で、上記の空隙部を少なくとも0.5mの
範囲に形成すればよい。0.5m未満ではあまり効果が
見られない。
【0026】
【表4】
【0027】脱落異物を溜めるための空隙部の形状は、
本発明の目的から、前記したように異物の導入部と狭隘
部と貯留部とからなる瓢箪形状(砂時計形状)の様にす
ることが望ましい。簡単には、断面円形の金属線を疎巻
にすることにより形成する。金属線を疎巻にすると、ラ
イナは腰が弱くなるが、貯留部を構成する被覆カバーで
これを補う。また、上記の理由からライナ巻線間に異物
溜めの空隙部を形成するのは入口側で十分であり、出口
側はその必要はない。理想的には、溶接熱の影響を受け
易く、溶接作業者により捩られ曲げられる機会の多い出
口側は密着巻(間隙長G<0.1mm)にして、ライナ
の剛性を入口側より高めたほうがライナの寿命の点から
好ましい。疎巻にするとライナ外周を流れるシールドガ
スがライナ内に流入するのでカバーをしなければならな
いが、密着巻ではその必要はない。
【0028】本発明では中実状のソリッドワイヤ、ワイ
ヤ中にフラックス材料を内包したフラックス入りワイヤ
(合わせ目有りタイプ,無しタイプ)の何れの溶接用ワ
イヤも対象とする。まためっき有りワイヤ,めっき無し
の何れの溶接用ワイヤも対象とする。前記したように、
良好な送給性を実現するためには、先ず溶接用ワイヤが
ライナからの接触抵抗を受けにくいことが必要である。
そのためワイヤ表面に種々の潤滑剤を付着しているが、
このようなワイヤは、送給ローラスリップ、ライナ通過
時の擦れにより異物脱落を伴うという欠点も合せ持って
いる。これまでの密着巻ライナではこの様な大屈曲性対
応の溶接用ワイヤを使用すると、異物詰りでライナの早
期交換を余儀なくされるが、この発明のコンジットで
は、巻線間空隙によりこの問題を解消する。
【0029】このことから、使用する溶接用ワイヤとし
て、表面処理に制約はなく最大限に大屈曲送給性を発揮
できるものを使用できる。すなわち、表面にめっき膜を
有し、かつ固体潤滑剤を含む潤滑剤を付着したワイヤを
ライナの送給性能を劣化させることなく長期間使用でき
る。ワイヤ表面に施すめっきの目的は、防錆性アップ、
通電性アップのほか送給潤滑剤としての機能を期待する
もので、銅めっきを0.1〜0.7μm膜厚のものを推
奨する。
【0030】また、送給潤滑剤として固体潤滑剤と潤滑
油を付着させる、ここで望ましい固体潤滑剤とはMoS
2 ,WS2 の1種または2種を含む固体潤滑剤であり、
その他の成分としてポリテトラフルオロエチレン(PT
FE),グラファイト,乾式伸線潤滑剤等が上げられ
る。これらの固体潤滑剤はワイヤ表面に付着してコンジ
ットライナ内壁とワイヤとの摩擦係数を低減し、送給抵
抗の増加を抑制する作用があり、溶接ワイヤの良好な送
給性を確保する。
【0031】固体潤滑剤の付着量は、上記効果を発揮す
るためにワイヤ10kg当り0.05〜2.0g(g/
10kgW)とするのが良い。0.05g/10kgW
未満では送給抵抗の増加を抑制効果が認められず送給性
改善は望めない。逆に2.0g/10kgWを超えると
ワイヤ表面に過剰付着することになり、送給ローラが大
きくスリップして安定送給が困難になる。また表面異物
脱落によりコンジットライナ内を汚し詰まりによる送給
不良が発生するようになる。望ましくは1.0g/10
kgWを超えないようにするのが良い。
【0032】また、本発明では溶接用ワイヤ表面に送給
潤滑油の被膜を有する。送給潤滑油はワイヤ表面全体に
付着することにより、送給時に固体潤滑剤の潤滑作用を
補完し溶接ワイヤの送給性を向上させる役目を持つ。送
給潤滑油は動植物油,鉱物油あるいは合成油の何れでも
良い。送給潤滑油の付着量は、ワイヤ10kg当り0.
1〜1.5g(g/10kgW)であることが望まし
い。0.1g/10kgW未満では固体潤滑剤の潤滑作
用を補完する作用は少なく送給性改善は望めない。逆に
1.5g/10kgWを超えるとワイヤ表面に過剰付着
することになり、送給ローラがスリップし易くなる、さ
らに潤滑油が溶接熱で分解し多量の水素を発生するので
拡散性水素量増加に起因する溶接金属の材質劣化を招き
易い。望ましくは1.0g/10kgWを超えないよう
にするのが良い。
【0033】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例により具体的に
説明する。ライナの線径、ライナ内径、巻線間隙が異な
る種々のコンジットライナを使用して、送給性試験を行
ない、送給性能を比較した。供試ワイヤは、線径1.2
mmφのフラックス入りワイヤ(JIS Z3313
YFW−C50DR、フラックス充填率15%)で15
kgスプール巻のものを使用した。供試ワイヤは表5に
示す表面状態の大屈曲性対応ワイヤである。使用ライナ
は、断面略円形の金属鋼線を螺旋状に巻いた全長6mの
巻線型コンジットライナで、表面は亜鉛めっきが施され
ている。ライナ使用時は先端がトーチ内部まで挿通し
た。ライナサイズを表7に示す。
【0034】
【表5】
【0035】送給性評価試験は、図8に示す装置を用い
て行なった。図8において送給機(15)にセットされ
たスプール巻き溶接用ワイヤ(16)は、送給ローラ
(17)により引き出され、コンジットケーブル(1
8)に内包したコンジットライナを経てその先端のトー
チ(19)まで送給される。そして通電チップと鋼板
(20)の間でビードオンプレート溶接を行う。コンジ
ットケーブル(18)は6m長で、ワイヤに送給抵抗を
与えるために100φの輪を3つ形成した中間屈曲部
(23)と100φの輪を1つ形成した手元屈曲部(2
4)を設けた。送給機(15)には送給ローラの周速度
Vr(=設定ワイヤ速度)の検出器(図示しない)、ワ
イヤの実速度(Vw)検出器(21)を備えている。送
給性評価指標のスリップ率SLはSL=(Vr−Vw)
/Vr×100%で表される。また、送給ローラ部分に
設けられたロードセル(22)により送給時にワイヤが
ライナから受ける反力を送給抵抗Rとして検出した。送
給性能の評価基準を表6に示す。
【0036】
【表6】
【0037】送給性試験は、10分間溶接を繰り返し合
計溶接時間が200分間になるまで続けた。評価は送給
抵抗Rとスリップ率S1の変化(劣化状態)を比較する
ことにより行なった。変化が小さいほうが良い。溶接条
件を表7に示す。調査結果を表8に示す。No.1から
6は本発明の実施例で、No.7〜10は比較例を示
す。
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】本発明であるNo.1〜6は、一周空隙部
容積が3〜90mm3 、空隙部形成範囲が入り口から少
なくとも0.5mで本発明の範囲内にあり、脱落異物溜
めとして十分な容積の空隙部が巻線間に形成されてい
る。脱落した異物はワイヤ通路に溜まりにくくなった結
果、長時間溶接(200分間)開始時から終了時まで送
給性レベルAを維持した。比較例No.7〜10は、入
口部付近の巻線が密着巻で巻線間の一周空隙部容積が3
mm3 に満たない場合(No.8,9)、空隙部形成が
所定範囲より小さい場合(No.7)、あるいは、一周
空隙部容積が過大な場合(No.10)である。 N
o.7〜9では、長時間の溶接により脱落異物がワイヤ
通路に溢れるて溜まるようになるので、送給性レベルは
経時的に劣化し開始時A、中間時B、終了時Cとなっ
た。また、No.10では、巻線間隙が大きくなり過ぎ
て逆に挿通妨害をおこしたり、ワイヤの巻線に対する接
触面圧が過大となったりしたことから、ライナの経時的
劣化は見られないものの送給性はBレベルで良好ではな
かった。
【0041】
【発明の効果】本発明では、ライナの入口側の巻線間に
空隙部を設けるので、ワイヤ表面からの脱落異物を貯留
でき、かつ巻線内面の接触点数が減少する。これにより
大屈曲性に優れたワイヤの送給能力を最大限に生かすこ
とができ、対応ライナの屈曲等により送給抵抗が高くな
る過酷な使用環境下であっても良好な送給性を長時間に
渡って発揮できる溶接用コンジットライナを提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンジットライナ例の全体図であ
る。
【図2】巻線間に隙間のある疎巻部の断面拡大図であ
る。
【図3】巻線間に隙間のない密着巻部の断面拡大図であ
る。
【図4】疎巻部の部分断面図である。
【図5】疎巻部の全体断面図である。
【図6】巻線間隙長と一周空隙部容積の関係図である。
【図7】ライナ内での脱落異物の詰り状態を示した図で
ある。
【図8】送給性試験の実施要領図である。
【符号の説明】
1 コンジットライナ 2 口金 3 被覆カバー 4 巻線部 5 疎巻部 6 密着巻部 7 巻線断面 8 接触点 9 ワイヤ 10,11 空隙部 12 くびれ 13 内側空隙部 14 外側空隙部 15 送給機 16 ワイヤ 17 送給ローラ 18 コンジットケーブル 19 トーチ 20 鋼板 21 ワイヤ速度検出器 22 ロードセル 23 中間屈曲部 24 手元屈曲部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月1日(2000.12.
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】脱落異物を溜めるための空隙部の形状は、
本発明の目的から、前記したように異物の導入部と狭隘
部と貯留部とからなる瓢箪形状(砂時計形状)の様にす
ることが望ましい。簡単には、断面円形の金属線を疎巻
にすることにより形成する。金属線を疎巻にすると、ラ
イナは腰が弱くなるが、補強ワイヤの挿入によりこれを
補うことができる。すなわち、あらかじめ疎巻部分に補
強ワイヤを挿入し密着巻部分と同程度の剛性を持たせて
おけば曲がりにくくなるので、ライナーをケーブルに装
着し易くなる。ライナーをケーブルに装着したのちは、
補強ワイヤを引き抜く。また、上記の理由からライナ巻
線間に異物溜めの空隙部を形成するのは入口側で十分で
あり、出口側はその必要はない。理想的には、溶接熱の
影響を受け易く、溶接作業者により捩られ曲げられる機
会の多い出口側は密着巻(間隙長G<0.1mm)にし
て、ライナの剛性を入口側より高めたほうがライナの寿
命の点から好ましい。疎巻にするとライナ外周を流れる
シールドガスがライナ内に流入するのでカバーをしなけ
ればならないが、密着巻ではその必要はない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 泉 敏行 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社内 (72)発明者 藤原 行雄 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社内 (72)発明者 高橋 弘幸 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社内 (72)発明者 阿部 昌樹 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社内 (72)発明者 勝又 直路 静岡県浜松市大久保町1509番地 株式会社 トーキン内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接用ワイヤをガイドする巻線型のコン
    ジットライナであって、線径0.8〜2.2mmの金属
    線を内径1.5〜3.0mmの螺旋状に巻き、ワイヤ通
    路を除く容積が巻線一周当り3〜90mm3 の空隙部を
    入口から少なくとも0.5mの距離にわたって巻線間に
    間隙を設けることにより形成し、この部分のライナ外周
    に被膜を施したことを特徴とする溶接用コンジットライ
    ナ。
  2. 【請求項2】 空隙部が異物の導入部と狭隘部と貯留部
    とからなる請求項1記載の溶接用コンジットライナ。
  3. 【請求項3】 ライナ入口側の巻線を疎巻にし、出口側
    の巻線を密着巻にした請求項1または請求項2記載の溶
    接用コンジットライナ。
  4. 【請求項4】 溶接用ワイヤは表面にめっき膜を有し、
    かつ送給潤滑剤として固体潤滑剤と潤滑油を付着した請
    求項1ないし請求項3記載の溶接用コンジットライナ。
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