JPH0329024Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は全自動または半自動溶接に使用される
溶接用鋼ワイヤの断面構造に関する。

（従来の技術と問題点） 一般にCO₂ガスシールド溶接、MIG溶接等には
0.8〜2.4mmφの溶接用鋼ワイヤが使用される。溶
接用鋼ワイヤは通常スプールやボビンに巻装され
た状態で、あるいはペイルパツクに装填された状
態で溶接に供せられるが、これらのワイヤが使用
されるときは、溶接機の付属装置である送給機に
設置され、送給ローラを通り３〜20ｍにおよぶフ
レキシブルコンジツトチユーブ、溶接トーチ、給
電チツプを経て溶接部に供給される。

このような溶接においては、ワイヤを一定速度
で供給することが重要であるため、従来ワイヤの
硬度を高硬度（300Hv以上）にしてフレキシブル
コンジツトチユーブの案内管であるライナー、ト
ーチ、給電チツプとの間の接触抵抗およびフレキ
シブルコンジツトチユーブの屈曲部を通りぬける
ための抵抗力にうちかつようにし、ワイヤの送給
性の安定化を計つている。

一方、給電チツプは銅合金（クローム銅等）製
であり、上記ワイヤに比較して低硬度（200Hv程
度）で、このため摩耗しやすい。給電チツプの摩
耗量が大きくなるとワイヤのねらい位置がずれ、
溶接欠陥発生の原因となるので、従来頻繁に給電
チツプの交換を行なつており作業能率上問題とな
つていた。

（問題点を解決するための手段・作用） 本考案は上記従来技術の欠点を解消するために
なされたものであつて、その要旨とするところ
は、鋼ワイヤの断面が送給抵抗にうちかつための
高硬度：350〜400Hvの中心部と給電チツプの内
面摩耗を緩和せしめる低硬度：200〜250Hvの表
層部とからなる二層構造の溶接用鋼ワイヤの断面
構造にある。

以下本考案を第１図に示す具体例により説明す
る。第１図は本考案の溶接用鋼ワイヤの断面図で
あり、溶接用鋼ワイヤ１は高硬度の中心部２とそ
の周囲の低硬度の表層部３とから構成される。本
考案はワイヤ断面を二層構造とするが、これは高
硬度の中心部２でフレキシブルコンジツトチユー
ブ等の内面との接触抵抗等、いわゆる送給抵抗に
うちかち安定した送給性を実現し、一方低硬度の
表面層３で給電チツプの内面摩耗を緩和せしめる
ためである。

本考案者の実験によると、ワイヤ表層部３の硬
度は上記目的において250Hv以下とすることが必
要であるしかしあまり低硬度すぎるとコンジツト
チユーブ内面との接触で削れやすくなるので、
200Hv程度におさえる。次にワイヤ中心部の硬度
は、上記目的において350Hv以上とすることが必
要である。しかしあまり高硬度すぎると製造が困
難となるので、400Hv程度におさえる。すなわち
ワイヤの中心部と表層部の硬度差を100Hv以上と
する。

本考案の溶接用鋼ワイヤの製造方法としては 高硬度の中心ワイヤと低硬度の帯鋼を並行し
て流し、中心ワイヤを包んだのち伸線する。

低硬度の鋼パイプ内に高硬度の中心ワイヤを
挿入したのち、あるいは挿入しながら伸線す
る。

鋼ワイヤの表層部のみ軟化焼鈍（例えば短時
間塩浴焼鈍、高周波誘導加熱）する。

等種々の方法が考えられる。

（考案の効果） 以上説明したように本考案の溶接用鋼ワイヤ
は、その断面が高硬度の中心部と低硬度の表層部
からなる二層構造であるので、 ・ コンジツトチユーブ内で座屈することなく、
充分良好なワイヤ送給性を発揮する。

・ 給電チツプの摩耗量が減少するので、ワイヤ
のねらい位置が正確になるとともに、チツプの
交換頻度が減少し作業能率が向上する。

等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の溶接用鋼ワイヤの断面構造を
示す図である。 １……ワイヤ、２……中心部、３……表層部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋼ワイヤの断面が送給抵抗にうちかつための高
   硬度：350〜400Hvの中心部と給電チツプの内面
   摩耗を緩和せしめる低硬度：200〜250Hvの表層
   部とからなる二層構造であることを特徴とする溶
   接用鋼ワイヤの断面構造。