JP2001276106A - 人工肛門装着バッグおよび排出物脱臭吸水剤 - Google Patents

人工肛門装着バッグおよび排出物脱臭吸水剤

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JP2001276106A
JP2001276106A JP2000099792A JP2000099792A JP2001276106A JP 2001276106 A JP2001276106 A JP 2001276106A JP 2000099792 A JP2000099792 A JP 2000099792A JP 2000099792 A JP2000099792 A JP 2000099792A JP 2001276106 A JP2001276106 A JP 2001276106A
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lignite
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Hajime Aoki
元 青木
Hideo Ishihara
秀夫 石原
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JAPAN ENVIRONMENT ENGINEERING Inc
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JAPAN ENVIRONMENT ENGINEERING
JAPAN ENVIRONMENT ENGINEERING Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低コストで、機能的に安定して、しかも安全に
排出物の脱臭固化ができる人工肛門装着バッグを提供す
ることを目的とする。 【解決手段】人工肛門に装着され排出物を収容するバッ
グであって、予め内部に亜炭を主成分とする排出物脱臭
吸水剤を封入してなる構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は人工肛門装着バッグ
および排出物脱臭吸水剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大腸ガンなどの手術のため大腸を切除さ
れた患者は、腹部に人工肛門を形成し、同時に人工肛門
からの排出物を収容する人工肛門装着バッグを装着する
ことによって、日常生活上の支障が小さくなり社会復帰
が可能となる。人工肛門装着バッグは、塩化ビニル等の
透明なフィルムにより袋状に形成されている。その一部
に人工肛門の大きさに合わせて大きさを調整可能な円形
状の排出物の取り入れ口を有している。さらにその取り
入れ口を取り巻くように両面テープが貼り付けられてい
る。そして人工肛門の位置と排出物の取り入れ口の位置
を合わせた上で、この両面テープにより人工肛門装着バ
ッグが患者の腹部に固定され、同時に人工肛門からの排
出物自体の漏れや排出物の臭気の漏れを防いでいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】人工肛門装着バッグに
は排出物ばかりでなく患者の体内で発生したガスも流入
するため、バッグ内の圧力が上がり、両面テープ部分等
から臭気が漏れる可能性がある。また人工肛門を形成し
た患者は結腸で排出物の水分を吸収することができない
ため、健常者に比べて排出物が液状になり、人工肛門装
着バッグ内で音がする可能性がある。このような臭気や
音を人に察知されてしまうかもしれないという不安感
が、患者を外出や人と会うことから遠ざけ、患者の社会
復帰の障害となっている。そこで、人工肛門装着バッグ
内の排出物を脱臭固化することが望まれる。
【0004】一方、人工肛門装着バッグは毎日取り替え
る必要があり、そのコスト低減も患者にとって重要な問
題である。また脱臭固化機能が安定的にかつ簡単に得ら
れないと、患者の上記不安感が払拭できない。さらに人
工肛門装着バッグは患者の皮膚に取り付けられ、人工肛
門を通して患者の体内と連通しているため、排出物を脱
臭固化する薬品を使用するに当たってはその安全性に細
心の注意が必要である。
【0005】本発明は上記問題点に着目し、低コスト
で、機能的に安定して、簡単にしかも安全に排出物の脱
臭固化ができる人工肛門装着バッグを提供することを目
的とする。
【0006】一方、赤ん坊や老人介護の現場では、オム
ツの取り替え時および取り外したオムツの保管時に、排
出物の臭気および液状排出物がオムツから漏れることが
問題となっている。そこでオムツに付着した排出物を脱
臭固化することが望まれる。一方でオムツは毎日何回も
取り替える必要があり、そのコスト低減が介護をする人
々にとって重要な問題である。また、駅構内や路上にお
う吐された吐瀉物の臭気は通行人にとって大変迷惑であ
り、また液状の吐瀉物を処理する際に清掃器具に吐瀉物
が付着するなどして処理が困難である。本発明は上記問
題点に着目し、低コストでなおかつ機能的に安定した排
出物脱臭吸水剤の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る人工肛門装着バッグは、人工肛門に装
着され排出物を収容するバッグであって、予め内部に亜
炭を主成分とする排出物脱臭吸水剤を封入してなる構成
とした。
【0008】一方、本発明に係る排出物脱臭吸水剤は、
亜炭およびゼオライトを主成分とし、これにポリアクリ
ルアミド系高分子化合物を添加して、これらを粉末形成
してなる構成とした。
【0009】また、亜炭およびゼオライトを主成分と
し、これにシリカゲルを添加して、これらを粉末形成し
てなる構成とした。さらに、亜炭およびゼオライトを主
成分とし、これにポリアクリルアミド系高分子化合物お
よびシリカゲルを添加して、これらを粉末形成してなる
構成とした。加えて、前記ポリアクリルアミド系高分子
化合物の配合割合を40重量部とし、前記亜炭と前記ゼ
オライトの配合比を1:1とすることが望ましい。
【0010】一方、本発明に係る人工肛門装着バッグ
は、人工肛門に装着され排出物を収容するバッグであっ
て、予め内部に請求項2ないし5のいずれか1つに記載
の排出物脱臭吸水剤を封入してなる構成とした。
【0011】また、前記人工肛門装着バッグは、前記人
工肛門装着バッグの排出物収容部分に対して開口部を有
する脱臭吸水剤収納容器を有し、前記脱臭吸水剤収納容
器に前記排出物脱臭吸水剤を封入してなる構成とした。
【0012】さらに、前記排出物脱臭吸水剤を分割し、
前記分割された各排出物脱臭吸水剤によって脱臭固化す
ることができる排出物の限界量を決定し、前記人工肛門
装着バッグ内において前記排出物の各限界量が順に堆積
する位置を決定し、前記各位置に前記分割した各排出物
脱臭吸水剤を配置した構成とした。
【0013】
【作用】本発明に係る人工肛門装着バッグは、人工肛門
に装着され排出物を収容するバッグであって、予め内部
に亜炭を主成分とする排出物脱臭吸水剤を封入してなる
構成としたので、亜炭のミクロ孔による物理的吸着作用
により、排出物の臭気成分中の炭化水素類、ジスルフィ
ド類などを除去することができ、亜炭の官能基による化
学的吸着作用により、排出物の臭気成分中の硫化水素、
メルカプタン類、アンモニア、アミン類などを除去する
ことができる。また亜炭は天然に多く存在し、焼成する
ことなく脱臭剤として使用することができるから、コス
トを低くおさえることができると同時に機能安定性に優
れている。一方、人工肛門装着バッグは皮膚に直接取り
付けて使用するので亜炭が皮膚に触れる可能性がある
が、動物を用いた皮膚刺激性試験により安全性が確認さ
れている。また人工肛門から体内に亜炭が逆流する可能
性があるが、動物を用いた急性経口毒性試験により安全
性が確認されている。
【0014】本発明に係る排出物脱臭吸水剤は、亜炭お
よびゼオライトを主成分とし、これにポリアクリルアミ
ド系高分子化合物を添加して、これらを粉末形成してな
る構成としたので、ポリアクリルアミド系高分子化合物
およびゼオライトが人工肛門装着バッグ内の液状排出物
の水分を吸収し、同時にゼオライトはポリアクリルアミ
ド系高分子化合物を均一に分散させる働きをして、排出
物を固化する。亜炭を主成分とすることにより低コスト
かつ機能的に安定すると同時に、ゼオライトは亜炭と同
様脱臭作用を有するので特に脱臭性能に優れている。
【0015】また、亜炭およびゼオライトを主成分と
し、これにシリカゲルを添加して、これらを粉末形成し
てなる構成としたので、低コストかつ機能的に安定する
と同時に、シリカゲルの優れた吸水機能により特に吸水
性能に優れている。
【0016】さらに、亜炭およびゼオライトを主成分と
し、これにポリアクリルアミド系高分子化合物およびシ
リカゲルを添加して、これらを粉末形成してなる構成と
したので、低コストかつ機能的に安定すると同時に、シ
リカゲルの優れた吸水機能により脱臭性能および吸水固
化性能のバランスをとることができる。
【0017】加えて、前記ポリアクリルアミド系高分子
化合物の配合割合を40重量部とし、前記亜炭と前記ゼ
オライトの配合比を1:1とする構成としたので、脱臭
性能、清潔感および凝集固化性能のバランスをとること
ができる。
【0018】本発明に係る人工肛門装着バッグは、人工
肛門に装着され排出物を収容するバッグであって、予め
内部に請求項2ないし5のいずれか1つに記載の排出物
脱臭吸水剤を封入してなる構成としたので、低コストか
つ機能的に安定して排出物の脱臭固化ができる。一方、
ポリアクリルアミド系高分子化合物が皮膚に触れる可能
性があるが、動物を用いた皮膚刺激性試験により安全性
が確認されている。またポリアクリルアミド系高分子化
合物が体内に逆流する可能性があるが、動物を用いた経
口急性毒性試験および慢性毒性試験により安全性が確認
されている。
【0019】さらに、前記人工肛門装着バッグの排出物
収容部分に対して開口部を有する脱臭吸水剤収納容器を
有し、前記脱臭吸水剤収納容器に前記排出物脱臭吸水剤
を封入してなる構成としたので、排出物収容部分に対し
て脱臭吸水剤が簡単に投入でき、脱臭固化機能を簡単に
得ることができる。また大量生産が可能であるから低コ
スト化できる。さらに未使用の脱臭吸水剤は収納容器内
に留まっているから安全である。
【0020】さらに、前記排出物脱臭吸水剤を分割し、
前記分割された各排出物脱臭吸水剤によって脱臭固化す
ることができる排出物の限界量を決定し、人工肛門装着
バッグ内において前記排出物の各限界量が順に堆積する
位置を決定し、前記各位置に前記分割した各排出物脱臭
吸水剤を配置した構成としたので、脱臭吸水剤の投入作
業を必要とせず、堆積した排出物を順に脱臭固化させる
ことができるから、脱臭固化機能をさらに簡単に得るこ
とができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照しつつ詳細に説明する。第1実施形態として、亜炭お
よびゼオライトを主成分とし、これにポリアクリルアミ
ド系高分子化合物を添加して、これらを粉末形成してな
ることを特徴とする排出物脱臭吸水剤、亜炭およびゼオ
ライトを主成分とし、これにシリカゲルを添加して、こ
れらを粉末形成してなることを特徴とする排出物脱臭吸
水剤、並びに、亜炭およびゼオライトを主成分とし、こ
れにポリアクリルアミド系高分子化合物およびシリカゲ
ルを添加して、これらを粉末形成してなることを特徴と
する排出物脱臭吸水剤について説明する。
【0022】最初に、本実施形態の主成分である亜炭に
ついて説明する。亜炭は泥炭と石炭とを主成分としてお
り、石炭化度の低い褐炭の一種である。石炭化度が低い
ためエネルギーとしての利用価値は低く、世界中の埋蔵
量が4兆から10兆トンあるにもかかわらず、消費量は
年間25億トン程度である。
【0023】亜炭の主成分である泥炭は、大昔の樹木が
堆積した上地殻変動で埋没し、地中深く無酸素状態で地
圧および地熱を受け、天然の炭化作用により石炭になる
過程の中で、石炭になりきれないものである。本実施形
態に係る黒色の亜炭粉末を製造するには、まずこのよう
な泥炭と石炭の混在する亜炭層から亜炭鉱石を採掘す
る。これを選炭工場の振動式選別機にかけて、一定の大
きさ毎に選別する。さらに粉砕工場の粉砕機によって粉
末状態に形成する。なお活性炭を製造する場合には、上
記の一定の大きさに選別する工程の後に、活性化剤を加
えて殺菌炉で焼成する工程が必要である。しかし炉内の
どの位置で焼成されるかにより焼成温度が異なり、後述
するように活性炭の成分および脱臭機能は安定しない。
この点焼成を必要としない亜炭は、活性炭と比べて脱臭
機能の安定性に優れている。またコスト面でも、天然に
多く存在しなおかつ焼成を必要としない亜炭は、活性炭
の3分の1程度におさえることができる。従って、毎日
取り替える必要のある人工肛門装着バッグに対して、低
コストな脱臭吸水剤を提供できるのである。
【0024】次に亜炭の脱臭作用について説明する。亜
炭の脱臭作用は、物理的吸着作用、化学的吸着作用およ
び微生物による機能の複合作用であり、以下順に説明す
る。亜炭の主成分である泥炭および石炭はいずれも樹木
の炭化物であるから、樹木の組織の基本骨格である仮導
管および細胞膜を残していて、ハニカム構造の直径10
〜40μmのマクロ孔を形成している。さらにマクロ孔
の内壁には、無数の直径1〜5nmのミクロ孔を形成し
ている。亜炭の孔内部表面積を合計すると、1gあたり
300m2にもなる。このミクロ孔の数は、天然の炭化
作用を受けるときの温度の影響で大きく変化する。炭化
の温度が上がるにつれて、内部から酸素や炭化水素類が
揮発していき、炭素分の比率が増えると共にミクロの孔
が増加し、表面積もこれに対応して増加していく。この
ミクロ孔の表面に分子間引力によって被吸着物を吸着す
る作用が物理的吸着作用である。この物理的吸着作用に
より、排出物の臭気成分の炭化水素類、ジスルフィド類
などを除去できる。また液状排出物中の水分も一定程度
吸着する。
【0025】石炭になる前の状態である泥炭には、炭素
の他に酸素や水素が多く含まれていて、その表面には酸
素や水素がさまざまなな官能基を形成している。この官
能基に被吸着物を結合する作用が化学的吸着作用であ
る。官能基の種類は、天然の炭化作用を受けるときの温
度の影響で変化する。炭化温度が低いと酸性の基が表面
に多く残る。これにより塩基性の物質すなわちアンモニ
ア、アミン類などと化学的に結合して、これらの物質を
吸着する。一方炭化温度が高いと、酸性基が分解され塩
基性の基を多く持った表面にかわる。これにより硫化水
素などの酸性物質と化学的に結合して、これらの物質を
吸着する。亜炭の炭化温度は中間的であり、上記の酸性
基および塩基性基を両方具備する。従って、排出物の臭
気成分中のアンモニア、アミン類および硫化水素などを
除去できる。
【0026】さらに亜炭の広大な孔内部の表面には、空
中窒素固定菌やアンモニア分解菌などが着床する。これ
らの微生物が生きていく課程でアンモニアなどを吸収す
るので、排出物の臭気成分中のアンモニアなどが除去で
きる。
【0027】上記のように物理的吸着作用および化学的
吸着作用のいずれも、炭化温度によって吸着性能が大き
く変化する。すなわち活性炭は、炉内のどの位置で焼成
されるかにより焼成温度が異なり、成分および脱臭機能
が安定しないのである。この点焼成を必要としない亜炭
は、活性炭に比べて脱臭機能の安定性に優れている。
【0028】次に、亜炭を用いた消臭効果試験の結果に
ついて説明する。アンモニアおよび硫化水素を封入した
5リットル容器に亜炭100gをいれ、30分放置後に
容器内の残存ガス濃度を測定した。その結果につき、亜
炭を入れない場合の残存ガス濃度と比較した。アンモニ
アに対する消臭効果は、亜炭を入れない場合の残存ガス
濃度が200ppmであるのに対し、亜炭を入れた場合
には3.5ppmとなり、消臭率は98.3%であっ
た。一方硫化水素に対する消臭効果は、亜炭を入れない
場合の残存ガス濃度が50ppmであるのに対し、亜炭
を入れた場合には0.6ppmとなり、消臭率は98.
8%であった。上記により、亜炭には充分な消臭効果の
あることが確認された。
【0029】次に亜炭の安全性試験結果について説明す
る。亜炭を人工肛門装着バッグ内に封入した場合、人工
肛門装着バッグは皮膚に直接取り付けて使用するので、
亜炭が皮膚に触れる可能性がある。そこで、OECD化
学物質毒性試験指針(1981)に準拠し、ウサギを用いた皮
膚一次刺激性試験を行った。具体的には、亜炭0.5g
をウサギ3匹の剪毛後の無傷および有傷(すり傷)皮膚
に4時間閉鎖貼付した。その結果、亜炭除去後1時間に
2匹の有傷皮膚上ですり傷の部分に限局して非常に軽度
な紅斑が見られたが、24時間にすべて消失した。Fede
ral Register(1972)に準拠して求めた一次刺激性イン
デックス(P.I.I.)は0.1となり、0〜2.0となる場
合に分類される最も刺激性の弱いクラスである「弱い刺
激物」に分類され、さらにその中でも極めて刺激性の弱
いものであることが確認された。
【0030】また亜炭を人工肛門装着バッグ内に封入し
た場合、人工肛門から体内に亜炭が逆流する可能性があ
る。そこで、OECD化学物質毒性試験指針(1987)に準
拠し、ラットを用いた急性経口毒性試験(限度試験)を
行った。具体的には、雌雄各5匹のラットに対し体重1
kgあたり2000mgの亜炭を1回だけ経口投与し
て、14日間観察した後解剖した。その結果、試験動物
に異常および死亡例は認められなかった。また剖検では
すべての試験動物の主要臓器に異常は見られなかった。
従って、ラットにおける単回経口投与によるLD50
(50%致死量。急性毒性を表す指標で、多数の動物に
薬物を投与した場合に、その50%が死亡すると推定さ
れる用量)は、2000mg/kg以上であるものと考
えられる。一般にLD50値が300mg/kg以上のも
のは普通物とされていることから、亜炭の急性経口毒性
は極めて弱いことが確認された。以上の結果、亜炭を人
工肛門装着バッグ内に封入した場合でも、充分な安全性
のあることが確認された。
【0031】次に、本実施形態に添加するポリアクリル
アミド系高分子化合物について説明する。ポリアクリル
アミド系高分子化合物の一般化学構造式は以下で示され
る。
【化1】 原料であるアクリルアミド(モノマー)を重合して製造
され、凝集剤としては分子量数百万以上のものを使用す
る。この物質はさらさらした無臭の淡茶色固体であり、
水溶性である。上式中x=0〜0.05前後までがノニ
オン性ポリアクリルアミドであり、それ以上の場合がア
ニオン性ポリアクリルアミドである。xが大きくなるほ
ど水溶液粘度は大きくなり吸湿性が強くなるから、アニ
オン性ポリアクリルアミドを使用する。アニオン性ポリ
アクリルアミドとしては、例えばポリアクリルアミドの
部分加水分解物、アクリルアミドとアクリル酸との共重
合体、あるいはアクリルアミドとアクリル酸塩との共重
合体が用いられる。本実施形態では具体的には、住友精
化株式会社製の高含水汚泥用高分子系固化剤「スミロッ
ク#400」を使用する。
【0032】なおポリアクリルアミド系高分子化合物の
代替物として、重金属固定化薬剤であるキレート剤が考
えられる。キレート剤も水と反応し、セメントや石灰を
骨材として固化させる性質を有する。キレート剤にはピ
ロリジン系硫黄化合物、イミン系硫黄化合物およびカル
バミン酸系硫黄化合物があるが、どれもアンモニアある
いはアミン臭があり、ph11〜12を示す。従って人
体に害を及ぼすおそれがあり、利用を避けている。
【0033】次にポリアクリルアミド系高分子化合物の
安全性試験結果について説明する。人工肛門装着バッグ
内に封入する場合、亜炭と同様にポリアクリルアミド系
高分子化合物も、皮膚に触れる可能性がありまた体内に
逆流する可能性があるから、これらの点につき安全性の
確認が必要である。この点、高分子凝集剤懇話会から
「ポリアクリルアミド系高分子凝集剤の安全性について
(改訂版)」と題された資料が発行されているので、こ
の資料から抜粋して以下に説明する。なおポリアクリル
アミド系高分子化合物の原料として使用されるアクリル
アミドが有毒であるため、ポリアクリルアミドはアクリ
ルアミドと混同され安全性について疑いを受けやすい
が、化学的にはモノマーとポリマーは全く異質のもので
ある。
【0034】まず、ほ乳類経口時の吸収、分布および排
泄についてである。すなわち、何らかの経緯で体内に入
った場合、ポリアクリルアミドがどのように移行するの
かについて検討している。ラット2匹に対し、体重1
kgあたり140mgのアニオン性ポリアクリルアミド
を投与した場合の24時間後の分布、体重1kgあた
り175mgのアニオン性ポリアクリルアミドを投与し
た場合の4日後の分布について追跡調査している。その
結果、のいずれも糞から投与量の95%程度のアニ
オン性ポリアクリルアミドが検出された。この実験結果
はアニオン性ポリアクリルアミドの体内への吸収および
蓄積はほとんどないことを示している。
【0035】次に、経口毒性についてである。上記のよ
うに体内に吸収されないため、経口毒性は非常に弱い。
まず経口急性毒性については、マウスおよびラットの場
合、LD50値で1000mg/kg以上、あるいは40
00mg/kg以上という報告がされている。次に経口
長期毒性については、ラットおよびビーグル犬を使用し
て2年間の慢性毒性試験を行っている。主な試験項目は
体重増加量、摂餌量、血液学的検査および主要臓器の組
織学的検査である。その結果、試験動物に影響が出ない
最大経口投与量は、ラットでは500mg/kg・da
y、ビーグル犬では2000mg/kg・dayと報告
されている。なおこれ以上の投与を行うと試験動物に若
干の影響があらわれたが、ポリアクリルアミドは親水性
であるため、経口投与を続けると高粘度のポリアクリル
アミドが常に腸壁を覆うので栄養吸収が妨げられたので
あろうと推定し、ポリアクリルアミド自体の毒性による
ものではないと述べている。
【0036】次に皮膚刺激性についてである。この点、
東京都立衛生研究所の試験結果が報告されている。それ
によると、アニオン性ポリアクリルアミドの水溶液1m
lをウサギの剃毛皮膚5×7cmに毎日塗布し、これを
14日間反復して観察した結果、異常は認められなかっ
たとのことである。
【0037】結局、ほ乳類の場合ポリアクリルアミドは
生体内にほとんど吸収されないため、その毒性は極めて
弱い。また皮膚刺激性、点眼刺激性、呼吸による吸入毒
性も極めて軽微もしくは認められない。したがって取り
扱い上の問題は特にないと考えられると結論付けられて
いる。よって、ポリアクリルアミド系高分子化合物ない
しアニオン性ポリアクリルアミドを人工肛門装着バッグ
内に封入した場合でも、充分な安全性があるといえる。
【0038】次に、本実施形態に添加するシリカゲルお
よび主成分であるゼオライトについて説明する。シリカ
ゲルは二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とした珪石鉱
物である。結晶はSiO2・nH2Oの型の層状構造をも
つ。本実施形態に係る白色のシリカゲル粉末を製造する
には、亜炭と同様にまず削岩機によって採掘し、破砕後
希硫酸にてゲル状にし、乾燥粉砕する。
【0039】シリカゲルは親水性に富み水中で5〜10
倍の容積に膨潤するが、シリカゲル単独で固化すること
はない。一方ポリアクリルアミド系高分子化合物を単独
で用いた場合にも、均一に分散しにくいため固化するま
でに長時間を要する。そこでシリカゲルをポリアクリル
アミド系高分子化合物と同時に用いることによって、ポ
リアクリルアミド系高分子化合物を均一に分散させる働
きをして、短時間で固化させることができる。またシリ
カゲルはミクロ孔を有するので、一定程度の脱臭性能を
も発揮することができる。、
【0040】なおシリカゲルの代替物として、その成分
でもあるシリカ、珪酸白土、珪酸塩白土、活性白土、酸
性白土、ベントナイトおよびモンモリロナイト粘土など
を使用できる。その一方、石灰、セメント、フライアッ
シュおよびシルトを利用しないのは、酸性が強いものも
あり、人体に害を及ぼすおそれがあるからである。
【0041】ゼオライトは、上記薬品と同様にシリカゲ
ルの代替物としても使用できるものである。ゼオライト
はアルミニウム、カルシウムあるいはナトリウムのケイ
酸塩水和物で、たとえばCaO・2Al23・5SiO
2の化学式を持つ。ゼオライトは玄武岩などの塩基性の
火成岩の脈の中に存在するので、ゼオライト粉末を製造
するには、亜炭と同様にまず削岩機によって採掘し、破
砕および粉砕する。
【0042】ゼオライトにはシリカゲルほどの水分膨潤
性はないが、亜炭と同様に脱臭作用を有することに特徴
がある。すなわちゼオライトも亜炭と同様にミクロ孔を
有し、物理的吸着作用を発揮しうるのである。従って亜
炭と混合しても脱臭効果をそれほど低下させることがな
い。一方、亜炭は黒色であるため、これをそのまま人工
肛門装着バッグに封入するのは清潔感に欠けるとの感情
を患者が抱く場合がある。この場合、乳白色のゼオライ
トを亜炭に加えることにより、灰色粉末とすることがで
き、患者の抱く清潔感に欠けるとの感情をやわらげるこ
とができる。
【0043】次に各物質の配合割合について説明する。
亜炭とゼオライトの比率は、亜炭を少なくすれば脱臭効
果が弱くなり、ゼオライトを少なくすれば黒色に近くな
って清潔感に欠けるから、1:1とするのが理想的であ
る。またシリカゲルを添加する場合、シリカゲルを少な
くすれば水分膨潤性による吸水性能が弱くなり、それ以
外の亜炭およびゼオライトの混合物を少なくすれば脱臭
性能が弱くなるから、亜炭およびゼオライトの混合物と
シリカゲルとの比率は、7:3程度が理想的である。さ
らに以上の混合物とポリアクリルアミド系高分子化合物
との比率は、混合物による脱臭性能とポリアクリルアミ
ド系高分子化合物による凝集性能とのバランス上、6:
4程度が理想的である。
【0044】以上を考慮すれば、各物質の配合割合は重
量比で以下のようになる。まずポリアクリルアミド系高
分子化合物のみを添加する場合には、亜炭30%、ゼオ
ライト30%およびポリアクリルアミド系高分子化合物
40%とする。このようにポリアクリルアミド系高分子
化合物に比べて亜炭およびゼオライトの配合割合を多く
することにより、低コストかつ機能的に安定すると同時
に、ゼオライトの脱臭作用により特に脱臭性能に優れた
脱臭吸水剤とすることができる。次にシリカゲルのみを
添加する場合には、亜炭35%、ゼオライト35%およ
びシリカゲル30%とする。より全体を白くして清潔感
を出す場合には、亜炭30%、ゼオライト40%および
シリカゲル30%とする。これにより低コストかつ機能
的に安定すると同時に、シリカゲルの優れた吸水機能に
より特に吸水性能に優れた脱臭吸水剤とすることができ
る。次にゼオライトおよびシリカゲルを同時に添加する
場合には、亜炭21%、ゼオライト21%、シリカゲル
18%およびポリアクリルアミド系高分子化合物40%
とする。このように亜炭およびゼオライトの配合割合を
低くする一方、シリカゲルを加えることで、低コストか
つ機能的に安定すると同時に、脱臭性能および吸水固化
性能のバランスがとれた脱臭吸水剤とすることができ
る。
【0045】次に第2実施形態として、人工肛門に装着
され排出物を収容するバッグであって、予め内部に第1
実施形態の排出物脱臭吸水剤を封入してなることを特徴
とする人工肛門装着バッグについて説明する。まず人工
肛門装着バッグ自体について説明する。図1に人工肛門
装着バッグの説明図を示す。大腸ガンなどの手術のため
大腸を切除された患者は、腹部に人工肛門を形成し、同
時に人工肛門から排泄される排出物を収容する人工肛門
装着バッグを装着する。人工肛門装着バッグ20は、気
密性があり透明な2枚の塩化ビニル等のフィルム22a
および22bの周縁部22cを貼り合わせることによっ
て、袋状に形成されている。図1においてフィルム22
aが人体と当接する内側となり、22bが外側となる。
また、フィルム22aの中央やや上部よりには、患者の
人工肛門の大きさに合わせてその大きさを調整可能な、
円形状の排出物の取り入れ口24を有している。さら
に、その取り入れ口を取り巻くように両面テープ26が
貼り付けられている。そして、人工肛門の位置と排出物
の取り入れ口24の位置を合わせた上で、両面テープ2
6により人工肛門装着バッグ20が患者の腹部に固定さ
れる。加えて腰に回したベルト等に人工肛門装着バッグ
20を連結することにより固定を確実にする場合もあ
る。一方上記両面テープ26により、人工肛門から排泄
される排出物自体の漏れや排出物の臭気の漏れが防止さ
れている。
【0046】人工肛門装着バッグは一般に1日ごとに使
い捨てにされている。患者が1日に排泄する排出物の量
は300〜400mlであり、人工肛門装着バッグの容
量もこれに合わせて450ml程度とされている。この
ような既成の人工肛門装着バッグ内に排出物脱臭吸水剤
を投入する場合、排出物の量と合わせて人工肛門装着バ
ッグ内の容量をこえないようにする必要がある。なぜな
ら、容量をこえるとバッグ内の排出物が人工肛門を塞い
で排泄を不能にするばかりか、バッグ内の排出物や脱臭
吸水剤が体内に逆流するおそれがあるからである。そこ
で1日に使用できる脱臭吸水剤は、80cc程度を限度
とする。
【0047】次に、第1実施形態のように配合した排出
物脱臭吸水剤を、人工肛門装着バッグ内へ封入する方法
について説明する。まず図1のように、最初から1日分
80cc程度の排出物脱臭吸水剤30を人工肛門装着バ
ッグ内に投入しておく方法が考えられる。しかし脱臭吸
水剤30の上から排出物が溜まっていく場合、脱臭吸水
剤30と接触する部分の排出物についてはほぼ自動的に
脱臭固化されるが、それ以外の部分の排出物を脱臭固化
するには、患者自身が人工肛門装着バッグの上から入念
に揉むことにより、脱臭吸水剤30と排出物とを全体的
に混ぜ合わせる作業が必要となる。
【0048】バッグ内の排出物全体を簡単に脱臭固化す
るためには、バッグ内に一定量の排出物が溜まるたび
に、排出物脱臭吸水剤を分割して使用するのが有効であ
る。そこで、排出物脱臭吸水剤の10ccを1単位とし
た場合に、これによって充分に脱臭固化のできる排出物
の限界量について、実験を行った。脱臭吸水剤として
は、重量比で亜炭21%、ゼオライト21%、シリカゲ
ル18%およびポリアクリルアミド系高分子化合物40
%のものを使用した。検体としては犬糞を用いて、水分
率70%(含水比233%)および50%(100%)
の2種類の水溶液を作成して使用した。結果を表1に示
す。
【表1】 なお十分に脱臭ができているかの確認は、実際に臭いを
嗅いで判断している。また固化限界量とは、人工肛門装
着バッグを揉むことにより吸水剤を検体水溶液の全体に
混ざり合わせることができる限界量を示している。その
ため固化した状態はそれぞれの場合で異なっている。こ
の結果、上記のように配合した排出物脱臭吸水剤10c
cにより、約50mlの量の排出物であれば充分に脱臭
固化できることが確認された。
【0049】そこで、人工肛門装着バッグ内に排出物が
50ml溜まる毎に、患者が上記のように配合した排出
物脱臭吸水剤10ccを投入する方法が考えられる。具
体的には、砂糖のスティック状に袋詰めしておいた脱臭
吸水剤の粉末10ccをそのたびに投入する方法、また
は小球状に固めた脱臭吸水剤10ccをそのたびに投入
する方法などが考えられる。脱臭吸水剤はわずかの水分
を添加することによって粘性を示すから、小球状に固め
るのは容易であり、再度揉みほぐすことによって従来の
粉末とほぼ同様に固化作用を発揮させることができる。
しかしこの方法では、スティック状や小球状の脱臭吸水
剤を患者が持ち歩く必要がある。また、人工肛門装着バ
ッグに投入用の窓を形成すればそこから臭気が漏れる可
能性があり、従来の排出物の取り入れ口から投入すれば
投入するたびに人工肛門装着バッグを体から取り外す必
要があるなどの問題点がある。
【0050】そこで、あらかじめ人工肛門装着バッグ内
に、小球状に固めた排出物脱臭吸水剤10ccを封入し
ておく方法が便利である。図2はバッグ内の上部に排出
物脱臭吸水剤を封入した人工肛門装着バッグ40の説明
図である。まず排出物脱臭吸水剤を10ccずつに分割
して小球状に固める。次にその排出物脱臭吸水剤50を
8個程度、人工肛門装着バッグの内部であって上辺から
側辺にかかる部分に封入する。脱臭吸水剤の固定は、人
工肛門装着バッグ内部の上記位置に貼り付けられた両面
テープ56等により行う。一方、人工肛門装着バッグの
フィルムの表面には、バッグ内で50mlの排出物が順
に堆積する位置に、目盛り48aとその位置までの累積
容量48bが浮刻されている。
【0051】このように排出物脱臭吸水剤を封入した場
合、脱臭効果についてはそのままの状態で発揮させるこ
とができる。一方固化作用を発揮させるには、患者はバ
ッグ内に排出物が50ml程度溜まるたびに、人工肛門
装着バッグの上から操作することにより小球状に固めた
脱臭吸水剤50を排出物の中へ投入し、人工肛門装着バ
ッグの上から軽く排出物と揉みあわせることによって排
出物を固化させることができる。その際、排出物の量は
バッグ表面の目盛りによって確認することができる。こ
のような方法によれば人工肛門装着バッグとは別に脱臭
吸水剤を持ち歩く必要がなくなり、また新たな投入口を
設けたり、投入するたびに人工肛門装着バッグを取り外
す必要もなくなる。従って、脱臭固化機能を簡単に得る
ことができる。
【0052】また、人工肛門装着バッグ内に、人工肛門
装着バッグ内の排出物収容部分に対して開口部を有する
脱臭吸水剤収納容器を設け、その脱臭吸水剤収納容器に
排出物脱臭吸水剤を封入しておく方法が考えられる。図
3はバッグ内の上部に脱臭吸水剤収納容器を設けた人工
肛門装着バッグ60の説明図である。図3の脱臭吸水剤
収納容器72は塩化ビニル等の透明なフィルムにより歯
磨き粉のチューブ形状に形成され、排出物を収納するバ
ッグの下部に対して開口部74を有している。脱臭吸水
剤収納容器の内部にはペースト状に加工された排出物脱
臭吸水剤70が収納されている。また脱臭吸水剤収納容
器のフィルムの表面には、その内部に収納されている脱
臭吸水剤の容量10ccごとに、目盛り78が浮刻され
ている。収納容器は両面テープ76等でバッグの内面に
固定されている。図3の場合、以上のような脱臭吸水剤
収納容器72がバッグ内の上部両隅に2個設けられ、そ
れぞれに40ccずつ脱臭吸水剤が収納されている。一
方、人工肛門装着バッグのフィルムの表面には、バッグ
内で50mlの排出物が順に堆積する位置に、目盛り6
8aとその位置までの累積容量68bが浮刻されてい
る。なお、図3には脱臭吸水剤収納容器を2個設けた場
合を示したが、1日に使用する排出物脱臭吸水剤をすべ
て収納した1個の収納容器としてもよいし、1回に使用
する排出物脱臭吸水剤10ccのみを収納する収納容器
を複数個設けてもよい。また図3では脱臭吸水剤収納容
器を人工肛門装着バッグ内に設けているが、収納容器を
バッグの外部に設け、収納容器の開口部によってバッグ
内と連通させてもよい。
【0053】このように排出物脱臭吸水剤を封入した場
合、脱臭作用および固化作用を発揮させるには、排出物
が収容されたバッグ内に対して、収納容器からその開口
部を通して脱臭吸水剤を投入する作業を行う。10cc
の脱臭吸水剤で脱臭固化することができる排出物の限界
量は上記のように50mlであることから、患者はバッ
グ内に排出物が50ml収納されるたびに、脱臭吸水剤
を10ccずつ投入する。その際、排出物の量はバッグ
表面の目盛りによって確認することができ、脱臭吸水剤
の量は収納容器表面の目盛りによって確認することがで
きる。脱臭吸水剤の投入は、バッグ内部の収納容器を患
者がバッグ外部から指で押しつぶすようにして、収納容
器内の脱臭吸水剤をその開口部からバッグ内に絞り出す
ことにより行う。さらにバッグ外部から投入された脱臭
吸水剤と排出物とを軽く揉みあわせることにより、排出
物を固化することができる。このような方法によれば、
図2の方法による効果に加えて、脱臭吸水剤の投入作業
が極めて簡単になる。従って脱臭および固化機能をより
簡単に得ることができる。また脱臭吸水剤収納容器は大
量生産が可能であり、バッグ内への固定も簡単であるこ
とから、低コストで製造することができる。さらに未使
用の脱臭吸水剤は収納容器内に収納されているから、人
体内部に逆流することがなく安全である。
【0054】一方、図4は排出物が溜まる位置にあわせ
て排出物脱臭吸水剤を封入した人工肛門装着バッグ80
の説明図である。まず図2の方法と同様に排出物脱臭吸
水剤を10ccずつに分割して小球状に固める。10c
cの排出物脱臭吸水剤90で脱臭固化することができる
排出物の限界量は上記のように50mlであることか
ら、バッグ内で50mlの排出物が順に堆積する位置を
決定する。そして人工肛門装着バッグのフィルムの表面
には、上記位置に対応した50mlごとの目盛り88a
とその位置までの累積容量88bを浮刻している。次
に、分割して小球状に固めた排出物脱臭吸水剤90を1
個ずつ、各目盛り88aに下から接するようにして人工
肛門装着バッグ内の側辺部に配置する。人工肛門装着バ
ッグ内の排出物が均等に固化されるように、脱臭吸水剤
90は両側辺部に千鳥状に配置している。ただし最初の
排出物50mlに対応する脱臭吸水剤92は、側辺部に
配置するスペースがないことから、中央部付近に配置し
ている。脱臭吸水剤90の固定は、人工肛門装着バッグ
内部の上記位置に貼り付けられた両面テープ96等によ
り行う。
【0055】このように排出物脱臭吸水剤を封入した場
合、脱臭効果についてはそのままの状態で発揮させるこ
とができる。一方固化作用については、人工肛門装着バ
ッグの上から吸水剤と排出物とを軽く揉みあわせること
によって排出物を固化させることができる。このような
方法によれば、図2の方法による効果に加えて、患者が
定期的に脱臭吸水剤を投入する作業を必要とすることな
く装着バッグ内の排出物全体の脱臭固化ができる。従っ
て脱臭固化機能を、図3の方法よりもさらに簡単に得る
ことができる。
【0056】次に第3実施形態として、第1実施形態の
脱臭吸水剤をふりかけてオムツに付着した排出物の脱臭
および水分の吸収を行う方法について説明する。赤ん坊
や老人介護の現場では、オムツの取り替え時および取り
外したオムツの保管時に、排出物の臭気および液状排出
物がオムツから漏れることが問題となっている。特に取
り外したオムツを老人のベッドの下に一時保管せざるを
えない場合に、排出物の臭気により老人は過酷な生活環
境に置かれることになる。そこで第1実施形態の排出物
脱臭吸水剤を、オムツを取り外した直後に排出物の上か
らふりかけることによって、排出物の脱臭ができると同
時に排出物の水分を吸収することができる。特に第1実
施形態の排出物脱臭吸水剤を使用することにより、毎日
何回も取り替えるオムツに付着した排出物に対して低コ
ストで、しかも機能的に安定して排出物の脱臭固化がで
きることになる。
【0057】次に第4実施形態として、第1実施形態の
排出物脱臭吸水剤をふりかけて吐瀉物の脱臭および水分
の吸収を行う方法について説明する。駅構内や路上にお
う吐された吐瀉物の臭気は通行人にとって大変迷惑であ
り、また液状の吐瀉物を処理する際に清掃器具に吐瀉物
が付着するなどして処理が困難である。そこで第1実施
形態の排出物脱臭吸水剤を、吐瀉物の上からふりかける
ことによって、吐瀉物の脱臭ができると同時に水分の吸
収ができる。吐瀉物の水分を吸収すれば清掃器具に吐瀉
物が付着することなく処理ができる。特に第1実施形態
の排出物脱臭吸水剤を使用することにより、低コスト
で、しかも機能的に安定して吐瀉物の脱臭および水分の
吸収ができることになる。なかでも、ポリアクリルアミ
ドを添加しないでシリカゲルのみを添加した場合には、
排出物を固化せず砂状にすることができ、簡単に処理す
ることができる。
【0058】また上記実施形態以外にも、あらゆる排出
物に対して第1実施形態の排出物脱臭吸水剤をふりかけ
ることにより、これらを脱臭し水分を吸収することがで
きる。例えば人間以外のペットの排出物、畜糞および厨
房よりでる生ゴミに対して、第1実施形態の排出物脱臭
吸水剤を使用することにより、脱臭および水分を吸収す
ることができる。
【0059】以上述べたように、本発明に係る人工肛門
装着バッグは、人工肛門に装着され排出物を収容するバ
ッグであって、予め内部に亜炭を主成分とする排出物脱
臭吸水剤を封入してなる構成としたので、低コストで、
機能的に安定して、しかも安全に排出物の脱臭固化がで
きる人工肛門装着バッグを提供することができる。
【0060】一方本発明に係る排出物脱臭吸水剤は、亜
炭およびゼオライトを主成分とし、これにポリアクリル
アミド系高分子化合物を添加して、これらを粉末形成し
てなる構成としたので、低コストかつ機能的に安定する
と同時に、ゼオライトの脱臭作用により特に脱臭性能に
優れた排出物脱臭吸水剤が提供できる。
【0061】また、亜炭およびゼオライトを主成分と
し、これにおよびシリカゲルを添加して、これらを粉末
形成してなる構成としたので、低コストかつ機能的に安
定すると同時に、ゼオライトの吸水作用により特に吸水
性能に優れた排出物脱臭吸水剤が提供できる。
【0062】さらに、亜炭およびゼオライトを主成分と
し、これにポリアクリルアミド系高分子化合物およびシ
リカゲルを添加して、これらを粉末形成してなる構成と
したので、低コストかつ機能的に安定すると同時に、シ
リカゲルの優れた吸水性能により脱臭性能および吸水固
化性能のバランスがとれた排出物脱臭吸水剤が提供でき
る。
【0063】加えて、前記ポリアクリルアミド系高分子
化合物の配合割合を40重量部とし、前記亜炭と前記ゼ
オライトの配合比を1:1とする構成としたので、脱臭
性能、清潔感および凝集固化性能のバランスがとれた排
出物脱臭吸水剤が提供できる。
【0064】本発明に係る人工肛門装着バッグは、人工
肛門に装着され排出物を収容するバッグであって、予め
内部に請求項2ないし5のいずれか1つに記載の排出物
脱臭吸水剤を封入してなる構成としたので、低コスト
で、機能的に安定して、しかも安全に排出物の脱臭固化
ができる人工肛門装着バッグを提供することができる。
【0065】また、前記人工肛門装着バッグは、人工肛
門装着バッグの排出物収容部分に対して開口部を有する
脱臭吸水剤収納容器を有し、前記脱臭吸水剤収納容器に
前記排出物脱臭吸水剤を封入してなる構成としたので、
脱臭固化機能を簡単に得ることができる。また低コスト
化できなおかつ安全である。
【0066】また、前記人工肛門装着バッグは、排出物
脱臭吸水剤を分割し、前記分割された各排出物脱臭吸水
剤によって脱臭固化することができる排出物の限界量を
決定し、人工肛門装着バッグ内において前記排出物の各
限界量が順に堆積する位置を決定し、前記各位置に前記
分割した各排出物脱臭吸水剤を配置した構成としたの
で、脱臭固化機能をさらに簡単に得ることができる。
【0067】
【発明の効果】本発明に係る人工肛門装着バッグは、人
工肛門に装着され排出物を収容するバッグであって、予
め内部に亜炭を主成分とする排出物脱臭吸水剤を封入し
てなる構成としたので、低コストで、機能的に安定し
て、しかも安全に排出物の脱臭固化ができる人工肛門装
着バッグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】人工肛門装着バッグの説明図である。
【図2】バッグ内の上部に排出物脱臭吸水剤を封入した
人工肛門装着バッグの説明図である。
【図3】バッグ内の上部に脱臭吸水剤収納容器を設けた
人工肛門装着バッグの説明図である。
【図4】排出物が溜まる位置にあわせて排出物脱臭吸水
剤を封入した人工肛門装着バッグの説明図である。
【符号の説明】
20………人工肛門装着バッグ、22a,22b………
フィルム、22c………周縁部、24………排出物の取
り入れ口、26………両面テープ、30………排出物脱
臭吸水剤、40………人工肛門装着バッグ、48a……
…目盛り、48b………累積容量、50………排出物脱
臭吸水剤、56………両面テープ、60………人工肛門
装着バッグ、68a………目盛り、68b………累積容
量、70………排出物脱臭吸水剤、72………脱臭吸水
剤収納容器、74………開口部、76………両面テー
プ、78………目盛り、80………人工肛門装着バッ
グ、88a………目盛り、88b………累積容量、9
0、92………排出物脱臭吸水剤、96………両面テー

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人工肛門に装着され排出物を収容するバ
    ッグであって、予め内部に亜炭を主成分とする排出物脱
    臭吸水剤を封入してなることを特徴とする人工肛門装着
    バッグ。
  2. 【請求項2】 亜炭およびゼオライトを主成分とし、こ
    れにポリアクリルアミド系高分子化合物を添加して、こ
    れらを粉末形成してなることを特徴とする排出物脱臭吸
    水剤。
  3. 【請求項3】 亜炭およびゼオライトを主成分とし、こ
    れにシリカゲルを添加して、これらを粉末形成してなる
    ことを特徴とする排出物脱臭吸水剤。
  4. 【請求項4】 亜炭およびゼオライトを主成分とし、こ
    れにポリアクリルアミド系高分子化合物およびシリカゲ
    ルを添加して、これらを粉末形成してなることを特徴と
    する排出物脱臭吸水剤。
  5. 【請求項5】 前記ポリアクリルアミド系高分子化合物
    の配合割合を40重量部とし、前記亜炭と前記ゼオライ
    トの配合比を1:1とすることを特徴とする請求項2ま
    たは4に記載の排出物脱臭吸水剤。
  6. 【請求項6】 人工肛門に装着され排出物を収容するバ
    ッグであって、予め内部に請求項2ないし5のいずれか
    1つに記載の排出物脱臭吸水剤を封入してなることを特
    徴とする人工肛門装着バッグ。
  7. 【請求項7】 請求項1または6に記載の前記人工肛門
    装着バッグは更に、前記人工肛門装着バッグの排出物収
    容部分に対して開口部を有する脱臭吸水剤収納容器を有
    し、前記脱臭吸水剤収納容器に前記排出物脱臭吸水剤を
    封入してなることを特徴とする人工肛門装着バッグ。
  8. 【請求項8】 請求項1または6に記載の前記人工肛門
    装着バッグは更に、前記排出物脱臭吸水剤を分割し、前
    記分割された各排出物脱臭吸水剤によって脱臭固化する
    ことができる排出物の限界量を決定し、前記人工肛門装
    着バッグ内において前記排出物の各限界量が順に堆積す
    る位置を決定し、前記各位置に前記分割した各排出物脱
    臭吸水剤を配置したことを特徴とする人工肛門装着バッ
    グ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017225831A (ja) * 2011-03-17 2017-12-28 コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッドConvatec Technologies Inc 高バリアエラストマーの糞便カテーテルまたはオストミーパウチ
KR102653553B1 (ko) * 2022-12-21 2024-04-02 유호영 인체용 대변 수집기

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JP2017225831A (ja) * 2011-03-17 2017-12-28 コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッドConvatec Technologies Inc 高バリアエラストマーの糞便カテーテルまたはオストミーパウチ
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