JP2001273626A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2001273626A
JP2001273626A JP2000091538A JP2000091538A JP2001273626A JP 2001273626 A JP2001273626 A JP 2001273626A JP 2000091538 A JP2000091538 A JP 2000091538A JP 2000091538 A JP2000091538 A JP 2000091538A JP 2001273626 A JP2001273626 A JP 2001273626A
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Taiji Shinokawa
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行系でテープエッジダメージおよびエンベ
ロープ不良が発生しない、実用信頼性の高い磁気記録媒
体を提供する。 【解決手段】 非磁性基板(1)の一方の面に磁性層
(2)を、他方の面にバックコート層(5)を、磁性層
(2)のヤング率および厚さをそれぞれEmおよびt
m、バックコート層(5)のヤング率および厚さをそれ
ぞれEmおよびtmとし、磁性層(2)のスティフネス
SmをSm=Em×tm3、バックコート層(5)のス
ティフネスSbをSb=Eb×tb3としたときに、S
b/Smが2以上となるように形成し、必要に応じて保
護層(3)および潤滑剤層(4)を設けて磁気記録媒体
(10)を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性基板の一方
の面に磁性層(即ち、記録層)を、他方の面にバックコ
ート層を有する磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録分野においては、より多
くの情報を記録し得る、より小型の磁気記録媒体が要求
されている。
【0003】この要求を満たす1つの方法として、強磁
性金属が蒸着されて成る金属薄膜で磁性層を構成し、磁
性層そのものを高密度記録に適したものにする方法があ
る。そのような磁気記録媒体は一般に金属薄膜型磁気記
録媒体または高密度磁気記録媒体と称されている。
【0004】また、前記要求を満たす別法として、磁気
記録媒体をより薄くし、所定寸法のパッケージにより多
くの磁気記録媒体が収納されるようにする方法がある。
この方法によれば、省資源および低コストといった効果
ももたらされる。
【0005】磁気記録媒体を薄くする最も効果的な方法
は、磁気記録媒体の厚さの多くを占める非磁性基板の厚
さを薄くすることである。しかし、非磁性基板の厚さを
小さくすると、磁気記録媒体のスティフネス(剛性)が
小さくなり、実用上問題が生じる場合がある。そこで、
非磁性基板の磁性層が形成されている面とは反対側の面
に、補強層(バックコート層とも称される)を形成して
剛性を確保することが予てより提案されている。最近で
は、特開平11−283234号公報や特開平11−7
3643号公報等において特定の材料を使用して補強層
を形成することが提案されている。
【0006】補強層を設けた磁気記録媒体を図面を参照
して説明する。図1に示す磁気記録媒体は磁気テープ
(110)である。磁気テープ(110)において、非磁性基
板(11)は一般に、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリアミド(以下、順にPE
T、PEN、PAと略する場合がある)等のポリマーか
ら成り、一方の面に磁性層(12)として磁性金属から成
る薄膜を有し、他方の面に例えば金属薄膜である補強層
(15)を有して成る。一般に、磁性層(12)の上にはカ
ーボン膜である保護層(13)、および潤滑剤層(14)が
形成される。磁性層(12)および補強層(15)はともに
金属から成る薄膜であるため、そのヤング率は一般に大
きい。そして、ヤング率の高い2つの層が非磁性基板
(11)を挟むサンドイッチ構造によって、磁気テープ全
体のスティフネス(剛性)を高くしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のテ
ープ状の磁気記録媒体においては、磁気記録媒体全体の
スティフネスを高めるために補強層が設けられ、それに
より磁気記録媒体の耐久性の向上が図られている。しか
し、従来の磁気記録媒体は、補強層によってスティフネ
スが向上されたものであるにも拘わらず、依然として次
のような問題を有している。
【0008】第1に、繰り返し走行させたときに、テー
プエッジダメージが生じやすいという問題がある。テー
プエッジダメージとは、テープの幅方向の縁部(エッ
ジ)でテープ折れが発生すること、あるいはテープエッ
ジがワカメ状に変形することをいう。テープエッジダメ
ージは、再生信号の不安定化を招く。
【0009】第2に、エンベロープ不良が発生するとい
う問題がある。エンベロープ不良は、テープ状の磁気記
録媒体と磁気ヘッドとの接触状態が不良であることに起
因して生じる。エンベロープ不良は、再生信号の品質低
下をもたらす。
【0010】このように、従来の磁気記録媒体は、その
全体のスティフネスを向上させてもなお、実用上、無視
し得ない問題を引き起こすものである。本発明はかかる
実情に鑑みてなされたものであり、非磁性基板の一方の
面に磁性層を、他方の面にバックコート層を有して成る
磁気記録媒体であって、全体として適当なスティフネス
を有し、かつテープエッジダメージおよびエンベロープ
不良の発生が有効に抑制された、実用信頼性の高い高密
度磁気記録媒体、特に磁気テープを提供することを課題
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため検討した結果、磁気記録媒体のスティフ
ネス設計において、磁性層のスティフネスとバックコー
ト層のスティフネスのバランスをとることが重要である
ことを見出し、さらに両者のスティフネスが特定の関係
を満たす場合において、磁気記録媒体のテープエッジダ
メージの発生およびエンベロープ不良が有効に抑制され
得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】即ち、上記課題を解決するため、本発明
は、非磁性基板の一方の面に磁性層を有し、他方の面に
バックコート層を有して成る磁気記録媒体であって、磁
性層のヤング率および厚さをそれぞれEmおよびtm、
バックコート層のヤング率および厚さをそれぞれEbお
よびtbとし、磁性層のスティフネスSmをSm=Em
×tm3、バックコート層のスティフネスSbをSb=
Eb×tb3としたときに、Sb/Smが2以上である
磁気記録媒体を提供する。
【0013】磁性層のスティフネスSmとバックコート
層のスティフネスSbとが上記の関係を満たすことによ
り、本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板を挟む磁性層
およびバックコート層のスティフネスのバランスが良好
なものとなる。それにより、本発明の磁気記録媒体は、
走行系でのテープエッジダメージおよびエンベロープ不
良が極めて抑制され、場合によってはそれらが発生しな
いものとなる。
【0014】なお、本明細書において、磁気記録媒体の
構成に関して、磁気記録媒体を構成する各層の「表面」
または「上」というときは、いずれも、各層が形成され
たときに露出している面、即ち、各層の非磁性基板から
遠い側の面を意味するものとして使用する。また、磁気
記録媒体の「磁性層側表面」とは、磁気記録媒体の磁性
層が形成された側の露出表面をいい、図1に示すように
磁性層の上に保護層および潤滑剤層が形成されている場
合には、潤滑剤層の露出表面が「磁性層側表面」に相当
する。磁気記録媒体の「バックコート層側表面」とは、
磁気記録媒体のバックコート層が形成された側の露出表
面をいい、後述するように、バックコート層が第1バッ
クコート層と第1バックコート層の上に形成された第2
バックコート層の2層から成る場合には、第2バックコ
ート層の露出表面が「バックコート層側表面」に相当す
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な形態を説
明する。
【0016】本発明の磁気記録媒体は、磁性層のスティ
フネスSmに対するバックコート層のスティフネスSb
の比Sb/Smが2以上であることを特徴とする。かか
る特徴により、テープ走行系で発生する磁気記録媒体の
テープエッジダメージおよびエンベロープ不良が有効に
抑制される。
【0017】磁性層のスティフネスSmは、磁性層のヤ
ング率をEm、厚さをtmとしたときに、ヤング率に厚
さの3乗を乗じることにより、即ちSm=Em×tm3
で表すことができる。同様に、バックコート層のスティ
フネスSbは、バックコート層のヤング率Eb、厚さを
tbとしたときに、Sb=Eb×tb3で表すことがで
きる。なお、ヤング率および厚さはいずれの単位で表し
てもよいが、SbとSmとが同一の尺度で示されるよ
う、EmとEbならびにtmとtbは同じ単位で示す必
要がある。本明細書において、磁気記録媒体および磁気
記録媒体を構成する層のヤング率および厚さはそれぞれ
Pa(パスカル)およびμmで表され、したがって、それ
らのスティフネスはN・μmで示される。
【0018】Sb/Smが小さいと、走行系でテープエ
ッジダメージおよびエンベロープ不良が発生しやすくな
る。Sb/Smは2以上であることが好ましく、10以
上であることがより好ましい。Sb/Smが大きいほ
ど、テープエッジダメージおよびエンベロープ不良の発
生は有効に抑制され得るが、バックコート層のスティフ
ネスが磁性層のそれよりも大きくなりすぎると、磁気記
録媒体が例えば落下等して、磁気記録媒体に衝撃が加え
られた場合に、磁気テープカートリッジのリッド部付近
に位置する磁気テープの磁性層にクラックが生じやすく
なる。したがって、Sb/Smは100未満であること
が好ましい。
【0019】磁気記録媒体に形成された磁性層およびバ
ックコート層は、磁気記録媒体が磁気テープである場合
には、長手方向および幅方向で実質的に同じヤング率を
有する。したがって、例えば、磁性層の長手方向のヤン
グ率から求めたSmとバックコート層の幅方向のヤング
率から求めたSbよりSb/Smを算出してもよい。勿
論、磁性層およびバックコート層の両方について長手方
向のヤング率を求め、それらからSm、Sb、およびS
b/Smを求めてもよい。
【0020】磁性層のヤング率Emは、磁性層を有する
磁気記録媒体および磁性層を有しない磁気記録媒体(即
ち、前記磁性層を有する磁気記録媒体から磁性層だけを
取り除いたもの)のヤング率をそれぞれ測定することに
よって求められる。磁性層を有する磁気記録媒体のヤン
グ率および厚さをExおよびtx、磁性層を有しない磁
気記録媒体のヤング率および厚さをEyおよびtyとす
れば、Ex、EyおよびEmならびにtx、tyおよび
tmは次の関係: Ex=Ey・[ty/tx]+Em・[tm/tx] を満たす。したがって、ExおよびEyならびにtx、
tyおよびtmを測定により求めれば、上式よりEmを
算出することができる。同様に、バックコート層を有す
る磁気記録媒体のヤング率および厚さ、ならびにバック
コート層を有しない磁気記録媒体(即ち、前記バックコ
ート層を有する磁気記録媒体からバックコート層だけを
取り除いたもの)のヤング率および厚さを測定すれば、
バックコート層のヤング率を求めることができる。
【0021】上述のとおり、磁性層およびバックコート
層のヤング率は長手方向および幅方向で実質的に同じで
あるが、基板(特にポリマー材料から成る基板)の長手
方向のヤング率と幅方向のヤング率は異なる。そこで、
上述のようにして磁性層のヤング率を測定するときは、
磁性層を有する磁気記録媒体と磁性層を有しない磁気記
録媒体のヤング率は、同一方向で測定する必要がある。
方向を変えて測定すると、基板のヤング率が変化するた
めに、磁性層のヤング率を正しく求めることができなく
なる。バックコート層のヤング率を測定する場合も同様
である。
【0022】例えば、長手方向のヤング率は、試料を長
手方向に所定の標線間距離(引張長さ)で引っ張ったと
きに試料の断面に作用する荷重(応力)および試料の伸
び、ならびに試料の幅方向の断面積から算出することが
できる。具体的には、式E=(W・L)/(A・△l)
(式中、Eはヤング率(Pa)、Wは弾性限内の荷重
(N)、Lは引張試験前の標線間距離(m)、Aは試料
の引張試験前の断面積(m 2)、△lは荷重Wにおける
標線間伸び(m)を示す)に基づいて算出できる。
【0023】磁性層を有しない磁気記録媒体は、磁気記
録媒体の磁性層を酸または有機溶媒を用いてエッチング
することにより得られる。そして、エッチング前後の磁
気記録媒体のヤング率および厚さを測定すれば磁性層の
ヤング率を求めることができる。あるいは、磁気記録媒
体の製造過程において、磁性層を形成する前の非磁性基
板のヤング率および厚さと、磁性層を形成した後の磁性
層を含む非磁性基板のヤング率および厚さを測定するこ
とによっても、磁性層のヤング率を求めることが可能で
ある。バックコート層のヤング率Ebも同様に、バック
コート層をエッチングしてエッチング前後の磁気記録媒
体のヤング率および厚さを測定することにより、あるい
はバックコート層を形成する前後の非磁性基板のヤング
率および厚さを測定することによって求めることができ
る。
【0024】試料に作用する荷重と試料の伸びは、引張
試験装置(例えばオリエンテック社製のRTM−25)
を用い、引張長さ(標線間距離)を200mm、引張速度
を10mm/分に設定した引張試験を実施して測定する。
また、試料の幅方向の断面積は、試料の幅と厚さから求
めることができる。例えば磁気テープのような薄い試料
の厚さは、試料を10枚重ねた状態にてマイクロメータ
を用いて測定することにより求めることができる。
【0025】磁性層の厚さtmは、磁性層を有する磁気
記録媒体の厚さと磁性層を有しない磁気記録媒体の厚さ
の差から求めることができる。同様の方法により、バッ
クコート層の厚さtbを求めることができる。
【0026】本発明の磁気記録媒体は、金属薄膜型磁気
記録媒体に好ましく適用できる。金属薄膜型磁気記録媒
体を構成する磁性層は強磁性金属薄膜であることが好ま
しい。磁性層に適した強磁性金属としては、Fe系金
属、Co系金属、およびNi系金属がある。本発明にお
いてはCo系金属またはNi系金属で磁性層を形成する
ことが特に好ましい。ここで、「Co系金属」とは、コ
バルト、およびコバルトを主成分として好ましくは50
原子%以上含む合金をいう。「Fe系金属」および「N
i系金属」も同様である。
【0027】磁性層は、具体的には、Fe、Coおよび
Ni、ならびにFe−Co、Co−Ni、Fe−Co−
Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−P
t、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co
−Cr、Co−Ni−Cr、Co−Pt−CrおよびF
e−Co−Ni−Cr等の合金から選択される1つまた
は複数の材料で形成される。磁性層は単層膜の形態であ
ってもよく、あるいは多層膜の形態であってもよい。ま
た、磁性層は記録に関与しない下地層を有していてよ
い。金属薄膜型磁気記録媒体において、磁性層の厚さは
通常30〜200nmである。
【0028】磁性層の一般的な形成方法としては、酸素
雰囲気下で、CoもしくはCo−Ni合金等の強磁性金
属に所定範囲の入射角で電子ビームを照射して金属を蒸
発させ、これを、キャン状回転体等の冷却回転支持体に
沿って移動する非磁性基板上に蒸着させる方法がある。
それ以外の方法としては、例えば、抵抗加熱法もしくは
外熱るつぼ法等で加熱して実施する蒸着、イオンプレー
ティングもしくはスパッタリングがある。
【0029】本発明では、磁性層の形成(または成膜)
速度の観点から、非磁性基板に、強磁性金属を斜方から
蒸着させる斜方蒸着法によって、磁性層を形成すること
が好ましい。この場合、非磁性基板の冷却回転支持体
は、キャン状回転体またはベルト状支持体であってよい
が、生産効率の点からは、蒸着領域の広いベルト状支持
体を用いることが望ましい。また、成膜時の導入酸素流
量を制御することにより、金属薄膜型磁性層を金属と金
属酸化物の混合体とし、磁性層のヤング率Emを制御す
ることができる。
【0030】バックコート層は、第1バックコート層お
よび第1バックコート層の上に形成された第2バックコ
ート層から構成された2層構造であってよい。その場
合、第2バックコート層の露出表面が磁気記録媒体のバ
ックコート層側表面となる。
【0031】バックコート層が2層から成る場合、第1
バックコート層のヤング率Eb1は第2バックコート層
のヤング率Eb2よりも大きいことが好ましい。そのよ
うな構成において、第1バックコート層はバックコート
層のスティフネスを向上させる役割を果たし、第2バッ
クコート層はバックコート層側表面の走行性を確保する
役割を果す。
【0032】第1バックコート層および第2バックコー
ト層は、Eb1/Eb2が1.5以上となるように構成
することが好ましい。Eb1/Eb2が1.5未満で
は、第1バックコート層によってバックコート層全体の
スティフネスを十分に向上させることができない。例え
ば、第2バックコート層を後述するように湿式塗布法に
より形成すると、第2バックコート層のEb2は10G
Pa以下となるため、その場合、第1バックコート層のE
b1は15GPa以上であることが好ましい。
【0033】第1バックコート層の厚さtb1と第2バ
ックコート層の厚さtb2は、tb1/tb2が0.1
〜1.5となるように選択することが好ましい。0.1
未満では、第1バックコート層がバックコート層全体の
スティフネスを十分に向上させることができない。ま
た、第2バックコート層を後述するように湿式塗布法に
より形成する場合には、その厚さを薄くするのには限界
があるため、tb1/tb2が1.5を越えるとバック
コート層全体が厚くなり、それに伴って磁気記録媒体全
体の厚さも大きくなるため好ましくない。具体的には、
第1バックコート層の厚さtb1は0.05〜0.4μ
m、第2バックコート層の厚さtb2は0.2〜0.6
μmであることが好ましい。
【0034】第1バックコート層および第2バックコー
ト層のヤング率Eb1およびEb2、ならびに厚さtb
1およびtb2は、それぞれ、先に述べた磁性層のEm
およびtmと同様の方法で求めることができる。即ち、
第1バックコート層を有する磁気記録媒体のヤング率お
よび厚さ、ならびに第1バックコート層を有しない磁気
記録媒体のヤング率および厚さから、第1バックコート
層のヤング率Eb1を求めることができる。また、第2
バックコート層を有する磁気記録媒体のヤング率および
厚さ、ならびに第2バックコート層を有しない磁気記録
媒体のヤング率および厚さから、第2バックコート層の
ヤング率Eb2を求めることができる。ただし、第1バ
ックコート層は第2バックコート層の下にあるため、第
1バックコート層のヤング率を求める場合には、第2バ
ックコート層を取り除いたものを「第1バックコート層
を有する磁気記録媒体」としてそのヤング率を求め、第
1バックコート層を更に取り除いたものを「第1バック
コート層を有しない磁気記録媒体」としてそのヤング率
を求める必要がある。
【0035】第1および第2バックコート層を合わせた
バックコート層全体のヤング率は、両者を一体的にエッ
チング等により除去し、エッチング前後の磁気記録媒体
のヤング率および厚さから計算により求めることができ
る。あるいは、Eb1およびEb2、ならびにtb1お
よびtb2をそれぞれ求め、tb1およびtb2がバッ
クコート層の全厚tbに占める割合を重みとして、Eb
1およびEb2の重み付き平均値を算出し、これをバッ
クコート層全体のヤング率Ebとしてもよい。
【0036】第1バックコート層は、具体的には金属薄
膜であることが好ましい。金属薄膜は、磁性層の磁性に
悪影響を及ばさないよう、非磁性体の金属から成るもの
であることが好ましい。金属薄膜は、例えば、Ti、C
r、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、Sn、Ni、A
g、PbおよびCoならびにこれらの合金等から成るグ
ループから選択される1つまたは複数の金属材料を用い
て形成することができる。なお、Fe、NiおよびCo
は磁性体であるから、これらを使用する場合には、酸化
して非磁性体にした状態でバックコート層中に存在させ
ることが好ましい。金属薄膜は、単層膜の形態であって
もよく、あるいは多層膜の形態であってもよい。
【0037】コスト、付着速度、および金属薄膜を形成
する金属が酸化された場合の酸化後の安定性を考慮すれ
ば、金属薄膜は、Cu、Al、あるいはCuまたはAl
を主成分として好ましくは50原子%以上含むCu系合
金またはAl系合金を用いて形成することが最も好まし
い。特にAlまたはAl系合金は、低融点であることか
ら、蒸着で第1バックコート層を形成する場合には、基
板等に与えるダメージが小さくてすむという理由によっ
ても好都合である。また、Al系合金およびその他の合
金には、耐食性および機械的強度を向上させるために添
加する添加物として、Cu、Mn、Fe、Si、Mgま
たはZn等、一般的に使用されているものを任意に添加
できる。
【0038】金属薄膜は、スパッタ法、真空蒸着法、ま
たはイオンプレーティング法等によって、非磁性基板の
磁性層が位置する面とは反対側の面(以下バック面とも
呼ぶ)に形成される。いずれの方法を用いる場合も、金
属薄膜は酸素雰囲気中で形成し、酸化金属を含むように
形成することが好ましい。酸化金属を含む金属薄膜は優
れた耐食性を有する。
【0039】金属薄膜は、非磁性基板に磁性層が形成さ
れた後に形成してもよい。その場合、輻射熱を小さく
し、磁性層を含む非磁性基板の熱負荷を抑えるために、
金属薄膜を形成する金属の融点は低いものであることが
望ましく、具体的には、先に例示したAlまたはAl系
合金の使用が好ましい。
【0040】バックコート層側表面の走行性を安定させ
るために形成する第2バックコート層は、具体的には、
カーボン粒子、バリウムフェライト、およびそれらのバ
インダーとしてのポリウレタン樹脂を含む膜であること
が好ましい。カーボン粒子は第2バックコート層に強度
を付与し、バリウムフェライトは第2バックコート層の
ヤング率を調節し、ポリウレタン樹脂はカーボン粒子お
よびバリウムフェライトを結合するバインダーとしての
役割を果す。なお、カーボン粒子に代えて、あるいはカ
ーボン粒子とともに、金属粒子、金属酸化物粒子および
金属窒化物粒子から選択される1または複数種の粒子を
用いてよい。また、ポリウレタン樹脂に代えて、あるい
はポリウレタン樹脂とともに、ニトロセルロース樹脂を
用いてよい。
【0041】この膜は、カーボン粒子、バリウムフェラ
イトおよびポリウレタン樹脂を、適当な溶媒(例えば、
トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒)に溶解およ
び/または分散させた塗布液を、第1バックコート層の
上に塗布した後、乾燥して溶媒を蒸発させる湿式塗布法
により形成できる。このようにして第2バックコート層
を形成する場合、その厚さは200〜600nm(0.2
〜0.6μm)とすることが好ましい。
【0042】第2バックコート層は、上記以外の材料に
よっても形成でき、例えば、カーボングラック/アルミ
ナ/ポリウレタン、カーボンブラック/炭酸カルシウム
およびα−Fe23/ポリウレタン、カーボンブラック
/炭酸カルシウム/ポリウレタンおよびニトロセルロー
スの組合せによっても、第2バックコート層を形成でき
る。
【0043】単層または複数層のいずれの形態をとる場
合でも、バックコート層全体のヤング率Ebは5GPa以
上であることが好ましい。バックコート層のヤング率が
5GPa以下であると、磁性層のスティフネスSmとバッ
クコート層のスティフネスSbがSb/Sm≧2なる条
件を満たしていても、薄手の磁気記録媒体のヤング率を
十分な大きさにすることが困難となる。なお、複数層か
ら成るバックコート層全体のヤング率は、先に述べたよ
うに、複数層から成るバックコート層を一体のものとし
て測定する方法、あるいは各層のヤング率と各層の厚さ
から重み付き平均値を算出する方法によって求められ
る。
【0044】本発明の磁気記録媒体は、好ましくは、そ
の全厚が6μm以下であり、その全体の長手方向のヤン
グ率が7GPa以上である。磁気記録媒体の全厚が6μm
を超える磁気記録媒体は、記録容量を有効に増加させる
ほど薄型化されたものであるとはいえない。また、磁気
記録媒体全体の長手方向のヤング率が7GPa以下である
と、磁気記録媒体と再生ヘッドとの接触が不良となり電
磁変換特性が低下する場合がある。
【0045】本発明の磁気記録媒体においては、バック
コート層および磁性層以外の構成は特に限定されない。
よって、非磁性基板、ならびに必要に応じて形成される
保護層および潤滑剤層は常套の材料および方法で構成す
ることができる。以下、本発明の磁気記録媒体を図面を
参照して説明する。
【0046】図2は、本発明の磁気記録媒体の一例の断
面を模式的に示したものである。図2に示す磁気記録媒
体(10)は、非磁性基板(1)の上に、磁性層(2)、
保護層(3)および潤滑剤層(4)がこの順に積層さ
れ、非磁性基板(1)の磁性層(2)が形成された面と
は反対側の面にバックコート層(5)が形成されてい
る。図示した態様において、バックコート層(5)は第
1バックコート層(6)および第2バックコート層
(7)から成る2層構造である。
【0047】本発明において使用する非磁性基板(1)
は、その一方の面にバックコート層(5)を形成するこ
とにより、その厚さを薄くすることが可能となる。非磁
性基板(1)の厚さは、2〜5μmであることが好まし
い。2μm未満であると表面に磁性層(2)を形成する
ことが困難となり、5μmを超えると磁気記録媒体全体
に占める非磁性基板の割合が大きくなり高密度磁気記録
媒体としては不利である。
【0048】非磁性基板(1)は、その厚さを薄くする
ことを除いては、その材料や構造が特に限定されること
はない。例えば、非磁性基板の材料は、PET、PEN
およびPA等から成るグループから選択できる。
【0049】非磁性基板(1)の磁性層(2)が形成さ
れる面(即ち、磁性層(2)と接する側の面)には、磁
気記録媒体の磁性層側表面の走行性を向上させるため
に、SiO2、ZnO等の無機物質またはイミド等の有
機物質から成る直径5〜50nmの超微粒子が1μm2
つき3〜150個、分散、固着して、微細な突起が存在
することが望ましい。超微粒子は、非磁性基板(1)の
バック面にも分散、固着していてよい。あるいは、その
ような微粒子を含む高分子材料でフィルムを製造するこ
とによっても、表面に微細な突起を有する非磁性基板を
得ることができる。表面に突起を有する非磁性基板の例
は、特開平9−164644号公報および特開平10−
261215号公報等に開示されている。
【0050】保護層(3)は、例えば、スパッタリング
もしくはプラズマCVD等の方法で得られる、アモルフ
ァス状、グラファイト状もしくはダイヤモンド状の炭素
から成るカーボン薄膜、あるいはそれらの炭素を混合お
よび/または積層して形成したカーボン薄膜を用いて形
成することができる。
【0051】本発明では特にダイヤモンド状の炭素、す
なわちダイヤモンドライクカーボンで保護層(3)を形
成することが好ましい。ダイヤモンドライクカーボンは
適度な硬度を有するため、磁気記録媒体の損傷を抑制す
るとともに磁気ヘッドの損傷をも抑制することができる
ことから、最も好ましい材料である。なお、いずれの材
料を用いて保護層を形成する場合も、保護層(3)の厚
さは1〜50nmあることが好ましい。
【0052】潤滑剤層(4)を形成する潤滑剤は、磁気
記録媒体用の潤滑剤として汎用されているものから任意
に選択できる。潤滑剤は、例えば、パーフルオロポリエ
ーテル等のフッ素系潤滑剤であることが好ましい。潤滑
剤層は、潤滑剤以外の成分として、例えば極圧剤、防錆
剤等を含んでよい。潤滑剤層は、例えば、潤滑剤を適当
な溶媒に溶解または分散させた塗布液を保護層(保護層
が形成されていない場合には磁性層)の上に塗布した
後、溶媒を蒸発させることによって形成できる。潤滑剤
層の厚さは通常0.05〜50nmである。
【0053】バックコート層(5)の第1バックコート
層(6)および第2バックコート層(7)については先
に述べたとおりであるから、ここではその説明を省略す
る。
【0054】このように形成される本発明の磁気記録媒
体は、磁性層(2)のスティフネスSmに対するバック
コート層(5)のスティフネスSbの比であるSb/S
mが2以上であるために、磁気記録媒体の両面のスティ
フネスのバランスが良く、その結果、走行系でのテープ
エッジダメージの発生およびエンベロープ不良が極めて
抑制されたものとなる。したがって、本発明は、磁気テ
ープ、特に金属薄膜型磁気テープに最も好ましく適用さ
れる。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例において、各試料の磁性層、第1バッ
クコート層および第2バックコート層のヤング率Em、
Eb1およびEb2はいずれも、磁気テープを作製した
後、ヤング率を測定しようとする層をエッチングし、エ
ッチング前後の試料の長手方向のヤング率および厚さか
ら求めた。ヤング率の測定に使用した引張試験装置はオ
リエンテック社製のRTM−25(商品名)であり、引
張長さは200mm、引張速度は10mm/分とした。ま
た、各試料の厚さは、試料を10枚重ねた状態でマイク
ロメーター(三豊社製)により測定した厚さから算出し
た。磁性層、第1バックコート層および第2バックコー
ト層の厚さtm、tb1およびtb2は、各層を有する
試料の厚さと各層を取り除いた試料の厚さから算出し
た。
【0056】本実施例において作製した試料はいずれ
も、バックコート層を2層構造としたものである。した
がって、バックコート層(5)のヤング率Ebは、第1
および第2バックコート層の厚さtb1およびtb2が
バックコート層(5)の全厚tbに占める割合を重みと
してEb1およびEb2から算出した、重みつき平均値
で示している。また、バックコート層の厚さtbはtb
1とtb2を合わせた厚さで示している。
【0057】(試料a−1〜a−5の作製) 図2に示
す態様の磁気記録媒体を以下の手順で作成した。まず、
磁気記録媒体の非磁性基板(1)として、厚さ4.5μ
m、幅150mm、長さ2000mm、長手方向のヤング率
が5.8GPaのPETフィルムを用意した。このフィル
ムの片面には、SiO2から成る直径12nmの微粒子が
1μm2当り60個分散し、固着していた。
【0058】このPETフィルム(1)を冷却回転支持
体であるベルト状支持体上で冷却し走行させながら、C
oを用いて斜方蒸着法により、厚さtmが0.18μm
の強磁性金属薄膜をPETフィルム(1)の上に磁性層
(2)として形成した。蒸着は、酸素を非磁性基板に向
けて1.5L(リットル)/分の流量で供給する酸素雰
囲気中で実施した。磁性層(2)のヤング率Em(長手
方向で測定したもの)は86GPaであり、スティフネス
Smは0.5mN・μm(=0.5×10-3N・μm)
であった。
【0059】次に、非磁性基板のバック面に、Alを用
いて蒸着法により、第1バックコート層として金属薄膜
(6)を形成した。蒸着は非磁性基板をキャン状冷却回
転支持体に沿って走行させながら実施した。ヤング率を
制御するため、蒸着中、非磁性基板に向けて供給する酸
素の供給流量を試料ごとに変えた。酸素の供給流量はそ
れぞれ、0.2L/分(試料a−1)、0.3L/分
(試料a−2)、0.4L/分(試料a−3)、0.5
L/分(試料a−4)、0.6L/分(試料a−5)と
した。金属薄膜(6)の厚さは、表1に示すように試料
ごとに変えた。
【0060】さらに、金属薄膜(6)の上に第2バック
コート層(7)を形成した。第2バックコート層は湿式
塗布法により形成した。塗布に使用した塗布液は、溶媒
としてトルエンとメチルエチルケトンをそれぞれ500
重量部、バインダーとしてポリウレタンを100重量
部、カーボンを20重量部、およびバリウムフェライト
を30重量部混合したものである。第2バックコート層
(7)の厚さtb2は0.3μmとした。得られた第2
バックコート層のヤング率Eb2(長手方向で測定した
もの)は4.3GPaであった。
【0061】続いて、磁性層(2)の上に、ダイヤモン
ドライクカーボンから成る厚さ10nmの保護層(3)
を、メタンをイオン化するプラズマCVD法によって形
成した。保護層(3)は、具体的には真空容器中にメタ
ンガスとアルゴンガスとを4:1の比(圧力比)で混合
したガスを導入し、トータルガス圧を10Paに保ちなが
ら、放電管内の電極に電圧を印加することにより形成し
た。
【0062】次に、この保護層(3)上に、パーフルオ
ロポリエーテル系潤滑剤を有機溶媒に溶解した溶液を塗
布した後、乾燥させて、厚さ4nmの潤滑剤層(4)を形
成した。そして、これを1/4インチ幅にスリットして
テープ状の磁気記録媒体試料を得た。
【0063】試料a−1〜a−5の第1バックコート層
(金属薄膜)およびバックコート層のヤング率等を表1
に示す。
【0064】
【表1】
【0065】(試料b−1〜b−5の作製) 磁性層
(2)およびバックコート層(5)の形成条件を下記の
とおりとしたこと以外は、試料a−1〜a−5と同様に
して磁気記録媒体を作製した。
【0066】磁性層(2)として、Coを用いた斜方蒸
着法により、厚さtmが0.14μmの強磁性金属薄膜
を形成した。蒸着は、酸素を非磁性基板に向けて1.0
L/分の流量で供給する酸素雰囲気中で実施した。磁性
層(2)のヤング率Em(長手方向で測定したもの)は
74GPaであり、スティフネスSmは0.2mN・μm
であった。
【0067】バックコート層(5)は、試料a−1〜a
−5と同様に2層構造とした。試料b−1〜b−5にお
いても、第1バックコート層は金属薄膜(6)とし、A
lを用いた蒸着法により形成した。蒸着は非磁性基板を
キャン状冷却回転支持体に沿って走行させながら実施し
た。ヤング率を制御するため、蒸着中、非磁性基板に向
けて供給する酸素の供給流量を試料ごとに変えた。酸素
の供給流量はそれぞれ、0.8L/分(試料b−1)、
0.9L/分(試料b−2)、1.0L/分(試料b−
3)、1.1L/分(試料b−4)、1.2L/分(試
料b−5)とした。金属薄膜(6)の厚さは、表2に示
すように試料ごとに変えた。
【0068】第2バックコート層(7)は試料a−1〜
a−5と同様に湿式塗布法により形成した。塗布に使用
した塗布液は、溶媒としてトルエンとメチルエチルケト
ンをそれぞれ500重量部、バインダーとしてポリウレ
タンを100重量部、カーボンを20重量部、およびバ
リウムフェライトを100重量部混合したものである。
第2バックコート層(7)の厚さtb2は0.5μmと
した。得られた第2バックコート層のヤング率Eb2
(長手方向で測定したもの)は9.0GPaであった。
【0069】試料b−1〜b−5の第1バックコート層
(金属薄膜)およびバックコート層のヤング率等を表2
に示す。
【0070】
【表2】
【0071】磁気テープ状の試料a−1〜a−5および
試料b−1〜b−5について、下記の評価試験(a)、
(b)、(c)を行った。得られた評価結果を表3に示
す。
【0072】(a)エッジダメージ 1/4インチ幅の各試料をDVフォーマットのカセット
に入れ、市販DVC(松下電器産業(株)製、商品名:
NV−DJ1)を用い、100パス繰り返し再生を行っ
たときのテープエッジダメージのレベルを目視観察及び
微分干渉顕微鏡で観察し、5段階で評価した。評価基準
は次のとおりである。 5:実用上全く問題ない。 4:実用上問題ない。 3:実用可能であるが、改善が必要である。 2:エッジダメージがひどく、実用性は殆どない。 1:エッジダメージがあまりにもひどく、実用性が全く
ない。
【0073】(b)エンベロープ 1/4インチ幅の各試料をDVフォーマットのカセット
に入れ、市販DVC(松下電器産業(株)製、商品名:
NV−DJ1)を用い、RF信号入力後、その出力波形
をオシロスコープにより観察し、エンベロープ平坦率を
測定した。エンベロープ平坦率は、各サンプルにおける
エンベロープ幅の最大値を100%としたときの最小値
を%で示したものであり、100%に近いほど磁気記録
媒体の性能が良いことを示している。
【0074】(c)クラック DVフォーマットのカセットに入れ、高さ1mからのこ
れを落下させる落下試験を実施し、落下後の磁気テープ
カートリッジのリッド部付近における磁気テープの磁性
層のクラックの状態を目視観察及び微分干渉顕微鏡で観
察した。表中、「弱」とあるのは、クラックの発生があ
っても実用可能な状態であることを示し、「強」とある
のは、クラックの発生がひどく実用性が殆どない状態で
あることを示す。
【0075】
【表3】
【0076】表3から明らかなように、磁性層のスティ
フネスとバックコート層のスティフネスの比Sb/Sm
が2以上である試料a−3〜a−5、b−1〜b−5に
おいて、エッジダメージはほとんど生じず、生じたとし
ても実用上許容し得る程度のものであった。また、試料
a−3〜a−5、b−1〜b−5のエンベロープ特性は
いずれも良好であった。
【0077】Sb/Smが100以上である試料b−5
は、エッジダメージが発生せず、エンベロープ特性も優
れたものであったが、落下試験を実施すると磁性層にク
ラックが生じ、他の本発明品(試料a−3〜a−5およ
びb−1〜b−4)と比べて衝撃に対する耐性が小さい
ものであった。これは、バッコート層のスティフネスが
磁性層のスティフネスよりも過度に大きく、両層のステ
ィフネスのバランスが悪くなったためであると考えられ
る。
【0078】これらの結果を勘案すれば、走行系でのテ
ープエッジダメージの発生およびエンベロープ不良を抑
制するためには、磁性層のスティフネスSmに対するバ
ックコート層のスティフネスSbの比Sb/Smは2以
上であることが好ましく、また、耐衝撃性を確保するた
めには、Sb/Smは100以下であることが好ましい
といえる。
【0079】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、例えば、非磁性基板(1)として、PENまたは
PA等の各種の材料から成るフィルムを用いてよい。ま
た、磁性層(2)は、Co−Ni、Co−Cr、Co−
Pt−Cr、Co−Fe−Cr、Co−Ni−Cr等の
各種の強磁性金属で形成してよい。第1バックコート層
(6)は、Al以外の金属で形成してよく、あるいは金
属酸化物または金属窒化物で形成してもよい。第2バッ
クコート層(7)を構成する材料中、カーボン粒子に代
えて、金属粒子、金属酸化物粒子および窒化物粒子から
選択される1または複数種の粒子を用いてよく、また、
ポリウレタン樹脂に代えてニトロセルロース樹脂をバイ
ンダーとして用いてもよい。
【0080】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板の
バック面にバックコート層を有し、バックコート層のス
ティフネスSbの磁性層のスティフネスSmに対する比
Sb/Smが2以上であることを特徴とする。この特徴
により、本発明の磁気記録媒体は走行系でのテープエッ
ジダメージが小さく、したがって繰り返し走行させた場
合でもテープエッジダメージに起因する性能低下が小さ
く、優れた走行耐久性を示す。また、上記特徴により、
本発明の磁気記録媒体は磁気ヘッドと良好な状態で接触
することができ、したがってエンベロープ不良が生じに
くいから、本発明の磁気記録媒体は高品質の再生信号を
与え得る。このように、本発明によれば、薄手であって
も優れた特性を有する磁気記録媒体を提供することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の磁気記録媒体の一態様の模式的断面図
である。
【図2】 本発明の磁気記録媒体の一態様の模式的断面
図である。
【符号の説明】
1,11...非磁性基板、2,12...磁性層(強磁性金属薄
膜)、3,13...保護層、4,14... 潤滑剤層、5...
バックコート層、15...補強層、6...第1バックコート
層(金属薄膜)、7...第2バックコート層、10,11
0...磁気記録媒体(磁気テープ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/70 G11B 5/70 5/78 5/78

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板の一方の面に磁性層を有し、
    他方の面にバックコート層を有して成る磁気記録媒体で
    あって、磁性層のヤング率および厚さをそれぞれEmお
    よびtm、バックコート層のヤング率および厚さをそれ
    ぞれEbおよびtbとし、磁性層のスティフネスSmを
    Sm=Em×tm3、バックコート層のスティフネスS
    bをSb=Eb×tb3としたときに、Sb/Smが2
    以上である磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 Sb/Smが100以下である請求項1
    に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 バックコート層が第1バックコート層と
    第1バックコート層の上に形成された第2バックコート
    層の2層から構成され、第1バックコート層のヤング率
    Eb1が第2バックコート層のヤング率Eb2よりも大
    きい請求項1または請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 第1バックコート層のヤング率Eb1と
    第2バックコート層のヤング率Eb2の比Eb1/Eb
    2が1.5以上である請求項3に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 第1バックコート層の厚さtb1と第2
    バックコート層の厚さtb2の比tb1/tb2が0.
    1〜1.5である請求項3または請求項4に記載の磁気
    記録媒体。
  6. 【請求項6】 第1バックコート層が金属薄膜である請
    求項3〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 金属薄膜が非磁性体から成る請求項6に
    記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 金属薄膜がAlまたはAl系合金から成
    る請求項7に記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 金属薄膜が蒸着法によって形成されたも
    のである請求項6〜8のいずれか1項に記載の磁気記録
    媒体。
  10. 【請求項10】 第2バックコート層が、カーボン粒
    子、バリウムフェライト、およびそれらのバインダーと
    してのポリウレタン樹脂を含む膜である請求項3〜9の
    いずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 バックコート層のヤング率Ebが5G
    Pa以上である請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁
    気記録媒体。
  12. 【請求項12】 磁気記録媒体の全厚が6μm以下であ
    り、長手方向のヤング率が7GPa以上である請求項1〜
    11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 非磁性基板の厚さが2〜5μmである
    請求項1〜12のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 磁性層の上に保護層としてダイヤモン
    ドライクカーボン膜が形成されている請求項1〜13の
    いずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】 磁性層が強磁性金属薄膜である請求項
    1〜14のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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