JP2001267261A - 半導体熱処理装置用電気ヒータ - Google Patents

半導体熱処理装置用電気ヒータ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シェルの外周面からの熱損失を低減し、これ
により消費電力を削減させる。 【解決手段】 セラミックス製断熱材からなりかつヒー
タエレメント8が装着されている筒状ヒータ本体2と、
ヒータ本体2の外周面を被覆する金属製シェル2とを備
えた半導体処理装置用電気ヒータ1である。ヒータ本体
2の外周面とシェル5との間に、耐熱性クロスからなり
かつ多数の微孔質断熱材製微小中空球体10が封入された
パウチ11を介在させる。微小中空球体10の内径は、空気
中の気体分子の平均自由行程よりも小さい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体に拡散処
理などの熱処理を施す装置に用いられる電気ヒータに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種電気ヒータとして、セラミ
ックファイバ製断熱材からなりかつヒータエレメントが
装着されている筒状ヒータ本体と、ヒータ本体の外周面
を被覆する金属製シェルとを備えたものが用いられてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近では、半導体処理
装置用電気ヒータの消費電力を削減することが望まれて
いる。ところで、上記消費電力の60%程度がシェルの
外周面からの熱損失であることがわかっており、この熱
損失を低減することにより消費電力を削減することが可
能になる。
【0004】この発明は上記実情に鑑みてなされたもの
であって、シェルの外周面からの熱損失を低減し、これ
により消費電力を削減しうる半導体処理装置用電気ヒー
タを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段と発明の効果】この発明に
よる半導体処理装置用電気ヒータは、セラミックス製断
熱材からなりかつヒータエレメントが装着されている筒
状ヒータ本体と、ヒータ本体の外周面を被覆する金属製
シェルとを備えた半導体処理装置用電気ヒータにおい
て、ヒータ本体の外周面とシェルとの間に、耐熱性クロ
スからなりかつ多数の微孔質断熱材製微小中空球体が封
入されたパウチが介在させられており、微小中空球体の
内径が空気中の気体分子の平均自由行程よりも小さくな
されているものである。
【0006】この発明の電気ヒータによれば、ヒータ本
体の外周面とシェルとの間に、多数の微孔質断熱材製微
小中空球体が封入された耐熱性クロスからなるパウチが
介在させられているので、微小中空球体の働きによりヒ
ータエレメントとシェルとの間の断熱性能が向上し、シ
ェルの外周面からの熱損失を低減することが可能にな
る。したがって、従来の電気ヒータと同一サイズの場合
には、消費電力を削減することができる。同一サイズで
あることは、既設の半導体熱処理炉のヒータ交換時には
特に考慮すべき重要な因子である。微孔質断熱材性微小
中空球体により断熱性能が向上しうるのは、次の理由に
よると考えられる。すなわち、空気中での熱の伝達は、
通常、気体分子同士の衝突により起こるものであるが、
気体分子が微孔質断熱材製微小中空球体の周壁により隔
離されることになり、気体分子が周壁により跳ね返され
る確率が高くなって気体分子同士の衝突が抑制され、そ
の結果断熱性が向上すると考えられる。
【0007】上記微小中空球体は、たとえばシリカを主
成分とし、かつ多数のマイクロポアを有する材料で形成
されており、その内径が空気中の気体分子の平均自由行
程よりも小さくなされている。
【0008】また、ヒータ本体の外周面に、複数の微小
中空球体封入パウチからなる2以上の筒状断熱層が設け
られており、各筒状断熱層において隣り合う微小中空球
体封入パウチの縁部同士が当接させられ、内外に隣り合
う筒状断熱層における微小中空球体封入パウチの縁部同
士の当接部が相互にずれていることがある。電気ヒータ
の周壁の径方向の厚さを一定にするには、各筒状断熱層
において、隣り合う微小中空球体封入パウチの縁部同士
同士が重ならないように当接させることが好ましいが、
その場合内外に隣り合う筒状断熱層における上記当接部
が合致していると、この当接部から熱が外部に逃げるお
それがある。各筒状断熱層において隣り合う微小中空球
体封入パウチの縁部同士が当接させられ、内外に隣り合
う筒状断熱層における微小中空球体封入パウチの縁部同
士の当接部が相互にずれていると、当接部を通しての熱
の逃げを防止することができ、熱損失を一層低減するこ
とができるとともに均一な温度分布が得られる。。
【0009】さらに、微小中空球体封入パウチに貫通穴
が形成されており、貫通穴の周囲の部分においてパウチ
を構成する耐熱性クロスが縫い合わされていることがあ
る。微小中空球体封入パウチに、ヒータ端子や熱電対を
通すための貫通穴が形成された場合、貫通穴の周囲の部
分においてパウチを構成する耐熱性クロスが縫い合わさ
れていると、微小中空球体のパウチからの洩れが防止さ
れ、発塵が抑えられる。
【0010】
【発明の実施形態】以下、この発明の実施形態を、図面
を参照して説明する。
【0011】図1および図2は半導体処理装置用電気ヒ
ータの全体構成を示し、図3は微孔質断熱材製微小中空
球体が封入されたパウチを示す。
【0012】図1〜図3において、この発明による半導
体熱処理装置用電気ヒータ(1)は、セラミックス製断熱
材からなる筒状ヒータ本体(2)と、ヒータ本体(2)の外周
面を被覆する内外2つの筒状断熱層(3A)(3B)と、外側の
筒状断熱層(3B)の外周を被覆するセラミックスファイバ
製マット(4)と、マット(4)の外周を被覆するアルミニウ
ム製(アルミニウム合金製も含む)シェル(5)とを備え
ている。
【0013】ヒータ本体(2)は、セラミックスファイバ
を用いて真空成形されかつ内周面に長さ方向に伸びる複
数の溝(6)が周方向に間隔をおいて形成された円筒状断
熱主体(7)と、断熱主体(7)の溝(6)内に配された波形の
ヒータエレメント(8)とよりなる。波形ヒータエレメン
ト(8)の振幅は溝(6)の幅よりも大きくなされ、その幅方
向両側部分が溝(6)の両側面より断熱主体(7)内に入るこ
とにより断熱主体(7)に一体的に支持されている。
【0014】各筒状断熱層(3A)(3B)は、ガラスクロス(1
1a)からなりかつ多数の微孔質断熱材製微小中空球体(1
0)が封入された複数、ここでは4つののパウチ(11)から
なる。すなわち、半円筒状に曲げられた2つの微小中空
球体封入パウチ(11)の縁部同士が重ならないように当接
させられて円筒状とされ、この円筒状物が端部同士が重
ならないで当接するようにヒータ本体(2)の長さ方向に
2つ並べられることにより、各筒状断熱層(3A)(3B)が形
成されている。内外に隣り合う筒状断熱層(3A)(3B)にお
けるヒータ本体(2)の長さ方向に伸びるパウチ(11)同士
の当接部(12A)(12B)は相互に周方向にずれている。ま
た、内外に隣り合う筒状断熱層(3A)(3B)における2つの
円筒状物同士の当接部(13A)(13B)は相互に長さ方向にず
れている。すなわち、内外に隣り合う筒状断熱層(3A)(3
B)における微小中空球体封入パウチ(11)の縁部同士の当
接部が相互にずれている。
【0015】なお、図2および図3においては、分かり
易くするために微孔質断熱材製微小中空球体(10)を実際
よりはかなり大きく示しているが、実際にはその大きさ
はμm単位である。
【0016】微小中空球体(10)は、シリカを主成分と
し、かつ多数のマイクロポアを有する材料で形成されて
おり、その内径が空気中の気体分子の平均自由行程より
も小さくなされている。したがって、空気中の気体分子
が微小中空球体(10)の周壁により隔離されることにな
り、気体分子が周壁により跳ね返される確率が高くなっ
て気体分子同士の衝突が抑制され、その結果2つの筒状
断熱層(3A)(3B)により優れた断熱性が得られる。
【0017】微小中空球体封入パウチ(11)には、ヒータ
端子や熱電対(いずれも図示略)を通す貫通穴(14)が形
成されており、貫通穴(14)の周囲の部分においてパウチ
を構成するガラスクロス(11a)が縫い合わされている。
これにより微小中空球体(10)のパウチ(11)からの洩れが
防止され、発塵が抑えられている。
【0018】なお、この発明による電気ヒータ(1)は、
両端が開口している場合と、一端が閉鎖されている場合
とがあり、その形態は限定されるものではない。
【0019】次に、この発明による電気ヒータ(1)、お
よび微小中空球封入パウチからなる筒状断熱材層が設け
られていないことを除いてはこの発明の電気ヒータと同
じ構成である従来品を用いて行った実験例について説明
する。
【0020】電気ヒータの両端開口をガラスウールによ
り閉鎖し、空炉状態で種々の設定温度に1時間加熱し、
シェル(5)外周面の温度を測定して平均表面温度を求め
た。また、消費電力量を測定し、この消費電力量に基づ
いてシェル(5)外周面からの熱損失削減率を求めた。そ
の結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1から、本発明品は従来品に比べて消費
電力が削減され、シェルの外周面からの熱損失が低減さ
れていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による半導体処理装置用電気ヒータを
示す横断面図である。
【図2】同じく分解斜視図である。
【図3】微小中空球封入パウチを示す拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
(1):半導体処理装置用電気ヒータ (2):ヒータ本体 (3A)(3B):筒状断熱層 (5):シェル (8):断熱主体 (10):微孔質断熱材製微小中空球体 (11):パウチ (12A)(12B)(13A)(13B):当接部 (14):貫通穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3K092 QA02 QB25 QB45 RA06 RB02 RB19 RB23 RB30 RD09 RD16 RD25 RD47 SS02 SS04 SS05 TT37 VV22 VV40

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス製断熱材からなりかつヒー
    タエレメントが装着されている筒状ヒータ本体と、ヒー
    タ本体の外周面を被覆する金属製シェルとを備えた半導
    体処理装置用電気ヒータにおいて、ヒータ本体の外周面
    とシェルとの間に、耐熱性クロスからなりかつ多数の微
    孔質断熱材製微小中空球体が封入されたパウチが介在さ
    せられており、微小中空球体の内径が空気中の気体分子
    の平均自由行程よりも小さくなされている半導体処理装
    置用電気ヒータ。
  2. 【請求項2】 ヒータ本体の外周面に、複数の微小中空
    球体封入パウチからなる2以上の筒状断熱層が設けられ
    ており、各筒状断熱層において隣り合う微小中空球体封
    入パウチの縁部同士が当接させられ、内外に隣り合う筒
    状断熱層における微小中空球体封入パウチの縁部同士の
    当接部が相互にずれている請求項1の半導体処理装置用
    電気加熱ヒータ。
  3. 【請求項3】 微小中空球体封入パウチに貫通穴が形成
    されており、貫通穴の周囲の部分においてパウチを構成
    する耐熱性クロスが縫い合わされている請求項1または
    2の半導体処理装置用電気ヒータ。
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