JP2001264876A - 投射型表示装置 - Google Patents

投射型表示装置

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JP2001264876A
JP2001264876A JP2000078579A JP2000078579A JP2001264876A JP 2001264876 A JP2001264876 A JP 2001264876A JP 2000078579 A JP2000078579 A JP 2000078579A JP 2000078579 A JP2000078579 A JP 2000078579A JP 2001264876 A JP2001264876 A JP 2001264876A
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light
polarized light
dichroic film
polarized
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Masaaki Sato
正聡 佐藤
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Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光源の出力を増大させることなく簡易に投射
像の高輝度化達成できる投射型表示装置を提供するこ
と。 【解決手段】 R光反射ダイクロイック膜としてRG光
の境界の第3波長領域において一方のS偏光を反射し他
方のP偏光を透過する特性を有するものを使用する場
合、ライトバルブ6RにP偏光を入射させる際には、5
80nmの不要な輝線スペクトルは、R光反射ダイクロ
イック膜を透過してライトバルブ6Rに入射しない。さ
らに、ライトバルブ6GにP偏光を入射させる際には、
光源光に含まれる580nmの不要な輝線スペクトルも
R光反射ダイクロイック膜を透過してライトバルブ6G
に入射することになるが、ライトバルブ6Gからの変調
光は、580nmの輝線スペクトルがR光反射ダイクロ
イック膜で反射されてこれを透過しなくなるので、58
0nmの不要な輝線スペクトルが偏光ビームスプリッタ
2に戻らなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のライトバル
ブを用いた投射型表示装置に関し、特に光源光を色分解
合成複合プリズムを経て複数の色光に色分解し、色分解
された各色光を複数のライトバルブにて各色ごとに変調
させて反射射出させ、射出した変調光を上記複合プリズ
ムに再度入射させて色合成し、この合成光から変調光の
みを取り出して投射レンズにて投射する投射型表示装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の投射型表示装置として、例えば特
許第2505758号公報に記載のフルカラー投射型表
示装置が知られている。
【0003】図11は、同公報の図1を引用したもので
ある。図示の投射型表示装置において、光源23から射
出した光源光は、整形レンズ22を経て平行光束に変換
され、偏光ビームスプリッタ21に入射して偏光分離作
用を受ける。ここで、光源23を構成するランプとして
は、メタルハライドランプまたは最近では超高圧水銀ラ
ンプが使用される。これらランプのスペクトルから余分
の輝線をカットしてカラーバランスを確保するため、こ
の従来図には記載されていないが、光源23と偏光ビー
ムスプリッタ21との間に、通常はカットフィルタを配
置する。
【0004】偏光ビームスプリッタ21に入射した光源
光は、この偏光ビームスプリッタ21に設けた偏光分離
部で反射されて進行するS偏光と、この偏光分離部を透
過して進行するP偏光とに偏光分離される。前者のS偏
光は、偏光ビームスプリッタ21を射出して3つのプリ
ズム11A、11B、11Cから構成される色分解合成
複合プリズムに入射する。
【0005】プリズム11Aに入射した偏光ビームスプ
リッタ21からのS偏光はプリズム11A中を進行し、
プリズム11Aの面11eに形成されたB光反射ダイク
ロイック膜に入射し、反射されるB光と、この膜を透過
して、空隙を経てプリズム11Bに入射するR光及びG
光の混合光とに色分解される。反射されたB光は、プリ
ズム11A中を進行して面11aにて全反射を受け、さ
らに進行して射出面11bから射出され、この射出面1
1b近傍に配置されたB光用ライトバルブ12に入射さ
れる。一方、空隙を通過しプリズム11Bに入射した
R、G混合光は、R光反射ダイクロイック膜に入射し、
反射してプリズム11B中を進行するR光と、そのまま
進行してプリズム11C中に入射進行するG光とに色分
解される。
【0006】プリズム11B中を進行するR光は、全反
射作用を受けてさらにプリズム11B中を進行し、射出
面11cから射出されて、射出面近傍に配置されたR光
用ライトバルブ13に入射する。プリズム11C中に入
射したG光は、そのまま進行して面11dから射出さ
れ、射出面近傍に配置されたG光用ライトバルブ14に
入射する。
【0007】各色用ライトバルブ12、13、14に入
射したS偏光は、各色の色信号によって変調作用を受
け、所定画素においてP偏光に変換され、非変調光たる
S偏光との混合光として反射射出される。各色光用ライ
トバルブ12、13、14を射出した光は、上述の入射
光路を逆行して進行し、プリズム11Aの11a面から
色合成光として射出される。この色合成光を偏光ビーム
スプリッタ21に再入射させることにより、各色光の変
調光たるP偏光のみを偏光ビームスプリッタ21の透過
光として検光して取り出すことができる。 検光された
色合成光は、投射レンズ24に入射されてスクリーン2
5上にフルカラー像として投射像を投射される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記投射型表
示装置では、光源の輝線を除去するためにカットフィル
タを用いているので、十分な輝度で色バランス良く投射
像を形成することができない。
【0009】すなわち、昨今では、液晶ライトバルブを
使用した投射型表示装置において、投射像のより高輝度
化が望まれている。このような高輝度化を達成するに
は、まず、光源としてより高出力のランプを使用するこ
とが考えられる。しかしながら、ランプの高出力化は、
使用電力の増加を意味し、さらに高出力化に対応させて
電源周りの冷却強化を図る必要や、偏光ビームスプリッ
タで廃棄される不要な偏光成分の光量が増加するといっ
た問題が新たに発生する。別の方法として、光源の出力
を増加させず、より狭帯域のカットフィルタで輝線を除
去することも考えられるが、この方法では、カットフィ
ルタを精密に作製することが困難で高価なものとなる。
【0010】そこで、本発明は、光源の出力を増大させ
ることなく簡易に投射像の高輝度化達成できる投射型表
示装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の投射型表示装置は、第1色成分の光につい
て、第1振動方向の偏光である第1偏光を前記第1振動
方向と異なる第2振動方向の偏光である第2偏光に変調
して反射する第1ライトバルブと、前記第1色成分と異
なる第2色成分の光について、前記第1偏光を前記第2
偏光に変調して反射する第2ライトバルブと、光源光か
ら前記第1偏光を分離する偏光分離光学系と、前記第1
色成分に対応する第1波長領域における前記第1偏光及
び前記第2偏光を反射する特性と、前記第2色成分に対
応する第2波長領域における前記第1偏光及び前記第2
偏光を透過する特性と、前記第1波長領域と前記第2波
長領域との間であって、前記光源の不要輝線スペクトル
のピーク波長が含まれる第3波長領域における前記第1
偏光と前記第2偏光との一方を反射し他方を透過する特
性とを有するダイクロイック膜を含み、前記偏光分離光
学系から入射した前記第1偏光を、前記ダイクロイック
膜を介して前記第1色成分と前記第2色成分とに色分解
した後、前記第1ライトバルブ及び前記第2ライトバル
ブへ出射し、前記第1ライトバルブ及び前記第2ライト
バルブにより変調された前記第1色成分の光と前記第2
色成分の光を入射して、前記ダイクロイック膜を介して
色合成をする色分解合成光学系と、前記色分解合成光学
系を出射した光から前記第2偏光を検光する検光光学系
とを有することを特徴とする。
【0012】上記投射型表示装置では、ダイクロイック
膜が光源の不要輝線スペクトルのピーク波長が含まれる
第3波長領域において前記第1偏光と前記第2偏光との
一方を反射し他方を透過する特性を有するので、第1ラ
イトバルブや第2ライトバルブへの入射前後の不要輝線
スペクトルをダイクロイック膜に入射させることによっ
て、投影すべき変調光から不要輝線スペクトルのみを除
去することができ、光源の光量を増大させることなく投
射像の高輝度化達成できる。
【0013】すなわち、第1及び第2偏光のいずれかに
ついて、ダイクロイック膜による色分解と第1及び第2
ライトバルブによる変調とダイクロイック膜による色合
成とを順次行う際に、不要輝線スペクトルが変調前と変
調後の各状態でダイクロイック膜に2度入射すると、こ
の不要輝線スペクトルは、変調前後で振動方向が入れ替
わるので、ダイクロイック膜を透過させる場合及びこれ
で反射させる場合のいずれにおいても減衰することとな
る。よって、光源の光量を増大させることなく輝線の影
響を除去することができ、投射像の高輝度化達成でき
る。
【0014】上記装置の好ましい態様では、前記第3波
長領域の中央値は、当該ダイクロイック膜を形成する多
層膜を構成する各層の膜厚の調節によって調節されてい
ることを特徴とする。
【0015】この場合、第3波長領域の中央値を簡易か
つ精密に調節することができ、不要輝線スペクトルを的
確に除去できる。
【0016】上記装置の好ましい態様では、前記第3波
長領域の中央値は、当該ダイクロイック膜を形成する多
層膜を構成する各層の屈折率差の調節によって調節され
ていることを特徴とする。
【0017】この場合も、第3波長領域の中央値を簡易
かつ精密に調節することができ、不要輝線スペクトルを
的確に除去できる。
【0018】上記装置の好ましい態様では、前記第3波
長領域の間隔は、前記ダイクロイック膜への前記光源光
の入射角の調節によって設定されることを特徴とする。
【0019】この場合、第3波長領域の幅を簡易かつ精
密に調節することができ、不要輝線スペクトルを効率的
に除去できる。
【0020】上記装置の好ましい態様では、前記色分解
合成光学系は、前記ダイクロイック膜を挟んで配置され
る2つのプリズムを含み、前記第3波長領域の間隔は、
前記2つのプリズムの少なくとも1つのプリズムを特定
の屈折率に定めることにより設定されることを特徴とす
る。
【0021】この場合も、第3波長領域の幅を簡易かつ
精密に調節することができ、不要輝線スペクトルを効率
的に除去できる。
【0022】上記装置の好ましい態様では、前記第3波
長領域の間隔は、前記ダイクロイック膜を形成する多層
膜を構成する各層の屈折率及び膜厚の組合せを制御する
ことにより設定されることを特徴とする。
【0023】この場合も、第3波長領域の幅を簡易かつ
精密に調節することができ、不要輝線スペクトルを効率
的に除去できる。
【0024】上記装置の好ましい態様では、前記第1色
成分及び前記第2色成分と異なる第3色成分の光につい
て、前記第1偏光を前記第2偏光に変調して反射する第
3ライトバルブをさらに備え、前記分解合成光学系は、
前記第2波長領域における前記第1偏光及び前記第2偏
光を透過する特性と、前記第3色成分に対応し前記第2
波長領域に近接するとともに前記第1波長領域と離隔す
る第4波長領域における前記第1偏光及び前記第2偏光
を反射する特性と、前記第2波長領域と前記第4波長領
域との間であって前記第3波長領域の間隔よりも狭い第
5波長領域における前記第1偏光と前記第2偏光との一
方を反射し他方を透過する特性とを有する副ダイクロイ
ック膜とを含み、前記偏光分離光学系から入射した前記
第1偏光を、前記ダイクロイック膜及び前記副ダイクロ
イック膜を介して前記第1色成分、前記第2色成分及び
前記第3色成分に色分解した後、前記第1ライトバル
ブ、前記第2ライトバルブ及び前記第3ライトバルブへ
それぞれ出射し、前記第1ライトバルブ、前記第2ライ
トバルブ及び前記第3ライトバルブによりそれぞれ変調
された前記第1色成分、前記第2色成分及び前記第3色
成分の光を入射して、前記ダイクロイック膜及び前記副
ダイクロイック膜を介して色合成をすることを特徴とす
る。
【0025】この場合、第1色成分、第2色成分及び第
3色成分の各色成分ごとに変調を行う投射型表示装置と
することができる。さらに、この装置では、副ダイクロ
イック膜が、第2波長領域と第4波長領域との間であっ
て前記第3波長領域の間隔よりも狭い第5波長領域にお
いて前記第1偏光と前記第2偏光との一方を反射し他方
を透過する特性を有し、このように狭い第5波長領域で
は、副ダイクロイック膜を往復するに際して偏光の減衰
が少なくなるので、例えば第5波長領域に光源の不要輝
線スペクトルが存在しないような場合において、光源の
光量を増大させることなく投射像の高輝度化達成でき
る。
【0026】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕図1は、第1実
施形態に係る投射型表示装置の構成を示したものであ
る。この投射型表示装置は、ランプ1aと放物面である
凹面鏡1bとからなる光源1と、光源1が射出した光源
光から照明用のP偏光を分離する偏光分離部2pを有す
る偏光ビームスプリッタ2と、複数のプリズム部材3、
4、5からなりP偏光を各色毎に色分解する色分解合成
光学系10と、各プリズム部材3、4、5から出射する
各色のP偏光を変調する反射型のライトバルブ6R、6
B、6Gと、各ライトバルブ6R、6B、6Gで反射さ
れて色分解合成光学系10を逆行して色合成された変調
光を偏光ビームスプリッタ2を介してフルカラー像とし
てスクリーン上に投射する投射レンズ7とを備える。
【0027】光源1を構成するランプ1aは、複数の輝
線スペクトルを含む光源光を発生するものであり、これ
ら輝線スペクトルの中には、以下に詳細に説明するが、
カラーバランスを確保する上で不要な輝線スペクトルが
含まれる。また、凹面鏡1bは、上記のような放物面鏡
に限るものではなく、これに代えて例えば球面鏡を使用
することもできる。この場合、射出する光源光が正確に
は平行光束でなくなるため、整形光学系を別途設けて光
源光を略平行光束に変換することが望ましい。なお、光
源1と偏光ビームスプリッタ2との間には、紫外ならび
に赤外カットフィルタを配置することができる。
【0028】図2は、上記光源1のランプ1aとしてよ
く使用されるメタルハライドランプと超高圧水銀ランプ
のそれぞれのスペクトル特性を示したグラフである。な
お、図2のスペクトル特性において、横軸は波長(n
m)、縦軸は強度を示す。ただし、縦軸は任意スケール
であり、各ランプの相対的強度差については実質的な意
味がない。
【0029】図からも明らかなように、各光源光には、
430nm、550nm、580nm等の波長位置に比
較的大きな輝線スペクトルが存在する。このうち、43
0nm、550nm等における輝線スペクトルは、ライ
トバルブ6R、6G、6Bの照明光として必要である
が、580nmにおける輝線スペクトルは、照明光とし
て使用されず、色バランスの観点からカットされるべき
である。この580nmの輝線スペクトルを不要輝線ス
ペクトルと呼ぶことにする。
【0030】本実施形態においては、光源光のスペクト
ル中に存在する不要な輝線を事前(偏光ビームスプリッ
タ2への入射前)にカットすることなく、色分解合成光
学系10にそのまま入射させる。なお、従来例で説明し
たように、光源光のスペクトル中の約580nmに存在
する輝線を不要なものとしてカットフィルタでカットし
た場合、通常はその周辺領域の光までカットされるの
で、光量が少なくなっていたことは前述のとおりであ
る。
【0031】図1に戻って、偏光ビームスプリッタ2
は、同一形状の直角2等辺三角柱プリズム2a、2bを
接合したもので、プリズム2bの底面に偏光分離部2p
となるべき偏光分離膜を形成しておき、この偏光分離膜
の膜面とプリズム2aの底面とを光学用の接着剤にて接
着して固着一体化させることによって形成される。ま
た、偏光ビームスプリッタ2の光が透過する周囲の側面
には、反射防止膜が形成されている。なお、偏光ビーム
スプリッタ2に使用する一対のプリズム2a、2bのガ
ラス材料については後述する。
【0032】色分解合成光学系10を構成する第1プリ
ズム部材3の面(第2面)3bには、R光反射ダイクロ
イック膜が形成されている。さらに、第2プリズム部材
4の面(第2面)4bには、第3プリズム部材5の面
(第1面)5aに対向して、B光反射ダイクロイック膜
が形成されている。ここで、第1プリズム部材3の面
(第2面)3bと、第2プリズム部材4の面(第1面)
4aとの間には空隙が形成されている。また、第3プリ
ズム部材5の面(第1面)5aは、第2プリズム部材4
の面(第2面)4b上に形成したB光反射ダイクロイッ
クに光学用の接着剤にて固着されており、両プリズム部
材4、5が一体化されている。また、第1プリズム部材
3の面(第1及び第3面)3a、3cと、第2プリズム
部材4の面(第1及び第3面)4a、4cと、第3プリ
ズム部材5の面(第2面)5bとには、それぞれ反射防
止膜が形成されている。
【0033】第3プリズム部材5は、本実施形態では4
角柱プリズム形状であるが、その形状は4角柱である必
要はなく、三角プリズムであっても良い。ただし、その
場合は、G光はプリズム中をそのまま真っ直ぐ進行して
射出面から射出されるのでなく、一度三角柱の斜面にて
全反射して所定の射出面から射出される構成となる。
【0034】図3は、色分解合成光学系10や偏光ビー
ムスプリッタ2に使用するガラス材料を説明する図であ
る。図3(a)は、偏光ビームスプリッタ2等に使用す
るガラス材料の候補となる試料No.1〜7の組成と、
各試料において光弾性定数を最小にする波長と、各試料
の屈折率とを示し、図3(b)は、試料No.1〜7に
おけるPbOの含有量と光弾性常数を略ゼロにする(絶
対値が最小値となる)波長の値との関係を示すグラフで
あり、図3(c)は、試料No.1〜7に入射する光の
波長と光弾性常数との関係を示すグラフである。
【0035】これらの試料No.1〜7は、波長400
nm〜700nm領域において光弾性定数の絶対値がい
ずれも1.5×10-8cm2/N未満であり、どの試料
No.1〜7も偏光ビームスプリッタ2や色分解合成光
学系10を形成するガラス材料として使用可能である。
このように、光弾性定数の絶対値を小さくするのは、色
分解合成光学系10や偏光ビームスプリッタ2を通過す
る直線偏光の偏光状態が内部応力によって影響を受ける
ことを極力防止したものである。
【0036】具体的な実施例では、色分解合成光学系1
0ならびに偏光ビームスプリッタ2を構成するプリズム
をすべて試料No.6のガラス材料で形成した。ちなみ
に、光学材料として通常使用されるBK7は、屈折率が
1.519であるが、光弾性定数の値が2.78×10
-8cm2/Nである。このため、光弾性定数の値に依存
して発生する複屈折によってこれを経由する光の偏光状
態が変化してしまうことになり、BK7の使用は好まし
くない。
【0037】図4は、色分解合成光学系10の第1プリ
ズム部材3の面3bに形成されたR光反射ダイクロイッ
ク膜の透過特性を示すグラフである。横軸は波長であ
り、縦軸は透過率を示す。
【0038】以下で用いるカット波長とは、ダイクロイ
ック膜において透過率が急激に変化する波長域であっ
て、ピークとなる透過率の50%の透過率に対応する波
長のことである。
【0039】図4を用いてカット波長の具体例について
説明する。R光ダイクロイック膜は、第1偏光であるP
偏光に対して波長570nmから620nm付近の波長
領域にて透過率が急激に変化する特性を有する。図4か
ら明らかなように、この波長域においてピークとなる透
過率はTppである。そしてTppの50%の透過率である
0.5*Tppの波長をカット波長λ12と呼ぶことにす
る。この場合、カット波長λ12は約590nmである。
【0040】また、R光ダイクロイック膜は、第2偏光
であるS偏光に対して波長560nmから610nm付
近の波長領域にて透過率が急激に変化する特性を有す
る。この波長域においてピークとなる透過率はTSPであ
る。そしてTSPの50%の透過率である0.5*TSP
波長をカット波長λ11と呼ぶことにする。この場合、カ
ット波長λ11は約575nmである。
【0041】R光反射ダイクロイック膜は、R光に対応
する第1波長領域(>λ12)においてS偏光及びP偏光
を反射する反射する特性と、G光に対応する第2波長領
域(<λ11)においてS偏光及びP偏光を透過する特性
と、上記第1及び第2波長領域の間であって、光源1の
不要輝線スペクトルのピーク波長が含まれる第3波長領
域(λ11〜λ12)において一方のS偏光を反射し、他方
のP偏光を透過する特性とを有する。
【0042】このように、R光反射ダイクロイック膜と
して第3波長領域(λ11〜λ12)において一方のS偏光
を反射し他方のP偏光を透過する特性を有するものを使
用する場合、第1のライトバルブ6Rに偏光ビームスプ
リッタ2からのP偏光を入射させる際には、580nm
の不要な輝線スペクトルがR光反射ダイクロイック膜を
透過する。つまり、580nmの不要な輝線スペクトル
は、第1のライトバルブ6Rに入射せず、当然偏光ビー
ムスプリッタ2にも戻らない。さらに、第2のライトバ
ルブ6Gに偏光ビームスプリッタ2からのP偏光を入射
させる際には、光源光に含まれる580nmの不要な輝
線スペクトルもR光反射ダイクロイック膜を透過してラ
イトバルブ6Gに入射することになる。しかしながら、
第2のライトバルブ6Gで変調されたS偏光をR光反射
ダイクロイック膜に戻す際には、580nmの輝線スペ
クトルがR光反射ダイクロイック膜で反射されてこれを
透過しなくなるので、580nmの不要な輝線スペクト
ルが偏光ビームスプリッタ2に戻らなくなる。以上のこ
とは、図4に示す特性のR光反射ダイクロイック膜を経
ることによって580nmの不要な輝線スペクトルが自
動的に除去されることを意味する。
【0043】一方、副ダイクロイック膜であるB光反射
ダイクロイック膜について説明する。B光反射ダイクロ
イック膜は、G光に対応する第2波長領域においてP偏
光とS偏光とを透過する。また、B光反射ダイクロイッ
ク膜は、B光に対応する第4波長領域においてP偏光と
S偏光とを反射する。また、B光反射ダイクロイック膜
は、第2波長領域と第4波領域の間である第5波長領域
において、P偏光を透過し、S偏光を反射する。詳細な
図示を省略するが、S偏光に対するカット波長とP偏光
に対するカット波長とがほぼ一致しており、これらのカ
ット波長の差(すなわち第5波長領域の間隔)が上記第
3波長領域(λ11〜λ12)の間隔よりも狭くなってい
る。つまり、B光反射ダイクロイック膜のカット波長で
ある500nmあたりに不要な輝線スペクトルが存在し
ないので、S偏光のカット波長とP偏光のカット波長と
の間の第5波長領域を狭くすることにより、この第5波
長領域で光源光が減衰することを防止している。
【0044】図5は、R光反射ダイクロイック膜の反射
透過特性とB光反射ダイクロイック膜の反射透過特性と
をモデル化して定性的に比較したグラフである。図5
(a)はB光反射ダイクロイック膜の特性を示し、図5
(b)はR光反射ダイクロイック膜の特性を示し図4に
対応する。なお、両グラフにおいて、横軸は波長を示
し、縦軸は透過率を示す。図からも明らかなように、R
光反射ダイクロイック膜では、B光反射ダイクロイック
膜と比較して、点線で示すP偏光のカット波長と実線で
示すS偏光のカット波長との差が大きくなっている。
【0045】図1に戻って、各ライトバルブ6B、6
G、6Rは、電気書き込み式の反射型液晶ライトバルブ
であって、各色の色信号に基づいて各ライトバルブ6
B、6G、6Rに入射する直線偏光(P偏光)のうちの
所定箇所に対応する画素に相当する液晶層の液晶分子の
配列を変えることによって複屈折層を形成し、入射直線
偏光の振動方向を変えてP偏光をS偏光に変換(変調)
して反射射出させる機能を有する。このような機能を有
することから、各ライトバルブ6B、6G、6Rからの
射出光には、選択された箇所に相当する変調光であるS
偏光と、選択されなかった箇所に相当する非変調光たる
P偏光とが混在していることになる。
【0046】なお、電気書き込み式のライトバルブの場
合、各画素にはそれぞれ対応してスイッチング用の素子
が設けられており、これを色信号によってスイッチング
させて液晶層に電界を与えることにより、P偏光をS偏
光に変換することが可能になる。他の方式として光書き
込み式ライトバルブが知られているが、書き込み光学系
を必要とすることから、投射型表示装置全体としても大
型化してしまう。よって、小型化の点では、実施形態の
電気書き込み式の方が有利である。
【0047】以下、図1に示す投射型表示装置の動作に
ついて説明する。光源1から射出した略平行光束の光源
光は、偏光ビームスプリッタ2にプリズム2aから入射
し、偏光分離部2pで反射されて廃棄されるS偏光と、
この偏光分離部2pを透過して照明光として使用される
P偏光とに偏光分離される。
【0048】偏光ビームスプリッタ2の偏光分離部2p
を透過し、偏光ビームスプリッタ2を射出したP偏光
は、3つのプリズム部材3、4、5から構成される色分
解合成光学系10に入射し、R光、G光並びにB光に色
分解される。
【0049】具体的に説明すると、プリズム部材3の面
3aに形成した反射防止膜に入射した光は、この反射防
止膜を経てそのまま進行して面3bに形成されたR光反
射ダイクロイック膜に入射し、このR光反射ダイクロイ
ック膜にて反射されるR光と、そのまま透過して進行す
るB光及びG光の混合光とに色分解される。反射された
R光は、プリズム部材3中を進行し、面3aに再度入射
するとともに全反射されて進行し、反射防止膜が形成さ
れた面3cからP偏光のR光として射出され、射出面3
c近傍に配置されたR光用ライトバルブ6Rに入射す
る。プリズム部材3の面3bから射出されたB光及びG
光の混合光は、面3bと空隙を介して配置されているプ
リズム部材4の面4aに入射する。このまま進行した混
合光は、プリズム部材4とプリズム部材5との接合面で
あって、面4b上に形成されたB光反射ダイクロイック
膜に入射し、このB光反射ダイクロイック膜によって反
射されるB光と、B光反射ダイクロイック膜を透過進行
して面5aからプリズム部材5中に入射するG光とに色
分解される。反射されたB光は、プリズム部材4中を進
行し、面4aに再度入射するとともにここで全反射作用
を受けて進行し、反射防止膜が形成された面4cから射
出され、この面4c近傍に配置されたB光用ライトバル
ブ6Bに入射する。プリズム部材5に入射したG光は、
そのまま進行して反射防止膜が形成された面5bから射
出され、変換されたP偏光とともに、この面5b近傍に
配置されたG光用ライトバルブ6Gに入射する。
【0050】各ライトバルブ6B、6G、6Rにおい
て、各色の画像信号によって選択された画素に対応する
部分に入射したP偏光は、S偏光に変換されて反射・射
出される。選択されなかった箇所に入射したP偏光は、
そのまま変化を受けることなくP偏光のまま反射・射出
される。つまり、ライトバルブ6B、6G、6Rは、選
択した画素に対応する位置から変調光としてのS偏光
と、選択されなかった画素に対応する位置から非変調光
としてのP偏光とを出射する。
【0051】これら各ライトバルブ6B、6G、6Rか
ら射出された光は、入射光軸を逆行し、プリズム部材
3、4、5からなる色分解合成光学系10によって色合
成が達成され、第1のプリズム部材3の面3aから合成
光として射出される。なお、この色分解合成光学系10
中において、変調光が逆行するに際して、B光はプリズ
ム部材4の面4aにて、R光はプリズム部材3の面3a
(第1面)にてそれぞれ一つづつ全反射作用を受けるこ
とはいうまでもない。
【0052】この合成光は、偏光ビームスプリッタ2に
プリズム2bから再入射し、偏光分離部2pによって目
的とする変調光に相当するS偏光のみが選択されて反射
される。反射された変調光は、偏光ビームスプリッタ2
のプリズム2b側から射出して投射レンズ7に入射し、
図示を省略するスクリーン上にフルカラー像が投射され
る。
【0053】図6は、色分解合成光学系10による不要
輝線のカットを説明する図である。以下の各グラフにお
いて、縦軸はそれぞれ任意光量を示し、横軸は波長を示
している。このうち、図6(a)及び図6(b)は、最
初のR光反射ダイクロイック膜による色分解を説明する
図である。ここで、図6(a)は、R光反射ダイクロイ
ック膜で反射されてライトバルブ6Rに入射するR光を
示し、図6(b)は、R光反射ダイクロイック膜を透過
するB光及びG光を示す。なお、R光及びG光の間の領
域においてS偏光のカット波長は、P偏光に比較してよ
り低波長側に存在するが、S偏光は偏光ビームスプリッ
タ2で廃棄されてR光反射ダイクロイック膜に入射しな
いので、実線で示すP偏光の分布、すなわち斜線部で示
す光量で色分解が行われる。
【0054】図6(c)及び図6(d)は、B光反射ダ
イクロイック膜による色分解を説明する図である。ここ
で、図6(c)は、B光反射ダイクロイック膜を透過し
てライトバルブ6Gに入射するG光を示し、図6(d)
は、B光反射ダイクロイック膜で反射されてライトバル
ブ6Bに入射するB光を示す。なお、G光及びB光の境
界においてS偏光及びP偏光はほぼ同じカットオフ波長
となっているので、実線で示す分布、すなわち斜線部で
示す光量で色分解が行われる。
【0055】図6(e)〜図6(g)は、色合成前の状
態を説明する図である。なお、以下の説明では、説明の
便宜上、各ライトバルブ6R、6G、6Bに入射したP
偏光が各ライトバルブへの色信号によってすべてS偏光
に変換されて射出されるものとして説明する。図6
(e)は、ライトバルブ6Bで変調されて偏光ビームス
プリッタ2に戻される変調光を示し、図6(d)に対応
する。また、図6(f)は、ライトバルブ6Gで変調さ
れて偏光ビームスプリッタ2に戻される変調光を示し、
図6(c)に対応する。また、図6(g)は、ライトバ
ルブ6Rで変調されて偏光ビームスプリッタ2に戻され
る変調光を示し、図6(a)に対応する。ここで、図6
(f)と図6(c)とを比較すると、B光反射ダイクロ
イック膜を透過してライトバルブ6Gに入射する照明光
と、ライトバルブ6Gから出射して偏光ビームスプリッ
タ2に戻される変調光とは、R光及びG光の間の領域に
おいて異なる分布を有している。このような現象は、R
光反射ダイクロイック膜おいて、色分解時にP偏光のカ
ット波長によって光量分布が定まり、色合成時にS偏光
のカット波長によって光量分布が定まることに起因す
る。
【0056】図6(h)は、最終的な合成後の状態を説
明する図である。図からも明らかなように、R光及びG
光の間の領域において光量がV字状に急激に減衰する減
光部分が形成される。このような減光部分を不要輝線
(具体的には580nm)と一致させれば、簡易かつ正
確に不要輝線を除去することができ、しかも必要な照明
光の減少を最小限にすることができる。このように不要
輝線を除去した合成光は、色バランスが調整され、スク
リーン上に理想的な白色光が投影される。
【0057】以上では、各ライトバルブ6R、6G、6
BですべてのP偏光がS偏光に変調されるものとして説
明した。しかしながら、実際は、各色光用ライトバルブ
6R、6G、6Bにより、各色信号によって入射光のう
ち特定の画素位置への入射光のみをS偏光に変調し、変
調されたS偏光と非変調光のP偏光との混合光として射
出し、色分解合成光学系10により、図5(a)及び図
5(b)の特性によって色合成が達成される。この際、
非変調光に相当するP偏光については、R光とG光の間
の領域(つまり、図5(b)のS偏光とP偏光とのカッ
トオフ波長の差に相当する箇所)で、輝線スペクトルが
カットされずそのまま色合成されて、偏光ビームスプリ
ッタ2に入射してしまう。しかし、非変調光であるP偏
光は偏光ビームスプリッタ2の偏光分離部2pを透過
し、光源1方向へ進行して廃棄されるので、投射像とし
ては、輝線成分が投射されることがなく何の問題も発生
しない。このように、カラーバランスについては、投射
光においては良好に維持することができ、フルカラー投
射像が得られる。
【0058】以下では、図6(h)に示す特性におい
て、R光及びG光の間において光量がV字状に減衰する
減光部分(減光波長域)を不要輝線と一致させる方法に
ついて説明する。
【0059】上記のような減光波長域の中央値の調整
は、R光反射ダイクロイック膜を構成する各層の膜厚の
調節、各層の屈折率差の調節によって行うことができ
る。また、上記のような減光波長域の波長幅の調整は、
R光反射ダイクロイック膜への光源光の入射角の調節、
色分解合成光学系10を構成する各プリズム部材3、
4、5の屈折率調節、R光反射ダイクロイック膜を構成
する各層の屈折率及び膜厚の組合せの調節によって行う
ことができる。
【0060】以下、減光波長域の中央値の調整を、R光
反射ダイクロイック膜を構成する各層の膜厚や屈折率差
の調節によって行う方法について説明する。
【0061】高屈折率と低屈折率の薄膜を交互に積層し
たダイクロイック膜では、膜厚や屈折率差に応じた不透
過帯が形成される。このような不透過帯の中心波長をλ
0にするためには、nd=λ0/4の厚さを有する屈折率
Hの薄膜と屈折率nLの薄膜とを交互に積層すれば良
い。
【0062】図7は、屈折率nH=2.35の薄膜と屈
折率nL=1.45の薄膜とを積層した(HL)10のダ
イクロイック膜に屈折率n0=1.85の入射ガラス側
から光を垂直入射させた場合の透過率の具体例を示す図
である。ここで、Hはλ0(=550nm)でλ/4の
厚さを有する高屈折率膜を、Lは同様にλ/4の厚さを
有する低屈折率膜を意味し。上付の添え字10は、一組
の(HL)を10回繰返して積層することを意味する。
【0063】不透過帯は、波長λ0を中心にある幅を有
している。不透過帯の範囲は、短波長側のエッジ波長λ
e1と長波長側のエッジ波長λe2とによって特定され、こ
れらのエッジ波長λe1、λe2は、周知のように、次式で
与えられる。
【0064】 λe1=λ0/(1+Δg) …(1) λe2=λ0/(1−Δg) …(2) ここで、 Δg=(2/π)sin-1((nH−nL)/(nH+nL))…(3) である。この式(3)からは、nHとnLの差が大きいほ
ど不透過帯の幅が広がることが分かる。
【0065】本実施形態では、R光及びG光の色分解の
目的でエッジ波長λe1を使用するので、式(1)と式
(3)とに基づいてカット波長を適宜設定することがで
きる。
【0066】以下、減光波長域の幅の調整を、R光反射
ダイクロイック膜に入射させる光の角度等の調整によっ
て行う方法について説明する。
【0067】R光反射ダイクロイック膜に斜入射の光を
入射させる場合、実効的な屈折率を用い、膜厚も屈折率
を補正する係数を掛ける。高屈折率膜内での光の進む角
度θ Hは、入射ガラスにおける入射角をθ0として、スネ
ルの法則から、 n0・sinθ0=nH・sinθH …(4) で与えられる。同様に低屈折率膜内での光の進む角度θ
Lは、 n0・sinθ0=nL・sinθL …(5) 上記式(4)、(5)によって与えられる進行角θH
θLを用いて膜厚を補正する。補正は、P偏光もS偏光
も同じである。高屈折率膜及び低屈折率膜の厚みは次の
式になる。
【0068】 λ0/4×(1/cosθH) …(6) λ0/4×(1/cosθL) …(7) この式(6)、(7)から、斜入射の場合、垂直入射よ
りも厚い膜が必要となることが分かる。
【0069】次に、進行角θH、θLを用いて実効的な屈
折率を求める。P偏光に対して、実効的屈折率ηH、ηL
は、 ηH=nH/cosθH …(8) ηL=nL/cosθL …(9) で与えられる。また、S偏光に対して、実効的屈折率η
H、ηLは、 ηH=nH・cosθH …(10) ηL=nL・cosθL …(11) で与えられる。斜入射の場合、不透過帯の幅は、実効的
屈折率ηH、ηLを用い、上記式(3)に代えて以下の式
を用いることで得られる。
【0070】 Δg=(2/π)sin-1((ηH−ηL)/(ηH+ηL))…(12) ここで、実効的屈折率ηH、ηLは、P偏光とS偏光とで
異なるため、P偏光とS偏光とで不透過帯が異なる。一
般には、S偏光の不透過帯の方がP偏光の不透過帯の幅
よりも広くなる。
【0071】図8は、多層膜の屈折率を変更せず、膜厚
のみを厚く補正して入射角θ0=20゜で光を入射させ
た場合の透過率の具体例を示す図である。この場合、式
(1)と式(12)とに基づいてエッジ波長λe1を求め
ることができるが、P偏光とS偏光とで差異を生じる。
なお、式(1)、(12)から得られるエッジ波長λ e1
は、厳密にはカット波長とは異なる。
【0072】以上の考察から明らかなように、R光反射
ダイクロイック膜を構成する多層膜の屈折率や膜厚、さ
らに斜入射の入射角等を適宜調節することにより、図6
(h)に示すV字状の減光波長域の位置や幅を所望の値
に設定することができる。具体的には、R光反射ダイク
ロイック膜のS偏光に対するカット波長を570nm、
P偏光に対するカット波長を590nm程度にすること
により、580nmに存在する不要な輝線スペクトルを
除去することができる。
【0073】図9は、上記式(1)、(8)〜(12)
を用い、入射ガラスの屈折率n0と入射角θ0とをパラメ
ータとしたときのP偏光のカット波長λ12とS偏光のカ
ット波長λ11とにおける差を示す図である。ここで、高
屈折率膜や低屈折率の屈折率は上記と同様にnH=2.
35、nL=1.45としている。本実施形態の場合、
580nm±10nm程度、幅で20nmの範囲に存在
する不要輝線を除去できればよいので、カット波長の差
が20〜25nmである図中の斜線のゾーンが実用的な
屈折率n0及び入射角θ0の範囲となる。〔第2実施形
態〕以下、第2実施形態に係る投射型表示装置について
説明する。第2実施形態の装置は、第1実施形態の装置
を変形したものであり、偏光ビームスプリッタ2の偏光
分離部2pで反射されたS偏光を各ライトバルブ6R、
6G、6Bの照明光として利用するが、色分解合成光学
系10等のその他の構造は第1実施形態と同様である。
この場合、各ライトバルブ6R、6G、6Bで変調され
たP偏光がスクリーン上に投影されることになる。
【0074】図10は、第2実施形態の装置における、
色分解合成光学系10による不要輝線のカットを説明す
る図である。
【0075】図10(a)及び図10(b)は、R光反
射ダイクロイック膜による色分解を説明する図である。
ここで、図10(a)は、R光反射ダイクロイック膜で
反射されてライトバルブ6Rに入射するR光を示し、図
10(b)は、R光反射ダイクロイック膜を透過するB
光及びG光を示す。なお、P偏光はR光反射ダイクロイ
ック膜に入射しないので、実線で示すS偏光のカット波
長、すなわち斜線部で示す光量で色分解が行われる。
【0076】図10(c)及び図10(d)は、B光反
射ダイクロイック膜による色分解を説明する図である。
ここで、図10(d)は、B光反射ダイクロイック膜で
反射されてライトバルブ6Bに入射するB光を示し、図
10(c)は、B光反射ダイクロイック膜を透過するG
光を示す。なお、G光及びB光の境界においてS偏光及
びP偏光はほぼ同じカット波長となっているので、実線
で示すS偏光のカット波長、すなわち斜線部で示す光量
で色分解が行われる。
【0077】図10(e)〜図10(g)は、色合成前
の状態を説明する図である。図10(e)は、ライトバ
ルブ6Bで変調されて偏光ビームスプリッタ2に戻され
る変調光を示す。また、図10(f)は、ライトバルブ
6Gで変調されて偏光ビームスプリッタ2に戻される変
調光を示す。また、図10(g)は、ライトバルブ6R
で変調されて偏光ビームスプリッタ2に戻される変調光
を示す。ここで、R光反射ダイクロイック膜で反射され
てライトバルブ6Rに入射する照明光(図10(a)参
照)と、ライトバルブ6Rから出射して偏光ビームスプ
リッタ2に戻される変調光(図10(g)参照)とは、
R光及びG光の間の領域において異なる分布を有してい
る。このような現象は、R光反射ダイクロイック膜おい
て、色分解時にS偏光によってカット波長が定まり、色
合成時にP偏光によってカット波長が定まることに起因
する。
【0078】図10(h)は、最終的な合成後の状態を
説明する図である。図からも明らかなように、R光及び
G光の間の領域において光量がV字状に急激に減衰する
減光部分が形成される。このような減光部分を不要輝線
と一致させれば、簡易かつ正確に不要輝線を除去するこ
とができ、しかも必要な照明光の減少を最小限にするこ
とができる。
【0079】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の投射型表示装置によれば、ダイクロイック膜が光源の
不要輝線スペクトルのピーク波長が含まれる第3波長領
域において前記第1偏光と前記第2偏光との一方を反射
し他方を透過する特性を有するので、第1ライトバルブ
や第2ライトバルブへの入射前後の不要輝線スペクトル
をダイクロイック膜に入射させることによって、投影す
べき変調光からカラーバランスに悪影響を与える不要輝
線スペクトルのみを除去することができ、光源の光量を
増大させることなく投射像の高輝度化達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る投射型表示装置の
構成を示す図である。
【図2】光源に使用するランプの波長特性を示すグラフ
である。
【図3】(a)は偏光ビームスプリッタ等を構成するプ
リズム材料用の試料の組成や特性を示し、(b)は各試
料のPbOの含有率と光弾性常数を最小にする波長との
関係を示すグラフであり、(c)は各試料の光弾性常数
と波長の特性を示すグラフである。
【図4】本実施形態にて使用したR光反射ダイクロイッ
ク膜の光学特性を示すグラフである。
【図5】(a)はB光反射ダイクロイック膜の特性を定
性的に説明したグラフであり、(b)はR光反射ダイク
ロイック膜の特性を定性的に説明したグラフである。
【図6】(a)〜(h)は、色分解合成光学系による色
分解と合成とを定性的に説明したグラフである。
【図7】ダイクロイック膜に光を垂直入射させた場合の
透過率分布の具体例を示す図である。
【図8】ダイクロイック膜に光を斜め入射させた場合の
透過率分布の具体例を示す図である。
【図9】ダイクロイック膜によるカット波長のP偏光と
S偏光とにおける差を示すグラフである。
【図10】(a)〜(h)は、第2実施形態での色分解
合成光学系による色分解と合成とを定性的に説明したグ
ラフである。
【図11】従来の投射型表示装置を説明する図である。
【符号の説明】
1 光源 2 偏光ビームスプリッタ 2p 偏光分離部 3 プリズム部材 4 プリズム部材 5 プリズム部材 6B,6G,6R ライトバルブ 7 投射レンズ 10 色分解合成光学系 11 プリズム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 9/00 360 G09F 9/00 360D H04N 9/31 H04N 9/31 C B Fターム(参考) 2H088 EA14 EA15 EA16 HA18 HA20 HA24 HA28 MA06 2H091 FA05X FA08X FA08Z FA10X FA10Z FA14X FA14Y FA21X FA26X FA41X FD03 KA01 LA03 LA17 MA07 5C060 DA03 GB01 HC22 HC26 HD02 JA11 5G435 AA03 BB03 BB12 BB16 BB17 CC12 DD05 DD06 DD09 DD11 FF05 FF11 GG02 GG03 GG23 HH01 LL15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1色成分の光について、第1振動方向
    の偏光である第1偏光を前記第1振動方向と異なる第2
    振動方向の偏光である第2偏光に変調して反射する第1
    ライトバルブと、 前記第1色成分と異なる第2色成分の光について、前記
    第1偏光を前記第2偏光に変調して反射する第2ライト
    バルブと、 光源光から前記第1偏光を分離する偏光分離光学系と、 前記第1色成分に対応する第1波長領域における前記第
    1偏光及び前記第2偏光を反射する特性と、前記第2色
    成分に対応する第2波長領域における前記第1偏光及び
    前記第2偏光を透過する特性と、前記第1波長領域と前
    記第2波長領域との間であって、前記光源の不要輝線ス
    ペクトルのピーク波長が含まれる第3波長領域における
    前記第1偏光と前記第2偏光との一方を反射し他方を透
    過する特性とを有するダイクロイック膜を含み、前記偏
    光分離光学系から入射した前記第1偏光を、前記ダイク
    ロイック膜を介して前記第1色成分と前記第2色成分と
    に色分解した後、前記第1ライトバルブ及び前記第2ラ
    イトバルブへ出射し、前記第1ライトバルブ及び前記第
    2ライトバルブにより変調された前記第1色成分の光と
    前記第2色成分の光を入射して、前記ダイクロイック膜
    を介して色合成をする色分解合成光学系と、 前記色分解合成光学系を出射した光から前記第2偏光を
    検光する検光光学系とを有することを特徴とする投射型
    表示装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の投射型表示装置におい
    て、 前記第3波長領域の中央値は、当該ダイクロイック膜を
    形成する多層膜を構成する各層の膜厚の調節によって調
    節されていることを特徴とする投射型表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の投射型表示装置におい
    て、 前記第3波長領域の中央値は、当該ダイクロイック膜を
    形成する多層膜を構成する各層の屈折率差の調節によっ
    て調節されていることを特徴とする投射型表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の投射型表示装置におい
    て、 前記第3波長領域の間隔は、前記ダイクロイック膜への
    前記光源光の入射角の調節によって設定されることを特
    徴とする投射型表示装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の投射型表示装置におい
    て、 前記色分解合成光学系は、前記ダイクロイック膜を挟ん
    で配置される2つのプリズムを含み、前記第3波長領域
    の間隔は、前記2つのプリズムの少なくとも1つのプリ
    ズムを特定の屈折率に定めることにより設定されること
    を特徴とする投射型表示装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の投射型表示装置におい
    て、 前記第3波長領域の間隔は、前記ダイクロイック膜を形
    成する多層膜を構成する各層の屈折率及び膜厚の組合せ
    を制御することにより設定されることを特徴とする投射
    型表示装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の投射型表示装置におい
    て、 前記第1色成分及び第2色成分と異なる第3色成分の光
    について、前記第1偏光を前記第2偏光に変調して反射
    する第3ライトバルブをさらに備え、 前記分解合成光学系は、前記第2波長領域における前記
    第1偏光及び前記第2偏光を透過する特性と、前記第3
    色成分に対応し前記第2波長領域に近接するとともに前
    記第1波長領域と離隔する第4波長領域における前記第
    1偏光及び前記第2偏光を反射する特性と、前記第2波
    長領域と前記第4波長領域との間であって前記第3波長
    領域の間隔よりも狭い第5波長領域における前記第1偏
    光と前記第2偏光との一方を反射し他方を透過する特性
    とを有する副ダイクロイック膜とを含み、 前記偏光分離光学系から入射した前記第1偏光を、前記
    ダイクロイック膜及び前記副ダイクロイック膜を介して
    前記第1色成分、前記第2色成分及び前記第3色成分に
    色分解した後、前記第1ライトバルブ、前記第2ライト
    バルブ及び前記第3ライトバルブへそれぞれ出射し、前
    記第1ライトバルブ、前記第2ライトバルブ及び前記第
    3ライトバルブによりそれぞれ変調された前記第1色成
    分、前記第2色成分及び前記第3色成分の光を入射し
    て、前記ダイクロイック膜及び前記副ダイクロイック膜
    を介して色合成をすることを特徴とする投射型表示装
    置。
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