JP2001264509A - 反射防止膜が被覆された物品およびその製造方法 - Google Patents

反射防止膜が被覆された物品およびその製造方法

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JP2001264509A
JP2001264509A JP2000077378A JP2000077378A JP2001264509A JP 2001264509 A JP2001264509 A JP 2001264509A JP 2000077378 A JP2000077378 A JP 2000077378A JP 2000077378 A JP2000077378 A JP 2000077378A JP 2001264509 A JP2001264509 A JP 2001264509A
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film
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Yasuhiro Saito
靖弘 斉藤
Takahiro Asai
貴弘 浅井
Hiroyuki Inomata
宏之 猪又
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基体表面の反射率を低減する反射防止膜は、蒸
着法等の方法により高屈折率の膜と低屈折率の膜を2層
以上積層して被覆される。この方法は、高価な蒸着設備
を必要とし、また複数の層を厚みの精度を厳密に制御し
て被覆しなければならないので、経済的に反射防止膜を
被覆するのに不利であった。また、基体を加熱する必要
があり、樹脂などの熱的に弱い基体には被覆することは
できなかった。 【解決手段】チタンフッ化アンモニウムを含みチタン酸
化物の過飽和溶液とした第1の処理液と、珪ッ化アンモ
ニウムを含み二酸化珪素の過飽和溶液とした第2の処理
液を適当な比率で混合し、第1の処理液のチタンと第2
の処理液の珪素の析出速度差を利用して、厚み方向に組
成勾配を有するようにする。析出速度の差は、チタンと
選択的にキレート化合物を形成するEDTAキレート化
剤を処理液に添加することにより行う。反射防止膜の厚
みは20〜150nmがよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスプレー装置
の表示窓や光学レンズなど、低反射率の表面をもつこと
が要求される物品に広く応用できる反射防止膜被覆物品
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基体表面の反射率の低減には、基体上に
薄膜を形成することにより低反射化する方法が広く知ら
れている。例えば、透明ガラスの少なくとも片側表面に
ガラス側から第1層として高屈折率の薄膜を被覆し、そ
の薄膜の上に第2層として低屈折率の薄膜を形成した物
品が開示されている(例えば特開平4−357134号
公報)。
【0003】さらに、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜を交
互に積層した反射防止膜を被覆した低反射率の物品が開
示されている(例えば特開平4−357134号公
報)。このように透明基体の上に薄膜を被覆した物品を
製造する方法としては、ゾルゲル法、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、CVD法などが知られている。
【0004】また、単層の膜を被覆して基体表面の反射
率を低減する方法としては、ゾルゲル法でガラス上に2
種類以上の金属酸化物膜を被覆し、加熱して膜成分を分
相させ、その後弗化水素酸でエッチングして多孔性のシ
リカ膜に変える方法が提案されている(例えばS.P.Mukh
erjee and W.H.Lowdermilk,J.Non-Cryst.Solids,48,177
-184(1982))。
【0005】さらに、ガラス上に多孔性の酸化珪素膜を
形成させた後、弗化水素酸でエッチングして気孔率の大
きい多孔性の膜にすることで反射率を低減する方法(例
えばB.E.Yoldas and D.P.Partlow,Thin Solid Films,12
9,1-14(1985))や、ガラス上に酸化マグネシウムと酸化
珪素の複合膜を形成させた後、高温でフッ素系ガス中に
曝すことによって酸素とフッ素を置換する方法が提案さ
れている(J.H.Simmonsら、J.Non-Cryst.Solids,178 16
6-175(1994))。これらは、いずれも基体表面に見かけ
上屈折率の低い膜を被覆する低反射率化である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、2層以
上の膜を積層する方法は、基体表面を確実に低反射率化
することができるものの、薄膜のコーティング(被覆)
回数が2回以上必要となるために、製造工程が複雑にな
り、コストの点で好ましくない。さらに、屈折率の異な
る薄膜を積層した反射防止膜は反射率の角度依存性が高
くなるので、設計した入射角度以外での反射率が必ずし
も低くないという問題点があった。また、基体上に薄膜
を被覆する方法に関しては、ゾルゲル法、真空蒸着法、
スパッタリング法、CVD法などいずれも薄膜の被覆に
高温をともなう工程が必要であったり、真空にする工程
が必要であった。とりわけ基体を高温にする必要がある
場合、樹脂の基体では高温にともなう変形や樹脂からの
ガス放出が生じ、良好な反射防止膜を被覆することが困
難であった。
【0007】また、上記の単層の膜で反射率を低減させ
る方法は、膜の表面を多孔性にしているので、被膜の物
理的な強度が不足したり、膜の内部に汚れが付着しやす
いという問題点があった。また、複合膜にフッ素を含有
させる方法は、汚れの付着性の問題は解決されるもの
の、フッ素を含有させる工程を含むため生産性が良いと
はいえず、さらに基体を高温にする必要があるので基体
の材料が限られるという問題点があった。
【0008】本発明の課題は、上記の問題点を解決する
ことである。すなわち本発明の第1の目的は、広い波長
範囲にわたり反射率を低減することができる単層の反射
防止膜を被覆した物品を提供することであり、第2の目
的は、広い波長範囲にわたり反射率を低減する単層の反
射防止膜被覆物品を低温プロセスで製造する方法を提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、基体の
少なくとも片側表面に反射防止膜が被覆された物品であ
って、前記反射防止膜は、前記基体表面から厚み方向外
側にいくに従い低くなる屈折率傾斜を有し、かつ前記基
体との界面における屈折率が前記基体の屈折率よりも高
いことを特徴とする物品である。
【0010】本発明において、基体の材料としては、ガ
ラス(550nmの波長での屈折率はガラス組成により
1.51〜1.53)や弗化カルシウム(同波長で1.
43)、酸化アルミニウム(同波長で1.77)のよう
な無機系の基体のほか、アクリル樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂などの屈
折率が1.49〜1.52の有機系材料が例示できる。
【0011】本発明において、屈折率を基体と反射防止
膜の界面から外側に向かって連続的に低下させ、かつ基
体と反射防止膜の界面における反射防止膜の屈折率を基
体の屈折率よりも高くしているので、単層構成で広い波
長範囲にわたり基体に入射する光の反射率を低減するこ
とができる。本発明においては、反射防止膜と空気との
界面および反射防止膜と基体との界面における光学的な
干渉作用により基体表面をより低い反射率にする。本発
明により得られる物品の反射率特性は、上に凹の反射率
カーブを有し、通常極小値を有する分光反射率特性を有
する。
【0012】本発明の反射防止膜の厚みは、20nm以
上とするのが好ましい。20nm未満であると、反射率
の極小値が十分に小さくならないと同時に、広い波長範
囲に亘って基体表面の反射率を低減する効果が小さいか
らである。また同様の理由と反射防止膜の被覆に長い時
間をかけないようにする観点から、その厚みは40nm
以下とするのが好ましい。
【0013】本発明の第2は、基体の少なくとも片側表
面に反射防止膜が被覆された物品において、前記反射防
止膜は、前記基体表面から厚み方向外側にいくに従い低
くなる屈折率傾斜領域と前記屈折率傾斜領域の外側に厚
み方向に一定の屈折率を有する低屈折率領域とで構成さ
れ、かつ前記基体との界面における屈折率が前記基体の
屈折率よりも高いことを特徴とする物品である。
【0014】本発明において、基体の材料としては、ガ
ラスや弗化カルシウム、酸化アルミニウムのような無機
系の材料のほか、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹
脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂などの有機系
材料が例示できる。
【0015】本発明において、屈折率を基体と反射防止
膜の界面から外側に向けて連続的に低下させ、かつ基体
と反射防止膜の界面における反射防止膜の屈折率を基体
の屈折率よりも高くしているので、単層構成で広い波長
範囲にわたり基体に入射する光の反射率を低減すること
ができる。本発明においては、反射防止膜と空気との界
面および反射防止膜と基体との界面における光学的な干
渉作用により基体表面をより低い反射率にする。本発明
により得られる物品の反射率特性は、上に凹の反射率カ
ーブを有し、通常極小値を有する分光反射率特性を有す
る。
【0016】本発明の反射防止膜は、基体表面から厚み
方向外側にいくに従い低くなる屈折率傾斜領域と屈折率
傾斜領域の外側に厚み方向に一定の屈折率を有する低屈
折率領域とを有しているので、一層広い波長域で基体表
面を低反射率にすることができる。
【0017】本発明の反射防止膜の厚みは、20nm以
上とするのが好ましい。20nm未満であると、反射率
の極小値が十分に小さくならないと同時に、広い波長範
囲に亘って基体表面の反射率を低減する効果が小さいか
らである。また同様の理由と反射防止膜の被覆に長い時
間をかけないようにする観点から、その厚みは40nm
以下とするのが好ましい。
【0018】本発明の低屈折率領域の厚みは、反射率低
減を広い波長域で効果的に行うために70nm以上とす
るのが好ましい。また150nm以下とするのが好まし
い。
【0019】本発明の第1および第2の共通の事柄とし
て、反射防止膜の厚み方向の屈折率傾斜は、高屈折率金
属酸化物と低屈折率酸化物としての酸化珪素の混合割合
を厚み方向で異なるようにして被覆することにより達成
される。
【0020】本発明の第3は、基体の少なくとも片側表
面に反射防止膜が被覆された物品の製造方法において、
前記基体を金属フッ化水素酸または金属フッ化アンモニ
ウムを含み前記金属の酸化物の過飽和溶液とした第1の
処理液中と、珪フッ化水素酸または珪ッ化アンモニウム
を含み二酸化珪素の過飽和溶液とした第2の処理液を混
合し、前記第1の処理液中の金属と前記第2の処理液中
の珪素の析出速度差を利用して、前記金属の酸化物と二
酸化珪素について厚み方向に組成勾配を有する反射防止
膜を析出被覆する反射防止膜被覆物品の製造方法であ
る。
【0021】本発明の第1の処理液は、金属フッ化水素
酸または金属フッ化アンモニウムを含みその金属の酸化
物を過飽和状態で含む溶液が用いられる。また本発明の
第2の処理液は、珪フッ化水素酸または珪ッ化アンモニ
ウムを含み二酸化珪素を過飽和状態で含む溶液が用いら
れる。
【0022】これらの処理液を用いて基体から膜の厚み
方向に屈折率が連続的に小さくなる(屈折率傾斜を有す
る)ようにするために、基体上に金属の酸化物と二酸化
珪素について厚み方向に組成勾配を有する反射防止膜を
析出被覆する。本発明においては、そのために第1の処
理液中の金属酸化物と第2の処理液中の二酸化珪素の析
出速度(被膜形成速度)差を利用する。すなわち析出中
において析出速度を相対的に変化させる。析出速度差を
つける方法としては特に限定されない。
【0023】たとえば、第1の処理液と第2の処理液を
適当な比率で混合し、続いて混合液に基体を漬ける。そ
の際、第1の処理液の金属酸化物の過飽和度を第2の処
理液の二酸化珪素の過飽和度に比べて高く設定しておく
と、初期の段階では第1の処理液の金属酸化物の析出速
度の方が大きくなる。続いて、第1の処理液に含まれる
金属のイオンの安定化剤を徐々に添加すると、第1の処
理液に含まれる金属酸化物の析出速度は徐々に低下し、
第2の処理液から析出する二酸化珪素の割合が多くな
る。金属イオンの安定化剤としては、金属イオンと結合
して処理液中で安定化される化合物が使用される。その
ような化合物として金属とキレート化合物を形成し得る
化合物、たとえばエチレンジアミン四酢酸(略称EDT
A)などの化合物が用いられる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に説明
する。図1は本発明の一つの実施の形態の断面図であ
り、本発明の反射防止膜が被覆された物品1は、ガラス
板3の表面に屈折率傾斜を有する反射防止膜2が被覆さ
れている。図2は、本発明の他の実施の形態の断面図
で、本発明の反射防止膜が被覆された物品1は、ガラス
板3の表面に厚み方向に屈折率傾斜を有する領域2aと
厚み方向に一定の屈折率を有する低屈折率領域2bとか
らなる反射防止膜2bが被覆されている。図3は、本発
明の反射防止膜が被覆された物品を製造する方法の一実
施の形態を説明する図である。
【0025】本発明の反射防止膜は、基体との界面また
はその近傍で屈折率が基体の屈折率よりも高いことが必
要であり、屈折率傾斜領域のうち最も基体から遠い部分
で、基体より小さいことが好ましい。基体の屈折率が約
1.5である透明ガラス板である場合、基体との界面ま
たはその近傍での屈折率が2.1以上とするのが好まし
い。屈折率傾斜領域のうち最も基体から遠い部分におけ
る屈折率は1.48以下であることが好ましい。
【0026】本発明において、屈折率傾斜を持たせるた
めの高屈折率の金属酸化物としては、酸化チタン、酸化
ジルコニウム、酸化タンタルを挙げることができ、その
中でも酸化チタンは屈折率が高く、原材料が安価に入手
できるのでとくに好ましい。また、低屈折率の酸化物材
料としては、二酸化珪素が挙げられる。
【0027】本発明の屈折率傾斜をつくるための二酸化
珪素の膜は、二酸化珪素の屈折率をより低くし、高屈折
率膜材料との屈折率差をより大きくする観点から、フッ
素を含有させるのが好ましい。そして二酸化珪素膜中に
含有するフッ素の含有量は、F/(F+Si)原子比率
で5%以下とするのがよい。
【0028】本発明の反射防止膜の一定の屈折率を有す
る低屈折率領域の屈折率は、通常屈折率傾斜領域の最も
低い屈折率と同じかあるいは若干それより低くするのが
よい。反射防止膜の屈折率傾斜領域の厚みを20〜40
nmの範囲内と、低屈折率領域の厚みを70〜150n
mの範囲内とすることにより、広い波長域にわたって反
射率が低く、すなわち反射色調が目立たない反射防止膜
とすることができる。
【0029】本発明の第1の処理液は、金属フッ化水素
酸または金属フッ化アンモニウムを含み、その金属の酸
化物の過飽和溶液としたものを用いることができる。金
属フッ化水素酸としては、チタンフッ化水素酸(H2
iF6)、ジルコニウムフッ化水素酸(H2ZrF6)、
タンタルフッ化水素酸(H2TaF7)、チタンフッ化ア
ンモニウム((NH42TiF6)、ジルコニウムフッ
化アンモニウム((NH42ZrF6)、タンタルフッ
化アンモニウム((NH42TaF7)を用いることが
できる。そしてこの第1の処理液には、溶液から基体へ
の金属酸化物膜の析出速度を大きくするために 塩化ア
ルミニウム、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩
やホウ酸のいずれかの少量を添加剤として含有させるの
がよい。
【0030】本発明の第2の処理液は、珪フッ化水素酸
(H2SiF6)または珪フッ化アンモニウム((N
42SiF6)を含み二酸化珪素を過飽和状態で含む
ようにした溶液を用いる。そして、この第2処理液に
は、溶液から基体への二酸化珪素膜の析出速度を大きく
するために 塩化アルミニウム、水酸化アルミニウムな
どのアルミニウム塩やホウ酸のいずれかの少量を添加剤
として含有させるのがよい。
【0031】図3に示すように、ガラス板3を樹脂製の
容器10内に入れた第1の処理液と第2の処理液の混合
液11に漬けて析出を開始する。第1の処理液の金属イ
オンの安定化剤(たとえば金属キレート化合物(有機金
属錯体)を形成し得る化合物)12をノズル13から一
定量滴下しながら攪拌棒14で処理液を攪拌し、第1の
処理液からの金属酸化物の析出速度を変化させることに
より、厚み方向に組成勾配に基づく屈折率傾斜を有する
反射防止膜を基体に被覆することができる。
【0032】以下に本発明を実施例と比較例により詳述
する。 実施例1 100mm×100mm×厚み1.1mmのソーダライ
ムシリケートフロートガラス板(重量%の組成:SiO
272.6、Al23 1.8、Na2O13.5、Ca
O8.9、MgO3.1、Fe230.1)を市販のア
ルカリ洗剤および純水で洗浄し乾燥した。ガラス板上へ
の反射防止膜の析出被覆は、以下の手順で行った。
【0033】まず、純水120ml、0.5mol/l
のチタンフッ化アンモニウム水溶液60mlおよび0.
5mol/lのホウ酸120mlを混合し、酸化チタン
膜析出用の第1の処理液とした。純水120ml、0.
5mol/lの珪フッ化アンモニウム水溶液60mlに
0.5mol/lのホウ酸120mlを混合し、二酸化
珪素膜析出用の第2の処理液とした。
【0034】次に、第1の処理液と第2の処理液の混合
液(混合比率1:1)を300mlの容器に入れ、30
℃の恒温槽中で一定温度になるまで放置した後、上記ガ
ラス板を浸漬し膜の析出を開始した。その後処理液中に
0.01mol/lのエチレンジアミン四酢酸(EDT
A)水溶液を0.1ml/分お速度で滴下した。析出完
了まで1時間であった。ガラス板を処理液から引き出し
水洗乾燥した。このようにして得た物品の特性を表1の
実施例1に示した。
【0035】得られた反射防止膜の試験は下記のように
した。 (膜の厚み方向屈折率分布)オージェ電子スペクトル分
析法によって薄膜の厚み方向の組成を求めた。酸化チタ
ンの屈折率の値(1.85)と二酸化珪素の屈折率
(1.42)の値を用い、屈折率が加成性を有する仮定
し、かつ析出した膜は酸化チタンと二酸化珪素が微視的
に混合生成しているとものと仮定して膜の屈折率を算出
した。 (膜中のフッ素含有量)蛍光X線分析により測定した。
【0036】得られた反射防止膜の屈折率傾斜を図4に
示す。この膜のフッ素含有量は、平均して約4.5%
(原子数比率)であった。図6には反射スペクトルを示
した。図6からわかるように約500nm付近で反射率
がほぼゼロとなる反射防止膜が被覆されている。
【0037】実施例2 EDTAの滴下速度を0.5ml/分としたほかは実施
例1と同じようにして反射防止膜を析出した。このサン
プルの屈折率傾斜と膜の反射スペクトルを表1、図4お
よび図6に示した。屈折率傾斜領域の上に、図4に示す
ように低屈折率領域を設けた結果、平均反射率は1.0
%となった。また反射スペクトルからわかるように、反
射率の波長依存性が小さくなり、着色の弱い優れた反射
特性が得られることがわかった。
【0038】実施例3 実施例2で得たサンプルを250℃で1時間加熱処理し
たこのサンプルは、表1、図4および図6からわかるよ
うに反射率の極小値が1%以下のものが得られたが、実
施例2と比較すると平均反射率はやや増大した。この結
果からフッ素の含有量が低下すると反射特性が悪くなる
ことが明らかとなった。
【0039】
【表1】 =================================== 基体 反射防止膜 平均反射率 材料 屈折率 屈折率の傾斜 弗素含有量 (%) (%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 カ゛ラス 1.52 2.19〜1.42 4.5 3.2 実施例2 カ゛ラス 1.52 2.19〜1.42 4.5 1.0 実施例3 カ゛ラス 1.52 2.25〜1.45 0.1以下 2.1 実施例4 ホ゜リカーホ゛ネート 1.59 2.19〜1.42 4.5 1.2 実施例5 アクリル 1.49 2.19〜1.42 4.5 1.4 比較例 カ゛ラス 1.52 2.19〜1.42 4.5 1.8 ===================================
【0040】実施例4 ガラス板の代わりにポリカーボネート板を用いたこと、
チタンフッ化アンモニウム水溶液の代わりにタンタルフ
ッ化アンモニウムを用いたことのほかは、実施例1と同
様にして、実施例4のサンプルを得た。表1、図5およ
び図7に評価結果を示した。基板がポリカーボネートで
あっても実施例2と同様優れた反射特性を得ることがで
きた。また、反射防止膜の被覆を室温付近で処理したの
で樹脂の変形等の問題は全く発生しなかった。
【0041】実施例5 ガラス板の代わりにアクリル板を用いたほかは、実施例
4と同様に処理して得たものを実施例5のサンプルとし
た。表1、図5および図7に評価結果を示した。アクリ
ル板であっても、実施例4と同様優れた反射特性を得る
ことができた。
【0042】比較例1 実施例1と同様のガラス板を用い、以下の方法で酸化チ
タンと酸化珪素の積層膜を被覆した。まず第1の処理液
の300mlをビーカーに入れ、30℃の恒温槽中一定
時間放置した後、45分間ガラス板を浸漬放置して、酸
化チタンの薄膜を析出被覆した。その後、ガラス板を処
理液から引き上げ、純水中で3分間超音波洗浄をした後
50℃で加熱乾燥させた。続いて第2の処理液中にこの
ガラス板を浸漬し、酸化チタン膜上に二酸化珪素膜を析
出被覆させた。処理液の温度は45℃で析出時間は12
時間とした。反応終了後は、酸化チタン膜を形成させた
場合と同様の方法で純水洗浄した後乾燥させた。表1、
図5および図8に得られた膜の特性を示した。積層構成
の反射防止膜で被覆されたこのサンプルの反射スペクト
ルは、波長依存性が大きいものであった。
【0043】以上から、低屈折率材料として二酸化珪
素、高屈折率材料として酸化チタンを用い、これらにつ
いて厚み方向に組成勾配を有するようにして屈折率傾斜
を有するようにすることにより、反射防止膜とすること
ができるとを示した。また、膜に弗素を含有させること
により、より広い波長域で反射を低減できることを示し
た。さらに、屈折率傾斜を有する膜の上に低屈折率膜を
被覆することに広い波長範囲で反射率が低減し着色が抑
制された膜とすることができることを示した。
【0044】本発明によって得られる反射防止膜が被覆
された物品は、液晶表示などのディスプレーの全面パネ
ルやレンズなどの光学物品に幅広く用いることができ
る。
【0045】
【発明の効果】本発明の物品によれば、反射防止膜をそ
の屈折率が基体から外側に向かって連続的に低下するよ
うに傾斜させたので、反射率の波長依存性を小さくな
り、これにより反射光による着色が抑制された物品とす
ることができる。また単一の工程で
【0046】また、反射防止膜の厚み方向の屈折率傾斜
を高屈折率材料として酸化チタンを低屈折率材料として
フッ素を含有する低屈折率の二酸化珪素とすることによ
り、一層着色を抑制した物品とすることができる。
【0047】また、屈折率傾斜を有する層の上に低屈折
率の層を設けることにより着色を一層抑制された物品と
することができる。
【0048】さらに、本発明の物品を製造する方法によ
れば、反射防止膜を低温度で被覆することができるの
で、樹脂などの熱的に制限がある基体に対しても、基体
を熱的に劣化させることなく被覆することができる。さ
らに、基体を処理液に漬けるという単一の工程で反射防
止膜を被覆することができるので、経済性がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の物品の一実施形態の断面図である。
【図2】本発明の物品の他の実施形態の断面図である。
【図3】本発明の物品を製造する方法の一実施形態の説
明図である。
【図4】実施例1、2および3のサンプルの反射防止膜
の屈折率傾斜を示す図である。
【図5】実施例4、5および比較例のサンプルの反射防
止膜の屈折率傾斜を示す図である。
【図6】実施例1、2および3のサンプルの反射スペク
トルを示す図である。
【図7】実施例4および5のサンプルの反射スペクトル
を示す図である。
【図8】比較例のサンプルの反射スペクトルを示す図で
ある。
【符号の説明】
1:本発明の実施により得られる物品 2:反射防止膜、2a:屈折率傾斜領域、2b:低屈折
率領域 3:ガラス板 10:容器 11:処理液 12:EDTA水溶液 13:ノズル 14:撹拌棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪又 宏之 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA04 AA05 BB02 BB14 BB24 CC03 CC06 DD02 FF01 4F100 AA20B AA20C AA21B AA34B AG00 AT00 AT00A BA03 BA07 BA10C BA26 BA42B BA44B GB41 JN06 JN06B JN18 JN18B JN18C YY00B YY00C 4G059 AA01 AA11 AB01 AC04 EA04 EA05 EB05 5G435 AA01 AA04 AA17 FF02 HH02 HH03 KK07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】 反射防止膜が被覆された物品およびその製造方法
  1. 【請求項1】基体の少なくとも片側表面に反射防止膜が
    被覆された物品であって、前記反射防止膜は、前記基体
    表面から厚み方向外側にいくに従い低くなる屈折率傾斜
    を有し、かつ前記基体との界面における屈折率が前記基
    体の屈折率よりも高いことを特徴とする物品。
  2. 【請求項2】前記反射防止膜の厚みが20nm以上15
    0nm以下である請求項1に記載の物品。
  3. 【請求項3】基体の少なくとも片側表面に反射防止膜が
    被覆された物品であって、前記反射防止膜は、前記基体
    表面から厚み方向外側にいくに従い低くなる屈折率傾斜
    領域と前記屈折率傾斜領域の外側に厚み方向に一定の屈
    折率を有する低屈折率領域とを有し、かつ前記基体との
    界面における屈折率が前記基体の屈折率よりも高いこと
    を特徴とする物品。
  4. 【請求項4】前記屈折率傾斜領域の厚みが20nm以上
    40nm以下であり、前記低屈折率領域の厚みが70n
    m以上150nm以下である請求項3に記載の物品。
  5. 【請求項5】前記屈折率傾斜は、高屈折率金属酸化物と
    低屈折率酸化物としての酸化珪素の混合割合が異なるこ
    とにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の物品。
  6. 【請求項6】前記高屈折率金属酸化物が酸化チタンであ
    ることを特徴とする請求項5に記載の物品。
  7. 【請求項7】前記酸化珪素にはフッ素が含有されている
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の物品。
  8. 【請求項8】基体の少なくとも片側表面に反射防止膜が
    被覆された物品の製造方法において、前記基体を金属フ
    ッ化水素酸または金属フッ化アンモニウムを含み前記金
    属の酸化物の過飽和溶液とした第1の処理液と、珪フッ
    化水素酸または珪ッ化アンモニウムを含み二酸化珪素の
    過飽和溶液とした第2の処理液を混合し、前記第1の処
    理液中の金属と前記第2の処理液中の珪素の析出速度差
    を利用して、前記金属の酸化物と二酸化珪素について厚
    み方向に組成勾配を有する反射防止膜を析出被覆する反
    射防止膜被覆物品の製造方法。
  9. 【請求項9】前記金属フッ化物が、フルオロチタン酸ま
    たはフルオロチタン酸アンモニウムのいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項8に記載の物品の製造方法。
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